令和2年7月14日判決言渡平成30年(行ウ)第402号,同第435号~同第438号補助金交付決定一部取消及び返還命令取消請求事件(以下,順に「第1事件」ないし「第5事件」という。) 主文 1 文部科学大臣が原告に対して平成30年3月23日付けでした別紙1処分目録記載1~5の科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令をいずれも取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文1項と同旨第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,国立大学法人A大学(以下「A大学」という。)大学院B研究科 の教授であった原告が,文部科学大臣による科学研究費補助金(以下「科研費」という。)の交付決定を受け,これに基づく科研費を受領していたところ,文部科学大臣が,補助条件違反(取扱規程10条違反)を理由としてその一部を取り消す旨の決定及びこれを原因とする科研費の返還命令をしたことから,これらの取消しを求める事案である。 2 関連法令等の定め本件に関連する法令等の定めは,別紙2関連法令等の定めのとおりである(なお,同別紙における略語は,本文においても用いることがある。)。 3 判断の前提となる事実以下の各事実については,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁 論の全趣旨により,容易に認められる。 (1) 原告原告は,平成15年4月1日から平成24年6月28日までの間,A大学大学院B研究科教授の職にあり,Cセンターの研究室を主宰していた者である(乙1,弁論の全趣旨)。 (2) 本件各交付決定及び本件各科研費の交付 文部科学大臣は,研究代表者である原告が交付の申請をした別紙 授の職にあり,Cセンターの研究室を主宰していた者である(乙1,弁論の全趣旨)。 (2) 本件各交付決定及び本件各科研費の交付 文部科学大臣は,研究代表者である原告が交付の申請をした別紙3補助金一覧表記載1~5の各「補助金」欄の科研費(以下「本件各科研費」という。)について,同表記載1~5の各「交付決定」欄の「日付」欄の日に「交付金額」欄の金額につき交付を決定し(各決定の文書番号は「番号」欄記載のとおり。以下「本件各交付決定」という。),本件各科研費は,同表 記載1~5の各「交付日」欄の日に研究機関であるA大学に交付された(甲1~10,乙13,弁論の全趣旨)。 (3) 本件各取消決定等文部科学大臣は,平成30年3月23日,本件各科研費について,別紙3補助金一覧表記載1~5の各「一部取消決定」欄の「取消金額」欄の金額に つき「取消理由」欄の理由で取り消す旨を決定するとともに(各決定の文書番号は「番号」欄記載のとおり。以下「本件各取消決定」という。),各「返還命令」欄の「返還金額」欄及び「加算金額」欄の金額につき「納付期限」欄の日までに支払うよう命じた(各命令の文書番号は「番号」欄記載のとおり。以下「本件各返還命令」といい,本件各取消決定と併せて「本件各 取消決定等」という。甲1~10,乙13)。 (4) 本件訴訟に至る経緯原告は,平成30年5月22日,文部科学大臣に対し,本件各取消決定等について審査請求をした。 原告は,同年9月21日,本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 4 争点 (1) 本件各取消決定等に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるか (争点1)(2) 本件各取消決定等に手続的瑕疵があるか (1) 本件各取消決定等に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるか (争点1)(2) 本件各取消決定等に手続的瑕疵があるか (争点2)(3) 本件各交付決定に係る取消権及び補助金返還請求権が時効により消滅しているか (争点3) 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件各取消決定等に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるか)について(被告の主張)(1) 本件各取消決定等に裁量権の範囲の逸脱又は濫用はないこと ア文部科学大臣による科研費交付決定を受けた補助事業者が科研費交付決定に付された補助条件に違反した場合,科研費交付決定の一部又は全部を取り消すか否かについては,文部科学大臣の合理的裁量が認められると解され,その裁量権の範囲の逸脱又は濫用がない限り,その取消処分が違法とされることはない。また,科研費が交付された後に,適正化法17条1 項に基づく交付決定取消処分がされた場合には,返還命令をすべきこと及び同法19条1項所定の加算金が付されることについて,文部科学大臣の裁量はなく,したがって,同法17条1項に基づく交付決定取消処分が無効であるか取り消されない限り,同法18条1項に基づく返還命令が取り消される余地はない。 イ A大学が作成した平成30年2月26日付け「国立大学法人A大学大学院B研究科元教授の研究費不正使用に関する調査報告書」(以下「本件大学報告書」という。)には,関係者の聴き取り調査や書面調査のほか原告に係る収賄被告事件(以下「別件刑事事件」という。)の第一審判決等を踏まえ,原告が,年度ごとの執行残額を使い切るため,自 下「本件大学報告書」という。)には,関係者の聴き取り調査や書面調査のほか原告に係る収賄被告事件(以下「別件刑事事件」という。)の第一審判決等を踏まえ,原告が,年度ごとの執行残額を使い切るため,自身の主宰する研 究室の関係者に指示するなどして,旧知の取引業者に架空の発注をして預 け金を形成していたこと(より具体的には,原告が取引業者と共謀して,実際には納品されていない物品に係る架空の請求書をA大学に提出させ,これに基づき,科研費を管理するA大学に取引業者に対する代金の支払をさせ,これを取引業者が預け金としてプールした上で,翌年度以降に取り崩して使用していたこと。),預け金の使途は,研究目的のほか,私的な 目的に使用していたことが疑われるものの,それを裏付ける資料がないこと等から,本件大学報告書作成時点で,私的流用を認定するのは困難であること等が記載されている。 文部科学大臣は,本件大学報告書に基づき,本件各交付決定に基づき交付された本件各科研費の一部(別紙3補助金一覧表記載の「取消金額」欄 の金額)について,原告が,取引業者との共謀により預け金を形成し,本件各交付決定の対象とされた補助事業である科学研究等に必要な経費以外に使用したものと認め,いずれも取扱規程10条に違反することから,本件各補助条件(本件各補助条件1-1に加え,本件各補助条件2-1,平成17年度補助条件2-6・平成18年度補助条件2-6・平成19年度 補助条件2-9)に違反するとして,適正化法17条1項に基づき,本件各交付決定の一部(別紙3補助金一覧表記載の「取消金額」欄の金額に係る部分)を取り消す旨の本件各取消決定をしたものであり,本件各取消決定等に裁量権の範囲の逸脱又は濫用はない。 (2) 原告の主張について 金一覧表記載の「取消金額」欄の金額に係る部分)を取り消す旨の本件各取消決定をしたものであり,本件各取消決定等に裁量権の範囲の逸脱又は濫用はない。 (2) 原告の主張について ア原告は,科研費の交付時期が年度当初ではないため,年度当初から科研費を受領するまでの間に,金銭の支出ができない空白期間が生じ,研究の継続が困難となるため,株式会社D(以下「D」という。)の管理の下で預け金を形成したのはやむを得ない措置であったと主張する。 しかし,本件各補助条件及び本件各機関使用ルールでは,年度当初の4 月から研究を開始し,契約を締結することが運用上可能とされている。ま た,科研費が実際に交付されるまでの間に発生する補助事業に係る経費の処理については,① 研究代表者が研究機関に購入依頼をする際,研究機関の会計規則等に基づき研究機関の予算から立て替えて支出し,科研費が交付された後に精算する。 ② 研究代表者が研究機関に購入依頼をする際,研究機関から研究代表者や所属部局等に配分された予算や企業等からの寄附金から支出し,交付後,補助事業に係る費用を科研費に振り替える。 ③ 取引業者の了解の下,研究機関から取引業者への支払を科研費が交付される時期以降とする。 等の方法が考えられ,年度当初から科研費を受領するまでの間に補助事業の研究を継続するため,預け金の形成が必要不可欠であるなどとはいえない。 実際に,原告は,平成17年度から平成19年度の各年度の年度当初から科研費を受領するまでの間,預け金を形成しなくとも,A大学の立替制 度を利用することが可能であった。また,Dは,原告がA大学の教授に着任する約10年も前から原告が研究に用いる物品を原告の所属していた研究機関に販売し,原告がA大学の教 くとも,A大学の立替制 度を利用することが可能であった。また,Dは,原告がA大学の教授に着任する約10年も前から原告が研究に用いる物品を原告の所属していた研究機関に販売し,原告がA大学の教授に就任するに当たって原告のためにαに営業所まで立ち上げており,原告は,Dの経営上,非常に重要な人物であったといえる。そして,Dは原告からの求めに応じて預け金の形成を していたことからすると,Dが,年度当初から原告に本件各科研費が支払われる6月末頃までの間,その年の4月及び5月の売上に係る支払を,本来の翌月払ではなく,1,2か月程度延長して7月とする程度の要求を拒否するとは考え難く,原告がDに要求さえすれば,研究に必要な物品の代金の支払時期を先延ばしにすることは十分に可能であったといえる。 以上のとおり,原告は,預け金の形成をしなくとも,年度当初から研究 に必要な物品を購入し,研究を実施することは可能だったといえる。 イ原告は,Dの下で形成した預け金をすべて研究のために使用し,研究の成果を上げていたとして,取扱規程10条及び本件各補助条件違反の責任が軽減されるかのような主張をする。 しかし,科研費は,会計年度につきいわゆる単年度主義に基づく助成金 であり,単年度で使い切れなかった未使用の科研費が存在したのであれば,本来,適正化法15条による額の確定をして国に返還しなければならず,翌年度以降の研究活動資金は別途手続を踏んで調達すべきである。したがって,預け金の形成は,たとえその後に研究のために使用されたとしても,不正支出であるといわざるを得ない。また,そもそも,上記アのと おり,年度当初から科研費を受け取るまでの間の研究を継続するために原告が預け金を形成する必要があったとはいえないのであるか ても,不正支出であるといわざるを得ない。