平成31年1月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(行ウ)第455号都市計画事業認可処分取消請求事件口頭弁論終結日平成30年9月25日 主文 1 本件訴えのうち,別紙1原告目録記載79から111までの原告らの請求に係る部分をいずれも却下する。 2 その余の原告らの請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由 第1 請求関東地方整備局長が平成27年1月20日付けで被告参加人に対してした別紙3事業目録記載の都市計画事業の認可(同年2月6日関東地方整備局告示第35号)を取り消す。 第2 事案の概要 本件は,関東地方整備局長が,都市計画法(以下「法」という。)59条2項に基づき,平成27年1月20日付けで,被告参加人(以下「参加人」という。)を施行者とし東京都北区AB丁目(以下「AB丁目」という。)地内を事業地として都市計画道路を設置する旨の別紙3事業目録記載の都市計画事業(以下「本件事業」という。)の認可(同年2月6日関東地方整備局告示第35号。以下「本 件事業認可」という。)をしたところ,事業地の地権者や近隣住民等である原告らが,被告を相手に,本件事業認可の違法を主張して,その取消しを求める事案である。 1 関係法令等の定め本件に関する関係法令等の定めは,別紙4-1~5記載のとおりである。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨 により容易に認められる事実)本件事業の概要ア本件事業の概要は,別紙3事業目録記載のとおりである。具体的には,東京都市計画道路事業補助線街路第86号線(延長約5.9キロメートル。 以下,同路線全体を「本件都市計画道 本件事業の概要ア本件事業の概要は,別紙3事業目録記載のとおりである。具体的には,東京都市計画道路事業補助線街路第86号線(延長約5.9キロメートル。 以下,同路線全体を「本件都市計画道路」という。)のうち,AB丁目地 内を起終点とする延長620メートルの区間(以下「本件事業区間」という。)の道路(以下「本件道路」といい,本件道路に係る都市計画を「本件都市計画」という。)を整備するものであり,これにより,本件事業区間の道路の幅員は,現状の約7メートルから20メートルに拡幅され,2車線の車道部(幅員9メートル)や歩道部等が設けられることとなる(乙 2,4,7,丙6,8の1及び2)。 イ環境影響評価法は,規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものとして政令で定めるものを「第一種事業」とし,これに準ずる規模を有し政令で定めるものを「第二種事業」として,環境影響評価の実施等を事業者に義務付けているところ(2条2項,3項,12条,同 法施行令1条,7条,別表第1),本件道路は,第一種事業及び第二種事業のいずれにも該当しない。 また,東京都環境影響評価条例(昭和55年東京都条例第96号。以下「本件条例」という。丙17)は,道路,河川等の事業でその実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとしてその内容及び規模が東京 都規則で定める要件に該当するものを環境影響評価の対象事業としているところ,同条例施行規則(昭和56年東京都規則第134号。丙18)は,道路(高速自動車国道等を除く。)の新設について,4車線以上であることを上記の対象事業とされるための要件としている(同規則別表第1の1)。本件道路は,本件条例による環境影響評価の対象事業に該当しな い。 当事者 て,4車線以上であることを上記の対象事業とされるための要件としている(同規則別表第1の1)。本件道路は,本件条例による環境影響評価の対象事業に該当しな い。 当事者ア別紙1原告目録(以下,同目録に付された各原告の番号を「原告番号」という。)記載1~7,9~14,18,20,22,27,28,32~34,36,40,42,44~48,51,52,55,57~63,66,69,70の原告らは,本件事業の事業地(以下「本件事業地」と いう。)内の土地又は建物につき所有権等の権利(共有持分権,借地権を含む。建物賃借権を除く。)を有する者である(以下,これらの原告らを「地権者原告ら」といい,その余の原告らを「非地権者原告ら」という。)。 イ原告番号15~17,21,29,35,37~39,41,43,49,50,53,54,56,64,65,71の原告らは,上記アの原 告らとともに本件事業地内の建物に居住している者である。 ウ原告番号23~26,30,31の原告らは,本件事業地内の建物の賃借人として同建物に居住している者である(甲14の12~15,14の18,14の19)。 エ原告番号8の原告は,本件事業地内の土地の使用借人として同土地で駐 車場を経営する者であり(甲15の3,16,19),原告番号19の原告は,本件事業地上の建物の賃借人として同建物において会社を経営する者である(甲15の4の1及び2,20)。 オ原告番号67,68,72~78の原告らは,本件事業地から30メートル以内の地域(本件事業地を除く。)に居住している者である。 カ原告番号79~84の原告らは,AB丁目に隣接するM地区に居住している者である。 キ原告番号85~104,106~111の原告らは,A (本件事業地を除く。)に居住している者である。 カ原告番号79~84の原告らは,AB丁目に隣接するM地区に居住している者である。 キ原告番号85~104,106~111の原告らは,AB丁目地内(本件事業地及び30メートル以内の地域を除く。)に居住している者である。 ク原告番号105の原告は,AB丁目地内(本件事業地及び30メートル 以内の地域を除く。)の建物で行政書士事務所を経営する者である。 本件都市計画に係る経過ア昭和21年東京復興都市計画街路について,内閣総理大臣による追加決定(以下「昭和21年決定」という。)がされた旨が,昭和21年4月25日戦災復興院告示第15号により告示された(甲1の1及び1の2)。なお,昭和2 1年決定の存否及び効力については,後記のとおり当事者間に争いがある。 イ昭和33年建設大臣は,東京都市計画街路の一部路線について変更決定(以下「昭和33年決定」という。)をし,これを昭和33年3月13日建設省告示第317号により告示した。その変更後の計画には,本件事業区間も含ま れていた。(乙22,24)ウ昭和41年建設大臣は,東京都市計画街路のうち89路線を変更し,92路線を都市計画街路として追加する旨の変更決定(以下「昭和41年決定」という。)をし,昭和41年7月30日建設省告示第2428号により告示した(乙 3,丙1)。同決定における変更路線には本件都市計画道路も含まれており,その主な内容は,以下のとおりである(丙2,丙3の1及び2参照)。 起点板橋区CB丁目B番地終点北区AB丁目D番幅員 20メートル 延長 5620メートルエ昭和43年建設大 3の1及び2参照)。 起点板橋区CB丁目B番地終点北区AB丁目D番幅員 20メートル 延長 5620メートルエ昭和43年建設大臣は,東京都市計画街路に係る変更決定(以下「昭和43年決定」という。)をし,昭和43年10月11日建設省告示第3061号により告示した。これにより,本件都市計画道路の一部区間について線形の変更 がされたが,本件事業区間はこれに含まれていない。(丙28~30) オ昭和56年東京都知事は,東京都市計画道路に係る変更決定(以下「昭和56年決定」という。)をし,昭和56年2月10日東京都告示第112号により告示した。これにより,本件都市計画道路の一部について経過位置や延長の変更等がされたが,本件事業区間はこれに含まれていない。(丙25~ 27)カ平成元年東京都副知事(東京都知事代理)は,東京都市計画道路に係る変更決定(以下「平成元年決定」という。)をし,平成元年11月6日東京都告示第1137号により告示した。これにより,本件都市計画道路の一部につ いて区域の変更等がされたが,本件事業区間はこれに含まれていない。(丙4,5)本件事業認可ア本件事業の対象である本件道路は,上記アのとおり,本件都市計画道路の一部であって,本件都市計画道路の終点を含む延長620メートルの 区間(本件事業区間)であり,その終点において国道122号線(北本通り)と接続する。 イ参加人は,平成27年1月14日,関東地方整備局長に対し,法59条2項に基づき,本件道路を都道として整備するとして,自らを施行者とする本件事業の認可の申請をした。その申請書には,「本整備により,交通 の円滑化が図られ 4日,関東地方整備局長に対し,法59条2項に基づき,本件道路を都道として整備するとして,自らを施行者とする本件事業の認可の申請をした。その申請書には,「本整備により,交通 の円滑化が図られるとともに,安全で快適な歩行空間が確保される。また,延焼遮断帯である同区間の整備により地域の防災性が向上する。」と記載されていた。(乙4)ウ関東地方整備局長は,平成27年1月20日付けで,本件事業を認可する旨の決定をし(本件事業認可),同年2月6日にこれを告示した(乙1, 5)。 本件訴えの提起原告らは,平成27年7月27日,本件訴えを提起した。 3 争点本件訴えの適法性(原告適格の有無)本件事業認可の適法性 4 争点に関する当事者の主張の要旨別紙5のとおり(同別紙で使用した略称は本文でも用いることとする。)。 第3 当裁判所の判断当裁判所は,原告番号79から111までの原告らについては,本件事業認可の取消しを求める原告適格を有せず,本件訴えのうち,同原告らの請求に係 る部分は不適法であるから,これらの訴えは却下すべきものであり,その余の原告らの請求については,本件事業認可は適法であると認められるから,これらの請求は棄却すべきものであると判断する。その理由の詳細は,以下のとおりである。 1 争点(本件訴えの適法性〔原告適格の有無〕)について 「法律上の利益を有する者」の判断の枠組み行訴法9条は,取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が, 不特 につき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が, 不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものと いうべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護 された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮し,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性 質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項,平成17年最高裁判決参照)。 本件事業地内の土地又は建物につき所有権等の権利を有する原告ら(地権者原告ら)が本件事業認可の取消しを求める原告適格を有することは,明ら かである(被告及び参加人においてもこれを争っていない。)。 次に,非地権者原告らのうち,地権者原告らとともに本件事業地内の建物に居住している者(前提事実イ),本件事業地内の建物の賃借人として同建物に居住している者(同ウ) れを争っていない。)。 次に,非地権者原告らのうち,地権者原告らとともに本件事業地内の建物に居住している者(前提事実イ),本件事業地内の建物の賃借人として同建物に居住している者(同ウ)については,都市計画事業の認可(本件事業認可)が告示されると,本件事業地内の土地の収用等が可能となり,当該土 地上の建物は移転されることとなるから,その結果,当該建物に居住することができなくなり,その居住の利益を侵害されることとなる。したがって,これらの原告らは,自己の権利若しくは法律上の利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者として,本件事業認可の取消しを求める原告適格を有するものと解される。 また,本件事業地内の土地の使用借人として同土地で駐車場を経営する者及び本件事業地上の建物の賃借人として同建物において会社を経営する者(前提事実エ)についても,上記の土地収用等により使用貸借又は賃貸借の目的を達成することができなくなるから,自己の権利若しくは法律上の利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者として,本件事業認 可の取消しを求める原告適格を有するものと解される。 そこで,以下においては,上記以外の原告ら,すなわち本件事業地の周辺地域に居住している者(前提事実オ~キ)及び周辺地域における建物で事務所を経営する者(同ク。以下,これらを併せて「周辺居住等原告ら」という。)が,本件事業認可の取消しを求める原告適格を有するか否かについて検討する。 ア都市計画に関する法の規定法は,59条の規定による都市計画事業の認可の基準の一つとして,その事業の内容が都市計画に適合することを定めている(61条1号)。 都市計画に関する法の規定をみると,都市計画の基本理念とし の規定法は,59条の規定による都市計画事業の認可の基準の一つとして,その事業の内容が都市計画に適合することを定めている(61条1号)。 都市計画に関する法の規定をみると,都市計画の基本理念として,都市計画は健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきことと し(2条),都市計画の基準に関しては,都市計画が国土形成計画等の計画(当該都市について公害防止計画が定められているときはこれを含む。)に適合するものとし,当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならないとする(13条1項柱書き)とともに,都市施設は適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し, 良好な都市環境を保持するように定めることとしている(同項11号)。 また,法は,都道府県又は市町村が都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは,公聴会の開催等,住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとし(16条1項),都市計画を決定しようとする旨の公告後,関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧に 供された都市計画の案について意見書を提出することができるものとしている(17条2項)。 イ環境基本法,環境影響評価法等の規定本件道路よりも大きい一定規模以上の道路の設置に関しては,環境影響評価法に基づく環境影響評価の実施及び環境影響評価書の作成が義務付 けられ(同法2条2項1号イ,3項,12条1項,21条2項,同法施行 令1条,7条,別表第1),同法の制定の根拠として環境影響評価の推進に係る国の責務を定めた環境の保全に係る環境基本法は,環境の保全に関する施策を推進すること等をもって国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とし(1条),環境の保全上の支 境影響評価の推進に係る国の責務を定めた環境の保全に係る環境基本法は,環境の保全に関する施策を推進すること等をもって国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とし(1条),環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,騒音,振 動等によって人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることを公害と定義し(2条3項),公害を防止するために必要な規制の措置を講ずべきこと(21条1項1号)等を定めている。 