平成25(ワ)23687 地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年4月11日 東京地方裁判所
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判決文本文51,040 文字)

平成28年4月11日判決言渡平成25年(ワ)第23687号地位確認等請求事件主文 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成23年1月から本判決確定の日まで,毎月末日限り月額39万4445円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みに至るまで年6分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,これを5分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 5 この判決は,第2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1項同旨 2 被告は,原告に対し,平成23年1月から判決確定の日まで,毎月末日限り月額64万9115円及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みに至るまで年6分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,200万円及びこれに対する平成22年12月1日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等本件は,被告に期限の定めのなく雇用されていた原告が,勤務態度,業績不良,社員としての適格性欠如,業務上のやむを得ない事情の存在などを理由として普通解雇されたが,これらに該当する事実はなく解雇は無効であるとして,被告に対し,地位確認及び解雇後の賃金の 支払を求めるとともに,不当な退職強要は職場環境改善義務違反であるなどとして,不法行為に基づき慰謝料を請求する事案である。 1 前提事実(証拠を掲記しない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 被告は,銀行業,信託業等を目的に掲げる,アメリカ合衆国法を設立準拠法とする法人である。 (2) 原告と被告との間の雇用契約(以下「本件雇用契約」という。)ア原告 間に争いがない。)(1) 被告は,銀行業,信託業等を目的に掲げる,アメリカ合衆国法を設立準拠法とする法人である。 (2) 原告と被告との間の雇用契約(以下「本件雇用契約」という。)ア原告は,平成12年6月26日から,次の条件で被告に雇用された。 (ア) 業務内容被告P1支店ヴァイス・プレジデント付き秘書(イ) 期間の定めなし(ウ) 給与見込額基本給月額26万円,食事手当月額2万2000円,住宅手当月額3万円,社会保険料手当月額3万4924円,賞与年2回各88万4000円(年額合計593万1088円)(エ) 毎月24日締め(休日に該当する場合はその前営業日),同月末日払いイ原告は,被告から次のとおりの給与収入を得た。 (ア) 平成13年 741万0977円(イ) 平成14年 743万2850円(ウ) 平成15年 814万1082円(エ) 平成16年 737万0273円(オ) 平成17年 810万4418円(カ) 平成18年 846万4544円(キ) 平成19年 840万6678円(ク) 平成20年 871万1921円(ケ) 平成21年 734万2707円 (コ) 平成22年 650万8343円(同年11月30日解雇。 解雇予告手当を含む額)(3) 原告の配属部署・上司等ア原告は,入社後,被告トレジャリー・サービス(以下「TS」という。)部門(原告の入社当時はP2・トレジャリー・ソリューション部門)に配属された。 イ原告の入社当時,直属の上長はP3であった。 ウ平成15年2月,原告の直属の上長はP4となった。 エ平成18年3月頃,原告の直属の上長はP5となった(乙71)。 オ原告は,平成20年10月15日,P5からTS部門における原告の役割についてマネー 5年2月,原告の直属の上長はP4となった。 エ平成18年3月頃,原告の直属の上長はP5となった(乙71)。 オ原告は,平成20年10月15日,P5からTS部門における原告の役割についてマネージャーと面談するよう指示された。原告は,当時,ローカルコーポレートグループ,MNC&NBFIグループ及びクライアントサービスアンドデリバリーグループのサポートを担当しており,上記各グループのリーダーであるP6及びP7が原告の事実上の上長の立場にあった。 カ原告は,平成21年9月11日からクライアントサービスアンドデリバリーグループに替わりテクノロジーアンドオペレーションズグループのサポートを担当することとなり,同グループのリーダーであるP8が原告の事実上の上長の立場になった。 キ平成22年8月1日付けでP5が異動となり,原告の直属の上長はP9となった。 (4) 解雇に至る経緯ア P5は,平成20年7月14日,原告と平成20年の中間評価面談を行い,原告の中間評価が5段階評価(上からE,M+,M,M-,Nの5段階)中の最下位である「N」であることを伝えた。 イ P5は,平成20年10月15日,原告と面談し,TS部門に おける原告の役割についてマネージャーと面談するよう指示した。 原告は,同月16日以降,P5,P6及びP7と面談を行った。 (乙1,71)ウ原告は,平成20年12月4日午後から,休暇(有給休暇及び短期傷病休暇)を取った。 エ原告は,平成21年3月3日から同年4月まで,毎朝午前9時30分までに当日行う予定の具体的な業務内容をP6及びP7にメールで伝え,夕方頃その日の業務を振り返ることを目的とするミーティング(以下「タスクミーティング」という。)を行った。 オ原告は,平成21年5月1日,P10労働組合(以下「 内容をP6及びP7にメールで伝え,夕方頃その日の業務を振り返ることを目的とするミーティング(以下「タスクミーティング」という。)を行った。 オ原告は,平成21年5月1日,P10労働組合(以下「本件組合」という。)に加入した。 カ平成21年7月頃,原告が被告社内で秘密録音していることが発覚し,被告は原告に対し録音を禁止する旨を命じた(乙71)。 キ P5は,平成21年11月24日,原告に自宅待機を命じた。 ク被告は,自宅待機中の原告に退職を提案し,その条件を提示したが,原告はこれに応じなかった。 ケ被告は,平成22年11月30日,被告の就業規則26条5項3号,5号及び7号(後記(5))を適用する旨を記載した解雇通知書を送付し,原告を普通解雇した(以下,被告がした原告の解雇を「本件解雇」という。)。 コ原告は,平成25年4月16日,被告を相手方として,労働審判を申し立てた。労働審判手続において,原告が被告に対する雇用契約上の権利を有しないことを確認し,被告が原告に対して710万円の解決金を支払うことなどを内容とする労働審判がされたが,原告から異議申立てがされ,本件訴訟に移行した。(当裁判所に顕著である。) (5) 被告の就業規則における解雇に関する定め26条5項次の各号に該当する場合,社員は,解雇される。 3号勤務態度,業績が不良である場合。または,不都合の行為があり,社員として適格性がないと判断された場合。 5号会社の業務上のやむを得ない事情により社員を解雇しなければならない場合。 7号その他,前各号に準じる事由のある場合。 2 争点及び争点に関する当事者の主張(1) 本件解雇の有効性(争点(1))(被告)ア本件解雇の理由の概要は次のとおりである。 (ア) 原告が所属 に準じる事由のある場合。 2 争点及び争点に関する当事者の主張(1) 本件解雇の有効性(争点(1))(被告)ア本件解雇の理由の概要は次のとおりである。 (ア) 原告が所属していたTS部門は,経済のグローバル化の進展に伴い,平成16年以降,その業容は年々拡大し,顧客も,金融機関を中心とする日本法人顧客に加えて,欧米系の外資系企業,証券・生命保険など銀行以外の内外の金融機関にまで拡大し,平成20年になると,売上規模,収益規模は平成16年比で約50パーセント増となっていた。顧客層の多様化と国際化,商品の複雑化に伴い,幅広い分野の高い専門能力を持つ人材が年々求められるようになり,バックオフィス(サポート部門)に属する社員についても年々,グローバルネットワーク,会社の多様な商品についての知識経験とスキルが求められるようになった。 平成20年9月に発生したリーマン・ショックは会社の経営に甚大な影響を及ぼし,それ以降,ビジネスとその環境を激変させたことから,上記の傾向はますます顕著となった。その影響はアシスタント業務にも及び,従来のようなスケジュール調 整,出張の手配といった定型業務をこなすだけでは不十分な状況となり,銀行一般に係る業務知識,所属部門の業務内容や部門使用用語への理解を背景として行う顧客向け説明資料の翻訳,顧客提案資料のデザイン等の変更(一定のスピードが要求される),外部顧客向けのサービス内容変更通知書,セミナー等の案内の作成も求められるようになった。また,従来からの秘書・アシスタント業務の中でも,拡大したTS部門の業務円滑化を実現するような自主的なアイデア,例えば,チームリーダの休暇予定を取りまとめ,主要メンバーに通知し,休暇が重なることによる業務の遅滞を防ぐなどの工夫を求められるようにな 大したTS部門の業務円滑化を実現するような自主的なアイデア,例えば,チームリーダの休暇予定を取りまとめ,主要メンバーに通知し,休暇が重なることによる業務の遅滞を防ぐなどの工夫を求められるようになった。 (イ) 原告は,従来のスケジュール調整,出張の手配といった定型的で単純な部類に属する業務についてはそれなりにこなしていたが,上述したようなTS部門の質的,量的な環境変化に適合することができず,独自のこだわりに従って仕事を非効率的に行い,そのスピードが遅く,また,その質も不十分であるなど,その勤務成績の低劣さが顕著となっていた。原告の評価は,平成19年は5段階評価の下から2番目の評価であるM-,平成20年は最下位の評価であるNであった。そのため,原告が行うべき業務を他のスタッフが行わざるを得なくなっていた。 しかも,上長,その他の社員からの業務依頼を頻繁に独自の判断で拒否するなど,上長の指示にも従わなかった。 (ウ) 原告の問題点は枚挙にいとまがないが,例示すると次のようなものがある。 a スピードが遅い原告は,必要のないことにこだわりを持ち,意味のないこ とに時間をかけ,その結果,他の業務を行う時間がなくなり,無駄な残業をすることとなり,期限までに成果物を提出できないことも多かった。 例えば,出張リストの作成では,他に業務があるにもかかわらず,不要な情報まで盛り込んだり,レイアウトにこだわったりして,通常は1時間もかからないものを3,4時間もかけて作成したり,イベントに招待した顧客リストの作成でも,「招待客さえ分かればよい」と指示したにもかかわらず,必要のない情報を盛り込んだり,レイアウトにこだわるなどして,通常は1時間もかからないものを1日以上もかけて作成したり,月次で行われていたサ も,「招待客さえ分かればよい」と指示したにもかかわらず,必要のない情報を盛り込んだり,レイアウトにこだわるなどして,通常は1時間もかからないものを1日以上もかけて作成したり,月次で行われていたサービスアンドオペレーションミーティングの議事録についてその作成に約1か月も要したり,また,急ぎで資料をプリントアウトするよう指示を受けても,インデントがおかしいとか,レイアウトがおかしいとか,会社のロゴマークの位置が少しおかしいなどと言いながら,ささいな点を修正することに30分以上も費やしたりするなど,案内文などのビジネス文書の作成に必要以上に時間を費やしていた。 b 成果物の質が低い原告は,事務処理のスピードが著しく遅かっただけでなく,その質も著しく低かった。 例えば,月次で行われていたサービスアンドオペレーティングの議事録の作成にしても,各社員の発言内容を正確に記載していないだけでなく,その用語も銀行業務における一般的な基本用語,又は所属部門が高い頻度で使用する定型的な用語であるにもかかわらず,多くを間違って記載し,出席者 から多くの苦情を受けるほか,案内状などのビジネス文書にしても,時間がないとして,未完成のものを提出することが多かった。一方で,指示されたこと以外全く行わず,自分で考え,提案することが一切なかった。 c 業務指示の拒否上長あるいは他の社員が原告に業務指示をすると,原告は,「他の仕事で手一杯なのでできない」,「なぜ私がやらないといけないのか」等と言い訳し,それを拒否することが再三に及んだ。 d 他部門からの苦情原告が,不必要に依頼作業のクオリティーにこだわるほか,一般的業務知識が不足しているため,依頼できる業務が限定されること等から,コーポレ とが再三に及んだ。 d 他部門からの苦情原告が,不必要に依頼作業のクオリティーにこだわるほか,一般的業務知識が不足しているため,依頼できる業務が限定されること等から,コーポレートバンキング部門やオペレーション部門からも,原告について,「業務のプライオリティーを理解しない」,「業務知識を身に付けるべき」,「コミュニケーション能力を磨くべき」,「新しい業務にも対応すべき」との苦情が数多く寄せられていた。 e 上長等の指導に従わない原告が,再三,上長,他の社員の指示を拒否していたことから,優先順位が不明な場合は上長が判断するので相談するように指示をしても,原告はそれを意に介さず,相談を行わず,自分だけの判断で,上長の指示や他の社員からの依頼を拒否することが再三に及んだ。 原告は,P6とP7の要求が不統一であったと主張するが,そのような事実はない。P6がリーダーであったローカルコーポレート,MNC&NBFIグループでは,電話対応は社 員の不在時に取次ぎをするための付帯業務であり,不要不急の電話に他の業務の時間を奪われないようにボイスメールにメッセージを残してもらうことで問題はなかったため,P6は,原告に対し,同グループの電話について優先的に対応しなくてもよいと指示していた。他方,P7がマネージャーであったクライアントサービスアンドデリバリーグループでは,顧客からの電話対応が主要業務であったから,同グループにかかってきた電話については極力出て取次ぎを行うよう指示していた。 (エ) 原告の業務態度等が上記のとおりであったことから,TS部門の責任者であるP5,P6及びP7は,原告に対して,随時注意指導を行った。しかし,原告は,これら上長の指示,指導を素直に聞いて従おうとはせず,取 の業務態度等が上記のとおりであったことから,TS部門の責任者であるP5,P6及びP7は,原告に対して,随時注意指導を行った。