昭和53(オ)1144 譴責処分無効確認

裁判年月日・裁判所
昭和58年9月8日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 昭和49(ネ)326
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川西讓、同足立昌昭、同垣添誠雄の上告理由について  原判決は、上告人

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判決文本文2,130 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人川西讓、同足立昌昭、同垣添誠雄の上告理由について  原判決は、上告人が他の者らとともに就業時間外の昭和四四年一月一日未明に被 上告会社の従業員社宅において本件ビラ約三五〇枚を配布したことにつき、右は被 上告会社の就業規則に定める懲戒事由の一つである「その他特に不都合な行為があ つたとき」にあたるものとして、被上告会社が上告人に対して右就業規則に定める 六種の懲戒のうち最も軽い懲戒である譴責を課した旨の事実を適法に確定した上、 右ビラの内容は大部分事実に基づかず、又は事実を誇張歪曲して被上告会社を非難 攻撃し、全体としてこれを中傷誹謗するものであり、右ビラの配布により労働者の 会社に対する不信感が醸成されて企業秩序を乱し、又はそのおそれがあつたもので、 右ビラを配布することは右懲戒事由にあたり、これを理由として譴責を課したこと は懲戒権者に認められる裁量権の範囲を超えるものとは認められないとしている。  よつて案ずるに、労働者は、労働契約を締結して雇用されることによつて、使用 者に対して労務提供義務を負うとともに、企業秩序を遵守すべき義務を負い、使用 者は、広く企業秩序を維持し、もつて企業の円滑な運営を図るために、その雇用す る労働者の企業秩序違反行為を理由として、当該労働者に対し、一種の制裁罰であ る懲戒を課することができるものであるところ、右企業秩序は、通常、労働者の職 場内又は職務遂行に関係のある行為を規制することにより維持しうるのであるが、 職場外でされた職務遂行に関係のない労働者の行為であつても、企業の円滑な運営 に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有するものもあるのであるから、 使用者は、企業秩序の維持確保のために、そのような 職場外でされた職務遂行に関係のない労働者の行為であつても、企業の円滑な運営 に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有するものもあるのであるから、 使用者は、企業秩序の維持確保のために、そのような行為をも規制の対象とし、こ - 1 - れを理由として労働者に懲戒を課することも許されるのであり(最高裁昭和四五年 (オ)第一一九六号同四九年二月二八日第一小法廷判決・民集二八巻一号六六頁参 照)、右のような場合を除き、労働者は、その職場外における職務遂行に関係のな い行為について、使用者による規制を受けるべきいわれはないものと解するのが相 当である。  これを本件についてみるのに、右ビラの内容が大部分事実に基づかず、又は事実 を誇張歪曲して被上告会社を非難攻撃し、全体としてこれを中傷誹謗するものであ り、右ビラの配布により労働者の会社に対する不信感を醸成して企業秩序を乱し、 又はそのおそれがあつたものとした原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照 らし、是認することができないではなく、その過程に所論の違法があるものとする ことはできない。そして、原審の右認定判断に基づき、上に述べ来つたところに照 らせば、上告人による本件ビラの配布は、就業時間外に職場外である被上告会社の 従業員社宅において職務遂行に関係なく行われたものではあるが、前記就業規則所 定の懲戒事由にあたると解することができ、これを理由として上告人に対して懲戒 として譴責を課したことは懲戒権者に認められる裁量権の範囲を超えるものとは認 められないというべきであり、これと同旨の原審の判断は正当である。なお、所論 違憲をいう点は、ひつきよう、上告人による右ビラ配布行為を理由として懲戒を課 することに公序良俗違反の違法があるとして原判決の法令違背をいうに帰するとこ ろ、上告人の右ビラ配布行為が思想の表現の面を有するからと う点は、ひつきよう、上告人による右ビラ配布行為を理由として懲戒を課 することに公序良俗違反の違法があるとして原判決の法令違背をいうに帰するとこ ろ、上告人の右ビラ配布行為が思想の表現の面を有するからといつて、これに対し 懲戒を課することに公序良俗違反の違法があるということはできず、また、上告人 による右行為をもつて労働組合の正当な行為とすることもできないというべきであ る。原判決に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の 取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審と異なる見解に立つて原判決の不当 をいうものにすぎず、採用することができない。 - 2 -  よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。      最高裁判所第一小法廷          裁判長裁判官    藤   崎   萬   里             裁判官    団   藤   重   光             裁判官    中   村   治   朗             裁判官    谷   口   正   孝             裁判官    和   田   誠   一 - 3 -

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