平成18(行コ)20 政務調査費返還履行請求控訴事件(原審・青森地方裁判所平成17年(行ウ)第4号)

裁判年月日・裁判所
平成19年4月26日 仙台高等裁判所 住民訴訟
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判決文本文15,770 文字)

主文 原判決中主文第1項,第8項及び第10項を取り消し,取消しに係る被控訴人らの請求をいずれも棄却する。 原判決主文第2項を次のとおり変更する。 (1)控訴人は,Aに対し,45万1603円及びこれに対する平成16年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払えとの請求をせよ。 (2)被控訴人らのAに関するその余の請求をいずれも棄却する。 原判決主文第5項を次のとおり変更する。 (1)控訴人は,Bに対し,40万0825円及びこれに対する平成16年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払えとの請求をせよ。 (2)被控訴人らのBに関するその余の請求をいずれも棄却する。 控訴人のその余の本件各控訴をいずれも棄却する。 訴訟費用は,補助参加に要した費用を除き,第1,2審を通じてこれを10分し,その9を控訴人の,その余を被控訴人らの各負担とし,補助参加に要した費用は被控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 控訴人(1)原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 (2)被控訴人らの請求を棄却する。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人らの負担とする。 控訴人補助参加人C(1)原判決中主文第1項を取り消す。 (2)被控訴人らの控訴人補助参加人に関する請求を棄却する。 。 (3)訴訟費用のうち控訴人補助参加人に係る部分は被控訴人らの負担とする第2事案の概要 本件は,青森県弘前市の住民である被控訴人らが,弘前市議会議員であったCほか10名が弘前市から交付を受けた平成15年度分(4月分を除く)の。 政務調査費の全部又は一部を違法に支出し,これを不当利得したとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,弘前市長である控訴人に対し,Cほか10名に対して違法に支出した政務調 月分を除く)の。 政務調査費の全部又は一部を違法に支出し,これを不当利得したとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,弘前市長である控訴人に対し,Cほか10名に対して違法に支出した政務調査費相当額の返還とその遅延損害金の支払を請求するよう求めた事案である。各議員が支出したものが政務調査活動のための必要な経費といえるか否か,必要な経費といえない場合,返還すべき金員の遅延損害金の起算日や利率をどのように解すべきかなどが主に争われたところ,原審が被控訴人らの請求を一部認容したため,原審において訴訟告知を受けていたCが補助参加するとともに控訴を申し立て,控訴人も控訴した。 そのほかの事案の概要は,次の2のとおり当審における当事者の主張があるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」に記載のとおりであるからこれを引用する。 当審における当事者の主張(1)控訴人の主張ア控訴人の調査権限について(「」。)弘前市議会政務調査費の交付に関する条例以下本件条例という7条3項によれば,市長たる控訴人は,政務調査費を受けた各議員が議長に提出した収支報告書の写しを議長から送付されるのみであり,各議員が保管を義務付けられている会計帳簿や領収書を閲覧等によって調査し得る権限規定は,本件条例にも弘前市議会政務調査費の交付に関する条例施行規則(以下「本件規則」という)にも定められていない。したがって,。 控訴人には,各議員の支出の具体的内容にまで立ち入って政務調査費に当たるか否かを認定判断することはできないのであり,控訴人において各議 員に返還請求しないからといって不当利得返還請求権の行使を違法に怠ったとはいえない。 イ使途の割合的認定について事務所,事務用品,電話等が政務調査活動のみならずそれ以外の活動にも使わ て各議 員に返還請求しないからといって不当利得返還請求権の行使を違法に怠ったとはいえない。 イ使途の割合的認定について事務所,事務用品,電話等が政務調査活動のみならずそれ以外の活動にも使われていると認定し得ると仮定しても,本件条例や本件規則にはそのような場合にどのように政務調査費を認定すべきかの基準は定められていない。