しかし,原告は,これら上長の指示,指導を素直に聞いて従おうとはせず,取り分け,平成20年11月頃になると,反抗的な態度を示し,「職務内容を書面で示すなどして具体的かつ明示してくれなければ業務に従事できない」という態度を取った。 平成21年3月になると,原告は,上長らの注意,指導がハラスメントであるなどと申し立てた。申立てを受けた人事部のP11が,ハラスメントとは具体的に何かをただしてもその内容は何ら明らかにならなかった。申立てのほとんどは上長らに対する抽象的な批判や不満であり,唯一具体的といえたのは,平成20年11月のミーティングをTS部門とは異なるフロアの会議室で行い,原告をその会議室に監禁したという訴えであった。しかし,TS部門の所在するフロアで原告についての指導等を行えば,他の社員の知るところとなるので,原告の心情等に配慮して別フロアの会議室を使ったものであり,注意指導 は行ったものの原告の意に反して会議室に閉じ込めたり監禁したりした事実はない。これ以外にハラスメントを裏付ける事実も明らかではなかったので,P11は,平成21年4月24日,原告に対し,ハラスメントの事実は確認できなかったことを伝えた。 それ以降においても,原告は,P6及びP7が原告に注意,指導をすると,「個人の尊厳を傷付ける中傷であり,嫌がらせであるから辞めるように」,「今後のやりとりは全て書面で行うように」と述べるなどして反抗的な態度をとり続けた。 そして,平成21年5月,上長らがミーティングを実施しようとすると,原告は,「労働組合に加入したからミーティングの実施も労働組合を通せ」,「労働組合の代表 などして反抗的な態度をとり続けた。 そして,平成21年5月,上長らがミーティングを実施しようとすると,原告は,「労働組合に加入したからミーティングの実施も労働組合を通せ」,「労働組合の代表者を立ち会わせる」などと述べてこれを拒否し,また,職場で一言でも注意しようものなら,携帯電話を持ちながら,「命令をするなら組合を通せ」などと声を荒げ,会議を無断で欠席するなどして,業務に支障を来し,他の社員からもクレーム等が多数寄せられるに至った。 さらに,原告は,ミーティングに際して断りなく秘密裏に録音を行うようになり,上長等がそれを止めるよう指示しても無視し,「ミーティングを行うなら組合を通せ」等と反発を継続したため,被告としては,原告をもはやTS部門で勤務させることはできないと判断し,セキュリティの観点から,平成21年11月24日,自宅待機を指示した。 (オ) 被告は,原告に対する自宅待機指示後,平成21年11月26日,平成22年1月19日,同年3月16日,同月30日にそれぞれ本件組合との間で団体交渉を実施し,非公式にも折 衝を行い,円満解決のための協議を続けた。 被告としては,原告を他の部門に配置することができないかについても検討を尽くしたが,配置可能なポジションはなかった。 被告は,原告が退職することを前提とした場合,所定の退職金に加えて,年収1年分の追加退職金を支払うこと,再就職支援の費用を会社が負担することをもって解決することを提案し,組合も検討する旨回答した。しかし,その後組合及び原告から,被告提案に対する回答がなかったため,やむなく,平成22年11月30日,本件解雇をした。 イ原告の業務遂行の状況(ア) 原告が1日に処理する業務量は多くなく,一定量の定型的業務を必要以上に時間を 案に対する回答がなかったため,やむなく,平成22年11月30日,本件解雇をした。 イ原告の業務遂行の状況(ア) 原告が1日に処理する業務量は多くなく,一定量の定型的業務を必要以上に時間をかけてマイペースでこなしていた。平成18年3月にTS部門の責任者に就任したP5は,同部門に配置されていたアシスタント(当時,P12,P13及び原告の3名が配置されていた。)に対して,部門全体の円滑な業務遂行のために従来よりも広い業務を積極的に分担するように求めることとした。 アシスタント3名のうち,P12はP5の秘書業務全般の外,TS部門を構成する各グループ全体に関わる重要文書の翻訳作業,全体に関わる経費予算の管理,レポートの取りまとめの業務等,広範な業務を担当していたが,P13及び原告は,従来から主として定型的業務しか担当していなかったことから,今後は部門全体のためにより多くの業務を分担し,また,従来のようなスケジュール調整,出張の手配といった定型業務だけでなく,顧客向け説明資料の翻訳,顧客提案資料のデザイン変更 (一定のスピードが要求される),外部顧客向けの通知書やセミナー等の案内の作成等の業務も担当するよう求めることとした。 (イ) しかし,原告が行った業務の状況は,平成19年に至ってもほとんど変わらず,平成20年に入ってからも改善する様子が見られなかったことから,同年の中間評価の行われた同年7月14日以降,P5,P6及びP7は,原告と時間を取って再三面談を行い,また,メール等でも個別の丁寧な指導を繰り返すことになった。 これら指導において,P6は,原告に対して,①顧客宛金利情報の提供(内部で金利情報取得後,顧客に電子メールで案内する業務),②営業担当者への情報提供(営業担当は顧客訪問を行う前に,インター た。 これら指導において,P6は,原告に対して,①顧客宛金利情報の提供(内部で金利情報取得後,顧客に電子メールで案内する業務),②営業担当者への情報提供(営業担当は顧客訪問を行う前に,インターネット等で顧客に関する最新ニュースを収集するのが通例であるので,それを代替し,営業担当者の時間を節約するサポート)を指示した。なお,P6は,③顧客収益動向分析(毎月の顧客の収益動向レポートをダウンロードし,収益の変動が大きい顧客を抜き出し,営業担当者にフィードバックする業務),④顧客往訪記録,新規案件のシステムへの入力作業(営業担当が作成したメモを基に業務記録システムに営業の記録を入力する業務),⑤案件データの期限切れ管理(案件成約の予定日を過ぎてもアップデートがないデータを抽出し,営業担当に連絡する業務),⑥顧客情報アップデート(全顧客の基礎情報(住所,業務内容など)の更新業務。初回登録から1年又は3年ごとに更新の必要があり,毎月その分量は数十件ある)の業務も分担してもらうことを予定し,その趣旨を原告にも話していたが,実際に指示した①,②を原告が中途で行わ なくなったため,これらについては原告に指示するに至らなかった。 また,P7は,⑦カスタマーサポートの電話取次ぎ(担当者の不在時等にかかってきた顧客からの電話を取り,「担当者が戻り次第連絡させます」等と返答する単純業務)の分担を具体的に指示することまでしたが,原告はトレーニングを受けなければそうした簡易なサポートもできないとして,カスタマーサポートの電話取次業務を行うことはなかった。 (ウ) 原告の具体的業務の問題点a 原告は,平成21年3月上旬,TS部門で開催する懇親会の日付の確定業務を担当した。これは各マネージャーに口頭で確認を行い,ものの10分程度で終わ た。 (ウ) 原告の具体的業務の問題点a 原告は,平成21年3月上旬,TS部門で開催する懇親会の日付の確定業務を担当した。これは各マネージャーに口頭で確認を行い,ものの10分程度で終わる作業であるが,同月10日まで終了させられなかった。この懇親会は内輪の集まりであるから,主だったマネージャーの日程を調整する必要はあったが,1か月もの長い間(開催は同年4月9日となった。),その日程を調整できないような催しではなかった。 b 原告は,平成21年3月4日,カンファレンス開催時の顧客との面談メモの社内システムへの入力業務を進行中と報告しており,これは既に完成している面談メモを貼り付けるだけの作業で,最大でも2,3時間程度で容易に処理できるにもかかわらず,同年4月3日まで完了できなかった。原告は,イベントというカテゴリーが作成されていないため入力ができなかったと主張するが,イベントの作成がされていなくても面談内容だけ入力して内容を最新化し,イベントというカテゴリーがアップデートされた後にそれをイベントにひも付けることにすればよいと指示したものの,原告がその指示に 耳を貸さなかったものである。 c 平成21年3月頃,カスタマーサービスチームのP14が原告に対し,翌日にカスタマーサービスチームの全社員とのインタビューを設定してほしいと依頼したところ,原告は,「それを今日やれっていうんですか。私は忙しいんです。」と述べて拒否した。 d 平成21年4月頃,社員の多くが研修に参加し,デスクが2名しかいなくなるので,P14が原告に,カスタマーサポートの電話取次ぎを依頼したところ,原告は,「できません。 忙しいんです」,「まだ昼食にすら行けていないんです」と拒否し,P14が「2人分の電話を15分だけ取ってほしい」 4が原告に,カスタマーサポートの電話取次ぎを依頼したところ,原告は,「できません。 忙しいんです」,「まだ昼食にすら行けていないんです」と拒否し,P14が「2人分の電話を15分だけ取ってほしい」と頼み込んで,原告はようやくこれを受け入れた。 e 平成21年5月末頃,プロダクトマネジメントジャパングループのP15が原告に対し,「P6が作成した幾つかの表を一覧で見ることができるようにしてほしい」と依頼したが,原告が作成したものに不自然な内容があったので,原告に対し,「P6が作成した表を確認し,間違いがないか確認してほしい」と電話で依頼したところ,原告は,突如,「そんなのは自分の仕事でない」と電話口で大声で怒鳴り拒否した。 fP14が原告に対し,派遣社員が就業するに当たって必要な手続(社員番号の取得,机の確保,入館カードの発行,パソコンの購入,携帯端末の購入,電話番号の取得,文具の手配,電子メール開通の確認,初日の庶務事項の本人への連絡,名刺作成など)を依頼したところ,原告は,それまでもそうした作業をした経験したがあったにもかかわらず,「やったことがないから」と虚偽を述べて拒否した。 (原告)ア成績不良に関する被告の主張は否認する。原告の勤務成績について,平成15年から平成17年まで,直属の上長であるP4は,それぞれEと評価した。平成18年に上長がP5になってからは,平成18年の評価はM,平成19年の評価はM(M-ではない。),平成20年の評価はNとなった。原告の上長がP5になった後,特に平成20年のリーマン・ショックから,原告の成績評価は低下した。これについて,被告は環境が厳しくなり,被告が求める従業員のスキルの変化に原告がついていけなかったと主張しているが,原告を退職に追い込むための恣意的な評価であ ョックから,原告の成績評価は低下した。これについて,被告は環境が厳しくなり,被告が求める従業員のスキルの変化に原告がついていけなかったと主張しているが,原告を退職に追い込むための恣意的な評価である。 イ被告が具体例として指摘する原告の問題点について(ア) 出張リスト原告が出張リストを3,4時間もかけて作成したことはない。 出張リストとは,出張する社員のために,出張先の顧客名・住所・地図・行程(列車の時間・乗り継ぎ方法),宿泊がある場合は宿泊先を1枚にまとめたものであり,出張する社員はこの1枚のリストを見て出張するほか,交通費等の社内決裁の稟議に使用するものである。出張リストの作成は原告のルーティーンの作業であり,その作成に1時間もかけたことはない。 (イ) イベントに招待した顧客リスト被告主催の「○」というイベントの出席者リストを作成する際に,原告は,備考欄に欠席者の欠席理由について記載したことがあった。顧客から欠席理由を通知された以上,リストに記載しておいた方が,営業担当者にとって今後の営業活動に向けて情報提供に資すると原告が考えたためである。 (ウ) サービスアンドオペレーションミーティングの議事録 サービスアンドオペレーションミーティングの議事録とは,銀行内での顧客情報のセキュリティに関するインシデント報告をまとめるための部内会議を記録した議事録であるが,こうした議事録は,行政機関への提出が求められているものであり,単なる部内議事録ではないため,慎重な手続を経て作成され,時間がかかる。 (エ) 資料のプリントアウトP6からプリントアウトを命じられた資料のインデントやレイアウトがずれていたため,プリントアウトをする際にそれを修正したため,若干時間がかかったことがあるが 。 (エ) 資料のプリントアウトP6からプリントアウトを命じられた資料のインデントやレイアウトがずれていたため,プリントアウトをする際にそれを修正したため,若干時間がかかったことがあるが,被告はこのときの出来事を誇張して指摘しているにすぎない。 会社のロゴマークについては,位置の問題ではなく,顧客に提出する資料をプリントアウトする際に,会社の古いロゴマークが入っていたことに気付いた原告が,これを修正する時間を与えるよう求めたことがあるが,被告は,このときのことを事実を曲げて誇張しているものである。 (オ) ビジネス文書の作成案内状などのビジネス文書の作成に,レイアウトにこだわるなどして必要以上に時間を費やすという事実はなく,ましてやその頻度を「ほとんど」と評価されるようなことは決してない。 (カ) 業務指示の拒否業務指示を拒否したことはない。サービスアンドオペレーションの議事録の作成を初めてTS部門が引き受けることになった際,行政機関への提出が強く求められるようになったため,P5から議事録作成するよう指示されたとき,原告が「私がやるのですか」と尋ねたことがあるが,被告はその際の事実を誇 張しているにすぎない。 (キ) 他部門からの苦情他部門から苦情を寄せられた事実はない。 (ク) 上長等の指導に従わないこと上長等の指導に従わなかった事実はない。議事録の作成や多少の知識を必要とする業務を拒否したこともない。むしろ,原告は金融知識を必要とするフロントオフィス部門及びオペレーション部門の電話も取ることがあったが,優先順位を付けTS部門全体の仕事から取り組むよう指導されることの方が多かった。 ウ原告への指導に対する反抗について(ア) 平成20年7月に,P5が,「これまでの 電話も取ることがあったが,優先順位を付けTS部門全体の仕事から取り組むよう指導されることの方が多かった。 ウ原告への指導に対する反抗について(ア) 平成20年7月に,P5が,「これまでの秘書業務(アドミ・アシスタント)は,これからは評価の対象とはしない」と宣言してから,原告に対する要求が急に厳しくなった。しかしながら,今後求められる役割について具体的に提示されことがなかったため,原告は,これを具体的に示すことを求めるようになった。 (イ) 被告は,平成20年10月頃からは,指導と称する嫌がらせにより原告を退職に追い込もうとするようになり,原告は,自己防衛の観点から対抗せざるを得なくなった。被告が反抗と主張するのはその際の経緯である。 (ウ) 原告は,平成20年10月15日以降,同月16日,同月24日,同月29日,同年11月6日,同月12日,同月13日,同月17日,同月18日,同月20日,同月26日,同年12月3日,同月4日と,原告の年末業務評価に関し連日にわたる呼出しを受け,これまでと同じ仕事をしてもN評価と低い 評価をされて繰り返し責められるようになった。 (エ) 原告は,過去に被告において,業績評価のレビューを連日繰り返し,疲弊した従業員が自主退職を申し入れるという事態が頻繁に起こっていたことを知っていたため,原告も自主退職に追い込まれると危機感を抱き,平成20年11月12日から自己防衛のために録音をするようになった。 (オ) 平成20年11月26日の面談で,P5は原告に対し人事部とのレビューの実施を繰り返し命じた。業績評価について人事部とレビューをすることは,人事部から自主退職をしてもらいたいと要求を受けることを意味するものと被告従業員の中で認識されていたから,この日の面談はP5による退職 繰り返し命じた。業績評価について人事部とレビューをすることは,人事部から自主退職をしてもらいたいと要求を受けることを意味するものと被告従業員の中で認識されていたから,この日の面談はP5による退職強要というべきものである。同年12月4日にも,P5は人事部との面談を極めて強い口調で命じた。この日,原告はもともと体調不良であったが,P5との面談により恐怖心から体調が更に悪化し,その日の午後から,同月26日まで,傷病休暇(有給)を取ることになった。 (カ) 平成20年12月15日,P5の秘書のP12から,原告に対し,職場復帰予定日の同月29日に面談を実施すること,傷病休暇期間中も定期的にP5,P6及びP7に連絡をすること,人事部のP11と連絡を取ることを求めるメールが送信された。原告がP11に連絡したところ,P11からは,「最初の年は期待値以上のことをしたとしても,2年目同じことをしても評価は下がる」などと言われた。 (キ) 傷病休暇明け以降も平成21年1月6日,同月13日,同月15日,同月23日,同年2月2日,同年3月2日と,連日にわたり原告の呼出しが行われた。同年1月6日のP11との 面談では,原告に自主退職を仕向ける発言がされた。 (ク) 平成21年3月3日から,毎朝9時30分までに,原告がその日に実行しなければならない業務内容について,メールでP6とP7に報告し,同日の午後4時30分に部署内の職員から見聞きできる丸テーブルでP6又はP7による原告の業務評価(被告のいう「タスクミーティング」)が行われることになった。その回数は,同年3月に16回,4月に13回であった。 (ケ) これとは別に,平成21年3月4日,同月13日,同年4月1日,同月8日,同月9日,同月22日,同月30日,同年7月31日,同年8月2 その回数は,同年3月に16回,4月に13回であった。 (ケ) これとは別に,平成21年3月4日,同月13日,同年4月1日,同月8日,同月9日,同月22日,同月30日,同年7月31日,同年8月24日,同年9月10日と原告の業務評価は並行して行われた。同年3月13日の面談では,P11から別の職場を探すことを求める発言があった。 (コ) 原告は,平成21年5月1日,本件組合に加入し,同月22日,P5とP11に呼び出され,「組合の言うことを聞くな」と言われた際,「このような面談は,労働組合を通していただけませんでしょうか」と申し入れた。 (サ) 平成21年9月11日,原告の職務はアドミ・アシスタントのままであったのに,原告がサポートするメンバー全員から1人だけ隔離された席に移動させられた。席替えの理由について,原告に対し何ら合理的な説明はされなかった。 (シ) 平成21年10月1日及び同月9日,P5は,原告に対し,「面談を録音すると解雇する」と通告した。また,P6は,同月1日,原告が残業しているのを見付けると,「残業を見た」とメールで送信してきており,P6やP7に残業承認を求めても,「事前承認でないと承認できない」として承認を拒否する嫌がらせを受けた。 エ原告を配置する部署の不存在(ア) 被告は,TS部門のサポートの適正人員は2名であり,原告を配置する部署は不存在であると主張するが,原告の自宅待機期間中に派遣社員を採用したため秘書業務を行う社員が2名になっているにすぎない。 (イ) 原告は,他の部署への配属を断ったことはなく,原告を配属する部署が存在しないということはあり得ない。 オ原告の業務の執行状況について(ア) 被告は,乙6の1から乙6の28までに記載された業務の数が少なく,原告の業務量 ったことはなく,原告を配属する部署が存在しないということはあり得ない。 オ原告の業務の執行状況について(ア) 被告は,乙6の1から乙6の28までに記載された業務の数が少なく,原告の業務量が少ないと主張しているが,原告は,そこに記載されていない秘書業務,例えば,電話対応,データベースの更新,ファイリング,郵便物管理,その他,いわば毎日のルーティーンの作業も行っている。 (イ) スピーディな事務処理とチームによる共同作業は,原告の入社当初から求められており,経済のグローバル化の進展に伴い初めて求められたようなものではない。 (ウ) 被告は,平成20年7月14日以降,原告に6種の業務を分担してもらう予定でいたが,原告が2種の業務を中途で行わなくなったため残りの業務を指示するに至らなかったと主張するが,事実に反する。①顧客宛金利情報の提供については,P6に指示される前からP16の指示を受け行っていた。一度P6からそうした業務をする必要はないという指示があったものと理解して行わなくなったが,同年11月20日のP6との面談で指示されたため,再び実施するようになった。②営業担当者への情報提供についても,原告はP6から指示される前から行っていたが,同月17日,P6から「このような業務を他の 営業部員(P16)が何と言おうと役に立たない,意味がないからやる必要はない」と言われたためこれを取りやめており,その後の面談でP6から指示されてこれを再開している。④顧客往訪記録,新規案件のシステムへの入力作業については,具体的な指示を受けて行っていたが,実際に面談した者しか入力する内容が分からないため,具体的な指示を待つのは当然である。⑥顧客情報のアップデートについて,原告は,顧客の担当者の名前や事務所所在地について営業担当者が て行っていたが,実際に面談した者しか入力する内容が分からないため,具体的な指示を待つのは当然である。⑥顧客情報のアップデートについて,原告は,顧客の担当者の名前や事務所所在地について営業担当者が取得した名刺等の情報により変更があった場合には指示を受けることなくアップデート作業を行っていた。③顧客収益動向分析及び⑤案件データの期限切れ管理については,直接の営業担当者ではない原告は,顧客収益動向分析や毎月の顧客の収益動向レポートにアクセスする権限を与えられておらず,それらの業務をする権限がなかった。これらが原告の役割と指示されたこともない。 (エ) 被告は,平成20年7月14日以降,原告に対し,P7がカスタマーサポートの電話取次ぎの分担を具体的に指示したと主張する。しかし,P7が原告に対し求めたのは,「担当者が戻り次第連絡させます」と答えるような単純なものではなく,不在の担当者に代わって顧客からの問い合わせに答えることを求めていたものであり,決して単純業務ではない。 カ原告の具体的業務の問題点について(ア) 平成21年3月にTS部門で開催する懇親会の日付の確定ができなかったのは,原告が各マネージャーへの確認を怠ったためではなく,各マネージャーの都合が合わず日程調整できなかったためである。日程調整に1か月を要したのは,日程決定を保留せよとのP5の指示をP6を通じて受け,これに従った ことによるものである。 (イ) カンファレンス開催時の顧客との面談メモの社内システムへの入力ができなかったのは,原告が入力作業を怠ったためではなく,顧客管理のシステムへの入力が平成21年4月1日になって初めて完了できる仕組みになっていたためである。通常は随時入力できるが,顧客を集めて開催されるカンファレンス時における面談内容を入 ではなく,顧客管理のシステムへの入力が平成21年4月1日になって初めて完了できる仕組みになっていたためである。通常は随時入力できるが,顧客を集めて開催されるカンファレンス時における面談内容を入力する場合は,同システムの別の管理者がイベント(本件ではカンファレンス)の「フラグ」を立てるというシステムの修正を行ってからでないとイベントの際に行われた顧客との面談内容の入力が完了されない仕組みになっていた。 (ウ) 平成21年3月頃,P14からカスタマーサービスチームの全社員とのインタビューの設定を依頼されて原告がこれを拒否したことはない。同年9月30日,P14から原告に対し,カスタマーサービスチーム全員とP7との面談を調整するようメールで指示された際に,原告はP5から同月11日にP7をサポートする秘書をP13に変更するとのメールを受信しており,その旨を返信したにすぎない。 (エ) 平成21年4月頃,P14がしたカスタマーサポートの電話の取次ぎの依頼を,原告が拒否したことはない。むしろ,P6は,原告がカスタマーサポートの電話を取りすぎることを問題視し,仕事に優先順位を付けカスタマーサポートの電話対応の優先順位を下げるよう指示していた。 (オ) 平成21年5月末頃,P15から表の確認を依頼されたのに対し,原告が「そんなのは自分の仕事ではない」などと大声で怒鳴って拒否した事実はない。原告はP15の依頼を受けて 表の作成をしている間に,P17が表に掲載するべき数字に修正を加えたため,これを見たP15が自分の指示どおりに表を作成したのか問いただしたことから,P17の指示があり修正した旨を答えたにすぎない。 (カ) P14がした派遣社員が就業する際の手続の依頼を,原告が拒否したという事実はない。 (2) 不法行為(争 したのか問いただしたことから,P17の指示があり修正した旨を答えたにすぎない。 (カ) P14がした派遣社員が就業する際の手続の依頼を,原告が拒否したという事実はない。 (2) 不法行為(争点(2))(原告)ア被告は63回も面談を実施して原告に退職を強要していたのであり,こうした行為は不法行為となる。 イ被告は職場環境を整える義務を怠った。連日に及ぶ合計63回の面談が行われ,アシスタント業務は全く評価しないなどの抽象的な指示を繰り返し受けた。原告がP11に改善を求めても改善されず,ハラスメントを訴えても,調査を怠り,原告の申告を放置した。かかる不作為は不法行為となる。 ウ平成21年9月11日に原告の席替えが行われているが,原告一人が隔離された状態となり,周囲の目から見てもハラスメントを受けていることが明らかな状態となるなど,不当な配置換えを行った。 エ原告はうつ状態となり,精神科への通院を余儀なくされた。慰謝料としては,200万円が相当である。 (被告)ア原告の主張は否認する。パワハラ,退職強要と主張する事実は,原告に対する業務上の指導の範囲内で行われたものである。 イ平成21年9月11日頃に原告の座席を変更したことは認めるが,これは被告が同月頃,TS部門全体の業務推進の円滑化等の ために,その責任者の業務負荷が高かったテクノロジーアンドオペレーションズグループのアシスタント業務も原告に担当させることとし,そのためにこのグループの社員の近くに原告の席を変更しただけである。 ウ P5が原告に対し面談を録音したら解雇すると発言したことはない。P5は,録音することは会社のルールに反するものであり解雇も含めた懲戒の対象となるという趣旨を述べただけである。 エ P6が,平成21年10月1日, し面談を録音したら解雇すると発言したことはない。P5は,録音することは会社のルールに反するものであり解雇も含めた懲戒の対象となるという趣旨を述べただけである。 エ P6が,平成21年10月1日,原告に対し「残業を見た」とメールを送ったのは,P5が平成20年11月26日に原告を含むアシスタント全員に対して残業をする際には事前に上長の承認を得るように指示していたものの,原告がそれを遵守しないことから,見かねて送ったものである。 (3) 解雇の承認(争点(3))(被告)被告が平成22年11月30日に本件解雇をしたところ,原告はそれから約1週間後の同年12月7日に来社して異議を述べることなく私物を引き取って退社した。その後年末まで,原告及び本件組合から何らの要求もなかった。その後,平成23年1月4日,本件組合から平成22年12月28日付けの「抗議ならびに要求書」と題する書面が被告に送付されたことはあったものの団体交渉の申入れはなく,本件解雇から半年以上も経過した平成23年8月1日にようやく団体交渉の申入れがされたので,被告は,解決に向けた現実的な提案なり,新たな申入れがあれば,団体交渉には応じる旨を回答した。しかし,その後組合及び原告から被告に対し団体交渉の申入れや要求等は一切なく,本件解雇から2年半も経過した平成25年4月末頃になって労働審判申立てがさ れたものである。原告の雇用保険,社会保険,健康保険等に関する手続も全て完了し,現在に至っている。以上の事実関係からすれば,原告は既に解雇を承認していたというべきである。 (原告)原告は退職はもとより解雇の承認などしていない。原告は本件解雇直前の平成22年11月26日,P9に対し,職場復帰を望んでいるとの明確な意思表示をしており,本件解雇後,被告に対し,解雇 (原告)原告は退職はもとより解雇の承認などしていない。原告は本件解雇直前の平成22年11月26日,P9に対し,職場復帰を望んでいるとの明確な意思表示をしており,本件解雇後,被告に対し,解雇の撤回及び現職復帰を求める平成23年1月31日付けの通知書を送付している。私物の引き取りについては,紛失のトラブルを避けるためにやむなく一旦引き取ったにすぎない。原告は,被告からIDカードの返還を求められたが拒否しており,現在もこれを所持している。原告は,確定拠出型年金の資産管理会社であるP18保険相互会社から,平成23年1月7日付けで「確定拠出年金の加入資格喪失のお知らせ」という文書が送付されてきたため,同月31日付けで,被告に対し,雇用継続しているため,直ちに年金の資格喪失の取消しを求める旨の文書を送付している。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実(第2の1)に加え,各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 被告について(乙47,48,71)ア被告は,P35に本拠地を置くP19の企業グループに属し,P1支店を設け,日本で事業を行う内外の企業等を顧客として金融事業を行っている。 イ被告の旧商号はP20・バンクであったが,2001年(平成 13年)にP21銀行と合併し,2004年(平成16年)にP22と合併するなど規模を拡大していった。 ウ被告の事業の主たるものは,インベストメント・バンク(政府系機関,機関投資家,事業法人などに戦略的アドバイス,資金調達,マーケット・メイキング,リスク管理,外国為替などの商品・サービスを提供する業務)及びトレジャリー・サービス(キャッシュマネージメント,資金調達,投資,外国為替に関するサービスを提供する業務)である。 