平成18(あ)1038 窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
平成18年12月8日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 名古屋高等裁判所 平成17(う)728
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判決文本文1,129 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中110日を本刑に算入する。 理由 弁護人戸塚美砂の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ職権で判断する。 関係証拠によれば,(1)本件検察官調書(第1審甲第87号証)は,野田寛を供述者とするものであるが,末尾には,同調書作成者による「以上のとおり録取して読み聞かせたところ,誤りのないことを申し立てたが,体調不調であると述べ,署名ができない旨申し立てたことから,立会人である供述人の次男の野田勉をして代署させた。」との記載があり,供述者署名欄には,野田勉が代署したと認められる署名と同人が野田寛の印を押なつしたものと認められる印影があり,その後の立会人欄に野田勉の署名及び押印があること,(2)野田寛は,脳こうそくで入院し,退院の約1か月半後の自宅療養中に本件検察官調書の作成に応じたものであって,当時自ら署名押印をすることができない状態にあったこと,(3)第1審裁判所は,公判段階において野田寛が供述不能であったため,刑訴法321条1項2号前段により本件検察官調書を証拠として採用したことが認められる。 供述録取書についての刑訴法321条1項にいう「署名」には,刑訴規則61条の適用があり,代署の場合には,代署した者が代署の理由を記載する必要がある。 しかし,本件検察官調書末尾の上記のような調書作成者による記載を見れば,代署の理由が分かり,また,代署した者は,そのような調書上の記載を見た上で,自己- 2 -の署名押印をしたものと認められるから,本件検察官調書は,実質上,刑訴規則61条の代署方式を履践したのに等しいということができる。したがって,本件の代署をもって,刑訴法3 見た上で,自己- 2 -の署名押印をしたものと認められるから,本件検察官調書は,実質上,刑訴規則61条の代署方式を履践したのに等しいということができる。したがって,本件の代署をもって,刑訴法321条1項にいう供述者の「署名」があるのと同視することができるというべきである。 そうすると,押印の点については判断するまでもなく,本件検察官調書は刑訴法321条1項にいう「署名若しくは押印」の要件を満たしていることになる。したがって,これと同旨の原判決の結論は正当として是認することができる。 よって,刑訴法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官那須弘平裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官田原睦夫)

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