平成27年10月14日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(ワ)第27277号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成27年7月10日判決東京都中央区<以下略>原告 AdaZERO株式会社同訴訟代理人弁護士岩瀬吉和同訴訟代理人弁理士金山賢教同訴訟代理人弁護士山内真之同﨑地康文同並木重伸東京都北区<以下略>被告株式会社カクヤス同訴訟代理人弁護士大野聖二同小林英了同訴訟代理人弁理士津田 理 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する平成26年10月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,発明の名称を「Web-POS方式」とする特許第5097246号の特許(以下「本件特許」といい,その願書に添付した明細書を「本件明細書」 という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が,被告に対し,被告がインターネット上で運営するEC(電子商取引)サイトを管理するために使用している制御方法(以下「被告方法」という。)が,本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1(以下「本件請求項1」という。)記載の発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属 法」という。)が,本件特許の願書に添付した特許請求の範囲(以下「本件特許請求の範囲」という。)の請求項1(以下「本件請求項1」という。)記載の発明(以下「本件特許発明」という。)の技術的範囲に属すると主張して,不法行為(特許権侵害)による損害賠償金1億円(特許法102条3項により算定される損害額6億円の一部である9000万円と,弁護士費用6000万円の一部である1000万円の合計)及びこれに対する平成26年10月26日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠等を付記しない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,インターネットや電話等の通信手段を利用した情報提供サービスシステムの企画,開発,販売及び管理等を目的とする株式会社である(記録上明らかである。)。 イ被告は,インターネットによる通信販売業等を営む株式会社である。 (2) 本件特許権原告が有する本件特許権は,次の内容の本件特許に係るものである(甲1,2)。 特許番号第5097246号発明の名称Web-POS方式原出願日平成10年1月9日出願日平成22年7月11日出願番号特願2010-157382号公開日平成22年12月24日公開番号特開2010-287243号登録日平成24年9月28日 特許請求の範囲別紙特許公報の【特許請求の範囲】欄に記載のとおり(3) 本件特許発明の構成要件の分説本件特許発明(本件請求項1記載の発明)を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説に係る各構成を符号に対応して「構成要件A 囲】欄に記載のとおり(3) 本件特許発明の構成要件の分説本件特許発明(本件請求項1記載の発明)を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説に係る各構成を符号に対応して「構成要件A」などという。また,構成要件F1ないしF4を併せて「構成要件F」という。)。 A:汎用のコンピュータとインターネットを用い,HTTPに基づくHTMLリソースの通信が行われるWebサーバ・クライアント・システムにおいて,B:商品の販売時点における情報を管理するためのWeb-POSネットワーク・システムの制御方法であって,C:上記Webサーバ・システムが,取扱商品に関する基礎情報を管理する商品(PLU)マスタDBを備え,該商品(PLU)マスタDBの管理,HTTPメッセージに基づくプログラムの実行及び,HTMLリソースの生成及び供給を行うサーバ装置からなる,Web-POSサーバ・システムであり,D:上記Webクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段を有する表示装置とWebブラウザを備えた,Web-POSクライアント装置であって,E:上記Web-POSクライアント装置から,Webブラウザを介し,上記Web-POSサーバ・システムにアクセスすることにより,該Web-POSサーバ・システムから該Web-POSクライアント装置に対し,該Web-POSクライアント装置における商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付けるHTMLリソースが供給されると共に,該Web-POSクライアント装置におけるユーザ操作に基づく商品の売上情報が,該Web-POSサーバ・システムによって管理されるWeb-POSネットワーク・システムにおいて,F1:上記Webブラウザによる処理が,少なくとも,F2:1)カテゴリーの変更または 売上情報が,該Web-POSサーバ・システムによって管理されるWeb-POSネットワーク・システムにおいて,F1:上記Webブラウザによる処理が,少なくとも,F2:1)カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程,すなわち,上記Web-POSサーバ・システムから上記Web-POSクライアン ト装置に該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリストを含むHTMLリソースが供給され,該供給されたカテゴリーリストを含むHTMLリソースが上記Webブラウザにおいて処理されることで,該Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に該カテゴリーリストが表示され,ユーザが,該入力手段により,該表示されたカテゴリーリストからカテゴリーを変更または入力(選択)するごとに,該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を含むHTMLリソースを要求するHTTPメッセージが上記Web-POSサーバ・システムに送信され,該要求のHTTPメッセージに基づき,該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報から該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報が抽出され,該抽出された商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信され,該送信された商品基礎情報を含むHTMLリソースが該Webブラウザにおいて処理されることで,該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報からなる商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される,ユーザが所望するカテゴリーの商品(PLU)リストが表示され されることで,該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報からなる商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される,ユーザが所望するカテゴリーの商品(PLU)リストが表示される,カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程,F3:2)商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記カテゴリーに対応する上記商品(PLU)リストにおいて,ユーザが,該入力手段により,商品を特定するための商品識別情報を入力(選択)するごとに,該入力(選択)された商品識別情報に対応する商品基礎情報が上記Web-POSサーバ・システムに問い合わされて取得され,該取得された商品基礎情報に基づく商品の情報が該入力手段を有する表示装置に表示される,ユーザが所 望する商品の情報が表示される,商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程,F4:3)商品注文内容の表示制御過程,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記商品の情報について,ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,概数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示されると共に,ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されることになる,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程,を含み,G:更に,上記Web-POSサーバ・システム く計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されることになる,ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程,を含み,G:更に,上記Web-POSサーバ・システムにおいて,上記商品(PLU)マスタDBの1レコードが1商品に対応し,該レコードに上記商品識別情報に対応するフィールドが含まれることで,取扱商品に関する商品ごとの基礎情報が,該商品識別情報に対応するフィールドを含むレコードによって管理されることで,上記Web-POSクライアント装置におけるユーザ操作に基づく商品選択時点のPLU情報が,Webブラウザを介して,上記Web-POSサーバ・システムから供給されると共に,該PLU情報に基づく商品ごとの注文情報が,Webブラウザを介して,該Web-POSサーバ・システムにおいてリアルタイムに取得される,Web-POSネットワーク・システムによるPOS管理(商品の販売時点における情報の管理)が実現され,H:更にまた,上記Web-POSサーバ・システムにおいて,上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程を含むことで,上記Web-POSクライアント装置におけるユーザによる商品の注文操作が,We bブラウザを介するだけで,該商品ごとの注文情報として上記Web-POSサーバ・システムにおいて取得され,該取得された商品ごとの注文情報に基づく売上管理が実現されることを特徴とするI:Web-POSネットワーク・システムの制御方法。 (4) 被告の行為等被告は,業として,インターネット上に「なんでも酒やカクヤス」と題するEC(電子商取引)サイト(以下「本件ECサイト」という。)を設置して,様々な商品を販売し 方法。 (4) 被告の行為等被告は,業として,インターネット上に「なんでも酒やカクヤス」と題するEC(電子商取引)サイト(以下「本件ECサイト」という。)を設置して,様々な商品を販売している。被告が本件ECサイトを管理運営するシステム(以下「被告システム」という。)において使用している制御方法(被告方法)の具体的構成については,当事者間に一部争いがある。 3 争点(1) 被告システム及び被告方法の具体的構成(争点1)(2) 被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲に属するか(争点2)(3) 被告方法が本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか(争点3)(4) 損害額(争点4) 4 争点に対する当事者の主張(1) 争点1(被告システム及び被告方法の具体的構成)について(原告の主張)被告システムの具体的構成及びこれを前提とした被告方法の具体的内容は,別紙「イ号方法説明書」の第1に記載のとおりである。 (被告の主張)被告システムの具体的構成及びこれを前提とした被告方法の具体的内容は,別紙「被告システム説明書」に記載のとおりであり,原告の主張中,これに反する部分は,否認する。 (2) 争点2(被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲に属するか)につい て(原告の主張)ア被告システムを制御する方法である被告方法は,以下の理由により,文言上,本件特許発明の構成要件をすべて充足するから,本件特許発明の技術的範囲に属する。 (ア) 構成要件A構成要件Aにいう「Webサーバ・クライアント・システム」とは,インターネット上でウェブサイトの公開,閲覧を実現するシステム(本件明細書の段落【0028】),すなわち,ウェブサイトを提供する側(サーバ)と閲覧 にいう「Webサーバ・クライアント・システム」とは,インターネット上でウェブサイトの公開,閲覧を実現するシステム(本件明細書の段落【0028】),すなわち,ウェブサイトを提供する側(サーバ)と閲覧する側(クライアント)とをインターネットで接続したシステムである(同システムのうち,ウェブサイトを公開して提供する側のシステムを「Webサーバ・システム」と呼び,ウェブサイトを閲覧する側の装置を「クライアント装置」と呼ぶ。)。 被告システムは,インターネット上で本件ECサイトの公開,閲覧を実現するシステムであるから,構成要件Aにいう「Webサーバ・クライアント・システム」に該当する(ここで,本件ECサイトを利用する顧客〔以下「ユーザ」という。〕が使用する端末〔以下「ユーザ端末」という。〕は,汎用のコンピュータであって,「クライアント装置」に該当し,被告が管理するコンピュータによって構成される本件ECサイトの公開,提供を行うシステム〔以下「被告サーバ・システム」という。〕は,「Webサーバ・システム」に該当する。)。 そして,被告システムは,汎用のコンピュータであるユーザ端末,被告が管理するコンピュータである被告サーバ・システム及びインターネットを用いたシステムであって,ユーザ端末に対し,本件ECサイトを構成する各種ウェブページを表示するためのHTMLデータをHTTP(ハイパーテキスト転送プロトコル)を用いて送信,供給しているから,構成要件Aにいう「汎用のコンピュータとインターネットを用い,HTTPに基づくHTMLリソースの通信が行われるWebサーバ・クライアント・システム」に該当する。 (イ) 構成要件B構成要件Bにいう「Web-POSネットワーク・システム」とは,Webサーバ・クライアント・システムを用いてPOS(販売 ・クライアント・システム」に該当する。 (イ) 構成要件B構成要件Bにいう「Web-POSネットワーク・システム」とは,Webサーバ・クライアント・システムを用いてPOS(販売時点情報管理。以下,単に「POS」という。)を実現するシステム,すなわち,POSを実現するために必要な情報を送信する側(クライアント)とPOSを実行する側(サーバ)をインターネットで接続したシステムである(同システムのうち,POSを実現するために必要な情報を送信する装置を「Web-POSクライアント装置」と呼び,POSを実行するシステムを「Web-POSサーバ・システム」と呼ぶ。)。 被告システムは,下記(コ)及び(サ)のとおり,Webサーバ・クライアント・システムを用いて商品が販売された時点における情報を管理する仕組みを採用しているから(ユーザ端末は,「Web-POSクライアント装置」に,被告サーバ・システムは,「Web-POSサーバ・システム」にそれぞれ該当する。),構成要件Bにいう「商品の販売時点における情報を管理するためのWeb-POSネットワーク・システム」に該当する。 (ウ) 構成要件C構成要件Cにいう「商品(PLU)マスタDB」とは,取扱商品に関する基礎情報(例えば,商品のカテゴリー,商品名,価格等の情報)を管理するデータベースをいい,「Webサーバ・システム」に該当する被告サーバ・システムが備える商品データベース(以下「商品DB」という。)は,「商品(PLU)マスタDB」に該当するところ,被告サーバ・システムは,上記データベースの管理,ユーザ端末からのHTTPリクエスト(「HTTPメッセージ」に該当する。)に応じたプログラムの実行並びにHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)の生成及び共有を行うサーバ装置を スの管理,ユーザ端末からのHTTPリクエスト(「HTTPメッセージ」に該当する。)に応じたプログラムの実行並びにHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)の生成及び共有を行うサーバ装置を備えているから,構成要件Cにいう「取扱商品に関する基礎情報を管理する商品(PLU)マスタDBを備え,該商品(PLU)マスタDBの管理,HTTPメッセージに基づくプログラムの実行及び,HTMLリソースの生成及び供給を行うサーバ装置からなる,Web-POSサーバ・システム」 に該当する。 (エ) 構成要件D被告システムにおけるユーザ端末は,「Webクライアント装置」に該当するところ,入力装置(接触操作型入力装置,文字入力装置,ポインティングデバイス又はペン型入力装置),ディスプレイ及びウェブ閲覧機能を備えており,接触操作型入力装置が構成要件Dにいう「タッチパネル」に,文字入力装置が同「キーボード」に,ポインティングデバイスが同「マウス」に,ディスプレイが同「表示装置」に,入力装置が同「入力手段」に,ウェブページ閲覧機能が同「Webブラウザ」に,それぞれ該当するから,構成要件Dにいう「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段を有する表示装置とWebブラウザを備えた,Web-POSクライアント装置」に該当する。 (オ) 構成要件E被告システムでは,ユーザ端末が備えるウェブページ閲覧機能(「Webブラウザ」に該当する。)を介して被告サーバ・システムにアクセスすることにより,被告サーバ・システムからユーザ端末に対し,ユーザ端末における商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付けるウェブページを表示するためのHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)が供給される。 被告システムでは,下記(コ)及び(サ)の ザ端末における商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付けるウェブページを表示するためのHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)が供給される。 被告システムでは,下記(コ)及び(サ)のとおり,ユーザ端末におけるユーザの操作に基づいて,商品の売上げに関する情報が,被告サーバ・システムにおいて管理されている。 そうすると,被告システムは,構成要件Eにいう「Web-POSネットワーク・システム」の要件をすべて備えている。 (カ) 構成要件F1被告システムでは,ユーザ端末において,ウェブページ閲覧機能(「Webブラウザ」に該当する。)による処理が行われている。 (キ) 構成要件F2 a 被告システムでは,本件ECサイトでの取扱商品に関する情報は,商品DBにおいて管理されているところ,同情報の中には,商品の分類に関する情報(例えば,「ノンアルコール飲料」「ビール」のような情報)が含まれている(別紙「イ号方法説明書」の第2の画面①〔以下,①,②等の番号に応じて「画面表示例①」「画面表示例②」などという。〕参照)。 b 被告システムにおいて,ユーザが,ユーザ端末を用いて本件ECサイトにアクセスすると,被告サーバ・システムからユーザ端末に,例えば,画面表示例①を表示するためのHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)が供給され,当該HTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)がユーザ端末のウェブ閲覧機能(「Webブラウザ」に該当する。)により処理されると,ユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)には,商品DBにおいて管理されている情報に含まれる分類に対応する分類リストが表示される。 ここで,被告方法によりユーザ端末に表示される分類リストは,構成要件F2にいう「該Web-POSサ る。)には,商品DBにおいて管理されている情報に含まれる分類に対応する分類リストが表示される。 ここで,被告方法によりユーザ端末に表示される分類リストは,構成要件F2にいう「該Web-POSサーバ・システムの商品(PLU)マスタDBにおいて管理されている取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリスト」に該当する。 そうすると,被告サーバ・システムからユーザ端末に同画面を表示するためのHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)が供給される上記過程は,構成要件F2にいう「すなわち,上記Web-POSサーバ・システムから上記Web-POSクライアント装置に…カテゴリーリストを含むHTMLリソースが供給され」「該供給されたカテゴリーリストを含むHTMLリソースが上記Webブラウザにおいて処理されることで,該Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に該カテゴリーリストが表示され,」に該当する。 c 次に,ユーザが,ユーザ端末の入力装置(「入力手段」に該当する。)を用いて,ユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)に表示された分類リスト(「カテゴリーリスト」に該当する。)から分類(「カテゴリー」に該当す る。)を変更又は入力(選択)するごとに,変更又は入力(選択)された分類(「カテゴリー」に該当する。)に対応する商品に関する情報(例えば,商品名,価格等の情報)を含むウェブページを表示するためのHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)を要求するHTTPリクエスト(「HTTPメッセージ」に該当する。)がユーザ端末から被告サーバ・システムに送信される。当該HTTPリクエスト(「HTTPメッセージ」に該当する。)に基づき,商品DB(「商品(PLU)マスタDB」に該当す Pメッセージ」に該当する。)がユーザ端末から被告サーバ・システムに送信される。当該HTTPリクエスト(「HTTPメッセージ」に該当する。)に基づき,商品DB(「商品(PLU)マスタDB」に該当する。)において管理されている商品に関する情報から変更又は入力(選択)された分類に対応する情報が抽出され,当該情報を含むHTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)が生成されると共に,被告サーバ・システムからユーザ端末に送信され,当該HTMLデータ(「HTMLリソース」に該当する。)がユーザ端末のウェブ閲覧機能(「Webブラウザ」に該当する。)により処理されると,ユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)には,ユーザが変更又は入力(選択)した分類(「カテゴリー」に該当する。)に対応する商品に関する情報を含む商品のリストが表示される(例えば,画面表示例①において選択した「ノンアルコール飲料」というカテゴリーに対応する商品に関する情報を含む商品のリストが,画面表示例②において表示される。)。 ここで,商品に関する情報(例えば,商品名,価格等の情報)が,構成要件F2にいう「取扱商品に関する基礎情報」及び「商品基礎情報」に該当する。 そうすると,上記過程は,構成要件F2にいう「ユーザが,該入力手段により,該表示されたカテゴリーリストからカテゴリーを変更または入力(選択)するごとに,…該抽出された商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信され」「該送信された商品基礎情報を含むHTMLリソースが…商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される」に該当する。 d 以上より,被告システムにおける上記b及びc記載の表示制御過程は,構成要件F2の「表示制御過程」に該当する。 …商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される」に該当する。 d 以上より,被告システムにおける上記b及びc記載の表示制御過程は,構成要件F2の「表示制御過程」に該当する。 (ク) 構成要件F3被告システムにおいて,ユーザが,上記(キ)cのとおりユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)に表示された商品のリストにおいて,入力装置(「入力手段」)を用いて商品を特定するための情報(この,特定の商品に紐付けられた情報が,構成要件F3にいう「商品識別情報」に該当する。)