平成14(わ)433 現住建造物等放火被告

裁判年月日・裁判所
平成14年10月9日 岡山地方裁判所
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判決文本文1,740 文字)

主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 訴訟費用は被告人の負担とする。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,岡山県邑久郡a町b番地所在の木造セメント瓦葺2階建家屋1棟(床面積合計114.84平方メートル)に妻Aと共に居住していたものであるが,妻と口論になり,その後,妻に相手にされていないと感じられたことなどから前途を悲観し,同家屋に火を放って自殺しようと考え,平成14年6月2日午前7時11分ころ,同家屋1階北東側和室,1階廊下及び台所に灯油を撒布し,自己が着用していたシャツ等にも灯油をかけた上,同家屋1階北東側和室において,上記シャツに所携のライターで点火して火を放ち,燃えている上記シャツ等を脱いで布団等を燃え上がらせて,同家屋壁面等に燃え移らせ,よって,前記Aが現に住居に使用している同家屋を全焼させて,これを焼損したものである。 なお,被告人は,犯行後直ちにB警察署C交番に出頭し,同署司法警察員Dに自首したものである。 (証拠の標目)省略(法令の適用)被告人の判示所為は刑法108条に該当するところ,所定刑中有期懲役刑を選択し,被告人は自首したものであるから,同法42条1項,68条3号により法律上の減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予し,訴訟費用につ,。 いては刑訴法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとする(量刑の理由)本件は,妻とともに居住する自宅に放火し,これを全焼させたという現住建造物等放火の事案である。 本件犯行現場は,新興住宅地の一角に位置し,北側は民家が接しており,被告人方車庫と隣屋車庫の間は62センチメートルであり,西側は道路や畑等を挟んで12.5 せたという現住建造物等放火の事案である。 本件犯行現場は,新興住宅地の一角に位置し,北側は民家が接しており,被告人方車庫と隣屋車庫の間は62センチメートルであり,西側は道路や畑等を挟んで12.5メートルの距離に鉄道線路が通り,東側には,高さ110センチメートルのブロック塀があり,建物敷地から73センチメートルの段差がある畑を挟んで約15メートルの距離に民家があり,南側は庭や枯れ草の空き地等を挟んで23メートル弱の距離に民家があるところ,かかる場所において,被告人は,灯油を撒布した上で家屋内に着火しており,周辺住民や周辺家屋等に及ぼした危険は少なくない。 本件犯行は,些細な原因による妻との口論が発端であるが,これ自体,被告人の平生からの家庭における生活態度の問題に起因するもので,その挙げ句に,周囲の迷惑を顧みず,妻も同居する家屋に火を放ったのであり,身勝手な犯行である。 以上からすると,犯情は悪く,被告人の刑責は決して軽いものではない。 しかしながら,他方,被告人は,犯行後,直ちに自首し,一貫して犯行を認めて,,,おり4か月あまりの勾留を通じて反省を深めていること幸いにして類焼はなく被害は被告人が大工として自らの手で建築した家屋1軒にとどまっていること,本件犯行は衝動的で,計画性のないものであること,被告人は,家計を助けるために中学校も満足に通わないまま働きに出て,大工の修行を積み,約4年前に体調を崩して辞めるまで,まじめに大工として稼働し,その間,妻とともに3人の子供を育て,独立させる等これまで実直で堅実な人生を歩んできたこと,妻が今後とも暖かく家庭に迎え入れる旨約束しており,子供らの協力も期待できること等被告人の更生の環境も整えられていること,古い罰金前科しかないこと,比較的高齢であること等被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる かく家庭に迎え入れる旨約束しており,子供らの協力も期待できること等被告人の更生の環境も整えられていること,古い罰金前科しかないこと,比較的高齢であること等被告人に有利に斟酌すべき事情も認められる。 以上の点を考慮して,今回は刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 平成14年10月9日岡山地方裁判所第2刑事部裁判長裁判官榎本巧裁判官中川綾子裁判官足立堅太

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