また,各議員は,例えば事務用品については政務調査活動に要した費用のみの領収書を提出し,それ以外のために要した費用の領収書は提出していない可能性もある。したがって,事務所,事務用品,電話等が政務調査活動以外のためにも使用された可能性があるからといって,これを按分して認定し得る権限は控訴人にはない。 ウ附帯請求の起算日について本件条例においては「政務調査費の交付に係る年度の翌年度の4月3,0日」を収支報告書の提出期限としているが,この日を政務調査費の残余金の返還期日と定めた規定はない。もっとも,政務調査費は,交付に係る年度の翌年度の4月30日までに支出する必要があり,同日までに当該年度における政務調査費は確定するから,同日までに支出しなかった残余金があればこれを返還する義務が生ずるものとはいえる。しかしながら,これをいつまでに返還すべきかについて定めた条例等の規定は何らないのであって,そうであれば,残余金の返還については確定期限や不確定期限の定めはないのであるから,民法412条3項に従って,請求によって遅滞に陥ると解すべきである。 エ各議員の主張について(原判決別紙参照)(ア)A議員①研究研修費1万0972円これは議員同士の懇親会費用であるが,議員同士の懇親会は貴重な 情報交換,懇談の場であるから,政務調査費と認めるべきである。 ②足利市への調査旅行費4万7098円足利市への調査は同市にある関連施 これは議員同士の懇親会費用であるが,議員同士の懇親会は貴重な 情報交換,懇談の場であるから,政務調査費と認めるべきである。 ②足利市への調査旅行費4万7098円足利市への調査は同市にある関連施設の調査であり,議会事務局を通していなくても政務調査費と認めるべきである。 ③名古屋青果市場・世界遺産白川郷調査旅行費11万7680円この旅行は議員4名で行って同一行動をとっており,A議員のみが政務調査費であることを否定されるのはおかしい。 ④ガソリン代8万3936円議員の日常はほとんど議員活動であるから全額が政務調査費と認められるべきである。 ⑤「D」の会費1万5000円,。 講師を呼んで講演会を開催し講師料は会費の中から支出しているしたがって,同会の会費は政務調査費に当たる。 ⑥スポーツ紙の購読費3万5860円スポーツ紙は,市民の体育向上,市の体育行政に反映させるために必要であるから,政務調査費に当たる。 ⑦携帯電話料金22万0823円必要な情報を得るために携帯電話によるネット接続を積極的に利用したもので,これを政務調査費として全く認めないのはおかしい。 (イ)B議員①研究研修費12万6790円会派(E)4名で全国都市問題会議に出席し,12万6790円を支出した。 ②資料購入費24万8131円政務調査のため,F,G,H,I等から資料を購入した。 (ウ)J議員 事務所電気料金5万9867円事務所は,同一敷地にあるものの建物は自宅とは完全に独立した建物であり,全額政務調査費と認められるべきである。なお,自宅の電気料金は別に支払っている(乙16の2。 )(エ)K議員事務所賃貸料16万5000円後援会事務所は,自宅であってその旨を青森県選挙管理委員会にも届けている。したがって,16万5000円の全額が政務調査費と 支払っている(乙16の2。 )(エ)K議員事務所賃貸料16万5000円後援会事務所は,自宅であってその旨を青森県選挙管理委員会にも届けている。したがって,16万5000円の全額が政務調査費と認められるべきである。 (2)補助参加人(C議員)の主張補助参加人の事務所は,補助参加人の母Lの建物であり,かつ,後援会活動を行う事務所とは独立している。政務調査活動のみに使用している事務所部分についてのみ賃料月額2万円を支払っているのであり,11か月分22万円の賃料は全額が政務調査費と認められるべきである。 (3)被控訴人らの主張ア控訴人の調査権限について控訴人の主張は争う。政務調査費は,議会の議員の調査研究に資するために必要な経費の一部に充てるために会派又は議員に交付することが認められた公金であり,その使途について,本件条例は,市政に関する調査研究以外の経費に充てることを禁止するとともに(6条,本件規則におい)て,使途基準として9つの項目を掲げて使途の限定をし(5条,各議員)()。 に対して会計帳簿の調整や領収書等の整理保管を義務付けている7条そして,本件条例8条は「政務調査費の交付を受けた議員は,当該年度,において交付を受けた政務調査費の総額から,当該年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合は,当該残金を返還しなければならない」とし,残金の返還。 を義務付けている。