また,そもそも,上記アのと おり,年度当初から科研費を受け取るまでの間の研究を継続するために原告が預け金を形成する必要があったとはいえないのであるから,研究成果が上がったことは,預け金の形成と何ら関係がないというべきである。 したがって,原告が主張する事情は,取扱規程10条及び本件各補助条件違反の責任を何ら軽減するものとはいえず,文部科学大臣の裁量権の範 囲の逸脱又は濫用を基礎付けるものということはできない。 ウ原告は,預け金の形成について,早期の是正措置命令等により容易に目的を達成し得たのであり,会計年度終了時及び研究完了時の実績報告の際に文部科学省から何ら指摘を受けることがなかったにもかかわらず,交付決定から10年以上が経って突如として本件各取消決定がされたことが不 当であると主張する。 しかしながら,原告は,Dと共謀して,虚偽の会計書類を用いてA大学にDに対する科研費の支払をさせ,秘密裏にDの下で預け金を形成したのであり,文部科学大臣は,取扱規程10条違反及び本件各補助条件違反の事実を本件大学報告書によって把握したのであるから,文部科学大臣がそ の提出を受ける以前にこれらの事実に関する処分又は措置を採ることが可 能であったとはいえず,原告の主張には理由がない。 エ原告は,本件各取消決定等が本件大学報告書のみに依拠しており,文部科学大臣がその内容を精査しなかったことは考慮不尽であって,本件各取消決定等は違法であるなどと主張するが,本件大学報告書におけるA大学の認定手法は合理的であることに加え,交付決定権者である処分行政庁に は強制力を伴う調査権限は付与されておらず,一方で,本件大学報告書を作成したA大学は,科研費の管理を実 学報告書におけるA大学の認定手法は合理的であることに加え,交付決定権者である処分行政庁に は強制力を伴う調査権限は付与されておらず,一方で,本件大学報告書を作成したA大学は,科研費の管理を実施し,取引業者との購入契約の名義人本人で,なおかつ,原告に係る不正に関係する教職員をよく把握しており,原告の不正経理関係の実態解明を目的として,第三者委員をもメンバーとする調査委員会を立ち上げてまで幅広に証拠収集を実施して本件大学 報告書を作成しており,その証拠資料には,捜査機関が捜査権限を行使して収集した捜査資料も含まれている。したがって,文部科学大臣が,本件大学報告書を事実認定に当たって信用性の高い資料として位置付けたことは不合理ではなく,これを踏まえて,原告による預け金の形成が本件各補助条件(取扱規程10条)に違反すると判断し,預け金相当額について本 件各取消決定をしたことについて,裁量権の範囲の逸脱又は濫用として問擬されることはない。 (3) 小括したがって,本件各取消決定等は,文部科学大臣の裁量権の範囲を逸脱又は濫用したものとはいえず,本件各取消決定等はいずれも適法である。 (原告の主張)(1) 考慮不尽の違法があること本件各取消決定等は,その影響の甚大さに鑑みれば,吟味を重ねて精査された証拠に基づき,丁寧な事実認定をした上で慎重に行われる必要があり,事実認定においては,処分行政庁自身がその権限と責任において事実関係を 調査し,判断の基礎となる証拠を収集すべきである。 しかしながら,本件各取消決定等は,原告に直接事情を説明する機会を与えることなく,A大学が作成した本件大学報告書のみに依拠してされたものであるところ,本件大学報告書が文部科学大臣に提出されたのは同年3 かしながら,本件各取消決定等は,原告に直接事情を説明する機会を与えることなく,A大学が作成した本件大学報告書のみに依拠してされたものであるところ,本件大学報告書が文部科学大臣に提出されたのは同年3月1日で,本件各取消決定等は同月23日にされており,文部科学大臣が本件大学報告書を精査した経過はうかがわれない。 補助金の管理主体である研究機関には,補助金に係る問題が生じた場合,自らの管理責任を免れるためその責任を研究者に押し付ける動機が十分に存在し,研究者と研究機関は対立関係に立つといえる。特に,本件では,本件各取消決定等の当時,A大学は,原告を相手方として,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟(以下「別件訴訟」という。)を提起していたのであるか ら,その対立関係は顕現化していた。 このように,本件各取消決定等は,その内容の重大さにもかかわらず,明示的に対立関係にある一方当事者の報告書のみに依拠し,内容を十分に精査することもなくされたものであって,考慮不尽の違法がある。 (2) 比例原則に違反する違法があること ア本件各科研費を使用した研究は,著名な科学雑誌に論文発表され,文部科学省,学会や社会から高く評価され,その基礎研究成果が臨床応用されつつある。また,原告は,これを含めて多数の研究を行い,その成果を論文にまとめて発表し,多数の科学雑誌に論文が掲載され,社会的にも極めて高い評価を得ている。 イこれに対し,原告による預け金は,年度内使用という会計ルールに反するものであったにせよ,そのすべてが研究のために使用され,取扱規程10条に違反するものでもなく,その制裁はあまりに過大である。 原告が預け金をしたのは,科研費の交付が年度開始後すぐにされることはなく少なくとも数か月以上遅れる上(A大学における事務手続 ,取扱規程10条に違反するものでもなく,その制裁はあまりに過大である。 原告が預け金をしたのは,科研費の交付が年度開始後すぐにされることはなく少なくとも数か月以上遅れる上(A大学における事務手続を経て 実際に原告の手元で使用可能となるのは7月中旬以降であった。),研究 機関内の事務手続のため,その執行も3月初旬から中旬までに使い切るように指示されていたが,特に,動物や試薬,酵素を扱う研究では,研究を中断すると動物が育ちすぎて実験に適さなくなったり,試薬や酵素の有効期限が切れてしまったりするため,実験を中断できないというやむを得ない事情があったためである(原告は,平成17年当時,Dに対する預け金 は3000万円程度と認識していたのであり,さらに預け金をしなければ,3月から7月までの期間に実験を中断せざるを得ないと考えていた。)。このような事情から,多くの大学で研究者が預け金の対応をしており,原告が所属していたEセンター(当時)及びA大学においても,他の研究者が預け金に関与していた。また,原告は,平成19年,文部科学 省が科研費の繰越制度を拡充し,その積極的な利用を推奨している旨を当時の研究課長が研究科会議で通知したのを聞き,基盤研究(S)の直接経費3000万円を繰り越すこととして,同年末にその旨をF准教授に伝えており,その後は預け金をしていない。 被告は,A大学の立替制度の利用やDへの支払時期の先延ばしが可能 であったと主張するが,立替制度は,交付内定を受けた額について4月より前に申込みをする必要があるところ,本件各科研費については,内定通知を受けるのが4月から6月であったことから,その申込みをすることはできなかったし,支払時期の先延ばしについても,一般的な商取引で支払を数か月程度延ばすことは容易で ,本件各科研費については,内定通知を受けるのが4月から6月であったことから,その申込みをすることはできなかったし,支払時期の先延ばしについても,一般的な商取引で支払を数か月程度延ばすことは容易ではなく,内定段階では確実に交付が受け られるか,交付時期がいつになるかも分からず,安易にそのような方法がとれる状況ではなかった。 ウこのような状況で,本件各交付決定から10年以上も経った後に高額の加算金を付してされた本件各取消決定等については,比例原則に反する違法がある。 2 争点2(本件各取消決定等に手続的瑕疵があるか)について (被告の主張)(1) 弁明の機会が付与されていないことについて原告は,本件各取消決定等に至る過程で弁明の機会が付与されなかった旨主張し,あたかもこのような手続違反が,本件各取消決定等の取消事由を構成するかのような主張をする。 しかしながら,適正化法24条の2は,行政手続法13条の適用を除外していることから,弁明の機会付与の欠如をいう原告の主張は失当である。また,本件大学報告書は,A大学で作成されたもので,そこでの弁明手続の不十分さをもって,適正化法17条1項に基づく取消処分の手続の違法と同視することはできないが,この点を措くとしても,原告はA大学が実施しよう としたヒアリングに非協力的であったし,さらに,A大学が別件訴訟を提起した後に,A大学の訴訟代理人で,A大学に設置された調査委員会の委員でもある弁護士から原告の訴訟代理人弁護士に対してヒアリングの打診がされていることからすると,弁明の機会自体は設けられていたといえる。 (2) 本件各取消決定につき理由の提示が不十分であることについて 原告は,本件各取消決定の通知書には,本件各交付決定のうちど ていることからすると,弁明の機会自体は設けられていたといえる。 (2) 本件各取消決定につき理由の提示が不十分であることについて 原告は,本件各取消決定の通知書には,本件各交付決定のうちどの部分を取り消すのかという点や,その個別具体的な取消理由が明示されていないとして,適正化法21条の2に違反する旨主張する。 しかしながら,本件各取消決定の通知書には,取り消す部分の金額が明示されており,取消理由については,いずれも「補助条件違反(科学研究費補 助金取扱規程〔昭和40年3月30日文部省告示第110号〕第10条違反)」と明記されている。このような記載からすれば,文部科学大臣は,その取り消す部分として記載された金額について,原告が「科学研究等に必要な経費にのみ使用」(取扱規程10条)しておらず,取扱規程10条に違反するものと認めて,本件各補助条件違反を理由に取り消したことが明らかで あり,また,本件各取消決定の通知書には,本件各補助条件の適用規定につ いての記載がないものの,取扱規程10条違反が,同規程を含む法令等の遵守を定める本件各補助条件1-1違反に該当することはその規定ぶりから明らかである。 (3) 本件各取消決定の不服申立てについて誤教示がされたことについて原告は,本件各取消決定の不服申立てについて誤教示がされたと主張する ところ,確かに,本件各取消決定の不服申立期間は,正しくは「処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内」であり,本件各取消決定の通知書の記載には誤記がある。しかしながら,不服申立期間の誤教示は,不服申立手続の中で救済されるべきものであり,それ自体が処分の取消事由となるものではない。加えて,本件各取消決定の通知書の記載は,法定の不服 申立期間より短い期間を誤っ 服申立期間の誤教示は,不服申立手続の中で救済されるべきものであり,それ自体が処分の取消事由となるものではない。