そして,参加人においては,環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業の実施が環境に及ぼす影響について事前に調査,予測及び評価を行うこ とを定める本件条例が制定されている。 これらの規定は,都市計画の決定又は変更に際し,環境影響評価等の手続を通じて公害の防止等に適正な配慮が図られるようにすることも,その趣旨及び目的とするものということができる。 ウ都市計画事業の認可に関する法の規定の趣旨及び目的 都市計画事業の認可は,事業の内容が都市計画に適合することを基準としてされるものであるところ,上記アのような都市計画に関する法の規定に加えて,上記イの環境基本法等の規定の趣旨及び目的をも参酌し,併せて,法66条が,認可の告示があったときは,施行者が,事業の概要について事業地及びその付近地の住民に説明し,意見を聴取する等の措置を講 ずることにより,事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならないと規定していることも考慮すれば,都市計画事業の認可に関する法の規定は,事業に伴う大気の汚染,騒音,振動等によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境 を保全するこ 事業に伴う大気の汚染,騒音,振動等によって,事業地の周辺地域に居住する住民に健康又は生活環境の被害が発生することを防止し,もって健康で文化的な都市生活を確保し,良好な生活環境 を保全することも,その趣旨及び目的とするものと解される。 エ事業地の周辺地域に居住する住民の原告適格法又は関係法令に違反した違法な都市計画の決定又は変更を基礎として都市計画事業が認可された場合に,そのような事業に起因する大気の汚染,騒音,振動等による被害を直接的に受けるのは,事業地の周辺の一定範囲の地域に居住する住民に限られ,その被害の程度は,居住地が事業地に接 近するにつれて増大するものと考えられる。また,このような事業地の周辺地域に居住する住民が,当該地域に居住し続けることにより上記の被害を反復,継続して受けた場合,その被害は,これらの住民の健康や生活環境に係る著しい被害にも至りかねないものである。そして,都市計画事業の認可に関する法の規定は,その趣旨及び目的(上記ウ)にかんがみれば, 事業地の周辺地域に居住する住民に対し,違法な事業に起因する大気の汚染,騒音,振動等によってこのような健康又は生活環境に係る著しい被害を受けないという具体的利益を保護しようとするものと解されるところ,上記のような被害の内容,性質,程度等に照らせば,この具体的利益は,一般的公益の中に吸収解消させることが困難なものといわざるを得ない。 以上のような都市計画事業の認可に関する法の規定の趣旨及び目的,これらの規定が都市計画事業の認可の制度を通じて保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,法は,これらの規定を通じて,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,大気 て保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,法は,これらの規定を通じて,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関する事業を規制するとともに,大気の汚染,騒音,振動等によ って健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。したがって,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事業が実施されることにより大気の汚染,騒音,振動等による健康又は 生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業 の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものとして,その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。 オ周辺居住等原告らの原告適格について 道路の周辺に居住する住民が,当該道路の交通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等により健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に 受けるおそれのある者に当たるか否かは,当該住民の居住する地域が上記の著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域であるか否かによって判断すべきものと解される。そして,当該住民の居住する地域がそのような地域であるか否かについては,道路の構造や規模等の具体的な諸条件を考慮に入れた上で,当該住民の居住する地域と当該道路との 距離関係を中心として,社会通念に照らし,合理的に判断すべきものである(最高裁平成元年(行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁,最高裁平成24年(行ヒ)第267号同26年7月29日第三小法廷判決・民集68巻6号620頁参照)。 前提事実アのとお (行ツ)第130号同4年9月22日第三小法廷判決・民集46巻6号571頁,最高裁平成24年(行ヒ)第267号同26年7月29日第三小法廷判決・民集68巻6号620頁参照)。 前提事実アのとおり,本件事業は,本件事業区間の道路の幅員を現 状の約7メートルから20メートルに拡幅し,2車線の車道部等を整備することを内容とするものである。また,本件事業区間の本件事業認可当時の自動車通行量(午前7時から午後7時まで)は470台であるとされる一方,本件事業により,本件道路は,多車線の骨格的な幹線道路を補完する2車線の幹線道路として,一般的に1日につき4000台以 上1万台未満の交通量を許容し得る構造の道路として整備されることとなる(甲18,弁論の全趣旨)。そして,本件事業地から30メートル以内の地域に居住している原告番号67,68,72~78の原告らは,それぞれの居住地が,本件事業地に隣接するか又はこれに準じるといえるほどに近接した地域にあるものといえる(甲16参照)。 このような本件道路の構造及び規模を考慮し,上記原告らの居住する 地域と本件事業地との距離関係に照らすと,上記原告らは,いずれも本件道路の交通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域に居住するものということができ,上記の著しい被害を直接的に受けるおそれのある者に当たると認められるから,本件事業認可の取消しを求める原 告適格を有するものと解するのが相当である。 一方,周辺居住等原告らのうち,上記以外の原告ら(原告番号79~111)については,上記のような本件道路の構造及び規模のほか,これらの原告が居住等する建物の位置関係(前提事実カ~ク,甲16)に照らし,本件道路 等原告らのうち,上記以外の原告ら(原告番号79~111)については,上記のような本件道路の構造及び規模のほか,これらの原告が居住等する建物の位置関係(前提事実カ~ク,甲16)に照らし,本件道路の交通等に起因する大気の汚染,騒音,振動等によ る健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるものと想定される地域に居住するものということはできず,上記の著しい被害を直接的に受けるおそれのある者と認めることはできないから,本件事業認可の取消しを求める原告適格を有すると解することはできない。 小括 以上によれば,原告番号79から111までの原告らについては,本件事業認可の取消しを求める原告適格を有するということはできないから,本件訴えのうち,これらの原告らの請求に係る部分はいずれも不適法というべきである。 2 争点(本件事業認可の適法性)について 認定事実ア昭和21年決定について内閣総理大臣は,昭和21年,旧法(別紙5の2ア参照)に基づき,先に決定された都市計画幹線街路の補助線となるべき街路のうち,最も緊急を要するものと認められる124路線を東京復興都市計画街路として 追加決定(昭和21年決定)し,その旨が同年4月25日戦災復興院告示 第15号により告示された(甲1の1及び2,乙8)。 上記の都市計画のうち,本件都市計画道路に係る部分(路線番号86)は,起点を板橋区E,終点を王子区A町F丁目,幅員を20メートルとするものであった(乙8)。 イ昭和41年決定に至る事情等について 旧法においては,都市計画事業は都市計画審議会の議を経て決定するものとされていた(3条)ところ,東京都では,東京都知事を会長とする東京都市計画地方審議会 決定に至る事情等について 旧法においては,都市計画事業は都市計画審議会の議を経て決定するものとされていた(3条)ところ,東京都では,東京都知事を会長とする東京都市計画地方審議会が設置されていた。同審議会は,昭和32年7月頃,東京都市計画街路調査特別委員会(特別委員会)を設置することを決議し,同委員会に対して東京都市計画街路の全面的改訂及び整備 計画の立案に関する調査研究を委託した。 このような決議に至った背景としては,昭和21年決定に係る都市計画街路について,戦前に決定した計画との調整が行われていないのみならず,戦災復興計画の一環である土地区画整理事業の縮小により,既定の計画どおりに事業を実施することが著しく困難となり,現状のまま長 期間にわたり建築等の制限を行うことは適当でないとされたこと,また,その一方で,自動車交通の激増に対処するため幹線道路を急速に整備する必要や,周辺部の各区の市街地の開発に伴い,細道路網を全面的に整備する必要があったことなどが指摘されている。(丙38) 特別委員会が設置された当時,東京都市計画街路として決定されてい たのは,幹線街路43路線(延長約500キロメートル),補助線街路149路線(延長約540キロメートル),細道路1010路線(延長約1480キロメートル)であったが,その事業の進捗率は,幹線街路が約21パーセント,補助線街路が約12パーセント,細道路網に至っては僅か2パーセントにすぎず,残事業を完成するためには計画を遥か に超えた長年月を要することが予想された。そのため,特別委員会にお ける再検討は,経済的な事業計画を基礎とした能率的な街路網計画の再編成を目的とし,事業計画を数十年以内に限定し得る範囲にとどめるも を要することが予想された。そのため,特別委員会にお ける再検討は,経済的な事業計画を基礎とした能率的な街路網計画の再編成を目的とし,事業計画を数十年以内に限定し得る範囲にとどめるものとして行うものとされた。また,検討項目は,①将来交通量の推定,②建築容積と交通量との関係,③街路網と計画幅員の検討,④高速道路計画との調整,⑤交通処理方式の検討,⑥街路構造の検討,⑦財政計画 の7項目とされた。(丙39) 特別委員会は,その基本構想を「都市構造の都心集中形態を排除するため,衛星都市の建設と併行して,区部については多心形の市街地を醸成するような街路網を編成することとし,おおむね昭和55年の道路交通の需要に応じ得るばかりでなく,今後およそ20ヶ年間で完成するこ とを目途として経済的でしかも能率的な街路計画に再編成すること」として,約9年にわたる審議検討を重ね,昭和38年10月の中間報告(環状6号線と荒川を結ぶ内側の地域の再検討を行ったもの。なお,同地域に関する都市計画の変更決定は,昭和39年2月7日付けで告示された。)を経て,それ以外の地域(環状6号線の外側)についても再検討 を行い,昭和41年4月にこれを終了して最終報告書を取りまとめ,東京都市計画地方審議会に提出した(丙35,42)。 上記の特別委員会による再検討のための資料(昭和41年4月に東京都首都整備局が作成したもの)によれば,東京都内の人口は,昭和21年末時点では約418万人であったが,昭和39年11月末時点では約 1065万人に達していた。 東京都内の自動車保有台数は,昭和21年時点では3万1300台であったが,昭和32年には約34万台となり,昭和39年11月末時点では100万台を超えるなど,当初の予測を上回 65万人に達していた。 東京都内の自動車保有台数は,昭和21年時点では3万1300台であったが,昭和32年には約34万台となり,昭和39年11月末時点では100万台を超えるなど,当初の予測を上回るペースで増加したため,昭和41年時点における将来予測としては,昭和50年に285万 台,昭和55年には321万台に達することが見込まれていた。 また,東京都内の主要交差点約110か所について交通量の推移を見ると,昭和31年から昭和38年までの主要交差点における交通量の伸びは,年間1割強の割合で増加していた。そして,これらの主要交差点を都心部から外周部に至る8地域に分けて考察すると,交通量の伸びは,都心部においては減少傾向にあったのに対し,都心周辺部は増加傾向が 著しく,外周部等は,若干のばらつきはあるものの増加していた。 (以上につき,丙43)特別委員会は,上記のような交通需要予測に基づき,主要方向別の交通需要を推定し,これに対応するための都市高速道路網の拡充強化を考慮して,重要な幹線を選んで強化し,全都的な交通需給関係の均衡を 図るよう編成替えを行うことを主眼とした。その一方,従前の都市計画(幅員8~11メートルの細道路網の計画が100~300メートルの間隔で編成されていた。)については,いずれも戦前に決定されたもので,計画決定の諸要素も当時の社会情勢に必ずしも適応しないため,これらを集約整理して,おおむね500~1000メートル間隔で幅員1 5~18メートルの計画街路を配置することとした。このようにしてまとめられた再検討案では,環状6号線外側における都市計画街路の総延長は約880キロメートルとなり,従前の都市計画における1730キロメートルより約49パーセント減少することとなって,予定し にしてまとめられた再検討案では,環状6号線外側における都市計画街路の総延長は約880キロメートルとなり,従前の都市計画における1730キロメートルより約49パーセント減少することとなって,予定した財政規模におおむね合致することとなった。なお,環状6号線外側の地域に おける補助線街路についてみると,総延長が従前の32.5キロメートルから60.8キロメートル(従前計画で決定されていた補助線26. 5キロメートルのほか,再検討案で新たに追加された10.5キロメートル,及び街路再検討案で細道路網から格上げされた23.6キロメートルを含む。)に増加することとなった。(丙35) 東京都知事は,上記~の特別委員会による再検討の結果を受けて, 昭和41年4月9日付けで,当時の都市計画決定権者であった建設大臣に対し,都市計画の変更決定を求める上申をし,建設大臣は,同月18日頃に東京都市計画地方審議会に付議した上,その答申を受けて,同年7月頃,東京都知事から示された原案のとおり,都市計画街路のうち89路線を変更し,かつ,92路線を都市計画街路として追加する旨の変 更決定(昭和41年決定)を行った。本件都市計画道路も,上記の変更路線の一つとされ,実質的に変更のない区間を含む全区間について,改めて計画線が引き直された。(乙3,25,26,丙1)ウ本件事業認可に至る事情について 東京都においては,その後も新しい道路計画への見直しが課題とされ, 都市防災の強化,都市機能の確保,地域環境の保全,都市空間の確保の4つの基本目標を柱とした見直しの検討がされて,昭和43年決定,昭和56年決定及び平成元年決定が順次行われ(前提事実エ~カ),これらにより,本件都市計画道路の一部について変更されたが 空間の確保の4つの基本目標を柱とした見直しの検討がされて,昭和43年決定,昭和56年決定及び平成元年決定が順次行われ(前提事実エ~カ),これらにより,本件都市計画道路の一部について変更されたが,本件事業区間についての変更はなかった(丙4,5,22,36,37)。 これより後,本件事業認可に至るまで,本件都市計画道路に係る都市計画の変更はされていない(弁論の全趣旨)。 