このように,法令等が政務調査費の支出について市政に関する調査研究のための必要性があることを要求し,目的外の支出を禁止した上,各議員に対して会計帳簿の調整や領収書等の整理保管を義務付け,政務調査費の収支報告書作成,提出を要求し,政務調査費の残額の返還を義務付けているのは,市民に対する説明責任と財政 外の支出を禁止した上,各議員に対して会計帳簿の調整や領収書等の整理保管を義務付け,政務調査費の収支報告書作成,提出を要求し,政務調査費の残額の返還を義務付けているのは,市民に対する説明責任と財政の健全な運用の見地から,公金の使途として許容される政務調査費の支出について,その適正を確保する趣旨によるものと解される。 そうであれば,目的外支出の疑念が生じた場合には,その点の解明に必要な限度で調査を行うことは必要なことであり,市長たる控訴人には公益性が確保されたものか,他の用途に流用されていないかなどについて,調査を行う権限があるものというべきである。 イ使途の割合的認定について確かに議員の事務所等が政務調査活動のためと後援会活動のために使用されているような場合,政務調査活動の部分と後援会活動の部分とを合理的に区別することは困難なことがあることは否定し得ない。しかし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならないとされている以上,後援会活動部分を除く必要があり,全額を政務調査費とすることは許されない。そこで,政務調査活動に資する割合を説明することが困難な場合には,社会通念上相当な割合による按分をもって政務調査費を確定することは許されるべきである全国都道府県議会議長会の政。 「務調査費の使途の基本的な考え方について(甲43)も按分を想定して」いる。その按分割合は一律にいうことができないが,個々の議員がその割合を明らかにするための資料を提出しない場合は社会通念に従うしかない。本件では個々の議員がその按分割合を明らかにする資料を提出していない。したがって,二つの目的で事務所が使用されているなら2分の1などのように認定するほかはない。 ウ附帯請求の起算日について控訴人の主張は争う。各議員は収支報告書の提出す る資料を提出していない。したがって,二つの目的で事務所が使用されているなら2分の1などのように認定するほかはない。 ウ附帯請求の起算日について控訴人の主張は争う。各議員は収支報告書の提出すべき時点において清算義務を負っていると解すべきであり,残額の返還時期は「交付に係る,年度の翌年度の4月30日」と定められていると解すべきである。 エ各議員の費用についていずれも争う。なお,B議員の研究研修費については全国都市問題会議への参加と政務調査活動との関係が不明であるし,仮に関係があるとしても食事代は政務調査費には当たらないというべきである。 第3当裁判所の判断 本件住民監査請求の適法性についてこの点についての当裁判所の判断は,原判決12頁1行目から同26行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 C議員らの本件政務調査費の支出の違法性について(1)政務調査費の支出と違法性の判断地方自治法は,条例の定めるところにより,議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として,会派又は議員に対して政務調査費を交付することができるとし,他方,政務調査費の交付を受けた会派又は議員は,条例の定めるところにより,当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を提出するものとしている(同法100条13項,14項。そして,この政務)調査費の制度は,議員の調査研究活動を活発にして議会の審議能力を強化するとともに,情報公開を促進する見地からその使途の透明性を確保しようとするとする趣旨のものであるといわれている。 また,地方自治法の上記規定を受けて定められた本件条例は,政務調査費は議員に対して交付し(2条,議員は,政務調査費を本件規則で定める使)途基準に従って使用するものとし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充て て定められた本件条例は,政務調査費は議員に対して交付し(2条,議員は,政務調査費を本件規則で定める使)途基準に従って使用するものとし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充てることを禁止している(6条。そして,本件規則) は,政務調査費の使途の基準として9項目を掲げて使途を限定するとともに(5条,政務調査費の交付を受けた議員に対し,政務調査費の収入及び支)出について会計帳簿を調整するとともに,領収書等支出を明らかにする書類を整理し,5年間保管すべきことを義務付けている(7条。