を入力(選択)すると,その都度,入力(選択)された商品に関する情報(「商品基礎情報」に該当する。)が被告サーバ・システムに問い合わされて取得される。その後,取得された商品の情報が,ユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)に表示される(例えば,画面表示例②において,ユーザが,特定の商品に紐付けられた画像やリンクをクリックするなどの方法により商品を選択すると,その都度,選択された商品に関する情報が被告サーバに問い合わせられて取得され,同商品の情報が,画面表示例③において表示される。)。 そうすると,被告システムにおける上記表示制御過程は,構成要件F3の「表示制御過程」に該当する。 (ケ) 構成要件F4被告システムにおいて,ユーザが,上記(ク)のとおり,ユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)に表示された商品の情報について,入力装置(「入力手段」に該当する。)により数量を入力(選択)すると,入力(選択)した数量に基づく計算が行われ,被告サーバ・システムから取得された商品に関する価格等の情報(「商品基礎情報」に該当する。)に基づく注文に関する情報がユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)に表示される く計算が行われ,被告サーバ・システムから取得された商品に関する価格等の情報(「商品基礎情報」に該当する。)に基づく注文に関する情報がユーザ端末のディスプレイ(「表示装置」に該当する。)に表示される(例えば,画面表示例③において,ユーザが,数量を変更して「カートに追加」ボタンをクリックすると,画面表示例④が表示される。)。 次に,ユーザが,「ご注文手続へ進む」ボタンをクリックし,その後,ログインID及びパスワード,お届け日,連絡先,お届け時間帯並びに支払方法等の入力を経ると,「ご注文内容の確認」という画面(画面表示例⑨)が表示される。ここで, ユーザが,「この内容で注文する」ボタンをクリックすると,当該商品の注文明細情報に対する上記数量入力(選択)に従った計算結果に基づき,最終的な注文に関する情報が被告サーバ・システムにおいて取得(受信)され,「ご注文の完了」という画面(画面表示例⑩)が表示される。ここで,「この内容で注文する」ボタンをクリックする操作が構成要件F4にいう「オーダ操作」に,最終的な注文に関する情報が同「注文情報」に該当する。 そうすると,被告システムにおける上記表示制御過程は,構成要件F4の「表示制御過程」に該当する。 (コ) 構成要件G被告サーバ・システムにおいては,商品DB内のデータが各取扱商品に対して1件ずつ割り当てられ,当該データには商品を識別するための情報(「商品識別情報」に該当する。)に対応する項目が含まれる。これにより,本件ECサイトにおいて取り扱われている各商品に関する価格等の情報(「商品基礎情報」に該当する。)が,商品を識別する情報(「商品識別情報」に該当する。)に対応する項目を含むデータによって管理されている。ここで,データが構成要件Gにいう「レコード」に,項目が同「フィール 基礎情報」に該当する。)が,商品を識別する情報(「商品識別情報」に該当する。)に対応する項目を含むデータによって管理されている。ここで,データが構成要件Gにいう「レコード」に,項目が同「フィールド」にそれぞれ該当する。 また,ユーザがユーザ端末を操作して特定の商品を選択すると,選択した時点における当該商品に関する売上管理のための情報(例えば,商品名,価格等の情報)が,ウェブ閲覧機能(「Webブラウザ」に該当する。)を介して,被告サーバ・システムからユーザ端末に供給されると共に,当該情報に基づく商品ごとの最終的な注文に関する情報が,ウェブ閲覧機能を介して,被告サーバ・システムによってユーザ端末からリアルタイムに取得され,被告システムによるPOS管理(商品の販売時点における情報の管理)が実現される。ここで,最終的な注文に至る過程でユーザに提供される,価格を含む商品基礎情報が,構成要件Gにいう「PLU情報」に該当する。 (サ) 構成要件H 被告サーバ・システムにおいては,ユーザ端末からリアルタイムで取得した注文に関する情報を,売上を管理するためのデータベースに登録している。これにより,ユーザ端末におけるユーザによる商品の注文に関する操作が,ウェブ閲覧機能(「Webブラウザ」に該当する。)を介するだけで,商品ごとの最終的な注文に関する情報(「注文情報」に該当する。)として被告サーバ・システムにおいて取得され,取得された商品ごとの最終的な注文に関する情報(「注文情報」に該当する。)に基づく売上管理が実現されている。 (シ) 構成要件I被告方法は,「Web-POSネットワーク・システム」である被告システムの制御方法であるから,構成要件Iを充足する。 イ被告の主張に対する反論(ア) 「POS」に該当しないと 成要件I被告方法は,「Web-POSネットワーク・システム」である被告システムの制御方法であるから,構成要件Iを充足する。 イ被告の主張に対する反論(ア) 「POS」に該当しないとの点について(構成要件BないしI)被告は,POSシステムが,実店舗において小売業者がレジスター等のクライアント装置を操作するシステムに限られるとの解釈を前提としているが,POSとはPointOfSalesの略であって「販売時点情報管理」を意味するところ(本件明細書の段落【0002】),POSシステムとは,POSを実現するシステム,すなわち,販売時点において商品の販売管理に必要な情報を取得するシステムであれば足り,小売店舗等において販売管理を行う場合に限定されるものではない(甲7ないし9)。 本件明細書には,本件特許発明の技術的範囲を実店舗における販売管理に限定する趣旨の記載はない。本件明細書の段落【0002】は,単にPOSシステムが小売店での販売管理に用いられてきたという本件特許発明の背景を説明したものにすぎない。また,同【0031】において「商品売上げ情報」と「商品注文情報」とを書き分けていることをもって,本件特許発明がECサイトへの適用を排除していると解釈することはできない。同【0131】は,本件特許発明の実施例として,店頭販売時のPOSレジを使用した場合に関する記載であるが,同段落であえて「店 頭売り」との記載をしていることからすれば,本件特許発明が「ネット売り」のような他の販売形態を想定していることを読み取ることができる。 (イ) 「クライアント装置」を有しないとの点について(構成要件A,DないしH)a 被告は,被告がユーザ端末の動作を制御しないことを理由に,被告システムが「クライアント装置」の構成及び動作 (イ) 「クライアント装置」を有しないとの点について(構成要件A,DないしH)a 被告は,被告がユーザ端末の動作を制御しないことを理由に,被告システムが「クライアント装置」の構成及び動作に関する各構成要件を有しない旨主張する。 しかしながら,本件特許発明は,Web-POSネットワーク・システムの制御方法であり,構成要件F2ないしF4は,Web-POSクライアント端末がWebブラウザを解してWeb-POSサーバ・システムにアクセスした場合の表示制御過程を規定するものである。これを被告システムに即して言えば,ユーザがパソコン等のコンピュータ(ユーザ端末)から本件ECサイトにアクセスすることにより本件ECサイトが表示され,ユーザの入力に応じてWebブラウザ上の表示内容が遷移することになるが,このような表示制御過程が被告システムによって実現されていることは明らかである。したがって,被告の主張には理由がない。 b 被告は,構成要件Dに関し,Webクライアント装置が少なくともタッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペンを備えていることが必要であると解釈している。 しかしながら,構成要件Dには,「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペン」と規定されているにとどまるから,同構成を解釈するには,本件明細書及び図面を参酌する必要があるところ,本件明細書には,「本実施の形態においては,…クライアント装置の表示装置に表示されるWebブラウザ画面上の商品選択リストと…,そのリストの項目を選択するタッチパネル(又はマウス)として実現される」(本件明細書の段落【0032】),「入力媒体として,タッチパネルのほかに,マウスや電子ペン等が使用されてもよい」(同【0135】),「本発明によれば,…クライアント装置の表示装置に表示されるWebブラウザ画 書の段落【0032】),「入力媒体として,タッチパネルのほかに,マウスや電子ペン等が使用されてもよい」(同【0135】),「本発明によれば,…クライアント装置の表示装置に表示されるWebブラウザ画面上の商品選択フォームと,それを操作するタッチパネル,マウス,電子ペン等のポインティングデバイスとして実現され」(同【0143】)等の記載があるほか,本件特許の出願人 である原告は,本件特許の出願手続において,「本願発明は,Webクライアント装置がタッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンまたはスキャナ装置からなる入力手段を有する」と主張していることからすれば(乙4,5),構成要件Dにいう「Web-POSクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段を有する」とは,Webクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス又は電子ペンからなる入力手段を有するものと解釈されるべきである。 被告システムに接続されるユーザ端末は汎用コンピュータであり,タッチパネル,キーボード,マウス又は電子ペンを入力手段として備えているから,被告方法は,構成要件Dを充足するというべきである。 (ウ) 取扱商品に関するデータに商品のカテゴリーを示す情報が含まれていないとの点について(構成要件F2)被告システム説明書の記載によっても,被告システムでは,例えば「ノンアルコール飲料・甘酒」というカテゴリーに対応する展示番号(DISP_NO)に関連づけられた商品識別情報(GOODS_NO)を有する商品の情報がWebサーバの商品DBから読み出されるというのであるから(被告システム説明書「3」参照),被告システムには,商品のカテゴリーに関する情報が保存されており,したがって,被告方法は,構成要件F2を充足する。 この点, Bから読み出されるというのであるから(被告システム説明書「3」参照),被告システムには,商品のカテゴリーに関する情報が保存されており,したがって,被告方法は,構成要件F2を充足する。 この点,被告は,被告システム内に,商品に関する情報が記憶された商品基礎情報テーブルのほか,商品の表示位置の名称に関する表示位置名称テーブル,商品の表示位置を指定する商品表示テーブルなどが備えられており,商品基礎情報テーブルには,商品ごとに,商品名や価格等のデータが記憶されてはいるが,商品のカテゴリーを示す情報は記憶されていないなどと主張する。 そもそも,被告システムがこのような構成を取っていることを示す客観的な証拠はないが,仮に被告の主張を前提としても,商品基礎情報テーブル,表示位置名称テーブル及び商品表示テーブルを一体として観察すれば(データベースにおいては 複数のテーブルが関連づけられていることが通常であるから,これらのテーブルに含まれた情報が完全に独立しているととらえることは相当でない。),商品ごとに「GOODS_NO」,「DISP_NO」及び表示位置名称すなわち商品カテゴリーが関連づけられているのであるから,取扱商品に関する基礎情報にカテゴリーの情報が含まれているということができる。 (エ) Webサーバが計算結果の注文情報を受け取っていないとの点について(構成要件F4)被告は,構成要件F4について,ユーザ端末側で数量に基づいた注文金額の計算が行われることを要するとの解釈を前提としているが,構成要件F4は,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われる」とするのみで,計算が行われるのがWeb-POSクライアント装置側に限られるとの限定を付していないし,本件明細書にも「明細フォームの計算は より数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われる」とするのみで,計算が行われるのがWeb-POSクライアント装置側に限られるとの限定を付していないし,本件明細書にも「明細フォームの計算は必ずしもWeb-POSクライアント装置側のみで行われる必要はなく,Web-POSサーバ装置側で行われ,その結果がWeb-POSクライアント装置に通知されるように構成されてもよい。」