東京都知事は,昭和56年決定の際,おおむね昭和65年までに完成もしくは着手すべき路線を選定し(第一次事業化計画),参加人はこの10年間に,区部において約108キロメートルの都市計画道路を整備 し,完成率は54パーセントとなったが,平成2年度にはこの計画期間が終了することから,平成3年,おおむね平成12年度を目途に優先的に整備すべき路線を選定した(第二次事業化計画)。本件都市計画道路は,第一次事業化計画においては選定されなかったが,第二次事業化計画においては優先的に整備すべき路線に選定された。(丙37,47) 本件整備方針について(丙9,48) a 東京都内の都市計画道路については,上記の第一次及び第二次事業化計画の策定を経て,主要な幹線道路の6割が完成したものの,第二次事業化計画は,その計画期間内にいわゆるバブル経済の崩壊による経済情勢の急激な悪化を受け,その着手率が5割にとどまるなど,当初の目標には及ばなかった。そこで,参加人は,当時の社会情勢を 踏まえ,平成16年3月,区部における都市計画道路全体の新たな整備方針である本件整備方針(丙9。別紙5の2イ参照)を策定した。 本件整備方針の策定に当たっては,都市計画道路の必要性の検証により,緊急的に改善すべき都市課題に対応し 体の新たな整備方針である本件整備方針(丙9。別紙5の2イ参照)を策定した。 本件整備方針の策定に当たっては,都市計画道路の必要性の検証により,緊急的に改善すべき都市課題に対応した優先整備路線(おおむ ね10年間に優先的に整備すべき路線)の選定を行う一方,長期にわたり未着手となっている区間への対応方策(都市計画の見直し等)についても検討を進めた。 上記の検討においては,まず,①自動車交通の混雑緩和への貢献の観点から,将来交通量が1日当たり6000台に満たない区間は交通 機能の面からは必要性が高くない区間であると評価した上で,「1日当たりの区間交通量が6000台以上となる区間」が評価項目に該当するものとした。また,②「都市再生,拠点整備の推進」,③「都市間物流機能の向上」,④「延焼遮断帯の形成,安全な避難路の確保」,⑤「震災時の甚大な被害が想定される地域の防災性向上」,⑥「地球 温暖化の抑制への貢献」の各観点から,それぞれ評価項目を設定して評価を行った。さらに,いずれの評価項目にも該当しない路線を対象として,⑦「バス交通を支える道路網の形成」,⑧「居住環境地区の形成」,⑨「他の都市基盤施設整備との連携」,⑩「地域のまちづくり支援」の各観点からそれぞれ評価項目を設定して評価を行った結果, いずれの評価項目にも該当しないとされた路線を,都市計画見直しの 候補となる路線(以下「都市計画見直し候補路線」という。)として選定した。 b 上記①~⑩に係る評価項目のうち,④「延焼遮断帯の形成,安全な避難路の確保」の観点については,参加人が平成15年10月に策定した「防災都市づくり推進計画(基本計画)」(以下「防災基本計画」 という。)において,震災時の大規模な市街 焼遮断帯の形成,安全な避難路の確保」の観点については,参加人が平成15年10月に策定した「防災都市づくり推進計画(基本計画)」(以下「防災基本計画」 という。)において,震災時の大規模な市街地火災等を防ぐとともに,円滑な避難・救援活動の実施のため,災害に強い都市構造にすべく,広域的な観点から都市の防災上の骨格的なネットワークを形成する骨格防災軸をはじめとして,市街地の延焼を遮断し,かつ避難路や救援活動空間ともなる「延焼遮断帯」の整備を進めるとされていたところ, 上記④に係る評価項目においては,この「延焼遮断帯」として位置付けられている都市計画道路は,都市の防災性を向上させ,安全性を高めるために必要であると評価されるものとしている。 また,⑤「震災時の甚大な被害が想定される地域の防災性向上」の観点からは,防災基本計画では,地域危険度が高く,かつ,特に老朽 化した木造建築物が集積するなど,震災時の甚大な被害が想定される27地域・約6500ヘクタールを「整備地域」(地域危険度のうち,建物倒壊危険度5及び火災危険度5に相当し,老朽木造建物棟数が30棟/ヘクタール以上の町丁目を含み,平均不燃領域率が60パーセント未満である区域及び連たんする区域。なお,地域危険度は,参加 人が5年おきに調査・公表している指標であり,地震に起因する危険度を町丁目ごとに測定し,その度合いを5つのランクに分けて評価したもので,5が最も危険度が高いとされている。丙10)に指定している。上記⑤に係る評価項目においては,こうした地域では,震災時における大規模な市街地火災の延焼防止,消防活動等の救援・救護活 動の空間や安全な避難路の確保等のために道路空間の確保が特に重要 であり,震災時の甚大な被害が想定される整備地 時における大規模な市街地火災の延焼防止,消防活動等の救援・救護活 動の空間や安全な避難路の確保等のために道路空間の確保が特に重要 であり,震災時の甚大な被害が想定される整備地域の内側や外周付近に位置する都市計画道路は,防災性向上のために必要であると評価されるものとしている。 c 参加人は,東京都市計画道路について,上記の方法による検証を行った結果,優先整備路線を選定する一方,上記①~⑩に係るいずれの 評価項目にも該当しない都市計画見直し候補路線として5路線を選定した。 本件道路については,将来交通量推計が1日当たり6000台を下回ったため,上記①「自動車交通の混雑緩和への貢献」の観点に係る評価項目には該当しないとされたものの,本件道路の存する北区A地 域は,防災基本計画における「整備地域」に指定されていることから,上記⑤「震災時の甚大な被害が想定される地域の防災性向上」に係る評価項目に該当するとされ,また,本件道路は防災基本計画における「一般延焼遮断帯」として指定されていることから,上記④「延焼遮断帯の形成,安全な避難路の確保」に係る評価項目にも該当するとさ れた。このため,本件道路は,優先整備路線には選定されなかったものの,都市計画見直し候補路線にも選定されなかった。 d 東京都においては,従来,都市計画道路の計画区間については,原則として法54条各号に該当する場合に建築の許可がされていたところ,本件整備方針においては,上記の制限を一部緩和することとし, 平成16年4月以降は,当該区間の事業の施行が近い将来見込まれていない(優先整備路線に選定されていない)こと,階数が3,高さが10メートル以下であり,かつ,地階を有しないことや,主要構造部が鉄骨造,コンクリートブロ は,当該区間の事業の施行が近い将来見込まれていない(優先整備路線に選定されていない)こと,階数が3,高さが10メートル以下であり,かつ,地階を有しないことや,主要構造部が鉄骨造,コンクリートブロック造,その他これらに類する構造であることなどの要件を満たす場合に,建築の許可をすることとされた。 参加人は,平成22年1月,新たに「防災都市づくり推進計画」を策 定した。本件道路の所在するA地域(北区AB~G丁目,H及びIから成る。なお,AB丁目のうち,本件道路及びその北側部分のみが含まれており,L工場のある南側部分は含まれていない。)は,不燃領域率48パーセント,延焼遮断帯形成率81パーセントであって,老朽木造建築物が密集している地区があり,細街路や狭小敷地が多く建築物の建替 えが進まないなど,防災上の課題を抱えているものとして,引き続き「整備地域」に指定された(甲5,丙10)。 参加人は,平成24年1月,首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ,東京の最大の弱点である木密地域の改善を一段と加速するため,従来よりも踏み込んだ整備促進策を重点的・集中的に講じるこ とが必要であるとして,「木密地域不燃化10年プロジェクト実施方針」(以下「不燃化実施方針」という。)を策定した。同実施方針においては,①不燃化のための特別の支援を行う制度(不燃化推進特定整備地区〔不燃化特区〕)を設けて不燃化を推進するとともに,②延焼遮断帯を形成する都市計画道路の整備を推進するため,路線を指定し,関係権利 者に対して生活再建等のための特別の支援を行う新たな制度(特定整備路線)を設けて都市計画道路の整備を加速することとし,不燃化を一体的に促進させ,より高い施策効果を実現させることとされている。そし 者に対して生活再建等のための特別の支援を行う新たな制度(特定整備路線)を設けて都市計画道路の整備を加速することとし,不燃化を一体的に促進させ,より高い施策効果を実現させることとされている。そして,10年間(平成32年まで)の数値目標として,整備地域における市街地の不燃領域率を70パーセントとすること(既定計画の5年前倒 し)とともに,整備地域における主要な都市計画道路の整備を100パーセント達成することが掲げられた。 そして,特定整備路線の指定については平成25年度以降に順次行われるものとされ,北区内の道路に関する指定の在り方については東京都建設局長から北区長に対して意見が求められた。これに対する平成24 年5月21日付けの北区長の回答では,北区内の整備地域における都市 計画道路合計11路線につき,優先順位1から5までの順位付けがされたところ,整備地域の一つであるA地域に所在する本件道路については,「優先順位2」とされた(なお,上記11路線のうち,優先順位1とされたのは,既に市街地再開発事業の都市計画手続中であったJ・K地域の補助73号線のみであり,優先順位2とされたのも,本件道路のほか は,同地域の補助85号線のみであった。)。参加人は,このような北区長の意見も踏まえ,本件道路を特定整備路線に指定した。 (以上につき,丙11,12,62) 以上の経緯により,参加人は,特定整備路線に指定された本件道路につき,上記不燃化プロジェクトの実施期間内である平成27年1月14 日に本件事業認可に係る申請を行った(乙4)。 昭和21年決定の存否及びその適法性についてア上記認定事実アに関し,原告らは,昭和21年決定が存在しない旨を主張する。しかしながら,前提事実アのとおり 認可に係る申請を行った(乙4)。 昭和21年決定の存否及びその適法性についてア上記認定事実アに関し,原告らは,昭和21年決定が存在しない旨を主張する。しかしながら,前提事実アのとおり,昭和21年決定は,昭和21年4月25日戦災復興院告示第15号により告示されているのである から,同告示の事実をもって,昭和21年決定がされた事実を推認することができる。加えて,昭和21年当時に戦災復興院において作成された資料(乙8)によれば,同年2月27日に内閣総理大臣から,旧法3条の規定により,東京復興都市計画街路(幹線街路)について都市計画東京地方委員会に付議され,同委員会における同年3月2日の議決を経て,同月2 6日にその都市計画決定が告示されたこと,また,同日,上記幹線街路の補助線となるべき街路に係る都市計画の追加決定についても同委員会に付議され,同委員会における同月28日の議決を経て,同年4月25日戦災復興院告示第15号により告示されたことが当時の記録として残されており,これらによれば,同告示に至った手続的経緯も裏付けられているもの といえる。 また,昭和21年決定当時に本件都市計画道路の位置を図面上で具体的に特定した計画図について,その現存は確認されていないものの,昭和21年8月25日に発行された東京都建設局監修の「復興都市計畫一覧圖」(乙23)には,本件都市計画道路と同一番号の路線が記載され,その起点,終点及び幅員は,上記乙8の資料において都市計画の追加決定(昭和 21年決定)の内容として記載されたものと同じであるから,昭和21年決定に係る計画図もこれと同一のものであったと推認することができる。 原告らは,昭和21年決定に係る決定文書や計画図等が現存しないことをもって同決定が存在しな されたものと同じであるから,昭和21年決定に係る計画図もこれと同一のものであったと推認することができる。 原告らは,昭和21年決定に係る決定文書や計画図等が現存しないことをもって同決定が存在しない旨主張するが,以上のような事実関係及び証拠関係に照らせば,これらの書類等の現存が確認されないことを考慮して もなお,昭和21年決定がされた事実は十分に認めることができるというべきであるから,原告らの上記主張は採用することができない。 イまた,原告らは,昭和21年決定は,主務大臣により決定されたものではなく,内閣の認可もされていないから,旧法3条が定める手続を経ていない違法があると主張するが,「都市計画及び同法施行令戦時特例」(臨 時特例)の改正に係る昭和20年勅令第671号(乙14)によれば,戦災地に係る臨時特例の適用について,内務大臣とあるのは内閣総理大臣とするものとされていることから,昭和21年決定当時の東京復興都市計画の決定に係る主務大臣は内閣総理大臣であったものと認められる。したがって,昭和21年決定が内閣総理大臣によりされたことについて,違法が あったとはいえない。 また,臨時特例2条1項1号は,旧法3条の規定による内閣の認可はこれを受けることを要しないと定めており,かかる臨時特例の規定は,昭和20年勅令第671号等による改正の前後を通じて変更がない。したがって,昭和21年決定の当時は,臨時特例の上記規定により都市計画の決定 に内閣の認可は要しないとされていたのであるから,昭和21年決定が内 閣の認可を経ずにされたことが違法であったとはいえない。 ウ以上によれば,昭和21年決定は,有効に存在していたものと認められる。 本件事業認可の前提となる都市計画決定の適法性につ 閣の認可を経ずにされたことが違法であったとはいえない。 ウ以上によれば,昭和21年決定は,有効に存在していたものと認められる。 本件事業認可の前提となる都市計画決定の適法性についてア法は,都市計画事業の認可の基準の一つとして,事業の内容が都市計画 に適合することを掲げているから(61条),都市計画事業の認可が適法であるためには,その前提となる都市計画が適法であることが必要である。 イ本件事業認可の前提とされた都市計画決定について認定事実イによれば,昭和41年決定は,東京都市計画街路の全面的な再検討に基づき,89路線を変更し,92路線を追加したものであっ て,その変更路線の一つである本件都市計画道路については,その全体について計画線が引き直され,計画図(乙25の2)に記載されていることが認められる。そうすると,昭和41年決定は,本件都市計画道路について,本件事業区間のように実質的に変更のない区間も含め,その全体について変更決定をしたものと解される。そして,昭和41年決定 の後,本件事業認可に至るまでの間に本件事業区間について変更決定がされたことはうかがわれない。したがって,本件事業認可をするための要件である都市計画との適合性の判断の対象となるべき都市計画は,昭和41年決定によるものと認めるのが相当である。 そこで,以下,昭和41年決定の適法性について検討する。 昭和41年決定の適法性について旧法は,都市計画決定の実体的要件について規定していないものの,都市計画の定義を「交通,衛生,保安,防空,経済等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ増進スル為ノ重要施設ノ計画」と定めている(1条)。そして,都市施設は,その性質上,土地利用,交通 いものの,都市計画の定義を「交通,衛生,保安,防空,経済等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ増進スル為ノ重要施設ノ計画」と定めている(1条)。そして,都市施設は,その性質上,土地利用,交通等の現状 及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置すること により,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めなければならないものであるから,都市計画に都市施設を定めるに当たっては,当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定めるべきであり,このような見地から都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるには,当該都市施設に関する 諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であるといわざるを得ない。