加えて,本件各取消決定の通知書の記載は,法定の不服 申立期間より短い期間を誤って教示したものであるから,これによって不服申立ての機会を損なうことは考えられず,現に,原告は,不服申立期間内に,文部科学省に対して審査請求の申立てをしている。 したがって,不服申立てについて誤教示がされたことを理由として本件各取消決定を取り消すべきであるとはいえない。 (4) 原告に対する通知がされていないことについて原告は,本件各取消決定の通知書及び本件各返還命令に係る命令書がA大学を通じて交付されたことについて,到底適正とはいえないと主張する。 しかしながら,本件各機関使用ルールは,研究機関の行う事務として,文部科学省からの交付内定通知の受理及び研究者への通知,文部科学省からの 交付決定通知の受理及び研究者への伝達を定めているところ,科研費の交付決定取消処分の通知に関して,適正化法17条4項が交付決定通知について定める適正化法8条を準用していることからすると,交付決定取消処分の通知について本件各機関使用ルールを準用し,研究機関を通じて研究代表者に通知することが適切でないとはいえない。また,本件各補助条件及び本件各 機関使用ルールでは,科研費について必要な諸手続は研究機関を通じて行う ものとされていることから,文部科学省は,研究代表者等の補助事業者個人の自宅等の連絡先は把握していないことが通常であり,研究機関であるA大学を通じて原告に本件各取消決定等の通知をすることは合理的かつ適切な方法である。 (5) 小括 以上のとおり,本件各取消決定等について,これらを取り消す あり,研究機関であるA大学を通じて原告に本件各取消決定等の通知をすることは合理的かつ適切な方法である。 (5) 小括 以上のとおり,本件各取消決定等について,これらを取り消すべき手続的瑕疵があるとはいえない。 (原告の主張)(1) 弁明の機会が付与されていないこと本件各取消決定等に先立ち,原告には弁明の機会が与えられず,また,本 件大学報告書の作成過程でも,別件訴訟のA大学の代理人弁護士から原告の代理人弁護士に対し,電話で,原告の話を聞くのが難しいことについて確認されたのみで,正式なヒアリングの要請はなかった。 適正化法24条の2は行政手続法13条を適用除外としているが,行政手続は行政目的に応じて多種多様であることから,行政処分の相手方に事前の 告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合衡量して決定されるべきものであり(最高裁平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁参照),あらゆる態様の補助金交付決定取消処分,補助金返還命令において,相手方への事前の 告知,弁解,防御の機会を一切与えないことを正当化する趣旨とは解されない。本件各取消決定等のように,名宛人に対する影響が重大で,緊急性がない処分については,憲法31条に基づく適正手続の保障として事前の告知,弁解,防御の機会を与えられるべきであり,一切の事前手続を経ることなく本件各取消決定等がされたことについて,手続的な瑕疵があるといわざるを 得ない。 (2) 本件各取消決定につき理由の提示が不十分であること本件各取消決定の通知書には,本件各交付決定のうち取り消される部分及びその具体的 的な瑕疵があるといわざるを 得ない。 (2) 本件各取消決定につき理由の提示が不十分であること本件各取消決定の通知書には,本件各交付決定のうち取り消される部分及びその具体的理由が全く記載されていない。本件各科研費は,年度をまたいで使用されていたものであるが,取引業者と具体的なやり取りをしたのは同じ研究室のF准教授であって,原告は包括的な指示をしたのみであったし, 原告は,本件大学報告書の根拠とされた資料や他の研究者の供述内容の開示も受けていないため,取消しの対象とされた金額を検証することができない。 このように,本件各取消決定の理由は,原告にとって不服申立てをするための手掛かりにならず,また,処分庁の判断の慎重と合理性を担保してその 恣意を抑制する機能も果たしておらず,適正化法21条の2が要求する理由の提示として不十分である。 (3) 本件各取消決定の不服申立てについて誤教示がされたこと本件各取消決定については,行政不服審査法82条1項,同法18条1項に基づき,不服申立ての教示がされなければならないにもかかわらず,平成 26年法律第68号による廃止前の行政不服審査法に基づく誤った教示がされている。原告にとって重大な影響を及ぼす処分であるにもかかわらず,このような誤教示がされたことは極めて不当である。 (4) 原告に対する通知がされていないこと本件各取消決定は,適正化法17条4項が準用する適正化法8条に基づ き,速やかに補助金等の「交付の申請をした者」に通知されなければならず,本件各返還命令についても同様と考えられるところ,本件各交付決定の「交付の申請をした者」は取扱規程5条1号で研究者の代表者と規定され,原告がこれに当たる。それにもかかわらず,本件各取消決定等の通知書は,当時原 令についても同様と考えられるところ,本件各交付決定の「交付の申請をした者」は取扱規程5条1号で研究者の代表者と規定され,原告がこれに当たる。それにもかかわらず,本件各取消決定等の通知書は,当時原告が既に在籍していなかったA大学に送付されている(なお,原告 は,平成30年4月9日になって,別件訴訟の代理人弁護士を通じてこれを 受け取ったのであり,その時点で,指定された納付期限〔同月11日〕も迫っていた。)。 このように,文部科学大臣は,本件各取消決定等について速やかに原告に通知すべきであるのを怠ったものである。 (5) 小括 以上のとおり,本件各取消決定等には,手続的な瑕疵があることから,取り消されるべきである。 3 争点3(本件各交付決定に係る取消権及び補助金返還請求権についての消滅時効の成否)について(原告の主張) (1) 科研費の交付を受けた者は,科学研究等を完了したとき,及び補助金の交付決定に係る国の会計年度が終了したときに,実績報告書を文部科学大臣に提出するものとされており(取扱規程11条),慣例上,会計年度終了時の実績報告書は,交付を受けた年の翌年の4月に提出されていた。また,文部科学大臣は,研究完了時の実績報告書の提出を受けた場合,その 審査及び必要に応じて行う調査によって,当該科学研究等の成果が補助金交付決定の内容及びこれに附した条件に適合すると認めたときは,交付すべき補助金の額を確定し,補助金の交付を受けた者に通知することとされているところ(取扱規程12条),会計年度終了時に提出される実績報告書についても,通常の実務として審査,調査が行われており,本件でも同 様であった。 このように,文部科学大臣は,本件各科研費を交付した会計年度の終了時及 度終了時に提出される実績報告書についても,通常の実務として審査,調査が行われており,本件でも同 様であった。 このように,文部科学大臣は,本件各科研費を交付した会計年度の終了時及び研究完了時の実績報告書の提出を受け,本件各交付決定の内容及びこれに附した条件に適合するかどうかを審査,調査していたのであるから,その時点で,これに適合しない場合には取り消すことが可能であったといえる。 したがって,本件各交付決定については,会計年度の終了時の実績報告書 の提出(平成17年度分につき平成18年4月,平成18年度分につき平成19年4月,平成19年度分につき平成20年4月)から5年間が経過したことにより,本件各交付決定に係る取消処分及び補助金返還命令を行う権限は失効したと解すべきである。なお,取扱規程14条において,補助金の収支に関する帳簿の保管期間が補助金の交付を受けた年度終了後5年間と定め られていることからも,上記のとおり解すべきである。 (2) また,本件各科研費の問題に関しては,平成24年5月26日に捜査機関によるA大学の捜索が行われ,文部科学大臣は遅くとも同日までにこのことを認識し,この時点で取消権を行使し得たというべきである。 仮に,文部科学大臣としては,A大学における調査を指示しており,その 報告がされない段階での取消権の行使は困難であったとしても,遅くとも平成24年9月には,A大学は一連の預け金の詳細を把握して文部科学大臣に報告していたといえ,仮にそうでなかったとしても,文部科学大臣はA大学に報告を求めることによって詳細を把握し得たことからすると,文部科学大臣は,遅くとも同月中には,本件各交付決定を取り消すことが可能であった というべきである。 (3) 部科学大臣はA大学に報告を求めることによって詳細を把握し得たことからすると,文部科学大臣は,遅くとも同月中には,本件各交付決定を取り消すことが可能であった というべきである。 (3) したがって,本件各取消決定等がされた時点では,本件各交付決定の取消権を行使し得たときから既に5年が経過していたのであり,本件各交付決定に係る取消権及び補助金返還請求権については,時効によって消滅したといえる。 (被告の主張)(1) 適正化法17条には,取消権の消滅時効あるいは除斥期間の規定は置かれていない。また,次のとおり,原告が主張する時点では,いまだ交付決定取消権を行使し得る状況にあったとはいえず,これらの時点に時効の起算点を求めることは,強制力を伴う調査権限のない処分行政庁に根拠のないまま, 補助事業者に対する返還義務を課する処分を行うことを強いる結果を招来す ることになりかねず,認められない。 ア原告は,取扱規程11条所定の実績報告書の提出があったときに,本件各交付決定の取消しが可能であったと主張する。 しかしながら,取扱規程11条の実績報告は飽くまで書面による報告である以上,それをもとにした審査も書面審査が原則であり,基本的には, 研究実績報告書をもとに補助条件に合致しているか否かが審査されることになる。本件各科研費の実績報告書には,Dの管理の下で預け金が形成されていた事実に関しては何の記載もされておらず,それをうかがわせるような記載もないのであり,実績報告書の提出をもって,文部科学大臣において,原告が預け金を形成していた事実を認識し得る状況にあったなどと は到底いえず,原告がDと共謀して預け金を形成していたこと等を踏まえると,仮に調査が実施されたとしても,預け金を形 大臣において,原告が預け金を形成していた事実を認識し得る状況にあったなどと は到底いえず,原告がDと共謀して預け金を形成していたこと等を踏まえると,仮に調査が実施されたとしても,預け金を形成していた事実を確認することは困難であったといわざるを得ない。 イ原告は,東京地方検察庁特別捜査部(以下「東京地検特捜部」又は「東京地検」という。)がA大学において捜索を実施した平成24年5月26 日には,文部科学大臣は原告が預け金を形成していた事実を認識していたとして,本件各交付決定の取消しが可能であったと主張する。 