平成24(行ウ)49等 建物使用不許可処分取消等請求,建物明渡請求,使用不許可処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年9月10日 大阪地方裁判所
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判決文本文37,275 文字)

平成26年9月10日判決言渡平成24年(行ウ)第49号建物使用不許可処分取消等請求事件(第1事件)平成24年(ワ)第4909号建物明渡請求事件(第2事件)平成25年(行ウ)第75号建物使用不許可処分取消等請求事件(第3事件)平成26年(行ウ)第59号使用不許可処分取消等請求事件(第4事件)主文 1 大阪市長が,平成▲年3月11日付けで原告らに対し大阪市指令総務第▲号をもってなした別紙物件目録記載の行政財産(以下「本件事務室部分」という。)の使用許可申請を不許可とした処分を取り消す。 2 大阪市長は,原告らに対し,本件事務室部分について,平成▲年4月1日から平成▲年3月31日までの使用を許可するとの処分をせよ。 3 被告は,原告らに対し,各33万円及びこれに対するうち11万円に対する平成▲年2月20日から,うち11万円に対する平成▲年3月18日から,うち11万円に対する平成▲年3月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告らのその余の各請求及び被告の各請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの連帯負担とし,その余を被告の負担とする。 6 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 第1事件被告は,原告らに対し,各220万円及びこれに対する平成▲年2月20日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 第2事件(1) 原告らは,被告に対し,本件事務室部分を明け渡せ。 (2) 原告らは,被告に対し,連帯して,平成▲年4月1日から本件事務室部分の明渡し済みまで,1か月当たり17万6830円の割合による金員を支払え。 3 第3事件被告は,原告らに対し (2) 原告らは,被告に対し,連帯して,平成▲年4月1日から本件事務室部分の明渡し済みまで,1か月当たり17万6830円の割合による金員を支払え。 3 第3事件被告は,原告らに対し,各220万円及びこれに対する平成▲年3月18日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 第4事件(1) 主文第1項及び第2項と同旨(2) 被告は,原告らに対し,各220万円及びこれに対する平成▲年3月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要第1,第3及び第4事件は,被告の職員が加入する労働組合又はその連合体(以下,これらを合わせて「労働組合等」という。)である原告らが,被告の市長に対し,平成▲年度から平成▲年度の3回にわたり,市庁舎の一部を組合事務所として利用するため,その目的外使用許可を申請したところ,いずれも不許可処分を受けたことから,①各不許可処分について,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償及びこれに対する各不許可処分の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案(各事件共通)並びに②平成▲年度の不許可処分について,その取消しを求めるとともに,市庁舎の一部に係る目的外使用許可処分の義務付けを求める事案(第4事件のみ)である。 第2事件は,被告が,原告らに対し,原告らが上記各不許可処分後も,組合事務所として占有している市庁舎の一部について,所有権に基づきその明渡しを求めるとともに,不法行為に基づき使用料相当損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実 以下の事実は,当事者間に争いのない事実のほか,後掲括弧内の証拠等により容易に認められる事実である。 (1) 原告ら原告Aは,被告に勤務する現業職員及び 1 前提事実 以下の事実は,当事者間に争いのない事実のほか,後掲括弧内の証拠等により容易に認められる事実である。 (1) 原告ら原告Aは,被告に勤務する現業職員及び非現業職員により組織されたいわゆる混合組合である。原告Bは,同Aのほか,C組合,D組合,E組合及びF組合により組織された労働団体の連合体である。 (甲78,102)(2) 原告らによる本件事務室部分等の使用原告らは,平成3年10月1日から,被告が賃借した民間の建物の一部を転借して組合事務所として使用していたが,平成18年7月14日,初めて被告が所有する本庁舎(以下「市本庁舎」という。)地下1階の一部(88. 98㎡)について使用許可(地方自治法238条の4第7項)を受け,以後平成23年度まで毎年度使用許可を受けて,組合事務所として使用していた(ただし,平成23年度の使用許可面積は,原告らの申請に基づき,本件事務室部分の44.49㎡に縮小された。)。 (甲12ないし16,22ないし24)(3) 本件事務室部分の使用不許可処分に至る経緯ア原告らは,従前,本件事務室部分の使用料について,80%の減免率を適用されていたが,平成22年3月31日,被告との間で,同減免率を段階的に変更し,平成22年度は70%,平成23年度は60%,平成▲年度以降は50%とすることに合意し,その旨の確認書を作成した。 (甲2)イ平成▲年▲月▲日の市長選挙(以下「本件市長選挙」という。)に当選し,同年▲月▲日に就任した大阪市長G(以下「市長」という。)は,同月24日に開催された被告の戦略会議において,労働組合に対する事務室使用料の減免措置について,「▲年度までは覚書があるのなら,僕は▲年 度から減免なしということで考えて 長」という。)は,同月24日に開催された被告の戦略会議において,労働組合に対する事務室使用料の減免措置について,「▲年度までは覚書があるのなら,僕は▲年 度から減免なしということで考えているので,よろしくお願いする」と発言した。(甲32の1)ウ平成▲年12月26日,大阪市会(以下「市会」という。)交通水道委員会において,H議員から,被告交通局(以下,単に「交通局」という。)職員の内部告発に基づき,勤務時間中に選挙活動をするためにバス乗務時間の少ない特殊ダイヤによって従事した者がいること,机の引出しに「選挙関係」というラベルが貼られ,その中に選挙活動関係の書類を多量に入っている机があること,事業所の公用電話が選挙活動に使用されていることが指摘された。同局の担当者は,職員2名がバス乗務以外の業務に偏って従事していたこと,組合活動を行うため本来の終業時刻より早く退勤した者がいたことを確認した旨回答した。また,同議員が,同局の本局庁舎内においても,本件市長選挙前に前市長の推薦者カードが勤務時間内に配布されたり,選挙期間中に候補者を支援する内容の労働組合の新聞が数回にわたり卓上に配布されていると聞き及んでいる旨指摘したのに対し,同局の担当者は,指摘された事実を調査し,厳正に対処する旨述べた。さらに,同議員から,答弁を求められた市長は,次のとおり発言した。 「まず,組合側にはこれまでの考えというか,そういうことをリセットしてもらわなきゃいけないと。今までは組合が推したトップが当選してきたもんですから,それぐらいは許されてきたことがあるんでしょうけれども,僕は一切許しません。一度,組合と今の市役所の体質についてはグレートリセットをして,一から考え直したいというふうに思っています。今まで認められてきた組合活動についても一回リセット でしょうけれども,僕は一切許しません。一度,組合と今の市役所の体質についてはグレートリセットをして,一から考え直したいというふうに思っています。今まで認められてきた組合活動についても一回リセット。まずは厳格に,まずは認めない方向からどこまで法的に認められるのか,それは法的に認められるとしても,別にそこまで認める必要がないんであれば認めません。 組合の事務所も,どうもこの地下にあるんですかね。その家賃については減免ということがあったらしいんですが,それも認めませんし,先ほどの 幹部会議で僕は方針を示したんですが,組合の政治活動自体は―これは法的には,特に現業職の場合には政治活動は認められてますけれども,公の施設の中での政治活動というのは―これは公の施設はいろんな政党支持者の人からの納税で支えられている施設なわけですから,そんなところで政治活動なんてするのはあってはならないことである中で,次々といろんな問題が出てきますから,事務所には公のこの施設からまず出ていってもらうというところからスタートしたいと。ですから,地下の事務所とか,それから交通局にもいろいろ入ってるんですかね,事務所。だから,まずそこから出ていってもらって,まずはそこからスタートかなというふうに思っています」(甲32の2)エ平成▲年12月28日,市長は,市会定例会の施政方針演説の中で,次の発言をした。 「大阪市役所の組合問題にも執念を燃やして取り組んでいきたいと考えております。大阪市役所の組合の体質はやはりおかしいという風に率直に感じます。この庁舎内で,政治活動をすることは,これは当然許されません。(中略)組合が,この公の施設で,政治的な発言を一言でもするようなことがあれば,これは断じて許せません。(中略)組合を適正化する,ここにも執念を燃やしていきたい することは,これは当然許されません。(中略)組合が,この公の施設で,政治的な発言を一言でもするようなことがあれば,これは断じて許せません。(中略)組合を適正化する,ここにも執念を燃やしていきたいと思っております。(中略)大阪市役所のこの組合の体質というものが,今の全国の公務員の組合の体質の象徴だと思っております。ギリシャをみてください。公務員,公務員の組合という者ママをのさばらしておくと国が破綻してしまいます。ですから,大阪市役所の組合を徹底的に市民感覚にあうように是正,改善していくことによって,日本全国の公務員の組合を改めていく,そのことにしか日本の再生の道はないというふうに思っております」(甲32の3)オ平成▲年12月30日,市長は,被告の幹部職員に対し,次の4通の電子メールを送信した。 (ア) 午後2時59分の電子メール「市の組合は,下記の通り完全な政治活動をやっています。大阪都構想に真っ向から反対。現行法上認められる組合の政治活動は否定しませんが,公金を投入することは一切止めます。公金には大阪都構想に反対の市民の税金も含まれ,今回の選挙結果を踏まえれば,都構想賛成のほうが上回ったと判断せざるを得ません。少なくてママも組合の主張よりも,Iの主張が市民の支持を受けました。にもかかわらず,組合にI支持者の税を入れる必要性も理由もありません。総務局長が組合と覚書を交わしていますが,これは行政行為であり,政治的な民意が,行政行為に縛られるというのは本末転倒です。組合への家賃減免は直ちに止めます。 庁舎内で政治活動をすることは認めませんので,組合の立ち退き手続きを直ちに始めたいと思います。