そうすると,このような判断は,これを決定する行政庁の広範な裁量にゆだねられているというべきであって,裁判所が都市施設に関する都市計画の決定又は変更の内容の適否を審査するに当たっては,当該決定又は変更が裁量権の行使とし てされたことを前提として,その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し又はこれ を濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)。 以下,上記の見地に立って,昭和41年決定の内容が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるかについて検討す ヒ)第114号同18年11月2日第一小法廷判決・民集60巻9号3249頁参照)。 以下,上記の見地に立って,昭和41年決定の内容が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるかについて検討する。 前提事実ウのとおり,本件都市計画道路は,昭和41年決定において,板橋区CB丁目B番地を起点とし,北区AB丁目D番地を終点とする,幅員20メートル,延長5620メートルの補助線街路として都市計画決定がされたものである。 そして,認定事実イ及び上記のとおり,本件都市計画道路を含む東 京都市計画街路については,昭和21年に東京復興都市計画街路として 最初の都市計画決定がされたものの,土地区画整備事業の縮小等により規定の計画どおりに事業を実施することが困難となり,その一方で,当時の急速な交通量の増大等に対処する必要も生じたため,経済的な事業計画を基礎とした能率的な街路網計画の再編成を行うべきものとされた。 そして,かかる都市計画街路の全面的な再検討のため,昭和32年7月 頃に設置された特別委員会が約9年をかけて検討を行った結果,都心集中形態を排除するため,区部については多心型の市街地を醸成するような街路網を編成することなどの基本構想のもと,認定事実イのような交通需要予測を踏まえ,主要な各路線に推定される交通需要を配分するなどした結果,環状6号線外側の地域に係る街路網については,従前の 都市計画における総延長約1730キロメートルよりも約49パーセント減少する総延長880キロメートルとなり,予定されていた財政規模におおむね合致するところとなったものである。特に,従前の都市計画において100~300メートルの間隔で編成されていた幅員8~11メートルの細道路網については,全面的に集約整理し, れていた財政規模におおむね合致するところとなったものである。特に,従前の都市計画において100~300メートルの間隔で編成されていた幅員8~11メートルの細道路網については,全面的に集約整理し,おおむね500 ~1000メートル間隔で幅員15~18メートルの街路を配置することとされ,その結果,環状6号線外側の地域に係る補助線街路の総延長は,従前の都市計画における32.5キロメートルから60.8キロメートルに増大することとなった。 昭和41年決定は,以上のような特別委員会における再検討の結果を 踏まえた内容となっているところ,補助線街路に当たる本件都市計画道路についても,このような再検討を経てその必要性が肯定された結果,改めて都市計画決定がされたものと認められる。 そして,特別委員会による上記の再検討の内容は,交通需要予測を踏まえ,必要性の高い路線を都市計画街路として整備すべきものとする一 方,必要性の低い路線については都市計画に定めないこととすることに より,交通量の増大への速やかな対応を適正な予算規模を持って実現しようとするものであって,合理的であるといえる。 なお,上記の再検討の結果,従前の都市計画と比べて補助線街路が大幅に増加しているのは,従前の都市計画における細道路網を全面的に集約整理したことに伴うものであって,不合理であるとはいえない。補助 線街路は,幹線街路の働きを助けて主要交通の処理に当たるとともに,幹線街路に囲まれた区域から発生する交通を速やかに幹線街路網に搬出する役割を担うものとされており,補助線街路の拡充・強化を図ることは,多心型の市街地を醸成するような街路網を編成するという基本構想にも沿うものといえる。 以上によれば,昭和41年決定に る役割を担うものとされており,補助線街路の拡充・強化を図ることは,多心型の市街地を醸成するような街路網を編成するという基本構想にも沿うものといえる。 以上によれば,昭和41年決定に係る都市計画は,当時の社会情勢等を踏まえてその計画の必要性等の検討がされた結果,交通需要予測に応じた都市計画道路の整備の必要性が認められたことによるものであるといえ,その内容に不合理な点は見当たらない。そして,これらの計画のうち,本件都市計画道路に限ってその必要性を否定し得る事情は,本件 証拠上うかがわれない。 したがって,昭和41年決定における本件都市計画道路に係る判断が重要な事実の基礎を欠くということはできず,その内容において社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものということもできないから,昭和41年決定の内容が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものと認め ることはできない。 ウ昭和41年決定後の事情の変化について原告らは,法21条の定めに照らし,都市計画は時代の変遷に合わせてその正当性が検証されなければならず,都市計画決定当時は適法であっても,その後に正当性が失われた場合には,当該都市計画は違法とな るとし,具体的には,①最初に本件都市計画の決定がされた昭和21年 決定は,その前提となる戦災復興計画が既に終了し,今日までに70年の歳月が経過して都市の環境が全く異なっているから,計画自体の必要性及び合理性を失っている,②参加人が平成16年に策定した本件整備方針では,本件道路は優先整備路線に選定されず,本件道路の整備の必要がないものと判断され,事業の実施の見込みがないものとして建築規 制の緩和がされている,③本件道路のあるAB丁目地区の延焼遮断帯形成率は既に北区の目標を達成しているから, ,本件道路の整備の必要がないものと判断され,事業の実施の見込みがないものとして建築規 制の緩和がされている,③本件道路のあるAB丁目地区の延焼遮断帯形成率は既に北区の目標を達成しているから,本件道路を延焼遮断帯として整備する必要性はない,④AB丁目地区は本件道路により分断され,住民らが長い年月をかけて形成してきたコミュニティを破壊することとなるから,本件事業は合理性を欠き,整備の必要性がなく,地域のま ちづくりに反し,住民の意向にも反するものであるから,本件道路はその計画が見直されるべき路線に当たる旨を主張する。 この点,まず,①昭和21年決定の理由とされた戦後復興計画が終了したことを根拠に本件都市計画がその正当性を失ったとする原告らの主張は,本件事業認可が昭和21年決定による都市計画に基づくもので あることを前提としているところ,本件事業認可の要件である都市計画との適合性の判断の対象となるべき都市計画が昭和41年決定によるものであることは,前記イにおいて説示したとおりであるから,原告らの主張はその前提を欠くものであって採用することができない。 次に,本件道路につき都市計画の見直しがされるべきである旨をいう 上記②~④の主張につき検討する。 都市計画決定に係る判断は,決定当時の社会情勢等を基礎として,将来の見通しも考慮し,政策的な観点からされるものであるから,当該都市計画決定後に,見通しと異なる事情の変更等が生じたとしても,そのことから,一旦適法に定められた都市計画が遡って違法になるものとい うことはできない。 しかしながら,都市計画決定後に相当の長期間を経過し,当該都市計画の基礎とされた社会情勢に著しい変化があったこと等により,当該都市計画の必要性や合理性がおよそ失われ できない。 しかしながら,都市計画決定後に相当の長期間を経過し,当該都市計画の基礎とされた社会情勢に著しい変化があったこと等により,当該都市計画の必要性や合理性がおよそ失われ,法21条に基づき当該都市計画を変更すべきことが明白であるといえる事情が存するにもかかわらず,これが変更されないまま事業認可申請に至ったものであることが一見し て明らかであるなどの特段の事情がある場合には,法の趣旨に照らし,当該都市計画決定に基づく事業認可が違法とされる余地があるものと解するのが相当である。 そこで,上記の観点から,昭和41年決定後の社会情勢の変化を踏まえ,本件都市計画の必要性及び合理性がおよそ失われ,本件都市計画を 変更すべきことが明白であるといえる事情が存するか否かについて,以下検討する。 認定事実ウによれば,参加人は,昭和41年決定の後に数次の道路計画の見直しを行ったが,本件都市計画道路が計画から除外されたり,本件事業区間について変更されたりすることはなく,第一次事業化計画の 計画期間の終了に伴い平成3年に策定された第二次事業化計画においては,本件都市計画道路は,おおむね平成12年度を目途に優先的に整備すべき路線に選定されていた。 もっとも,その後のバブル経済の崩壊による経済情勢の悪化を受け,第二次事業化計画の実施が停滞したことから,参加人は,平成16年3 月に本件整備方針を策定し,優先整備路線の選定を行う一方,交通機能,防災機能等の観点から必要性が高いといえない路線を都市計画の見直しの対象とした。ここで,本件道路は,自動車交通の混雑緩和など交通機能の面からは必要性が高いといえない区間と評価されたことから,優先整備路線には選定されなかったものの,本件道路の所在するA地域が, 象とした。ここで,本件道路は,自動車交通の混雑緩和など交通機能の面からは必要性が高いといえない区間と評価されたことから,優先整備路線には選定されなかったものの,本件道路の所在するA地域が, 参加人の策定する防災基本計画において,特に老朽木造建物が集積し, 震災時の甚大な被害が想定される「整備地域」に指定され,本件道路が,震災時における市街地の延焼を遮断し,かつ避難路や救援活動空間ともなる「延焼遮断帯」として位置付けられていたことなどから,延焼遮断帯の形成や安全な避難路の確保,防災性向上の観点からその必要性が認められるとされ,都市計画見直し候補路線には選定されなかった。 その後,参加人は,首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえ,平成24年1月に不燃化実施方針を策定し,市街地の不燃化と延焼遮断帯の形成とを一体的に促進させるという方針をとり,10年間の数値目標として,整備地域における主要な都市計画道路の整備を100パーセント達成することを掲げることとなった。そして,北区内の整備 地域における都市計画道路の優先度について,北区長が本件道路を優先順位2とする意見を述べたことを受け,参加人において本件道路を特定整備路線に指定し,本件事業認可申請をするに至ったものである。 以上の経過によれば,本件道路は,昭和41年決定後も,震災時における市街地の延焼を遮断し,避難路や救援活動空間ともなる「延焼遮断 帯」として位置付けられ,一貫してその必要性が認められてきたのであり,特に,平成24年1月の不燃化実施方針の策定後は,緊急に整備すべき必要性の高い都市計画道路として位置付けられたものである。 そうすると,本件道路に係る本件都市計画について,昭和41年決定後の社会情勢の変化により,都市計画の必要性 の策定後は,緊急に整備すべき必要性の高い都市計画道路として位置付けられたものである。 そうすると,本件道路に係る本件都市計画について,昭和41年決定後の社会情勢の変化により,都市計画の必要性及び合理性がおよそ失わ れ,都市計画を変更すべきことが明白であるといえる事情が存するということはできないから,昭和41年決定に基づいてされた本件事業認可が違法になるということはできない。 これに対し,原告らは,上記ウのとおり,②参加人が平成16年に策定した本件整備方針では,本件道路は優先整備路線に選定されなかっ た旨を主張する。しかしながら,一般に,都市計画道路の整備には相応 の事業期間を費やすこととなり,また財源の確保も必要となることから,その時点における計画の進捗状況等を踏まえ,整備を優先して行う路線を選定しているものであって,本件整備方針における優先整備路線の選定も基本的にこれと異なるものではない。むしろ,本件整備方針の下でも,本件道路が防災上の観点からその必要性を認められていたことは, 上記に説示したとおりである。 原告らは,③本件道路のあるAB丁目地区の延焼遮断帯形成率は既に北区の目標を達成している旨も主張するが,認定事実ウのとおり,整備地域であるA地域に含まれているのは,AB丁目地区のうち本件道路及びその北側部分のみであり,AB丁目全体の延焼遮断帯形成率をいう 原告らの主張は,その前提を異にするものというほかない。また,本件道路が整備地域の一部に含まれていることを不合理と認めるに足りる事情もうかがわれない。 また,原告らは,④本件道路により地域社会が分断され,住民らが長い年月をかけて形成してきたコミュニティが破壊されるなどとも主張す るが,本件道路は,歩道部を含 もうかがわれない。 また,原告らは,④本件道路により地域社会が分断され,住民らが長い年月をかけて形成してきたコミュニティが破壊されるなどとも主張す るが,本件道路は,歩道部を含む全体の幅員が20メートル,車道部の横断距離が9メートルとなることが予定されるところ,これにより直ちに地域社会が分断されるものということはできず,原告らの上記主張は,本件都市計画の見直しをすべき根拠となるものということはできない。 エ小括 以上によれば,本件事業認可の基礎とされた昭和41年決定に違法があるということはできず,また,昭和41年決定後の事情の変化等を踏まえても,これに基づいてされた本件事業認可に違法があるということはできない。 本件事業認可の適法性に関するその余の原告らの主張について ア原告らは,本件事業認可は憲法29条1項等の基本的人権に違反すると 主張するが,かかる主張の実質は,本件事業認可の違法をいうに帰するものと解されるところ,本件事業認可が違法といえないことは上記において説示したとおりである。 また,事業認可に当たり,住民への事前説明や住民の承諾を得ることは法の定める要件とされていないから,この点に関する原告らの主張も採用 することができない。 イ原告らは,本件事業の実施が,L工場の操業に当たり締結された本件各公害防止協定(甲7の1~9)に違反する旨主張する。 しかしながら,都市計画事業の認可の要件に係る法61条の規定その他一切の法令の規定に鑑みても,本件各公害防止協定を遵守することが認可 の要件となるとの定めはない。 そもそも,本件各公害防止協定は,L工場の付近住民と参加人との間(平成10年3月16日に締結された第三次協定後においてはL工場の 防止協定を遵守することが認可 の要件となるとの定めはない。 そもそも,本件各公害防止協定は,L工場の付近住民と参加人との間(平成10年3月16日に締結された第三次協定後においてはL工場の付近住民の代表と参加人及び北区との間)で交わされたもので,第一次協定1条には「L工場の操業に当たっては第2条以下の各条項を厳守して,L工 場附近及び北区内の大気汚染の状況が現在より悪化しないよう自主的に工場操業を管理」する旨が記載されていることからも明らかなように,L工場の操業に関して定められたものであるから,本件事業のような道路拡幅工事について,参加人に何らかの義務を負わせるものとは解し得ない。 そして,第二次協定の前文においては,「公害防止行政はもとより清掃 行政その他のすべての行政部門において公害防止の観点を一体不離のものとし」,「L工場を中心とした北区一体の大気汚染度が更に悪化しないよう,(中略)公害の防止と絶滅をはかる義務を負担し,その実現のために不断の努力を行うことを確認する」旨の記載があり,第三次協定4条2項においては,参加人及び北区は「北区内の大気環境改善のため,これま での施策を一層推進するとともに,実効ある施策を確立するように努め る。」