しかしながら,上記捜索は,業務上横領の被疑事実についてのものであるし,その結果の詳細を文部科学大臣が認識できるとはいえず,上記捜索が実施されたことをもって,原告が預け金を形成していた事実を認識した とはいえない。 ウ原告は,A大学が,原告が預け金を形成していた事実の全容を平成27年9月7日までに把握したとし,これが逐次文部科学大臣に伝えられたはずであり,仮にそうでなかったとしても,文部科学大臣が積極的に調査すれば把握できたはずであるとして,同月30日には,本件各交付決定の取 消しが可能であったと主張する。 しかしながら,上記主張は,A大学に所属する関係者への事情聴取を前提に,A大学ひいては文部科学大臣の認識を推論するものであるところ,このような推論自体に無理がある。現に,A大学としては,原告に対して別件訴訟を提起した平成27年4月3日の時点においても,原告がDの管理の下で形成していた預け金の全容について把握できていないとしてい る。また,本件大学報告書においても,原告による預け金の形成については,当該報告書の作成・提出日である平成30年2月26日時点で 理の下で形成していた預け金の全容について把握できていないとしてい る。また,本件大学報告書においても,原告による預け金の形成については,当該報告書の作成・提出日である平成30年2月26日時点で原告の不正経理と認定できるものを特定し,その金額の認定は,東京地検特捜部が作成し,平成26年4月に提供を受けた平成17年度から平成20年度における預け金の状況を示す書類をもとに行ったというのであり,このよ うな預け金の形成やその金額の認定作業の経緯を踏まえると,A大学が,平成24年9月の段階で預け金の形成に係る事実の全容を把握していたなどとは到底いえない。 (2) したがって,遅くとも平成24年9月30日までには,文部科学大臣において,本件各交付決定を取り消すことができた旨の原告の主張には理由 がなく,文部科学大臣が本件各交付決定を取り消すことができたのは,本件大学報告書の提出を受けた平成30年3月1日である。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実掲記の各証拠又は弁論の全趣旨によれば,次の各事実が認められる。 (1) 原告による預け金の形成についてア原告は,平成15年4月にA大学大学院B研究科教授に着任する以前,Eセンターに勤務していたところ,その当時から,Dと共謀して,実際には納品されていない物品に係る架空の請求書を研究機関に提出し,これに基づき,競争的資金を管理する研究機関にDに対する支払をさせ,Dが預 け金としてプールした上で,これを翌年度以降に取り崩して使用していた (乙1・6頁,原告20,21頁)。 イ原告は,平成15年4月にA大学B研究科教授に着任したが,Dは,同年7月にα市内に営業所を開設し,原告は,引き続きDに預け金を形成していた。原告は,同じ研究室に所属す 告20,21頁)。 イ原告は,平成15年4月にA大学B研究科教授に着任したが,Dは,同年7月にα市内に営業所を開設し,原告は,引き続きDに預け金を形成していた。原告は,同じ研究室に所属するF准教授に対し,資金ごとの執行残額を示した上でDの営業部長に連絡して処理するように指示し,これに 基づき,DNAチップ等や研究室で用いる消耗品等を架空に納品したことにした請求書によって,A大学からDに支払をさせ,執行残額がなくなるよう処理がされていた(甲37・3頁,乙1・6頁,原告5頁)。 ウ原告による預け金は,DNAチップの納入費用,実験補助者の継続雇用の費用,他の必要な研究資材の代金に充てられたほか,研究に必要不可欠 であるものの補助金の使途としては認められにくいもの(コンピューターなどの購入,実験機器の保守・修理費,大型機器格納倉庫の賃料等)にも充てられたりしていた(甲37・3頁,原告3,4頁)。 エ原告は,平成17年7月から平成23年7月までの間,合計1億6613万4689円の預け金を形成した(甲25,甲37・4頁)。 (2) 本件各科研費に係る預け金の形成原告は,本件各科研費のうち,別紙3補助金一覧表記載の「取消金額」欄の金額について,Dに預け金を形成した(弁論の全趣旨。以下,この預け金を「本件各科研費に係る預け金」という。)。 (3) 科研費の年度内使用のルールについて ア我が国の会計制度は単年度主義に基づいており(財政法42条参照),科研費の交付についても各研究者の研究計画のうち会計年度ごとに必要な補助金の助成が行われている(甲37・3頁)。このことを前提として,本件各補助条件において,補助事業に係る物品の納品,役務の提供等は,補助事業を行う年度の3月31日まで 画のうち会計年度ごとに必要な補助金の助成が行われている(甲37・3頁)。このことを前提として,本件各補助条件において,補助事業に係る物品の納品,役務の提供等は,補助事業を行う年度の3月31日までに終了しなければならず,これに係 る支出は,実績報告書の提出期限までに行わなければならない旨規定され (平成17年度補助条件2-6,平成18年度補助条件2-6,平成19年度補助条件2-9),本件各機関使用ルールでも同様の規定が設けられていた(本件各機関使用ルール3-3)。 もっとも,平成15年度から,科研費による研究のうち,交付決定時には予想し得なかったやむを得ない事由に基づき年度内に補助事業が完了し ない見込みのあるものについては,文部科学大臣を通じて財務大臣へ繰越承認要求を行い,財務大臣の承認を得た上,当該経費を翌年度に繰り越して使用できることとされており(以下「本件繰越制度」という。平成17年度補助条件2-3,平成18年度補助条件2-3,平成19年度補助条件2-6参照),平成18年4月1日には,その留意事項等が改正された (乙18)。 イまた,年度当初については,本件各補助条件において,新たに採択された研究課題については内定通知受領後直ちに,また,前年度から継続する研究課題(「特定領域研究」の研究領域の設定時において,予め研究機関開始年度の翌年度から実施することとされていた研究課題を含む。)につ いては4月1日から,それぞれ研究を開始し,必要な契約等を行うことができるが,必要な経費は,直接経費受領後に支出し,又は研究機関等が立て替えて直接経費受領後に精算しなければならない旨規定され(平成17年度補助条件2-2,平成18年度補助条件2-2,平成19年度補助条件2-4),本件各機関使用 費受領後に支出し,又は研究機関等が立て替えて直接経費受領後に精算しなければならない旨規定され(平成17年度補助条件2-2,平成18年度補助条件2-2,平成19年度補助条件2-4),本件各機関使用ルールでも,研究代表者が,交付された直接 経費の使用を速やかに開始できるよう,各研究機関において必要な事務を迅速に行うこととされ,経費の支出について本件各補助条件と同様の規定が設けられていた(本件各機関使用ルール3-1)。 A大学では,平成17年4月1日に「国立大学法人A大学における研究資金の交付前使用に係る立替に関する要領」が制定され,そこでは,科研 費を含む補助金の研究代表者等として研究等を遂行する場合に,補助金を 受領する日までの間,当該研究等の実施に必要な資金を,その管理者であるA大学が立て替えることができるものとされ,その必要な手続等が定められていた(甲42,44の1・2,乙19。以下「本件立替制度」という。)。 (4) 原告による預け金の形成の終了について 原告は,平成19年に,本件繰越制度の話を聞き,独立行政法人日本学術振興会により交付決定を受けた平成19年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金〔基盤研究(S)〕)について,初年度の交付研究費のうち3000万円を次年度に繰り越すこととした(甲37・5頁)。 また,原告は,同年末,F准教授に,上記の旨を伝えると共に,今後は, DNAチップの先物買い等をする必要がなくなったと伝え,その後の研究費について,できる限り公的資金を最優先に年度内に使うように伝えた(甲37・5頁,原告12頁)。 これを受けて,F准教授は,平成20年5月以降,原告による預け金の形成のための処理をしていない(甲37・5頁,原告12,13頁)。 度内に使うように伝えた(甲37・5頁,原告12頁)。 これを受けて,F准教授は,平成20年5月以降,原告による預け金の形成のための処理をしていない(甲37・5頁,原告12,13頁)。 (5) 原告による預け金が判明した経緯ア東京地検特捜部は,Dの民事再生手続の中で原告による預け金が判明したことを契機として,平成24年5月26日,原告に対する業務上横領被疑事件について,A大学等の捜索を行った(乙1)。 イ A大学は,強制捜査を発端として原告が競争的資金等を不正に使用して いた疑いがあることが判明したとして,同年6月4日,B研究科ゲノム分野強制捜査に関する調査委員会,同年7月2日,B研究科の競争的資金等に係る会計処理に関する調査委員会,同月3日,B研究科不正経理(疑惑)調査委員会をそれぞれ設置し,原告が在籍したすべての期間において執行したすべての経費を対象とする調査を実施することとした(乙1・ 1,2頁)。 ウ文部科学大臣は,同年6月29日,東京地検が原告による不正経理の疑いについて捜査をしていることを承知しており,A大学に事実関係を確認している旨述べ,同年7月3日,A大学大学院B研究科において調査委員会を立ち上げて調査が行われており,文部科学省は調査結果を報告するように求めている旨述べた(甲26の1・2)。 エ東京地検特捜部は,同月31日,収賄容疑で原告を逮捕した(甲36別紙)。 オ東京地検は,同年8月21日及び同年9月11日,収賄被告事件で原告を東京地方裁判所に起訴した(別件刑事事件。甲36別紙)。 カ東京地方裁判所は,平成26年2月17日,別件刑事事件について,懲 役2年の有罪判決をした(甲36別紙)。 キ東京 を東京地方裁判所に起訴した(別件刑事事件。甲36別紙)。 カ東京地方裁判所は,平成26年2月17日,別件刑事事件について,懲 役2年の有罪判決をした(甲36別紙)。 キ東京高等裁判所は,平成27年2月26日,別件刑事事件について,第一審判決を破棄し,懲役1年8月の有罪判決をした(甲36別紙)。 ク A大学は,平成27年4月3日,原告を相手方として,原告がDに預け金を形成するためにA大学に架空取引の代金名目で支出をさせたことにつ き,不法行為に基づく損害賠償金1億5195万6610円の支払等を求める民事訴訟を,京都地方裁判所に提起した(別件訴訟。甲17,乙21)。 ケ最高裁判所は,平成28年8月30日,別件刑事事件について,原告の上告を棄却する旨の判決をした(甲36別紙)。 コ東京地検特捜部は,同年10月7日,A大学に対し,押収資料を還付した(甲36別紙)。 