エ被 イキング,リスク管理,外国為替などの商品・サービスを提供する業務)及びトレジャリー・サービス(キャッシュマネージメント,資金調達,投資,外国為替に関するサービスを提供する業務)である。 エ被告は,トレジャリー・サービスとして,日本における総合的なキャッシュマネージメント・サービス,具体的には,日々の送金,取立て,支払,回収などの口座の管理,預金運用,資産の流動化や投資に関するマネジメント,トレードファイナンス(貿易の事業)などのサービスやそれらに関わる様々な情報を世界各国の大企業,金融機関,政府等の公共機関に提供する業務等を行っている。 オ平成21年当時の被告P1支店のトレジャリー・サービスを扱うTS部門には,本部長のP5の下,金融法人グループ,ローカルコーポレート,MNC&NBFIグループ,クライアントサービスアンドデリバリーグループ,プロダクトマネージメントグループ,テクノロジーアンドオペレーションズグループの5つのグループが存在した。 カローカルコーポレート,MNC&NBFIグループは,P6がリーダーであり,主として日系企業,外資系企業(MNC:MultiNationalCorporate),証券会社・生命保険会社(NBFI:NonBankFinancialInstitution)を対象に新規顧客を獲得する(被告に口座を開設し,取引を開始する)ための業務を行うグループ であり,顧客獲得のために世界的なネットワークを駆使した情報提供,提案,その他の様々な営業活動を行っていた。 キクライアントサービスアンドデリバリーグループは,P7がリーダーであり,既に被告に口座を開設している既存顧客を対象に,取引の維持・増加を目的として日常的に顧客の相談に応じ,様々なサポートを行っていた。グループ内には,イ ンドデリバリーグループは,P7がリーダーであり,既に被告に口座を開設している既存顧客を対象に,取引の維持・増加を目的として日常的に顧客の相談に応じ,様々なサポートを行っていた。グループ内には,インターネットバンキングのサポートを担当するクライアントアクセスチーム,日々の取引に関する顧客からの照会業務を担当するカスタマーサービスチーム(顧客からの電話での問い合わせ等に対応する),口座の開設を担当するインプリメンテーションチーム,顧客の相談等に乗り,それを解決するために様々な提案等を行うアカウントマネージャーチームの4チームが組織されていた。 クテクノロジーアンドオペレーションズグループは,P8がリーダーであり,送金のデータ処理のための事務処理業務などシステム・オペレーション業務を担当していた。 ケ平成21年5月1日当時,TS部門内にはP5の下,55名のスタッフが配置されていたが,これらのスタッフのサポートをするアシスタントとして,主としてP5のサポートを行う「エグゼクティブサポート」としてP12が,それ以外のスタッフをサポートする「TSサポート」(アシスタント)として原告及びP13が配置されていた。TSサポートの正式な上長はP5であったが,P5はTS全体を統括する立場にあったため,日常的に業務を監督する機会の多いP6とP7が事実上原告の上長の立場にあった。 コ従来,トレジャリー・サービスにおける顧客に訴求する要素としては,送金手数料の割引率,米ドル預金の運用金利の設定とい った取引条件が重視されていたが,日本企業が積極的に世界各地に進出するようになり,トレジャリー・サービスにおけるビジネスの内容及び営業方法が多様化・複雑化するにつれ,全世界にネットワークを有する被告が扱うその業務量は拡大しており,売上規模, 的に世界各地に進出するようになり,トレジャリー・サービスにおけるビジネスの内容及び営業方法が多様化・複雑化するにつれ,全世界にネットワークを有する被告が扱うその業務量は拡大しており,売上規模,収益規模も年々増加し,平成16年から平成20年にかけていずれも約50%増となり,引き続きその規模の拡大が見込まれていた。顧客も,安い手数料,高い金利を求めるだけではなく,進出しようとする各国の外国法,会社法についての知識,海外に進出した企業の先行事例の紹介,顧客の社員に対する専門的分野についての教育等,付加価値のあるサービスの提供を求めるようになっていた。こうした状況を受けてTS部門の営業手法も変わり,営業用の資料は顧客向けにカスタマイズされたものとなり,その内容も各国の法規制を踏まえた専門的で大部なものとなっていた。(乙50,51)サ被告は,TS部門を強化充実させるため,シンガポールとロンドンで長年オペレーションや営業の分野を担当していたP5を平成18年3月にTS部門の最高責任者として配置した。P5は,着任後,顧客に対するサービスを増強するため,スタッフを人数的に増強し(平成17年当時41名であったスタッフは,平成22年に56名となった。),コンサルティング等に役立つ専門知識を有する人材を金融機関から幅広く採用した。 シ被告の人事評価制度は,毎年1月から3月頃,社員が上長と面談してその年の目標について合意し,合意内容をPerformancemanagementcentral(以下「PMC」という。)と称するシステム上に入力し,毎年6月又は7月頃,上長と中間面談を行い,社員が自己評価を行い,上長が「マネージャーコメント」欄にコ メントを入力して,中間評価(E,M+,M,M-,Nの5段階評価。Eは目標を大きく上回 毎年6月又は7月頃,上長と中間面談を行い,社員が自己評価を行い,上長が「マネージャーコメント」欄にコ メントを入力して,中間評価(E,M+,M,M-,Nの5段階評価。Eは目標を大きく上回ったもの,M+は目標を上回ったもの,Mは目標を達成したもの,M-は目標を下回ったもの,Nは改善が必要というもの)を行い,毎年10月から12月にかけて上長が評価(中間評価時と変更がないか評価し直し,評価を確定する。)を行うというものである。社員は,上長の最終的な評価の決定に先立って,自らの評価の参考資料として同僚に意見(フィードバック)を求めることができ,同僚がそれに応じてその意見をPMCに入力した場合(同僚は対象となる社員のその年の目標等の内容は知らされていない。),上長はその結果も参考にして社員の評価を決定する(対象となる社員は同僚のフィードバックの内容を見ることはできない。)。上長は,必要に応じ,対象となる社員が人選した同僚以外の社員からも意見を得ることができ,意見の内容に不明な点等があれば改めて照会することもできる。上長は,これらを踏まえて上長のコメントをPMCの「マネージャーコメント」欄に記録してその全部を評価対象の社員に開示し,当該社員はその内容を見てPMCに電磁的な方法によるサインを行い,上長も同様にサインを行い,当該社員に自己評価させた上で上長としての評価を決定する。 (2) P5が赴任するまでの原告の業務の状況についてア原告は,平成12年6月26日,被告(当時P20・バンク)に雇用され,TS部門に配属された。 イ本件雇用契約に係る契約書上,原告の担当は,①TSオフィサーの秘書業務(会議資料準備,社内外会議のアレンジ,英文及び和文の文書作成,海外オフィスからのビジターの世話,電話応対,データベースの更新,ファイ 用契約に係る契約書上,原告の担当は,①TSオフィサーの秘書業務(会議資料準備,社内外会議のアレンジ,英文及び和文の文書作成,海外オフィスからのビジターの世話,電話応対,データベースの更新,ファイリング,郵便物管理,その他),② TSチームの秘書業務(経費レポート作成,出張手配,チームの出勤・勤怠管理,その他),③ワード,エクセル,パワーポイントによる資料作成,④スタッフの指示によるインターネットを使用したトピックの検索とされていた(甲1)。 ウ原告が実際に行っていた業務は,サポート業務(社員のスケジュール管理,出張の手配,電話応対,ミーティング資料の準備,名刺等の手配,ミーティングの参加者の日程調整,会議室の予約,経費精算,一部の翻訳,採用事務の一部(面接予定者に対する連絡),各種行事の補助等を行っていた(甲49,乙71)。 エ平成15年2月,原告の直属の上長はP4となったが,P4による平成15年から平成17年までの原告の評価は,いずれも「Wellperformed」(「優秀な業績」)というものであった(甲14の1及び2,甲49,原告本人)。 (3) P5が赴任してから平成20年の中間面談までの状況ア平成18年3月,P5がP1支店に赴任し,原告の直属の上長となった。P5は,原告に対し,事務の迅速化を図り,TS部門内でより広いサポート(部門全体への貢献)をできるようにすること,積極的・自発的に全てのスタッフをサポートすること等を求めた。(乙71)イ平成18年の原告の評価書における記載(乙2)(ア) 年度末成績サマリー好評価 ①強力なオフィス管理スキル,②銀行手続及び社内ネットワークに対する良好な知識,③所定の期限内の目標達成に対し熱心(イ) 年度末成績サマリー悪評価 ①積極的なアイデアの提供 サマリー好評価 ①強力なオフィス管理スキル,②銀行手続及び社内ネットワークに対する良好な知識,③所定の期限内の目標達成に対し熱心(イ) 年度末成績サマリー悪評価 ①積極的なアイデアの提供及び改善が必要な領域,②変化に対応できる柔軟性及びサポート担当の各ファンクショングループ間のコーディネーション, ③優先順位管理。ただし,これには継続的な改善が見られる。 (ウ) 全体成績満たしている。(M)(エ) 上司コメント原告は,今年は多くの鍵となるプロジェクトを立派にこなしてきた。1年を通じて事業構造は変化を迫られてきたが,原告の貢献はおおむね一貫してみられた。しかし,TS部門内でより広い範囲を対象とする仕事に移ったが,その結果は良いことと悪いことが入り交じったものであった。原告は営業プロセスへの貢献への関与をより深めることに興味を示していた。かつ,原告が年の初めにサポートしていた数多くの事業管理業務で移行したものを考えればその機会はある。私はこれをサポートするものであり,かつ,原告には潜在能力があるばかりではなく,大きな価値をもたらすこともできると信じており,原告の積極的な関与に期待している。原告は引き続きTSチームにとって重要な貢献者であり,我々の2007年(平成19年)目標達成に向けて原告と一緒に仕事をしたいと思います。 ウ原告及びP5は,平成19年1月11日,面談し,同年の目標を次のとおり確定させた(乙3)。 (ア) ①TS部門向けに事務補助業務を提供し,かつ,同部門の事業要求をサポートすること。事業のうちコーポレート側に焦点を当てること。ただし,必要に応じて変化する要求項目や要件をこなせる柔軟性を示すこと。自分の守備範囲に閉じこもるのではなく,事業部内の他の事務アシスタントに対して,円滑なバック ーポレート側に焦点を当てること。ただし,必要に応じて変化する要求項目や要件をこなせる柔軟性を示すこと。自分の守備範囲に閉じこもるのではなく,事業部内の他の事務アシスタントに対して,円滑なバックアップを提供すること。 (イ) ②事務作業を処理すること。経費の管理及び処理,日本を訪問する訪問客の補佐。事業に対する商品知識を築く一方,積極 的なサポートを提供すること。 (ウ) ③優先課題として対クライアントサポートに焦点を当てること。 (エ) ④英語の話し言葉・書き言葉の両方でのコミュニケーションスキルの強化。 (オ) ⑤サービス水準の改善を図るべく,TS部門内のコミュニケーション及び他部署とのコミュニケーションを行うこと。 (カ) ⑥効果的に優先順位を付け,締め切りを確実に守ること。トレーニングをスケジュールどおり終えること。 (キ) ⑦現地の統括及び遵守・規制案件を考慮した上で,堅固なリスク管理インフラストラクチャーの遵守と維持を確実に行うこと。現地で会社としての価値を表現したリーダーシップのある行動を示し,チームワークと指導の便宜を図ること。 エ平成19年の原告の評価書における記載(乙3)(ア) 期中の全体的な評点満たしている。(M)(イ) 期中マネージャーコメント原告は引き続き,問題の迅速な解決を図るべく,TS部門内外の連絡ネットワークを活用して,自分がサポートするチームに対し一貫して強力な事務を提供している。チームメンバーは引き続き,原告には成長の余地があり,ビジネスにより深く関与できると感じている。これは,毎月の営業訪問計画の仕事などで実現し始めているが,その機会はもっと存在している。積極的に焦点を当てることで,これは平成19年(2007年)下半期における自己啓発分野となり得る。 (ウ) は,毎月の営業訪問計画の仕事などで実現し始めているが,その機会はもっと存在している。積極的に焦点を当てることで,これは平成19年(2007年)下半期における自己啓発分野となり得る。 (ウ) 年度末成績サマリー好評価 ①強力なオフィス管理スキル,②銀行手続及び社内ネットワークに対する良好な知識,③ 社外の人と接する時のプロとしてのふさわしい振る舞い(エ) 年度末成績サマリー悪評価 ①一貫したチームワークについては改善が必要。現在のところ一部の領域で仕事にむらがある。②部署内のパートナー及びサポート対象チームとのよりよい対人スキルが必要(オ) 全体成績満たしている。(M)(カ) 上司コメント原告は,引き続き,TSサポート組織が成長し,新しいメンバーも迎え入れるに当たり,これに貢献している。原告はしっかりとした準備スキルを備えており,チームの業務効率化に貢献してきた(M)。しかしながら,事業の発展とともに,変化する環境の中で柔軟性が求められている。異なる分野及びグループについての成果は依然として良いものと悪いものが入り交じっている(M-)。これは前年のレビューでも指摘されたことであるが,原告のすばらしい仕事振り(上記で指摘された部分は除くとして)に対して平成19年(2007年)も影響を及ぼしている。2008年(平成20年)はこの点について改善を追求したい。 オ原告は,平成20年5月16日,顧客向けの説明資料を翻訳したことについて,素早く高品質な仕事であったとしてP6から感謝を述べるメールの送信を受けた(甲26)。 カ原告及びP5は,平成20年,面談し,同年の目標を確定した。 目標は,上記ウの平成19年の目標①,②,③,⑤,⑥,⑦と同じである(ただし,⑦は,「現地で会社としての価値を表現したリーダー )。 カ原告及びP5は,平成20年,面談し,同年の目標を確定した。 目標は,上記ウの平成19年の目標①,②,③,⑤,⑥,⑦と同じである(ただし,⑦は,「現地で会社としての価値を表現したリーダーシップのある行動を示し,チームワークと指導の便宜を図ること」という部分が削除されている。)。(乙4)(4) 平成20年の中間面談から休暇取得までの状況 ア P5は,平成20年7月14日,原告に対し,同年の中間評価が「N」であることを伝え,主体的にチーム全体に貢献することを求めた(甲71,証人加藤)。 イ P5は,平成20年8月7日,原告が外部顧客向けの説明資料を翻訳したことについて,「準備期間が短い中,間に合ったのは原告のおかげである」という内容のメールを送信した(甲27)。 