また,本件条)例8条は「政務調査費の交付を受けた議員は,当該年度において交付を受,けた政務調査費の総額から,当該年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合は,当該残金を返還しなければならない」とし,残金の返還を義務付けている。 。 上記のように,政務調査費が議員の調査研究活動を活発にして議会の審議能力を強化するためのものであることからすると,これをどのように活用するかは本来議員の自律的判断にゆだねられるべきものであるが,反面,政務調査費は,その使途が限定され,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充てることが禁止されており,交付を受けた議員に会計帳簿の調整や領収書等の整理保管が義務付けられていることなどからすると,政務調査費が地方自治法や本件条例,本件規則の趣旨に従って適正に使用されなければならないことは明らかである。 そして,議員が整理保管を義務付けられている領収書等の資料に照らし,社会通念上市政に関する調査研究に資する適正な支出と認めることができない支出は,使途基準に合致しない違法な支出というべきである。また,議員が政務調査活動に必要な費用として支出したことに 料に照らし,社会通念上市政に関する調査研究に資する適正な支出と認めることができない支出は,使途基準に合致しない違法な支出というべきである。また,議員が政務調査活動に必要な費用として支出したことにつき,それを裏付ける資料がなく,議員においてこれを積極的に補足する説明もしないような場合には,当該議員は,当該支出が使途基準に合致しない違法な支出とされることを甘受せざるを得ないというべきである。 また,ある支出が政務調査活動のためでもあるし,他の目的,例えば議員の後援会活動のためでもあるという場合にどのように対処すべきかについては,控訴人が主張するとおり,本件条例や本件規則には何らの規定も設けら れていない。しかしながら,その全額を政務調査費とするのは相当ではないことは明らかであるから,条理上,按分した額をもって政務調査費とすべきであり,特段の資料がない限り,例えば政務調査活動とそれ以外の二つの目的のために支出した場合には2分の1とするなど,社会通念に従った相当な割合をもって政務調査費を確定すべきである。 (2)各議員による支出の違法性についてこの点についての当裁判所の判断は,次のとおり訂正等があるほかは,原判決14頁1行目から同33頁6行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ア原判決15頁15行目から同16頁7行目までを次のとおり改める。 「(ウ)事務所費について証拠(甲1の1~4,27の1・2,乙5の1)及び弁論の全趣旨によれば,C議員の自宅の敷地には,自宅建物とは別に,同居しているC議員の母Lがその夫(C議員の父)から相続して所有する建物があり,C議員は,その一部を母Lから月額2万円の賃料で賃借し,これを事務所として使用していること,また,母Lの上記建物にはC議,,員の後援会事務所もあるがC議員の事務所とは別 して所有する建物があり,C議員は,その一部を母Lから月額2万円の賃料で賃借し,これを事務所として使用していること,また,母Lの上記建物にはC議,,員の後援会事務所もあるがC議員の事務所とは別になっていることC議員は,上記の事務所を整備するため,書類整理棚,書類棚,いすを購入したほか,電気工事を施すなどして3万8485円を支出し,また,灯油代として2万6179円を支払ったことが認められる。 上記認定によると,Lは,C議員の同居の親族であるから,その賃料額が適正なものであるかどうかにつき疑問が生じないわけではないが,月額2万円程度であってみれば,これを不相当なものとまではいえない。 ,,そうするとC議員が事務所費として支出した28万4664円は賃料(22万円)を含め,その全額が政務調査費に当たるものと認め られる」。 イ原判決16頁14行目から同17行目までを次のとおり改める。 「以上によれば,合計4万7210円が本件使途基準に合致しない支出額となるが,甲第1号証の1によれば,C議員は,政務調査費のうち5万4895円を自己負担したことが認められるから,結局,違法な支出は存在しないことになる」。 ウ原判決16頁24行目末尾に「これに対し,控訴人は,議員にとって宿泊を伴う懇親会は貴重な情報交換,懇談の場であるから,政務調査費と認めるべきであると主張するが,たとえ貴重な情報交換,懇談の場であるとしても,議員同士の懇親会が本件規則が定める研究研修費に当たらないことは明らかである」を加える。 。 