- 1 -平成24年12月18日判決言渡平成23年(行ウ)第43号誤納金還付請求事件(甲事件)平成23年(行ウ)第78号過誤納金不還付決定等取消請求事件(乙事件)主文 1 本件訴えのうち乙事件の部分をいずれも却下する。 2 被告は,原告に対し,234万7500円及びうち別紙1の「誤納金額」欄記載の各金員に対する同「本判決における起算点」欄記載の各日から宝塚市長が還付のため支出を決定した日まで,それぞれ別紙2の「期間」欄に対応する同「特例基準割合等」欄記載の割合による金員(還付加算金)を支払え(ただし,還付加算金の合計額のうち100円未満の端数金額は切り捨てる。)。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用はこれを10分して,その9を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 甲事件(1) 平成18年度から平成22年度までに生じた誤納金に係る請求【主位的請求(不当利得返還請求)】被告は,原告に対し,234万8250円及びうち別紙3の「誤納金」欄記載の各金員に対する同「年月日」欄記載の各日から宝塚市長が還付のため支出を決定した日まで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。 【予備的請求(国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求)】被告は,原告に対し,140万8950円及びこのうち別紙3の「誤納金」欄(平成20年度から平成22年度)に記載された各金員に対する同「年月日」欄記載の各日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 - 2 -(2) 昭和59年度から平成17年度までに生じた誤納金に係る請求【主位的請求(宝塚市固定資産税及び都市計画税過誤納金返還事務要綱に基づく請求)】被告は,原告に対し,229 - 2 -(2) 昭和59年度から平成17年度までに生じた誤納金に係る請求【主位的請求(宝塚市固定資産税及び都市計画税過誤納金返還事務要綱に基づく請求)】被告は,原告に対し,2293万1100円及びうち1316万7300円に対する平成23年7月16日から宝塚市長が返還のための支出を決定する日まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 【予備的請求(不当利得返還請求)】被告は,原告に対し,1316万7300円及びこれに対する平成23年10月7日(訴えの追加的変更申立書の送達日の翌日)から宝塚市長が返還のための支出を決定する日まで年5パーセントの割合による金員を支払え。 2 乙事件(1) 宝塚市長が,平成23年5月20日付で原告に対してした固定資産税及び都市計画税の過誤納金不還付決定を取り消す。 (2) 宝塚市長が,平成23年7月6日付で原告に対してした固定資産税及び都市計画税の過誤納金不還付決定を取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,相続によって宝塚市α×番所在の山林790㎡(以下「本件土地」という。)を取得したとして,同土地につき宝塚市長から固定資産税及び都市計画税(以下,これらを併せて「固定資産税等」といい,本件土地に係る固定資産税等を「本件固定資産税等」という。)の賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)をされるとともに本件固定資産税等を納付し続けてきた原告が,本件土地が法律上存在していないことが後記別件訴訟で確定したのであるから本件賦課決定は当然に無効であり,原告が昭和59年度以降払い続けてきた本件固定資産税等相当額はいずれも誤納金となる旨主張して,(1)①主位的に民法703条に基づく不当利得返還請求として,②予備的に国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求として,原告が平成18年度か 件固定資産税等相当額はいずれも誤納金となる旨主張して,(1)①主位的に民法703条に基づく不当利得返還請求として,②予備的に国家賠償法1条1項の規定に基づく損害賠償請求として,原告が平成18年度から平成22年 - 3 -度までに納付した本件固定資産税等及びこれに対する地方税法17条の4所定の還付加算金ないし民法所定の遅延損害金の支払を,(2)①主位的に宝塚市固定資産税及び都市計画税過誤納金返還事務要綱(以下「本件要綱」という。)