年明けに大阪市としての機関決定をします。反論等はそのときにお願いします。このような僕の感覚に,市役所も合わせてもらわなけ することは認めませんので,組合の立ち退き手続きを直ちに始めたいと思います。年明けに大阪市としての機関決定をします。反論等はそのときにお願いします。このような僕の感覚に,市役所も合わせてもらわなければなりません。組合問題について,年明けに課題整理をするよう総務局に指示をしましたが,このような感覚での整理をお願いします」(甲58の1,乙51)(イ) 午後3時30分の電子メール「まず組合適正化を施政方針演説の軸としたことを,幹部は徹底して認識すること。これまでの価値観を変えてもらわなければなりません。 (中略)組合適正化制度を作ります。(中略)公の施設内での便宜供与は禁止。賃料をとっている事務所(これも早期に退去を求めます)を除いて,まず公の施設内での組合への便宜供与は全て完全に止めます。 (中略)ここはこれまでの価値観を転換し,厳格にルール化します。意見交換,協議等もってのほか。法的に認めらてママいる最低限の交渉しか認めません。以上のルールを破った,所属,職員には厳罰です。」(甲58の2,乙33) (ウ) 午後7時47分の電子メール「このような政治活動が組合に認められるとしても,その組合に公金を投じる必要性と理由が全く分かりません。Iを支持する納税者の税を,この組合に投じることは,政治的な意味において有権者への裏切りとなります。行政は政治に規定されます。行政が政治を規定するのではありません。家賃減免や公の施設の利用便宜供与等,このような組合に税金を入れる理屈を,僕に提示して下さい。僕を納得させて下さい。納得できなければ,直ちに家賃減免などは中止,公の施設からは退去してもらいます」(甲58の3)(エ) 午後11時22分の電子メール「対組合関係適正化条例を制定します。Jさん,すみませんが,条れママ案の作 ば,直ちに家賃減免などは中止,公の施設からは退去してもらいます」(甲58の3)(エ) 午後11時22分の電子メール「対組合関係適正化条例を制定します。Jさん,すみませんが,条れママ案の作成にお力をお貸し下さい。組合を縛ると不当労働行為となりかねないので,あくまでも市役所組織を縛る条例とします。(中略)政治活動をする公務員組合に公の税を投入すること(本来徴収すべき金員の減免)は,当該組合の政治的主張と相反する政治的主張を持つ市民の税金を投入することになる。(中略)〈項目〉(中略)組合に対する便宜供与の厳禁(中略)J特別顧問,K特別顧問を中心に,関係部局によって案の作成をお願いします」(甲58の5)カ平成▲年1月4日,①市長は,年頭挨拶において,労働組合等に対するスタンスを適正化する条例を制定する意向を表明した後,記者会見において,②前月24日に本件事務室部分の使用料の減免を止めると述べていたにもかかわらず,同月26日に市会で労働組合等の政治活動が問題になるや否や,労働組合等の退去を求めるようになったことについては,市会で労働組合等による不適切な政治活動が指摘されたことを重く受け止め,行政判断を変えたものである,③本件市長選挙において労働組合等が市長を批判する政治活動を行った以上,選挙結果により政治的リスクを負うべき であり,労働組合等に対する便宜供与をリセットすることで対応したい,④ガイドラインではなく条例の形式を選択した理由について,労働組合等との関係を適正化するルールや大阪市役所の政治活動のルールは,時の市長や時の権力によって簡単に替えられる内部規範では不十分であり,市民を代表する議会の承認を得た条例でなければならない,などと述べた。 (①につき甲32の4,②及び③につき甲32の5,④につき当裁判所に顕著 権力によって簡単に替えられる内部規範では不十分であり,市民を代表する議会の承認を得た条例でなければならない,などと述べた。 (①につき甲32の4,②及び③につき甲32の5,④につき当裁判所に顕著な事実)キ平成▲年1月12日,市長は,記者会見において,労働組合等は政治団体であるから,どうしても労働組合等の事務所を市庁舎内に置かせなければならないのであれば,本件事務室部分については,公募にして,同じ政治団体であるIにも応募させて,その事務所を地下に移転させたいと述べた。(甲32の6)ク平成▲年1月18日,被告の総務局長は,労働組合等に対し,市長の指示の下,労使関係の適正化を図るため,労使関係の実態調査や労使間ルールの見直しの検討を進めているところであるとした上,現在許可している庁舎スペースの便宜供与を取り消す旨及び組合事務所の使用許可の取扱いについては改めて示す旨通知した。(甲36)被告の総務局長は,同月20日,市会決算特別委員会において,市長の方針を受け,本件事務室部分の使用許可については,平成▲年度以降は許可しない旨言明した。(当裁判所に顕著な事実)ケ平成▲年1月26日,被告の総務局の担当者らが,原告らの事務室を訪れ,被告が新たなスペースを必要とするので,同年度における本件事務室部分の使用許可をしない方針である旨を告げた。(乙52,56,67)コ平成24年1月30日,被告は,原告らに対し,①原告らが使用している本件事務室部分について平成▲年度以降は行政財産の目的外使用許可を行わない方針である旨,②原状回復の上,同年3月31日までに本件事務 室部分から退去することを求める旨の文書を交付した。(甲3)(4) 平成▲年度の使用不許可処分等ア原告らが,平成▲年2月17日,被告に対し,本件事務室部分に 3月31日までに本件事務 室部分から退去することを求める旨の文書を交付した。(甲3)(4) 平成▲年度の使用不許可処分等ア原告らが,平成▲年2月17日,被告に対し,本件事務室部分につき,使用期間を同年4月1日からの1年間として,行政財産の使用許可申請をしたところ,市長は,同月20日,これを不許可とする処分(以下「平成▲年度不許可処分」という。)をした。同不許可処分を告知した書面には,理由として,「組織改編に伴う新たな行政事務スペースが必要になること等から,貴組合から申請されている(44.49㎡)については,事務室として使用することを予定している」と記載されていた。その際,被告は,原告らに対し,上記理由を敷衍して,「府市再編部門,危機管理室,情報公開室監察部,協働まちづくり室の事務室狭隘のために約860㎡の事務スペースが不足しております」と記載した書面を交付した。 (甲4ないし7,乙4)イ原告らは,同月28日,被告に対し,本件事務室部分の明渡しを求める理由について具体的な説明と協議を求めて団体交渉を申し入れたが,被告は,同月29日,原告らに対し,上記事項はいわゆる管理運営事項に当たるとして,上記申入れには応じられない旨回答した。(甲39,40)ウ原告らは,同年3月14日,当庁に平成▲年度不許可処分の取消しなどを求める訴訟を提起し(第1事件),被告は,同年5月10日,原告らに対して本件事務室部分の明渡しなどを求める訴訟を提起した(第2事件)。 エ原告Aは,同年3月29日,本件事務室部分の明渡しを求める被告の行為が不当労働行為であるとして,大阪府労働委員会(以下「府労委」という。)に対し,救済申立てをした。 なお,府労委は,平成▲年2月20日,被告に対し,平成▲年度不許可処分が府労委において不当労働行為で 当労働行為であるとして,大阪府労働委員会(以下「府労委」という。)に対し,救済申立てをした。 なお,府労委は,平成▲年2月20日,被告に対し,平成▲年度不許可処分が府労委において不当労働行為であると認められ,今後このような行為を繰り返さないようにする旨記載した文書を原告Aに手交することを命 じる救済命令を発した。(甲102)(5) 原告らの不退去及び他組合の退去原告らは,平成▲年度の不許可処分を受けたものの,平成▲年4月1日から現在に至るまで,本件事務室部分から退去せず,これを組合事務所として占有している。他方,原告らと同様に市本庁舎の地下1階に組合事務所を設けていたL組合連合会ほか5団体は,同年2月20日に使用不許可処分を受けて,同年3月31日までに市本庁舎から退去し,その退去後の行政事務スペース(合計面積712.29㎡。以下「別件事務室部分」という。)には,同年4月1日に総務局監察部(旧情報公開室監察部)及び危機管理室が入り,同年5月21日に行政委員会事務局選挙部(旧選挙管理委員会事務局)が入った。(乙26ないし28の各2,29の1ないし11)(6) 大阪市労使関係に関する条例(平成▲年大阪市条例第79号。以下「本件条例」という。)の制定ア被告は,平成▲年5月25日,原告Bとの間で団体交渉を行い,便宜供与については,「労働組合等に対する便宜供与は,健全な労使関係が確保されるまでは行わない」というルールを条例化することを提案し,さらに,同年6月6日の団体交渉において,本件条例12条として,「労働組合等に対する便宜供与は,適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,原則として行わないものとする」との条項案を提示した。 (甲79)イ平成▲年6月20日,被告の担当部局である人事室 に対する便宜供与は,適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,原則として行わないものとする」との条項案を提示した。 (甲79)イ平成▲年6月20日,被告の担当部局である人事室が,市長に対し,本件条例12条の条項案として,上記アの案を示したところ,市長は,「適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,原則として」という文言について,適正かつ健全な労使関係にあると判断される労働組合等に対しては個別に便宜供与を行うことができるとの誤解を招くことを理由として,その削除を命じた。(弁論の全趣旨) ウ平成▲年6月22日,被告は,原告Bとの交渉において,上記イの市長の指示に従い,本件条例12条について,内容は変わらないが,文言をより明確化するとして,「労働組合等の組合活動に対する便宜の供与は,行わないものとする」と修正する案を示した。これに対し,原告Bは,本件条例は労働組合法(以下「労組法」という。)に違反していると主張し,同月27日の団体交渉においても,本件条例は原告らによる本件事務室部分の使用を条例違反とするためのものであるとして強く抗議したが,被告は,同月22日に提示した内容が最終案であるとし,同原告との交渉を終了させた。(甲79)エ上記ウの内容の条例案は,同年7月27日,市会で原案のとおり可決され,同月30日の公布を経て,同年8月1日施行された。同条例には,次の条項が定められている。(乙9,35)「(目的)第1条この条例は,労働組合等と本市の当局との交渉の対象となる事項の範囲,交渉内容の公表等に関する事項等を定めることにより,適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。 (便宜供与)第12条労働組合等の組合活動に関する 内容の公表等に関する事項等を定めることにより,適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。 (便宜供与)第12条労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は,行わないものとする。」