エ原判決17頁6行目末尾に「控訴人は,議会事務局を通していなくても政務調査費と認めるべきである旨の主張をするが,本件全証拠に照らしても,A議員が足利市にどのような施設を調査するために赴いたのかさえ不明であり,政務調査費と認めるのは ,議会事務局を通していなくても政務調査費と認めるべきである旨の主張をするが,本件全証拠に照らしても,A議員が足利市にどのような施設を調査するために赴いたのかさえ不明であり,政務調査費と認めるのは困難である」を加える。 。 オ原判決17頁7行目から同10行目までを次のとおり改める。 「証拠(甲10の1,18の1,25,乙14の1)及び弁論の全趣旨によると,A議員は,平成16年3月,M議員を含む他の議員3名と共に名古屋青果市場と世界遺産白川郷への視察旅行をし,そのための費用として観光業者に11万7680円を支払ったことが認められる。そして,甲第10号証の1によれば,名古屋青果市場の視察は,りんご市場の動向や流通の現状等を調べるものであったことがうかがわれるが,白川郷への旅行が何のためのものであったかは不明である(甲10の1には『百姓一揆の歴史調査等』と記載されているが,それが弘前市の市政に関するものとは考え難い。そうすると,名古屋青果市場への視察。)は,使途基準に定められた調査旅費と認められるが,白川郷への旅費は 本件使途基準に合致しないものというべきである。しかるところ,上記の11万7680円がどのような割合で使われたのかは資料上不明であるから,その2分の1の5万8840円をもって政務調査費と認め,その余は本件使途基準に合致しない支出と認めるのが相当である」。 カ原判決18頁13行目末尾に「控訴人は,スポーツ紙は市の体育行政に反映させるために必要であるから,その購入費用も政務調査費と認めるべき旨の主張をする。しかしながら,スポーツ紙は,一般に娯楽性が高い読,,,み物というほかはないのであってスポーツ紙の購読が市政に直接かつ具体的に関わるような特段の事情がある場合は格別,そのような特段の事情のうかがわれないA議員に ツ紙は,一般に娯楽性が高い読,,,み物というほかはないのであってスポーツ紙の購読が市政に直接かつ具体的に関わるような特段の事情がある場合は格別,そのような特段の事情のうかがわれないA議員にあって,公金でこのようなスポーツ紙を購入してよいはずはない」を加える。 。 キ原判決19頁23行目から同26行目までを次のとおりに改める。 「以上によれば,A議員が政務調査費として支出したとされるもののうち,58万7043円は使途基準に合致しない支出であるが,そのうち政務調査費として計上しなかった1万4233円と11万6298円及び自己負担したと認められる4909円(甲2)を控除した45万1603円が違法な支出額となる」。 ク原判決26頁17行目から同27頁1行目までを次のとおり改める。 「カB議員について(ア)研修研究費について証拠(甲6,乙15の3)及び弁論の全趣旨によれば,B議員は他の議員3名と共に,平成15年10月30日,31日の両日にわたって岐阜県高山市で開催された全国都市問題会議に参加したこと,そのため,B議員らは,同月29日,弘前市を出発し,同年11月1日に弘前市に帰ったこと,その費用は,1名当たり12万6790円であったが,その内訳は,交通費等(会議参加費1万04 20円を含む)が7万5687円,ホテル代(3泊分)が1万9。 380円,食費が2万7763円(1日目の昼食代698円,夕食代7000円,2日目の夕食代7000円,3日目の夕食代6875円,スナックでの二次会費3525円,4日目の昼食代1825円,夕食代840円。なお,2日目と3日目の昼食代は会議参加費に含まれていたものとうかがわれる,雑費(コーヒー代等)が。)2572円などであったことが認められる。 被控訴人らは,全国都市問題会議への参加と政務 0円。なお,2日目と3日目の昼食代は会議参加費に含まれていたものとうかがわれる,雑費(コーヒー代等)が。)2572円などであったことが認められる。 被控訴人らは,全国都市問題会議への参加と政務調査活動の関係が不明であると主張するが,全国都市問題会議が全国の市長,市議会議員等が参加して毎年テーマごとに開催される都市問題に関する会議であることは公知の事実であるから,同会議への参加は,本件使途基準に合致したものといえる。 また,被控訴人らは,食事代は政務調査費には当たらないと主張するが,本件使途基準の研究研修費には宿泊費が含まれていることが明らかである(甲39。そして,この宿泊費については,議員)が公務で出張する場合に準じて考えるのが相当であるところ,弘前市報酬費用弁償等の額及びその支給方法条例(昭和22年弘前市条例第21号。甲20の3)は,議員がその職務のために旅行をしたときは,日当3000円,宿泊料1万3300円(乙地方)又は1()。 ,万4800円甲地方の定額を支払うこととされているそしてこの日当の中には昼食代と雑費が,宿泊料の中には宿泊料金のほかに夕食代,朝食代が含まれていると解されるから,少なくとも1泊につきホテル代と3食の食事代,雑費の合計が宿泊料と日当の合計額である1万6300円の範囲内であればその食事代も研究研修費の宿泊費若しくは日当に含まれると解すべきである。