平成30年2月22日判決言渡平成28年(行ウ)第19号懲戒処分取消請求事件口頭弁論終結日平成30年1月17日判決 主文 1 本件訴えのうち,厚生労働大臣が平成28年2月10日付けで原告に対してした社会保険労務士法25条の3に基づく3か月の社会保険労務士の業務停止処分の取消しを求める部分を却下する。 2 原告のその余の訴えに係る請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 厚生労働大臣が平成28年2月10日付けで原告に対してした社会保険労務士法25条の3に基づく3か月の社会保険労務士の業務停止処分を取り消す。 2 被告は,原告に対し,331万円及びこれに対する平成29年2月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,社会保険労務士(以下「社労士」という。)である原告が,平成28年2月10日付けで厚生労働大臣から社会保険労務士法(以下「社労士法」という。)25条の3所定の「この法律・・に違反したとき」及び「社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったとき」に該当するとして3か月の業務停止処分(以下「本件処分」という。)を受けたことから,本件処分に先立つ聴聞手続(以下「本件聴聞手続」という。)に違法があり,また,本件処分が過重なものであって,厚生労働大臣に許された裁量権の範囲を逸脱し違法であるなどと主張して,本件処分の取消しを求めるとともに(以下「本件取消しの訴え」という。),違法な本件処分によって損害を被ったと主張して,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠 法」という。)1条1項に して,本件処分の取消しを求めるとともに(以下「本件取消しの訴え」という。),違法な本件処分によって損害を被ったと主張して,被告に対し,国家賠償法(以下「国賠 法」という。)1条1項に基づき,331万円及びこれに対する訴えの変更(追加)申出書の送達日の翌日である平成29年2月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(以下「本件国賠請求」という。)事案である。 2 関係法令等の定め関係法令等の定めは,別紙「関係法令等の定め」に記載のとおりである。 また,行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準には該当しないものの,厚生労働大臣は,社労士の懲戒処分に係る内部的基準として,別紙「社会保険労務士の懲戒処分に係る量定の基準」に記載のとおりの基準(以下「本件内部量定基準」という。)を定めている。本件内部量定基準は,その別表において,社労士法25条の3所定の「この法律・・に違反したとき」に該当する場合には,主犯は失格処分(ただし,情状酌量により,6か月の業務停止まで減量する。)とし,従犯は1年の業務停止(ただし,情状酌量により,3か月の業務停止まで減量する。)とし,「社労士たるにふさわしくない重大な非行があったとき」に該当する場合には,1年の業務停止(ただし,情状酌量により,1か月の業務停止又は戒告まで減量する。)とする旨を定めているほか,その本文中において,「なお,過去に懲戒事由に該当する不正行為を行っているなど別表に定める量定が適切でないと認められる特段の事情がある場合には,社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に規定する懲戒処分の範囲を限度として,量定を決定することができるものとする。」と定めている。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実及び掲記の証拠等により容易 労務士法(昭和43年法律第89号)に規定する懲戒処分の範囲を限度として,量定を決定することができるものとする。」と定めている。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実及び掲記の証拠等により容易に認められる事実等。以下,書証番号は特記しない限り枝番を含む。)(1) 当事者等原告は,愛知県社会保険労務士会(以下「愛知県社労士会」という。)に所属する社労士として,「社会保険労務士A事務所」(以下「本件社労士事務所」という。)を経営しているほか,税理士資格を有し,「B会計事務所」(以下「本件会計事務所」 という。)を経営し,社労士業務と共に税理士業務も行っている。(甲3,10,乙1)(2) 原告によるブログにおける記事の掲載等原告は,平成27年4月10日から同年12月4日までの間,本件社労士事務所のウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)内に「すご腕社労士の首切りブログモンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」と題するブログ(以下「本件ブログ」という。)を開設し,「納得いかない有休休暇制度」,「就業規則の不利益変更の勧め」,「退職の際に有給休暇の取得を認めないこと」,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」,「正しいパワハラの勧め」,「社員をうつ病に罹患させる方法」などと題する各記事を掲載した(以下「本件ブログ掲載行為」という。)。なお,原告は,「社員をうつ病に罹患させる方法」と題する記事については,同月3日に削除した。(乙1ないし3,19,弁論の全趣旨)(3) 愛知県社労士会による処分愛知県社労士会は,平成27年12月28日付けで,原告に対し,本件ブログ掲載行為が愛知県社会保険労務士会会則(以下「本件会則」という。)41条に該当し,愛知県社労士会又は会員の名誉を著しく失墜させる行 知県社労士会は,平成27年12月28日付けで,原告に対し,本件ブログ掲載行為が愛知県社会保険労務士会会則(以下「本件会則」という。)41条に該当し,愛知県社労士会又は会員の名誉を著しく失墜させる行為があったと認められるとの理由で,本件会則47条5項所定の処分基準(以下「本件社労士会処分基準」という。)2条3号イ及び4号に基づき,処分通知書が到達した日の翌日から3年間の会員権停止の処分及び退会勧告(以下「本件社労士会処分」という。)をした。 (甲7ないし9)(4) 本件処分に至る経緯ア厚生労働大臣は,平成28年1月19日付けで,原告に対し,予定される不利益処分の内容が3か月の業務停止であること,根拠となる法令の条項が社労士法25条の3であることのほか,不利益処分の原因となる事実が別紙「不利益処分の原因となる事実」記載の事実(以下「本件原因事実」という。)であることを示した上で,同年2月1日午後2時から社労士法25条の4第1項に基づく聴聞を行う 旨通知した。(甲2の1)イ厚生労働大臣は,原告から委任を受けた原告訴訟代理人弁護士Cから上記アの聴聞期日の変更の上申を受け,平成28年1月27日付けで,原告に対し,原告の聴聞期日を同年2月4日午前10時30分に変更すること等を通知した。(甲2の2,弁論の全趣旨)ウ原告は,平成28年2月4日,聴聞期日において,本件原因事実を認めるとともに,本件ブログに掲載された記事によって,関係者のみならず広く一般市民に対して不安を与え,迷惑を掛けたことについて深く謝罪する旨述べた。(乙3)エ厚生労働大臣は,平成28年2月10日付けで,原告に対し,社労士法25条の3に基づき,本件原因事実が同条所定の「この法律・・に違反したとき」及び「社会保険労務士たるにふさわしくない重大 3)エ厚生労働大臣は,平成28年2月10日付けで,原告に対し,社労士法25条の3に基づき,本件原因事実が同条所定の「この法律・・に違反したとき」及び「社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったとき」に該当することを理由として,原告を処分通知を受領した日の翌日から3か月の業務停止に処する旨の本件処分をし,同月11日,これを原告に通知した。