サ A大学は,平成30年2月26日,文部科学大臣に対し,本件大学報告書を提出し,同年3月1日,文部科学大臣は本件大学報告書を受領した(甲19,乙1)。 2 争点1(本件各取消決定等に裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法 があるか)について(1) 本件各取消決定についてア文部科学大臣による科研費交付決定を受けた補助事業者が,当該交付決定に付された補助条件その他法令又はこれに基づく文部科学大臣の処分に違反した場合に,当該交付決定の一部又は全部を取り消すか否かに ついては,適正化法17条1項の文言によると,文部科学大臣の合理的裁量が認められており,当該交付決定の一部又は全部を取り消す旨の決定が違法とされるのは,当該裁量権の範囲の逸脱又は濫用があった場合に限られると解される(行政 1項の文言によると,文部科学大臣の合理的裁量が認められており,当該交付決定の一部又は全部を取り消す旨の決定が違法とされるのは,当該裁量権の範囲の逸脱又は濫用があった場合に限られると解される(行政事件訴訟法30条)。 イ本件各交付決定については,取扱規程10条において,補助金の交付を 受けた者は,補助金を科学研究等に必要な経費にのみ使用しなければならない旨規定されており,また,科研費交付決定を受けた補助事業者が適正化法11条(平成19年度につき,適正化法7条及び11条)の規定により従うべき本件各補助条件として,①研究代表者は,補助事業の遂行に当たり,適正化法,同法施行令及び取扱規程(平成19年度補助条件につ き,さらに当該補助条件)の規定を含む,関係する法令等の規定を遵守しなければならないこと(本件各補助条件1-1),②研究代表者は,直接経費(補助事業の遂行に必要な経費及び研究成果の取りまとめに必要な経費)の公正かつ効率的な使用に努めなければならないこと(平成19年度補助条件につき,さらに,他の用途への使用及びこの補助条件に違反する 使用をしてはならないこと。本件各補助条件2-1),③補助事業に係る物品の納品,役務の提供等は,補助事業を行う年度の3月31日までに終了しなければならず,これに係る支出は,実績報告書の提出期限までに行わなければならないこと(平成17年度補助条件,平成18年度補助条件2-6,平成19年度補助条件2-9)が定められている。 前提事実(2)のとおり,原告は,本件各科研費に係る預け金を形成しており,かかる金額については,当該年度の3月31日までに物品の納品,役務の提供等がされていない。したがって,原告による本件各科研費に係る預け金の形成は,本件各補助条件1-1,同2- 預け金を形成しており,かかる金額については,当該年度の3月31日までに物品の納品,役務の提供等がされていない。したがって,原告による本件各科研費に係る預け金の形成は,本件各補助条件1-1,同2-1,平成17年度補助条件2-6,平成18年度補助条件2-6,平成19年度補助条件2-9 に違反するとともに,取扱規程10条にも違反するものといえる。そして,本件各補助条件において,研究代表者は,補助事業の遂行に当たり,適正化法,同法施行令及び取扱規程(平成19年度補助条件につき,さらに当該補助条件)の規定を含む,関係する法令等の規定を遵守しなければならないとされるとともに,補助金が国民から徴収された税金等でまかな われるものであることに留意し,補助金の交付の目的に従って誠実に補助事業を行うように努めなければならないとされていることに照らすと(本件各補助条件1-1,1-2),原告による本件各科研費に係る預け金の形成の違法性の程度は軽微とはいえないというべきである。 ウ原告は,預け金を形成したことについて,特に,動物や試薬,酵素を扱 う研究では研究を中断できないという事情があり,やむを得ない措置であった旨主張する。 しかしながら,認定事実(1)のとおり,原告は,平成15年4月にA大学B研究科教授に着任する以前からDにおいて預け金を形成し,当該預け金は,補助金の使途としては認められにくいもの(コンピューターなどの 購入,実験機器の保守・修理費,大型機器格納倉庫の賃料等)にも充てられており,本件各科研費に係る預け金の形成もこのような一連の預け金の一環としてされているところ,これらがやむを得ない措置といえないことは明らかである。また,科研費は,会計年度ごとに必要な補助金の助成が行われているところ,学術研究は の形成もこのような一連の預け金の一環としてされているところ,これらがやむを得ない措置といえないことは明らかである。また,科研費は,会計年度ごとに必要な補助金の助成が行われているところ,学術研究は,必ずしも当初の研究計画どおりに遂行 されない場合もあり,年度ごとの助成方式になじまない面があるとの指摘 もあったことが認められるものの(甲29・3頁),当該学術研究について,交付決定時には予想し得なかったやむを得ない事由に基づき年度内に補助事業が完了しない見込みのあるものについては,本件繰越制度が設けられていたほか,年度当初については,平成17年4月1日以降,A大学において本件立替制度が設けられていたというのであり,原告としては, これらの制度の利用を検討することも可能であったといえる(原告は,本件立替制度を利用することはできなかったと主張するが,これを具体的に認めるに足りる証拠はない。)。 したがって,原告による預け金の形成がやむを得ない措置であったということはできない。 エ原告は,預け金はそのすべてが研究のために使用されたことからすると,本件各取消決定は制裁としてあまりにも過大であり,比例原則に違反すると主張する。 しかしながら,上記イのとおり,本件各補助条件の規定に照らすと,原告による本件各科研費に係る預け金の形成の違法性の程度は軽微とはいえ ないというべきであり,また,認定事実(1)ウのとおり,本件各科研費の一部を含む預け金は,補助金の使途として認められにくいものにも使用されていたというのであり,このことからしてもその違法性が軽微であるということはできず,預け金をしたと認められる金額を対象として,交付決定取消処分をすることが,過大な制裁であるということはできない。な れていたというのであり,このことからしてもその違法性が軽微であるということはできず,預け金をしたと認められる金額を対象として,交付決定取消処分をすることが,過大な制裁であるということはできない。な お,原告は,早期の是正措置命令等によって目的を達成し得たとも主張するが,文部科学大臣が補助事業等の成果の報告を受けた時点において,原告による預け金の形成が判明したということはできず,かかる主張は失当というべきである。 オ原告は,本件各取消決定は,明示的に対立関係にある一方当事者の報告書のみに依拠し,内容を十分に精査することなくされたものであって,考慮不尽の違法があると主張する。 しかしながら,A大学は,研究機関として,本件各科研費を研究者に代わって管理することとされ(本件各機関使用ルール2-1),補助金の不 正な使用が明らかになった場合(不正な使用が行われた疑いのある場合を含む)には,速やかに調査を実施し,その結果を文部科学省に報告することとされていたのであり(平成17年度機関使用ルール,平成18年度機関使用ルール4-3,平成19年度機関使用ルール4-7),このことからすると,文部科学大臣が,A大学に調査の上で報告を求めたことについ て違法があるとはいえない。そして,原告は,本件大学報告書の内容の誤りについて具体的に指摘しているわけではなく,また,本件大学報告書で認定された本件各科研費に係る預け金の額等を争っていないことからすると,文部科学大臣が,本件大学報告書に基づき本件各取消決定をしたことが不適切であったということはできない。 カ以上によると,本件各交付決定については,本件各補助条件1-1,同2-1,平成17年度補助条件2-6,平成18年度補助条件2-6,平成19年度補助条件2-9に たということはできない。 カ以上によると,本件各交付決定については,本件各補助条件1-1,同2-1,平成17年度補助条件2-6,平成18年度補助条件2-6,平成19年度補助条件2-9に違反するとともに,取扱規程10条にも違反することが認められ,その違法性の程度も軽微とはいえないのであり,本件各交付決定のうち,原告による預け金の形成が認められた部分を取り消 すこととした本件各取消決定について,文部科学大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用はないといえる。 (2) 本件各返還命令についてア適正化法18条1項は,各省各庁の長は,補助金等の交付の決定を取り消した場合において,補助事業等の当該取消に係る部分に関し,すでに補 助金等が交付されているときは,期限を定めて,その返還を命じなければ ならない旨規定し,適正化法19条1項は,補助事業者等は,適正化法17条1項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し,補助金等の返還を命ぜられたときは,政令で定めるところにより,その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ,当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については,既納額を 控除した額)につき年10.95パーセントの割合で計算した加算金を国に納付しなければならない旨規定している。このような規定によると,各省各庁の長が適法な補助金交付決定の取消処分をした場合で,既に補助金が交付されている場合には,期限を定めてその返還を命じ,また,補助事業者等は加算金と併せて納付しなければならないのであり,返還命令につ いて各省各庁の長に裁量はないといえる。 イ本件各取消決定について文部科学大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用はないことは上記(1)のとおりであって,この点を理由 らないのであり,返還命令につ いて各省各庁の長に裁量はないといえる。 イ本件各取消決定について文部科学大臣の裁量権の範囲の逸脱又は濫用はないことは上記(1)のとおりであって,この点を理由として本件各返還命令が違法とはいえない。 3 争点2(本件各取消決定等に手続的瑕疵があるといえるか)について (1) 本件各取消決定の理由の提示についてア行政手続法14条1項本文が,不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは,名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を 名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解され,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきであ ると解されるところ(最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決・民集6 5巻4号2081頁参照),このことは,同項と同趣旨と解される適正化法21条の2に基づく理由の提示においても当てはまるといえる。 