旨の記載があるものの,いずれもその文言上,公害の防止に係る参加人等の一般的な努力義務を定めたものに過ぎず,必要性・合理性の認められる道路拡幅工事を行うことまでを禁止する趣旨のものと解することはできないのであるから,本件事業の施行が本件各公害防止協定に違反するものとはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 以上によれば,原告らの主張するところに鑑みても,本件事業認可について違法があると認めることはできない。 第 とはいえない。 したがって,原告らの上記主張は採用することができない。 以上によれば,原告らの主張するところに鑑みても,本件事業認可について違法があると認めることはできない。 第4 結論 よって,本件訴えのうち,原告番号79から111までの原告らの請求に係る部分は不適法であるから,これらを却下することとし,その余の原告らの請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第51部 裁判長裁判官 清水知恵子 裁判官 進藤壮一郎 裁判官 池田美樹子 別紙1及び別紙2については,記載省略。 (別紙3)事業目録 1 施行者の名称 東京都(参加人) 2 都市計画事業の種類及び名称 東京都市計画道路事業補助線街路第86号線 3 事業施行期間 自平成27年2月6日至平成33年3月31日 4 事業地 収用の部分 東京都北区AB丁目地内 使用の部分なし (別紙4-1) ○ 旧都市計画法(大正八年法律第三十六号。昭和四十二年法律第七十五号による改正前のもの) 第一条 本法ニ於テ都市計画ト称スルハ交通、衛生、保安、防空、経済等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ増進スル為ノ重要施設ノ計画ニシテ市若ハ主務大臣ノ指定スル町 等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ増進スル為ノ重要施設ノ計画ニシテ市若ハ主務大臣ノ指定スル町村ノ区域内ニ於テ又ハ其ノ区域外ニ亙リ執行スヘキモノヲ謂フ 第三条 都市計画、都市計画事業及毎年度執行スヘキ都市計画事業ハ都市計画審議会ノ議ヲ経テ主務大臣之ヲ決定シ内閣ノ認可ヲ受クヘシ (別紙4-2) ○ 都市計画法及同法施行令戦時特例(昭和十八年勅令第九百四十一号。昭和二十年勅令第六百七十一号による改正後のもの。都市計画法施行令〔昭和四十四年政令第百五十八〕により廃止) 第一条 戦時行政特例法及許可認可等臨時措置法ノ規定ニ基ク都市計画法ノ特例並ニ大東亜戦争中に於ケル都市計画法施行令ノ特例ハ本令ノ定ムルニ依ル 第二条 左ニ掲グル認可又ハ許可ハ之ヲ受クルヲ要セズ 一 法第三条ノ規定ニ依ル内閣ノ認可 二~六(略) (略) (別紙4-3) ○ 都市計画法 (目的) 第一条 ル内閣ノ認可 二~六(略) (略) (別紙4-3) ○ 都市計画法 (目的) 第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 (都市計画の基本理念) 第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。 (都市計画基準) 第十三条 都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む。次項において同じ。)は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画に基づいて策定されるものとする。 は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは、当該公害防止計画を含む。 第三項において同じ。 )及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。 この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない。 一~十(省略) 十一 都市施設は、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持する 案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めること。 この場合において、市街化区域及び区域区分が定められていない都市計画区域については、少なくとも道路、公園及び下水道を定めるものとし、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域及び田園住居地域については、義務教育施設をも定めるものとする。 十二~十九(省略) ~ (省略) (公聴会の開催等) 第十六条 都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項につい ずるものとする。 都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする。 市町村は、前項の条例において、住民又は利害関係人から地区計画等に関する都市計画の決定若しくは変更又は地区計画等の案の内容となるべき事項を申し出る方法を定めることができる (都市計画の案の縦覧等) (別紙4-3) 第十七条 都道府県又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該都市計画の案を、当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。 前項の規定による公告があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期 ばならない。 前項の規定による公告があつたときは、関係市町村の住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された都市計画の案について、都道府県の作成に係るものにあつては都道府県に、市町村の作成に係るものにあつては市町村に、意見書を提出することができる。 ~ (省略) (都市計画の変更) 第二十一条 都道府県又は市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域が変更されたとき、第六条第一項若しくは第二項の規定による都市計画に関する基礎調査又は第十三条第一項第十九号に規定する政府が行う調査の結果都市計画を変更する必要が明らかとなつたとき、遊休土地転換利用促進地区に関する都市計画についてその目的が達成されたと認めるとき、その他都市計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく、当該都市計画を変更しなければならない。 (省略) (施行者) 第五十九条 都市計画事業は、市町村が、都道 計画を変更しなければならない。 (省略) (施行者) 第五十九条 都市計画事業は、市町村が、都道府県知事(第一号法定受託事務として施行する場合にあつては、国土交通大臣)の認可を受けて施行する。 都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合においては、国土交通大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。 ~ (略) (認可又は承認の申請の義務等) 第六十条の二 施行予定者は、当該都市施設又は市街地開発事業に関する都市計画についての第二十条第一項の規定による告示(施行予定者が定められていない都市計画がその変更により施行予定者が定められているものとなつた場合にあつては、当該都市計画についての第二十一条第二項において準用する第二十条第一項の規定による告示)の日から起算して二年以内に、当該都市計画施設の整備に関する事業又は市街地開発事業につ 規定による告示)の日から起算して二年以内に、当該都市計画施設の整備に関する事業又は市街地開発事業について第五十九条の認可又は承認の申請をしなければならない。 前項の期間内に同項の認可又は承認の申請がされなかつた場合においては、国土交通大臣又は都道府県知事は、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。 (認可等の基準) 第六十一条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当するときは、第五十九条の認可又は承認をすることができる。 一 事業の内容が都市計画に適合し、かつ、事業施行期間が適切であること。 二 事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があつたこと又はこれらの処分がされることが確実であること。 (都市計画事業の認可等の告示) 第六十二条 国 こと又はこれらの処分がされることが確実であること。 (都市計画事業の認可等の告示) 第六十二条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第五十九条の認可又は承(別紙4-3) 認をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行者の名称、都市計画事業の種類、事業施行期間及び事業地を告示し、かつ、国土交通大臣にあつては関係都道府県知事及び関係市町村長に、都道府県知事にあつては国土交通大臣及び関係市町村長に、第六十条第三項第一号及び第二号に掲げる図書の写しを送付しなければならない。 市町村長は、前項の告示に係る事業施行期間の終了の日又は第六十九条の規定により適用される土地収用法第三十条の二の規定により準用される同法第三十条第二項の通知を受ける日まで、国土交通省令で定めるところにより、前項の図書の写しを当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。 (事業の施行について周知さ 書の写しを当該市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。 (事業の施行について周知させるための措置) 第六十六条 前条第一項に規定する告示があつたときは、施行者は、すみやかに、国土交通省令で定める事項を公告するとともに、国土交通省令で定めるところにより、事業地内の土地建物等の有償譲渡について、次条の規定による制限があることを関係権利者に周知させるため必要な措置を講じ、かつ、自己が施行する都市計画事業の概要について、事業地及びその附近地の住民に説明し、これらの者から意見を聴取する等の措置を講ずることにより、事業の施行についてこれらの者の協力が得られるように努めなければならない。 (都市計画事業のための土地等の収用又は使用) 第六十九条 都市計画事業については、これを土地収用法第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。 第七十条 都市計画事業 第三条各号の一に規定する事業に該当するものとみなし、同法の規定を適用する。 第七十条 都市計画事業については、土地収用法第二十条(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。 )の規定による事業の認定は行なわず、第五十九条の規定による認可又は承認をもつてこれに代えるものとし、第六十二条第一項の規定による告示をもつて同法第二十六条第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。 )の規定による事業の認定の告示とみなす。 (省略) (別紙4-4) ○ 環境基本法 (目的) 第一条 この法律は、環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福 合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。 この法律において「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。 第二十一条第一項第一号 大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第二十一条第一項第一号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。 (国の責務) 第六条 国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 (地方公共団体の責務) 第七条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 第十五条 の地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 第十五条 政府は、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱 二 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 環境大臣は、中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 環境大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、環境基本計画を公表しなければならない。 前二項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。 (公害防止計画の作成) 第十七条 都道府県知事は、次のいずれ 環境基本計画の変更について準用する。 (公害防止計画の作成) 第十七条 都道府県知事は、次のいずれかに該当する地域について、環境基本計画を基本として、当該地域において実施する公害の防止に関する施策に係る計画(以下「公害防止計画」という。)を作成することができる。 一 現に公害が著しく、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難であると認められる地域 二 人口及び産業の急速な集中その他の事情により公害が著しくなるおそれがあり、かつ、公害の防止に関する施策を総合的に講じなければ公害の防止を図ることが著しく困難になると認められる地域 (公害防止計画の達成の推進) 第十八条 国及び地方公共団体は、公害防止計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。 (環境の保全上の支障を防止するための規制) 第二十一条 国は、環境の保全上の支障を るものとする。 (環境の保全上の支障を防止するための規制) 第二十一条 国は、環境の保全上の支障を防止するため、次に掲げる規制の措置を講じなければならない。 一 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染又は悪臭の原因となる物質の排出、騒音又は振動の発生、地盤の沈下の原因となる地下水の採取その他の行為に関し、事業者等の遵守すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置 二~五(省略) (省略) (別紙4-5) ○ 環境影響評価法 (目的) 第一条 この法律は、土地の形状の変更、工作物の新設等の事業を行う事業者がその事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、環境影響評価について国等の責務を明らかにするとともに、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための く環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定め、その手続等によって行われた環境影響評価の結果をその事業に係る環境の保全のための措置その他のその事業の内容に関する決定に反映させるための措置をとること等により、その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において「環境影響評価」とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む。 )並びに工作物の新設及び増改築をいう。 以下同じ。 )の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生 ることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む。 以下単に「環境影響」という。 )について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう。 この法律において「第一種事業」とは、次に掲げる要件を満たしている事業であって、規模(形状が変更される部分の土地の面積、新設される工作物の大きさその他の数値で表される事業の規模をいう。 次項において同じ。 )が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。 一 次に掲げる事業の種類のいずれかに該当する一の事業であること。 イ 高速自動車国道、一般国道その他の道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条 一の事業であること。 主文 高速自動車国道、一般国道その他の道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路その他の道路の新設及び改築の事業 理由 次のいずれかに該当する事業であること。 イ 法律の規定であって政令で定めるものにより、その実施に際し、免許、特許、許可、認可、承認若しくは同意又は届出(当該届出に係る法律において、当該届出に関し、当該届出を受理した日から起算して一定の期間内に、その変更について勧告又は命令をすることができることが規定されているものに限る。ホにおいて同じ。)が必要とされる事業(ホに掲げるものを除く。) ロ 国の補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三十年法律第百七十九号)第二条第一項第一号の補助金、同項第二号の負担金及び同項第四号の政令で定める給付金のうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)の交付の対象となる事業(イ) び同項第四号の政令で定める給付金のうち政令で定めるものをいう。以下同じ。 主文 特別の法律により設立された法人(国が出資しているものに限る。)がその業務として行う事業(イ及びロに掲げるものを除く。) 理由 国が行う事業(イ及びホに掲げるものを除く。) 事実 国が行う事業のうち、法律の規定であって政令で定めるものにより、その実施に際し、免許、特許、許可、認可、承認若しくは同意又は届出が必要とされる事業 この法律において「第二種事業」とは、前項各号に掲げる要件を満たしている事業であって、第一種事業に準ずる規模(その規模に係る数値(別紙4-5)の第一種事業の規模に係る数値に対する比が政令で定める数値以上であるものに限る。)を有するもののうち、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定(以下単に「判定」という。)を第四条第一項各号に定め 程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの判定(以下単に「判定」という。 )を第四条第一項各号に定める者が同条の規定により行う必要があるものとして政令で定めるものをいう。 この法律において「対象事業」とは、第一種事業又は第四条第三項第一号(第三十九条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。 )の措置がとられた第二種事業(第四条第四項(第三十九条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。 )及び第二十九条第二項(第四十条第二項の規定により読み替えて適用される場合を含む。 )において準用する第四条第三項第二号の措置がとられたものを除く。 )をいう。 この法律(この章を除く。 )において「事業者」とは、対象事業を実施しようとする者(国が行う対象事業にあっては当該対象事業の実施を担当する行政機関(地方支分部局を含む。 )の長、委託に係る対象事業にあってはその委託をしようとする者)をい する行政機関(地方支分部局を含む。 )の長、委託に係る対象事業にあってはその委託をしようとする者)をいう。 (国等の責務) 第三条 国、地方公共団体、事業者及び国民は、事業の実施前における環境影響評価の重要性を深く認識して、この法律の規定による環境影響評価その他の手続が適切かつ円滑に行われ、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、又は低減することその他の環境の保全についての配慮が適正になされるようにそれぞれの立場で努めなければならない。 (環境影響評価の実施) 第十二条 事業者は、前条第一項の規定により選定した項目及び手法に基づいて、第二条第二項第一号イからワまでに掲げる事業の種類ごとに主務省令で定めるところにより、対象事業に係る環境影響評価を行わなければならない。 前条第四項の規定は、前項の主務省令について準用する。 この場合において、同条第四項中「環境影響評価の項目並びに当 の規定は、前項の主務省令について準用する。 この場合において、同条第四項中「環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針」とあるのは、「環境の保全のための措置に関する指針」と読み替えるものとする。 (評価書の作成) 第二十一条 事業者は、前条第一項、第四項又は第五項の意見が述べられたときはこれを勘案するとともに、第十八条第一項の意見に配意して準備書の記載事項について検討を加え、当該事項の修正を必要とすると認めるとき(当該修正後の事業が対象事業に該当するときに限る。 )は、次の各号に掲げる当該修正の区分に応じ当該各号に定める措置をとらなければならない。 一 第五条第一項第二号に掲げる事項の修正(事業規模の縮小、政令で定める軽微な修正その他の政令で定める修正に該当するものを除く。 ) 同条から第二十七条までの規定による環境影響評価その他の手続 政令で定める修正に該当するものを除く。 ) 同条から第二十七条までの規定による環境影響評価その他の手続を経ること。 二 第五条第一項第一号又は第十四条第一項第二号から第四号まで、第六号若しくは第八号に掲げる事項の修正(前号に該当する場合を除く。 ) 次項及び次条から第二十七条までの規定による環境影響評価その他の手続を行うこと。 三 前二号に掲げるもの以外のもの 第十一条第一項及び第十二条第一項の主務省令で定めるところにより当該修正に係る部分について対象事業に係る環境影響評価を行うこと。 事業者は、前項第一号に該当する場合を除き、同項第三号の規定によ(別紙4-5) る環境影響評価を行った場合には当該環境影響評価及び準備書に係る環境影響評価の結果に、同号の規定による環境影響評価を行わなかった場合には準備書に係る環境影響評価の結果に係る次に掲げる事項を記載した環境影響評価書(以下第二十六条まで、第 は準備書に係る環境影響評価の結果に係る次に掲げる事項を記載した環境影響評価書(以下第二十六条まで、第二十九条及び第三十条において「評価書」という。)を、第二条第二項第一号イからワまでに掲げる事業の種類ごとに主務省令で定めるところにより作成しなければならない。 主文 第十四条第一項各号に掲げる事項 理由 第十八条第一項の意見の概要 事実 前条第一項の関係都道府県知事の意見又は同条第四項の政令で定める市の長の意見及び同条第五項の関係都道府県知事の意見がある場合にはその意見 争点 前二号の意見についての事業者の見解 判断 (免許等を行う者等への送付) 第二十二条 事業者は、評価書を作成したときは、速やかに、次の各号に掲げる評価書の区分に応じ当該各号に定める者にこれを送付しなければならない。 一 第二条第二項第二号イに該当する対象事業(免許等に係るものに限る。)に係る評価書 当該免許等を行う者 二 第二条第二項第二号ロに該当する対象事業に係る評価書 当該事業を行う者 二号イに該当する対象事業(免許等に係るものに限る。)に係る評価書 当該免許等を行う者 第二条第二項第二号イに該当する対象事業(特定届出に係るものに限る。)に係る評価書 当該特定届出の受理を行う者 第二条第二項第二号ロに該当する対象事業に係る評価書 交付決定権者 第二条第二項第二号ハに該当する対象事業に係る評価書 法人監督者 第二条第二項第二号ニに該当する対象事業に係る評価書 第四条第一項第四号に定める者 第二条第二項第二号ホに該当する対象事業に係る評価書 第四条第一項第五号 (免許等に係る環境の保全の配慮についての審査等) 第三十三条 対象事業に係る免許等を行う者は、当該免許等の審査に際し、評価書の記載事項及び第二十四条の書面に基づいて、当該対象事業につき、環境の保全についての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査しなければならない。 ~ (省略) 第四十条 ついての適正な配慮がなされるものであるかどうかを審査しなければならない。 ~ (省略) 第四十条 第二種事業(対象事業であるものに限る。 以下この項及び第四十四条第三項において同じ。 )が市街地開発事業として都市計画法の規定により都市計画に定められる場合における当該第二種事業又は第二種事業に係る施設が都市施設として同法の規定により都市計画に定められる場合における当該都市施設に係る第二種事業については、第五条から第三十八条までの規定により行うべき環境影響評価その他の手続は、次項、第四十一条、第四十三条、第四十四条及び第四十六条に定めるところにより、当該都市計画に係る都市計画決定権者が当該第二種事業に係る事業者に代わるものとして、当該第二種事業又は第二種事業に係る施設(以下「第二種事業等」という。 )に関する都市計画の決定又は変更をする手続と併せて行うものとする。 この場合において、第五条第二項、 。 )に関する都市計画の決定又は変更をする手続と併せて行うものとする。 この場合において、第五条第二項、第十四条第二項並びに第三十条第一項第三号及び第二項の規定は、適用しない。 (省略) (対象事業等を定める都市計画に係る手続に関する都市計画法の特例) 第四十二条 前条第二項又は第三項の規定により準備書を都市計画の案と(別紙4-5) 併せて縦覧に供する場合における当該都市計画の案についての都市計画法第十七条第一項及び第二項(同法第二十一条第二項において準用する場合及び同法第二十二条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。 )の規定の適用については、同法第十七条第一項中「二週間」とあるのは「一月間」と、同条第二項中「縦覧期間満了の日」とあるのは「縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日」とする。 都市計画決定権者は、対象事業等を都市計画に定めようとするときは、都市計画法に 過する日」とする。 都市計画決定権者は、対象事業等を都市計画に定めようとするときは、都市計画法に定めるところによるほか、第四十条第二項の規定により読み替えて適用される第二十七条の評価書(次項において「評価書」という。 )に記載されているところにより当該都市計画に係る対象事業の実施による影響について配慮し、環境の保全が図られるようにするものとする。 (省略) (別紙5)争点に関する当事者の主張の要旨 1 争点(本件訴えの適法性〔原告適格の有無〕)について被告及び参加人の主張の要旨 ア 「法律上の利益を有する者」の意義行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)9条1項にいう「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者のことをいい,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中 に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,かかる利益も法律上保護された利益に当たると解される(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁〔以下「平成17年最高裁判決」という。〕参照)。 イ非地権者原告らに原告適格がないこ 解される(最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁〔以下「平成17年最高裁判決」という。〕参照)。 イ非地権者原告らに原告適格がないこと都市計画事業の認可に関する法の規定の趣旨及び目的,これらの規定が都市計画事業の認可の制度を通して保護しようとしている利益の内容及び性質等を考慮すれば,法は,これらの規定を通じて,都市の健全な発展と秩序ある整備を図るなどの公益的見地から都市計画施設の整備に関す る事業を規制するとともに,騒音,振動等によって健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある個々の住民に対して,そのような被害を受けないという利益を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むと解するのが相当である。 したがって,都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち当該事 業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著 しい被害を直接的に受けるおそれのある者は,当該事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として,その取消訴訟における原告適格を有するものと解される。 そして,東京都内における都市計画事業の認可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するか否かの判断については,当該取消しを求める者の 住所地と事業地との距離関係などに加えて,本件条例が,対象事業を実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域として計画段階関係地域(本件条例2条9号)及び事業段階関係地域(同条10号。以下,これらの地域を併せて「関係地域」という。)を定めることから,当該取消しを求める者が関係 地域内に居住するか否かによって判断するの (本件条例2条9号)及び事業段階関係地域(同条10号。以下,これらの地域を併せて「関係地域」という。)を定めることから,当該取消しを求める者が関係 地域内に居住するか否かによって判断するのが相当である。 なお,平成17年最高裁判決は,都市計画事業の認可の取消訴訟と事業地の周辺住民の原告適格について,平成10年東京都条例第107号による改正前の本件条例2条5号の規定する関係地域外に居住する者の原告適格を否定している。 本件道路は2車線の道路であり,本件条例の対象事業に該当しないため,関係地域も定められていない。すなわち,事業地内の不動産につき所有権等の権利を有していない非地権者原告らについては,本件事業が実施されることにより騒音,振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれがあるとはいえず,本件訴えに係る原告適格を有しな い。 