なお,本件処分の通知書(以下「本件処分通知書」という。)には,処分の理由として,別紙「不利益処分の原因となる事実」と同一の記載があった。(甲1,弁論の全趣旨)(5) 本件訴えの提起等ア原告は,平成28年2月12日,当裁判所に対し,本件取消しの訴えを提起するとともに,本件取消しの訴えを本案として,本件処分の効力の停止を申し立てた(以下「本件執行停止申立て」という。)。(顕著な事実)イ当裁判所は,平成28年2月26日付けで,本件処分の効力は本件の第1審判決言渡し後30日が経過するまで(その前に本件が完結した場合はその時まで)停止するとの決定(以下「本件執行停止決定」という。)をした。(顕著な事実)ウ原告は,平成28年11月2日,本件執行停止申立てを取り下げた。(顕著な事実)エ原告は,平成29年1月16日付け訴えの変更(追加)申出書により,本件国賠請求を追加した。(顕著な事実) 4 争点(1) 本件取消しの訴えの適法性(本案前の争点,争点1)(2) 本件処分の適法性(争点2)(3) 本件国賠請求の可否(国賠法上の違法性の有無等)(争点3) 5 上記争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件取消しの訴えの適法性)(原告の主張)ア被告の主張によれば,厚生労働大臣は,社労士に対する懲戒処分をする場合には,当該社労 5 上記争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件取消しの訴えの適法性)(原告の主張)ア被告の主張によれば,厚生労働大臣は,社労士に対する懲戒処分をする場合には,当該社労士の懲戒処分等の処分歴等を考慮して,懲戒処分の要否及び具体的内容について判断するのであるから,本件処分の執行が完了し,その効果がなくなったとしても,本件処分の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。 イ最高裁平成26年(行ヒ)第225号同27年3月3日第三小法廷判決・民集69巻2号143頁(以下「平成27年判例」という。)は,行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準を根拠として,処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても,処分の取消しによって回復すべき法律上の利益があることを肯定したものであるが,法律上の利益が認められる場合を同項に基づき定められた処分基準が存在する場合に限定するものとはいえない。最高裁昭和56年(行ツ)第171号同58年4月5日第三小法廷判決・集民138号493頁(以下「昭和58年判例」という。)は,日本弁護士連合会会長選挙規程という内部規定を根拠として,法律上の利益を肯定している。 ウ原告は,愛知県社労士会から,本件会則47条5項,本件社労士会処分基準2条3号イ及び4号に基づき,本件ブログ掲載行為を理由に3年間の会員権停止の処分及び退会勧告(本件社労士会処分)を受け,愛知県社労士会を被告として,本件社労士会処分の取消し,無効確認等を求める訴訟(当庁平成28年(ワ)第○号。 以下「別件訴訟」という。)を提起している。本件社労士会処分基準2条3号イは,3年以内の会員権停止の処分がされる要件として,「本会若しくは会員の名誉を著 しく失墜させる行為があったとき」のほかに「社会保険労務士法若し 起している。本件社労士会処分基準2条3号イは,3年以内の会員権停止の処分がされる要件として,「本会若しくは会員の名誉を著 しく失墜させる行為があったとき」のほかに「社会保険労務士法若しくは関係諸法令等に違反して行政庁の処分を受けたとき」が定められている。そして,本件社労士会処分は,「本会若しくは会員の名誉を著しく失墜させる行為があったとき」に該当することを理由とするものであるが,愛知県社労士会は,別件訴訟において,処分理由を追加することが認められるため,本件処分が存在することによって,「社会保険労務士法若しくは関係諸法令等に違反して行政庁の処分を受けたとき」にも該当する旨主張することにより,本件社労士会処分の効力が維持されるおそれがあるというべきである。 エ以上によれば,原告について,本件処分の取消しによって回復すべき法律上の利益があるというべきである。 (被告の主張)ア行政事件訴訟法9条1項は,処分又は裁決の効果が期間の経過等によりなくなった場合,処分又は裁決の取消しによって回復すべき法律上の利益を有することが訴訟要件になることを規定している。 イ原告は,平成28年2月12日から同月26日までの間,本件処分の執行を受けた後,本件執行停止決定により,本件処分の効力が停止された。しかし,原告は,同年11月2日,本件執行停止申立てを取り下げたため,再び本件処分の執行を受け,平成29年1月17日の経過により,本件処分の執行が終了し,その効果がなくなった。 ウ一般に処分を受けたことを将来の処分の加重事由とするなどの不利益取扱いを認める法令の規定がある場合には,処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が認められる余地があると考えられるが,社労士法その他の法令には,処分を受けたことを理由とする不利益取扱い の不利益取扱いを認める法令の規定がある場合には,処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が認められる余地があると考えられるが,社労士法その他の法令には,処分を受けたことを理由とする不利益取扱いを認めた規定は存在しない。また,処分を受けたことが情状として事実上考慮される可能性があるにとどまる場合には,訴えの利益は認められないというべきである。本件内部量定基準は,法令の性質を有するものではなく,また,平成27年判例のいう,行政手続法12条1項により定められ 公にされている処分基準には当たらず,過去に懲戒事由に該当する不正行為を行っていることが事実上考慮される場合があり得ることを示したものにとどまる。 エ以上によれば,本件取消しの訴えは,訴えの利益を欠き,不適法というべきである。 (2) 争点2(本件処分の適法性)(被告の主張)ア本件聴聞手続の適法性について厚生労働大臣が原告に対して送付した本件聴聞手続を行う旨の通知書(以下「本件聴聞通知書」という。)の内容を素直に読めば,「社員をうつ病に罹患させる方法」,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する各記事についての記載は飽くまでも例示であり,不利益処分の原因となる事実は本件ブログ全体であることは明らかである。 原告は,本件聴聞手続において提出した弁明書兼嘆願書(甲3。以下「本件弁明書」という。)の「本ブログの全体の意図」と題する部分において,本件ブログ全体の趣旨についての弁明を行っており,原告においても,本件聴聞通知書における不利益処分の原因となる事実が本件ブログ全体であることを認識していたものというべきである。 原告は,本件聴聞手続において指摘した各記事について個別に反論する機会を希望し,平成28年2月8日,追加の弁明書を提出して なる事実が本件ブログ全体であることを認識していたものというべきである。 原告は,本件聴聞手続において指摘した各記事について個別に反論する機会を希望し,平成28年2月8日,追加の弁明書を提出している。 以上によれば,本件処分は,適正な手続を経て行われたものということができる。 