ウ P5は,中間評価面談から約3か月が経った平成20年10月15日,原告と面談し,P5が期待するアシスタントの働きができていないが,そのことが分からないのであればマネージャーと面談するよう指示した(甲71,証人P6)。 エ原告は,平成20年10月16日から,P6及びP7と面談するようになった。原告とP5,P6及びP7らとの面談その他のやり取りの日時,場所,出席者等は,別紙面談等一覧表のとおりである。(別紙面談等一覧表の「証拠等」欄に記載の証拠,弁論の全趣旨)。 オ P6は,平成20年11月6日,原告に対し,以下のことを伝えた。 (ア) 業績評価面談に望む前のコメントとして,電話応対業務や出張手配業務などが大事でないとは言わないが,TSチーム全体をサポートする時間を増やしてほしいこと。 (イ) 一例としてチーム全体の年間イベントカレンダーを作成しイベントの調整に主導権を握りスケジュールをコントロールすること。 (ウ) 他のアシスタントらとより トする時間を増やしてほしいこと。 (イ) 一例としてチーム全体の年間イベントカレンダーを作成しイベントの調整に主導権を握りスケジュールをコントロールすること。 (ウ) 他のアシスタントらとより緊密に仕事をするのが重要であること。 (エ) 原告が担当しなければならないマネージャーらの人数がま すます多くなった事情を考えると,作業内容に優先順位を付けることが非常に重要であること。 (オ) 原告はおのおののマネージャーから依頼された作業内容をほぼ同様の優先順位で平等に取り扱い,かつ,自分自身で納得できるような高品質を求めているが,時には仕事を素早く行い,TS部門の全体的な仕事を遂行するのにもっと時間を使うことが重要であること。 (カ) 金融市場の基本を身につけるのが重要であり銀行業界に関する市販の本を読み始めるのが良いスタートになること。 カ原告は,平成20年11月7日,P6に対し,ミーティングを行った結果,TS部門全体を見据えた幅広い役割を求められていることは分かったが,チーム全体を見据えた作業を原告が率先してやることがTS部門のマネージャー全員の本意なのかは分かりかねるところもあり,優先順位の付け方について今度のミーティングでアドバイスをもらいたいこと,金融知識をつけるよう言われたのはもっともなので本を購入して勉強中であることなどを,上記オのメールの返信で伝えた(甲4⑤)。 キ原告は,平成20年11月12日時の面談から,そのときのやりとりを隠れて録音するようになった。 ク原告とP6の平成20年11月12日の面談において,P6は,原告が従来からのアシスタントとしての役割は果たしているが,P5の期待は非常に高く,そこまでは満たしていないこと,Nという評価は来年被告にいられないかもしれないという意味であること いて,P6は,原告が従来からのアシスタントとしての役割は果たしているが,P5の期待は非常に高く,そこまでは満たしていないこと,Nという評価は来年被告にいられないかもしれないという意味であることを伝えた(乙7)。 ケ原告とP7との平成20年11月13日の面談において,P7は,原告がクライアントサービスアンドデリバリーグループの電 話をとり,究極の目標としては担当者の代わりに回答ができるくらいのところまでできると助かると話した(乙8)。 コ原告は,平成20年11月14日,P16に対し,原告が行っているニュース配信が役に立っているかを尋ねたところ,P16はとても役に立っていると答えた(甲35)。 サ原告とP5との平成20年11月17日の面談において,原告は,自分に求められている内容にはP6とP7とでギャップがある旨を伝えたところ,P5は,原告に求められている役割は変化しており,人事のP11と話をすべきことを伝えた(乙9)。 シ原告とP6との平成20年11月17日の面談において,P6は,原告がチーム全体の利益を考えてマネージャーからの指示を受けずに先を見越して業務をしてほしいこと,単にニュースを伝えるだけでは価値がないこと,指示を待たずに積極的に仕事することを期待しており,その結果についてP5を含む誰かがおかしいというのであれば,P6が原告に代わって謝ってもよいと考えていることを伝えた(乙10)。 ス原告とP6及びP7との平成20年11月20日の面談において,P6が,原告がそれまで行っていた顧客宛ての金利情報の提供をやめた理由を聞くと,原告は,「休み中にP13に引き継いでいたところ,P13がP6からやらなくてよいと言われたことを聞いたためである」旨答えた。P6は,「それはP13にさせるほどの仕事ではないと思っ めた理由を聞くと,原告は,「休み中にP13に引き継いでいたところ,P13がP6からやらなくてよいと言われたことを聞いたためである」旨答えた。P6は,「それはP13にさせるほどの仕事ではないと思ってそう言ったのであって,原告もしなくてよいと思って言ったわけではないから,今後は金利情報の提供をしてほしい」と伝えた。(乙12)セ原告は,平成20年11月25日,P6及びP7に対し,原告に期待されているという「TS部門の全体的な役割」について, 原告が現在行っている業務でこれに当たるものをリスト化し,これを参照にして役割が変化したという職務内容(ジョブ・ディスクリプション)を明確に示すよう求めた(甲4⑥)。 ソ P6は,平成20年11月26日,原告の中間業績評価がN評価であり,原告はその評価に同意していたにもかかわらず,「M評価ではないのか」「評価の理由が分からない」などと疑問を示しており,「マネージャーらは原告の仕事に満足しており,原告はその期待に応えている」と述べるなど,原告がP6及びP7から直接受けた説明と食い違った言動を繰り返していることからすると,業績評価について理解してもらうために人事部との緊急の面談を提案することになった旨を原告に伝えた(甲4⑦)。 タ P5は,平成20年11月26日,原告,P13及びP12に対し,同日以降残業をする場合には必ず事前にP5又は上長のいずれかから承認を取得するよう指示した(甲7)。 チ原告は,平成20年12月1日,P6及びP7に対し,ジョブ・ディスクリプションの明示を再三求めているが,提示のないまま話がそらされ続けているとして,具体的で実行可能なバランスの取れたジョブ・ディスクリプションを提示するよう求めた(甲4⑦)。 ツ原告は,平成20年12月2日,米国の出入国管理に係 提示のないまま話がそらされ続けているとして,具体的で実行可能なバランスの取れたジョブ・ディスクリプションを提示するよう求めた(甲4⑦)。 ツ原告は,平成20年12月2日,米国の出入国管理に係る変更事項の情報をTS部門全体にメールで送信した。このメール送信について,P5は,同月3日,「事前に自分に確認するよう求めたのになぜ従わないのか」などと原告にメールで注意した。これを受けて,原告は,同月4日,P6に対し,同年11月17日の面談における指示に従って情報を送信したらP5から注意を受けたので,今後の誤解を防ぐためにも明確なジョブ・ディスクリプ ションを定める必要がある旨を伝えた。(甲4⑧)テ P5は,平成20年12月3日,原告に対し,人事部のP11とのフォローアップのための業績評価面談の予定がまだ決まっていないようであるが,1週間前にした面談時に即時に予定を入れる旨の業務命令を発した趣旨であることを伝えた。原告は,同月4日,上記チのメールの内容がP5に伝わっていないのかをP6にただしたところ,P6は,メールの内容は伝わっているので,至急P5の指示に応じるよう求めた。(甲4⑦)ト原告とP5の平成20年12月4日の面談において,P5は,TS部門全体へのメール送信はP5の確認を得て行うべきこと,早急に人事とのミーティングを設定すべきことを指示した。原告は,P5との面談後,体調が悪くなったとして,同日午後から,休暇(有給休暇及び短期傷病休暇)を取った。(乙14)(5) 休暇から出勤停止までア原告は,休暇中である平成20年12月17日,人事部のP11と,休暇のこと及びPMCに関しミーティングをすることについて話をした。その際,P11は,「毎年同じことをしていたら年が経つと評価が下がっていくと思う」と話した。(乙 年12月17日,人事部のP11と,休暇のこと及びPMCに関しミーティングをすることについて話をした。その際,P11は,「毎年同じことをしていたら年が経つと評価が下がっていくと思う」と話した。(乙15)イ原告は,平成21年1月6日,職場に復帰して,P11と面談し,「これまでP5,P6及びP7と面談し,いろいろと言われたが,何を期待されているか分からず,ジョブ・ディスクリプションを示してもらいたい」と述べたところ,P11は,「原告に期待されているのは部門のハイレベルなサポートであり,ジョブ・ディスクリプションとして具体的に指示されるような役割を求められているわけではないのではないか」と答えた。原告は,「N評価を受けたことが非常に心配であり,M評価に変えるのは どうしたらよいか」と尋ねると,P11は,「求められたことに合致する成果を上げるよう努力すべきだが,好き嫌いもあり,アシスタントの中には自分から考えて行動するのが嫌いであるとして違うところに仕事を探す事例もあるので,自分でやりたいことを考えた方がよい気がする」と答えた。(乙16)ウ平成20年の原告の成績評価に当たって行われた他の従業員からのフィードバックでは,原告について次のようなコメントがされている(乙45,73。括弧内の名前はコメント者)。 (ア) 全体的な長所レター,エクセル及びパワーポイントのプレゼンテーションの締め切りは守る(P16),チームメンバーの手伝いは進んでする(P16),アシスタントとの仕事の相性は良い(P16),割り当てられた職務に対し責任を負う(P14),仕事は大変正確で早い(P23),大変忙しい時でも頼まれるといらいらした様子も見せず,進んで仕事を引き受けてくれる(P24),仕事を完璧に仕上げようとする(P25)(イ) 全体 負う(P14),仕事は大変正確で早い(P23),大変忙しい時でも頼まれるといらいらした様子も見せず,進んで仕事を引き受けてくれる(P24),仕事を完璧に仕上げようとする(P25)(イ) 全体的な機会(英語の原文は「OverallOpportunities」。 以下同じ)望まれれば営業事務の職を求めること(P16),マネジメントとの自己啓発計画の策定(P16),製品とサービスの勉強をしっかりすれば,もっと銀行業務の仕事をこなせる潜在力を備えている(P17),変化や新たな職務には消極的(P14),チームの利益に対して注意を払わない(P14),自己啓発と変化する需要の方向性を把握するために,自分がサポートする対象者ともっと頻繁にコミュニケーションをとる必要がある(P26),営業関連のサポートやクライアント志向の補 佐業務で期待した動きは実現しなかった(P6),難しい仕事や急ぎの仕事があるとすぐイライラする(P6),チームや上司からもっと多くのことを求められていることに対する理解を欠いており,相変わらず自分が簡単にこなせる事務的な仕事にしがみついている(P6),時として精度や詳細にこだわりすぎて,結果的に仕事を終える時間が延びる(P23),もう少し柔軟性を持てばもっと良い(P24),チームの優先順位の間で正確なバランスを取り,併せて簡潔で明確なコミュニケーションスキルを向上させる(P27),効率を高めるために省略できる業務を選別する(P25)エ平成21年2月23日にP5が署名した平成20年の原告の評価書において,P5は,全体的な評価はNであり,個別の6つの目標はいずれも評点なしとした。長所としては,①コアとなる強力な事務スキル,②被告のネットワーク及びシステムや技術についての良好な理解を指摘し,改善点として,① 全体的な評価はNであり,個別の6つの目標はいずれも評点なしとした。長所としては,①コアとなる強力な事務スキル,②被告のネットワーク及びシステムや技術についての良好な理解を指摘し,改善点として,①各ビジネスマネージャーの要求と所属部署の必要性の範囲内で,素早くかつ効果的に新しい活動のバランスを取る能力,事業部はビジネスの要求により応えることを求めている,②事務プール内並びにいくつかの特定のグループ内でのチームワークについて改善を要する,後者についてはムラがあり,グループごとに様子が異なるが,フィードバックに関する限り一貫していると記載した。原告はこの評価書に署名しなかった。(乙4,19,72)オ原告,P6及びP7は,平成21年3月2日,P5からの指示により,毎朝その日に原告が行っている業務をメールでP6及びP7に報告し,その日の夕方午後4時半頃にP6又はP7に成果を報告するという内容のタスクミーティングを定期的に行うこと を決めた(乙18)。 カ上記タスクミーティングは平成21年3月に16回,同年4月に13回,夕方午後4時半頃からTS部門内の他の従業員からも見えるテーブルにおいて行われた。同月22日に原告から送信されたメールでは,そのとき担当している3つの業務を示しており,当日は比較的余裕がありそうなので何か他にサポートできることや急ぎの要件などあれば知らせてほしいという内容を含んでいた。 (乙6の1から乙6の28まで)キ原告は,平成21年3月13日のP11との面談において,P5,P6及びP7からハラスメントを受けていると申告した。これを受けて,P11は,同月25日,ハラスメントに関する具体的な事例を報告するよう求めたところ,原告は,同月27日,P11に対し,抽象的な理由でN評価とされたことに不満を述べる いると申告した。これを受けて,P11は,同月25日,ハラスメントに関する具体的な事例を報告するよう求めたところ,原告は,同月27日,P11に対し,抽象的な理由でN評価とされたことに不満を述べるメールを送信した。P11は,同日,経験年数が増えるごとに評価が厳しくなり,同じレベルのことだけを続けるだけでは評価が下がっていくのは必然であること,原告がメールに添付した資料にハラスメントを確認できる材料がないことなどを伝えた。原告は,同年4月2日,平成20年11月26日のミーティングにおいてP5,P6及びP7により密室に閉じ込められて心理的圧迫を受け,人事に行くよう要求されたという事例を伝えた。(甲4,乙20)ク原告は,平成21年4月22日,タスクミーティング後,P6及びP7に対し,今後の指示ややりとりは書面でするよう求めた(甲19)。 ケ原告は,平成21年4月22日,P28クリニックにおいて,うつ状態により今後外来治療を行う旨の診断を受けた(甲20)。 コ P11は,平成21年4月24日,原告に対し,N評価としたことについては同僚に対して改めて調査する必要はなかったこと,ハラスメントについてはP5,P6及びP7に事情聴取をしたが,ハラスメントは認められなかったこと,現時点ではこれ以上の調査はできないので調査を終了することなどを伝えた。