令和4(ワ)3313 損害賠償金請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年9月8日 東京地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-91571.txt

キーワード

判決文本文3,926 文字)

令和4 年9 月8 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4 年(ワ)第3313 号損害賠償金請求事件口頭弁論終結日令和4 年7 月6 日判決 原告エス・アンド・ケー株式会社 被告 A同訴訟代理人弁護士柳田康男主文 1 被告は、原告に対し、5 万円及びこれに対する令和3 年4 月14日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、これを15 分し、その1 を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 4 この判決は、第1 項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、73 万3326 円及びこれに対する令和3 年4 月14 日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、原告が、被告がその運営するオンラインショップで原告の商品を販売するに当たって別紙画像目録1 及び2 記載の各画像を利用して原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したと主張して、被告に対し、民法709 条に基づき、73 万 3326 円の損害賠償及びこれに対する不法行為後の日である令和3 年4 月14 日から 支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告は、デンマーク製キッチン用品のブランド「SCANPAN」(スキャンパン)の日本国内の正規代理店であり、上記ブランドに含まれるフライパン(以下「本件 商品」という。)を販売している。 イ被告は、イ マーク製キッチン用品のブランド「SCANPAN」(スキャンパン)の日本国内の正規代理店であり、上記ブランドに含まれるフライパン(以下「本件 商品」という。)を販売している。 イ被告は、インターネット上のショッピングモールである「Yahoo!ショッピング」において、「B」の商号で、ストア名を「C」とするオンラインストア(以下「被告ストア」という。)を運営している者である。(甲3)(2) 本件画像 原告は、別紙画像目録1 記載の各画像(以下「本件共通画像」という。)及び別紙画像目録2 記載の各画像(以下、「本件個別画像」といい、これと本件共通画像を併せて「本件画像」という。)の著作権を有している。 本件画像はいずれも、原告が本件商品の宣伝に用いることを目的として制作会社に依頼して制作したものである。このうち、本件共通画像は、本件商品のセールス ポイント、本件商品が選ばれる理由及び本件商品を購入した場合の特典についての説明をそれぞれ内容とするものであり、本件個別画像は、種類等が異なる本件商品を個別に写真撮影したものである。(甲13)(3) 被告ストアへの本件画像の掲載被告は、遅くとも令和3 年3 月3 日頃から同年4 月14 日頃にかけて、被告スト アにおいて、11 種類の本件商品を出品するとともに、本件画像の著作権の帰属について十分な注意を払うことなく、出品した商品ごとに、本件共通画像7 枚と出品した商品の種類に対応する本件個別画像1 枚を組み合わせた合計8 枚の画像を複製して掲載し、本件画像に係る原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害した。(甲2、11) (4) 本件画像の削除 原告は、令和3 年4 月14 日、被告に対し、被告ストアに掲載されている本件画像の削除等を求 権(複製権及び公衆送信権)を侵害した。(甲2、11) (4) 本件画像の削除 原告は、令和3 年4 月14 日、被告に対し、被告ストアに掲載されている本件画像の削除等を求めた。これに対し、被告は、同日頃、被告ストアに掲載していた本件画像を削除した。(甲11) 2 争点及び争点に係る当事者の主張原告の損害額 【原告の主張】原告は、デザイン制作会社に対し、本件画像のデザイン制作業務等の委託契約の対価として約700 万円を支払った。また、原告は、同デザイン制作会社に対し、デザインのコンセプトに至るまでの相談料も支払う必要があった。このほか、本件商品の製造販売元から提供された製品説明の翻訳、広告画像を制作するに当たり用意 したデータ、商品の写真撮影等のために支払った諸費用等を考慮すると、本件画像を利用するに当たって原告が受けるべき金額(著作権法114 条3 項)は、ウェブサイト1 ページ当たり6 万6666 円を下らない。 