イ本件処分に関する厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用について(ア) 社労士法は,社労士に対する懲戒処分として戒告から資格喪失(失格処分)まで軽重の幅のある処分を定めているところ,社労士法には,社労士について懲戒事由がある場合において,懲戒処分をすべきか否かや,懲戒処分をするときにいかなる処分を選択すべきかについての判断基準について,具体的な定めは置かれていない。このことを踏まえると,懲戒処分の要否,具体的内容についての判断は,懲 戒事由に該当すると認められる行為の性質,態様,結果,影響等のほか,当該社労士の上記行為の前後の態度,懲戒処分等の処分歴,選択する処分が他の社労士に与える影響等,諸般の事情を考慮してされるべきものと解され,この判断は,平素から社労士の指導監督に当たる懲戒権者である厚生労働大臣の広範な裁量に委ねられていると解すべきである。したがって,厚生労働大臣が上記裁量権を行使した懲戒処分は,それが社会通念上,著しく妥当性を欠いて裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる場合に限り,違法となるものというべきである。そして,下記(イ)ないし(カ)の事情によれば,厚生労働大臣が原告に対して本件懲戒処分をしたことにつき,裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったとは認められない。 (イ) 本件ブログの内容は,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」,「社員をうつ病に罹患させる方法」などという,①社労士制度の目的(事業の健 範囲の逸脱又は濫用があったとは認められない。 (イ) 本件ブログの内容は,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」,「社員をうつ病に罹患させる方法」などという,①社労士制度の目的(事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること)に反する内容,②社労士の職責(公正な立場での業務の遂行)に反する内容,③社労士の業務を行うに当たり必要とされる労働関係諸法令の理解が不十分と認められる内容,④社労士の信用及び品位を害する内容,⑤使用者による労働者に対する違法な権利侵害や刑罰法規に違反する行為を唆すような内容であり,原告による本件ブログ掲載行為は,極めて悪質なものである。 (ウ) 本件ブログには,本件社労士事務所の電話番号が記載されていることからみても,原告は,単なる個人の意見表明を超えて,労働者を鬱病に追い込むノウハウをもとに社労士の営業行為を行っており,社労士としてあるまじき態度である。 (エ) 社労士法25条の3は,「社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったとき」に懲戒処分をすることができる旨を規定していることから,社労士に対する懲戒処分は,基本的に,当該社労士が行った非違行為の悪質性に応じて行われるものであり,その際に当該社労士が税理士業務を行えなくなるとの不利益が考慮要素になるとは解されない。 (オ) 本件処分が公表された後,厚生労働省に対し,これを支持する意見,又は処 分として軽いとする意見が多く寄せられていることや,国会の審議においても,与党だけではなく野党からも本件処分を支持する意見が述べられるなどの点で,本件処分が相当であることは社会的に支持されている。 (カ) 本件処分は,以下のとおり,社労士や他士業,国家公務員の過去の懲戒処分事例の量定等に照らしてみても,相当である。 a などの点で,本件処分が相当であることは社会的に支持されている。 (カ) 本件処分は,以下のとおり,社労士や他士業,国家公務員の過去の懲戒処分事例の量定等に照らしてみても,相当である。 a 社労士に対する懲戒処分は,おおむね,自らの利得のために士業の業務に関し,刑罰法規に抵触する行為を行った事案については資格喪失(失格処分),士業の業務に関し,故意に虚偽の書類作成を行う等の刑罰法規に抵触する事案については3か月を超え1年以下の業務停止,これに当てはまらない事例については,3か月以下の業務停止又は戒告という量定範囲で懲戒処分が行われている。本件原因事実は,刑罰法規に直接抵触するものとまではいえないため,戒告又は3か月以下の業務停止の範囲で懲戒処分を選択することが,過去の懲戒処分事例に沿うものと考えられる。そして,本件原因事実は,前記(イ)のとおり,極めて悪質なものであり,社会的影響力の大きさ等を考慮すると,過去の懲戒処分事例において考えられる最も重い懲戒処分である3か月の業務停止とした本件処分は相当というべきである。 b 他士業や国家公務員の過去の懲戒処分事例としては,①復興庁に勤務していた国家公務員が,政府の重要施策である災害復興事業に関し,ツイッターで不適切な発言を行い,重要施策に対する政府の姿勢について国民から不信を招く事態を生じさせたことが国家公務員法99条に規定する信用失墜行為に該当するとして,勤務時間中のツイッター投稿行為と併せて停職30日の懲戒処分を受けた事例,②弁護士が,既に辞任した事件につき,依頼者の承諾なく,受任した事件の概要(内容及び処理内容)をブログに記載したことが弁護士法56条1項に定める品位を失うべき非行に該当するとして業務停止1か月の懲戒処分を受けた事例,③弁護士が,テレビ番組において,視聴者に対し 件の概要(内容及び処理内容)をブログに記載したことが弁護士法56条1項に定める品位を失うべき非行に該当するとして業務停止1か月の懲戒処分を受けた事例,③弁護士が,テレビ番組において,視聴者に対し,他の弁護士らの弁護活動に対する不快感をあおり,弁護士及び刑事弁護に対する誤った認識と不信感を与え,多数の懲戒請求があれば懲戒処分がされるかのような誤った認識を与える発言をしたことが,弁護士 法56条1項に定める品位を失うべき非行に該当するとして業務停止2か月の懲戒処分を受けた事例がある。 上記①の事例は,政府の施策について不信を招いた点は本件と同様であるが,個別具体的な施策に影響を及ぼしたものではなく,問題とされたツイートはいずれも短い内容であり,中傷された者等に具体的な危害を生じさせるおそれが小さいものであった。また,上記②の事例は,当該弁護士に事件を委任した者の情報が漏えいしたおそれがあるものの,既に辞任した事件について,当事者名をイニシャル表記にして事件概要等をブログに記載したものであり,必ずしも情報漏えいが生じたとはいえず,また,被害者が事件の委任者に限定されているものであった。さらに,上記③の事例は,テレビ番組における情報発信により,弁護士及び刑事弁護に対する誤った認識と不信感を与え,弁護士の懲戒制度に対する誤った認識を与えた点は本件と同様であるが,その情報発信は当該テレビ番組で1回のみ行われたものであった。 これに対して,本件ブログ掲載行為は,労働関係法令の遵守の徹底やメンタルヘルス対策の重要性が社会的に共有される中で,重要な職責を担う労働関係の専門家である社労士という立場にある原告が,平成27年4月10日から同年12月4日までの約8か月という長期間,合計43回という多数回にわたって,前記(イ)のような悪質 で,重要な職責を担う労働関係の専門家である社労士という立場にある原告が,平成27年4月10日から同年12月4日までの約8か月という長期間,合計43回という多数回にわたって,前記(イ)のような悪質な内容の記事を発信,連載し,社労士及び国の重要課題である労働政策に対する国民の信頼を著しく傷つけるものであり,上記①ないし③の事例と比較してもその悪質性及び社会的影響は際立っていたというべきである。 