(7) 平成▲年度の使用不許可処分等ア原告らが,平成▲年2月18日,市長に対し,本件事務室部分につき,使用期間を同年4月1日からの1年間として,行政財産の使用許可申請をしたところ,市長は,同年3月18日,これを不許可とする処分(以下「平成▲年度不許可処分」という。)をした。同不許可処分を告知した書面には,理由として,「①本件条例12条において,労働組合等の組合活 動に関する便宜の供与は行わないこととしているため,②本申請の対象となるスペースについては,行政事務スペースとして利用する必要があるため」と記載されていた。(甲69ないし71)イ原告らは,同月22日,被告に対し,組合事務所の供与等についての協議等を求めて団体交渉を申し入れたが,被告は,同月29日,原告らに対し,上記事項はいわゆる管理運営事項に当たるとして,上記申入れには応じられない旨回答した。(甲72,73,乙52)ウ原告らは,同月29日,当庁に平成▲年度不許可処分の取消しなどを求める訴訟を提起した(第3事件)。 (8) 平成▲年度の使用不許可処分等ア原告らは,平成▲年2月6日,市長に対し,本件事務室部分につき,使用期間を同年4月1日からの1年間として,行政財産の使用許可申請をしたところ,市長職務代理者副市長Mは,同年3月11日,いずれの申請も不許可とする処分(専決又は代決。以下「平成▲年度不許可処分」といい,平成▲年度不許可処分及び平成▲年度不許可処分をも含めて「本件各不許可処分」という。)をした。同不許可処分 11日,いずれの申請も不許可とする処分(専決又は代決。以下「平成▲年度不許可処分」といい,平成▲年度不許可処分及び平成▲年度不許可処分をも含めて「本件各不許可処分」という。)をした。同不許可処分を告知した書面には,理由として,平成▲年度不許可処分の理由と同一の理由が記載されていた。(甲103ないし105)イ原告らは,同月12日,被告に対し,組合事務所の供与等について協議等を求めて団体交渉を申し入れたが,被告は,前記(7)イと同様の理由で上記申入れには応じられない旨回答した。(甲106,107,乙52)ウ原告らは,同月24日,当庁に平成▲年度不許可処分の取消しなどを求める訴訟を提起した(第4事件)。 2 争点及び争点に対する当事者の主張(1) 本件各不許可処分の違法性ア総論 (原告らの主張)(ア) 組合事務所の提供等の便宜供与について,既に一定期間,労使協定又は慣行により継続されてきたものを一方的に廃止することは,労働組合に極めて深刻な打撃を与え,労使関係における信義にも反するので,これを正当化する特段の事情のない限り,憲法28条が保障する団結権等の侵害として評価されるというべきである。 そして,本件各不許可処分は,被告が原告らに対し継続的に行ってきた組合事務所の提供を一方的に廃止したものであり,その理由や代替措置の有無について説明もせず,団体交渉にも応ぜず,平成▲年度不許可処分においてわずか1か月余り後に立ち退きを迫ることを正当化する特段の事情もない。 すなわち,本件各不許可処分の真の理由は,市長が本件市長選挙において自分を支援しなかった労働組合等を目の敵にして,庁舎外に排除し,庁舎内で政治活動をさせないようにして,労働組合等の影響力の排除とその弱体化を図ろうとしたものである。市長は 市長が本件市長選挙において自分を支援しなかった労働組合等を目の敵にして,庁舎外に排除し,庁舎内で政治活動をさせないようにして,労働組合等の影響力の排除とその弱体化を図ろうとしたものである。市長は,本件市長選挙以前から,前市長を支援していた労働組合等を敵視・攻撃し,同選挙において市民の支持を得ようとし,市長就任後は,同攻撃をエスカレートさせて,矢継ぎ早に,平成▲年度不許可処分のみならず,本件条例の制定,労働組合活動への参加の有無等を回答させる職員アンケートの実施等を実施した。 したがって,本件各不許可処分は,行政庁の裁量権を論じるまでもなく,団結権等を侵害するものであり,支配介入の不当労働行為に当たるから違法である。 (イ) 団結権等侵害により直ちに本件各不許可処分が直ちに違法にならないとしても,①原告らの許可申請は,労働組合等の団結権等保障において重要な組合事務所としての使用を目的とし,かつ,被告との間で継 続的使用が合意されている中で,形式的な更新手続として行われたものであること,また,②本件事務室部分の使用者は,市本庁舎を日常的に使用する被告の職員であり,使用目的も,被告職員の労働条件の維持改善等,被告の行政事務の円滑な遂行とも密接に関連する労働組合等の維持運営にあるから,これを許可するに当たっての支障や弊害はないこと,後述するとおり,③被告による庁舎利用や庁舎内の組合員らの政治活動をおそれを完全に払拭する各必要性があるとの理由に正当性も合理性も認められないこと,④組合事務所が失われることによる原告らの不利益は甚大であること,といった事情があるのに,本件各不許可処分は,これらの要素を全く考慮していない。 そして,本件各不許可処分は,市長の言説によれば,明白な団結権等侵害(不当労働行為)の意思・目的に基づいて行 ること,といった事情があるのに,本件各不許可処分は,これらの要素を全く考慮していない。 そして,本件各不許可処分は,市長の言説によれば,明白な団結権等侵害(不当労働行為)の意思・目的に基づいて行われたものであることが明らかであり,誤った事実認識や法的見解を前提に,違法な意思に基づいて行われたものであって,重要な事実の基礎を欠き,社会通念に照らしても著しく妥当性を欠き,裁量権の逸脱・濫用として違法である。 (ウ) 行政手続法違反があることa 同法5条1項及び2項被告が,行政財産の目的外使用許可に関して設ける「行政財産の目的外使用許可にかかる審査基準等について」(甲50)のうち,本件に適用される「その他本市の事務事業上やむを得ないと認められる場合」(1(1)ク)は,どのような場合に使用許可がなされ,どのような場合に不許可となるのか,申請人には全く理解ができず,審査基準として意味がない。 したがって,本件各不許可処分は,行政手続法5条1項及び2項に反する。 b 同法8条及び14条 本件各不許可処分の通知書には,事務スペースの必要性が記載されているが,具体性がなく,平成▲年度不許可処分の通知書には,被告が理由として主張する労働組合等による政治活動のおそれの払拭も記載されていない。 したがって,本件各不許可処分は,行政手続法8条や14条に違反する。 c 同法13条本件各不許可処分は,1年ごとに申請と使用許可を繰り返す形をとっているものの,労使合意に基づき5年半以上の長期間にわたり継続されてきた組合事務所の提供を打ち切るものであり,実態としては不利益処分というべきものである。そうすると,被告は,上記処分を行うに際し,原告らに対し一切の協議や説明を拒否しており,弁明の機会を全く与えていないから,本件各不許可処分 るものであり,実態としては不利益処分というべきものである。そうすると,被告は,上記処分を行うに際し,原告らに対し一切の協議や説明を拒否しており,弁明の機会を全く与えていないから,本件各不許可処分は,行政手続法13条に違反する。 (被告の主張)(ア) 地方自治法238条の4第7項によれば,本件各不許可処分が違法とされるためには,①本件事務室部分について,本件各不許可処分を行ってまで行政事務スペースとして自己使用させる必要がないと判断される必要があり,その上でさらに,②同部分について組合事務所として使用させないことが市長の裁量権の逸脱・濫用に該当すると判断される必要がある。 (イ) 原告らは,本件各不許可処分が労働組合等を弱体化させる目的・意図で行われたもので,他事考慮により裁量権の逸脱・濫用が認められ違法であると主張するが,市長は,施政方針演説にもあるとおり,労働組合等を嫌悪・敵視しているのではなく,市民の目から見て不適切と受け取られるおそれのある市役所と労働組合等とのこれまでの関係を適正化 することを目指しているものであり,組合弱体化を目的とするものではない。 (ウ) 仮に,本件各不許可処分が労組法上不当労働行為であると認定されたとしても,上記(ア)①の事実が認められない場合には,行政庁としては,目的外使用許可をすることは法によって禁止されているのであり,不許可処分は適法である。 仮に,上記(ア)①の事実が認められる場合であっても,不当労働行為に該当すると判断されたことのみによって直ちに裁量権の逸脱・濫用に該当するものではなく,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分については本件条例が無効と判断される必要がある。 (エ) 行政手続法に違反しないことa 同法5条1項及び2項原告らの主張を争う。 地方 ものではなく,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分については本件条例が無効と判断される必要がある。 (エ) 行政手続法に違反しないことa 同法5条1項及び2項原告らの主張を争う。 地方自治法238条の4第7項による行政財産の目的外使用許可は,行政庁に広範な裁量が認められているから,その審査基準に求められる具体性の程度は,方針や考慮事項といったもので十分である。したがって,被告が定めた「行政財産の目的外使用許可にかかる審査基準について」(甲50)の中にある「事務事業上やむを得ない」という基準は,十分なものといえるから,行政手続法5条1項及び2項には違反しない。 b 同法8条及び14条原告らの主張を否認ないし争う。 被告の担当者は,平成▲年2月20日,原告らに対し,同年度不許可処分を告知した書面を交付する際,「組織改編に伴う新たな行政事務スペースが必要になること等」の「等」には,市の庁舎内で労働組合が政治活動を行うおそれを払拭したいことが含まれている旨説明し ており,理由の提示に不備はないから,行政手続法8条及び14条の違反はない。 なお,行政手続法8条の立法趣旨は,行政庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えることであると解されるから,処分の同一性に影響しない限り,訴訟において,処分理由を追加することは許される。 c 同法13条原告らの主張を争う。 本件各不許可処分は,名宛人である原告らに対し,義務を課し,又はその権利を制限する処分ではなく,申請により求められた許可を拒否する処分にすぎないから,行政手続法上の不利益処分には該当しない。よって,同法13条にも違反しない。 イ平成▲年度不許可処分の違法性(原告らの主張) 分ではなく,申請により求められた許可を拒否する処分にすぎないから,行政手続法上の不利益処分には該当しない。よって,同法13条にも違反しない。 イ平成▲年度不許可処分の違法性(原告らの主張)(ア) 被告が平成▲年度不許可処分の理由として主張する「組織改編に伴い新たな行政スペースが必要になること」については,①組合事務所排除の方針を打ち出した市長が,市本庁舎利用の必要性について何らの発言もしていなかったこと,②市本庁舎は,被告が定めた事務室面積算定基準(乙15)によれば,スペースに相当余裕があること,③被告は,スペース配置について市本庁舎全体での調整や検討を行っておらず,他に目的外使用許可をしているスペースについて廃止や縮小の検討もしていないこと,④被告が平成▲年度不許可処分の前に行ったと主張する検討内容(乙11)には矛盾が多く,真に検討が行われたかどうか疑問である上,スペース不足の理由にはなっていないことなどから,被告が主張する上記の理由は,後から付け足した理由にすぎないといえ,客観的 な事実にも反するものである。 (イ) 被告が平成▲年度不許可処分の理由として主張する「庁舎内で労働組合員等による政治活動が行われるおそれを完全に払拭する必要があること」は,①労働組合活動は政治活動と不可分のものであり,被告のいう「政治活動の払拭」とは労働組合活動の排斥に等しいこと,②庁舎内での政治活動の排除という目的と組合事務所の排除という手段との間に関連性はないこと,③労働組合等の団結権等に対しより制限的でない手段をとるべきとする比例原則にも反すること,④原告らにおいては何ら問題のある政治活動はなく,原告ら以外の労働組合等の活動を理由に原告らの組合事務所を奪うのは明らかに他事考慮であることなどに照らせば,平成▲年度不許可処分 原則にも反すること,④原告らにおいては何ら問題のある政治活動はなく,原告ら以外の労働組合等の活動を理由に原告らの組合事務所を奪うのは明らかに他事考慮であることなどに照らせば,平成▲年度不許可処分を正当化する理由にはならない。 (被告の主張)(ア) 平成▲年度不許可処分は,①組織改編に伴う新たな行政事務スペースが必要となること,及び②前提事実(3)ウのとおり,庁舎内で労働組合員による政治活動が行われていた事実が明らかとなり,以後,庁舎内で労働組合員等による政治活動が行われるおそれを完全に払拭する必要があったことを理由としており,合理的な理由がある。 (イ) 前記①の具体的内容は,次のとおりである。 すなわち,被告は,平成▲年度の組織改編(政策企画室府市再編担当の新設(平成▲年12月),情報公開室監察部及び危機管理室の各増員)及びもともと狭隘であった協働まちづくり室の拡張に伴い,新たに約860㎡(政策企画室府市再編担当285.8㎡,情報公開室監察部98. 8㎡,危機管理室348.9㎡,協働まちづくり室125.8㎡)の行政事務スペースが必要となったため,平成▲年1月12日の被告総務局内での局議(以下「平成▲年1月の局議」という。)において,本件事務室部分を行政事務スペースとして使用することを決定した。 実際,別件の不許可処分等により被告において自己使用が可能となった行政事務スペース(市本庁舎地下1階合計面積712.29㎡)については,同年4月1日から,総務局監察部(旧情報公開室監察部)及び危機管理室の事務室として,事務室レイアウト変更に伴う改修工事を行ったスペースについては,同年5月21日より,行政委員会事務局選挙部(旧選挙管理委員会事務局)の事務室として使用している。 原告らは,前記必要性が後から付け足した理由 アウト変更に伴う改修工事を行ったスペースについては,同年5月21日より,行政委員会事務局選挙部(旧選挙管理委員会事務局)の事務室として使用している。 原告らは,前記必要性が後から付け足した理由にすぎないと主張するが,以下のとおり理由がない。 a 本件事務室部分を行政事務スペースとする方針を決めたのは,平成▲年1月の局議であるが,その必要性については,以下のとおり,平成▲年度当初より認識され,検討が行われてきた。 (a) 例えば,危機管理室には,同年3月11日に東日本大地震が発生したことにより,震災支援対策室が設置されたが,同年度の行政事務スペースは既に確定されており,危機管理室内にそのスペースを確保できず,やむを得ず市本庁舎地下1階の総務局分室の一部を急遽使用中止した上で,震災支援のための総合窓口とするなどできる限りの対応を行ったが,上記スペース不足の解消には至らなかった。 (b) また,同年12月19日には,政策企画室に府市再編担当が発足したが,新たな行政事務スペースを確保することができず,市本庁舎5階の同室内の会議室を一時的に使用し,平成▲年1月30日に協働まちづくり室が市本庁舎5階から地下1階の総務局庁舎管理スペースへ移転した後は,同室のスペース(200㎡)を使用することを余儀なくされていた。 b なお,事務室面積算定基準(乙15)により所属ごとの階級別人数をもとに画一的に算定される基準面積は,あくまでも各所属に対して 行政事務スペースを配分する際の基準であり,建物構造上の制限や各所属に必要な設備の状況や各所属の担当する業務内容等をも考慮して具体的な配置面積を決めているのであるから,市本庁舎全体で必要とされる行政事務スペースの基準面積に変更がないことや,基準面積よりも実際の配置面積の方が広いことから,行 担当する業務内容等をも考慮して具体的な配置面積を決めているのであるから,市本庁舎全体で必要とされる行政事務スペースの基準面積に変更がないことや,基準面積よりも実際の配置面積の方が広いことから,行政事務スペースの必要性がないとはいえない。 c 上記局議の資料として作成された乙11に不自然な点はなく,必要になった行政事務スペース(約860㎡)を共用会議室(総面積約815㎡)で補おうとすると行政事務の遂行上支障が出るし,郵便局や食堂等の目的外使用許可をしているスペースを不許可にすることはできないし,他に余剰スペースもなく,代替物件を提供したり,明渡し条件等について事前に調整すべき法的義務もない。 したがって,原告らに対し本件事務室部分の使用を許可すれば,市本庁舎の本来用途である行政事務スペースとしての使用を妨げることとなるから,地方自治法238条の4第7項により,その目的外使用を許可することができないことは明らかであったものであり,平成▲年度不許可処分は適法である。 (ウ) 仮に平成▲年度不許可処分の前記①の理由が認められないとしても,当然に目的外使用許可をしなくてはならないものではなく,合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできる。 そして,上記②については,前提事実(3)ウのとおり,庁舎内で労働組合員による政治活動が行われていた事実が明らかとなったところ,市長は,労働組合員等によって市本庁舎内で政治活動が行われれば,それが違法でない場合であっても,住民の行政の中立的運営に対する信頼が損なわれるから,公用に供される市本庁舎内で政治活動が行われること自体が,庁舎の本来的目的に鑑みてふさわしくないと判断して,前記② の理由により同不許可処分を行ったものであり,裁量権の逸脱・濫用はない。 ウ平成▲年度及び平成▲ 治活動が行われること自体が,庁舎の本来的目的に鑑みてふさわしくないと判断して,前記② の理由により同不許可処分を行ったものであり,裁量権の逸脱・濫用はない。 ウ平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分の違法性(原告らの主張)(ア) 平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分は,本件条例12条に基づくものであるところ,同条例は,次のとおり,違憲又は違法により無効であり,仮に無効とされない場合でも,同条例12条にいう便宜供与は,新たな便宜供与に限定解釈すべきであるから,同各不許可処分を正当化する理由とはならない。 a 本件条例1条が定める目的(適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保すること)は,地方公務員法1条が定める目的(行政の民主的かつ能率的な運営)に合致しない。 b 本件条例12条は,任命権者の裁量に属するべき便宜供与について,任命権者の裁量権限を過度に制約し,地方公務員法の諸原則(同法13条,15条,27条)に反する。 c 本件条例12条は,地方公務員の労働基本権を制約する効果が極めて大きく,団結権等の保障が全国一律であるべきことにも反する。 d 本件条例12条は,便宜供与について団体交渉の余地すら否定するものであり,労組法7条2号及び地方自治法55条1項に違反する。 e 本件条例は,①その目的とする「適正かつ健全な労使関係」の意味が一義的に明らかではなく,目的自体の正当性が認められないこと,②現状の労使関係が不適切であり,不健全であるという点について,具体的な立法事実の裏付けがないこと,③市長の言動によれば,大阪市の労働組合等は悪であるというイメージを作り上げ,自らに対する支持を獲得することを最大の目的として制定されたものであること,④その目的を達成する手段とし 付けがないこと,③市長の言動によれば,大阪市の労働組合等は悪であるというイメージを作り上げ,自らに対する支持を獲得することを最大の目的として制定されたものであること,④その目的を達成する手段として,労働組合等に対する便宜供与を一 切禁止しており,必要最小限度のものとはいえないことから,団結権等の保障を定めた憲法28条に反する。 f 本件条例12条は,労働組合等からの目的外使用許可申請を,合理的な理由なく他の市民や団体からの目的外使用許可申請と区別して取扱い,これを一律に禁止するものであるから,憲法14条に違反する。 (イ) 被告が平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分の理由として主張する「行政事務スペースとして利用する必要があるため」については,①平成▲年度不許可処分について述べたとおり真の理由ではないこと(本件条例12条が存在する限り,原告らの使用許可申請は不許可としなければならないから,行政事務スペースの必要性が検討されたはずがない。),②市本庁舎は,被告が定めた事務室面積算定基準(乙15)によれば,スペースに相当余裕があること,③被告は,スペース配置について市本庁舎全体での調整や検討を行っておらず,他に目的外使用許可をしているスペースについて廃止や縮小の検討もしていないこと,④大阪府市大都市局,財政局,こども青少年局について新たなスペースの需要が生じたことについても疑わしいことなどから,被告が主張する上記の理由は,不許可処分の真の理由とはいえない。 (被告の主張)(ア) 平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分は,いずれも,①本件条例12条において,労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないこととしていること,及び②行政事務スペースとして利用する必要があることを理由としており,合理的な理由がある。 いずれも,①本件条例12条において,労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないこととしていること,及び②行政事務スペースとして利用する必要があることを理由としており,合理的な理由がある。 (イ) 上記①について,本件条例12条は,以下のとおり,違憲又は違法とはいえず,合憲限定解釈を行う必要もないから,これに基づく同各不許可処分は,裁量権の逸脱・濫用はない。 