原告らの主張の要旨ア平成17年最高裁判決の事案と本件では鉄道事業と道路事業という違いがあるだけで,基本的には同様であり,ただ,後者は騒音,振動だけではなく自動車排ガスによる大気汚染も重要な要素となるほか,道路の拡幅による 事業地周辺地域の生活環境が大きく変わることも重視しなければならない。 また,後記2エの各公害防止協定(以下「本件各公害防止協定」という。)は,厳密には法令ではないが,行訴法9条2項の趣旨から同協定の趣旨及び目的も参酌すべきであり,同協定により参加人が直接住民に公害防止の義務を負っていることを重視すべきである。以上から,本件訴えの原告適格の有無は,本件事業が実施されることにより騒音,振動,大気汚染等による健康 又は生活環境に係る著しい被害を直接に受けるおそれのある個々の住民が,そのような被害を受けないという個々 訴えの原告適格の有無は,本件事業が実施されることにより騒音,振動,大気汚染等による健康 又は生活環境に係る著しい被害を直接に受けるおそれのある個々の住民が,そのような被害を受けないという個々人の個別的利益を有することを基準に考えるべきである。 イ本件事業地内に「居住」又は「事務所等で営業」する原告ら(原告番号1~66の原告ら)に原告適格が認められることは明らかである。 AB丁目内に「居住」又は「事務所等で営業」する原告ら(原告番号67~78,85~111の原告ら)は,本件事業地を含む一定の生活圏内にあり,本件事業により,「午前7時から午後7時までの12時間調査」で470台しか自動車が通らなかった本件道路が,1万台まで通行可能になるというのであるから,本件道路の拡幅により大気汚染,騒音,振動の 影響による著しい被害を直接に受ける。また,AB丁目の生活環境が南北に分断されることによる影響を受ける上,本件事業の施行が,本件各公害防止協定に定める参加人の義務に直接違反することを併せ考えれば,上記原告らの原告適格を認めるべきである。 AB丁目に接する地域であるMB丁目に居住している原告ら(原告番号 79~84の原告ら)は,距離的にいえば上記の原告らと全く同じ公害及び生活環境の影響を受ける以上,同様に原告適格を認めるべきである。 2 争点(本件事業認可の適法性)について原告らの主張の要旨ア本件事業認可の前提となるべき都市計画決定の不存在の違法 都市計画は多くの国民の権利侵害を必然的に伴うものであるから,その 決定過程及び結果については図面及び文書として記録,保存され,国民に周知させるために計画内容が縦覧されるものである。しかるに,昭和21年決定は,都市計画決定 伴うものであるから,その 決定過程及び結果については図面及び文書として記録,保存され,国民に周知させるために計画内容が縦覧されるものである。しかるに,昭和21年決定は,都市計画決定がされたことを示す図面と文書(当該決定がされたのであれば当然存在するはずの決定図書)が存在せず,法律上の要件であるこれら図面等の縦覧もされていない。これでは都市計画道路の起点や 終点も分からず,決定日すら判然としないものであるから,本件事業認可に係る都市計画は現実には存在しないというべきであり,本件事業認可は都市計画決定がないままされた違法なものである。 被告が指摘する昭和21年決定に係る文書(乙8)は,単なる行政上の内部文書にすぎず,都市計画の基となった書類ではない。 また,旧都市計画法(大正8年法律第36号。昭和42年法律第75号による改正前のもの。なお,旧都市計画法は都市計画法〔昭和43年法律第100号〕の施行により廃止された。以下「旧法」という。)3条では「主務大臣之レヲ決定シ内閣ノ認可ヲ受クベシ」とされているにもかかわらず,昭和21年決定は,主務大臣による決定がされたものではなく, 内閣の認可もされておらず,当時の決定手続を経ていない違法がある。 被告は,本件の審理の対象は昭和41年決定であると主張するが,都市計画の変更決定は,変更前の都市計画の内容を前提として積み重なっていくものであるから,当初の都市計画が不存在であり,又は法的瑕疵により違憲・違法であれば,その後の変更決定も違憲・違法となることは当然の 帰結である。 昭和41年決定においては,本件事業区間について具体的に検討された形跡もないのであるから,同決定は,本件道路に関する都市計画決定とは評価できないものである。 そして,都市計画 帰結である。 昭和41年決定においては,本件事業区間について具体的に検討された形跡もないのであるから,同決定は,本件道路に関する都市計画決定とは評価できないものである。 そして,都市計画事業の認可申請があった場合,事業の内容が都市計画 に適合していない限り,当該申請を認可することはできない(法61条) ところ,本件では昭和21年決定に係る決定書や関係図書が存在せず,都市計画決定された道路の位置などが分からない以上,上記の適合性を判断できるはずがなく,本件事業認可は上記の適合性の判断を欠いてされた違法なものである。 イ昭和21年決定は正当性を喪失していること 法21条の定めに照らせば,都市計画は絶えず時代の変遷に合わせてその正当性が検証されなければならず,決定当時は適法であったとしても,後にその正当性が失われた場合は,当該都市計画は違法となる。 戦災復興のために計画された昭和21年決定に係る都市計画は,その前提となる戦災復興計画が既に終了し,今日までに70年の歳月が経過して, 人口,交通量,建物など都市の環境が全く異なっているから,既に計画自体の必要性,合理性を失っている。 参加人は平成16年3月に「区部における都市計画道路の整備方針」(以下「本件整備方針」という。)を定め,「優先整備路線」を選定したが,本件道路は優先整備路線に選定されていない。これは,自動車交通の円滑 化,防災性の向上などの観点からも整備の必要がないと判断されたからにほかならない。 他方,本件道路付近の土地については,事業の実施が見込まれないことから建築規制が緩和されている。このように,本件道路の整備の必要が乏しいことは10年前から参加人も北区も認めていたもので,原告らの一部 は既に建物の建て ついては,事業の実施が見込まれないことから建築規制が緩和されている。このように,本件道路の整備の必要が乏しいことは10年前から参加人も北区も認めていたもので,原告らの一部 は既に建物の建て直しや増築を行っており,今となって突然住民に立ち退きを求め道路整備を行う理由はない。 本件事業はAB丁目に延焼遮断帯を設けることが主要な目的とされているところ,既にAB丁目の南端に幅員18メートル余の道路が存在し,当該道路の南北には公園やアパート等の不燃化建物が存在しており,あえ て多くの住民の財産権を侵害し,本件道路を新しく整備する必要性はない。 また,本件道路のあるAB丁目は,平成24年における不燃領域率が60.1パーセントであり,参加人が基準とする不燃領域率60パーセントを超えているため,本来不燃化事業を行う必要性も存在しないし,本件道路を整備しても不燃領域率は0.8パーセントしか改善しない。北区内の整備地域における延焼遮断帯形成率は,平成37年の目標値が75パーセ ントとされているところ,A地域では平成18年にすでに81パーセントであり,目標を達成しているのであるから,本件道路は防災上の観点からも整備の必要性がない。 本件事業認可により,AB丁目は道路により分断され,原告ら住民が長い年月をかけて形成してきた地域コミュニティーが破壊されることが決 定的となる。また,本件事業認可の道路予定地も地域住民のコミュニケーションの場として,日常的に生活道路として親しまれているものであり,これを20メートルに拡幅する必要は全くない。 本件事業認可に当たっては,AB丁目内の地域コミュニティーについて何らの考慮もされておらず,事業は合理性を欠き,許されない。 国土交通省は,地方公共団体において,都市 必要は全くない。 本件事業認可に当たっては,AB丁目内の地域コミュニティーについて何らの考慮もされておらず,事業は合理性を欠き,許されない。 国土交通省は,地方公共団体において,都市施設の必要性を吟味し,必要性が低下した都市施設に係る計画を廃止・変更する見直しの取組みが不足していることを指摘した上で,道路整備によるまちづくりへの影響,沿道住民の意向等を検討要素として,地方公共団体に対し都市計画道路の見直しを求めていた(甲25,28)。しかるに,参加人が廃止した路線の 延長はわずか1.8キロメートルであり,都市計画道路全体のわずか0. 2パーセントにとどまる。本件道路は,地域のまちづくりに反し,住民の意向にも反するものであるから,計画が見直されるべき路線に該当する。 ウ本件事業認可が憲法等に違反すること前記アのとおり都市計画決定を欠いたまま本件事業認可がされたことは, 原告らの財産権を侵害し,憲法29条1項等の基本的人権保障規定に違反す る。また,住民に事前の説明がなく,住民の承諾もないまま本件事業認可により工事を行わせることは,現憲法の下で施行された都市計画法にも違反する。 さらに,前記イのとおり無用の工事を認可したことは,財産権,居住権,環境権及び自己が決めた地で働く権利を侵害し,憲法13条,22条等に違 反する。 エ本件事業認可が本件各公害防止協定に違反すること東京都北区Aを中心とする住民6211名は,昭和39年4月,東京都L工場(以下,単に「L工場」という。)の設置に関する取消訴訟を提起したが,参加人と協議の上,昭和43年8月7日,同工場の公害防止等を目的と する公害防止協定(以下「第一次協定」という。甲7の1,2)を締結し,その後,昭和45年5月に第 関する取消訴訟を提起したが,参加人と協議の上,昭和43年8月7日,同工場の公害防止等を目的と する公害防止協定(以下「第一次協定」という。甲7の1,2)を締結し,その後,昭和45年5月に第二次公害防止協定(以下「第二次協定」という。 甲8)を締結した。同各協定によれば,参加人は,「L工場付近及び北区内の大気汚染の状況が現在より悪化しないよう自主的に工場操業を管理し,かつ付近のばい煙排出工場に対する行政指導を強化するものとする」(第一次 協定・1条1項),「L工場を中心とした北区一帯の大気汚染度が更に悪化しないよう,付近住民の生命と健康を守るためあらゆる手段をつくして特に地域的にも公害の防止と絶滅をはかる義務を負担し,その実現のために不断の努力を行うことを確認する。」(第二次協定・前文)とされている。これらの規定は,参加人に対し,清掃行政に限らず全ての行政部門において現在 より公害が悪化しないよう不断の努力を行う義務を負わせているものであり,参加人は,北区一帯の公害が現在より悪化した場合には,上記工場を含む「付近一帯の公害発生源」に対して規制のための具体的措置を実施する義務を負ってきたものである。この義務は単なる努力義務ではなく,違反措置を伴う義務である。 そして,L工場の建替えに伴い平成10年3月16日に締結された第三次 公害防止協定(以下「第三次協定」という。甲9)の後もなお,本件各公害防止協定に基づく参加人の公害防止義務は存続している。 本件事業は,一方通行でほとんど自動車の通行しない生活道路を2車線の対面通行にするものであり,現在(本件各公害防止協定の締結時点)より格段に自動車の通行量が増え,それにより大気汚染,振動,騒音も格段に悪化 する。このように参加人が自ら積極的に環境を を2車線の対面通行にするものであり,現在(本件各公害防止協定の締結時点)より格段に自動車の通行量が増え,それにより大気汚染,振動,騒音も格段に悪化 する。このように参加人が自ら積極的に環境を悪化させることは悪意ある人権侵害というべきである。すなわち,本件事業は,参加人自らが本件各公害防止協定の当事者であるにもかかわらず,双方の努力で成立している同協定の趣旨及び内容を自ら破壊することを行おうとしているものであり,違憲であり,かつ同協定に積極的に違反している点で違法である。 被告及び参加人の主張の要旨ア事業の内容が都市計画に適合していること法61条1号により適合することが求められる「都市計画」とは,都市計画の決定(又は都市計画の変更決定)によって,「認可の時点において定められている都市計画」を意味するものと解される。本件都市計画道路につい ては,昭和41年決定(都市計画街路89路線を変更し,92路線を追加したもの)によりその全てが変更決定されたものであり,本件事業区間を含め街路網の再検討がされた結果,改めて計画線が引き直されたものであって,その後,本件都市計画道路の一部については,昭和43年,昭和56年及び平成元年に変更決定がされているものの,本件事業区間はこれらの変更決定 のいずれにも含まれていないから,本件事業認可は,本件事業区間に係る本件都市計画の最新の変更決定である昭和41年決定を前提とするものである。 そして,関東地方整備局長は,本件道路の位置及び区域について,昭和41年決定に係る都市計画の内容と本件事業の内容とが相違ないことを確認 しており,本件事業の内容は,本件都市計画に適合しているのであるから, この点において本件事業認可に何ら瑕疵はない。 イ昭和21年決 容と本件事業の内容とが相違ないことを確認 しており,本件事業の内容は,本件都市計画に適合しているのであるから, この点において本件事業認可に何ら瑕疵はない。 イ昭和21年決定が適法に存在すること原告らは,昭和21年決定が存在しないなどと主張するが,昭和21年決定は,先に決定された東京都市計画幹線街路の補助線となるべき街路のうち,最も緊急を要すると認められる本件都市計画道路を含む124路線 を東京復興都市計画街路として内閣総理大臣が追加決定をしたものであり,旧法に基づき告示もされている。昭和21年決定に係る文書(乙8)は,国立公文書館において保管され,同文書には,本件都市計画道路の路線番号,起点,終点,主な経過地及び幅員が示されているほか,昭和21年8月出版の復興都市計畫一覽圖(乙23)には本件都市計画道路と同一 番号の補助線が図示され,その起点,終点及び幅員は昭和21年決定における本件都市計画道路と同一である。昭和21年決定に係る図面は,現在のところ存在が確認されていないものの,参加人において,旧法の時代から決定された都市計画を適切に監理するために都市計画道路の区域を全て合わせて図示した「都市計画道路網図」(丙6)に継承し,適切に監理 している。そして,旧法は憲法成立後も有効に施行され,昭和44年施行の現行の法においても新法の規定による相当の都市計画とみなされているから(都市計画法施行法2条),昭和21年決定に係る都市計画は適法に存在する。 原告らは,昭和21年決定が主務大臣による決定及び内閣の認可につい て定めた旧法3条に違反すると主張するが,同決定は主務大臣である内閣総理大臣が決定したもので,「都市計画法及同法施行令戦時特例」(昭和21年勅令第153号により名称を「都市計画 の認可につい て定めた旧法3条に違反すると主張するが,同決定は主務大臣である内閣総理大臣が決定したもので,「都市計画法及同法施行令戦時特例」(昭和21年勅令第153号により名称を「都市計画法及同法施行令臨時特例」に変更された。以下,同変更の前後を通じて「臨時特例」という。)2条1項1号により内閣の認可を要しないものと定められていたから,原告ら の上記主張は理由がない。 ウ本件事業に係る都市計画決定(昭和41年決定)の必要性・合理性について旧法には,都市計画決定の実体的要件に関する明文の規定は置かれていないが,同法1条が,都市計画の定義として「交通,衛生,保安,防空,経済等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ福利ヲ増進スル為ノ重要施 設ノ計画」と定めていることからして,この規定に適合することが実体的要件となっていたものと解され,同法下においても,都市計画として都市施設の規模,配置等に関する事項を定めるに当たっては,当該都市施設に関する諸般の事情を総合的に考慮した上で,政策的,技術的な見地から判断することが不可欠であり,その判断はこれを決定する行政庁の広範な裁 量にゆだねられていたものと解すべきである。 東京都市計画地方審議会会長であった東京都知事は,経済的な事業計画を基礎とした能率的な街路網計画の再編成を目的とし,事業計画を数十カ年以内に限定し得る範囲にとどめるものとすべく,昭和32年8月,東京都市計画街路調査特別委員会(以下「特別委員会」という。)