ウ本件処分通知書の理由の提示について本件処分通知書には,処分の理由として,別紙「不利益処分の原因となる事実」と同一の記載があったのであるから,原告が,①社労士制度の目的(事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること)に反する内容,②社労士の職責(公正な立場での業務の遂行)に反する内容,③社労士の業務を行うに当たり必要とされる労働関係諸法令の理解が不十分と認められる内容,④社労士の信用及び品位を害 する内容,⑤使用者による労働者に対する違法な権利侵害や刑罰法規に違反する行為を唆すような内容を含む記事を本件ブログに掲載したことが本件処分の理由となっていることや,本件ブログ掲載行為が社労士法1条,1条の2,16条に反することを理由に懲戒処分がされたことを容易に理解することができる。 したがって,本件処分について,理由の提示に係る違法はない。 (原告の主張)ア本件聴聞手続の違法性について本件聴聞通知書は,行政手続法15条1項1号所定の予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項や同項2号所定の不利益処分の原因となる事実の記載が不十分であった。すなわち,本件聴聞通知書には,本件ブログの記載中,「社員をうつ病に罹患させる方法」及び「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する各記事についてしか記載が る事実の記載が不十分であった。すなわち,本件聴聞通知書には,本件ブログの記載中,「社員をうつ病に罹患させる方法」及び「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する各記事についてしか記載がなかったところ,本件聴聞手続においては,上記以外の記載事項について質問がされたため,原告は十分な弁明をすることができなかった。本件聴聞通知書の記載は,本件ブログの記載のうち,いかなる記載がいかなる意味で厚生労働大臣が指摘する事由に該当するのかが全く不明であり,原告が本件聴聞手続において十分な弁明を行うことが困難であることは明らかである。 したがって,本件聴聞手続には,社労士法25条の4第2項,行政手続法15条1項に違反する違法があるため,本件処分が取り消されるべきであることは明らかである。 イ本件処分に関する厚生労働大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用について(ア) 下記(イ)ないし(オ)のとおり,本件原因事実に係る原告の行為態様,動機(目的),本件処分によって原告が被る不利益の程度を考慮すると,本件処分は,社会通念上,著しく妥当性を欠くものであって,厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱した違法なものであることは明らかである。 (イ) 原告は,一部の心ない社員によって企業秩序が破壊され,中小企業が倒産することを防止する意図で本件ブログに記事を掲載しており,「社員をうつ病に罹患 させる方法」と題する記事については,実際に社員を鬱病にさせることを目的としていたわけではなく,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する記事についても,その趣旨とするところは,鬱病の早期発見を奨励し,会社及び労働者の福祉の向上に資することを目的としていた。 (ウ) 原告は,社労士業務とともに,本件会計事務所の所長として税理士業務を行っ いても,その趣旨とするところは,鬱病の早期発見を奨励し,会社及び労働者の福祉の向上に資することを目的としていた。 (ウ) 原告は,社労士業務とともに,本件会計事務所の所長として税理士業務を行っており,本件会計事務所の顧客数は,法人○件,青色申告を行っている個人事業主○件,白色申告を行っている個人約○件であり,毎月約○件の記帳代行業務を行っている。しかし,原告は,本件処分を受けたことにより,税理士法43条により,税理士業務を行うことができなくなったため,上記顧客との間の委任契約を解除せざるを得なくなった。また,上記顧客との間の委任契約が解除されれば,原告が業務停止の懲戒処分を受けたことが明らかになり,業務停止以上の懲戒処分は,原告が,虚偽の事実に基づく申請書を作成して給付金を詐取し,又は事業主から交付された保険料を横領するなどの犯罪行為をしたことを連想させるため,原告の社会的信用を喪失させることとなる。さらに,原告は,本件処分当時○歳であり,妻と世帯を構成しているところ,その生活は専ら原告の税理士業務の収入で成り立っているため,本件処分により,原告の世帯の生活が直ちに困窮することは明らかである。 厚生労働大臣は,以上のような原告に生じる不利益を考慮しておらず,その裁量権の範囲を逸脱し又は濫用した違法があるというべきである。 (エ) 厚生労働大臣が,原告について,懲戒処分を行うかや,具体的にどのような懲戒処分を行うかを決定する際には,原告に憲法上保障されている思想・良心の自由及び言論・表現の自由を踏まえた慎重な検討が必要であるところ,本件処分においては,思想・良心の自由及び言論・表現の自由が考慮されていない。また,本件処分においては,原告が本件ブログ上の記載を直ちに削除しており,本件ブログに記載された内容が,原告の行為によって,インタ おいては,思想・良心の自由及び言論・表現の自由が考慮されていない。また,本件処分においては,原告が本件ブログ上の記載を直ちに削除しており,本件ブログに記載された内容が,原告の行為によって,インターネット上に拡散したものではないことについても考慮されていない。 (オ) 本件ブログの記載は,原告が自らの社労士としての経験を踏まえて,個人の 意見として表明したものである。原告は,営業行為として本件ブログに記事を掲載して顧客の拡大を図る必要性は全くなく,これにより原告の業務が拡大したという事実も全くなかった。 ウ本件処分通知書の理由の提示の不備について(ア) 行政手続法14条1項においては,行政庁が不利益処分をする場合,その名宛人に対し,同時に,当該不利益処分の理由を示さなければならないとされており,その趣旨は,名宛人に直接に義務を課し,又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨であると解すべきである。 (イ) 本件処分通知書の記載は,本件聴聞通知書の記載と同様に,本件ブログの記載のうち,いかなる記載がいかなる意味で厚生労働大臣が指摘する事由に該当するのかが全く不明であるから,上記(ア)の理由の提示が必要とされる趣旨に反することは明らかである。したがって,本件処分通知書については,理由の提示に重大な不備があるから,本件処分は取り消されるべきである。 (3) 争点3(本件国賠請求の可否(国賠法上の違法性の有無等))(原告の主張)ア本件処分の違法性等について前記(2)(原告の主張)ア及びイのとおり,本件聴聞手続に違法があり,本件処分に厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱 賠法上の違法性の有無等))(原告の主張)ア本件処分の違法性等について前記(2)(原告の主張)ア及びイのとおり,本件聴聞手続に違法があり,本件処分に厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱した違法があるから,国賠法1条1項所定の違法性が認められ,また,厚生労働大臣において,本件処分を行うに当たって,少なくとも重大な過失があったことは明らかである。 イ原告に生じた損害について(ア) 逸失利益原告は,本件処分を受けたことにより,本来であれば自ら行う予定であった業務(決算申告業務)を行うことができなくなり,当該業務を他の公認会計士に依頼せ ざるを得なくなった。原告が,自ら上記業務を行っていれば,合計81万円の報酬を得ることができた。 (イ) 慰謝料原告は,本件処分を受け,本件処分がされたことがインターネット等を通じて広く一般に知られたことにより,社会的信用(名誉)を侵害された上,社労士及び税理士としての業務上の信用も著しく侵害されたことにより,重大な精神的苦痛を被ったものであり,これを慰謝するのに相当な額は200万円を下らない。 (ウ) 弁護士費用原告は,本件処分を受けたことにより,原告訴訟代理人らに対し,本件執行停止申立て,本件訴訟の提起等を委任せざるを得なくなったものであり,これに要した弁護士費用は50万円を下らない。 (被告の主張)前記(2)(被告の主張)のとおり,本件処分は適法であるから,厚生労働大臣が本件処分を行ったことが,その職務上の法的義務に違背するものではないことは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件取消しの訴えの適法性)について(1) 行政事件訴訟法9条1項は,「処分の取消しの訴え・・・は,当該処分・・・の取消しを求めるにつき法律上の である。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件取消しの訴えの適法性)について(1) 行政事件訴訟法9条1項は,「処分の取消しの訴え・・・は,当該処分・・・の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分・・・の効果が期間の経過その他の理由によりなくなった後においてもなお処分・・・の取消しによって回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り,提起することができる。」と規定しており,処分について取消訴訟を提起することができるのは,その処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限られる旨規定している。 これを本件についてみると,前記前提事実(4)及び(5)によれば,原告は,本件処分の通知を受けた日の翌日である平成28年2月12日から本件処分の執行を受け,その後,当裁判所が同月26日付けで本件執行停止決定をしたことによって,本件 処分の効力が停止されたものの,同年11月2日,本件執行停止申立てを取り下げたことが認められ,これらの事情に照らせば,本件執行停止申立ての取下げによって本件執行停止決定の効果が遡及的になくなるのか否かという点をおくとしても,本件処分の効果は,遅くとも,被告の主張する平成29年1月17日の経過をもって,なくなったことが明らかである。 そして,①社労士法その他の関係法令には,処分を受けたことを将来の処分の加重事由とするなどの不利益取扱いを認める規定は存在しないこと,②本件内部量定基準は,公表されていないため,行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準には該当しない上,その文言も,「なお,過去に懲戒事由に該当する不正行為を行っているなど別表に定める量定が適切でないと認められる特段の事情がある場合には,社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に規定する懲戒処分の範囲 言も,「なお,過去に懲戒事由に該当する不正行為を行っているなど別表に定める量定が適切でないと認められる特段の事情がある場合には,社会保険労務士法(昭和43年法律第89号)に規定する懲戒処分の範囲を限度として,量定を決することができるものとする。」というものであり,処分を受けたことが将来の処分の加重事由とされる期間やその加重の程度について具体的に定めておらず,過去に懲戒処分を受けた場合を含めて,懲戒事由に該当する不正行為を行ったことが,情状として考慮されるという事実上の不利益を受ける可能性があることを注意的に定めたにとどまると解されることに照らすと,社労士法25条の3に基づく懲戒処分の効果が期間の経過によりなくなった後においては,当該処分を受けた者について,「処分・・・の取消しによって回復すべき法律上の利益」があるとはいえない(最高裁昭和53年(行ツ)第170号同55年1月25日第二小法廷判決・集民129号121頁,最高裁昭和53年(行ツ)第32号同55年11月25日第三小法廷判決・民集34巻6号781頁,最高裁昭和56年(行ツ)第119号同年12月18日第二小法廷判決・集民134号599頁,最高裁平成26年(行ヒ)第225号同27年3月3日第三小法廷判決・民集69巻2号143頁参照)。 したがって,原告が本件処分の取消しを求める訴えの利益は,本件処分の効果がなくなったことによって,失われたというべきであるから,本件取消しの訴えは不 適法というほかない。 (2) これに対し,原告は,①厚生労働大臣は,社労士に対する懲戒処分をする場合には,当該社労士の懲戒処分等の処分歴等を考慮して,懲戒処分の要否及び具体的内容について判断するのであるから,本件処分の執行が完了し,その効果がなくなったとしても,本件処分の取消しを求める する場合には,当該社労士の懲戒処分等の処分歴等を考慮して,懲戒処分の要否及び具体的内容について判断するのであるから,本件処分の執行が完了し,その効果がなくなったとしても,本件処分の取消しを求める訴えの利益は消滅しない,②平成27年判例は,行政手続法12条1項により定められ公にされている処分基準を根拠として,処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても,処分の取消しによって回復すべき法律上の利益があることを肯定したものであるが,法律上の利益が認められる場合を同項に基づき定められた処分基準が存在する場合に限定するものとはいえず,昭和58年判例は,日本弁護士連合会会長選挙規程という内部規定を根拠として,法律上の利益を肯定しているところ,原告は,愛知県社労士会から本件社労士会処分を受け,愛知県社労士会を被告として,本件社労士会処分の取消し,無効確認等を求める訴訟(別件訴訟)を提起しており,本件社労士会処分は本件社労士会処分基準2条3号イ所定の「本会若しくは会員の名誉を著しく失墜させる行為があったとき」に該当することを理由とするものであるが,愛知県社労士会が,同号イ所定の「社会保険労務士法若しくは関係諸法令等に違反して行政庁の処分を受けたとき」にも該当する旨主張することにより,本件社労士会処分の効力が維持されるおそれがあるため,本件処分の効果がなくなったとしても,本件処分の取消しを求める訴えの利益は消滅しない旨主張するため,以下検討する。 ア上記①の点について原告の主張する不利益は,本件処分を受けたことが情状として考慮されるという事実上の不利益を受ける可能性があるというものにとどまるところ,このような不利益が「処分・・・の取消しによって回復すべき法律上の利益」に当たらないのは,前記(1)で説示したとおりであるから,原告の主張は 上の不利益を受ける可能性があるというものにとどまるところ,このような不利益が「処分・・・の取消しによって回復すべき法律上の利益」に当たらないのは,前記(1)で説示したとおりであるから,原告の主張は,採用することができない。 イ上記②の点について確かに,社労士は,厚生労働大臣の認可を受けて,都道府県の区域ごとに,会則 を定めて,1個の社会保険労務士会(以下「社労士会」という。)を設立しなければならないとされ(社労士法25条の26第1項),社労士会の会則には,役員に関する規定のほか,会員の品位保持に関する規定等を記載しなければならないこととされており(社労士法25条の27第1項),同項を受けて,本件会則47条5項は,会員に対する処分の基準について処分基準で定める旨を規定し,同項に基づいて本件社労士会処分基準が定められたものということができる。しかしながら,日本弁護士連合会の会則,会規又は規則(以下「会則等」という。)