適正化法17条1項は,補助事業者等が,補助金等の他の用途への使用をし,その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基づく各省各庁の長の処分に違反したと きは,補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる旨定めているところ,このように同項の処分要件が広範に規定されていること等に鑑みると,その理由 づく各省各庁の長の処分に違反したと きは,補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる旨定めているところ,このように同項の処分要件が広範に規定されていること等に鑑みると,その理由の提示としては,補助金等の交付に係る決定内容,条件,法令又は処分を前提にいかなる違反行為があったかが示される必要があるといえ,理由の提示の程度としては,いかなる事実関係に基づ き,いかなる違反があったかについて,名宛人がその記載自体から了知し得るものでなければならないというべきである。 イ前記2(1)のとおり,本件各取消決定の理由は,原告による本件各科研費に係る預け金の形成について,本件各補助条件1-1,同2-1,平成17年度補助条件2-6,平成18年度補助条件2-6,平成19年度補 助条件2-9に違反するとともに取扱規程10条にも違反することにある。 しかしながら,本件各取消決定の通知書には,本件各取消決定が適正化法17条1項の規定に基づくことが明示されるとともに,取消金額として別紙3補助金一覧表記載の「取消金額」欄の額が記載され,取消理由とし て「補助条件違反(「科学研究費補助金取扱規程(昭和40年3月30日文部省告示第110号)」第10条違反)」と記載されているのみであって,ここからは,原告が,本件各補助条件に違反し,また,補助金を科学研究等に必要な経費のみに使用しなかったこと(取扱規程10条違反)が読み取れるものの,本件各補助条件には,直接経費の使用に関して,使用 の制限,合算使用の制限,納品等及び支出の期限等に関する規定が設けら れていること等を踏まえると(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件2-4~2-6,平成19年度補助条件2-7~2-9参照),上記記載のみからい び支出の期限等に関する規定が設けら れていること等を踏まえると(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件2-4~2-6,平成19年度補助条件2-7~2-9参照),上記記載のみからいかなる事実関係に基づき,いかなる違反があったかについて,原告がその記載自体から了知することは困難であるといえる。 ウ被告は,本件各取消決定の通知書には,取り消す部分の金額を明示して いる旨指摘しており,これにより補助条件違反ないし取扱規程10条違反があった金額が明らかになっているとはいえるものの,処分の原因となる事実関係等が具体的に示されているといえないことは,上記イのとおりである。 被告は,取扱規程10条違反は,本件各補助条件1-1違反に該当する ことが明らかであると主張するが,本件各補助条件1-1は,平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件2-4~2-6,平成19年度補助条件2-7~2-9等と異なり,その文言も抽象的なものにとどまることからすると,これをもって,処分の原因となる事実関係等が具体的に示されているともいえない。 エ以上によると,本件各取消決定における理由の提示は,適正化法21条の2の要請を満たすものということはできず,本件各取消決定は,同条の定める理由の提示を欠いた違法な処分として取り消されるべきである。 (2) 小括以上によると,本件各取消決定は,その余の手続的瑕疵について判断する までもなく,適正化法21条の2の定める理由の提示を欠いた違法な処分として取り消されるべきである。そして,本件各取消決定が取り消されるべきである以上,これを前提としてされた本件各返還命令も違法であって取り消されるべきである。 4 争点3(本件各交付決定に係る取消権及び補助 されるべきである。そして,本件各取消決定が取り消されるべきである以上,これを前提としてされた本件各返還命令も違法であって取り消されるべきである。 4 争点3(本件各交付決定に係る取消権及び補助金返還請求権に係る消滅時効 の成否)について (1) 原告は,本件各交付決定について,会計年度の終了時の実績報告書の提出(平成17年度分につき平成18年4月,平成18年度分につき平成19年4月,平成19年度分につき平成20年4月),又は,A大学の捜索が行われた平成24年5月26日,遅くともA大学が一連の預け金の詳細を把握した平成24年9月には,文部科学大臣は,本件各交付決定に係る取消権及び 補助金返還請求権を行使することができたと主張して,これらの時から5年を経過したことにより,これらの権限は時効消滅したと主張する。 (2) しかしながら,そもそも補助金交付決定の取消権の消滅時効について定めた規定はなく,補助金交付決定の取消決定が,不当に長期間経過後にされた場合にこれが違法となるかはともかく,直ちに消滅時効の問題になる と解することは困難といえる。 この点を措いて,原告が主張する各時点において,文部科学大臣が,本件各交付決定に係る取消権を行使することができたかどうかを検討するとしても,本件各交付決定については,会計年度の終了時である平成18年4月3日,平成19年4月23日,平成20年5月2日に実績報告書が提 出されたことが認められるものの(乙14の1~5),実績報告書に預け金に関する記載がされるわけではなく,これによって,文部科学大臣が原告による預け金を把握できたと認めることはできない。また,平成24年5月26日に,原告に対する業務上横領被疑事件についてA大学等の捜索が行われているが,文部科学大 く,これによって,文部科学大臣が原告による預け金を把握できたと認めることはできない。また,平成24年5月26日に,原告に対する業務上横領被疑事件についてA大学等の捜索が行われているが,文部科学大臣はその捜査内容を知り得る立場にないこ とからすると,これによって,文部科学大臣が原告による預け金を把握できたと認めることもできない。さらに,東京地検特捜部は,同年9月までにF准教授に対する事情聴取を実施し,その中で,平成17年度から平成20年度の原告によるDに対する預け金の額について,合計1億445万4938円とする捜査資料が示されていたことが認められる(甲28の1 ~4)。しかしながら,この時点においても,A大学が,原告による預け 金の額を把握していたことを認めるに足りる証拠はなく,文部科学大臣が,A大学から報告を受けていたと認めることもできない。したがって,原告が主張する各時点において,文部科学大臣が,本件各交付決定に係る取消権を行使することができたということはできない。 (3) 以上によると,本件各交付決定に係る取消権が時効によって消滅したと いうことはできない。 第5 結論以上のとおり,本件各取消決定等は違法な処分として取り消されるべきである。したがって,原告の請求にはいずれも理由があることから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官網田圭亮 裁判官野村昌也(別紙3省略) (別紙1)処分目録 1 平成17年度科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令(課題番号〇) 2 平成17年度 野村昌也(別紙3省略) (別紙1)処分目録 1 平成17年度科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令(課題番号〇) 2 平成17年度科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令(課題番号〇) 3 平成18年度科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令(課題番号〇) 4 平成18年度科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令(課題番号 〇) 5 平成19年度科学研究費補助金交付決定一部取消決定及び返還命令(課題番号〇) (別紙2)関連法令等の定め 1 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(以下「適正化法」という。) (1) 2条(定義)ア 1項この法律において「補助金等」とは,国が国以外の者に対して交付する次に掲げるものをいう。 一補助金 二~四略イ 2項この法律において「補助事業等」とは,補助金等の交付の対象となる事務又は事業をいう。 ウ 3項 この法律において「補助事業者等」とは,補助事業等を行う者をいう。 (2) 6条(補助金等の交付の決定)1項各省各庁の長は,補助金等の交付の申請があったときは,当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う現地調査等により,当該申請に係る補助金等の交付が法令及び予算で定めるところに違反しないかどうか,補助事業等 の目的及び内容が適正であるかどうか,金額の算定に誤りがないかどうか等を調査し,補助金等を交付すべきものと認めたときは,すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。 (3) 7条(補助金等の交付の条件)1項 査し,補助金等を交付すべきものと認めたときは,すみやかに補助金等の交付の決定(契約の承諾の決定を含む。以下同じ。)をしなければならない。 (3) 7条(補助金等の交付の条件)1項 各省各庁の長は,補助金等の交付の決定をする場合において,法令及び予算で定める補助金等の交付の目的を達成するため必要があるときは,次に掲げる事項につき条件を附するものとする。 一略二補助事業等を行うため締結する契約に関する事項その他補助事業等に要 する経費の使用方法に関する事項三~五略(4) 8条(決定の通知)各省各庁の長は,補助金等の交付の決定をしたときは,すみやかにその決定の内容及びこれに条件を附した場合にはその条件を補助金等の交付の申請 をした者に通知しなければならない。 (5) 11条(補助事業等及び間接補助事業等の遂行)1項補助事業者等は,法令の定め並びに補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件その他法令に基づく各省各庁の長の処分に従い,善良な管理者の注意をもって補助事業等を行わなければならず,いやしくも補助金等の他 の用途への使用(括弧内省略)をしてはならない。 (6) 14条(実績報告)補助事業者等は,各省各庁の長の定めるところにより,補助事業等が完了したとき(括弧内省略)は,補助事業等の成果を記載した補助事業等実績報告書に各省各庁の長の定める書類を添えて各省各庁の長に報告しなければな らない。補助金等の交付の決定に係る国の会計年度が終了した場合も,また同様とする。 (7) 15条(補助金等の額の確定等)各省各庁の長は,補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては,報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現 地調査等 (7) 15条(補助金等の額の確定等)各省各庁の長は,補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報告を受けた場合においては,報告書等の書類の審査及び必要に応じて行う現 地調査等により,その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定 の内容及びこれに附した条件に適合するものであるかどうかを調査し,適合すると認めたときは,交付すべき補助金等の額を確定し,当該補助事業者等に通知しなければならない。 (8) 16条(是正のための措置)1項各省各庁の長は,補助事業等の完了又は廃止に係る補助事業等の成果の報 告を受けた場合において,その報告に係る補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに附した条件に適合しないと認めるときは,当該補助事業等につき,これに適合させるための措置をとるべきことを当該補助事業者等に対して命ずることができる。 (9) 17条(決定の取消) ア 1項各省各庁の長は,補助事業者等が,補助金等の他の用途への使用をし,その他補助事業等に関して補助金等の交付の決定の内容又はこれに附した条件その他法令又はこれに基づく各省各庁の長の処分に違反したときは,補助金等の交付の決定の全部又は一部を取り消すことができる。 イ 3項適正化法17条1項(中略)の規定は,補助事業等について交付すべき補助金等の額の確定があった後においても適用があるものとする。 ウ 4項適正化法8条の規定は,適正化法17条1項(中略)による取消しをした 場合について準用する。 (10) 18条(補助金等の返還)1項各省各庁の長は,補助金等の交付の決定を取り消した場合において,補助事業等の当該取消に係る部分に関し,すでに補助金等が交付されているときは, 準用する。 (10) 18条(補助金等の返還)1項各省各庁の長は,補助金等の交付の決定を取り消した場合において,補助事業等の当該取消に係る部分に関し,すでに補助金等が交付されているときは,期限を定めて,その返還を命じなければならない。 (11) 19条(加算金及び延滞金)1項 補助事業者等は,適正化法17条1項の規定又はこれに準ずる他の法律の規定による処分に関し,補助金等の返還を命ぜられたときは,政令で定めるところにより,その命令に係る補助金等の受領の日から納付の日までの日数に応じ,当該補助金等の額(その一部を納付した場合におけるその後の期間については,既納額を控除した額)につき年10.95パーセントの割合で 計算した加算金を国に納付しなければならない。 (12) 21条の2(理由の提示)各省各庁の長は,補助金等の交付の決定の取消し,補助事業等の遂行若しくは一時停止の命令又は補助事業等の是正のための措置の命令をするときは,当該補助事業者等に対してその理由を示さなければならない。 (13) 24条の2(行政手続法の適用除外)補助金等の交付に関する各省各庁の長の処分については,行政手続法(平成5年法律第88号)第2章及び第3章の規定は,適用しない。 2 科学研究費補助金取扱規程(昭和40年文部省告示第110号。平成30年文 部科学省告示第54号による改正前のもの。乙5。以下「取扱規程」という。)(1) 1条(趣旨)科学研究費補助金の取扱いについては,適正化法及び補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号。以下「適正化法施行令」という。)に定めるもののほか,この規程の定めるところによ る。 (2) 2条(定義)1項この る予算の執行の適正化に関する法律施行令(昭和30年政令第255号。以下「適正化法施行令」という。)に定めるもののほか,この規程の定めるところによ る。 (2) 2条(定義)1項この規程において「研究機関」とは,学術研究を行う機関であって,次に掲げるものをいう。 一大学(以下略) 二~四 (略) (3) 3条(科学研究費補助金の交付の対象)1項科学研究費補助金は,次の各号に掲げる事業に交付するものとする。 一学術上重要な基礎的研究(応用的研究のうち基礎的段階にある研究を含む。)であって,研究機関に,当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者として所属し,かつ,当該研究機関の研究活動に実際に従事して いる研究者(括弧内省略)が一人で行う事業若しくは二人以上の研究者が同一の研究課題について共同して行う事業(研究者の所属する研究機関の活動として行うものであり,かつ,研究機関において科学研究費補助金の管理を行うものに限る。)(中略)(以下「科学研究」という。)二,三 (略) (4) 5条(補助金の交付申請者)取扱規程3条1項1号(中略)に係る科学研究費補助金(同条2項に係るものを除く。以下「補助金」という。)の交付の申請をすることができる者は,次のとおりとする。 一科学研究に係る補助金にあっては,科学研究を行う研究者の代表者 二 (略)(5) 6条(計画調書)1項補助金の交付の申請をしようとする者は,あらかじめ科学研究又は研究成果の公開(以下「科学研究等」という。)に関する計画調書を別に定める様式により文部科学大臣に提出するものとする。 (6) 7条(交付の決定)1項文部科学大臣は,取扱規程6条1項の計画調書に基づいて 学研究等」という。)に関する計画調書を別に定める様式により文部科学大臣に提出するものとする。 (6) 7条(交付の決定)1項文部科学大臣は,取扱規程6条1項の計画調書に基づいて,補助金を交付しようとする者及び交付しようとする予定額(以下「交付予定額」という。)を定め,その者に対し,あらかじめ交付予定額を通知するものとする。 (7) 8条 ア 1項 取扱規程7条1項の通知を受けた者が補助金の交付の申請をしようとするときは,文部科学大臣の指示する時期までに,別に定める様式による交付申請書を文部科学大臣に提出しなければならない。 イ 2項文部科学大臣は,取扱規程8条1項の交付申請書に基づいて,交付の決定 (以下「科研費交付決定」という。)を行ない,その決定の内容及びこれに条件を附した場合にはその条件を補助金の交付の申請をした者に通知するものとする。 (8) 10条(補助金の使用制限)補助金の交付を受けた者は,補助金を科学研究等に必要な経費にのみ使用 しなければならない。 (9) 11条(実績報告書)1項補助金の交付を受けた者は,科学研究等を完了したときは,すみやかに別に定める様式による実績報告書を文部科学大臣に提出しなければならない。 補助金の交付の決定に係る国の会計年度が終了した場合も,また同様とす る。 (10)12条(補助金の額の確定)文部科学大臣は,取扱規程11条1項前段の規定による実績報告書の提出を受けた場合においては,その実績報告書の審査及び必要に応じて行う調査により,科学研究等の成果が補助金の交付の決定の内容及びこれに附した条 件に適合すると認めたときは,交付すべき補助金の額を確定し,補助金の交付を受けた者に通知するものとする。 に応じて行う調査により,科学研究等の成果が補助金の交付の決定の内容及びこれに附した条 件に適合すると認めたときは,交付すべき補助金の額を確定し,補助金の交付を受けた者に通知するものとする。 (11)14条(帳簿等の整理保管)補助金の交付を受けた者は,補助金の収支に関する帳簿を備え,領収証書等関係書類を整理し,並びにこれらの帳簿及び書類を補助金の交付を受けた年 度終了後5年間保管しておかなければならない。 (12)20条(その他)取扱規程に定めるもののほか,補助金の取扱いに関し必要な事項は,そのつど文部科学大臣が定めるものとする。 3 文科省研究者使用ルール(補助条件)(平成17年度ないし平成19年度のも の。乙6~8。以下,平成17年度のものを「平成17年度補助条件」,平成18年度のものを「平成18年度補助条件」,平成19年度のものを「平成19年度補助条件」といい,これらを併せて「本件各補助条件」という。)(1) 前文科学研究費補助金(括弧内省略)の交付を受けて補助事業を行う補助事業 者(研究代表者及び研究分担者)が,適正化法11条(引用者注:平成19年度補助条件につき,適正化法7条及び11条)の規定により従うべき補助条件は,次のとおりとする。 (2) 総則ア 1-1(法令等の遵守) 研究代表者(中略)は,補助事業の遂行に当たり,適正化法,同法施行令及び取扱規程(引用者注:平成19年度補助条件につき,適正化法,同法施行令,取扱規程及びこの補助条件)の規定を含む,関係する法令等の規定を遵守しなければならない。 イ 1-2(補助事業者の責務) 研究代表者(中略)は,補助金が国民から徴収された税金等でまかなわれるものであることに留意し, む,関係する法令等の規定を遵守しなければならない。 イ 1-2(補助事業者の責務) 研究代表者(中略)は,補助金が国民から徴収された税金等でまかなわれるものであることに留意し,補助金の交付の目的に従って誠実に補助事業を行うように努めなければならない。 ウ 1-4(研究機関による補助金の管理等)研究代表者(中略)は,所属する取扱規程2条に規定する研究機関(以下 「研究機関」という。)に(引用者注:平成19年度補助条件につき,文部 科学省が別に定める「科学研究費補助金の使用について各研究機関が行うべき事務等」に従って)補助金の管理を行わせるとともに,この補助条件に定める諸手続を当該研究機関を通じて行わなければならない。