(甲5)サ原告は,平成21年4月24日,P6から,携帯端末のカバーを購入する費用を経費として承認可能か検討するよう指示を受け,関係部署に問い合わせた上で,カバーにパスワードが書いてあるなどの事実がなければマネージャーの承認を得ることで支出が認められる旨答えた。P6は,原告に対し,セキュリティの観点ではなく経費支出の基準からみて特別の理由の説明が必要かを再度検討するよう求めた。原 どの事実がなければマネージャーの承認を得ることで支出が認められる旨答えた。P6は,原告に対し,セキュリティの観点ではなく経費支出の基準からみて特別の理由の説明が必要かを再度検討するよう求めた。原告は,P6に対し,紛失したので新しく発注したいという理由だけで足りると思われるが,経理に問い合わせ中であると答えた。(甲44)シ P6は,平成21年4月30日,タスクミーティングにおいて,原告が作成したリストからは,改善点として考慮できる具体的作業は何一つ見いだせなかったこと,同年5月からは客観的な方法で改善を監視するため,数値目標を導入したいことを伝えた(甲19)。 ス原告は,平成21年5月1日,P6に対し,自分ができていないのは何であるのか,一つも改善したところが見当たらないという理由が分からず,やみくもなだめ出しは個人の尊厳を傷付ける中傷であり,嫌がらせと受け取れるので今後一切やめるよう求めた(甲19)。 セ原告は,平成21年5月1日,本件組合に加入した。 ソ P6は,平成21年5月26日,原告に対し,3月分の業績評 価の結論を出すため,ミーティングの再開を求めた。原告は,同月27日,P6に対し,本件組合に加入したこと,執拗なミーティングの開催は本件組合においてハラスメント案件と認識されていること,開催が必要であれば本件組合を通すよう求めることを伝えた。P6が,業績評価を拒否する理由の説明を求めたことから,原告は,本件組合に相談し,本件組合は,被告人事部に対し,ミーティングを凍結するよう要請した。(甲6)タ P15は,平成21年6月1日,P5に対し,原告に単純な表の確認作業を頼んだところ,原告はP15が確認すべきで自分の仕事ではないと口答えをしたため,部屋の全員がそのやり取りを聞いて困惑した状態になったと報 ,平成21年6月1日,P5に対し,原告に単純な表の確認作業を頼んだところ,原告はP15が確認すべきで自分の仕事ではないと口答えをしたため,部屋の全員がそのやり取りを聞いて困惑した状態になったと報告した(乙40)。 チ平成21年6月11日,原告に対するハラスメントに関して,本件組合と被告との間で交渉が行われた(乙27)。 ツ P6は,平成21年6月12日,原告が6時以降にオフィスを出たことについて,事前に残業承認を得ていたのかを問いただした。原告が,時間外労働の申請をしていないと答えたところ,P6は,申請の有無は関係なく,上記(4)タのP5から指示等により,原告が残業する場合には事前承認が絶対必要なものとされていることを伝えた。(甲7)テ平成21年の原告の中間評価に当たって行われた他の従業員からのフィードバックによると,原告について次のようなコメントがされている(乙46,74。括弧内の名前はコメント者)。 (ア) 全体的な長所営業チームからの依頼に良く応え,手紙やパワーポイントの締め切りは守る(P16),議事録などの文章がよく整理されている(P29),他の人に親切で積極的にサポートする(P 29),簡単で基本的かつ日常的な作業はスムーズに行える(P15),一旦自分が納得すれば協力的で,責任を持って仕事をする(P14),一つのことに絞り,完璧を目指そうとする(P26),アシスタントとしてのパフォーマンスはとても良い(P30),近付きやすい人柄(P27),いつも心が安定している(P31),時間どおりスケジュール管理する(P32)(イ) 全体的な機会仕事の改善を模索し,変化する状況やマネージャーとの仕事関係に対応して調整する,もっともこれは原告とマネージャーの間の双方向の問題というのが公平である(P16), P32)(イ) 全体的な機会仕事の改善を模索し,変化する状況やマネージャーとの仕事関係に対応して調整する,もっともこれは原告とマネージャーの間の双方向の問題というのが公平である(P16),TSビジネスの知識を増やす必要がある(時々議事録の表現や言葉が適切でないことがある)(P29),時々感情が高ぶり,コントロールできない(P15),新しい仕事や馴染みがない仕事のパフォーマンスを向上させる必要がある(P15),協調性を身に付ける(P17),消極的で時々新しい仕事を頼まれても断る(P14),電話の扱い方はプロのレベルとして許容できる最低レベルにも達していない(単にメッセージを残すだけではなくそのフォローアップも期待されるが,積極的なフォローアップを見たことがない)(P8),サポートするユーザーの本当の必要性を理解できるよう視野を広げる(P26),定められた時間内に最少の指示で仕事をこなす(P26),自分のやり方や考え方にこだわりすぎて,更なる啓発・育成のチャンスを逃している(P33),組織内における原告の立場は完璧にはっきりしているとはいえず,仕事の内容と要件がもっとはっきりしていれば組織に大きく貢献できる(P34),仕事の優先順位を設定する(P27),反対の時などにもっと自分 の意見を表現する(P31),もっと商品知識を積む(P32)ト P14は,平成21年7月17日,P7に対し,原告に関する以下のコメントをメールで送信した(乙41)。 (ア) 同年3月に原告にカスタマーサービスのスタッフ全員との打ち合わせを翌日に手配するよう依頼すると,「今日やってほしいんですか,営業に頼まれたことが他にも一杯あるんですけど」と言い,「できるならば」と頼むとようやく対応してくれた。 (イ) 同年4月に原告に電話対応を頼む 配するよう依頼すると,「今日やってほしいんですか,営業に頼まれたことが他にも一杯あるんですけど」と言い,「できるならば」と頼むとようやく対応してくれた。 (イ) 同年4月に原告に電話対応を頼むと,原告は「やることが一杯ある,昼食にも行っていないから,できない」と言われたので,業務の負荷を考慮して原告の席の近くの二人の電話を15分間だけ依頼したところようやく了承した。 (ウ) 昨年新しい派遣スタッフが入った際,アクセス権限を付与する作業を依頼したところ,原告は同じ作業を何度も担当したことがあるにもかかわらず,「やったことがないのでできない」と言い,P13に頼んだ。 (エ) 1年半前にオペレーションチームとサービスチームの月例打ち合わせが始まった際,P6の承認の下,原告にスケジュールの設定と議事録の作成を依頼したが,原告は「自信がないのでできない」と言い,議事録の書き方を説明しても拒否したが,最終的にP6が話をしてようやく受け入れた。 ナ P27は,平成21年7月29日,P7に対し,原告についてのフィードバックの意見として,外国から出張してきた上司の東京でのスケジュールを原告がアレンジした際,ただ単に打ち合わせを詰め込むだけで,他のアシスタントのようにメールを確認する時間,休憩時間等を考慮しなかったため,ぎりぎりのスケジュ ールになったことを指摘し,この点は原告の評価書のマネージャーコメントにもそのまま使われた(乙42)。 ニ原告及びP5は,P11が立ち合う中,平成21年7月31日,中間評価のミーティングを行った。P5は,原告が隠れて録音していることが疑われたため,そうした行動は社員の行動規範に反するので行わないよう注意した。(原告本人)。 ヌ平成21年8月10日に完成した同年の原告の評価書において,P5は, 原告が隠れて録音していることが疑われたため,そうした行動は社員の行動規範に反するので行わないよう注意した。(原告本人)。 ヌ平成21年8月10日に完成した同年の原告の評価書において,P5は,全体的な評価はNであり,個別の6つの目標のうち5つをNとし,1つをMとした。P5は,原告の長所として,①基本的な事務スキルや一般的な常識,②経費報告書等,いくつかの報告書の届出事務と記載し,改善点として①複数の仕事に優先順位を設定すること,②チームプレーヤーとなること,③態度を改善すること,④チームワーク並びにTS部門内のより多くの同僚とのコミュニケーション改善に焦点を絞ること,対人スキルの改善及びより良い職場環境への貢献,⑤マネージャーからもっとガイダンスをもらうこと,⑥担当した仕事に優先順位を設定し仕事の成果の品質を管理することと記載した。(乙5)ネ P6は,中間評価終了後の平成21年8月21日,週1回のミーティングの再開を求めたが,原告はこれを無視し,P6が,同月24日にも,原告に対しミーティングの再開を求めたものの,原告はこれも無視した。しかし,本件組合から原告に対しミーティングに応じるよう指導があり,原告とP6は,同日,ミーティングを行ったが,原告がミーティングの内容は本件組合に全て報告し,ミーティングの内容も録音すると話したところ,P6が録音に同意しないと述べたため,ミーティングは打ち切りとなった。 被告は,本件組合に対し原告が秘密録音を行わないよう指導する ことを求めたが,その後も原告の秘密録音は続いた。(乙28から30まで,71)ノ原告がサポートする対象が,P7のクライアントサービスアンドデリバリーグループから,P8のテクノロジーアンドオペレーションズグループに変更されることとなり,平成21年9月11日 まで,71)ノ原告がサポートする対象が,P7のクライアントサービスアンドデリバリーグループから,P8のテクノロジーアンドオペレーションズグループに変更されることとなり,平成21年9月11日,原告の席はP8のグループに移動された(甲9,24)。 ハ P5は,平成21年9月25日,原告に対し,許可なく会話を録音していることをやめるよう再度警告した。原告は,同月29日,P5に対し,面談中に原告を散々いたぶり,強迫,脅迫を繰り返した事実を立証できるとして,二度と同じようなことが起こることがないよう求めた。P5は,同年10月1日,原告に対し,ハラスメントについては人事部が調査したが却下されており,それに不満があるならば人事部に連絡するべきであり,会話を録音しないよう指示し,録音が見つかれば解雇もあり得ると伝えた。 原告は,同月20日,P5に対し,日常業務の案件について録音はしておらず,原告が録音を行うのは,P5を含む数名のマネージャーからハラスメントを受けるケースに限られていると伝えた。 P5は,同月22日,原告に対し,本件組合から原告に対しミーティングを録音しないよう指示されているはずであり,定期的なものか,業績評価に関連するものかは関係ないこと,原告を助け,指導しようとしているのであるから,マネージャーを閉め出すのではなくコミュニケーションの場を持つよう伝えた。(甲8)ヒ P14は,平成21年9月30日,原告に対し,カスタマーサービスユニットのメンバー全員とP7とが1対1で行う面談の調整を依頼した。原告は,P7の主担当アシスタントはP13になっているとP14に伝え,P13にその業務を依頼した。P7は, 原告の発言はP7及びP5の理解と違っており原告が担当するよう求めたところ,原告は,P7に対し,手伝いはするが,原告の 3になっているとP14に伝え,P13にその業務を依頼した。P7は, 原告の発言はP7及びP5の理解と違っており原告が担当するよう求めたところ,原告は,P7に対し,手伝いはするが,原告の業務量も多いのでP13にも協力してもらいたいと述べ,P5からのメールを引用して,P7の担当はP13になっているとの原告の認識を伝えた。P5は,原告に対し,再配置に当たって混乱が生じている場合は自分に相談するよう求めた。(甲24)フ原告が「業務の優先順位を付け,仕事の分配をする目的に限るのであればミーティングに応じる」旨を伝えてきたことを受け,原告,P6及びP7は,平成21年10月24日,面談を行った。 原告は,ウィークリーミーティングには応じないとして,ミーティングではなく文書やメールなど誤解の生じない方法で仕事の依頼をするよう求めた。面談の最後に,P6が録音はしていないか確認したところ,原告は実際には録音をしていたが,していないと答えた。(乙30)(6) 出勤停止から解雇までア原告は,平成21年11月に入っても,P6やP7からの面談の求めに応じず,にらみつけたり,本件組合を通すよう求めたり,大声を上げたりすることがあった(乙71,証人P6,証人P11)。 イ被告は,原告が業務命令に違反して秘密録音を行っており,そのまま放置することはできないとして,平成21年11月24日,原告に自宅待機を命じた(甲10,証人P11)。 ウ本件組合と被告は,平成21年11月26日,平成22年1月19日,同年3月16日,同月30日,原告についての交渉を行った(乙31から34まで)。 エ P5に代わってP9が原告の直属の上長となり,原告とP9及 びP11らは,平成22年10月21日,同年11月8日,同月15日,同月24日及び同月2 渉を行った(乙31から34まで)。 エ P5に代わってP9が原告の直属の上長となり,原告とP9及 びP11らは,平成22年10月21日,同年11月8日,同月15日,同月24日及び同月26日に面談を行い,被告からは年収1年分の支払と再就職支援の費用負担という条件で原告の退職を提案したが,原告はこれに応じなかった。P9は,同年10月21日の面談において,録音をしていないかを確認したところ,原告は実際には録音していたが,していないと答えた。(乙35から39まで)オ被告は,平成22年11月30日,本件解雇をし,解雇予告手当30万7048円を原告の預金口座に振込送金した。同年12月10日は賞与83万9451円を同様に原告の預金口座に振込送金した。(甲11,13)(7) 解雇後の経緯ア本件組合は,平成22年12月28日付けの「抗議ならびに要求書」と題する書面により,本件解雇の撤回,ハラスメントへの謝罪と賠償を求め,改めて団体交渉の申入れを行う予定である旨を被告に申し入れた(甲12)。 イ原告は,被告に対し,平成23年1月31日付けで,本件解雇の撤回及び原職復帰を求める旨の通知書,「確定拠出年金の加入者資格喪失のお知らせが送付されたが,雇用は継続しており,一方的に適格退職年金の資格喪失の手続を執られたのは不本意であり,直ちに資格喪失の取消しを求める」旨が記載された要求書を送付した(甲13,47)。 ウ被告は,平成23年8月5日,本件組合に対し,団体交渉を尽くしており,これ以上の団体交渉には応じかねるが,解決に向けた具体的な提案があれば検討する旨回答した(甲15)。 2 争点(1)(本件解雇の有効性)について (1) 前記前提事実及び認定事実を踏まえ,被告主張の解雇理由である就業規則26条5項3号 体的な提案があれば検討する旨回答した(甲15)。 2 争点(1)(本件解雇の有効性)について (1) 前記前提事実及び認定事実を踏まえ,被告主張の解雇理由である就業規則26条5項3号(勤務態度,業績不良,不都合の行為があり,社員としての適格性欠如),5号(会社の業務上のやむを得ない事情),7号(その他前各号に準じる事由)に該当する事実の有無について順次検討し,解雇の有効性について判断する。 (2) 本件解雇の具体的理由として被告が主張する具体的事実についてアスピードが遅いことについて(ア) 被告は,原告が出張リスト,招待した顧客リストなどに不必要な情報を入れたり,レイアウトにこだわったりして,スピードが遅いと主張する。 (イ) 平成20年の成績評価に当たって行われたフィードバックにおいて,同僚から,時として精度や詳細にこだわりすぎて結果的に仕事を終える時間が延びたり,簡単にこなせる事務的な仕事にしがみつき,新たな職務には消極的であったり,効率を高めるために省略できる業務を選別したりする点を改善点として指摘されていること(前記認定事実(5)ウ(イ)),原告が実際に作成した出張者のスケジュール表は多数の色分けがされ,P5やP6の電話番号が記載されていること(乙53)などからすると,原告には作成する文書の体裁等に自分なりの強いこだわりがあって必要以上に時間をかけ,その反面チームにおいて求められる他の業務を行うことには消極的な態度を示していたものと認められる。 (ウ) もっとも,原告が資料の作成・印刷,議事録の作成,スケジュール調整等を行った際,その業務・作業が遅かった事例は複数指摘されているものの,原告がその理由として述べるところ (資料を修正する必要があったこと,他の人の回答を待っていたら時間 スケジュール調整等を行った際,その業務・作業が遅かった事例は複数指摘されているものの,原告がその理由として述べるところ (資料を修正する必要があったこと,他の人の回答を待っていたら時間がかかったことなど)も一概に否定はできず,自己の責任で遅延したものではないという原告の言い分を全て排斥することはできない。原告に対しては具体的な指示を待つことなく積極的にチームに役立つと思われる行動を取るよう重ねて指導が行われているが,そうした指導方針の下で原告のした行為を評価する場合,それが不必要に時間をかけたものといえるか,チームに役立つものといえるかという判断は容易でなく,実際にも,P6が不要としたニュース配信について,P16は肯定的に捉えているなど(前記認定事実(4)コ,シ),人によって評価が分かれており,被告が指摘する出張リスト・顧客リストに不要な情報を盛り込んだという点にしても,結果として,不要な情報であったからといって,無駄な作業をした原告をとがめるのも相当とは思われない。 平成12年6月に被告に入社後上長がP5に替わる平成18年3月までの間は原告の業務に特段の問題は指摘されておらず,むしろP4からは優秀な業績と評価されており,P5も,年間を通じて評価を担当するようになった平成20年の評価のマネージャーコメントにおいて,優先順位付け,柔軟性及び業務効率が問題点として指摘されているものの,しっかりとした事務スキルを備えているなどと評価されており,期限を徒過したことなどは問題として指摘されているわけではない(前記認定事実(2)エ,(3)エ(カ))。平成21年3月から4月にかけて行われたタスクミーティングにおいて原告に毎日の担当業務を報告させ,残業しないよう指示した際も,業務の遅延があったなどの事情は認められず(甲19,乙 (3)エ(カ))。平成21年3月から4月にかけて行われたタスクミーティングにおいて原告に毎日の担当業務を報告させ,残業しないよう指示した際も,業務の遅延があったなどの事情は認められず(甲19,乙6。枝番号含む。),平成20 年の原告の残業時間が特段多かったとも認められない上(甲32。枝番号含む。),原告の業務のスピードが遅いために被告の業務に支障が生じていたかどうかは不明であり,TS部門の業務が変化して規模が拡大し,売上げ及び収益が増大してスタッフも増員する一方,アシスタントはP5の着任時に3人に増員したものの1名はP5の担当であり,その後増員はされていないことなどの事情からすると,原告の業務が遅いという点が解雇の積極的な理由になるほどのものとは認められない。 イ成果物の質が低いことについて(ア) 被告は,サービスアンドオペレーションズグループのミーティングの議事録における専門用語の間違い,未完成なビジネス文書作成などの問題があると主張する。 (イ) 平成21年の中間評価に当たって行われたフィードバックで,時々議事録の表現や言葉が適切でないことがあると指摘されており(前記認定事実(5)ト(イ)),原告は議事録作成の業務を頼まれて当初断ったこと(同ナ),平成20年11月6日の面談においてP6からは原告が金融市場の基本を身に付けることが重要であるという話がされたこと(同(4)オ)などからすると,原告は専門知識が十分ではなく,作成した議事録の用語にも誤りがあったものと認められる。 (ウ) もっとも,原告はP5の着任後に議事録を作成するよう求められた際,当初断ったものの,最終的にはこれに応じており,上記フィードバックのコメントでも議事録作成が不適切であった頻度を「時々」としていることも踏まえると,原告作成の成果物 録を作成するよう求められた際,当初断ったものの,最終的にはこれに応じており,上記フィードバックのコメントでも議事録作成が不適切であった頻度を「時々」としていることも踏まえると,原告作成の成果物が間違いの内容や頻度などにおいて役に立たないほど質が低いものであったとまでは認めるに足りない。他方,従来から 担当していたアシスタント業務については,上記の点以外に質が低いなどの事情も見当たらないことからすると,成果物に一部問題があったとしても,解雇の積極的な理由となるほどのものであるとはいえない。 ウ業務指示の拒否(ア) 被告は,原告は業務指示を受けても再三にわたり拒否したと主張する。 (イ) 原告に業務を依頼しても,自分の仕事ではない,他にやることがあるなどと理由を付けて断られる場合があったこと(前記認定事実(5)タ,ナ),平成20年の成績評価及び平成21年の中間評価に当たって行われたフィードバックにおいても,原告について新たな職務に消極的,チームの利益に対して注意を払わない,難しい仕事や急ぎの仕事があるとすぐイライラする,もっと多くのことを求められているという理解を欠き,簡単にこなせる事務的な仕事にしがみついている,消極的で時々新しい仕事を頼まれても断るなどとコメントされていること(同(5)ウ(イ),ト(イ))からすると,原告は頼まれた仕事を断ることが相当回数あったものと認められる。 (ウ) ところで,被告のTS部門では,原告の採用当時とは,その業務や組織の規模・態勢が大きく変化しており,扱う業務の内容も高度化・専門化していき,これに応じて原告が担当していたアシスタント業務・秘書業務に対して被告が期待する役割も様変わりし,形式的・定型的な業務にとどまらず,部内で必要とされる業務を自ら把握して積極的に提供するなど ていき,これに応じて原告が担当していたアシスタント業務・秘書業務に対して被告が期待する役割も様変わりし,形式的・定型的な業務にとどまらず,部内で必要とされる業務を自ら把握して積極的に提供するなど,従前よりも要求水準が高まっていることを前提に,原告に対する指示・指導が重ねられ,業績評価が行われるようになったことが認め られる(前記認定事実(1)コ,サ,(3)から(5)まで)。 もっとも,こうした指示や指導が抽象的な内容にとどまることは避けられず,入社時に契約書で定められた担当業務や実際に行っていた定型的な業務(前記認定事実(2)イ,ウ)と比較すると,その内容には差異があるといえ,原告にその能力や適性が備わっているかも定かではないというべきであるから,そうした業務を原告に新たに担当させるのであれば,必要な指導・支援を行ってしかるべきであり,そうした能力や適性が欠けているのであれば,指導・支援を続けたり,場合によっては担当業務を見直し,一部又は全部を従前の担当業務に戻したりといった措置をとることを検討すべきである。 被告が主張するようにTS部門の業務や組織に変化が生じていたとしても,原告が従前行っていた定型的なアシスタント業務や秘書業務について,被告や部門内の需要が消滅したというのであればともかく,そうした事態が容易に生じるものとは考えにくいし,これを認めるに足りる証拠もない。被告から原告の業務に向けられた要求は,従前の業務に付加価値をつけるべきであるという趣旨のものと要約できるが,こうした要求に十分応えられなかったとしても,直ちに解雇の理由になるとはいえない。 被告の業務指示には具体性が十分備わっていたとは認められないところもあり,上長が原告に求める業務を例に採っても,P6は電話対応業務よりも他の業務を増やしてほし ちに解雇の理由になるとはいえない。 被告の業務指示には具体性が十分備わっていたとは認められないところもあり,上長が原告に求める業務を例に採っても,P6は電話対応業務よりも他の業務を増やしてほしいとの希望を述べ,他方でP7はクライアントサービスアンドデリバリーグループの電話対応業務を増やすとよいと述べるなど一見矛盾するかのような指示をしたり,指示される前に積極的に仕事を するようにとの指示を受けて原告が米国出入国管理の変更についての情報をTS部門全体に送信すると,今度はP5から事前に確認なく送信したことを注意されたりするなど,原告が自らの役割について混乱している様子もうかがわれ,求められる業務内容を書面で明確にするように求めるのも不合理な要求とはいえないことからすると,業務指示に素直に従わず,場合によりこれを拒否するような対応があったとしても,それは将来にわたり業務指示に従わない意思を表明したものとは解されず,解雇理由となるほどのものとはいえない。 エ他部門からの苦情(ア) 被告は,コーポレートバンキング部門やオペレーション部門からも原告に対する苦情が数多く寄せられていたと主張する。 (イ) 他部門からの原告に対する数多くの苦情の存在を認めるに足りる証拠はないが,仮にあったとしても,被告の主張する苦情の内容は上記アからウまで判断したものと同様のものというべきであるから,既に述べたとおり解雇理由となるほどのものとはいえない。 オ上長等の指導に従わない(ア) 被告は,原告が上長等の指導に従わなかったと主張する。 (イ) 平成20年7月14日以降の面談でP6及びP7から指示したとする個別業務(前記第2の2(1)ウ(ウ))についてa ①顧客宛ての金利情報の提供については,原告が休みを取る際,P13に引き継い イ) 平成20年7月14日以降の面談でP6及びP7から指示したとする個別業務(前記第2の2(1)ウ(ウ))についてa ①顧客宛ての金利情報の提供については,原告が休みを取る際,P13に引き継いだが,P6がP13にしなくてよいと言ったのを聞いた原告は自分もしなくてよいと思ってしなくなったこと,その経過を聞いてP6が原告に情報提供を再開するよう求めたことが認められるところ(前記認定事実(4) ス),原告はその後情報提供を再開したと供述しており,これを否定するに足りる証拠はない。したがって,①顧客宛ての金利情報の提供について,原告に指示違反があるとはいえない。 b ②営業担当者への情報提供について,原告はニュース配信の情報提供を行っていたところ,これに対してP16は役に立つと述べているのに対し,P6は面談において単にニュースを伝えるだけでは価値がないと伝えたことなどからすれば(前記認定事実(4)コ,シ),どのような情報を提供すべきであったか原告に対する指示は明確とはいえず,指示違反があるとはいえない。 c ③顧客収益動向分析及び⑤案件データの期限切れ管理については,原告はそれを行う権限がなかったと主張し,原告に権限があったことを認めるに足りる証拠はない上,原告に対してこれらを行うよう具体的な指示があったと認めるに足りる証拠はない。 d ④顧客往訪記録,新規案件のシステムへの入力作業及び⑥顧客情報アップデートについては,原告がタスクミーティングのために報告していた自身の担当業務には「CKCエントリー」が含まれており(乙6。枝番号含む。),原告はこれが被告主張の上記業務に対応すると主張しているところ,これを否定する証拠はなく,上記業務の指示を受けながら原告がこれを行わなかったと認めるに足りる証拠はない。 e ⑦カ 番号含む。),原告はこれが被告主張の上記業務に対応すると主張しているところ,これを否定する証拠はなく,上記業務の指示を受けながら原告がこれを行わなかったと認めるに足りる証拠はない。 e ⑦カスタマーサポートの電話取次ぎについては,カスタマーサポートにおいて行われる業務は顧客からの電話での問い合わせ等に対応するものであり,P7は原告に対し「究極的 な目標としては担当者の代わりに回答できるくらいのところまでできると助かる」旨説明しているところ(前記認定事実(4)ケ),そうした高度な対応を身に付けさせるような指導や訓練が行われていたのであればともかく,それがない中でそうした取次ぎをできないと断ったとしても,解雇理由となるほどのものとはいえない。なお,単なる不在時の伝言程度の業務について原告が指示を受けながら断ったと認めるに足りる証拠はない。 (ウ) 口頭での指導に従わなかったことについては,原告が平成21年5月以降面談の要請に応じなくなったことが認められるが,原告は必要があれば本件組合を通すか,書面で指示するよう求めているところ,上記ウで述べたとおり,それまでの面談等を通じて行われた指示が明確さを欠いており,原告において新たに面談をしても具体的な指示が期待できないと考えたとしてもやむを得ないところもある。一方で,原告は被告側から要求される面談をハラスメントと捉えており,そうした認識を被告側にも伝えていたところ,以下に述べるとおり,当時の状況からすれば,原告がそのように受け取ったことを非難することはできず,面談に応じなかったことをもって解雇理由に当たると認めるのは相当でない。 すなわち,平成20年11月12日の面談においてP6は「Nという評価は来年いられないかもしれないという意味である」という趣旨の話をしているこ とをもって解雇理由に当たると認めるのは相当でない。 すなわち,平成20年11月12日の面談においてP6は「Nという評価は来年いられないかもしれないという意味である」という趣旨の話をしていること,P5は同年の成績評価において従来から原告がしてきたアシスタント業務を評価せずN評価を与えたこと,原告は同年12月4日から体調を崩して休暇を取り,復帰後の平成21年1月6日,P11と面談したところ, P11は「違うところに仕事を探す事例もある」などと話したこと,同年3月から4月に合計29回のタスクミーティングが行われたが,P6からは「タスクミーティングの結果改善は何一つ見いだせない」と伝えられたこと,原告は同年3月13日にP11に対しハラスメントの申告をしており,同年4月22日にはうつ状態により今後外来治療を行うと診断されたことからすれば,原告がP5,P6及びP7からハラスメントを受けていると感じたこと自体には相応の理由があるというべきである。 (エ) 原告は上長の事前の承認を得ずに残業することが禁止されていたところ,平成21年6月12日に終業時間後にオフィスに残っていたことをとがめられた事実が認められる(前記認定事実(5)ツ)。