の制定権限は,法律に由来するものであることに加え(弁護士法46条1項,2項),日本弁護士連合会は,弁護士及び弁護士法人の懲戒について,裁決行政庁又は処分行政庁としての権限を有すること(同法59条1項,60条1項)等に鑑みると,日本弁護士連合会の会則等は,少なくとも法令に準ずる性質を有すると解されるのに対し,社労士法上,社労士に対する懲戒処分は厚生労働大臣がするものとされ(社労士法25条の2,25条の3),社労士会は,所属の社労士が社労士法等に違反するおそれがある場合に,注意を促し,又は必要な措置を講ずべきことを勧告することができるにとどまること(社労士法25条の33)に鑑みると,本件会則及び本件社労士会処分基準は,日本弁護士連合会の会則等と同視することはできないというべきであるから,昭和58年判例は,本 告することができるにとどまること(社労士法25条の33)に鑑みると,本件会則及び本件社労士会処分基準は,日本弁護士連合会の会則等と同視することはできないというべきであるから,昭和58年判例は,本件とは事案を異にするというべきである。 また,この点をおくとしても,前記前提事実によれば,本件社労士会処分は,本件処分がされる前にされたものであって,愛知県社労士会が,別件訴訟において,本件社労士会処分基準2条3号イ所定の「社会保険労務士法若しくは関係諸法令等に違反して行政庁の処分を受けたとき」にも該当する旨主張することにより,本件社労士会処分の効力を維持することができないのは明らかであるから,原告の主張は採用することができない(なお,本件社労士会処分基準2条3号イによれば,「社会保険労務士法若しくは関係諸法令等に違反して行政庁の処分を受けたとき」を理由とする会員権停止処分の期間としては3年間が最も長期であるところ,既に,原告の本件ブログ掲載行為が「本会若しくは会員の名誉を著しく失墜させる行為が あったとき」に該当することを理由として,3年間の会員権停止を内容とする本件社労士会処分がされている以上,愛知県社労士会が,本件ブログ掲載行為を理由として本件処分がされたことを捉えて,原告に対し,重ねて「社会保険労務士法若しくは関係諸法令等に違反して行政庁の処分を受けたとき」に該当することを理由として更に処分を行うおそれがあるとはいい難いから,この点からみても,原告に「処分・・・の取消しによって回復すべき法律上の利益」があるとはいえない。)。 (3) 以上によれば,原告が本件処分の取消しを求める訴えの利益は失われたというべきであるから,争点2について判断するまでもなく,本件取消しの訴えは不適法であり,却下を免れない。 2 争点3( (3) 以上によれば,原告が本件処分の取消しを求める訴えの利益は失われたというべきであるから,争点2について判断するまでもなく,本件取消しの訴えは不適法であり,却下を免れない。 2 争点3(本件国賠請求の可否(国賠法上の違法性の有無等))について(1) 認定事実前記前提事実に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 ア当事者等原告は,愛知県社労士会に所属する社労士として,本件社労士事務所を経営しているほか,税理士資格を有し,本件会計事務所を経営し,社労士業務と共に税理士業務も行っている。(甲3,10,乙1)イ本件ブログ掲載行為等(ア) 原告は,平成27年4月10日から同年12月4日までの間,本件ウェブサイト内に「すご腕社労士の首切りブログモンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」と題する本件ブログを開設し,別紙「本件ブログ記載内容一覧表」記載の内容を含む「納得いかない有休休暇制度」,「就業規則の不利益変更の勧め」,「退職の際に有給休暇の取得を認めないこと」,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」,「正しいパワハラの勧め」,「社員をうつ病に罹患させる方法」などと題する各記事を掲載した。(乙1ないし3,19,弁論の全趣旨)(イ) 本件ウェブサイトには,「ご提供するサービス」として「モンスター社員首 切り支援」,「組合(ユニオン)要求潰し支援」などという記載があったほか,本件ブログへのリンクが張られていた。本件ブログには,「モンスター社員に真剣に悩んでいる社長様,ご相談ください」との記載と共に,本件社労士事務所の電話番号及び営業時間が記載されていたほか,「メールフォームからのお問い合わせはこちら」との表示もされていた。(乙2,19,原告本人)(ウ) ,ご相談ください」との記載と共に,本件社労士事務所の電話番号及び営業時間が記載されていたほか,「メールフォームからのお問い合わせはこちら」との表示もされていた。(乙2,19,原告本人)(ウ) 本件ブログの内容については,平成27年12月2日から,本件社労士事務所や愛知県社労士会に否定的な反響が寄せられるようになった。原告は,同月3日に「社員をうつ病に罹患させる方法」と題する記事を削除するとともに,同月4日,本件ブログ及び本件ウェブサイトを削除した。(乙1,原告本人,弁論の全趣旨)ウ本件処分に至る経緯(ア) 厚生労働大臣は,平成28年1月19日付けで,原告に対し,予定される不利益処分の内容が3か月の業務停止であること,根拠となる法令の条項が社労士法25条の3であることのほか,不利益処分の原因となる事実が別紙「不利益処分の原因となる事実」記載の事実(本件原因事実)であることを示した上で,同年2月1日午後2時から社労士法25条の4第1項に基づく聴聞を行う旨通知した。(甲2の1)(イ) 厚生労働大臣は,原告から委任を受けた原告訴訟代理人弁護士Cから上記(ア)の聴聞期日の変更の上申を受け,平成28年1月27日付けで,原告に対し,原告の聴聞期日を同年2月4日午前10時30分に変更すること等を通知した。 (甲2の2,弁論の全趣旨)(ウ) 厚生労働省の職員は,平成28年2月4日,本件聴聞手続において,予定される不利益処分が3か月の業務停止であること,根拠法令は社労士法25条の3であることを説明した。また,厚生労働省の職員は,同日,本件聴聞手続において,不利益処分の原因となる事実について,本件聴聞通知書記載の事実を説明した上で,特に問題であると認められる具体的な記述は,本件ブログのうち,第10回,第13回,第15回,第16回, 聴聞手続において,不利益処分の原因となる事実について,本件聴聞通知書記載の事実を説明した上で,特に問題であると認められる具体的な記述は,本件ブログのうち,第10回,第13回,第15回,第16回,第27回,第28回,第33回,第35回,第40回 及び第42回の別紙「本件ブログ記載内容一覧表」に記載された部分である旨説明した。(乙3)(エ) 原告は,平成28年2月4日,愛知労働局に対して本件弁明書を提出するとともに,聴聞期日において,本件原因事実を認め,本件ブログに掲載された記事によって,関係者のみならず広く一般市民に対して不安を与え,迷惑を掛けたことについて深く謝罪する旨述べた。本件弁明書には,「本ブログの全体の意図」と題する項において,「本ブログの趣旨は<企業が利益を計上し発展することが究極的には多くの社員の雇用を守ることになるという私の強い考えに基づくものでありました。」,「そのような中小企業倒産を防止するために,本ブログでは多くの経営者の目に触れ注目してもらうよう「すご腕社労士の首切りブログ」と誇張したタイトルを付けてホームページに埋め込み発信したものです。」との記載があった。(甲3,乙3,弁論の全趣旨)(オ) 原告は,平成28年2月8日,愛知労働局に対し,別紙「本件ブログ記載内容一覧表」に記載された各事項について個別に弁明を記載した弁明書を提出した。 (乙4,弁論の全趣旨)(カ) 厚生労働大臣は,平成28年2月10日付けで,原告に対し,社労士法25条の3に基づき,本件原因事実が同条所定の「この法律・・に違反したとき」及び「社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったとき」に該当することを理由として,原告を処分通知を受領した日の翌日から3か月の業務停止に処する旨の本件処分をし,同月11日,これ たとき」及び「社会保険労務士たるにふさわしくない重大な非行があったとき」に該当することを理由として,原告を処分通知を受領した日の翌日から3か月の業務停止に処する旨の本件処分をし,同月11日,これを原告に通知した。