平成14年(行ケ)第477号特許取消決定取消請求事件平成15年7月15日判決言渡、平成15年7月10日口頭弁論終結判決原告野地テック株式会社訴訟代理人弁理士太田恵一被告特許庁長官今井康夫指定代理人森竜介、渡部利行、高橋泰史、小曳満昭、大橋信彦、林栄二 主文 特許庁が異議2001-73410号事件について平成14年8月5日にした決定を取消す。 訴訟費用は各自の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の求めた裁判主文第1項同旨の判決。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯(1)本件特許第3178802号は、名称を「ケーブルボックス及びケーブルボックスの敷設方法」とする発明につき、平成9年6月27日に特許出願され、平成13年4月13日に特許権の設定登録がされたものである。 本件特許の請求項1ないし3に係る発明につき、異議の申立てがされ(異議2001-73410号事件)、異議の手続において、原告は平成14年5月28日付けで訂正請求(請求項1、3を削除。請求項2を請求項1に繰り上げ、その特許請求の範囲を減縮。)をしたところ、特許庁は、平成14年8月5日、「訂正を認める。特許第3178802号の請求項1に係る特許を取り消す。」との決定(本件決定)をした(平成14年8月23日原告に謄本送達。)。 (2)原告は、本件決定に対する取消訴訟を提起したが、これとは別に、登録時の請求項1、2についての特許請求の範囲の減縮及び同請求項3の削除を目的とする訂正審判の請求をした(訂正2003-39060号事件)。これに対し、特許庁は、平成15年5月9日、原告の請求どおりに「特許第3178802 いての特許請求の範囲の減縮及び同請求項3の削除を目的とする訂正審判の請求をした(訂正2003-39060号事件)。これに対し、特許庁は、平成15年5月9日、原告の請求どおりに「特許第3178802号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。」との審決(本件訂正審決)をし、その謄本を原告に送達した。 2 特許請求の範囲の記載(1)設定登録時のもの【請求項1】ケーブルを挿通する添架管を並べた添架管群に覆設する構造物であって、該添架管群の両側面及び下面に対面する断熱材を内装した断面略U字状の受溝と該添架管群の上面に対面する断熱材を内装した断面略逆U字状の蓋溝とからなり、受溝と蓋溝とは重なり合う長手方向側面において結合して単位長ボックスを構成し、添架管の延設方向に順次構成する単位長ボックスの受溝同士及び蓋溝同士を重なり合う端部側面において連結してなるケーブルボックス。 【請求項2】添架管の延設方向に順次構成する単位長ボックスの受溝同士又は蓋溝同士の各端面を突合わせ、アダプタ材を端面の突き合う各溝の端部側面間にわたって宛がい、重なり合う各溝の端部側面とアダプタ材の端部側面とをそれぞれネジ止め又はリベット止めすることにより、アダプタ材を介して受溝同士又は蓋溝同士を連結してなる請求項1記載のケーブルボックス。 【請求項3】ケーブルを挿通する添架管を並べた添架管群に対し、まず該添架管群の両側面及び下面に対面する断熱材を内装した断面略U字状の受溝に添架管群を収納し、続いて該添架管群の上面に対面する断熱材を内装した断面略逆U字状の蓋溝を前記受溝に被せ、受溝と蓋溝との重なり合う長手方向側面をネジ止めにより結合して単位長ボックスを構成し、添架管の延設方向に順次構成する前記単位長ボックスの受溝同士及び蓋 内装した断面略逆U字状の蓋溝を前記受溝に被せ、受溝と蓋溝との重なり合う長手方向側面をネジ止めにより結合して単位長ボックスを構成し、添架管の延設方向に順次構成する前記単位長ボックスの受溝同士及び蓋溝同士の重なり合う端部側面をネジ止めにより連結するケーブルボックスの敷設方法。 (2)本件決定時のもの【請求項1】ケーブルを挿通する添架管を並べた添架管群に覆設する構造物であって、該添架管群の両側面及び下面に対面する断熱材を内装した断面略U字状の受溝と該添架管群の上面に対面する断熱材を内装した断面略逆U字状の蓋溝とからなり、受溝と蓋溝とは重なり合う長手方向側面において結合して単位長ボックスを構成し、添架管の延設方向に順次構成する単位長ボックスの受溝同士及び蓋溝同士を重なり合う端部側面において連結してなるケーブルボックスであって、添架管の延設方向に順次構成する単位長ボックスの受溝同士又は蓋溝同士の各端面を突合わせ、各溝の長手方向に延びる長孔を設けたアダブタ材を端面の突き合う各溝の端部側面間にわたって宛がい、重なり合う各溝の端部側面とアダプタ材の端部側面とをそれぞれネジ止め又はリベット止めすることにより、アダプタ材を介して受溝同士又は蓋溝同士を連結してなる、ケーブルボックス。 (3)本件訂正審決による訂正後のもの(下線部は訂正箇所)【請求項1】ケーブルを挿通する添架管(6)を並べた添架管群(5)に覆設する構造物であって、該添架管群(5)の両側面及び下面に対面する断熱材(20)を内装した断面略U字状の受溝(4)と該添架管群(5)の上面に対面する断熱材(18)を内装した断面略逆U字状の蓋溝(3)とからなり、受溝(4)と蓋溝(3)とは重なり合う長手方向側面において結合して単位長ボックス(2)を構成し、添架管(5)の延設方向に順次構成する単 (18)を内装した断面略逆U字状の蓋溝(3)とからなり、受溝(4)と蓋溝(3)とは重なり合う長手方向側面において結合して単位長ボックス(2)を構成し、添架管(5)の延設方向に順次構成する単位長ボックス(2)の受溝(4)同士及び蓋溝(3)同士を重なり合う端部側面において連結してなるケーブルボックス(1)であって、各溝(3,4)それぞれに相似な断面形状に形成した薄板板からなり可撓性を有する蓋アダプタ(7)及び受アダプタ(9)によるアダプタ材に各溝(3,4)の長手方向に延びる長孔(25)を設け、連結させる各ボックスの一方の端部に予め各アダプタ材(7,9)をリベット(8)止め又はネジ(10)止めすることで各アダプタ材(7,9)を各溝(3,4)と一体化し、添架管(6)の延設方向に順次構成する単位長ボックス(2)の受溝(4)同士又は蓋溝(3)同士の各端面を突合わせることにより、該アダプタ材(7,9)を端面の突き合う各溝(3,4)の端部側面間にわたって宛がい、重なり合う蓋溝(3)の端部側面と蓋アダプタ(7)の端部側面とを長孔(25)の位置でネジ(10)止めし、重なり合う受溝(4)の端部側面と受アダプタ(9)の端部側面とを長孔(25)の位置でネジ(10)止めすることにより、アダプタ材(7,9)を介して受溝(4)同士又は蓋溝(3)同士を連結してなる、ケーブルボックス。 【請求項2】添架管群(5)に対面する各断熱材(18,20)の表面には、可撓面材(21)を貼り付けた請求項1記載のケーブルボックス。 3 本件決定の理由の要点本件特許の請求項1に係る発明(前記2の(2)の【請求項1】参照)は、刊行物1(特開昭58-6022号公報)、刊行物2(特開平8-57073号公報)、刊行物3(実開平6-66251号公報)及び周知の技術 特許の請求項1に係る発明(前記2の(2)の【請求項1】参照)は、刊行物1(特開昭58-6022号公報)、刊行物2(特開平8-57073号公報)、刊行物3(実開平6-66251号公報)及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許を取り消す。 第3 原告主張の取消事由本件決定は、決定時の請求項の記載に基づき請求項1に係る発明の要旨を認定し、同請求項に係る特許を取り消すべきものとしたが、本件訂正審決により特許請求の範囲の減縮等を目的とする訂正が認められたので、本件決定は判断の対象たるべき発明の要旨を結果的に誤認したことになる。よって、本件決定は取り消されるべきである。 第4 当裁判所の判断本件証拠及び弁論の全趣旨によれば、原告主張のとおりの事実関係を認めることができるから、原告主張の事由により本件決定は取り消されるべきものであり、本訴請求は理由がある。よって、訴訟費用の負担につき行訴法7条、民訴法62条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官塚原朋一裁判官古城春実裁判官田中昌利
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