もっとも,無断残業を禁止する旨の指示があったとしても,終業時間後にオフィスに在室することを一律に禁止する趣旨を含んでいるとはいえず,原告においてこのときの居残りについて残業代を請求する意思があったとは認めるに足りない。他方,原告はそれ以降も事前に承認を得て残業をしたこともあったというのであり(甲22,23),いずれにしても残業に関する指示・命令に原告が違反したことにより被告に何らかの損害を与えたとは認め難く,解雇理由となるほどのものがあったとはいえない。 (オ) 秘密録音については,原告は平成 ),いずれにしても残業に関する指示・命令に原告が違反したことにより被告に何らかの損害を与えたとは認め難く,解雇理由となるほどのものがあったとはいえない。 (オ) 秘密録音については,原告は平成20年11月12日から自己の判断により秘密録音を開始し,以後本件解雇までP5,P6,P7,P11及びP9らとの面談を録音していたこと,遅くとも平成21年7月31日にはP5は行動規範に反するので秘密録音を行わないよう注意をし,その後も同年8月24日, 同年9月25日,同年10月1日,同月22日などにも秘密録音しないよう注意が行われ,秘密録音を止めないと解雇もあり得ると警告されても秘密録音を止めなかったこと,P6との面談において録音を止めるよう言われても録音を止めようとしなかったため面談が中止となったこと,平成21年10月24日及び平成22年10月21日の面談では録音していないか聞かれた原告はこれを否定したにもかかわらず実際には録音をしていたことなどからすると,この点について原告に業務命令違反があったことは否定できない。 被告には業務や顧客に関する情報を適正に管理するために職場内での会話の録音を禁止する必要性が認められ,被告従業員が遵守すべきものとして周知されている被告の行動規範でも社内での録音が禁止されているところ(証人P11,原告本人),原告は自身の成績評価や指導に関する面談にとどまらず,日常業務に関するものまで録音しており(乙29),原告は録音していないと説明しながら実際には録音を行っていたという上記の経過からすると,その命令違反の程度が軽微であるとはいえず,命令違反を続ける原告に対し,自宅待機を命じるなど,相応の措置をとることは不当とはいえない。 しかし,原告の平成20年の評価はNであり,このままでは辞めさせられ 反の程度が軽微であるとはいえず,命令違反を続ける原告に対し,自宅待機を命じるなど,相応の措置をとることは不当とはいえない。 しかし,原告の平成20年の評価はNであり,このままでは辞めさせられるとの認識を原告が持ったこと,当時原告はP5,P6及びP7からハラスメントを受けていると捉えていたこと,原告がN評価から脱するためにはP5,P6及びP7が面談で指導する内容が不明確である点を指摘する必要があると考えており,その点を証拠に残すために録音の必要を感じて自己防衛の手段として秘密録音を行ったものと認められること,原告は 書面での指示を求めたにもかかわらず,P5,P6及びP7らがこれに応じずに面談を求めたという経過があること,原告が秘密録音した内容に,原告に対する人事評価・指導という内容を除けば,機密情報に当たるものがあったとは認めるに足りず,原告が秘密録音した内容を自らの雇用契約上の地位を守る目的以外に使用したとは認められないことに照らせば,原告には同情すべき事情もあり,秘密録音のみをもって解雇理由に当たるとするのは酷というべきである。 カ業績不良(ア) 原告の平成20年の中間評価,同年末の最終評価,平成21年の中間評価はいずれもNであったことが認められる(乙4,5)。しかし,原告は平成12年6月に入社後,P3及びP4という複数の上長の下では,P5の下で行っていたのと同様のアシスタント業務について問題は指摘されておらず,平成15年から平成17年までの評価は優秀な業績であり,給与もおおむね年々上昇しており,P5の下においても,平成18年及び平成19年は「M」という評価を受けている(被告は,平成19年の評価は「M-」であったと主張するが,コメント欄に「M-」という記載された箇所もあるが,全体成績欄は単に「M」と記 も,平成18年及び平成19年は「M」という評価を受けている(被告は,平成19年の評価は「M-」であったと主張するが,コメント欄に「M-」という記載された箇所もあるが,全体成績欄は単に「M」と記載されていることからすると,平成19年の評価は「M」と認められる。)。P5やP6も,原告の従来からのアシスタント業務については期待を満たしていることを認めており,同僚からのフィードバックのコメントもおおむねアシスタント業務については良い評価がされている。したがって,原告のアシスタント業務については少なくとも「M」の評価に値していたというべきである。 (イ) 被告は,TS部門の役割が変化したことにより,原告に求められる役割が変わったと主張する。入社時に契約書で定められた担当業務と実際に行っていた業務とが厳密に一致していたわけではなく,契約書上の担当業務にしても,秘書業務について「その他関連業務」との記載があり,TS部門の組織,業務の変更に伴い,それまで担当していなかった議事録の作成,電話応対などの新たな業務を原告に担当させることも許容されているものとみるべきであって,被告のこうした措置・対応をもって不当とはいえない。しかし,新たな業務を担当させるに当たり,被告としては,原告の能力や適性を踏まえて必要な指導・支援を行うべきであり,また,新たな担当業務について満足すべき成績を示せなかったとしても,従前の担当業務が存在し,それについて特段問題なく遂行できるのであれば,業績評価において新たな担当業務を重視しすぎることは適正,公平を欠くというべきであるし,ましてや,解雇につなげるような業績不良とまで評価するには極めて慎重であるべきである。被告の要求に原告が十分対応できていなかったとしても,それが直ちに解雇の理由になり得ないことは,上 べきであるし,ましてや,解雇につなげるような業績不良とまで評価するには極めて慎重であるべきである。被告の要求に原告が十分対応できていなかったとしても,それが直ちに解雇の理由になり得ないことは,上記ウで述べたとおりである。 キその他の解雇理由についてその他,原告の解雇理由に関して被告が主張する具体的事実(懇親会の日付確定業務の遅れ,顧客との面談メモの社内システムへの入力業務の遅れ,P14やP15からの業務依頼の拒否,人事評価に関する社内文書(甲45)の持ち出し)も,いずれも解雇理由となるほどのものとはいえない。 (3) 以上検討したところによれば,本件解雇の理由として被告が主張する具体的事実のうち,原告の行う業務のスピードや成果物の質と いう面で,解雇の理由とするほど劣っていたということはできず,業務指示・上長の指導等に従わなかったという事実が一部認められ,特に,秘密録音の点は被告の行為規範に違反しており,その違反態様も軽微なものとはいえないが,考慮すべき事情を踏まえると,解雇の理由になるとまではいえず,業績不良についても,原告が従前問題なく遂行できていた秘書業務等に対し,被告が新たな付加価値を求め,これに十分対応できなかったという点が主に問題にされていることからすると,この点が解雇の理由になるとまではいえない。 したがって,本件解雇は,客観的に合理的理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められないから,その権利を濫用した無効なものというべきである。 3 争点(2)(不法行為)について(1) 原告は,被告のした退職強要が違法であると主張する。前記認定事実(3)から(5)までのとおり,原告は多数回の面談を開催されて,業務が要求水準を満たしていないという趣旨の指導を受け,これに精神的負担を感じてハラスメントを受け が違法であると主張する。前記認定事実(3)から(5)までのとおり,原告は多数回の面談を開催されて,業務が要求水準を満たしていないという趣旨の指導を受け,これに精神的負担を感じてハラスメントを受けていると申告していた事実が認められる。その際の被告側担当者の発言の中には退職(転職)や解雇に言及しており,退職の勧奨や強要と受け取ったとしても無理からぬものも含まれているが(前記認定事実(5)イ,ハ),多数回の面談も含めて原告に対する業務指導の過程で行われたものと認められ,被告側担当者の指示が具体性を欠いていた面もあり,業務内容を具体的に文書で示してほしいという原告の希望に沿わないところはあったにせよ,業務指導の手段・方法として相当性を欠くものとはいえず,退職・解雇に執拗に言及したという事実も認められないことからすると,こうした業務指導を捉えて違法な退職強要行為があったということはできない。また,P9は,原告に対し退職を勧 めているが,平成22年10月21日及び同年11月26日の2回のみで,1年間の自宅待機を経た後の話合いでのことであり,退職金の割り増しなど原告に有利な退職条件を提示する一方,原告はかたくなな態度を示し,被告側の申入れを一切受け付けなかったというのであるから(乙35,39,証人P11),退職の強要に当たる行為があったとは認められない。したがって,被告において違法な退職強要があったとはいえない。 (2) 原告は,多数回の面談の実施,そこでの指導の内容,ハラスメント申告への対応において,被告に職場環境を整えなかった違法があると主張する。別紙面談等一覧表のとおり多数回の面談が行われた事実は認められるが,前記第3の2(2)カ(イ)のとおり,原告に新たな業務の実施を求め,その指導を行った被告の対応を不当とまではいえない ると主張する。別紙面談等一覧表のとおり多数回の面談が行われた事実は認められるが,前記第3の2(2)カ(イ)のとおり,原告に新たな業務の実施を求め,その指導を行った被告の対応を不当とまではいえないこと,原告には自分なりのこだわりから必要以上に業務に時間をかけることがあった点や新たな業務に消極的な点などの問題があって,改善の必要自体は存在し,面談においては原告に対する要望を伝えて改善を求めていることなどからすれば,多数回の面談をした点を捉えて違法な措置であったということもできない。 また,ハラスメントの申告に対する被告の対応については,原告の訴えは抽象的なものが多く,具体的な指摘としては平成20年11月26日に実施された面談があったが,これについてはP5,P6及びP7に対する調査を行ってハラスメントは認められないという結論を出していること,同日の面談についてはハラスメントに当たるような内容であったとは認められないこと(乙13)からすれば,被告の対応に問題があったとはいえない。 (3) 原告は,平成21年9月11日不当な席替えが行われたと主張する。しかし,このときの席替えは,原告がサポートを行う対象をク ライアントサービスアンドデリバリーグループからテクノロジーアンドオペレーションズグループに変更し,後者の場所に席を移動したものと認められ(甲9の2),原告も自分の担当が変更となったことは認識していること(甲24),被告としては,オフィスのレイアウト変更の機会に原告の環境を変え,長年被告に勤務して人望のある女性グループリーダーのP8のサポートをさせることで,それまでうまくいっていなかった原告に対する改善指導について事態を打開しようという意図があったこと(乙72,証人P11)からすると,不当な席替えであったとは認めるに足りな のサポートをさせることで,それまでうまくいっていなかった原告に対する改善指導について事態を打開しようという意図があったこと(乙72,証人P11)からすると,不当な席替えであったとは認めるに足りない。 (4) 以上より,不法行為に基づく原告の請求は理由がない。 4 争点(3)(解雇の承認)について被告は,本件解雇から相当期間が経過した後,労働審判の申立てをするまで,原告は雇用契約上の地位を主張しておらず,解雇を承認していたものとみるべき旨主張する。 確かに,本件解雇から労働審判申立てまでに約2年半が経過しており,本件組合を通じた団体交渉のやり取りがされたのも平成23年8月5日が最後であって,その時点からも労働審判申立てまでに約1年8か月が経過している。しかし,原告は1年間の自宅待機後,平成22年10月21日及び同年11月26日のP9との面談において1年間の給与支払等を条件とする退職の提案を受けてもこれに応じず復職の意思があることを明確に伝えており,その後の交渉経過においても原告の復職の意思が喪失したことをうかがわせるような事情は見当たらない。かえって,原告は,本件解雇後も解雇の意思表示の撤回を求め,復職の意思があることを被告に明示的に伝えており(前記認定事実(7)ア,イ),労働審判申立てまでの間に原告が別の仕事に従事していたとはいえ,有期契約であって期間満了後は仕事をしていないこと からすると(原告本人),黙示的に解雇を承認したことを基礎付けるような事情に乏しいというべきである。本件解雇から労働審判の申立てまでに上記程度の時間が経過したからといって,原告がもはや雇用契約上の権利を主張しないと信頼する根拠としては不十分であり,そうした信頼は理由のない解雇をした被告の地位に鑑みて,衡平上も保護に値しないというべきであ 時間が経過したからといって,原告がもはや雇用契約上の権利を主張しないと信頼する根拠としては不十分であり,そうした信頼は理由のない解雇をした被告の地位に鑑みて,衡平上も保護に値しないというべきである。 5 よって,本件解雇は無効であり,原告は被告に対し本件雇用契約に基づき,雇用契約上の権利を有する地位にあると認められる。本件解雇後の賃金について,原告は10年間の平均収入により752万6105円,月額64万9115円が支払われるべきであると主張するが,これには時間外労働や賞与を含んでおり,原告の就労状況いかんにかかわらずこれらについての支払請求権を有するものと認めるのは相当でない。被告は,本件解雇当時の原告の給与は基本給29万5834円,住宅手当9万8611円,通勤手当2万1130円と主張するところ,本件解雇当時の基本給及び住宅手当の合計額である月額39万4445円の賃金請求権を有すると認めるのが相当である。したがって,原告は,被告に対し,平成23年1月から本判決確定の日まで毎月末日限り39万4445円の賃金及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払請求権を有する。原告の請求はこの限度で理由があり,その余は理由がない。 第4 結論以上によれば,原告の請求は主文1項及び2項掲記の限度で理由があるから認容し,その余を棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第36部 裁判長裁判官 田 徹 裁判官 遠藤東路 裁判官 佐久間 隆 久間隆

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