令和3(ワ)27704 損害賠償金請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年6月23日 東京地方裁判所
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判決文本文7,305 文字)

1 令和4 年6 月23 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官令和3 年(ワ)第27704 号 損害賠償金請求事件口頭弁論終結日 令和4 年5 月13 日判決 5原告 エス・アンド・ケー株式会社 被 告 A主文101 被告は、原告に対し、5 万円及びこれに対する令和3 年4 月19日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを4 分し、その1 を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。 154 この判決は、第1 項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求被告は、原告に対し、6 万6666 円及びこれに対する令和3 年4 月19 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 20第2 事案の概要本件は、原告が、被告がその運営するオンラインショップにおいて別紙画像目録1 及び2 記載の各画像を利用した行為につき、これらの画像に係る原告の著作権(複製権及び送信可能化権)が侵害されたと主張して、被告に対し、民法709 条に基づき、損害賠償金6 万6666 円及び不法行為後の日である令和3 年4 月19 日から支払25済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 1 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア 原告は、デンマーク製キッチン用品のブランド「SCANPAN」(スキャンパン)の日本国内の正規代理店であり、上記ブランドに含まれるフライパン(以下「本件5商品」という。)を販売している。 イ 被告は、インターネ キッチン用品のブランド「SCANPAN」(スキャンパン)の日本国内の正規代理店であり、上記ブランドに含まれるフライパン(以下「本件5商品」という。)を販売している。 イ 被告は、インターネット上のショッピングモール「Yahoo!ショッピング」において、「B」との商号及びストア名でオンラインストア(以下「被告ストア」という。)を運営している者である。 (2) 被告ストアにおける本件画像の掲載10被告は、遅くとも令和3 年3 月4 日頃までに、被告ストアにおいて、別紙画像目録2 記載の商品に含まれる1 つの商品の画像(以下、別紙画像目録2 記載のいずれの商品かを問わず、「本件画像⑧」という。)を別紙画像目録1 記載の画像⑧として別紙画像目録1 記載の画像①~⑦の各画像(以下「本件画像①~⑦」という。)と組み合わせ(以下、組み合わせた画像を一括して「本件画像」という。)、取扱商品の15紹介画像として掲載した(甲2)。 (3) 原告からの本件画像掲載停止等の申入れ等原告は、令和3 年4 月19 日、被告に対し、原告が本件画像の著作権を有することを主張するとともに、本件画像の無断使用への対応を依頼する内容の通知をした(甲11)。 20その後、被告は、遅くとも同年5 月19 日までに、被告ストアに掲載していた本件画像を削除した。 2 争点(1) 本件画像に係る原告の著作権の有無等(争点1)(2) 被告の故意又は過失の有無(争点2)25(3) 原告の損害額(争点3) 3 3 当事者の主張(1) 争点1(本件画像に係る原告の著作権の有無等)〔原告の主張〕原告は、令和元年9 月頃、株式会社いつも(以下「いつも社」という。)に対し、本件商品を含む「SCANPAN」ブランドの商品を紹介及び販売す (本件画像に係る原告の著作権の有無等)〔原告の主張〕原告は、令和元年9 月頃、株式会社いつも(以下「いつも社」という。)に対し、本件商品を含む「SCANPAN」ブランドの商品を紹介及び販売するためのウェブサイ5ト(以下「原告ウェブサイト」という。)