昭和37(う)1531 窃盗等被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和38年1月24日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      被告人を懲役拾月に処する。      原審における未決勾留日数中参拾日を右本刑に算入する。      本件公訴事実中後記窃盗の点についての公訴を棄

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判決文本文2,470 文字)

主文 原判決を破棄する。 被告人を懲役拾月に処する。 原審における未決勾留日数中参拾日を右本刑に算入する。 本件公訴事実中後記窃盗の点についての公訴を棄却する。 理由 本作控訴の趣意は弁護人糸賀悌治提出の控訴趣意書に記載されたとおりであるからここにこれを引用し、これに対し次のように判断する。 控訴趣意第一点について記録及び原判決によれば被告人は、昭和三十七年五月十五目附起訴状の公訴事実第一、別紙犯罪一覧表第一8により、同年四月中旬頃茨城県筑波郡a村bA方において同人より白色シート一枚を窃取した旨の事実につき窃盗罪として起訴されたこと原審は右公訴を受理して審判した結果右事実を判示第一事実別紙犯罪一覧表第一8摘示の如く有罪と認定し有罪と認定した爾余の窃盗及び詐欺の各犯罪事実と共に刑法第四十五条前段の併合罪として処断し被告人に対し刑の言渡をしたことをそれぞれ認めることができる。 よつて右犯罪事実第一の別紙犯罪一覧表第一8摘示に係る事実についての公訴提起の手続の効力を審案するに、記録並びに当審において取り調べた被告人及びAの各戸籍謄本の記載によれば、被告人の妻Bは父C、母Dの二女、またAは右両名の三男であつて、Aは被告人と二親等の姻族関係にある非同居の親族であることが明らかである。尤も記録によれば、前示白色シート一枚は右Aが他から窃取した物品であつて、同人はただこれを占有する<要旨>に過ぎず、該物品は被告人の親族でない者の所有に属することを認め得るのであるが、刑法第二百四十四条の</要旨>親族相盗に関する規定は、盗罪の直接被害者である被害物件の占有者と犯人との関係について規定したもので、所有者と犯人との関係について規定したものではないと解すべきことは昭和二十四年五月二 の</要旨>親族相盗に関する規定は、盗罪の直接被害者である被害物件の占有者と犯人との関係について規定したもので、所有者と犯人との関係について規定したものではないと解すべきことは昭和二十四年五月二十一日最高裁判所第二小法廷判決(刑事判例集三巻六号八五八頁以下参照)の判示するところであるから、本件の如く、被告人の親族でない者の所有に属する財物を被告人の非同居の親族が占有する場合にこれをその親族から窃取した案件については、窃盗の直接被害者である当該財物の占有者Aの告訴を待つてその罪を論ずべきものであるところ(刑法第二百四十四条第一項後段)、記録を精査しても、右Aが本件盗難の事実について被告人を告訴した事跡を全く認めることができない。 してみれば前示犯罪事実についての本件公訴提起の手続はその規定に違反したため無効であるときに該当し、原審はすべからく判決で右公訴を棄却すべきであつたに拘らず(刑事訴訟法第三百三十八条第四号)、事茲に出でず、右公訴を受理し、右事実について有罪の言渡をしたのは、不法に公訴を受理した違法があり、原判決は爾余の控訴趣意に対する判断をするまでもなく、既にこの点において破棄を免がれない。論旨は理由がある。 なお附言するに、本件の如く、犯人の親族でない者の所有に属する財物を犯人の親族が占有する場合にこれをその親族から窃取した案件につき、刑法第二百四十四条第一項は単に同条項所定の親族又は家族相互の間のみに行われた窃盗罪につき適用されるべきものであるから、いやしくもその物が犯人の親族又は家族でない者の所有に属するときは、たとえ犯人の親族又は家族の占有に属するときであつても、これに対しては同条項を適用すべきものでない旨を判示した大審院判例(昭和十二年四月八日大審院判決、刑事判例集一六巻七号四八五頁以下)の存することは検察官指摘 族又は家族の占有に属するときであつても、これに対しては同条項を適用すべきものでない旨を判示した大審院判例(昭和十二年四月八日大審院判決、刑事判例集一六巻七号四八五頁以下)の存することは検察官指摘のとおりであるが、右大審院判決は前掲最高裁判所第二小法廷判決により適法に変更されたものと解せられるから、検察官の主張はこれを採用しない(最高裁判所裁判事務処理規則第九条第六項参照)。 よつて、刑事訴訟法第三百七十八条第二号前段、第三百九十七条第一項により原判決を破棄し、同法第四百条但書により被告事件について更に判決をすることとする。 原判決が適法に確定した原判示第一、別紙犯罪一覧表第一1ないし7及び9並びに第二、別紙犯罪一覧表第二1ないし3の各事実を法律に照らすと、右第一、別紙犯罪一覧表第一1ないし7及び9の各所為は刑法第二百三十五条に該当し、第二別紙犯罪一覧表第二1ないし3の各所為は同法第二百四十六条第一項に該当するところ、以上はすべて同法第四十五条前段の併合罪であるから、同法第四十七条、第十条により犯情最も重いと認められる判示第二、別紙犯罪一覧表第三3の詐欺罪の刑に併合加重した刑期範囲内において被告人を懲役拾月に処し、原審における未決勾留日数中参拾日を同法第二十一条により右本刑に算入し、原審における訴訟費用は刑事訴訟法第百八十一条第一項但書によりその全部を被告人に負担させないこととする。 なお本件公訴事実中、被告人は昭和三十七年四月中旬頃茨城県筑波郡a村bA方において同人より白色シート一枚を窃取したとの点(公訴事実第一の別紙犯罪一覧表第一8掲記の事実)については、前記説示の如く、右Aの告訴を待つてその罪を論ずべきところ、同人の適法な告訴があつたことを認めるに足りる証跡がないから、右事実についての本件公訴提起の手続はその規定に違反し無効 記の事実)については、前記説示の如く、右Aの告訴を待つてその罪を論ずべきところ、同人の適法な告訴があつたことを認めるに足りる証跡がないから、右事実についての本件公訴提起の手続はその規定に違反し無効である。よつて刑事訴訟法第四百四条、第三百三十八条第四号により公訴を棄却すべきものとする。 (裁判長判事坂間孝司判事栗田正判示片岡聰)

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