a 被告においては,平成16年から17年にかけてのヤミ専従等, 様々な職員厚遇問題が発覚し,それに対して制度改革を行ってきたものの,依然として労使間の不適切な関係が根強く残った状況において,交通局の職員が勤務時間中に無許可で職場を離脱して本件市長選挙に関連する組合活動を行っていた事案等が発覚し,調査の結果,労使間の不適切な様々な事案が報告されたため,「適正かつ健全な労使関係の確保を図り,もって市政に対する市民の信頼を確保する」ために,本件条例が制定・施行された。 本件条例12条は,被告による便宜供与が不適正ないし不健全な労使関係を生じさせる原因の一つであると考えられたことから,労使関係が適正化・健全化するまでの間は,一切の便宜供与を行わないこととしたものである。このように,包括的にあらゆる便宜供与を禁止の対象としたのは,一旦,ゼロベースで被告における労使関係のあり方を見直すためで,仮に,不祥事事案に関係する便宜供与等に限って禁止した場合,禁止の対象外の便宜供与が不健全な労使関係の新たな温床となりかねないことから,その実効性を担保するためである。 したがって,一旦全ての労働組合等に対する便宜供与を止めた後,将来,適正かつ健全な労使関係が確保できていると認められる状況になれば,改めて同条を改正することにより便宜供与を行うことがあり得ることは,本件条例の成立時 ての労働組合等に対する便宜供与を止めた後,将来,適正かつ健全な労使関係が確保できていると認められる状況になれば,改めて同条を改正することにより便宜供与を行うことがあり得ることは,本件条例の成立時から予定されている。 b 労組法が,労働組合の自主性を担保する趣旨から同法上の労働組合に対する経理上の援助を原則として禁止していること(2条2号,7条3号)からすれば,同法7条3号が条例による便宜供与禁止を許容していないとは解されないし,本件条例の上記目的と労組法1条の自主性確保の目的とは何ら阻害関係にない上,同法が使用者に便宜供与を義務づけているものではなく,本件条例12条の適用によって,同法の効果が阻害されることもない。 したがって,本件条例12条は,同法に違反しない。 c 本件条例1条と地方公務員法1条は何ら相反するものではない。適正かつ健全な労使関係の確保を図り,市民からの信頼を得て行政を行うことは,行政の民主的かつ能率的な運営につながる。 d 地方公務員法13条,15条,27条は,便宜供与の規定ではないから,本件条例12条と抵触することはない。 e 本件条例12条は,団結権等の保障を直接的又は間接的に制約するような上乗せ規制をするようなものではないから,前記(原告らの主張)(ア)cの主張は,失当である。 f 労組法7条2号は,便宜供与について定めたものではないし,地方公務員法55条1項も,職員団体が当局に対して交渉を求める権利を認めたものではないから,本件条例12条により,原告らと被告との間で便宜供与に関する交渉ができなくなるとしても,これをもって,労組法7条2号や地方公務員法55条1項に違反することにはならない。 g そもそも労働組合等に対する便宜供与を義務づける法令は存在しないところ,本件条例 交渉ができなくなるとしても,これをもって,労組法7条2号や地方公務員法55条1項に違反することにはならない。 g そもそも労働組合等に対する便宜供与を義務づける法令は存在しないところ,本件条例12条は,使用者の義務ではない便宜供与を行わないものとしたものにすぎないから,労働組合等の団結権等を侵害するものではない。 h 利用者が組合員に限定される組合事務所を,職員が等しく利用する福利厚生施設とパラレルに考えることには大きな無理があるから,本件条例12条には合理的な理由があり,憲法14条に違反しない。 (ウ) 前記②の具体的内容は,次のとおりである。 すなわち,市本庁舎の行政事務スペースは,もともと慢性的に不足していたところ,平成▲年度の組織改編において,従前の都市制度改革室(平成▲年5月1日の職員数34人)が再編・拡充され大阪府市大都市 局(平成▲年4月19日の職員数102人,基準面積1001㎡)が設置されるとともに,市本庁舎以外の場所に分散配置されていた固定資産評価に係る路線価の付設に関する事務及び土地評価に関する企画事務を行う財政局の組織の市本庁舎への集約や,待機児童解消の施策を進めるためのこども青少年局の拡充(平成▲年5月1日の職員数206人,基準面積1465㎡が,平成▲年4月19日には職員数257人,基準面積1813㎡となった。)等が決定され,さらに市本庁舎の狭隘化が進んだ(平成▲年5月1日の職員数2822人,基準面積2万0471㎡が,平成▲年4月19日には職員数2930人,基準面積2万1572㎡となった。)。そのため,被告は,平成▲年度及び平成▲年度も,平成▲年度から引き続き本件事務室部分を行政事務スペースとして使用する必要があった。 したがって,原告らに対し本件事務室部分の使用を許可すれば,市本庁舎 ため,被告は,平成▲年度及び平成▲年度も,平成▲年度から引き続き本件事務室部分を行政事務スペースとして使用する必要があった。 したがって,原告らに対し本件事務室部分の使用を許可すれば,市本庁舎の本来用途である行政事務スペースとしての使用を妨げることとなるから,地方自治法238条の4第7項により,その目的外使用を許可することができないことは明らかであり,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分は適法である。 また,仮に本件事務所部分(44.49㎡)だけを取り出してみれば,これを行政事務スペースとして利用する必要があるとはいえないと判断されたとしても,組合間差別を回避するため,原告らに対し使用を許可しないことは裁量権の範囲内であると考えられる。 (2) 原告らの損害の有無等(原告らの主張)市長が,これまで労働組合活動に不可欠なものとして,継続的に本件事務室部分を使用してきた原告らに対し,合理的な理由が全くないにもかかわらず,原告らの弱体化を企図し,原告らに対する説明や協議もせず,一方的に 本件各不許可処分を行った行為は,原告らの団結権等を侵害するものであり,その理由について十分な調査・検討をすることなく,行政手続法所定の手続も履行していないことからして,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしておらず,国家賠償法1条1項の違法があるとともに,市長に故意・過失が認められる。なお,本件条例は違憲・違法であり,その適法性等に疑義があることは市長及びその職務代理者も認識し又は認識し得たから,本件条例の解釈適用を誤った市長及びその職務代理者の過失を否定することはできない。 上記違法行為により,原告らが被った有形無形の損害は,各原告について,各処分ごとに200万円を下ることはない。さらに,各損害額の1割である20万円が,弁護士 代理者の過失を否定することはできない。 上記違法行為により,原告らが被った有形無形の損害は,各原告について,各処分ごとに200万円を下ることはない。さらに,各損害額の1割である20万円が,弁護士費用相当額として,同違法行為と相当因果関係のある損害である。 (被告の主張)争う。 (3) 平成▲年度不許可処分に係る義務付けの訴えの適否(原告らの主張)平成▲年度不許可処分は,市長が,労働組合等の排除を意図し,原告らの団結権等を侵害する違法な処分であり,裁量権の逸脱・濫用であるから,行政事件訴訟法37条の5第3項により,主文第2項と同旨の使用許可処分がなされなければならない。 (被告の主張)争う。 (4) 本件事務室部分の明渡し請求が権利の濫用か否か(原告らの主張)本件各不許可処分は,いずれも原告らの団結権等を侵害しており,又は市長の裁量権を逸脱・濫用したものであって,市長は,原告らに対し,本件事務室部分につきその使用を許可しなければならない立場にある。そして,前 記(1),(2)の(原告らの主張)のとおり,被告の不法性・不当性は顕著であり,このような者の権利について法的救済が許されるはずがなく,被告の明渡し請求は,権利の濫用であり,信義則に反して許されない。 (被告の主張)争う。 (5) 使用料相当損害金の額(被告の主張)本件事務室部分の使用料相当損害金は,次のとおり,1か月17万6830円を下らない。被告における行政財産の目的外使用に係る使用料は,大阪市財産条例7条に基づき算定しているところ,本件事務室部分の使用料は,1㎡あたり1か月3785.35円とされており,これに原告らが占有している面積44.49㎡を乗じ(円未満切捨て),消費税を加えると,本件事務室部分の使用料 しているところ,本件事務室部分の使用料は,1㎡あたり1か月3785.35円とされており,これに原告らが占有している面積44.49㎡を乗じ(円未満切捨て),消費税を加えると,本件事務室部分の使用料は,1か月17万6830円となる。 (原告らの主張)否認ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件各不許可処分の違法性)について(1) 判断枠組みア地方公共団体の庁舎は,地方自治法238条4項にいう行政財産であり,当該地方公共団体の公用に供することを目的とするものである。したがって,これを目的外に使用するためには同法238条の4第7項に基づく許可が必要であり,目的外使用を許可するか否かは,原則として,施設管理者の裁量に委ねられているものと解するのが相当である。すなわち,当該地方公共団体の庁舎の用途又は目的を妨げる場合には使用を許可することができないことは明らかであるが,そのような場合ではないからといって当然に許可しなくてはならないものではなく,行政財産である庁舎の目的 及び用途と目的外使用の目的,態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可をしないこともできるものである。そして,施設管理者の裁量判断は,許可申請に係る使用の日時若しくは期間,場所,目的及び態様,使用者の範囲,使用の必要性の程度,許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度,代替施設確保の困難性等許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり,その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判 ,その裁量権の行使が逸脱・濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱・濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である(最高裁平成18年2月7日第三小法廷判決・民集60巻2号401頁参照)。 イこの点,当該地方公共団体に任用される職員をもって組織される労働組合等は,その勤務条件の維持改善を図ることを目的とするものであって,当該地方公共団体の庁舎内をその活動の主要な場とせざるを得ないのが実情であり,その活動の拠点として組合事務所を庁舎内に設置する必要性の大きいことは否定することができない。しかし,労働組合等にとって使用の必要性が大きいからといって,施設管理者において労働組合等の活動のためにする庁舎の使用を受忍し,許容しなければならない義務を負うものではないし,使用を許さないことが庁舎につき施設管理者が有する裁量権の逸脱・濫用であると認められるような場合を除いては,その使用不許可が違法となるものでもない。