の制作及びオンライン販売のマーケティング技術に関するコンサルティング業務を委託した(以下「本件委託契約」という。)。 本件委託契約においては、同契約に基づきいつも社が新規に作成した成果物の著作権は検収完了時に同社から原告に譲渡されることとされている。 その後、いつも社は、原告が提供した商品の写真や説明文等の素材を使用しなが10らウェブサイトのデザインやコンテンツの原案を作成し、原告によるチェック及び修正要請を受け、令和2 年3 月30 日、原告ウェブサイトのデザインや本件画像を含む本件商品の詳細を説明する画像等を完成し、同日、本件委託契約に基づき、原告に対し、本件画像を納品してその著作権を譲渡した。 したがって、原告は、本件画像の著作権を有する。被告による被告ストアへの本15件画像の掲載は、この原告の著作権(複製権及び送信可能化権)の侵害である。 〔被告の主張〕本件画像は、商品説明や事実を網羅しただけのものであって独創性がなく、また、著作権法2 条1 項1 号所定の「著作物」の要件を満たすものではないから、著作物とはいえない。 20そうである以上、原告に本件画像の著作権があるとはいえず、被告による被告ストアへの本件画像の掲載は、その侵害ではない。 (2) 争点2(被告の故意又は過失の有無)〔原告の主張〕被告は、本件画像を自ら創作したものではなく、原告ウェブサイト又は原告が出25店している電子商取引サイトから複製して被告ストアに掲載した。したがって、被 意又は過失の有無)〔原告の主張〕被告は、本件画像を自ら創作したものではなく、原告ウェブサイト又は原告が出25店している電子商取引サイトから複製して被告ストアに掲載した。したがって、被 4 告による原告の本件画像に係る複製権侵害は、故意により行われたものである。 また、原告は、原告ウェブサイト及び原告が本件商品を販売するために出店している電子商取引サイトにおいて、それらに掲載されている全ての著作物の著作権が原告に帰属することを第三者に示す警告文(以下「本件警告文」という。)を掲示している。したがって、被告が、本件画像につき何人においても利用が許諾されてい5る素材と誤信することはあり得ない。 〔被告の主張〕被告は、コンサルタントから助言を受けて被告ストアを運営しているところ、同コンサルタントから提供されたツールにより自動的に本件画像が被告ストアに掲載されてしまったものであるから、本件画像の複製及び送信可能化について被告に故10意及び過失はない。 (3) 争点3(原告の損害額)〔原告の主張〕ア 著作権法114 条3 項に基づく損害額原告は、いつも社に対し、本件画像等のデザイン制作業務を含む本件委託契約の15対価としておよそ700 万円を支払った。また、原告は、いつも社に対し、上記デザイン制作費用のみでなく、デザインのコンセプトに至るまでの相談料も支払う必要があった。このほか、本件商品の製造販売元から提供された製品説明の翻訳、広告画像を制作するに当たり用意したデータ、商品の写真撮影等のために支払った諸費用等やこれらに要した時間を考慮すると、本件画像を利用するに当たって原告が受20けるべき金額は、6 万6666 円を下らない。 この額は、一般に公開されている画像レンタルサービスにおける利用料と 用等やこれらに要した時間を考慮すると、本件画像を利用するに当たって原告が受20けるべき金額は、6 万6666 円を下らない。 この額は、一般に公開されている画像レンタルサービスにおける利用料と対比しても、その画像を利用してデザイン制作をするのに要する時間や人件費を考えると妥当である。 したがって、被告の本件画像に係る原告の著作権(複製権及び送信可能化権)侵25害行為により原告に生じた損害額は、著作権法114 条3 項に基づき、6 万6666 円と 5 なる。 イ 売上減少に係る原告の損害仮に、著作権法114 条3 項に基づく原告の損害額が認められないとしても、原告は、令和3 年1 月1 日~同年6 月30 日の間、前年同期比で売上が26%減少したところ、この売上減少の原因は、被告による本件画像の無断利用のほかには存在しな5い。したがって、この売上減少額が原告の損害となる。 〔被告の主張〕ア 損害の不発生被告は、本件商品の販売をしておらず、原告に損害を与えていない。 イ 著作権法114 条3 項に基づく損害額10一般的なインターネット上の画像素材の利用サイトによると、その利用の対価は数千円という安価にとどまる。 