平成27年9月18日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第30230号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成27年7月22日判決埼玉県吉川市<以下略>原告有限会社GESTS 同訴訟代理人弁護士馬場恒雄 同田中史郎 同小林力 東京都世田谷区<以下略>被告A(以下「被告A」という。)東京都港区<以下略>被告株式会社セールスフロント (以下「被告会社」という。)被告ら訴訟代理人弁護士関本哲也 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告会社は,インナーウェア,スポーツウェアに別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。)を付し,又は同標章を付したインナーウェア,スポーツウェアを販売し,若しくは販売のために展示してはならない。 2 被告会社は,被告標章を付したインナーウェア,スポーツウェアを廃棄せよ。 3 被告らは,原告に対し,連帯して156万6666円及びこれに対する被告会社については平成26年12月5日から,被告Aについては同月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 仮執行宣言第2 し,連帯して156万6666円及びこれに対する被告 会社については平成26年12月5日から,被告Aについては同月7日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 仮執行宣言第2 事案の概要 1 前提事実(証拠を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,繊維製品の企画,製造,販売等を目的とする会社であり,別紙商標権目録記載1,2の各商標権(以下,併せて「本件商標権」といい,その商標を「本件商標」という。)の権利者の一人である。 イ被告Aは,本件商標権の権利者の一人である。 ウ被告会社は,スポーツウェアの製造,販売等を目的とする会社であり,平成25年12月11日に「株式会社エイプラン」から「株式会社セールスフロント」へと商号変更したものである。 (2) 本件商標権の共有原告と被告AはBとともに,本件商標権を共有している。 (3) 被告商品の販売被告Aは,平成25年12月頃,販売店「C」に対し,被告標章を付したインナーウェア「SPO-RELAX」を販売した。同商品に添付されたタグには,「販売元:D」及び「お問い合わせ先 <以下略>(株)エイプラン」との記載があった(甲4)。 また,被告Aは,平成26年1月頃,百貨店「E」の催事場に参加した販売業者に対し,被告標章を付したスポーツウェアのパンツ等を販売した。同商品に添付されたタグには,「販売元 D」及び「お問い合わせセールスフロント <以下略>」との記載があった(甲5の1,2。以下,これらの商品を併せて「被告商品」という。)。 なお,被告は,被告標章が本件商標と同一である点につき,争うことを明 らかにしない。 2 本件は,原告が,被告標章は本件商標と同一であるところ,被告商品のタグの記載からすれば,被告会社も なお,被告は,被告標章が本件商標と同一である点につき,争うことを明 らかにしない。 2 本件は,原告が,被告標章は本件商標と同一であるところ,被告商品のタグの記載からすれば,被告会社も被告商品を販売したことになり,被告Aは他の共有者の同意を得ないまま本件商標権の使用を被告会社に許諾したことになるなどと主張して,① 被告会社に対し,商標法36条1項,2項に基づき,本件商標の使用の差止め及び被告商品の廃棄を求めるとともに,② 被告らに対し,民法709条及び商標法38条2項に基づき,連帯して156万6666円及びこれに対する不法行為の後の日(本訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 3 争点(1) 被告会社による本件商標権侵害の有無(2) 損害発生の有無及びその額第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(被告会社による本件商標権侵害の有無)について〔原告の主張〕被告商品のタグには,「お問い合わせ先」として「(株)エイプラン」あるいは「お問い合わせ」として「セールスフロント」などと記載されている。このような記載は,被告会社も本件商標権の共有者であるかのような誤解を生じさせ,本件商標権の出所表示機能,品質保証機能等を害するものであるから,実質的には,本件商標の付された被告商品を被告会社が販売しているものと同視すべきである。 ところで,商標権が共有にかかるときは,各共有者は他の共有者の同意を得なければ,その商標権について他人に通常使用権を許諾することはできない(商標法35条,特許法73条3項)。 