そうすると,B議員のホテル代は1泊当たり平均6460円であるから,夕食代 7000円ないし6875円は高額であるとはいえるが,この夕食代を合わせても宿泊料は1万3460円ないし1万3335円にしかならず,昼食代と雑費の合計額が4日間で5000円余りにしか(。),ならないのであるから日当額は4日間で1万2000円となるB議員の昼食代,夕食代 泊料は1万3460円ないし1万3335円にしかならず,昼食代と雑費の合計額が4日間で5000円余りにしか(。),ならないのであるから日当額は4日間で1万2000円となるB議員の昼食代,夕食代は,定額の日当や宿泊料の範囲内のものというべきである。 もっとも,スナックでの二次会費用3525円は,いかなる意味でも宿泊料とは認め難いから,本件使途基準に合致しない違法な支出といわざるを得ない。また,交通費の中には郡上八幡観光に要した2500円が,雑費の中には郡上八幡の博覧館入館料1500円がそれぞれ含まれているところ(乙15の3,この費用合計40)00円は観光のための支出とうかがわれるから,使途基準に合致した支出とはいえない。 したがってB議員の研究研修費12万6790円のうち7525円は,本件使途基準に合致しない支出であるが,それ以外は政務調査費に当たるものといえる。 (イ)資料購入費証拠(乙15の1,2)によれば,B議員は「○○農業新聞」,の購読費3600円「○○農業」の購読費9600円,議員実務,六法などの書籍購入費12万6710円を支出しているところ(合計13万9910円,これらはいずれも調査研究活動に資するも),。 のといえるから本件使途基準の合致する支出であると認められるしかしながら,B議員が資料購入費として支出したとする24万8131円のうち残りの10万8221円については領収証などが存,,せずどのような資料の購入に当たられたのか全く不明であるから本件使途基準に合致した支出とは認められない。 (ウ)会議費についてB議員は市政報告及び市民と語る会などの会議費として24万1000円を支出したとするが,具体的にどのような支出をしたかを裏付けるに足りる領収証などは一切存在しない。したがって,上記支出を についてB議員は市政報告及び市民と語る会などの会議費として24万1000円を支出したとするが,具体的にどのような支出をしたかを裏付けるに足りる領収証などは一切存在しない。したがって,上記支出をもって本件使途基準に合致した支出とはいえない。 (エ)雑費についてB議員が調査に係るガソリン代,電話料金として支出したとする5万5000円については,その支出を裏付ける領収証などは一切,。 提出されておらず本件使途基準に合致した支出とは認められない(オ)小括以上によれば,B議員が政務調査費として支出したとされる67万0921円のうち研究研修費と認められる11万9265円,資料購入費と認められる13万9910円を除いた41万1746円は本件使途基準に合致しない支出であるが,そのうちの1万0921円をB議員が自己負担したと認めることができるから(乙15の1,結局,違法な支出額は40万0825円ということになる」)。 ケ原判決29頁16行目から同30頁1行目までを次のとおり改める。 「証拠(甲4の2,乙16の1~3)によれば『事務所電気料金,5万9867円』については,電気の使用場所が自宅の住所地(α×-1)と同一であるが,事務所は自宅とは別の建物であって電気メーターも自宅部分とは別になっていることが認められる。しかるところ,この事務所は,調査研究活動に資するためのものと後援会事務所とを兼ねていることがうかがわれ,その合理的な区分が困難であるから,社会通念上電気料金合計の2分の1を政務調査活動に資するために必要な費用と認め,その余の2万9933円については本件使途基準に合致しない支出と認めるのが相当である。 したがって,雑費としての支出のうち6万7287円を本件使途基準に合致しない支出であると認める。 (イ)小括以上によ 933円については本件使途基準に合致しない支出と認めるのが相当である。 したがって,雑費としての支出のうち6万7287円を本件使途基準に合致しない支出であると認める。 (イ)小括以上によれば,6万7287円が本件使途基準に合致しない支出であるが,J議員は,政務調査費として支出したもののうち8万1598円を自己負担したことが認められるから(甲9,結局,J)議員にあっては違法な支出はないことになる」。 コ原判決32頁11行目から同33頁6行目までを次のとおり改める。 