(本件明細書の段落【0137】)と記載されているから,被告の上記解釈は誤りである。 また,構成要件F4の「計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)される」にいう「計算結果の注文情報」とは,「計算結果に対応した注文情報」と解釈されるべきであり,既にサーバ側で行われた計算結果に対応した注文情報がサーバ側に送られる場合も,構成要件F4を充足するというべきである。本件ECサイトでは,「この内容で注文する」がクリックされるまでは注文内容が確定せず,商品や数量を変更することが可能であるから,同ボタンがクリックされる時点で,数量入力(選択)に基づく計算結果に対応した内容で注文を確定させる情報が被告サーバ・システムに送信されている。 (オ) 「PLU情報」をユーザ端末に送信しないとの点について(構成要件G)被告は,構成要件Gについて,「PLU情報」が具体的に何を意味するのかは明 らかではないとした上で,本件特許の出願手続の経過を斟酌して,「PLU情報」の意義を,「販売者や供給元(メーカー)との間で共通した識別情報」であって,商品名,価格,個数といった情報は「PLU情報」に含まれないと主張する。 ここで,「PLU」とは,PriceLookUpの略であり,販売時点情報管理システムにおいて,商品の情報を読み取ることを意味する(甲1 個数といった情報は「PLU情報」に含まれないと主張する。 ここで,「PLU」とは,PriceLookUpの略であり,販売時点情報管理システムにおいて,商品の情報を読み取ることを意味する(甲16)。本件明細書には,商品メーカコードや商品アイテムコードをキーとしてストアコンピュータから対応する価格情報を取得する機能を「PLU機能」ということが記載されている(本件明細書の段落【0005】)。そして,本件明細書には「PLU情報(商品ごとの価格などが含まれた基礎情報)」との記載があることや(同【0021】),構成要件Gにおいて,PLU情報がWeb-POSサーバ・システムから供給されるものと規定されていることからすれば,PLU情報は,少なくとも価格を含む,商品基礎情報を意味するというべきである。本件請求項1において「PLU情報」と「商品基礎情報」とが書き分けられているとしても,PLU情報は,商品基礎情報のうちクライアント装置に送られる情報であるから,これら2つの情報が書き分けられていることと,上記解釈を採用することとは何ら矛盾するものではない。 被告の指摘する本件特許の出願手続における原告の主張は,本件特許発明によれば,PLU情報に含まれる識別情報を用いて電子モール運営者が販売者や商品供給元と情報管理を共通化し得ることを説明したにすぎず,識別情報こそがPLU情報である旨の定義を記載したものではないし,まして,同識別情報が,出店者と供給元との間で共通したものであることを求めているものでもない。 (カ) 商品ごとの注文情報を取得していないとの点について(構成要件G,H)被告は,構成要件G及びHについて,注文情報が注文単位ではなく商品ごとにWeb-POSサーバ・システムに送信されることが必要であるとの解釈を前提とするが,構成要件Gにい ついて(構成要件G,H)被告は,構成要件G及びHについて,注文情報が注文単位ではなく商品ごとにWeb-POSサーバ・システムに送信されることが必要であるとの解釈を前提とするが,構成要件Gにいう「商品ごとの注文情報が…取得される」との文言のみから,商品ごとに注文情報が取得されるものと解釈することはできないというべきである。 構成要件Gは,商品(PLU)マスタDBの1レコードが1商品に対応して管理されることを規定したにすぎず,注文情報が商品ごとにWeb-POSサーバ・システムに送信されることを要求するものではないから,被告の上記解釈は誤りである。 (キ) 注文情報をリアルタイムで売上管理DBに反映していないとの点について(構成要件H)被告は,構成要件Hについて,商品の注文情報が直ちに「売上管理DB」に反映されることを要件とするとの解釈を前提とするが,構成要件Hは,「上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する」と規定するにすぎず,注文情報の取得(受信)がリアルタイムであることを超えて,売上管理DBへ反映されることまでがリアルタイムであることを要するとはしていないから,被告の上記解釈は誤りである。 (被告の主張)ア各構成要件充足性に対する認否は,次のとおりである。 (ア) 構成要件Aについて否認する。被告システムは,Webサーバ,基幹サーバ及びこれらを連携する連携サーバを備えるが,本件ECサイトに接続する個々のユーザ端末(クライアント装置)は,本件ECサイトを利用するユーザによって管理され操作されるものであり,被告システムにより動作制御を行うものではないから,被告システムの一部を構成するものではない。したがって,被告システムは,「Web 本件ECサイトを利用するユーザによって管理され操作されるものであり,被告システムにより動作制御を行うものではないから,被告システムの一部を構成するものではない。したがって,被告システムは,「Webサーバ・クライアント・システム」に該当しない。 (イ) 構成要件Bについて否認する。本件ECサイトは,インターネットを介して商品の販売を行うサイトであってPOSではないから,被告システムは,「Web-POSサーバ・システム」に該当しない。 (ウ) 構成要件Cについて否認する。上記(イ)のとおり,被告システムは,「Web-POSサーバ・システ ム」に該当しない。 (エ) 構成要件Dについて否認する。被告システムは,上記(ア)のとおり,被告システムの一部として動作制御を行うクライアント装置を有するものではないし,上記(イ)のとおり,POSではないから,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは存在しない。 (オ) 構成要件Eについて否認する。被告システムは,上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSネットワーク・システム」,「Web-POSサーバ・システム」,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは存在しない。 (カ) 構成要件F1について否認する。被告システムでは,クライアント装置におけるWebブラウザの処理を制御していない。 (キ) 構成要件F2について否認する。上記(ア)のとおり,被告システムは個々のユーザ端末を含んでおらず,これらの動作を制御することもないから,「該供給されたカテゴリーリストを含むHTMLリソースが上記Webブラウザにおいて処理されることで,該Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に該カテゴリーリストが ることもないから,「該供給されたカテゴリーリストを含むHTMLリソースが上記Webブラウザにおいて処理されることで,該Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に該カテゴリーリストが表示され」,「該送信された商品基礎情報を含むHTMLリソースが該Webブラウザにおいて処理されることで,該変更または入力(変更)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報からなる商品リストが該入力手段を有する表示装置に表示される」の要件を充足しないし,上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSサーバ・システム」,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは存在しない。 また,被告システムでは,本件ECサイトでの取扱商品のデータには,商品のカテゴリーに関する情報は含まれていないから,「取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリスト」,「該変更または入力(選択)され たカテゴリーに対応する商品基礎情報」が存在しない。 (ク) 構成要件F3について否認する。上記(ア)のとおり,被告システムは個々のユーザ端末を含んでおらず,これらの動作を制御することもないから,「該取得された商品基礎情報に基づく商品の情報が該入力手段を有する表示装置に表示される」の要件を充足しないし,上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSサーバ・システム」,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは存在しない。 (ケ) 構成要件F4について否認する。上記(ア)のとおり,被告システムは個々のユーザ端末を含んでおらず,これらの動作を制御することもないから,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された 告システムは個々のユーザ端末を含んでおらず,これらの動作を制御することもないから,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示される」の要件を充足しないし,上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSサーバ・システム」,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは存在しない。 また,被告システムでは,ユーザにより数量が入力されると,被告システム側で入力された数量に基づく販売額の計算が行われるため,その後に「ご注文手続へ進む」がクリックされた際に,数量入力に基づく計算結果の情報が被告システムに送信されることはないから,被告方法は,「ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する概数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)される」の要件を充足しない。 (コ) 構成要件Gについて否認する。上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSサーバ・システム」,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは 存在しない。 また,本件特許発明における「PLU情報」とは,「販売者や供給元といった複数者間で共通の識別情報」を意味するところ,本件ECサイトにおける商品識別情報は,被告が独自に付している識別情報であるから,「PLU情報」に該当しない。 さらに,本件ECサイトでは,注文情報が,商品ごとではなく注文単位でユーザ端末から被告システムに送信されるから,被告方法は,「商 が独自に付している識別情報であるから,「PLU情報」に該当しない。 さらに,本件ECサイトでは,注文情報が,商品ごとではなく注文単位でユーザ端末から被告システムに送信されるから,被告方法は,「商品ごとの注文情報が,Webブラウザを介して,該Web-POSサーバ・システムにおいてリアルタイムに取得される」の要件を充足しない。 (サ) 構成要件Hについて否認する。上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSサーバ・システム」,「Web-POSクライアント装置」に該当するものは存在しない。 また,上記(コ)のとおり,本件ECサイトでは,注文情報が,商品ごとではなく注文単位でユーザ端末から被告システムに送信されるから,被告方法は,「該商品ごとの注文情報として上記Web-POSサーバ・システムにおいて取得され」の要件を充足しない。 さらに,被告システムでは,ユーザ端末からの注文情報がリアルタイムで業務売上DBに反映されるものではないから,被告方法は,「上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程を含む」の要件を充足しない。 (シ) 構成要件Iについて否認する。上記(イ)のとおり,被告システムはPOSではないから,「Web-POSサーバ・システム」に該当しない。 イ個別の用語解釈又は構成について,次のとおり敷衍して説明する。 (ア) 被告システムが「POS」に該当しないこと(構成要件BないしI)POSシステムとは,小売店等の店舗に対する販売管理を行うシステムとして使 用されるものである(乙2,9,10)。