ウ 売上減少に係る原告の損害原告の主張する売上減少と被告の行為との間に因果関係はない。 第3 当裁判所の判断151 争点1(本件画像に係る原告の著作権の有無等)について(1) 証拠(甲1、12)によれば、本件画像は、本件商品の優れた特徴を消費者に訴求するなどの目的の下に、商品そのものの画像に加え、これを使用した料理や商品の製造工程等に関するイメージ画像及びその説明文等を組み合わせて制作されたものであることが認められる。 20そうすると、本件画像は、本件商品に係る思想を創 の画像に加え、これを使用した料理や商品の製造工程等に関するイメージ画像及びその説明文等を組み合わせて制作されたものであることが認められる。 20そうすると、本件画像は、本件商品に係る思想を創作的に表現したものとして、著作物性を有するものと認められる。これに反する被告の主張は採用できない。 (2) 証拠(甲4、12、15)及び弁論の全趣旨によれば、原告といつも社が令和元年9 月頃に本件委託契約を締結したこと、本件委託契約は、ネット通販用広告画像等の制作を含むWeb サイト関連業務サービス及び検索エンジン最適化サービスの25提供をその内容とし、同サービスに基づきいつも社が新規に作成した成果物の著作 6 権は検収完了時をもって同社から原告に譲渡されることが定められていたこと、いつも社は、令和2 年3 月30 日頃、本件委託契約に基づいて本件画像を制作し、これを原告に納品したことがそれぞれ認められる。 これらの事実によれば、本件委託契約に基づき、いつも社の原告に対する本件画像の納品により、本件画像に係るいつも社の著作権が原告に譲渡されたことが認め5られる。 したがって、原告は、本件画像の著作権を有する。これに反する被告の主張は採用できない。 (3) 前提事実(第2 の1(2))のとおり、被告は、遅くとも令和3 年3 月4 日頃までに、被告ストアにおいて、本件商品のうちの1 つの商品の画像(本件画像⑧)を10本件画像①~⑦と組み合わせて本件画像とし、取扱商品の紹介画像として掲載した。 そうすると、その際、被告は、上記紹介画像の制作にあたり本件画像を複製し、かつ、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に本件画像に係る情報を記録するなどして自動公衆送信し得るようにしたものと の制作にあたり本件画像を複製し、かつ、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に本件画像に係る情報を記録するなどして自動公衆送信し得るようにしたものと認められる。この行為は、被告による本件画像に係る原告の著作権15(複製権及び送信可能化権)の侵害にあたる。これに反する被告の主張は採用できない。 2 争点2(被告の故意又は過失の有無)について証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、インターネット上のショッピングモール「楽天市場」に「BONBONMAMA」のショップ名で出店し、本件商品を20販売しているところ、原告ウェブサイトには、本件画像を含む各種画像の末尾に「Copyright (c) 2020 BONBONMAMA. All Rights Reserved./エス・アンド・ケー株式会社により作成されたコンテンツ(画像、映像、デザイン、ロゴ、テキスト等)に関する権利は、/日本や外国の著作権法やその他の知的財産権法により保護されており、当社の許可なく使用はできません。/無断でこれを使用した場合には、これ25らの著作権法その他の知的財産権法に違反することとなり、当社に生じた損害の賠 7 償を請求します。」(「/」は改行部分を示す。)との本件警告文が付されていることが認められる。 他方、被告は、その主張を前提としても、コンサルタントから提供されたツールを利用したところ自動的に本件画像が被告ストアに掲載されたというのであり、それ以上に被告が本件画像の著作権の帰属等に関する調査等を実施したことをうかが5わせる具体的な事情は認められない。 被告は、自ら本件画像を制作した者ではなく、第三者から本件画像の提供を受けたに過ぎない以上、本件画像を複製して被告ストアに掲載するに を実施したことをうかが5わせる具体的な事情は認められない。 