に基づく返還請求として,②予備的に民法703条に基づく不当利得返還請求として,原告が昭和59年度から平成17年度までに納付した本件固定資産税等相当額(ただし,主位的請求については本件要綱所定の利息相当額を含む。)及び本件固定資産税等相当額につき民法所定の年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めるとともに(甲事件),(3)①宝塚市長が,平成23年5月20日付けで原告に対してした,原告が平成18年度から平成22年度までに納付した本件固定資産税等に係る過誤納金不還付決定の取消し及び②宝塚市長が,平成23年7月6日付けで原告に対してした,原告が昭和59年度から平成17年度までに納付した本件固定資産税等に係る過誤納金不還付決定の取消しを求める(乙事件)事案である。 2 関連法令等の定め(1) 地方税法(以下「法」という。)等ア還付金に関する定め(ア) 地方税の確定金額に100円未満の端数があるときは,その端数金額を切り捨てた額が納付すべき税額とされ(法20条の4の2第3項本文),地方税の確定金額について2以上の納期限を定めて分割納付とされている場合において納期限ごとの分割金額に1000円未満の端数があるときは,その端数金額は最初の納期限に係る分割金額に合算する(法20条の4の の確定金額について2以上の納期限を定めて分割納付とされている場合において納期限ごとの分割金額に1000円未満の端数があるときは,その端数金額は最初の納期限に係る分割金額に合算する(法20条の4の2第6項本文)とされている。 また,地方団体の長は,過誤納に係る地方団体の徴収金(過誤納金)があるときは,政令で定めるところにより,遅滞なく還付しなければならないとされている(法17条)。 (イ) 地方団体の長は,過誤納金を法17条の規定により還付する場合に - 4 -おいて,法17条の4第1項の1号ないし3号の過納金以外の地方団体の徴収金にかかる過誤納金についてはその過誤納となった日として政令で定める日(固定資産税等についてはその納付があった日である(法施行令6条の15第1項2号)。)の翌日から起算して1月を経過する日の翌日から地方団体の長が還付のため支出を決定した日までの期間の日数に応じ,その金額に年7.3パーセントの割合を乗じて計算した金額(還付加算金)をその還付すべき金額に加算しなければならない(法17条の4第1項柱書,第4号)。 還付加算金の額の計算に当たっては,固定資産税等を一つの地方税とみなし,計算の基礎となる還付金の額に1000円未満の端数があるときはその端数金額を切り捨てることとされている(法20条の4の2第8項,第7項,第2項)。また,計算された還付加算金の合計額に100円未満の端数があるときは,その端数金額を切り捨てるとされている(同条第7項,第5項)。 なお,各年の特例基準割合が年7.3パーセントの割合に満たない場合には,法17条の4第1項に規定する還付加算金の計算の基礎となる期間であってその年に含まれる期間に対応する還付加算金についての同項の規定の適用については,当分の間,同項にいう「年7.3パーセン 合には,法17条の4第1項に規定する還付加算金の計算の基礎となる期間であってその年に含まれる期間に対応する還付加算金についての同項の規定の適用については,当分の間,同項にいう「年7.3パーセントの割合」とあるのは,特例基準割合(各年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法15条1項1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4パーセントの割合を加算した割合)を指すものとされている(ただし,当該特例基準割合に0.1パーセント未満の端数があるときは,これを切り捨てる。)(法附則3条の2第3項,第1項)。 (ウ) 地方団体の徴収金の過誤納により生ずる地方団体に対する請求権及び法の規定による還付金に係る地方団体に対する請求権は,その請求を - 5 -することができる日から5年を経過したときは,時効により消滅するとされ(法18条の3第1項),当該時効は,援用を要せず,その利益を放棄することもできないとされている(法18条の3第2項,18条2項)。 イ固定資産税等の賦課に関する定め(ア) 市町村は,固定資産の状況や価格を明らかにするために,土地課税台帳等によって構成される固定資産課税台帳を備え付けることが義務付けられており(法380条1項),市町村長は,土地課税台帳については所有権等の登記名義人の住所等や当該土地の基準年度の価格等を登録しなければならないとされている(法381条1項)。 (イ) 固定資産税は,当該固定資産所在の市町村が土地等の固定資産につき,固定資産の所有者に対して課するものである(法341条1号,342条,343条1項)が,ここにいう所有者とは,土地については登記簿等に所有者として登記等がされている者をいうとされており(法343条2項),その課税標準も当該土地の基準年度 (法341条1号,342条,343条1項)が,ここにいう所有者とは,土地については登記簿等に所有者として登記等がされている者をいうとされており(法343条2項),その課税標準も当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたものとされている(法349条1項)。 また,都市計画税は,都市計画法において指定する市街化区域内に所在する土地等につき,その価格を課税標準として,当該土地等の所有者に課することができるとされているが(法702条1項),ここにいう価格とは当該土地等の固定資産税の課税標準となるべき価格をいい,所有者とは当該土地等に係る固定資産税について法343条により所有者とされる者をいうとされている(法702条2項)。 (2) 宝塚市固定資産税及び都市計画税過誤納金返還事務要綱(本件要綱。甲22)ア本件要綱は,固定資産税等に係る過誤納金のうち,法の規定により還付 - 6 -することができないものについて,固定資産税等に係る過誤納金返還金(以下「返還金」という。)を支払うことにより,納税者の不利益を救済し,もって,市行政に対する市民の信頼を維持することを目的とするものであり(1条),返還金の支払の対象となる過誤納金は,固定資産税等に係る過誤納金のうち以下の各号に掲げる理由により発生したもので,法の規定により時効となっているため還付することができない税額相当の金額(以下「過払税額」という。)とされている(2条)。 1号住宅用地の認定処理の誤り2号所有者認定処理の誤り3号家屋滅失処理の誤り4号前3号に掲げるもののほか,重大な課税事務上の誤りで,市長が認めるものイ市長は,過払税額を確認したときは,当該過払税額が生じる原因となった賦課 3号家屋滅失処理の誤り4号前3号に掲げるもののほか,重大な課税事務上の誤りで,市長が認めるものイ市長は,過払税額を確認したときは,当該過払税額が生じる原因となった賦課処分を受けた者に対し返還金を支払うとされ(3条1項),返還金の額は,原則として昭和59年度以後の年度に生じた過払税額及び利息相当額の合計額とされている(4条1項各号,5条)。そして,ここにいう利息相当額とは,過払税額について,当該過払税額が生じる原因となった賦課処分のあった年度の各期の納期限の日に納付があったものとみなして,その翌日を起算日とし,別に市長が定める日までの期間に対し,年5パーセントの割合で計算するものであり,その金額に100円未満の端数があるとき,又はその金額が100円未満であるときは,その端数金額又はその全額を切り捨てるとされている(4条4項)。 ウ返還金の支払を受けようとする者は,固定資産税及び都市計画税過誤納金返還支払請求書により市長に対し請求しなければならず(6条),市長は,上記請求書を受理したときは,その内容を審査し,返還金の額を確定し,固定資産税及び都市計画税過誤納金返還支払通知書により請求した者 - 7 -に通知するとともに,速やかに返還金を請求した者に支払うものとされている(7条1項,2項)。 3 前提事実(1) 当事者及び本件固定資産税等の納付原告(日本名A)は,昭和▲年▲月▲日,相続によって父親(B)から本件土地の所有権を取得した者であり,宝塚市長からの本件賦課決定を受けて,昭和59年度から平成22年度までの本件固定資産税等を別紙4記載のとおり納付してきた(なお,昭和59年度に係る本件賦課決定は被相続人であるBに対してされたものであるが,同年度分は,翌年度に原告が納付している。また, 成22年度までの本件固定資産税等を別紙4記載のとおり納付してきた(なお,昭和59年度に係る本件賦課決定は被相続人であるBに対してされたものであるが,同年度分は,翌年度に原告が納付している。また,平成23年度以降は,本件賦課決定がされていない。)。(甲1,5の1~4,6の1・2,21の1~3,弁論の全趣旨)(2) 分筆等本件土地は,昭和36年5月2日,宝塚市β×番1から分筆されて同番4の土地となり,昭和45年7月3日,宝塚市α×番の土地に変更の登記がなされた。