平成14年3月22日判決言渡・同日判決原本領収裁判所書記官平成13年(行ウ)第13号廃棄物処分場設置許可取消請求事件口頭弁論終結の日平成14年2月8日判決 主文 1 本件訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 原告ら(1) 被告が,サイボウ環境株式会社に対し,平成11年8月30日付けでした別紙目録記載の廃棄物処分場設置許可処分を取り消す。 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告主文と同旨第2 当事者の主張 1 請求原因(1) 原告Aは,別紙目録記載の廃棄物処分場(以下「本件処分場」という。)の設置予定地の近隣地において,同予定地から流下,滲出するかんがい水を利用して水田を耕作し,かつ,本件処分場の敷地境界から20メートル以内の土地を所有する者である。また,原告B及び原告Cは,いずれも本件処分場の敷地境界から300メートル以内に居住する者である。 (2) 被告は,本件処分場設置の許可権限を有する者である。 (3) 本件処分場の構想書はサイボウ環境株式会社(以下「サイボウ環境」という。)が平成5年11月29日に被告に対し提出したもので,平成6年3月24日に意見書受理,平成7年2月1日に事前協議提出,平成7年11月10日に事前協議承認がそれぞれ行われた。 (4) 被告は,平成11年8月30日,サイボウ環境に対し,本件処分場の設置許可処分(群馬県第132号。以下「本件処分」という。)を行った。 (5) 被告は,進入路にかかる河川協議許可を平成11年10月13日に行った。また,平成12年5月9日になされた進入路を含む本件処分場開発関係地の農地転用許可申請に対し,平成1 という。)を行った。 (5) 被告は,進入路にかかる河川協議許可を平成11年10月13日に行った。また,平成12年5月9日になされた進入路を含む本件処分場開発関係地の農地転用許可申請に対し,平成13年9月17日に農地転用許可が出された。 (6) 本件処分場は一般廃棄物の最終処分場であり,処分する一般廃棄物の種類は焼却灰及び不燃ゴミ,埋立地の面積は1万9895平方メートル,埋立容量は26万2655立方メートル(うち廃棄物量は19万8516立方メートル)である。 原告らが主張する本件処分の違法事由は次のとおりである。原告らは,平成5年11月29日に本件処分場にかかる構想書が提出されてから,平成13年9月17日に被告が行った上記農地転用許可までの間,被告に対し,何度も以下の各事情及び後記(7)の事情を訴え続けてきたが,被告はこれを無視して原告ら関係者の同意なくして本件処分を行った。 ア本件処分場の設置計画に「関係者の同意」がなく,違法である。 原告Aが所有する土地は,本件処分場設置境界から20メートル以内の距離にあるにもかかわらず,被告は,同原告の同意を得ずに本件処分を行っているから,群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程6条にいう「関係者の同意」がなく,本件処分は違法である。 また,被告は,事前協議の際にサイボウ環境から群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程6条「関係者の同意」に記載の廃棄物処理施設の敷地境界から300メートル以内の居住者の5分の4以上の同意書の提出を受けたとしているが,その後,上記居住者らから同意撤回書が被告に提出されているから,結果として関係者の同意は5分の4に満たなくなったのに,被告は本件処分を行ったのであるから,この点でも違法である。なお,事前協議の段階での関係者の同意書の内容にも問題がある。 提出されているから,結果として関係者の同意は5分の4に満たなくなったのに,被告は本件処分を行ったのであるから,この点でも違法である。なお,事前協議の段階での関係者の同意書の内容にも問題がある。 イ廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)の不許可事由に該当し,違法である。 サイボウ環境は,平成8年2月28日ころ,本件処分場予定地周辺の62戸に約30万円ずつの金銭配布を行った。したがって,サイボウ環境が,廃棄物処理法7条3項4号ホ「その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当する。