【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人大橋光雄、同辻畑泰輔の上告理由第一点ないし第五点について。 原判決
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人大橋光雄、同辻畑泰輔の上告理由第一点ないし第五点について。 原判決は、昭和三六年七月一五日、上告会社と訴外D出版株式会社との間で、訴外会社が上告会社に対して負担していた一六〇万円の貸金債務について原判示内容の分割弁済契約が締結され、また、その際、被上告人Bにおいて右債務を担保するためその所有にかかる本件株式に質権を設定し、株券に裏書をして上告会社に交付し、かつ、分割弁済の期日に債務が履行されないときは本件株式は上告会社の所有に帰する旨の流質の特約がなされたところ、訴外D出版株式会社は昭和三六年九月二〇日に支払われるべき分割金の支払をしなかつたが、その後、原判示認定の事情によつて、同年一一月二四日、訴外E分県地図株式会社の代表者Fと上告会社代表者Gとの間に、当時残存していたD出版株式会社の一〇〇万円の債務をE地図株式会社において引き受ける旨の契約が成立したことを認定し、この事実と原判決挙示の証拠等を総合することによつて、上告会社はD出版株式会社の債務の履行を猶予することにより本件株式は上告会社の所有に帰することとはしなかつたものと認定しているのであつて、原審の右事実認定は、原判決の挙示する証拠関係によつて是認するに足りる。所論のように、本件株式を含む担保物がD出版株式会社の債務不履行により上告会社の所有に帰したものとするならば、同会社の負担する残債務もまた消滅する筋合であるから、前示債務引受契約の成立を認定することにより債務の履行の猶予がなされ、本件株式は上告会社に帰属しなかつたものとした原審の判断は正当といわなければならない。 つぎに、所論は、原判決が本件株式はFの所有に帰した旨の判断を示したことを- り債務の履行の猶予がなされ、本件株式は上告会社に帰属しなかつたものとした原審の判断は正当といわなければならない。 つぎに、所論は、原判決が本件株式はFの所有に帰した旨の判断を示したことを- 1 -前提として、その認定判断に経験則違反の違法があるというが、原判決は、FがD出版株式会社から分県地図の出版権(これに附随する「大日本分県地図併地名総覧」の平版の部原版と活版の部紙型)の譲渡を受けたことを認定したにとどまるのであつて、同人が本件株式の譲渡を受けた事実はその認定するところでないのみならず、被上告人Bが株主権を有する旨を正当に判示しているのであるから、所論は原判決を正解しないものといわなければならない。そして、債務引受契約が債権者と引受人間の契約によつて成立したときは、第三者の設定した質権は特段の事情のないかぎり消滅して引受人に移転することがなく、しかも、本件において原審の確定するところによれば、本件株式は債権者である上告会社の意思によつて右債務引受に伴つて新たに供与された担保の目的から除外されたというのであるから、右債務引受契約の成立以後、本件株式は、質権その他の担保権の目的たることの拘束から解放されたものというべきであり、株主権を有する被上告人Bの反訴請求を認容した原審の判断もまた正当といわなければならない。 その余の所論はいずれも原判決の結論に影響を及ぼさない事項につき原審の判断を非難するにすぎないものである。原判決には所論の違法はなく、論旨はすべて採用することができない。 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩田誠裁判官長部謹吾 の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩田誠裁判官長部謹吾裁判官大隅健一郎裁判官藤林益三裁判官下田武三- 2 -
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