したがって,たとえ被告Aが被告会社に対し本件商標の使用を許諾したとしても,共有者の一人である原告が同意していない以上,被告会社による被告商 品の きない(商標法35条,特許法73条3項)。 したがって,たとえ被告Aが被告会社に対し本件商標の使用を許諾したとしても,共有者の一人である原告が同意していない以上,被告会社による被告商 品の販売は,本件商標権を侵害するものである。 〔被告らの主張〕被告商品のタグには「販売元」として「D」と表記されているが,この表記は被告Aの氏名のローマ字表記である。すなわち,被告商品のタグには「販売元」として被告Aの氏名が記載されており,被告会社は連絡先として記載されているにすぎない。 したがって,被告商品が本件商標権の共有者である被告Aの商品として販売されていることは明らかであり,被告会社が販売しているとみることはできない。 以上のとおり,被告Aが被告会社に対し本件商標の使用を許諾した事実はなく,商標権侵害の事実は何ら存しない。 2 争点(2)(損害発生の有無及びその額)について〔原告の主張〕被告らは被告商品につき合計380万円の利益を得ており(インナーウェア「SPO-RELAX」につき330万円,パンツにつき50万円),商標法38条2項に基づく原告の損害額は,原告の持分3分の1に相当する126万6666円となる。また,被告らによる不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は30万円となる。 したがって,被告らは,原告に対し,不法行為に基づいて合計156万6666円の損害賠償債務を負う。 〔被告らの主張〕否認する。被告商品の販売についてはいずれも赤字が生じており,利益はない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(被告会社による販売の有無)について(1) 原告は,被告商品のタグの記載は,本件商標権の出所表示機能,品質保証 機能等を害するものであるから,被告商品を被告会社が販売しているものと同視すべきである 社による販売の有無)について(1) 原告は,被告商品のタグの記載は,本件商標権の出所表示機能,品質保証 機能等を害するものであるから,被告商品を被告会社が販売しているものと同視すべきであると主張する。 しかし,被告商品のタグには,「販売元」として「D」と明確に記載されているのであって,同表記が本件商標権の共有者の一人である被告Aの氏名のローマ字表記であることは明らかであり,被告会社の名称である「(株)エイプラン」ないし「セールスフロント」は単なる「問い合わせ先」などとして記載されているにすぎない。 そうすると,被告商品のタグの記載からは,被告商品の「販売元」は被告Aであるものとしか読み取ることができないのであって,この記載から直ちに,被告会社も被告商品を販売しているとか,被告会社も本件商標権の共有者であるとの誤解を生じさせているなどということはできない。 そして,その他,被告Aが被告会社に対し本件商標権の使用を許諾したとか,被告会社が無断で被告製品を販売したなどの事実を窺わせる証拠はない。 したがって,原告の上記主張は,その前提を欠くものといわざるを得ない。 (2) この点に関して原告は,①被告商品のタグにおいて,原告の同意なく「販売元」にアルファベット表記をしたり,「問い合わせ先」に共有者以外の者を記載したりすることは,共有者以外の者に商標権を使用させるものである,②このような記載が商標権侵害にならないのであれば,商標権の共有者の利益を保護した商標法35条,特許法73条3項の趣旨を没却することになるなどとも主張する。 しかし,上記(1)で説示したところからすれば,原告の上記各主張も,その前提を欠くものというべきである(なお,タグの「販売元」にアルファベット表記をすることがなにゆえ共有者以外の者に商標権を使用させる かし,上記(1)で説示したところからすれば,原告の上記各主張も,その前提を欠くものというべきである(なお,タグの「販売元」にアルファベット表記をすることがなにゆえ共有者以外の者に商標権を使用させることになるのか,原告自身の主張からも明らかであるとはいえない。)。したがって,原告の上記主張はいずれも採用することができない。 以上によれば,争点(1)についての原告の主張は,理由がない。 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 今井弘晃 裁判官 瀬孝 (別紙)被告標章目録 (別紙)商標権目録 登録番号第4645421号出願日平成14年5月2日登録日平成15年2月21日商標 商品及び役務の区分第25類指定商品被服 登録番号第5047313号出願日平成18年11月28日登録日平成19年5月18日商標 商品及び役務の区分第18類指定商品かばん類 の区分第18類指定商品かばん類
▼ クリックして全文を表示