令和6年8月30日宣告大津地方裁判所刑事部判決令和6年(わ)第122号過失運転致傷被告事件主文 被告人を禁錮2年4月に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年3月11日午後3時13分頃、準中型貨物自動車を運転し、滋賀県野洲市ab丁目c番d号先道路を同市e方面から同市f方面に向かい進行するに当たり、同所先には信号機による交通整理が行われている交差点があって、同交差点出口には横断歩道が設けられており、同交差点の対面信号機が赤色の灯火信号を表示していたのであるから、前方左右を注視し、進路前方の道路状況を確認するとともに、交差点及び信号機の有無と対面信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、右手に保持した携帯電話機での通話に気を取られ、前方左右を注視せず、進路前方の道路状況を確認せず、交差点及び信号機の有無と対面信号表示にも留意せず、漫然時速約38ないし40㎞で進行した過失により、同交差点を看過し、対面信号機が赤色の灯火信号を表示していたことに気付かないまま同交差点に進入し、折から信号に従い同交差点出口の横断歩道を小走りで左から右に向かい横断してきたA(当時8歳)を左前方約12. 2mの地点に認め、右にハンドルを切って急制動の措置を講じたが間に合わず、同人に自車前部を衝突させて、同人を路上に転倒させた上、自車車底部に巻き込んで引きずるなどし、よって、同人に生涯介護を必要とする遷延性意識障害の後遺症を伴い、症状固定に約6か月間を要する開放性頭蓋骨骨折、脳挫傷等の傷害を負わせた。 (量刑の理由)本件事故の態様は、被告人が、準中型貨物自動車を運転中に仕事仲間との通話に気を取られ、進路前方の赤信号を見落として交差点 間を要する開放性頭蓋骨骨折、脳挫傷等の傷害を負わせた。 (量刑の理由)本件事故の態様は、被告人が、準中型貨物自動車を運転中に仕事仲間との通話に気を取られ、進路前方の赤信号を見落として交差点に進入し、横断歩道を歩行して いた被害者の存在に衝突直前に気付き、急制動の措置を講じたものの間に合わず、自車を被害者に衝突させたというものである。 被告人は、小学生の下校時間帯であることを認識しながら、右手に携帯電話機を持ち、左手だけでハンドルを操作して、約20分にわたって通話をしながら、アスファルトを積載した2トントラックの運転を継続する中、前方注視を怠り、本件事故を起こしている。被告人の運転は、注意散漫となりやすく、運転操作にも支障を及ぼしかねない危険なもので、その不注意の程度は著しく、本件過失は、スマートフォンの画面を注視して脇見をする事案と同等の悪質性を有するとまではいえないとしても、一瞬の不注意による事故とは異なる悪質なものというべきである。なお、弁護人は、通話自体の必要性や緊急性が全くなかったとはいえない旨主張するが、停車させてから通話をすることに支障があったとはうかがわれず、被告人が、令和5年9月に携帯電話等保持による交通違反歴を有することにも照らすと、その道路交通法規を軽視する姿勢は明らかである。 本件事故により、何の落ち度もない当時8歳の被害者が、極めて重い傷害を負い、生命維持のため脳の大半を除去し、今後も意識が回復する見込みはなく、生涯常に介護を要する状況となっているのであり、生じた結果は、死亡に匹敵するほど重大である。被害者の恐怖や苦痛は想像を絶するものというほかなく、また、大切に育ててきた被害者の変わり果てた姿を目の当たりにした被害者の父母及び兄の精神的衝撃や苦痛も甚大であって、同人らが、当公判廷において、 。被害者の恐怖や苦痛は想像を絶するものというほかなく、また、大切に育ててきた被害者の変わり果てた姿を目の当たりにした被害者の父母及び兄の精神的衝撃や苦痛も甚大であって、同人らが、当公判廷において、それぞれ悲痛な心情を述べ、被告人に対する厳罰を求めるのも当然のことである。 以上のような本件過失の悪質性や結果の重大性に照らせば、本件は刑の執行を猶予すべき事案とは認められない。 その上で、被告人が事実を認め、被告人なりの反省を述べていること、保険による賠償が見込まれること、前科はないこと、被告人の父が監督を約束していること、被告人の経営する会社や養育すべき幼い子への影響等の事情を考慮し、同種事犯の量刑傾向も踏まえ、主文のとおり量刑した。 (求刑禁錮4年の実刑)令和6年8月30日大津地方裁判所刑事部 裁判官沖敦子
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