また,従前,組合事務所として利用するための1年間の使用許可申請を繰り返し許可してきたとしても,そのことから直ちに,従前と異なる取扱いをすることが裁量権の逸脱・濫用となるもの ではない。 ウもっとも,先に述べたとおり,労働組合等が組合活動につき庁舎を利用する必要性が大きいことは否定できず,施設管理者においても,労働組合等に対しその活動の拠点として組合事務所を庁舎内に設置することを継続的に許可してきた場合には,それまでは,組合事務所として利用させることが,当該地方公共団体の庁舎の ,施設管理者においても,労働組合等に対しその活動の拠点として組合事務所を庁舎内に設置することを継続的に許可してきた場合には,それまでは,組合事務所として利用させることが,当該地方公共団体の庁舎の用途又は目的を妨げるものではなく,相当なものであったことが推認される上,それを以後不許可とすることによって,労働組合等の庁舎内での組合活動につき著しい支障が生じることは明らかである。 したがって,そのように従前と異なる取扱いをした不許可処分の違法性を判断するに当たっては,施設管理者側の庁舎使用の必要性がどの程度増大したか(そもそも組合事務所として使用をしていた労働組合等に退去を求めざるを得ない程度に庁舎を公用に供する必要性が生じた場合には,前述したとおり,当該地方公共団体の庁舎の用途又は目的を妨げる場合に該当するとして使用を許可することができない。),職員の団結権等に及ぼす支障の有無・程度,施設管理者側の団結権等を侵害する意図の有無等を総合考慮して,施設管理者が有する裁量権の逸脱・濫用の有無等を判断すべきである。 以上を前提として,本件について検討する。 (2) 平成▲年度不許可処分の違法性についてア理由①(組織改編に伴い新たな行政スペースが必要になること)について(ア) この点,被告は,前記第2の2(1)イの被告の主張(イ)のとおり主張しており,確かに,前提事実(5),証拠(乙27及び28の各2,29の1ないし11,乙52,53,67,証人N)及び弁論の全趣旨によれば,①大阪市における行政事務スペースは市本庁舎を建設した当時 から不足していた上,②本件市長選挙において大阪都構想を政策に掲げる市長が当選した後,平成▲年12月に政策企画室府市再編担当が新設され,平成▲年度組織改編により大阪府市大都市局と改組されたが, から不足していた上,②本件市長選挙において大阪都構想を政策に掲げる市長が当選した後,平成▲年12月に政策企画室府市再編担当が新設され,平成▲年度組織改編により大阪府市大都市局と改組されたが,発足当初は,5階の政策企画室内の会議室に所在し,平成▲年1月30日には地下1階の総務局庁舎管理スペースに移転した協働まちづくり室の後に移転したこと,③平成▲年4月1日以降は,別件事務室部分は,総務局監察部(旧情報公開室監察部)及び危機管理室の事務室として使用が開始されるとともに,改修工事を行ったスペースは,同年5月21日より行政委員会事務局選挙部(旧選挙管理委員会事務局)の事務室として使用が開始されていることが認められる。 (イ) しかし,被告が従前原告らに対し本件事務室部分の使用を許可していたにもかかわらず,平成▲年度から不許可処分を行うに至った経緯については,前提事実(3),証拠(甲82,88,乙52,53,67,証人O)及び弁論の全趣旨によれば,①被告は,平成18年度から本件各不許可処分に至るまで,毎年,原告らに対し,事前の折衝や協議を行うことなく本件事務室部分につき目的外使用許可を行い,その際に,本件各不許可処分と同一の理由で同部分の明渡しや縮小を求めたことはなかったこと,②被告は,原告らに対し,使用料の減免率の改定を求めた際も,原告らとの間で平成▲年度以降も本件事務室部分の使用許可が行われる前提で,その使用料の減免率を50%とする旨合意したこと(平成22年3月31日。前提事実(3)ア),③市長も,平成▲年12月24日の被告の戦略会議においては,平成▲年度以降も本件事務室部分の使用許可を行うことを前提として,同年度の減免率は上記の合意に従い50%とするものの,平成▲年度から使用料の減免を行わない旨の意向を表明していたこと,④と おいては,平成▲年度以降も本件事務室部分の使用許可を行うことを前提として,同年度の減免率は上記の合意に従い50%とするものの,平成▲年度から使用料の減免を行わない旨の意向を表明していたこと,④ところが,市長は,平成▲年12月26日の市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の 対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘を受けるや,一転して,被告の職員が加入する労働組合等に対する便宜供与を全て廃止する方針へ転換し,市本庁舎内の組合事務所についても,平成▲年度から使用を許可しない意向を表明し,その際には,その理由として,庁舎内における労働組合等の政治活動の点を挙げるに止まり,市本庁舎における行政事務スペースの不足には全く言及せず,それ以後,この考えを被告の幹部職員に対する電子メールや記者会見等で強調し続け,労働組合等は政治団体であるから,どうしても組合事務所を市本庁舎内に置かせなければならないのであれば,本件及び別件各事務室部分については公募にして同じ政治団体であるIの事務所を移転させたいとさえ述べたこと,⑤被告の総務局長は,平成▲年1月20日,市会決算特別委員会において,市長の上記方針を受け,本件及び別件事務室部分の使用許可については,平成▲年度以降は許可しない旨言明したこと,⑥被告の総務局の担当者らが,同月30日,原告らに対し,本件事務室部分の明渡しを求めたが,その理由の具体的な内容について詳細な説明はしなかったことが認められる。 以上の一連の事情によれば,市長は,平成▲年12月24日までは,原告らに対し,平成▲年度も本件事務室部分の使用許可を行う意向であったにもかかわらず,同月26日,突然に市本庁舎から組合事務所を排除する方向へと方針転換し,平成▲年度不許可処分を行うに至ったこと 原告らに対し,平成▲年度も本件事務室部分の使用許可を行う意向であったにもかかわらず,同月26日,突然に市本庁舎から組合事務所を排除する方向へと方針転換し,平成▲年度不許可処分を行うに至ったことが明らかである(以下,この方針転換を「本件方針転換」という。)。 そして,平成▲年1月の局議において本件事務室部分を行政事務スペースとして利用することを決定したという被告の主張を前提としても,前提事実(3)の市長の一連の発言の内容とそれを受けて被告総務局長も平成▲年度不許可処分を行うことを言明していることに鑑みれば,平成▲年度以降,本件事務室部分の使用を許可しないことは,本件方針転換に より上記局議がなされるより前に事実上決定していたものと認められる。 (ウ) 上記(ア),(イ)によれば,被告の行政事務スペースは,市本庁舎建設時から不足しているものの,少なくとも平成18年以降,それを理由に原告らに対し,本件事務室部分の一部なりとも明渡しを求めたことはなかった。また,被告が平成▲年度不許可処分の理由に掲げる行政事務スペースの不足に関する事情(前記第2の2(1)イの被告の主張(イ))は,いずれも,市長が,平成▲年12月24日の被告の戦略会議において,翌年度以降も本件事務室部分の使用許可を行うことを前提に,使用料の減免を行わない方針を表明するまでに生じていたものであるにもかかわらず,市長は上記表明を行ったものである。そして,その後,本件方針転換までに上記事情に特段変動が生じたとも認めるに足りないことを併せ考慮すると,上記事情が本件事務室部分の明渡しを求めざるを得ない程度の被告の庁舎使用の必要性を基礎付ける事情とは認めることができず,原告らに対し,平成▲年度において本件事務室部分の目的外使用許可を与えることが,庁舎の用途又は目的を妨げる場 しを求めざるを得ない程度の被告の庁舎使用の必要性を基礎付ける事情とは認めることができず,原告らに対し,平成▲年度において本件事務室部分の目的外使用許可を与えることが,庁舎の用途又は目的を妨げる場合に該当するということはできない。 しかも,前述したとおり,市長が本件方針転換の際に,庁舎内における労働組合等の政治活動の点を挙げるに止まり,上記事情に全く言及せず,原告らに対しても,上記事情について具体的な説明をしなかった上,本件事務室部分については公募にしてIの事務所を移転させたいとさえ述べており,平成▲年1月の局議の前には,庁舎内で政治活動を行わないように労働組合等の事務室について検討するように指示をしていたこと(乙52・3,4頁)を総合すると,平成▲年度不許可処分の主たる理由が,庁舎内における労働組合等の政治活動を巡る点にあり,行政事務スペースとして使用する必要性は大きなものではなかったことが推認できるというべきである。 イ理由②(庁舎内で労働組合員等による政治活動が行われるおそれを完全に払拭する必要があること)について(ア) この点,被告は,前記第2の2(1)イの被告の主張(ウ)のとおり,労働組合員等による政治活動が市本庁舎内で行われると,それが違法でない場合であっても,住民の行政の中立的運営に対する信頼が損なわれるから,上記活動が行われること自体が庁舎の本来的目的に鑑みてふさわしくないと判断したと主張している。 確かに,職員により違法な政治活動が市本庁舎内で行われれば,住民の行政の中立的運営に対する信頼が損なわれることは否定できないから,それが,例えば庁舎内の組合事務所における無許可専従行為として行われた場合のように,労働組合等に対し組合事務所としての庁舎の目的外使用許可を行った弊害と認定できる場合に れることは否定できないから,それが,例えば庁舎内の組合事務所における無許可専従行為として行われた場合のように,労働組合等に対し組合事務所としての庁舎の目的外使用許可を行った弊害と認定できる場合には,同行為の再発防止のために,従前の取扱いを変更して上記目的外使用の申請を不許可とすることは,裁量権の行使として許されるというべきである。また,職員の違法な政治活動が,労働組合等に対し組合事務所としての庁舎の使用許可を行った弊害とまでは認定できない場合であっても,同活動が労働組合等の指示に基づく場合はもちろん,その活動がそれらの労働組合等の政治方針と合致する場合には,施設管理者が当該労働組合等に組合事務所としての庁舎の目的外使用許可を与えるか否かについての裁量権を行使する際の一つの考慮要素とすることまでは否定できないというべきである。 しかしながら,前述したとおり,労働組合等に対し,組合事務所としての庁舎の目的外使用を毎年継続的に許可してきた取扱いを変更して不許可にすることは,庁舎内での組合活動に著しい支障が生じるなど,職員の団結権等に及ぼす支障が大きいことは明らかであるから,発覚した職員の違法な政治活動と所属する労働組合等に対する組合事務所の使用許可との関連性が薄ければ薄いだけ,従前と異なる取扱いをした動機の 不法性を推認させるというべきである。 (イ) この点,前提事実(3)ウのとおり,市会交通水道委員会において指摘された交通局に関する点については,職員2名がバス乗務以外の業務に偏って従事していたことや組合活動を行うため本来の終業時刻より早く退勤した者がいたことまでは認められるものの,それ以上の事実を認めるに足りる証拠はないし,仮に,交通局の庁舎内において違法な政治活動が行われた事実があったとしても,使用許可を受けていた組 刻より早く退勤した者がいたことまでは認められるものの,それ以上の事実を認めるに足りる証拠はないし,仮に,交通局の庁舎内において違法な政治活動が行われた事実があったとしても,使用許可を受けていた組合事務所や同事務所が所在する市本庁舎内で違法な政治活動が行われたことを認めるに足りる証拠もないから,庁舎内に組合事務所が存在することと,職員により違法な政治活動が庁舎内で行われることとの高い関連性を認めることはできない。 また,被告の前記主張は,前提事実(3)によれば,市長の考え方に基づくものであるが,市本庁舎内の組合事務所における活動の実態を把握した上で,具体的な根拠に基づいて同事務所内で政治活動が行われるおそれがあると判断したとは到底認められず,平成▲年4月2日付けで第三者調査チーム(代表大阪市特別顧問P)によって作成された「大阪市政における違法行為等に関する調査報告」においても,市本庁舎内の組合事務所における政治活動については何ら触れられていないことからしても(乙30),推測の域を出ないものであって,同事務所内において政治活動が行われる蓋然性が高いともいい難い。 (ウ) 以上のとおり,被告が,平成▲年度不許可処分の理由として主張している「庁舎内において労働組合員等による政治活動が行われるおそれ」については,労働組合員等の庁舎内での違法な政治活動と市本庁舎内に組合事務所が存在することとの高い関連性を認めることはできないし,また,市本庁舎内の組合事務所において政治活動が行われる蓋然性が高いともいい難い。 ウ労働組合等の弱体化の意思の有無(ア) 前提事実(3)によれば,市長は,平成▲年12月26日の市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘 意思の有無(ア) 前提事実(3)によれば,市長は,平成▲年12月26日の市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘を受け,庁舎内の政治活動を認めず,組合事務所についても退去を求める方針を明らかにし,同月28日の施政方針演説において,庁舎内で政治活動を行うという労働組合等の体質が全国の公務員の組合の体質の象徴であるから,徹底的に市民感覚に合うように是正,改善していくと述べた上,同月30日には幹部職員にその旨の指示を行い,被告はその指示に従い,平成▲年度不許可処分を行ったことが認められる。 (イ) この点について,被告は,前記第2の2(1)アの被告の主張(ア)のとおり,市長の上記施策は,労働組合等を嫌悪・敵視しているのではなく,労使関係の適正化を意図したものにすぎないと主張する。 しかし,労働組合等が庁舎内に活動拠点としての組合事務所を設置する必要性に鑑みれば,被告が労使関係の適正化を図るために,毎年継続的に行っていた労働組合等に対する組合事務所の設置許可という便宜供与を廃止し,明渡しを求めるに当たっては,職員の団結権等を不当に侵害しないように配慮しなければならないのは当然であり,労使関係の適正化という目的と上記便宜供与の廃止という手段との合理的関連性,その廃止による労働組合等が受ける影響や他のより労働組合等に与える影響の小さい方策の有無を検討した上で,信義則上,明渡し期限の相当期間前に,労働組合等と団体交渉を行い,従前の取扱いを変更する理由について具体的に説明するとともに,明渡し時期も含む労働組合等の受ける不利益の軽減措置について誠実に交渉を行ってしかるべきである。 そして,前記(ア)の市長の一連の発言内容からすれば,市長の志向する労使関係適正化の 明するとともに,明渡し時期も含む労働組合等の受ける不利益の軽減措置について誠実に交渉を行ってしかるべきである。 そして,前記(ア)の市長の一連の発言内容からすれば,市長の志向する労使関係適正化の中心的課題は,庁舎内における労働組合等の政治活 動の防止にあると認められるところ,前述したとおり,市長は,それまでは,労働組合等に対し,庁舎内の組合事務所の使用を認める意向を表明していたにもかかわらず,市会交通水道委員会において,労働組合等が本件市長選挙において自己の対立候補を支援する政治活動を行っていたという趣旨の指摘がされるや,直ちに労働組合等に対し庁舎内から退去を求める方針を表明して本件方針転換をし,そのまま平成▲年度不許可処分を行ったものであり,幹部職員に対し,労働組合等の政治活動の実態を把握し,その上でそれを抑止するために労働組合等に対して組合事務所の退去を求めるのもやむを得ないかどうかなど,行おうとする施策が職員の団結権等を侵害するおそれがないか否かについて十分な検討を指示するなどして前記配慮を尽くした上で,原告らに対し,本件事務室部分の使用を許可しないこととしたものとは到底認められない。しかも,市長は,前提事実(3)オ(エ)のとおり,幹部職員に対する指示において,組合(労働組合等)に対する便宜供与の禁止を内容とする条例の名宛人を組合(労働組合等)とすると不当労働行為となりかねないと述べていることからしても,被告の職員が加入している労働組合等に対する便宜供与を一斉に廃止することにより,その活動に深刻な支障が生じ,ひいては職員の団結権等が侵害されることを認識していたことは明らかであって,むしろ,これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ない。 エ小括以上の事情をすべて考慮すれば,平成▲年度不許可処分は,重視す の団結権等が侵害されることを認識していたことは明らかであって,むしろ,これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ない。 エ小括以上の事情をすべて考慮すれば,平成▲年度不許可処分は,重視すべきでない考慮要素(行政事務スペースとしての使用の必要性や組合事務所として庁舎の使用を許可することによる弊害のおそれ)を重視するなど,考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており,他方,当然考慮すべき事項(労働組合等の団結権等に与える影響)を十分考慮しておらず, その結果,社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものといえ,市長の裁量権を逸脱・濫用したもので,その余の点を判断するまでもなく違法というべきである。 (3) 平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分の違法性についてア検討の前提前提事実(5)のとおり,原告らは,被告に対し,平成▲年度及び平成▲年度の本件事務室部分の使用許可申請を行った時点において,本件事務室部分を占有権原なく占有・使用していたが,このような状況は,前記(2)で述べたとおり,違法な平成▲年度不許可処分を前提とするものであるから,上記各不許可処分の違法性に関する判断は,前年度において本件事務室部分の使用許可がなされていたことを前提に行うのが相当である。 そして,被告は,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分の理由として,①本件条例12条において,労働組合等の組合活動に関する便宜の供与は行わないこととしていること,及び②本件事務室部分を行政事務スペースとして利用する必要があることを主張するので,以下,順に検討する。 イ理由①(本件条例12条の存在)について(ア) 前提事実(3),(6)及び弁論の全趣旨によれば,①市長は,本件方針転換により幹部職員に対し労働組合等への便宜供与の禁止を指示し,そ 検討する。 イ理由①(本件条例12条の存在)について(ア) 前提事実(3),(6)及び弁論の全趣旨によれば,①市長は,本件方針転換により幹部職員に対し労働組合等への便宜供与の禁止を指示し,それを制度化するために,被告において本件条例の制定に向けた準備を進めたこと,②その際,本件条例12条は,立案段階の当初,「労働組合等に対する便宜供与は,適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,原則として行わないものとする」という内容であったが,市長から,上記の条文では,適正かつ健全な労使関係にあると判断される労働組合等に対しては,個別に便宜供与を行うことができるとの誤解を招くとして,「適正かつ健全な労使関係が確保されていると認められない限り,原則として」という文言を削除するように命じられ,現 在の条文と同じ文言の条例案になったこと,そして,③同条は,市会において,原案どおり可決され,その適用の方法について付帯決議がなされたような事情もうかがえないことが認められる。 そうすると,本件条例12条は,被告が労働組合等に対する便宜供与を行うことを一律に禁止し,施設管理者の裁量を一切認めない趣旨であると解される。 (イ) ところで,労組法7条3号は,使用者が,労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えることを,労働組合の自主性を侵害する不当労働行為として禁止するのを原則とし,例外的に最小限の広さの事務所の供与等を許容しているものの,使用者が組合事務所として使用するための施設の利用を労働組合等に許諾するかどうかは,原則として,使用者の自由な判断に委ねられており,使用者がその利用を受忍しなければならない義務を負うものではないから,権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては,使用者が利用を 則として,使用者の自由な判断に委ねられており,使用者がその利用を受忍しなければならない義務を負うものではないから,権利の濫用であると認められるような特段の事情がある場合を除いては,使用者が利用を許諾しないからといって,直ちに団結権を侵害し,不当労働行為を構成するということはできない。したがって,上記(ア)のとおり本件条例12条が労組法7条3号が許容している便宜供与を一律に禁止しているからといって,直ちに労組法に違反するとはいえない。 しかしながら,地方公共団体は,労組法が適用される職員との関係では,労組法により,同法7条が定める不当労働行為を行うことが禁止されるし,労組法が適用されない職員との関係においても,職員が結成した職員団体は憲法28条が定める団結権等が保障され,それを違法に侵害してはならないのであるから,本件条例12条が労組法7条に違反したり,憲法28条に違反すると評価される場合には,無効となることはいうまでもない。 (ウ) そして,前記(ア)の本件方針転換による市長の労働組合等への便宜 供与の禁止の指示は,前記(2)ウで述べたとおり,それにより,その活動に深刻な支障が生じ,ひいては職員の団結権等が侵害されることを認識し,これを侵害する意図をも有していたとみざるを得ないものであり,本件条例も,上記の指示の制度化として,対象となる労働組合等との間の労使関係が適正かつ健全なものであるか否か,対象となる便宜供与が従前から継続して与えられていたものか否かを問わず,一律に便宜供与を禁止する内容とする本件条例12条を含む案が提出され,そのまま市会で可決されて制定に至ったというもので,従前労使関係において特段問題が生じていなかった労働組合等が,本件条例12条により,従前受けていた便宜供与を廃止されることに何らの合理的根拠 され,そのまま市会で可決されて制定に至ったというもので,従前労使関係において特段問題が生じていなかった労働組合等が,本件条例12条により,従前受けていた便宜供与を廃止されることに何らの合理的根拠も認め難いことは明らかである。 