を設置し, 同委員会に対し東京都市計画街路の全面的改定及び整備計画の立案に関する調査研究を委託し,同委員会は,昭和41年4月まで継続的に会議を行い,東京都市計画街路網の再検討を行った。 すなわち,昭和31年12月時点における都 市計画街路の全面的改定及び整備計画の立案に関する調査研究を委託し,同委員会は,昭和41年4月まで継続的に会議を行い,東京都市計画街路網の再検討を行った。 すなわち,昭和31年12月時点における都市計画事業の進捗率は,幹線街路が21.2パーセント,補助線街路が11.8パーセント,細道路 網に至っては僅か2パーセントにすぎず,さらに約1兆円余りの事業費を要する状況にあったことから,事業の内容を幹線・補助線に絞り,細道路網については,一応都市計画による建築制限を解除する方針となった。 一方,街路再検討当時,都内の自動車保有台数は年々増加している状況にあり,かつ,将来(おおむね昭和60年頃)における推計台数も,都内 の将来人口と将来分配所得からして大幅に増加することが予想されてい た。具体的には,東京都内の人口は,昭和21年末時点では約418万人であったが,昭和45年には1200万人に達すると予想され,東京都内の自動車保有台数は,昭和21年時点では3万1300台であったが,昭和41年時点における昭和50年の都内の自動車保有台数の推計は,285万台に増加した。将来人口等から将来の自動車保有台数として推計され る台数を求めると,昭和60年には都内の人口は1200万人,自動車保有台数は347万台(都民3.5人当たり1台〔一世帯当たり1台以上に相当〕)となると推計され,昭和60年における都内の自動車保有台数は,昭和21年の時点から約100倍となることが予想されていた。都内における主要交差点の交通量は既に激増を示し,都内の主要交差点約110か 所について,昭和31年の自動車交通量は290万台であったのが,昭和38年には555万8000台となり,8年間の交通量の伸びは年間約1割強の増加を示していた。 このように 交差点約110か 所について,昭和31年の自動車交通量は290万台であったのが,昭和38年には555万8000台となり,8年間の交通量の伸びは年間約1割強の増加を示していた。 このように,街路再検討当時,従来の都市計画街路の残事業を完成するためには,計画を遥かに超えた長年月を要する状況にあったのに対し,交 通量の激増など急速に都市構成が変化している状況にあり,従来の都市計画事業によってこれらに対応することはほとんど不可能となることが容易に想定された。 上記のような情勢を考慮し,特別委員会は,幹線街路と補助線街路の再編成計画を策定し,ここでは,都市構造の都心集中形態を排除するため, 衛星都市の建設と並行して,区部については多心型の市街地を醸成するような街路網を構成することとし,おおむね昭和55年の道路交通の需要に応じ得るばかりでなく,今後およそ20年で完成することを目途として経済的でしかも能率的な街路計画に再編成することを基本構想とした上で,重要な幹線を選んでこれを強化し,全都的な交通需給関係の均衡をはかる よう編成替えを行うことを主眼とし,また,交通のネックとなっている交 差点の改良に重点をおき,交差点中間部分の拡幅を最小限度にとどめる方式を採用し,地域的な細街路については,土地区画整理等の際に計画を追加するものとして,全般的な街路網計画からは除外するものとし,さらに,地域的なサービス道路として編成されていた幅員8メートル~11メートルの細道路網を集約整理することとしたものである。 これにより,従来の都市計画においては環状6号線の外側地域における幹線道路,補助線街路及び細道路網の延長が合計約1730キロメートルであったところ,街路再検討案では約880キロメートルとして,従来の都市計 り,従来の都市計画においては環状6号線の外側地域における幹線道路,補助線街路及び細道路網の延長が合計約1730キロメートルであったところ,街路再検討案では約880キロメートルとして,従来の都市計画の約49パーセントに減少する内容とした。そして,補助線街路の配置に際しては,単位的な地域社会の独立を図り,多心的な市街地編成 を形成させることにより都心に依存している最大トリップ(「トリップ」とは,車両がある目的をもって,ある地点からある地点まで移動することをいう。以下同じ)の相当量を短い地域的トリップに変化させることが可能であり,幹線街路に囲まれた地域社会の独立性をはかるためには,その中の補助幹線的な街路の拡充・強化を図る必要があると考えられたことに 伴い,環状6号線の外側の地域に係る補助線は,従来計画で決定されていた補助線26.5キロメートル及び街路再検討案で細道路網から格上げされた23.6キロメートルを含む60.8キロメートルとするものとされた。そして,本件都市計画道路は,街路再検討を経た後もなお,幅員20メートルの補助線街路として,従来の都市計画における内容のとおり存続 させるべきものとされた。 このように,特別委員会は,当時の都市計画事業の進捗状況等及び都市の交通需要の増加状況等の情勢を踏まえて,社会情勢の変化に則した政策的,技術的な見地による再検討を重ね,その結論を得たものであるところ,昭和41年決定は,上記のような街路再検討の結果を踏まえて,参加人か ら,当時の都市計画決定権者であった建設大臣に対して,都市計画の変更 をされたい旨の上申をし,既存の都市計画道路のうち89路線を変更し,92路線を追加する等の都市計画の変更がされたものである。 以上のとおり,本件都市計画道路は, 画の変更 をされたい旨の上申をし,既存の都市計画道路のうち89路線を変更し,92路線を追加する等の都市計画の変更がされたものである。 以上のとおり,本件都市計画道路は,都市計画に関する事項について専門技術的な知見を有する東京都市計画地方審議会に特に設置された特別委員会が昭和32年から9年もの歳月をかけて,他の既存の都市計画道路 と併せた東京都の街路網として,経済的かつ能率的な街路計画に再編成すべく,交通需要や土地利用計画を考慮した結果により,昭和41年決定において定められた幅員20メートルの道路として,必要かつ合理的なものと判断されたものであることは,その経緯からして明らかであるところ,上記判断については,その判断過程やその判断の基礎とした事実等に照ら して,行政庁による裁量的判断として合理的かつ妥当であることもまた明らかである。 また,本件都市計画道路については,参加人において,関係法令の下,社会情勢の変化に即した政策的,技術的見地に基づく再検討が重ねられ,必要かつ合理的であると判断されてきたものである。 すなわち,参加人は,社会情勢の変化や地域の環境の移り変わりなどに伴い都市計画道路の見直しを行うとともに,昭和56年及び平成3年に「事業化計画」を策定し,それぞれにおいて,おおむね10年間で着手又は完成すべき路線を選定して,都市計画道路の計画的,効率的な整備に努めてきたところ,本件都市計画道路は,平成3年に策定された第二次事業 化計画において,おおむね平成12年度を目途に着手又は完成すべき路線(前期事業化予定路線)に選定された。そのような取組みの結果,放射・環状の主要な幹線道路の6割が完成し,着実に成果を上げていたが,いわゆるバブル崩壊により第二次事業化計画期間内 手又は完成すべき路線(前期事業化予定路線)に選定された。そのような取組みの結果,放射・環状の主要な幹線道路の6割が完成し,着実に成果を上げていたが,いわゆるバブル崩壊により第二次事業化計画期間内の着手率は5割にとどまるなど,当初の目標には至らなかった。 そこで,参加人は,平成16年3月に本件整備方針(前記イ参照。 乙18,丙9)を策定し,学識経験者から構成する専門アドバイザー委員会等の助言も踏まえ,個々の都市計画道路について必要性の検証を行ったところ,本件事業区間については,「自動車交通の混雑緩和への貢献」に係る基準は満たさないと判断されたものの,「震災時の甚大な被害が想定される地域の防災性向上」及び「延焼遮断帯の形成,安全な避難路の確保」 の各評価項目に該当すると評価された(丙48)。すなわち,参加人は,「防災都市づくり推進計画」(丙10)を策定しており,同計画において,日常の生活範囲を踏まえ,おおむね小学校区程度の広さの区域につき,延焼遮断帯に囲まれた圏域である「防災生活圏」を形成し,市街地火災の延焼防止を図ることとしているところ,本件道路については,「整備地域」に 指定した「A地域」における延焼遮断帯として位置付けていたことから,本件事業区間は,交通機能の面のみならず,防災性向上の観点からも必要性が高い路線であったため,今後も東京の都市づくりに必要な路線として確認された。このように,本件都市計画道路を含む東京都区部の都市計画道路に係る必要性の検証が行われ,その必要性及び合理性が確認されたも のである。なお,本件整備方針では,事業費等を勘案し,本件道路は緊急的に改善すべき都市課題に対応する観点から選定される優先整備路線への選定は見送られ,建築制限が緩和されているが,本件都市計画の必要 のである。なお,本件整備方針では,事業費等を勘案し,本件道路は緊急的に改善すべき都市課題に対応する観点から選定される優先整備路線への選定は見送られ,建築制限が緩和されているが,本件都市計画の必要性は確認されており,本件整備方針で路線を明示した箇所以外についても,まちづくりが具体化した機会を捉えて順次,事業化を図っていくものとさ れているのであるから,優先整備路線に選定されなかったことをもって,本件道路の整備の必要性がないと評価されていたなどといえないことは明らかである。 そして,参加人は,平成24年1月20日,首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生に鑑み,参加人が都民の生命と東京の都市機能を守るた めに策定した「木密地域不燃化10年プロジェクト実施方針」(丙11) に基づき,未整備及び事業中の都市計画道路のうち,延焼遮断帯の形成に資する等,防災上,整備効果の高い区間を「特定整備路線」の対象区間として指定する旨公表し,北区の意見も聴いた上で,本件道路を特定整備路線の候補区間に選定し,平成27年1月14日,本件事業認可に係る申請を行うに至ったものであり,本件事業は,東京の防災上の弱点である木造 密集地域の改善に必要な事業であって,合理性を有することは明らかである。 以上のとおり,本件事業の整備により,交通の円滑化が図られ,安全で快適な歩行空間が確保されるとともに,震災時における市街地の延焼を遮断し,かつ,避難や救援活動の空間ともなる延焼遮断帯としての機能を有 する本件道路の整備により地域の防災性が向上するものである。 これに対して,原告らの指摘する本件道路の南側の道路(本件道路の約150メートル南に位置する幅員9.65メートルから18.97メートルの道路を示すものと推測される。)については するものである。 これに対して,原告らの指摘する本件道路の南側の道路(本件道路の約150メートル南に位置する幅員9.65メートルから18.97メートルの道路を示すものと推測される。)については,本件道路が果たすべき役割を代替し得るものではなく,原告らの主張には理由がない。 また,参加人が整備地域の不燃領域率の目標として掲げているのは,市街地の焼失率がほぼ零となる70パーセントであり,平成28年3月に改定した「防災都市づくり推進計画」では,さらにこれを推し進め,2020年(平成32年)度までに重点整備地域の不燃領域率を70パーセント以上,2025年(平成37年)度までに全ての整備地域の不燃領域率を 70パーセント以上とすることとした。 一方,整備地域であるA地域の不燃領域率は,平成18年は全体で48パーセント,平成23年は51パーセント,平成28年でも54パーセントにとどまっていた(原告らの主張するAB丁目の不燃領域率は,AB丁目全体を対象としたもの,すなわち整備地域に含まれない地域も含んだ数 値であると推察されるのであり,AB丁目を含む整備地域又は重点整備地 域に指定されている地域の不燃領域率を表すものではない。)。さらに,本件事業認可後ではあるものの,参加人は,平成28年3月に改定した上記計画において,本件事業区間を含む地域を重点整備地域に指定した。 したがって,本件事業区間周辺は,本件事業認可当時においても,防災性を向上すべき必要があったものである。 更にいえば,そもそも,本件事業区間周辺のような木造住宅が密集する地域においては,不燃領域率さえ向上させれば市街地の延焼を完全に防ぐことができるものではなく,延焼遮断帯を形成するための街路事業と不燃化促進事業とを重層的・一体的に実施す のような木造住宅が密集する地域においては,不燃領域率さえ向上させれば市街地の延焼を完全に防ぐことができるものではなく,延焼遮断帯を形成するための街路事業と不燃化促進事業とを重層的・一体的に実施することにより高い効果を得ることができるのであり,街路事業は,延焼遮断機能のみならず,震災時の避難 経路や救援活動時の輸送ネットワークなど多様な機能を担うのであるから,不燃化促進事業さえ行えば街路事業が不要になるというものではない。 北区は,同区内にある都市計画道路の整備に係る優先順位について,本件道路を未整備路線の中で最も優先順位の高いものと位置付け,A地区全体で不燃化特区の本格実施を検討する予定であるとしたことから,参加人は, このような北区の意見も踏まえて本件事業区間を整備する必要性が高いものとして特定整備路線に選定したものである。 原告らは,本件道路により地域コミュニティーが破壊されるなどと主張するが,本件道路の車道部の横断距離は9メートルの計画であり,その両側は歩道部であって,参加人は今後適切な横断箇所を設置する予定である から,本件道路によって地域コミュニティーが不当に破壊されることはなく,原告らの主張には理由がない。 エ本件事業が本件各公害防止協定に違反する旨の原告らの主張について原告らは,本件事業の実施が本件各公害防止協定に違反する旨を主張するが,都市計画事業の認可の要件(法61条)には同協定に関する要件は定め られていないから,原告らの述べるところを前提としても,本件事業認可に 違法性があるとはいえない。 また,本件各公害防止協定は,L工場の操業に伴う公害を防止することを目的としたものであり,第二次協定は,周辺住民の「健康で安全かつ快適な生活を営む権利」に関する基本理念を示 性があるとはいえない。 また,本件各公害防止協定は,L工場の操業に伴う公害を防止することを目的としたものであり,第二次協定は,周辺住民の「健康で安全かつ快適な生活を営む権利」に関する基本理念を示しているが,これは当然のことを宣明しているにすぎず,公害発生防止のために不断の努力をするよう求める内 容にとどまっており,道路事業の施行を禁ずるといった具体的な不作為義務を課す内容とはなっていない。したがって,本件事業は,本件各公害防止協定に抵触するものではない。 さらに,原告らは,本件事業により,本件道路の周辺地域における大気汚染,騒音,振動が現在よりも悪化するとも断じているが,第二次協定前文に ある「大気汚染度が更に悪化しないよう」努めるとあるのは,同協定が締結された昭和45年の時点から更に悪化しないよう努めることをいうものであり,L工場付近の大気及び騒音は,昭和40年代当時よりも改善され,環境基準は充足されている。道路ネットワークの整備等を推進することにより,渋滞の緩和を図り,自動車平均旅行速度の向上を図ることは,低環境負荷の 都市づくりに資するものであって,原告らの指摘は当を得ない。上記のような低環境負荷の都市づくりを支える役割を果たす都市基盤施設の整備については,参加人が平成20年3月に策定した「東京都環境基本計画」における「環境の確保に関する配慮の指針」の一つにも掲げているところであり,本件事業は,持続可能な東京の実現に向けて策定された上記基本計画に整合 するものであるから,かかる観点からも,本件各公害防止協定に抵触するものではない。 以上 触するものではない。 以上
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