被告は、自ら本件画像を制作した者ではなく、第三者から本件画像の提供を受けたに過ぎない以上、本件画像を複製して被告ストアに掲載するにあたっては、本件画像の著作権の帰属及び著作権者による利用許諾の有無等について調査確認すべき注意義務を負っていたといえる。にもかかわらず、上記のとおり、被告は、提供さ10れた本件画像を漫然と被告ストアに掲載したにとどまり、本件画像の著作権の帰属等に関する調査等を怠った。原告が原告ウェブサイトに本件画像等と共に本件警告文を掲示していることに鑑みると、インターネット上の画像検索等の手段により本件画像の著作権が原告に帰属すること等は比較的容易に調査確認し得たとみられる。 したがって、被告ストアへの本件画像の掲載に際して行われた被告による本件画15像の複製及び送信可能化行為について、被告には少なくとも過失があるといえる。 これに反する被告の主張は採用できない。 3 争点3(原告の損害額)について(1) 前提事実のとおり、被告は、遅くとも令和3 年3 月4 日頃までに、被告ストアにおいて、本件商品のうち1 つの商品の画像(本件画像⑧)を本件画像①~⑦と20組み合わせて本件画像とし、これを複製の上、取扱商品の紹介画像として掲載したが(前記第2 の1(2))、遅くとも同年5 月19 日までにこれを削除した(同(3))。 このことから、被告による本件画像の利用期間は比較的短期間にとどまるものといえる。 これらの事情に加え、本件画像においては商品その他の画像等を利用して本件商25品の特徴をわかりやすくする工夫が凝らされていること、他方で、原告は、本件画 8 像それ自体を商業的価値のあるものとして第三者に許諾する目的でいつも社に制作を依 像等を利用して本件商25品の特徴をわかりやすくする工夫が凝らされていること、他方で、原告は、本件画 8 像それ自体を商業的価値のあるものとして第三者に許諾する目的でいつも社に制作を依頼し、その著作権の譲渡を受けたものとは認められないことなどを総合的に考慮すると、本件における「その著作権…の行使につき受けるべき金銭の額」(著作権法114 条3 項)は5 万円が相当というべきであり、同額が原告に生じた損害と認められる。 5(2) これに対し、原告は、他社における画像利用料との対比等に基づき、本件画像の利用料相当額の損害は6 万6666 円を下らないと主張する。 しかし、原告指摘に係る毎日新聞社のPhotoBank(甲5)、朝日新聞フォトアーカイブ(甲6)及び株式会社アフロ(甲7)の各料金表は、レンタルや販売をその目的に含むものとして作成された画像素材を対象とするものとみられる。他方、上記の10とおり、本件画像はそのような目的で作成されたものではない。こうした事情もあって、前者と後者では自ずとその市場価値も相違するとうかがわれる。これらに加え、上記各料金表記載の価格が前提とする利用条件等が必ずしも明らかではないことなどからすると、上記各料金表記載の価格は、本件画像の複製等による原告の損害額算定にあたり、必ずしも参考とすべきものとはいえない。 15他方、原告は、原告の売上減少額を原告の損害としてみるべきである旨をも主張する。しかし、そもそも被告による本件画像の利用と相当因果関係の認められる原告の売上減少及びその額の立証はない。その点を措くとしても、被告による本件商品の販売実績を認めるに足りる証拠はない。 したがって、この点に関する原告の主張はいずれも採用できない。 204 小括以上より、原告は、被告による い。その点を措くとしても、被告による本件商品の販売実績を認めるに足りる証拠はない。 したがって、この点に関する原告の主張はいずれも採用できない。 204 小括以上より、原告は、被告による著作権(複製権及び送信可能化権)侵害の不法行為に基づき、被告に対し、5 万円の損害賠償請求権及びこれに対する不法行為後の日である令和3 年4 月19 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。 25第4 結論 9 よって、原告の請求は上記の限度で理由があるからこれを認容し、その余は棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 5 裁判長裁判官 杉 浦 正 樹 10 裁判官 小 口 五 大15 裁判官 20鈴 木 美 智 子 10 (別紙画像目録1 省略)(別紙画像目録2 省略)

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