なお,本件処分通知書には,処分の理由として,別紙「不利益処分の原因となる事実」と同一の記載があった。(甲1,弁論の全趣旨)(2) 判断ア公務員による公権力の行使に国賠法1条1項にいう違法があるというためには,公務員が,当該行為によって損害を被ったと主張する者に対して負う職務上の法的義務に違反したと認められることが必要である(最高裁昭和53年(オ)第1 240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁,最高裁昭和61年(オ)第1152号平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁平成13年(行ツ)第82号,第83号,同年(行ヒ)第76号,第77号同17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁等参照)。 原告は,①本件処分に先立つ本件聴聞手続は,本件聴聞通知書には,本件ブログの記載中,「社員をうつ病に罹患させる方法」及び「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する各記事についてしか記載がなく,本件ブログの記載のうち,いかなる記載がいかなる意味で厚生労働大臣が指摘する事由に該当するのかが全く不明であり,原告が十分な弁明を行うことができなかった点で違法である,②本件処分には厚生労働大臣の裁量権の範囲を逸脱した違法があるから,国賠法1条1項所定の違法性が認められ,また,厚生労働大臣において,本件処分を行うに当たって,少なくとも重大な過失があったことは明らかであるなどと主張するので,以下検討する。 イ上記①の点について(ア) 行政手 性が認められ,また,厚生労働大臣において,本件処分を行うに当たって,少なくとも重大な過失があったことは明らかであるなどと主張するので,以下検討する。 イ上記①の点について(ア) 行政手続法の定める聴聞手続(同法13条)は,処分の公正の確保と処分に至る行政手続の透明性の向上を図り,当該処分の名宛人となるべき者の権利利益の保護を図る観点から,処分の原因となる事実について,その名宛人となるべき者に対して防御の機会を保障する趣旨のものと解される。そして,上記の趣旨に鑑みれば,同法15条1項1号及び2号所定の通知事項である「予定される不利益処分の内容及び根拠となる法令の条項」及び「不利益処分の原因となる事実」については,不利益処分の名宛人となるべき者にとって,その者の防御権の行使を妨げない程度に,行政庁がどのような事実を把握しているかを認識できる程度の具体性をもって具体的事実が記載されていることが必要であると解するのが相当である。 前記前提事実(4)ア及び認定事実ウ(ア)によれば,本件聴聞通知書には,予定される不利益処分の内容が3か月の業務停止であること,根拠となる法令の条項が社労 士法25条の3であることが記載されていたほか,不利益処分の原因となる事実の記載として,別紙「不利益処分の原因となる事実」のとおりの記載がされていたことが認められるところ,同事実の記載中の「社員をうつ病に罹患させる方法」,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」という記事の表題を記載した部分の末尾には「など」との記載があることから,上記記事の表題の記載は,飽くまで例示であり,不利益処分の原因となる事実を上記記事の掲載行為のみに限定する趣旨ではないことが明らかである。そうすると,本件聴聞通知書の記載から,「すご腕社労士の首切りブログモ 題の記載は,飽くまで例示であり,不利益処分の原因となる事実を上記記事の掲載行為のみに限定する趣旨ではないことが明らかである。そうすると,本件聴聞通知書の記載から,「すご腕社労士の首切りブログモンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」と題する本件ブログの記載が全体として不利益処分の原因となる事実とされていることが明らかであったというべきである。そして,原告が本件聴聞手続の際に愛知労働局に提出した本件弁明書の「本ブログ全体の意図」と題する項には,原告の本件ブログの記載の全体としての意図に関する弁明が記載されている上,厚生労働省の職員が,本件聴聞手続において,特に問題があると認められる部分として挙げた別紙「本件ブログ記載内容一覧表」に記載された部分は,「モンスター社員やできの悪い社員はごみです。」,「ごみを正しくきれいに保管しなさいなんてルールはありません。 捨て去るべきです。」,「無用な荷物であるうつ社員は捨て去るべきです。」,「そういう社員には法的精神的に徹底的にダメージを与えて潰すこと,そして適法に解雇することが会社の義務なのです。」,「社労士としては,うつでいかれた社員を追放すべく尽力するのが仕事と考えます。」などという,社労士の資格を有する者がインターネット上で発信する内容としては,およそ不適切なものばかりであって,本件聴聞手続において,本件ブログの記載中の上記部分が特に問題とされる可能性が高いことは社会通念に照らし明らかであったというべきである。以上によれば,本件聴聞通知書の「予定される処分の内容及び根拠となる法令の条項」及び「処分の原因となる事実」について,原告の防御権の行使を妨げない程度に,行政庁がどのような事実を把握しているかを原告が認識できる程度の具体性をもって具体的事実が記載されているものということができる。したがっ 因となる事実」について,原告の防御権の行使を妨げない程度に,行政庁がどのような事実を把握しているかを原告が認識できる程度の具体性をもって具体的事実が記載されているものということができる。したがって,本件聴聞手続について,違 法があったということはできない。 (イ) 以上によれば,本件聴聞手続について,厚生労働大臣に原告に対する職務上の法的義務違反があったということはできない。 ウ上記②の点について(ア) 社労士法25条の3は,社労士が社労士法又は社労士法に基づく命令若しくは労働社会保険諸法令の規定に違反したときは,厚生労働大臣は,当該社労士に対し,懲戒処分をすることができる旨を定めており,社労士法25条は,懲戒処分として戒告,1年以内の業務の停止及び失格処分を掲げている。これは,労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに,事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資するため設けられた社労士の制度(社労士法1条参照)における社労士の業務の重要性に鑑み,社労士に対して報告を求め,検査を行うことができるなどの権限を有し(社労士法24条1項),社労士の懲戒事由を最もよく知り得る立場にある厚生労働大臣に対し,社労士の懲戒権を付与し,社労士の業務の適正を確保しようとしたものであると解される。そして,厚生労働大臣が懲戒の可否,程度等を判断する場合においては,懲戒事由の内容やそれが生じるに至った経緯,被害の有無や程度,それに対する社会的評価,被処分者に与える影響,社労士の職務の重要性,社会性等の諸般の事情を総合的に考慮することが必要である。そのため,ある行為又は事実が社労士に対する懲戒事由に該当するかどうか,また,該当するとした場合に懲戒するか否か,懲戒するとしてどのような処分を選択するかについては,厚生労 慮することが必要である。そのため,ある行為又は事実が社労士に対する懲戒事由に該当するかどうか,また,該当するとした場合に懲戒するか否か,懲戒するとしてどのような処分を選択するかについては,厚生労働大臣の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当である。 