原告らはこの事実を被告に報告したが,被告はこれを無視して本件処分をしたもので,違法である。 ウ都市計画法による審査を経ていない違法本件処分場は管理型処分場として設置計画がなされているから,廃棄物処理法及び群馬県廃棄物処理施設の構造及び維持管理等に関する基準に照らし,廃棄物の受入検査や排水処理検査は特に重要な管理項目であり,これらの検査に必要な施設は処分場の運営に不可欠な建築物である。したがって,本件処分場設置計画は都市計画法4条1項12号の開発行為に該当するので,都市計画法に基づく審査が必要である。 しかるに,被告は,平成10年5月12日安中市長からの書面(安市発第2119号)での問合せに対し,同月26日付けで「本件処分場計画は,都市計画法附則4項の開発行為に該当しない」と決定して安中市長に通知し,都市計画法に基づく審査を行わなかったので,本件処分は違法である。 エ被告による便宜供与サイボウ環境の本件処分場の進入路設置について,安中市は,サイボウ環境に対して違法にも便宜供与を図るため,市道の付け替え工事と称した交差協議及びそれに伴う橋梁設置のための河川協議申請を平成 供与サイボウ環境の本件処分場の進入路設置について,安中市は,サイボウ環境に対して違法にも便宜供与を図るため,市道の付け替え工事と称した交差協議及びそれに伴う橋梁設置のための河川協議申請を平成10年6月及び平成11年10月,それぞれ被告に対し行った。被告は,それが実質的にはサイボウ環境への便宜供与になることを知りながら,申請者が安中市であるから公共事業だとして,十分な審査もせずに,平成10年6月29日に進入路交差協議許可を,平成11年10月13日に河川協議許可をしており,この点でも違法である。 (7) 本件処分場により原告らが被る損害本件処分場には,焼却灰やシュレッダーダスト,下水汚泥が大量に持ち込まれるため,本件処分場付近の表流水や滲出水には,重金属物質をはじめ,ダイオキシンや環境ホルモンなど未知の有害物質が含まれる。そのため,天然の自浄作用で涵養された安定かつ安全に供給されてきた表流水や滲出水により耕作可能であった原告らが所有する下流の農地において,それらの機能はことごとく失われ,回復不可能な損害を被るおそれがある。また,本件処分場は原告らの住居にあまりにも近いため,ここでも重大な損害を被るおそれがある。 (8) よって,原告らは,被告に対し,水利権,営業権,農地耕作権,環境権,生活安全権,自然享有権,人格権等に基づき,本件処分場設置許可決定処分の取消しを求める。 2 本案前の抗弁(1) 原告適格の欠缺原告らには,いずれも行政事件訴訟法9条に規定する原告適格がない。 (2) 出訴期間の徒過行政事件訴訟法14条は,処分の取消しの訴えはその処分の日から1年を経過したときは提起することができない旨規定する。原告が取消しを求めている本件処分場の設置許可は,廃棄物処理法8条1項の規定に基づき,平成11年8月30日群馬県第 消しの訴えはその処分の日から1年を経過したときは提起することができない旨規定する。原告が取消しを求めている本件処分場の設置許可は,廃棄物処理法8条1項の規定に基づき,平成11年8月30日群馬県第132号をもって被告がしたものである。 本件訴えは,上記設置許可から1年を経過した後の平成13年9月28日に提起されているから,出訴期間を徒過してされたものであり,不適法である。 3 本案前の抗弁に対する原告の反論(1) 本案前の抗弁(1)について原告らは,いずれも本件処分場予定地からごく近くに居住し,あるいは農地を耕作する者であり,本件処分場が設置された場合,重大な影響を被るものであるから,本件訴えの原告適格を有する。 (2) 本案前の抗弁(2)について本件の原告らには,行政事件訴訟法14条3項ただし書にいう「正当な理由」がある。 ①本件処分は,原告らの訴えを無視し,「関係者」である原告らの同意を得ずに行った未成熟なものであるうえ,②本件処分は本件処分場の設置許可の行政処分であるが,本件処分場の予定地は農地であるため,本件処分場が現実に設置されるためにはその予定地の農地転用許可が不可欠である。しかるに,本件処分場予定地の農地転用許可は平成13年9月17日にされているから,同月28日に至って本件訴えを提起したことには正当な理由がある。 理由 1 まず,本件訴えの適法性のうち,出訴期間徒過の点について検討を加える。 