被告は、本件画像を11 ページ分掲載したため、原告の損害額は73 万3326 円(= 6 万6666 円×11 ページ)となる。 仮に、著作権法114 条3 項に基づく原告の損害額が認められないとしても、原告は、令和3 年1 月1 日~同年6 月30 日の間、被告の著作権侵害によって売上が前年同期比で26%減少したため、この売上減少額が原告の損害額となる。 【被告の主張】原告が提出する証拠によれば、大手新聞社の写真ですら1 か月当たりの使用料金 は2000 円弱~3500 円程度である。したがって、仮に本件画像の利用料に相当する損害があるとしても、その限度にとどまる。 また、被告のビジネスモデルは、顧客から注文を受けるとその都度注文された商品を原告から定価で購 0 円程度である。したがって、仮に本件画像の利用料に相当する損害があるとしても、その限度にとどまる。 また、被告のビジネスモデルは、顧客から注文を受けるとその都度注文された商品を原告から定価で購入し、注文者に転売するというものである。このため、仮に原告の売上が減少したとしても、被告による著作権侵害との間には因果関係がない。 第3 当裁判所の判断 1 原告の損害額について(1) 本件画像は、商品その他の画像を利用するなどして、本件商品の特徴を分かりやすく伝える工夫を凝らして制作されたものといえる。また、被告が被告ストアに掲載した本件画像の数は少なくない。 もっとも、前記前提事実(第2 の1(3))のとおり、被告が本件画像を掲載したと 認められるのは令和3 年3 月3 日頃~同年4 月14 日頃の間であって、比較的短期間にとどまる。また、前記前提事実(第2 の1(2))のとおり、本件画像は、本件商品の宣伝に用いることを目的とし、これに沿って、本件商品のセールスポイント、本件商品が選ばれる理由、本件商品を購入した場合の特典についての各説明と本件商品各種の個別の商品の写真からなるものである。そのため、本件画像は、本件商 品を宣伝するために本件共通画像7 枚と当該商品に対応する本件個別画像を適宜組み合わせて利用することを想定して制作されたものといえる。すなわち、被告による本件画像の利用態様は、本件商品ごとに異なる本件個別画像を掲載したことを考慮しても、本件画像の1 回の利用として想定された範囲内のものにとどまると見るのが相当である。 これらの事情を総合的に考慮すると、本件における「その著作権…の行使につき受けるべき金銭の額」(著作権法114 条3 項)は5 万円とし、これを原告の損害額と認めるのが のが相当である。 これらの事情を総合的に考慮すると、本件における「その著作権…の行使につき受けるべき金銭の額」(著作権法114 条3 項)は5 万円とし、これを原告の損害額と認めるのが相当である。 (2) 当事者の主張についてア原告は、本件画像の1 ページ当たりの損害額に被告が本件画像を掲載したウ ェブサイトのページ数を乗じて原告の損害を計算すべきであると主張する。しかし、本件画像の利用回数の点については上記のとおりであり、利用料相当額の算定に当たって被告が本件画像を掲載したウェブサイトのページ数を基準とすることは相当でない。 また、原告は、原告の売上減少額を原告の損害額とみるべきであるとも主張する。 しかし、被告による本件画像の利用と相当因果関係のある原告の売上減少額につい ての立証はない。 したがって、この点に関する原告の主張はいずれも採用できない。 イ被告は、原告指摘に係る各料金表(甲5~7)に記載された価格を前提として、本件画像の1 枚当たりの利用料金は高くとも3500 円程度である旨主張する。しかし、これらの料金表記載の価格は、前提とされている利用条件等が明らかでないこ となどから、原告の損害額算定に当たって重視すべきものとはいえない。 したがって、この点に関する被告の主張は採用できない。 2 小括以上より、原告は、被告による著作権(複製権及び公衆送信権)侵害の不法行為に基づき、被告に対し、5 万円の損害賠償請求権及びこれに対する不法行為後の日 である令和3 年4 月14 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。 第4 結論よって、原告の請求は上記の限度で理由があるからこれを認容し、その余は棄却することとして、主文のとおり判決す 日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金請求権を有する。 第4 結論 よって、原告の請求は上記の限度で理由があるからこれを認容し、その余は棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官 鈴木美智子 裁判官 稲垣雄大 (別紙画像目録1、2 省略)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る