この点,被告は,不祥事事案に関係する便宜供与等に限って禁止した場合,禁止の対象外の便宜供与が不健全な労使関係の新たな温床となりかねないと主張するが,上記弊害を防止するためには,不健全な労使関係になったと認められた時点で便宜供与を廃止するとしても十分足りるのであって,一律禁止を正当化する根拠になるとはいい難い。 したがって,本件条例12条は,少なくとも同条例が適用されなければ違法とされる被告の行為を適法化するために適用される限りにおいて,明らかに職員の団結権等を違法に侵害するものとして憲法28条又は労組法7条に違反して無効というべきであり,上記各不許可処分の違法性を判断するに当たっては,独立した適法化事由とはならないというべきである。 ウ理由②(本件事務室部分を行政事務スペースとして利用する必要があること)についてこの点,被告は,前記第2の2(1)ウの被告の主張(ウ)のとおり主張する。 (ア) しかし,前記(2)アで述べたとおり,被告が平成▲年度不許可処分の理由に掲げる行政事務スペースの不足に関する事情(前記第2の2(1)イの被告の主張(イ))は,本件事務室部分の明渡しを求めざるを得ない程度の被告の庁舎使用の必要性を基礎付ける事情とは認めることができず,原告らに対し,平成▲年度において本件事務室部分の使用許可を与えることが,庁舎の用途又は目的を妨げる場合に該当するとはいえないし,前記処分の主たる理由は,庁舎内における労働組合等の政治活動を巡る点にあり,被告が主張するような行政事務 事務室部分の使用許可を与えることが,庁舎の用途又は目的を妨げる場合に該当するとはいえないし,前記処分の主たる理由は,庁舎内における労働組合等の政治活動を巡る点にあり,被告が主張するような行政事務スペースとして使用する必要性は大きなものではなかったことが推認できるというべきである。 (イ) 被告が主張する行政事務スペースの不足に関する事情のうち,平成▲年度不許可処分時以降,平成▲年度不許可処分時までに変動した主な点は,被告の前記主張によれば,平成▲年4月からの組織改編等による,大阪府市大都市局及びこども青少年局の拡充や財政局の組織移転等である。 しかし,前記(2)ウで述べたとおり,①平成▲年末の市長の本件方針転換による市長の労働組合等への便宜供与の禁止の指示は,それにより,その活動に深刻な支障が生じ,ひいては職員の団結権等が侵害されることを認識し,これを侵害する意図をも有していたものであって,それに基づき,平成▲年度不許可処分や上記指示を制度化した本件条例の制定が行われたものであり,平成▲年度の上記組織改編も,その結果,特に明け渡された別件事務室部分を,これを使用していた労働組合等に使用させないことを前提に行われたものであることや,前述したとおり,②被告の主張する平成▲年度不許可処分時に行政事務スペースとして約860㎡が必要になったとの事情も,前記(ア)のとおり評価せざるを得ないこと,③被告の主張を前提とすれば,平成▲年度不許可処分時に必要 とされた前記行政事務スペースは別件事務室部分の明渡しを受けても足りない上,本件事務室部分については明渡しを受けられず,さらに,それ以降に前述したような事情がさらに生じたため,行政事務スペースは大幅に不足していた(乙61・7頁)のに,被告においては他の市本庁舎内の目的外使用許可 室部分については明渡しを受けられず,さらに,それ以降に前述したような事情がさらに生じたため,行政事務スペースは大幅に不足していた(乙61・7頁)のに,被告においては他の市本庁舎内の目的外使用許可について利用面積の減少等の方策を何ら行っていないこと(証人N)を考慮すると,その後に生じたものであるとして被告が主張する上記事情も,被告が平成▲年度不許可処分の理由に掲げる行政事務スペースの不足に関する事情と質的・量的に有意な相違があるとは認め難い。 エ労働組合等の弱体化の意思の有無前記イで述べたとおり,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分の主たる理由である本件条例は,市長の職員の団結権等を侵害する意図に基づく労働組合等に対する便宜供与の一律禁止の指示を制度化したものである。 また,被告は,本件条例により一旦全ての労働組合等に対する便宜供与を止めた後,将来,適正かつ健全な労使関係が確保できていると認められる状況になれば,改めて同条を改正することにより便宜供与を行うことがあり得ることは,条例成立時から予定されていると主張するが(前記第2の2(1)ウの被告の主張(イ)a),原告らから平成▲年度及び平成▲年度の本件事務室部分に係る目的外使用許可の各申請がなされた際に,平成▲年度不許可処分により便宜供与が廃止されたことで労働組合等との間に適正かつ健全な労使関係が確保できたか否かという点について検討を行ったり,労働組合等とその点に関する誠実な交渉を行ったとも認めるに足りないことからすれば,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分においても,市長には,平成▲年度不許可処分と同様,職員の団結権等を侵害する意思が継続してあったと推認するのが相当である。 オ小括 以上によれば,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分も,重視すべきでない考慮要 年度不許可処分と同様,職員の団結権等を侵害する意思が継続してあったと推認するのが相当である。 オ小括 以上によれば,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分も,重視すべきでない考慮要素(行政事務スペースとしての利用の必要性)を重視するなど,考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており,他方,当然考慮すべき事項(職員の団結権等に与える影響)を十分考慮しておらず,その結果,いずれも社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものといえるから,市長の裁量権を逸脱・濫用するものであり,その余の点を判断するまでもなく違法といわなければならない。 2 争点(2)(原告らの損害の有無等)について(1) 故意又は過失前記1に判示したとおり,本件各不許可処分は,いずれも違法であるから,市長は,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分を行うについて,市長職務代理者大阪副市長は,平成▲年度不許可処分を行うについて,原告らに対し,故意又は過失により違法に損害を加えたものといえる。 なお,市長及び同職務代理者は,平成▲年度及び平成▲年度各不許可処分を行うに当たり,本件条例12条に従ったものであるが,同条は,前述したとおり,市長の職員の団結権等を侵害する意思のもとに行われた労働組合等に対する便宜供与の一律禁止の指示を制度化したものであることは前提事実(3)からも明らかであり,少なくとも被告の違法な行為を適法化するために適用される限りにおいて無効であって,独立の適法化事由とはなり得ないと判断されることは知り得たというべきであるから,これに従ったとしても,少なくとも過失は免れない。 (2) 損害額原告らは,本件各不許可処分により有形無形の損害を被ったと主張している。しかしながら,原告らは,有形損害の内容については何ら主張していないから,これを 少なくとも過失は免れない。 (2) 損害額原告らは,本件各不許可処分により有形無形の損害を被ったと主張している。しかしながら,原告らは,有形損害の内容については何ら主張していないから,これを認めることはできない。 他方,原告らは,本件各不許可処分により,団結権等を侵害され,相当程 度の無形損害を被ったことが認められるところ,反面,本件各不許可処分を受けたこと自体の無形の損害については,本件各不許可処分に基づき現実に本件事務室部分の明渡しを強制されるには至っておらず,平成▲年度不許可処分については,判決で取り消されることにより上記損害は相当程度回復されると評価できることなど,本件に顕れた一切の事情を総合考慮すると,原告らそれぞれに対し,各不許可処分について各10万円と認めるのが相当である。 また,本件事案の内容,審理経過,認容額等の諸事情を勘案すると,本件各不許可処分と相当因果関係のある弁護士費用は,原告らそれぞれに対し,各不許可処分について1万円と認めるのが相当である。 3 争点(3)(平成▲年度不許可処分に係る義務付けの訴えの適否)について平成▲年度不許可処分に係る義務付けの訴えは,いわゆる申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法3条6項2号)に該当するところ,前記1に判示したとおり,同不許可処分は,取り消されるべきものであるから,上記義務付けの訴えは,いずれも適法である(同法37条の3第1項2号)。 そして,前記1に判示したとおり,大阪市長が上記義務付けの訴えに係る処分をしないことがその裁量権の逸脱・濫用となることが認められるから,上記義務付けの訴えは,理由がある(同法37条の3第1項2号)。 4 争点(4)(本件事務室部分の明渡し請求が権利の濫用か否か)について被告は,原告らが,平成▲年4月1日から,本件事 られるから,上記義務付けの訴えは,理由がある(同法37条の3第1項2号)。 4 争点(4)(本件事務室部分の明渡し請求が権利の濫用か否か)について被告は,原告らが,平成▲年4月1日から,本件事務室部分を占有権原なく占有していることから,原告らに対し,所有権に基づき,本件事務室部分の明渡しを求めている。しかしながら,前記3に判示したとおり,原告らに対し,本件事務室部分について,平成▲年4月1日から平成▲年3月31日までの使用を許可する旨の処分をすることを義務付けられている被告が,原告らに対して本件事務室部分の明渡しを求めることは,権利の濫用として許されないものといわなければならない。 よって,被告の原告らに対する本件事務室部分の明渡し請求は,理由がない。 5 結論以上によれば,原告らの請求は,それぞれ主文の限度でいずれも理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,被告の請求は,いずれも理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部 裁判長裁判官中垣内 健 治 裁判官菊井一夫 裁判官笹井三佳 (別紙)物件目録 大阪市本庁舎(大阪市α×番所在)の地下1階のうち別紙図面黒塗り部分(面 積44.49㎡)以上

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