「サK議員について(ア)事務所費について証拠(甲26,乙13の1,17の1~3)によれば,事務所費として支出したとする賃借料16万5000円については,後援会事務所を兼ねたものではなく,もっぱら政務調査活動のための事務所として使用していたものと認められ,したがって,その全額を政務調査に資するために必要な費用と認めるのが相当である。 (イ)小括以上によれば,K議員には本件使途基準に合致しない支出があるとはいえない。 (3)まとめ以上によれば,A議員は45万1603円,N議員は24万9411円,O議員は36万9892円,B議員は40万0825円,P議員は19万5120円,Q議員は1万4040円,M議員は1,,3万9555円をそれぞれ不当利得していることになり弘前市は上記議員らにその不当利得額につき返還請求権を有しているものというべきである。 しかしながら,R議員,C議員(補助参加人,J議員及びK議),,員に対しては不当利得返還請求権を有しているとはいえないのでこれらの議員に係る被控訴人らの本件請求は,その余について判断するまでもなく,いずれも理由がないものとせざるを得ない」。 不当利得返還請求の違法な懈怠について控訴人は,収 いるとはいえないのでこれらの議員に係る被控訴人らの本件請求は,その余について判断するまでもなく,いずれも理由がないものとせざるを得ない」。 不当利得返還請求の違法な懈怠について控訴人は,収支報告書から一見して本件使途基準に合致しないことが判明しない限り控訴人には政務調査費について調査権限はないから,各議員の支出が違法であったとしても,本件において控訴人が不当利得返還請求をしないことは違法にはならない旨の主張をする。 しかしながら,前記2(1)でみたとおり,政務調整費としての支出は適正で,,,,なければならず政務調査費については収支報告書の提出会計帳簿の調整領収書等の整理保管が議員に義務付けられていることからすると,議員が政務調査費として支出したものが本件使途基準等に照らして適正なものであるか否かについては,公金たる政務調査費を交付する者の審査を受けることが予定されているものといわざるを得ない。なるほど,本件条例や本件規則には,市長の調査権限を定めた規定がないことは控訴人の主張するとおりであるが,公金を管理する者として,その公金の支出が適正であったか否かを審査し得ることは当然である。また,会計帳簿の調整や領収書等の整理保管を義務付けていることからすると,それらによって支出が適正か否かを調査することは議員や議会の自律性を侵害するものとはいえない。控訴人の上記主張は採用することができない。 そして,整理保管が義務付けられた領収書等の資料に照らし,社会通念上市政に関する調査研究に資する適正な支出と認めることができない支出や政務調査活動に必要な支出をしたことを裏付ける資料がない支出がある以上,控訴人が不当利得返還請求をしないことは違法な懈怠に当たるものというべきである。もっとも,そのことによって職員の賠償責任が生ずるか否かは 活動に必要な支出をしたことを裏付ける資料がない支出がある以上,控訴人が不当利得返還請求をしないことは違法な懈怠に当たるものというべきである。もっとも,そのことによって職員の賠償責任が生ずるか否かは全く別な問 題である。 附帯請求の起算日及び利率について(1)附帯請求の起算日について本件条例には,交付を受けた政務調査費に残余がある場合の返還義務を定めた規定(5条,8条)はあるが,その返還の時期についてはこれを明確に定めた規定はない。 しかしながら,本件条例によると,政務調査費の額は月6万円の割合で計算した額であり(3条,この割合に6を乗じた額を4月及び10月の第2)金曜日に交付するとされている(4条1項。甲38。そして,政務調査費)の交付を受けた議員が当該年度の中途において議員でなくなったときは,当該年度において交付を受けた政務調査費の総額から当該年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合は当該残金を返還しなければならないとし(5条,また,それ)以外の場合も,当該年度において交付を受けた政務調査費の総額から当該年度において市政に関する調査研究に資するため必要な経費として支出した総額を控除して残余がある場合は当該残金を返還しなければならないとしている(8条。そうすると,政務調査費は,毎年4月1日から翌年3月31日)までを1年度とし,ある年度に交付を受けた政務調査費は,翌年3月31日までに支出し,同日終了の時点で残余があれば,これを返還しなければならないと定められているものと解される。 そして,本件条例7条1項は,政務調査費の交付を受けた議員は,当該年度分の政務調査費に係る収支報告書を作成し,これを交付に係る年度の翌年度の4月30日までに提出しなければならないとし, と解される。 