そして,前記認定事実イ(ア),(イ)によれば,①本件ブログには,「社員をうつ病に罹患させる方法」などという刑法上の傷害罪を構成する違法行為を推奨するかのような表題が付された記事があるほか,各記事の具体的内容についても「モンスター社員やできの悪い社員はごみです。」,「ごみを正しくきれいに保管しなさいなんてルールはありません。捨て去るべきです。」,「無用な荷物であるうつ社員は捨て 去るべきです。」,「そういう社員には法的精神的に徹底的にダメージを与えて潰すこと,そして適法に解雇することが会社の義務なのです。」,「社労士としては,うつでいかれた社員を追放すべく尽力するのが仕事と考えます。」などという社労士の資格を有する者がインターネット上で発信する内容としては,およそ不適切なものが含まれていたこと,②本件ブログについては,「ご提供するサービス」として「モンスター社員首切り支援」,「組合(ユニオン)要求潰し支援」などという記載がある本件社労士事務所のウェブサイト(本件ウェブサイト)からリンクが張られており,本件ブログ自体にも「モンスター社員に真剣に悩んでいる社長様,ご相談ください」との記載と共に本件社労士事務所の電話番号及び営業時間が記載され,「メールフォームからのお問い合わせはこちら」との表示もされていること等に照らすと,本件ブログの記載は,原告の個人的意見の表明としてではなく,社労士の業務の一環としてされたものと認められる点で悪質性が高いというべきであること,③本 はこちら」との表示もされていること等に照らすと,本件ブログの記載は,原告の個人的意見の表明としてではなく,社労士の業務の一環としてされたものと認められる点で悪質性が高いというべきであること,③本件ブログは,平成27年4月10日から同年12月4日までの約8か月間にわたってインターネット上で公開されており,記事の投稿日を基準とした場合,例えば「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」との表題が付された記事については,証拠(乙2)によれば,その公開期間が約2か月間に及んでいることが認められ,その社会的影響も軽微とはいえないこと等を総合考慮すると,厚生労働大臣が,原告について,3か月の業務停止とする本件処分をしたことが,原告に対する職務上の法的義務に違反するということはできない。したがって,厚生労働大臣が原告に対して本件処分をしたことについて,国賠法上の違法性は認められない。 (イ) これに対し,原告は,厚生労働大臣が裁量権の範囲を逸脱したと認めるべきが倒産することを防止する意図で本件ブログに記事を掲載しており,「社員をうつ病に罹患させる方法」と題する記事については,実際に社員を鬱病にさせることを目的としていたわけではなく,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する記事についても,その趣旨とするところは,鬱病の早期発見を奨励し,会 とともに,本件会計事務所の所長として税理士業務を行っているところ,原告が本件処分を受けたことにより,税理士法43条により,税理士業務を行うことができなくなっため,顧客との間の委任契約を解除せざるを得なくなり,社会的信用を喪失することになる上,原告は,本件処分当時60歳であり,妻と世帯を構成しているところ,その生活は専ら原告の税理士業務の収入で成り立っているため,本件処分により,原告 ざるを得なくなり,社会的信用を喪失することになる上,原告は,本件処分当時60歳であり,妻と世帯を構成しているところ,その生活は専ら原告の税理士業務の収入で成り立っているため,本件処分により,原告の世帯の生活が直ちに困窮することは明らかであるにもかかわらず,厚生労働大臣が,原告について,懲戒処分を行うかや,具体的にどのような懲戒処分を行うかを決定する際には,原告に憲法上保障されている思想・良心の自由及び言論・表現の自由を踏まえた慎重な検討が必要であるところ,本件処分においては,思想・良心の自由及び言論・表現の自由が考慮されておらず,原告が,本件ブログ上の記載を直ちに削除しており,本件ブログに記載された内容が,原告の行為によって,件ブログの記載は,原告が自らの社労士としての経験を踏まえて,個人の意見として表明したものであり,原告は,営業行為として本件ブログに記事を掲載して顧客の拡大を図る必要性は全くなく,これにより原告の業務が拡大したという事実も全くなかったなどと主張するため以下,検討する。 a 原告が中小企業の倒産を防止する意図で本件ブログに記事を掲載していたとしても,インターネット上で,前記(ア)で説示したような表現の記事を発信することが許容されるものではない。また,「社員をうつ病に罹患させる方法」と題する記事は,「適切にして強烈な合法パワハラ与えましょう」,「モンスター社員に降格減給与えて経済的にダメージ与えます。適切な理由でっち上げましょう」,「モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ。」などという記載があることに照らせば,文字どおり,社員を鬱病にり患させる方法を記載した記事と認めるほか ない。さらに,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する記事は,「無用な荷物であるうつ社員 に照らせば,文字どおり,社員を鬱病にり患させる方法を記載した記事と認めるほか ない。さらに,「ストレスチェックの主目的はうつのあぶり出し」と題する記事は,「無用な荷物であるうつ社員は捨て去るべきです。」などという記載があることに照らせば,鬱病の早期発見を奨励し,会社及び労働者の福祉の向上に資することを目的とするものということはできない。以上によれば,原告の主張は採用することができない。 b 原告が本件処分によって,税理士業務を行うことができなくなることによる影響を考慮しても,前記(ア)で説示した事情に照らすと,厚生労働大臣が,原告について,3か月の業務停止とする本件処分をしたことが,原告に対する職務上の法的義務に違反するとまでいうことはできない。 c 本件ブログ上の記事には,「無用な荷物であるうつ社員は捨て去るべきです。」,「社労士としては,うつでいかれた社員を追放すべく尽力するのが仕事と考えます。」等の鬱病にり患した者の人格を全面的に否定する内容のものも含まれていたこと,本件ブログ上の記事は,長いものでは約8か月間にわたってインターネット上で公開されていたことを考慮すると,原告が,表現の自由等を有することや,本件ブログの内容について本件社労士事務所や愛知県社労士会に否定的な反響が寄せられるようになった後になって,本件ブログ及び本件ウェブサイトを削除したこと等の事情を考慮しても,厚生労働大臣が,原告について,3か月の業務停止とする本件処分をしたことが,原告に対する職務上の法的義務に違反するとまでいうことはできない。 d 本件ブログの記載が,原告の個人的意見の表明としてではなく,社労士の業務の一環としてされたものと認められるのは前記(ア)で説示したとおりであるから,原告の主張は,採用する できない。 d 本件ブログの記載が,原告の個人的意見の表明としてではなく,社労士の業務の一環としてされたものと認められるのは前記(ア)で説示したとおりであるから,原告の主張は,採用することができない。 第4 結論 以上の次第で,本件訴えのうち,本件取消しの訴えは不適法であるからこれを却下し,原告のその余の訴えに係る請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官市原義孝 裁判官髙瀬保守 裁判官山口貴央 ※別紙「関係法令等の定め」,「社会保険労務士の懲戒処分に係る量定の基準」,「不利益処分の原因となる事実」及び「本件ブログ記載内容一覧表」は添付省略
▼ クリックして全文を表示