【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 被告人を懲役六月に処する。 原審における未決勾留日数中十五日を右本刑に算入する。 理 由 被告人及び弁護人伊藤
主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役六月に処する。 原審における未決勾留日数中十五日を右本刑に算入する。 理由 被告人及び弁護人伊藤俊郎の控訴趣意は記録中の被告人並びに同弁護人提出の各控訴趣意書記載の通りであるから之を引用する。 弁護人の控訴趣意第二点及び被告人の控訴趣意について所論は要するに被告人は本件自転車を拾つたもので盗んだものではないから占有離脱物横領罪を構成することあるも窃盗罪は成立しないというのである、よつて先づ本件自転車が占有者の意思に基かずしてその占有を離脱したものか否かの点につき考察するに、原判決挙示の証拠並びに当審における事実取調べの結果に徴すればAはa町字b、B方のアイスキャンデーの売子であるが毎日その行商から戻ると同人方では焼酎約一合を飲ませる慣例になつていたところ昭和二十九年八月三日は売上が多かつたので、特に焼酎約三合を飲まされ(当審証人Cの証言参照)午後七時半頃本件自転車をひいて同人方から帰途に就いたのであるが空腹であつた為酩酊の程度がひどく、その後の事については、D小学校前の県道端の当審検証調書(は)点に自転車は路上に倒れ、それに積んであつた荷物はその道端に落ちたのを・そのまま放置して同所を立去り、その後同所の南方約百十米の知人E方に立寄り、同人の息子Fに送られてG屋迄行き、そこから妻と共に帰宅したこと右E方に立寄つた当時はひどく酩酊して居り、E方からG方迄はFに肩を貸して貰つて送られて行つたものであること等は明かであるが、Aは酩酊のため記憶がなく右E方に立寄りFに送られて帰つたことはもちろん、自転車を放置した場所についても、右の(は)点よりは約六十米南方の県道端たる当審検証調書(ろ)点であると記憶している始末であつて以上の外Aのその間の 右E方に立寄りFに送られて帰つたことはもちろん、自転車を放置した場所についても、右の(は)点よりは約六十米南方の県道端たる当審検証調書(ろ)点であると記憶している始末であつて以上の外Aのその間の行動は一切判明しないし、同人の供述する如くD小学校北の門の北東の辺から自転車に乗つて来たものであるとか、(ろ)点で自転車諸共道端の水溜りに倒れて、そこで二、三分して起上つたと<要旨>ころ、自転車がなくなつていたとかいう如き、同人の記憶は到底信頼しがたい、むしろ右の判明しているだけ</要旨>の事実からすればAは前記(は)点において自転車諸共倒れその後自転車を放置してE方に来たものであり、E方に来た頃は自転車のことは失念し、その所在も判らなくなつていたものであると認めるのが相当である。そうだとすればその自転車はAの意思に基かずして同人の所持を離れたもので、かつ少くともAがE方に来た頃には、その自転車はAの事実上の支配から離れたものと認めるのを相当とする、方被告人が本件自転車を前記(は)点で発見領得した当時Aがその附近にいたものとは認められないので被告人がその自転車を発見領得したのは既にAが、その自転車の事実上の支配を失つた後であると認めざるを得ない、されば、たとえ被告人が窃盗の意思を以て右自転車を自己の支配内に移したとしても、その不正領得の目的物である自転車が他人の占有を離れた物である以上、これを領得した場合、占有離脱物横領罪を構成し窃盗罪は成立しない。然らば被告人の窃盗事実を認定した原判決は証拠の価値判断を誤り事実の認定を誤つた違法があり、しかもこの誤りは判決に影響を及ぼすことはもちろんであるから原判決は破棄を免れない、論旨は理由がある。 よつて弁護人爾余の控訴趣意に対する判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十二条に則り原判決を破棄し りは判決に影響を及ぼすことはもちろんであるから原判決は破棄を免れない、論旨は理由がある。 よつて弁護人爾余の控訴趣意に対する判断を省略し刑事訴訟法第三百九十七条第三百八十二条に則り原判決を破棄し同法第四百条但し書により当裁判所に於て更に次の通り判決する。 (罪となるべき事実)被告人は昭和二十九年八月三日午後八時頃宮城県宮城郡a町c、D小学校前道路において、占有を離脱したA所有の中古自転車一台を拾得横領したものである。 なお被告人は(一)昭和二十三年九月二十五日仙台簡易裁判所に於て窃盗罪により懲役一年六月(未決勾留日数中三十日を算入)に(二)昭和二十六年十月四日同裁判所に於て窃盗罪により懲役一年六月(未決勾留日数三十日算入)に、(昭和二十七年四月二十八日政令第百十八号減刑令により懲役一年一月十五日に減軽)(三)昭和二十八年三月二十五日同裁判所に於て窃盗罪により懲役一年(未決勾留日数中百二十日算入)に処せられ、当時いずれもその刑の執行を終了したものであることは前科調書の記載により明かである。 (証拠の標目)判示事実は一、 原審第一、二回公判調書中被告人の供述記載一、 原審第二回公判調書中証人Aの供述記載一、 当審における証人A尋問調書の記載一、 同証人C、同E、同Fの各尋問調書の記載一、 当審検証調書の記載一、 Eの司法警察員に対する供述調書の記載によつてこれを認める。 (法令の適用)法律に照すと被告人の判示所為は刑法第二百五十四条に該当するところ所定刑中懲役刑を選択し前示前科があるので同法第五十六条第一項第五十九条第五十七条により累犯加重をなした刑期範囲内で被告人を懲役六月に処し同法第二十一条を適用し原審における未決勾留日数中十五日を右本刑に算入すべく、訴訟費用はすべて刑事訴訟法第百八十一条第一項但 十九条第五十七条により累犯加重をなした刑期範囲内で被告人を懲役六月に処し同法第二十一条を適用し原審における未決勾留日数中十五日を右本刑に算入すべく、訴訟費用はすべて刑事訴訟法第百八十一条第一項但し書により被告人に負担せしめないこととし主文の通り判決する。 (裁判長裁判官鈴木禎次郎裁判官蓮見重治裁判官細野幸雄)
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