本件明細書上も,「POS(PointOfSales)システムは,商品が小売店で売 テムとは,小売店等の店舗に対する販売管理を行うシステムとして使 用されるものである(乙2,9,10)。本件明細書上も,「POS(PointOfSales)システムは,商品が小売店で売れたその時点でその商品に関する情報を取得し,リアルタイムな管理を可能とすることを目的として構築されるシステムであり,小売業を中心として広く普及している。」(本件明細書の段落【0002】)と記載されている。また,本件特許請求の範囲や本件明細書において,「商品売上げ情報」と「商品注文情報」という語が書き分けられていること(構成要件E及びH,本件明細書の段落【0031】)からすれば,本件特許の出願人である原告は,注文情報のみならず売上情報がクライアント装置から送信されること,すなわち,本件特許発明にいう「Web-POS」の対象を実店舗のみと想定していたことがうかがわれる。 これに対し,被告システムは,本件ECサイトを提供するシステムの一つであり,利用者の使用するユーザ端末によって利用されるものであって,小売業者の端末により利用されるものではないから,「POS」には該当しない。 (イ) 被告システムは,「クライアント装置」を有しないこと(構成要件A,DないしH)a 本件特許発明は,クライアント装置をサーバ・システムを含むネットワーク・システムの制御方法に関する発明であり,サーバ・システムの制御方法に関するものでない。 これに対し,被告システムは,Webサーバ,連携サーバ及び基幹システムから構成されるが,被告システムとインターネットを介して接続される,本件ECサイトのユーザが有するコンピュータ(ユーザ端末)は,当該ユーザによって管理されており,被告はユーザの動作を制御しない(むしろ,ユーザ端末からサーバ・システムにアクセスすることによっ れる,本件ECサイトのユーザが有するコンピュータ(ユーザ端末)は,当該ユーザによって管理されており,被告はユーザの動作を制御しない(むしろ,ユーザ端末からサーバ・システムにアクセスすることによって初めてサーバ・システムからHTMLリソースが供給されることからすれば,少なくともHTMLリソースの送信処理過程は,ユーザ端末が制御しているというべきである。)。よって,被告方法は,「クライアント装置」の構成及び動作に関する各構成要件を充足しない。 b 本件特許発明の構成要件Dでは,「上記Webクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段を有する表示装置とWebブラウザを備えた」と規定されているところ,「からなる」とは,直前に列挙した要素によって構成されているという意味で用いるものであるから(乙3),「Webクライアント装置」は,少なくともタッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペンをその構成要素として含むことを意味するものである。 これに対し,被告システムに接続されるユーザ端末は汎用のコンピュータであって,タッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペンからなる入力手段を備えていないから,被告方法は,構成要件Dを充足しない。 (ウ) 被告システムでは,取扱商品に関するデータに,商品のカテゴリーを示す情報は含まれていないこと(構成要件F2)本件特許発明の構成要件F2では,「上記Web-POSサーバ・システムから上記Webクライアント装置に,…取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリストを含むHTMLリソースが供給され」,「該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信さ テゴリーリストを含むHTMLリソースが供給され」,「該変更または入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を含むHTMLリソースが生成されると共に,該Web-POSクライアント装置に送信され」と規定されているところ,これらは,取扱商品に関する基礎情報には商品カテゴリーの情報が含まれていること,商品カテゴリーの情報を含む基礎情報のHTMLリソースがクライアント装置に送信されることをそれぞれ意味するものである。 これに対し,被告システムでは,ユーザ端末に送信されるデータのうち,本件ECサイトで扱われる商品(展示商品)に関するデータには,商品名,価格,商品識別情報の情報が含まれるが,展示商品のカテゴリーを示す情報を含まれない(別紙被告システム説明書「2」参照)。具体的には,被告システム内には,商品に関する情報(「取扱商品に関する基礎情報」に該当する。)が記憶された商品基礎情報テーブルのほか,商品の表示位置の名称に関する表示位置名称テーブル,商品の表示位置を指定する商品表示テーブルなどが備えられているところ,商品基礎情報テ ーブルには,商品ごとに,商品名や価格等のデータが,識別子である「GOODS_NO」と関連づけて記憶されてはいるが,商品のカテゴリーを示す情報は記憶されていない。商品カテゴリーの情報は,表示位置名称テーブルに,識別子である「DISP_NO」と関連づけて記憶されている。ここで,「GOODS_NO」と「DISP_NO」とは,商品表示テーブルにおいて互いに関連づけられているが,互いに独立した情報である(乙11)。 したがって,被告システムでは,「取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリストを含むHTMLリソース」をユーザ端末に送信することはないから,被告方法は,構成要件F2を充足し したがって,被告システムでは,「取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応するカテゴリーリストを含むHTMLリソース」をユーザ端末に送信することはないから,被告方法は,構成要件F2を充足しない。 (エ) 被告システムでは,Webサーバが計算結果の注文情報を受け取っていないこと(構成要件F4)本件特許発明の構成要件F4では,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に」,「ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)される」と規定されている。 ここで,構成要件F1が「上記Webブラウザによる処理が,少なくとも」と規定し,これに引き続いて「1)カテゴリーの変更又は入力(選択)に関する表示制御過程」(構成要件F2),「2)商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程」(構成要件F3),「3)商品注文内容の表示制御過程」「を含み」(構成要件F4)と規定されていることからすれば,構成要件F2ないしF4の内容は,構成要件F1で定義された「Webブラウザによる処理」,すなわちユーザ端末における処理を意味していることが明らかであり,構成要件F4にいう「該数量に基づく計算」は,ユーザ端末において行われるものと解釈すべきである。仮に,「該数量に基づく計算」がサーバ側で行われるとするならば,その後に引き続くオーダ操作により,「該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-PO Sサーバ・システムにおいて取得(受信)される」こととなり,既にサーバ側でされた計算結果を再度サーバが受け取ることとなり,当該構成要件は無意味となっ づく計算結果の注文情報が該Web-PO Sサーバ・システムにおいて取得(受信)される」こととなり,既にサーバ側でされた計算結果を再度サーバが受け取ることとなり,当該構成要件は無意味となってしまう。 また,原告は,上記「計算結果の注文情報」には,「計算結果に対応した注文情報」をも含むと主張するが,そのように解すべき根拠はなく,かえって,構成要件F4には,「該商品の注文明細情報に対する該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報」と記載されているから,注文情報が計算結果の情報を意味することは明らかであって,原告の解釈は誤りである。 これに対し,本件ECサイトにおいて,「ご注文手続へ進む」又は「この内容で注文する」がクリックされても,ユーザ端末側では数量に基づいた注文金額の計算は行われないし(数量の情報に基づく金額の計算は,Webサーバで行われる。),数量等に基づく計算結果の情報がWebサーバに送信されることもない(別紙被告システム説明書「4」参照)。 したがって,被告システムでは,Webサーバが数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報を取得することはないから,被告方法は,構成要件F4を充足しない。 (オ) 被告システムは,「PLU情報」をユーザ端末に送信しないこと(構成要件G)本件特許発明の構成要件Gでは,「ユーザ操作に基づく商品選択時点でのPLU情報が,Webブラウザを介して,上記Web-POSサーバ・システムから供給され」と規定されているところ,原告は,最終的な注文に至る過程でユーザに提供される商品に関する情報が「PLU情報」に該当すると主張する。 しかしながら,本件明細書は,「上述のような,商品メーカコードや商品アイテムコードをキーとしてストアコンピュータから対応する価格情報を取得する機能はPLU が「PLU情報」に該当すると主張する。 しかしながら,本件明細書は,「上述のような,商品メーカコードや商品アイテムコードをキーとしてストアコンピュータから対応する価格情報を取得する機能はPLU(PriceLookUp)機能と呼ばれる」(本件明細書の段落【0005】)と記載するにとどまり,「PLU情報」が具体的に何を意味するのかは本件明細書上明 らかではない。 この点,本件特許の出願人である原告は,本件特許の出願手続において,「ほとんど全ての流通商品は,販売者や供給元(メーカーなど)との間で,共通した識別情報に基づき管理されており,正しくこの識別情報こそが,本願発明に記載されたPLU情報である」旨主張しており,注文情報に商品名,価格,個数などが含まれるにとどまる場合には,供給元を判別することが困難になる旨を主張している(乙4,5)。 以上によれば,本件特許発明にいう「PLU情報」とは,「販売者や供給元(メーカーなど)との間で共通した識別情報」であって,商品名,価格,個数といった情報はこれに含まれないというべきである。なお,本件特許請求の範囲において,「PLU情報」と「商品基礎情報」とは明確に区別して用いられているから,原告主張のように「PLU情報」を「価格を含む商品基礎情報」と解釈することは誤りである。 これに対し,被告システムにおいてユーザ端末に送信される情報のうち,商品名,価格といった情報を除いたものは,Webサーバにおいて独自に付された識別情報であり,被告以外の者と共通して有する情報ではない(別紙被告システム説明書「2」参照)。 したがって,被告システムは,「PLU情報」をユーザ端末に送信することはないから,被告方法は,構成要件Gを充足しない。 (カ) 被告システムでは,商品ごとの注文情報を取得し 書「2」参照)。 したがって,被告システムは,「PLU情報」をユーザ端末に送信することはないから,被告方法は,構成要件Gを充足しない。 (カ) 被告システムでは,商品ごとの注文情報を取得していないこと(構成要件G,H)本件特許発明の構成要件Gでは,「商品ごとの注文情報が,Webブラウザを介して,該Web-POSサーバ・システムにおいてリアルタイムに取得される」と規定されており,これは,注文情報が,注文単位ではなく,商品ごとに,Web-POSサーバに送信されることを規定したものである。 この点,本件特許の出願人である原告は,本件特許の出願手続において,本件特 許発明は,商品注文情報がバスケット単位(注文単位)でサーバに送信する引用例記載の構成とは異なり,商品単位で注文情報をサーバに送信することが可能であること,これにより複数のユーザから同一商品に対する申込みがあった場合に注文が可能となってしまうことを避けられることを明確にしている(乙5)。 これに対し,本件ECシステムにおいては,商品の注文は商品単位で行われる(別紙被告システム説明書「6」参照)。 したがって,被告システムは,「商品ごとの注文情報が,Webブラウザを介して,該Web-POSサーバ・システムにおいてリアルタイムに取得される」ものではないから,被告方法は,構成要件Gを充足せず,同様の理由により,構成要件Hも充足しない。 (キ) 被告システムは,注文情報をリアルタイムで売上管理DBに反映していないこと(構成要件H)本件特許発明の構成要件Hでは,「上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程を含む」と規定されている。 ここで,本件明細書は「POS 「上記Web-POSクライアント装置からリアルタイムで取得(受信)した上記商品の注文情報を売上管理DBに反映する売上管理DBへの登録過程を含む」と規定されている。 ここで,本件明細書は「POS(PointOfSales)システムは,商品が小売店で売れたその時点でその商品に関する情報を取得し,リアルタイムな管理を可能とすることを目的として構築されるシステムであり」と記載し(本件明細書の段落【0002】),本件特許の出願人である原告は,本件特許の出願手続において,「POSシステムは,販売時点における情報(PLU情報や注文情報)がリアルタイムに管理,取得されるものである」と主張していることからすれば(乙5),本件特許発明は,商品の注文情報をリアルタイム,すなわち直ちに管理し,商品の注文情報が直ちに「売上管理DB」に反映されることを要件とするものというべきである。 これに対し,被告システムでは,ユーザ端末から送信された注文情報は,一定時間ごとに基幹システムの注文情報DBに保存され,その後に業務売上DBに保存されるものであるから,リアルタイムに注文情報が業務売上DBに反映されるわけで はない。また,出荷日の指定を含む注文データの場合は,当該出荷日に至るまで,売上情報は業務売上DBに反映されない(別紙被告システム説明書「7」参照)。 (3) 争点3(被告方法が本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について(原告の主張)ア 「計算結果の注文情報」(構成要件F4)について仮に,構成要件F4について,「該数量に基づく計算」が「Web-POSクライアント装置」側で行われ,その計算結果が「Web-POSサーバ・システム」に送信されるべきものと解釈され,そのために被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲 に基づく計算」が「Web-POSクライアント装置」側で行われ,その計算結果が「Web-POSサーバ・システム」に送信されるべきものと解釈され,そのために被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲に含まれないと判断されたとしても,被告方法は,次のとおり,本件特許発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するというべきである。 (ア) 均等の第1要件について本件特許発明の課題は,「専用のPOS通信機能/POS専用線を必要とせず,取扱商品の自由な変更が可能なPOSシステムを実現すること」及び「上記従来の専用回線を用いた専用端末型POSシステムの欠点を排除し,汎用のパソコン及びインターネットを用いて端末でのPOS処理を殆ど無くし,端末側の入力情報に基づきサーバ側ですべてのPOS処理を受け持つことにより,非常に安価で簡便なPOSシステムを構築する」ことであり(本件明細書の段落【0014】),本件特許発明は,同課題を解決するため,「ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)を用いてハイパーテキストマークアップ言語(HTML)で記述されたHTMLリソースを供給するサーバ装置(Web-POSサーバ装置)において,商品に関する基礎情報である商品基礎情報(PLUマスタDB)が管理され」(同【0015】)るなど「Webサーバー装置が全ての情報を保有・供給」(同【0024】)し,「一般的なWebサーバ・クライアントシステム上でPOS機能が実現される」こととして,これにより,「低価格なPOSシステムを実現することが可能となると同時に,POS専用線を敷設することなくインターネット等の公衆ネットワークや LANを用いてサーバ装置とクライアント装置を低コストで接続することが可能」としたものである(同【0029】)。 そうすると,本件特許発明の本質 なくインターネット等の公衆ネットワークや LANを用いてサーバ装置とクライアント装置を低コストで接続することが可能」としたものである(同【0029】)。 そうすると,本件特許発明の本質的部分は,情報の管理をWebサーバに一元化し,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOS機能を実現した点にあるといえるから,ユーザの入力(選択)した数量に基づく計算が「Web-POSサーバ・システム」側で行われるか,「Web-POSクライアント装置」側で行われるかは,本件特許発明の本質的部分に係る相違ではない。 したがって,均等の第1要件を充足する。 (イ) 均等の第2要件について「ユーザの入力(選択)した数量に基づいてWeb-POSクライアント装置側で計算が行われ,その計算結果をWeb-POSサーバ・システムが取得(受信)する構成」を「ユーザの入力(選択)した数量をWeb-POSサーバ・システムが取得(受信)し,Web-POSサーバ・システムで該数量に基づく計算が行われる構成」に置き換えたとしても,システムの構成等の変更は特段必要なく(甲23,24),いずれの場合においても,POS通信機能やPOS専用線等を必要とせず,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOSシステムを構築可能とするという本件特許発明の目的を達することができ,売上管理という本件特許発明の作用効果も同様に達成される(本件明細書の段落【0137】)。 したがって,均等の第2要件を充足する。 (ウ) 均等の第3要件について「ユーザの入力(選択)した数量に基づいてWeb-POSクライアント装置側で計算が行われ,その計算結果をWeb-POSサーバ・システムが取得(受信)する構成」と「ユーザの入力(選択)した数量をWeb-POSサーバ・システム 数量に基づいてWeb-POSクライアント装置側で計算が行われ,その計算結果をWeb-POSサーバ・システムが取得(受信)する構成」と「ユーザの入力(選択)した数量をWeb-POSサーバ・システムが取得(受信)し,Web-POSサーバ・システムで該数量に基づく計算が行われる構成」との違いは,計算という処理をクライアント側で行うかサーバ側で行うかというコンピュータ・ネットワークにおける各コンピュータの情報処理分担の問 題にすぎず,被告システムの稼働時(平成22年3月)において,前者を後者に置換することは,当業者であれば容易に想到することができた。 したがって,均等の第3要件を充足する。 (エ) 均等の第4要件について被告方法は,本件特許の原出願日当時の公知技術と同一であるとか,公知技術から容易に推考できたものではない。 したがって,均等の第4要件を充足する。 (オ) 均等の第5要件について本件特許の出願手続において,被告方法が本件特許請求の範囲から意識的に除外されたものにあたるなどの特段の事情は存在しない。 この点,被告は,本件特許の出願人である原告が,本件特許の出願手続において,平成23年10月9日付け手続補正書(乙15)による補正(以下「第1手続補正」という。)では,「該数量に基づく計算」をサーバ側で行う構成のみを本件特許請求の範囲に付加しようとしていたが,同補正が却下された後にした平成24年7月22日付け手続補正書(乙18)による補正(以下「第2手続補正」という。)では,「該数量に基づく計算」をクライアント側で行う構成としたという経緯があることを理由として,原告が,第2手続補正により「該数量に基づく計算」をサーバ側で行う構成を明確に認識しながら,これを意識的に除外した旨主張する。 しかし,第1手続補 行う構成としたという経緯があることを理由として,原告が,第2手続補正により「該数量に基づく計算」をサーバ側で行う構成を明確に認識しながら,これを意識的に除外した旨主張する。 しかし,第1手続補正は却下されているから(乙16),第1手続補正により発明を限定したということはできない。 この点を措くとしても,第2手続補正のうち,構成要件F4に関する部分は,平成23年8月11日付け拒絶理由通知(乙14)に記載された拒絶理由のうち,特許法36条6項1号の拒絶理由を解消するため,すなわちサポート要件を満たすために行われたものであるから,計算をサーバ側で行う構成を意識的に除外するものではなく,外形的に,当該構成が本件特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したと解される行動と評価することはできないというべきである。 したがって,均等の第5要件を充足する。 イ 「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペン」(構成要件D)について仮に,構成要件Dについて,Web-POSクライアント装置が「タッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペン」を入力手段として備えなければならないと解釈され,そのために被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲に含まれないと判断されたとしても,被告方法は,次のとおり,本件特許発明と均等なものとして,その技術的範囲に属するというべきである。 (ア) 均等の第1要件前記ア(ア)のとおり,本件特許発明の本質的部分は,情報の管理をWebサーバに一元化し,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOS機能を実現した点にあるというべきところ,クライアント装置がいかなる入力手段を備えているかという相違は,本件特許発明の本質的部分に係るものとはいえない。 したがって,均等の第1要件を充足する。 (イ) 現した点にあるというべきところ,クライアント装置がいかなる入力手段を備えているかという相違は,本件特許発明の本質的部分に係るものとはいえない。 したがって,均等の第1要件を充足する。 (イ) 相違点を置換しても特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を有すること(均等の第2要件)「タッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペン」との構成を「タッチパネル,キーボード,マウス又は電子ペン」との構成に置き換えたとしても,POS通信機能やPOS専用線等を必要とせず,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOSシステムを構築可能とするという本件特許発明の目的を達することができ,売上管理という本件特許発明の作用効果も同様に達成されるから,均等の第2要件を充足する。 (ウ) 置換が容易であること(均等の第3要件)被告システムの稼働時(平成22年3月)において,本件特許発明における「タッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペン」を備えるクライアント装置を「タッチパネル,キーボード,マウス又は電子ペン」を備えるクライアント装置に置換することは,当業者であれば容易に想到することができた。 したがって,均等の第3要件を充足する。 (エ) 均等の第4要件被告方法は,本件特許の原出願日当時の公知技術と同一であるとか,公知技術から容易に推考できたものではない。 したがって,均等の第4要件を充足する。 (オ) 均等の第5要件本件特許の審査過程において,出願人である原告が本件特許請求の範囲から「タッチパネル,キーボード,マウス又は電子ペン」を備える構成を意識的に除外したなどの特段の事情は存在しないから,均等の第5要件を充足する。 ウ 「POS」について仮に,本件特許発明にいう「POS」が小売店等 ーボード,マウス又は電子ペン」を備える構成を意識的に除外したなどの特段の事情は存在しないから,均等の第5要件を充足する。 ウ 「POS」について仮に,本件特許発明にいう「POS」が小売店等の実店舗において販売時点情報管理を行うことを意味する解釈され,そのために被告方法が本件特許の文言上侵害しないとされたとしても,被告方法は,次のとおり,本件特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,その技術的範囲に属するというべきである。 (ア) 均等の第1要件について前記ア(ア)のとおり,本件特許発明の本質的部分は,情報の管理をWebサーバに一元化し,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOS機能を実現した点にあるというべきところ,クライアント装置が実店舗にあるか,ECサイトの消費者の手元にあるかという相違は,本件特許発明の本質的部分に係るものとはいえないから,均等の第1要件を充足する。 (イ) 均等の第2要件について本件特許発明において「店頭売り」(クライアント装置を実店舗に設置する場合)を「ネット売り」(ユーザの手元に置いた場合)に置き換えたとしても,POS通信機能やPOS専用線等を必要とせず,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOSシステムを構築可能とするという本件特許発明の目的を達することができ,売上管理という本件特許発明の作用効果も同様に達成される。 したがって,均等の第2要件を充足する。 (ウ) 均等の第3要件について被告システムの稼働時(平成22年3月)において,本件特許発明をECサイトでの販売管理に利用すること,すなわち「店頭売り」を「ネット売り」に置換することは,当業者であれば容易に想到することができた。 したがって,均等の第3要件を充足する。 (エ) 許発明をECサイトでの販売管理に利用すること,すなわち「店頭売り」を「ネット売り」に置換することは,当業者であれば容易に想到することができた。 したがって,均等の第3要件を充足する。 (エ) 均等の第4要件について被告方法は,本件特許の原出願日当時の公知技術と同一であるとか,公知技術から容易に推考できたものではない。 したがって,均等の第4要件を充足する。 (オ) 均等の第5要件について本件特許の出願手続において,被告方法が本件特許請求の範囲から意識的に除外されたなどの特段の事情は存在しない。 したがって,均等の第5要件を充足する。 (被告の主張)ア 「計算結果の注文情報」(構成要件F4)について(ア) 均等の第1要件について原告は,本件特許発明の本質的部分が,情報の管理をWebサーバに一元化し,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOS機能を実現した点にあると主張するが,かかる点は,本件特許の出願前から広く知られた周知技術であって(甲5,乙19,20),本件特許発明の本質的部分,すなわち先行技術と対比して確定されるべき課題の解決手段における特徴的原理に係る部分とは認められないから,原告の上記主張は失当である。 (イ) 均等の第2要件ないし第4要件について争う。 (ウ) 均等の第5要件について 本件特許請求の範囲には,当初,計算をクライアント側とサーバ側のいずれで行うかについて何らの限定も付されておらず,また,本件明細書の段落【0137】には,「該数量に基づく計算」をサーバ側とクライアント側のいずれでも行うことができることが明確に記載されていた。 本件特許の出願人である原告は,その後の第1手続補正(乙15)により,「該数量に基づく計算」をサーバ側で行う構成 サーバ側とクライアント側のいずれでも行うことができることが明確に記載されていた。 本件特許の出願人である原告は,その後の第1手続補正(乙15)により,「該数量に基づく計算」をサーバ側で行う構成のみを本件特許請求の範囲に含めたが,同補正が却下された後にした第2手続補正(乙18)では,「該数量に基づく計算」をクライアント側で行う構成に変更した(構成要件F4に対応する文言)。 そうすると,本件特許の出願人である原告は,第2手続補正により,「該数量に基づく計算」をサーバ側で行う構成を明確に認識しながら,これを意識的に除外し,同計算がクライアント側で行われることを明確にしたのであるから,均等の第5要件を充足しない。 なお,手続補正により外形的に特許請求の範囲が限定された以上,当該手続補正が拒絶理由を回避するために行われたか否かにかかわらず,均等の第5要件にいう特段の事情があると認められるべきである。 イ 「タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペン」(構成要件D)について(ア) 均等の第1要件について前記ア(ア)のとおり,原告が本質的部分であると主張するところの,情報の管理をWebサーバに一元化し,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOS機能を実現したとの点は,本件特許の出願前から広く知られた周知技術であって,本件特許発明の本質的部分とは認められない。 (イ) 均等の第2要件及び第3要件について争う。 (ウ) 均等の第5要件について本件特許請求の範囲には,構成要件Dに関する部分に関して,「該Web-POSクライアント装置においては,…タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペン, またはスキャナ装置からなる入力手段」と記載されていたが,本件特許の出願人である原告は,第1手続補正(乙15 Sクライアント装置においては,…タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペン, またはスキャナ装置からなる入力手段」と記載されていたが,本件特許の出願人である原告は,第1手続補正(乙15)及び第2手続補正(乙18)により,当該部分を「上記Web-POSクライアント装置が,タッチパネル,キーボード,マウス,電子ペンからなる入力手段」と補正し,タッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペンのすべてを含む構成に限定した。 そうすると,本件特許の出願人である原告は,第2手続補正により,「Web-POSクライアント装置」につき,タッチパネル,キーボード,マウス及び電子ペンのすべてを含む構成に意識的に限定したというべきである。 したがって,均等の第5要件を充足しない。 ウ 「POS」について(ア) 均等の第1要件との点について前記ア(ア)に記載のとおり,原告が本質的部分であると主張するところの,情報の管理をWebサーバに一元化し,一般的なWebサーバ・クライアント・システム上でPOS機能を実現したとの点は,本件特許の出願前から広く知られた周知技術であって,本件特許発明の本質的部分とは認められない。 (イ) 均等の第2要件及び第3要件について争う。 (4) 争点4(損害額)について(原告の主張)本件特許権は,平成24年9月28日に設定登録されているところ,原告は,同日以降,被告による被告方法の使用により,本件特許権を侵害されている。 被告は,平成24年9月28日から本件訴訟の提起日である平成26年10月16日までの間,本件ECサイトにおける各種商品の販売によって,少なくとも年間100億円の売上をあげている。 そして,被告による本件特許発明の実施に対し,原告が受けるべき金銭の額(特許法102条3項) までの間,本件ECサイトにおける各種商品の販売によって,少なくとも年間100億円の売上をあげている。 そして,被告による本件特許発明の実施に対し,原告が受けるべき金銭の額(特許法102条3項)は,上記各売上高の3パーセントを下らない。 したがって,被告による本件特許権の侵害によって,原告は,平成24年9月28日から平成26年10月16日までの間に,少なくとも6億円の損害を受けたというべきである。 また,原告は,本件訴訟追行のための弁護士費用として,上記損害の10パーセントに相当する6000万円の損害も受けた。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点2(被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲に属するか)について(1) 事案に鑑み,まず,構成要件F4の充足性について検討する。 (2)ア本件請求項1の記載によれば,本件特許発明は,「Webサーバ・クライアント・システム」(構成要件A)において実現される「Web-POSネットワーク・システムの制御方法」(構成要件I)に関する発明であって,「Web-POSサーバ・システム」が備えるべき構成を構成要件Cにおいて規定し,「Web-POSクライアント装置」が備えるべき構成を構成要件Dにおいて規定した上で,「Web-POSサーバ・システム」と「Web-POSクライアント装置」との基本的な関係について,「Web-POSクライアント装置」上の「Webブラウザ」から「Web-POSサーバ・システム」にアクセスすると,「Web-POSサーバ・システム」から「Web-POSクライアント装置」に対し,当該装置において商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付ける「HTMLリソース」が提供されること,当該ユーザ操作に基づく商品の売上情報が「Web-POSサー Web-POSクライアント装置」に対し,当該装置において商品の選択や発注に係るユーザ操作を受け付ける「HTMLリソース」が提供されること,当該ユーザ操作に基づく商品の売上情報が「Web-POSサーバ・システム」において管理されることを構成要件Eにおいて規定し,さらに,「Web-POSクライアント装置」上の「Webブラウザ」による処理が,少なくとも(構成要件F1),「カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程」(構成要件F2),「商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程」(構 成要件F3)及び「商品注文内容の表示制御過程」(構成要件F4)を含むべきことを構成要件Fにおいて規定していることが認められる。 これらのうち,「Web-POSクライアント装置」上の「Webブラウザ」による処理について具体的にみると,まず,「カテゴリーの変更または入力(選択)に関する表示制御過程」については,①「Web-POSサーバ・システム」から「Web-POSクライアント装置」に取扱商品に関する基礎情報に含まれたカテゴリーに対応する「カテゴリーリスト」を含む「HTMLリソース」が供給され,「Web-POSクライアント装置」の「表示装置」に「カテゴリーリスト」が表示されること,②ユーザが,「Web-POSクライアント装置」の「入力手段」により,表示された上記①の「カテゴリーリスト」からカテゴリーを変更又は入力(選択)するごとに,「Web-POSクライアント装置」が「Web-POSサーバ・システム」に変更又は入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を含む「HTMLリソース」を要求する「HTTPメッセージ」を送信すること,③「Web-POSサーバ・システム」が上記②で受信した「HTTPメッセージ」に基づき,変更又は入力(選択)さ 商品基礎情報を含む「HTMLリソース」を要求する「HTTPメッセージ」を送信すること,③「Web-POSサーバ・システム」が上記②で受信した「HTTPメッセージ」に基づき,変更又は入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報を抽出して,「Web-POSクライアント装置」に同情報を含む「HTMLリソース」を送信し,「Web-POSクライアント装置」の「表示装置」に変更又は入力(選択)されたカテゴリーに対応する商品基礎情報からなる商品リストが表示されることがそれぞれ規定されているものと認められる(以上につき,構成要件F2)。次に,「商品識別情報の入力(選択)のための表示制御過程」においては,④ユーザが「Web-POSクライアント装置」の「入力手段」により,上記③のとおり表示された商品リストにつき商品識別情報を入力(選択)するごとに,「Web-POSクライアント装置」が「Web-POSサーバ・システム」に同商品識別情報に対応する商品基礎情報を問い合わせること,⑤「Web-POSサーバ・システム」が「Web-POSクライアント装置」に上記④のとおり問い合わせられた商品識別情報に対応する商品基礎情報を送信し,「Web-POSクライアント装置」 の「表示装置」に商品基礎情報に基づく商品の情報が表示されることがそれぞれ規定されているものと認められる(以上につき,構成要件F3)。さらに,「商品注文内容の表示制御過程」については,⑥上記⑤のとおり表示された商品の情報について,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示されると共に,ユーザが,該入 計算が行われると共に,前記入力(選択)された商品識別情報と該商品識別情報に対応して取得された上記商品基礎情報に基づく商品の注文明細情報が該入力手段を有する表示装置に表示されると共に,ユーザが,該入力手段によりオーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該数量入力(選択)に基づく計算結果の注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)される」ことが規定されているものと認められる(構成要件F4)。 