(以下略)(3) 直接経費の使用ア 2-1(直接経費の公正かつ効率的な使用) 研究代表者(中略)は,直接経費(補助事業の遂行に必要な経費及び研究成果の取りまとめに必要な経費)の公正かつ効率的な使用に努めなければならない(引用者注:平成19年度補助条件につき,さらに,他の用途への使用及びこの補助条件に違反する使用をしてはならない。)。 イ 2-2(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件)・2-4(平 成19年度補助条件)(研究・契約等の開始)新たに採択された研究課題については内定通知受領後直ちに,また,前年度から継続する研究課題(「特定領域研究」の研究領域の設定時において,予め研究期間開始年度の翌年度から実施することとされていた研究課題を含む。)については4月1日から,それぞれ研究を開始し,必要な契約等を行 うことができるが,必要な経費は,直接経費受領後に支出し,又は研究機関等が立て替えて直接経費受領後に精算しなければな を含む。)については4月1日から,それぞれ研究を開始し,必要な契約等を行 うことができるが,必要な経費は,直接経費受領後に支出し,又は研究機関等が立て替えて直接経費受領後に精算しなければならない。 ウ 2-5(直接経費の年度内使用)(平成19年度補助条件)直接経費は,研究課題の研究期間が複数年度にわたるものであっても,2-6に規定する場合を除き,補助事業を行う年度を越えて使用することはで きない。 エ 2-3(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件)・2-6(平成19年度補助条件)(翌年度における直接経費の使用)研究代表者は,当該年度の補助事業が,交付決定時には予想し得なかったやむを得ない事由(引用者注:平成19年度補助条件につき,交付決定時 には予想し得なかった要因による,研究に際しての事前の調査,研究方式 の決定の困難,計画に関する諸条件,気象の関係,資材の入手難その他のやむを得ない事由)に基づき,補助事業が予定の期間内に完了しない見込みとなった場合に,補助事業の期間を延長するとともに,補助金の全部又は一部を翌年度に使用することを希望する場合には,平成18年3月3日(引用者注:平成18年度補助条件につき平成19年3月2日,平成19 年度補助条件につき平成20年3月3日)までに,(中略)申請を行い,必要な手続を経なければならない。 オ 2-4(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件)・2-7(平成19年度補助条件)(使用の制限)直接経費は,次の経費として使用してはならない。 ① 建物等の施設に関する経費(直接経費により購入した物品を導入することにより必要となる軽微な据付費等のための経費を除く。)② 机,いす,複写機等,研究機関で 用してはならない。 ① 建物等の施設に関する経費(直接経費により購入した物品を導入することにより必要となる軽微な据付費等のための経費を除く。)② 机,いす,複写機等,研究機関で通常備えるべき物品を購入するための経費③ 補助事業遂行中に発生した事故・災害の処理のための経費 ④ その他,間接経費を使用することが適切な経費カ 2-5(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件)・2-8(平成19年度補助条件)(合算使用の制限)直接経費は,次の場合を除き,他の経費と合算して使用してはならない。 ① 補助事業に係る用務と他の用務とを合わせて1回の出張をする場合にお いて,直接経費と他の経費との使用区分を明らかにした上で直接経費を使用する場合② 独立性のある物品を購入する場合において,同時に購入する当該物品の附属品(補助事業の遂行に必要なもの)の購入経費として直接経費を使用する場合 ③ 直接経費の未使用額が1万円未満となった場合において,これに他の経費を加えて補助事業のために使用する場合キ 2-6(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件)・2-9(平成19年度補助条件)(納品等及び支出の期限)補助事業に係る物品の納品,役務の提供等は,補助事業を行う年度の3月 31日までに終了しなければならず,これに係る支出は,実績報告書の提出期限までに行わなければならない。 (4) 実績の報告 6-1(平成17年度補助条件及び平成18年度補助条件)・5-1(平成19年度補助条件)(実績報告書の提出期限)研究代表者は,補助事業の完了又は廃止の後,30日以内又は平成18年 4月25日(引用者注:平成18年度補助条件につき,平成19年 )・5-1(平成19年度補助条件)(実績報告書の提出期限)研究代表者は,補助事業の完了又は廃止の後,30日以内又は平成18年 4月25日(引用者注:平成18年度補助条件につき,平成19年4月25日)のいずれか早い日までに(引用者注:平成19年度補助条件につき,平成20年5月31日まで〔補助事業を廃止した場合には,当該廃止の後30日以内〕に),(中略)文部科学大臣に実績報告を行わなければならない。 (以下略) 4 科学研究費補助金の使用について各研究機関が行うべき事務等(平成17年度ないし平成19年度のもの。乙9~11。以下,平成17年度のものを「平成17年度機関使用ルール」,平成18年度のものを「平成18年度機関使用ルール」,平成19年度のものを「平成19年度機関使用ルール」といい,これらを 併せて「本件各機関使用ルール」という。)(1) 前文(平成19年度機関使用ルール)平成19年度における科学研究費補助金の使用について各研究機関が行うべき事務等は次のとおりとする。なお,本規程に定めのない事項については,「研究機関における公的研究資金の管理・監査のガイドライン」等を踏ま え,各研究機関が定める規程等に従って適切に行うものとする。 (2) 研究者との関係に関する定めア前文雇用契約,就業規則,勤務規則,個別契約等により,研究者が交付を受ける補助金(直接経費:補助事業の遂行に必要な経費及び研究成果の取りまとめに必要な経費,間接経費:補助事業の実施に伴う研究機関の管理等に 必要な経費)について,(引用者注:平成19年度機関使用ルールにつき,本規程に従って)研究機関が次の事務を行うことを定めること。 イ 2-1研究者に代わり,補助金(直接経費)を に 必要な経費)について,(引用者注:平成19年度機関使用ルールにつき,本規程に従って)研究機関が次の事務を行うことを定めること。 イ 2-1研究者に代わり,補助金(直接経費)を管理すること。 (3) 研究機関が行う事務の内容 ア前文補助金に係る事務を,以下の各項に従い適切に行うこと。 イ 3-1(使用の開始)研究代表者(中略)が,交付された直接経費の使用を速やかに開始できるよう,必要な事務を迅速に行うこと。(新規の研究課題については内定通 知受領後直ちに,また,継続の研究課題〔「特定領域研究」の研究領域の設定時において,予め研究期間開始年度の翌年度から実施することとされていた研究課題を含む。〕については4月1日から,それぞれ研究を開始し,必要な契約等を行って差し支えない。必要な経費は,直接経費受領後に支出し,又は研究機関等が立て替えて直接経費受領後に精算するこ と。)ウ 3-2(保管)直接経費は,適切な名義者の銀行口座に預金する等により(引用者注:平成19年度につき,適切な名義者により,補助金専用の銀行口座を設け),適正に保管すること。 エ 3-3(支出の期限) 補助事業に係る物品の納品,役務の提供等を,補助事業を行う年度の3月31日までに終了し,これに係る支出を実績報告書の提出期限(平成18年4月25日)(引用者注:平成18年度機関使用ルールにつき,平成19年4月25日,平成19年度機関使用ルールにつき,平成20年5月31日)までに行うこと。 オ 3-7(平成17年度機関使用ルール及び平成18年度機関使用ルール)・3-15(平成19年度機関使用ルール)(応募・交付申請に係る手続)次の手続を行うこと でに行うこと。 オ 3-7(平成17年度機関使用ルール及び平成18年度機関使用ルール)・3-15(平成19年度機関使用ルール)(応募・交付申請に係る手続)次の手続を行うこと。 ① 公募要領の内容の周知 ② 応募書類の取りまとめ及び文部科学省又は日本学術振興会への提出③ 文部科学省からの交付内定通知の受理及び研究者への通知④ 交付申請書類の取りまとめ及び文部科学省への提出⑤ 文部科学省からの交付決定通知書の受理及び研究者への伝達⑥ 文部科学省から送金される補助金の受領 カ 3-9(平成17年度機関使用ルール及び平成18年度機関使用ルール)・3-17(平成19年度機関使用ルール)(実績報告に係る手続)次の手続を行うこと。 ① 実績報告書の提出各補助事業について,その完了又は廃止の後,30日以内または平成1 8年4月25日(引用者注:平成18年度機関使用ルールにつき,平成19年4月25日)のいずれか早い日までに(引用者注:平成19年度機関使用ルールにつき,平成20年5月31日まで〔補助事業を廃止した場合には,当該廃止の後30日以内〕に),各研究代表者が作成する(中略)実績報告書(中略)(引用者注:平成18年度機関使用ルール及び平成1 9年度機関使用ルールにつき,これに加えて,研究分担者に分担金を配分 した研究代表者が作成する〔中略〕研究組織登録票〔中略〕)を取りまとめ,(中略)文部科学省に提出すること。 ② 翌年度における補助金の使用を行った場合の実績報告書の提出補助事業の期間が延長されるとともに,翌年度において補助金の使用が行われた場合には,研究代表者が補助事業を開始した年度の終了時にお ② 翌年度における補助金の使用を行った場合の実績報告書の提出補助事業の期間が延長されるとともに,翌年度において補助金の使用が行われた場合には,研究代表者が補助事業を開始した年度の終了時におい て作成する(中略)実績報告書(中略)を文部科学省に提出すること。 (4) 適正な使用の確保ア 4-1(経費管理・監査体制の整備)(平成19年度)「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定)を踏まえ,経費管理・ 監査体制を整備すること。 イ 4-3(平成17年度機関使用ルール及び平成18年度機関使用ルール)・4-7(平成19年度機関使用ルール)(不正な使用に係る調査の実施)補助金の不正な使用が明らかになった場合(不正な使用が行われた疑いの ある場合を含む)には,速やかに調査を実施し,その結果を文部科学省に報告すること。 以上
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