被告が平成11年8月30日群馬県第132号をもって本件処分をしたことは当事者間に争いがなく,本件訴え提起の日が平成13年9月28日であることは当裁判所に顕著である。行政事件訴訟法14条3項本文は,処分の取消しの訴えは処分の日から1年を経過したときは提起することができないと規定している く,本件訴え提起の日が平成13年9月28日であることは当裁判所に顕著である。行政事件訴訟法14条3項本文は,処分の取消しの訴えは処分の日から1年を経過したときは提起することができないと規定している。したがって,前記のとおり,本件処分の取消しの訴えである本件訴えは,本件処分の日から1年を経過した後に提起されたものであるから,同条項により不適法となるのが原則である。ただし,同条項ただし書は,「正当な理由があるときは,この限りでない。」と規定し,上記出訴期間の制限に例外を設けている。そこで,本件訴えに上記「正当な理由」があるか否かにつき判断する。 2 原告らは,行政事件訴訟法14条3項ただし書にいう「正当な理由」に該当する事実として,以下の点を主張する。①原告らは被告に対し,本件処分場の計画について,何度もその違法であることを指摘していた。しかるに,被告は,原告らに対し,必要な情報を与えず,かつ,原告らの指摘を無視して,関係者の同意を得ず,必要な審査もせずに本件処分をした。②本件処分の時点では,本件処分場予定地の農地転用許可処分が行われておらず,上記農地転用許可処分が本件処分から2年以上を経過した後の平成13年9月17日になされており,本件処分を含む一連の行政処分としてはまだ終了していなかった。また,本件処分は十分な審査を経ずになされたものであって,本件処分の日を出訴期間の起算点とすることは不当であり,上記農地転用許可処分の日を起算点とすべきである。 しかし,①は,単に本件処分の違法をいうだけであって原告らが本件訴えを提起できなかった事情とはなり得ず,かかる事情をもって「正当な理由」と認めることはできない。②は,原告らが被告から農地転用許可処分がなされるまでは本件処分が終了していないとの教示を受けたなどの事情がない限りは,原告らが一方的に 得ず,かかる事情をもって「正当な理由」と認めることはできない。②は,原告らが被告から農地転用許可処分がなされるまでは本件処分が終了していないとの教示を受けたなどの事情がない限りは,原告らが一方的に思い込んでいたというだけのことであって,正当な理由とはなり得ないものと解されるところ,本件においてかかる事情があるとの主張も立証もないから,この点も「正当な理由」とはなり得ない。 もっとも,原告らの上記②の主張は,本件処分場の予定地の農地転用許可処分を取消処分の対象と措定して同許可処分の日を出訴期間の起算点とすべきであるとの主張と善解する余地もあるが,本件処分と本件処分場予定地の農地転用許可処分とは独立の行政処分であって,現に原告らも本件処分のみを対象として本件訴えを提起しているのであるから,上記のような原告らの主張を採ることもできない。 以上のとおり,原告らが本件訴えを出訴期間を徒過して提起したことにつき「正当な理由」は認められないから,本件訴えは行政事件訴訟法14条3項本文により不適法なものといわなければならない。 3 よって,原告らの本件訴えはいずれもこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 前橋地方裁判所民事第2部裁判長裁判官東條宏裁判官原克也裁判官鈴木雄輔(別紙)目録サイボウ環境株式会社が設置許可を申請し,被告がその設置許可をなした,下記の各土地上に設置される予定の廃棄物処分場記 1 群馬県安中市大字a字b番c 2 同市大字a字b番d 3 同市大字a字b番e 4 同市大字a字b番f 5 同市大字a字b番g 6 同市大字a字b番h 7 同市大字a字b番i 8 同市大字a字b番j 9 同市大字a字b番k 番c 同市大字a字b番d 同市大字a字b番e 同市大字a字b番f 同市大字a字b番g 同市大字a字b番h 同市大字a字b番i 同市大字a字b番j 同市大字a字b番k 同市大字a字b番l 同市大字a字b番m 同市大字a字b番n 同市大字a字b番o 同市大字a字b番p 同市大字a字b番q 同市大字a字b番r
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