このように,本件特許発明は,「Web-POSクライアント装置」上の「Webブラウザ」による処理について,その表示制御過程(上記①ないし⑥)を具体的に規定しているところ,「Web-POSクライアント装置」上でされたユーザの操作(例えば,上記②におけるカテゴリーの変更又は入力〔選択〕や,上記④における商品識別情報の入力〔選択〕)に対応して,「Web-POSサーバ・システム」において何らかの処理が行われる場合には,その都度,「Web-POSクライアント装置」から「Web-POSサーバ・システム」に何らかの要求が送信されること(例えば,上記②における「HTMLリソース」を要求する「HTTPメッセージ」の送信,上記④における商品識別情報に対応する商品基礎情報の問い合わせ,上記⑥におけるユーザがオーダ操作に対応する計算結果の注文情報の送信〔「Web-POSサーバー・システムにおいて取得(受信)」する以上,「Web-POSクライアント装置」から送信されていることは,明らかである。〕などがこれに該当する。)が明確に規定されているといえる。 しかるに,本件請求項1は,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)する」操作が行われた場合に,構成要件F4にいう「該数量に基づく計算」を「Web-POSサーバ・システム れているといえる。 しかるに,本件請求項1は,「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)する」操作が行われた場合に,構成要件F4にいう「該数量に基づく計算」を「Web-POSサーバ・システム」に行うよう要求することを規定していないのであ るから,「該数量に基づく計算」は,専ら「Web-POSクライアント装置」において行われるものと解するのが相当である。 イ上記アの解釈は,本件特許の出願手続からも裏付けられるところである。 すなわち,証拠(乙13ないし18)によれば,本件特許の出願人である原告は,本件特許の出願手続において,当初(分割出願時)は,「数量に基づく計算」を「Web-POSクライアント装置」により行うか,「Web-POSサーバ・システム」により行うかについて,本件特許請求の範囲により規定していなかったところ,第1手続補正により,本件特許請求の範囲に「3)商品オーダ内容の操作に関する表示制御,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記商品の注文明細情報について,ユーザが,該入力手段により,オーダ内容(数量)を入力(選択)すると,該オーダ内容に基づく計算が上記Web-POSサーバ・システムにおいて行われると共に,その結果が上記Web-POSクライアント装置に通知され,また,ユーザが,該入力装置により,オーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該オーダ内容に基づく計算結果の販売情報または注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されること」との構成を付加しようとしたこと,特許庁審査官は,同構成を付加する補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,特許法17 )されること」との構成を付加しようとしたこと,特許庁審査官は,同構成を付加する補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,特許法17条の2第3項に違反するなどの理由により,第1手続補正を同法53条1項により却下する旨の決定をしたこと,原告は,同却下決定を受けて,第2手続補正により,本件特許請求の範囲に「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,」との構成を付加したことが認められる。 上記手続に照らせば,原告は,第2手続補正により,「該数量に基づく計算」が「Web-POSサーバ・システム」により行われ,その結果が「Web-POSクライアント装置」に通知される構成を本件特許請求の範囲から除外したと解するのが相当である(なお,本件明細書の段落【0137】の記載は,上記判断を左右 するものではない。)。 (3) 原告は,構成要件F4にいう「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われる」とする「計算」について,同計算が行われるのは「Web-POSクライアント装置」側に限定されるものではない旨主張するが,上記説示したところに照らし,採用することができない。 (4) 以上の解釈を前提に,被告方法が構成要件F4を充足するか検討する。 証拠(乙1)によれば,被告方法においては,「(ユーザ端末の)表示画面上で,商品の『数量』を入力して『カートに追加』がクリックされると,数量の情報がWebサーバに送られて金額の計算が行われ,計算結果が顧客のコンピュータに送られて表示され・・・ユーザ端末において,入力した数量に基づく金額の計算が行われることはない」(被告システム説明書「4」参照)と認められる(なお,この の計算が行われ,計算結果が顧客のコンピュータに送られて表示され・・・ユーザ端末において,入力した数量に基づく金額の計算が行われることはない」(被告システム説明書「4」参照)と認められる(なお,この点は,原告も否定していない。)。 そうすると,仮に,被告システムにおける「ユーザ端末」が本件特許発明にいう「Web-POSクライアント装置」に該当するとしても,構成要件F4にいう「該数量に基づく計算」は,当該ユーザ端末において行われないのであるから,被告方法は,構成要件F4を充足しない。 (5) 以上によれば,構成要件F4以外の各構成要件の充足性につき検討するまでもなく,被告方法が文言上,本件特許発明の技術的範囲に属するということはできない。 2 争点3(被告方法が本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するか)について(1) 特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても,①同部分が特許発明の本質的部分ではなく(第1要件),②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって(第2要件),③上記のように置き換えることに,当該発明の属 する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり(第3要件),④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(第5要件)は,同対象製品等は,特許請求の きたものではなく(第4要件),かつ,⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないとき(第5要件)は,同対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許請求の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。 (2) 事案に鑑み,まず,前記1において認定説示した本件特許発明と被告方法とが相違する部分(構成要件F4と被告方法との相違部分)に関し,均等の第5要件(上記(1)⑤)の成否を検討する。 前記1(3)において認定説示したとおり,本件特許の出願人である原告は,本件特許の出願手続において,当初(分割出願時)は,「数量に基づく計算」を「Web-POSクライアント装置」により行うか,「Web-POSサーバ・システム」により行うかについて,本件特許請求の範囲により規定していなかったところ,第1手続補正により,本件特許請求の範囲に「3)商品オーダ内容の操作に関する表示制御,すなわち,上記Web-POSクライアント装置の入力手段を有する表示装置に表示された上記商品の注文明細情報について,ユーザが,該入力手段により,オーダ内容(数量)を入力(選択)すると,該オーダ内容に基づく計算が上記Web-POSサーバ・システムにおいて行われると共に,その結果が上記Web-POSクライアント装置に通知され,また,ユーザが,該入力装置により,オーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)を行うと,該商品の注文明細情報に対する該オーダ内容に基づく計算結果の販売情報または注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されること」との構成を付加しようとしたこと,特許庁審査官は ,該商品の注文明細情報に対する該オーダ内容に基づく計算結果の販売情報または注文情報が該Web-POSサーバ・システムにおいて取得(受信)されること」との構成を付加しようとしたこと,特許庁審査官は,同構成を付加する補正は,願書に最初に添付された明細書,特許請求 の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,特許法17条の2第3項に違反するなどの理由により,第1手続補正を同法53条1項により却下する旨の決定をしたこと,原告は,同却下決定を受けて,第2手続補正により,本件特許請求の範囲に「ユーザが,該入力手段により数量を入力(選択)すると,該数量に基づく計算が行われると共に,」との構成を付加したことが認められ,また,同補正により,本件請求項1記載の発明は,「該数量に基づく計算」が「Web-POSクライアント装置」により行われるものに限定されたと解すべきである。 そうすると,原告は,本件特許の出願手続において,被告方法のような「該数量に基づく計算」が「Web-POSサーバ・システム」により行われ,その結果が「Web-POSクライアント装置」に通知される構成について,これを明確に認識しながら,あえて本件特許請求の範囲から除外したものと外形的に評価し得る行動をとったものというべきである(なお,原告は,前記1において認定説示した本件特許発明と被告方法とが相違する部分〔構成要件F4と被告方法との相違部分〕以外については,被告方法が本件特許発明と同一であるか,少なくとも均等であると主張しているのであるから,同主張を前提とする限り,被告方法は,客観的にみて,本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものにあたることになるといえる。)。 この点,原告は,第1手続補正が却下されているとか,第2手続補正のうち,構 法は,客観的にみて,本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものにあたることになるといえる。)。 この点,原告は,第1手続補正が却下されているとか,第2手続補正のうち,構成要件F4に関する部分は,サポート要件(特許法36条6項1号)違反の拒絶理由の解消を目的としたものであるなどと主張するが,第1手続補正が却下されたとの事実は,出願人である原告が,被告方法のような「該数量に基づく計算」が「Web-POSサーバ・システム」により行われ,その結果が「Web-POSクライアント装置」に通知される構成を明確に認識していたとの上記認定を左右するものではなく,また,原告が当該構成を明確に認識しており,第2手続補正により本件請求項1記載の発明が「該数量に基づく計算」が「Web-POSクライアント装置」により行われるものに限定されたと解される以上,第2手続補正のうち,構 成要件F4に関する部分についての補正の目的が原告主張のとおりであったとしても,被告方法のような構成をあえて本件特許請求の範囲から除外したものと外形的に評価し得る行動をとったとの上記認定判断が左右されるものではない。 したがって,均等の第5要件の成立は,これを認めることができない。 (3) 以上によれば,均等のその余の要件の成否,及び構成要件F4以外の各構成要件の充足性(均等の成否を含む。)につき検討するまでもなく,被告方法が本件特許発明と均等なものとしてその技術的範囲に属するということはできない。 3 結論よって,その余の争点につき検討するまでもなく,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 嶋末和秀 裁判官 笹本哲朗 裁判官 天野研司
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