そして,本件条例7条1項は,政務調査費の交付を受けた議員は,当該年度分の政務調査費に係る収支報告書を作成し,これを交付に係る年度の翌年度の4月30日までに提出しなければならないとし,同条2項は,政務調査費の交付を受けた議員が議員でなくなったときは議員でなくなった日から30日以内に収支報告書を提出しなければならないとしている。 そうすると,政務調査費は,一般には当該年度の4月1日から翌年3月3 1日までに,任期途中で議員でなくなる場合には議員であるときまでに支出しなければならず,なお残余金がある場合にはその返還義務が発生するのであるが,政務調査費として支出した金員を精査し,政務調査費の額を確定するとともに残余金額を確定するには時間が必要なことから,本件条例は,1か月の猶予期間を設け,収支報告書の提出期限を当該年度の翌年度の4月30日若しくは議員でなくなった日から30日以内としたものと解される。そして,収支報告書の提出の時点では当然のことながら残余金の額も確定しているのであって,議員が確定した残余金をなお保持しておくべき合理的理由はないから,本件条例は,残余金の返還も収支報告書の提出期限内にすべきことを予定しているものと解するのが相当である。 したがって,本件条例は,残余金の返還時期について確定期限(翌年度の4月30日)若しくは不確定期限(議員でなくなった日から30日以内)を定めているものというべきところ,各議員が政務調査費として支出した金員が本件使途基準に合致しない違法なものである場合には違法支出額に相当する残余金があるものと同視すべきであるから,政務調査費を違法支出したことを理由とする不当利得返還請求における附帯請求の起算日は,任期途中で議員でなくなった場合を除き,政務調査費の交付を受けた年度の翌年度の5月1日と認 同視すべきであるから,政務調査費を違法支出したことを理由とする不当利得返還請求における附帯請求の起算日は,任期途中で議員でなくなった場合を除き,政務調査費の交付を受けた年度の翌年度の5月1日と認めるのが相当である。 (2)附帯請求の利率について当裁判所も附帯請求である遅延損害金の利率は民法所定の年5分とするのが相当と判断する。その理由は,原判決37頁23行目から同38頁10行目までに記載のとおりであるから,これを引用する。 (3)まとめ以上によると,不当利得として,A議員は45万1603円,N議員は24万9411円,O議員は36万9892円,B議員は40万0825円,P議員は19万5120円,Q議員は1万4040円,M議員は13万95 55円とそれぞれに対して平成16年5月1日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務があることになる。 また,Q議員及びN議員は,当初の収支報告書を訂正した上,弘前市に対して,訂正後の収支報告書記載の残額に相当する額をそれぞれ返還しているから,Q議員は,返還額16万8751円に対する平成16年5月1日から平成17年9月16日(返還日)までの年5分の割合による遅延損害金を,N議員は,返還額12万4119円に対する平成16年5月1日から平成17年9月20日(返還日)までの年5分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 結論 以上によれば,被控訴人らの本件請求は,控訴人に対し,A議員に45万1603円,N議員に24万9411円,O議員に36万9892円,B議員に40万0825円,P議員に19万5120円,Q議員に1万4040円,M議員に13万9555円とそれぞれに対する平成16年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員,Q議員にはそのほかに16万8751円に対する平成1 に19万5120円,Q議員に1万4040円,M議員に13万9555円とそれぞれに対する平成16年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員,Q議員にはそのほかに16万8751円に対する平成16年5月1日から平成17年9月16日までの年5分の割合による金員,N議員にはそのほかに12万4119円に対する平成16年5月1日から平成17年9月20日までの年5分の割合による金員の各支払請求を求める限度で理由があるものというべきであるから,これを認容すべきであるが,その余はいずれも理由がないから棄却すべきものである。 よって,当裁判所の上記判断と一部結論を異にする原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第2民事部裁判長裁判官大橋弘 裁判官鈴木桂子裁判官中村恭は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官大橋弘

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