上記×番1の土地は,昭和45年7月3日,宝塚市α××番の土地(以下「××番の土地」という。)に変更の登記がなされ,昭和48年2月28日からC株式会社(以下「C」という。)が所有していたものである。 (甲1ないし4)上記×番1の土地は,明治42年に,宝塚市β×番の土地が同×番1と同×番2とに分筆されたものであり,同×番2の土地は,宝塚市α×××番の土地(以下「×××番の土地」という。)に変更の登記がなされた。(甲3,7,弁論の全趣旨)(3) 別件訴訟本件土地周辺の土地を所有していたCは,原告らに対して本件土地に係る表示登記の抹消登記手続請求及び本件土地と公図上隣接している××番の土地との間の境界確定,被告(宝塚市)に対して境界確定などを求める訴訟を - 8 -提起し(神戸地方裁判所平成○年(ワ)第○号事件),原告は,国に対して本件土地と公図上隣接している国有地との間の境界確定を求めた訴訟(同裁判所平成○年(ワ)第○号事件)を提起し,両訴訟の弁論は併合された。神戸地方裁判所は,主要な争点は,本件土地が×××番の土地とは別個のものとして実在するか否かであるなどとした上で,本件土地は×××番の土地と同一であり,本件土地に係る表示登記は昭和36年になされた分筆 地方裁判所は,主要な争点は,本件土地が×××番の土地とは別個のものとして実在するか否かであるなどとした上で,本件土地は×××番の土地と同一であり,本件土地に係る表示登記は昭和36年になされた分筆時の過誤によって作出されたもので,当該登記は存在しない土地の所有権を表示する不実の登記である旨判示し,本件土地と××番の土地及び登記簿上隣接する国有地との間の境界確定を求める訴えをいずれも却下して,Cの原告に対する抹消登記手続請求は棄却した(同裁判所平成20年3月12日判決。以下「別件判決」という。)。原告は控訴したが(大阪高等裁判所平成○年(ネ)第○号事件),同裁判所は平成21年9月24日に控訴棄却の判決を言渡し,さらに,平成22年8月4日,最高裁判所が上告受理申立てを受理しない旨決定したことから,別件判決は確定した(以下,上記各訴訟をまとめて「別件訴訟」という。)。(甲7ないし9)(4) 本件各通知ア原告は,平成23年4月28日付けで,民法703条,法17条及び17条の4に基づき,宝塚市長に対し,原告が平成18年度から平成22年度までに納付した本件固定資産税等(合計234万8250円)及び還付加算金の還付を請求したが,宝塚市長は,同年5月20日付けで,本件要綱に該当しないため還付はできない旨を原告に通知した(以下「本件通知1」という。)。原告は,本件通知1に対して同年7月11日付けで異議を申し立てたが,同申立ては同年8月18日付けで却下された。(甲24ないし27)イ原告は,平成23年5月26日付けで,地方自治法232条の2及び本件要綱に基づき,宝塚市長に対し,原告が昭和59年度から平成17年度 - 9 -までに納付した本件固定資産税等及び利息相当額(合計2305万1400円)の還付を請求したが,宝塚市長は,同年 本件要綱に基づき,宝塚市長に対し,原告が昭和59年度から平成17年度 - 9 -までに納付した本件固定資産税等及び利息相当額(合計2305万1400円)の還付を請求したが,宝塚市長は,同年7月6日付けで,本件要綱に該当しないため還付はできない旨を原告に通知した(以下,「本件通知2」といい,本件通知1と併せて「本件各通知」という。)。原告は,本件通知2に対して同年7月11日付けで異議を申立てたが,同申立ては同年8月18日付けで却下された。(甲28ないし31)(5) 訴訟提起原告は,平成23年5月27日,甲事件の訴訟提起をし,同年10月4日,乙事件の訴訟提起をした。(当裁判所に顕著)(6) 登記の抹消本件土地に係る表示登記は,平成23年7月13日に抹消された。(弁論の全趣旨) 4 争点及び争点に対する当事者の主張(1) 本件各通知の処分性の有無(争点1。乙事件)【被告の主張】本件各通知は,いずれも事実の通知にすぎず,処分には当たらない。本件要綱は,法が返還対象としていない過誤納金に関する被告の内部規定であり,請求権の発生根拠とはならない。 【原告の主張】ア本件通知1法17条は,地方公共団体の長に過誤納金の還付を迅速に行うべきことを義務付けた規定であり,法は,かかる長の義務に対応して,請求者につき簡易迅速に還付を受ける地位を特別に保障したものと解することができる。本件通知1は,かかる特別の地位を拒絶するものであり行政処分に当たる。 イ本件通知2 - 10 -本件要綱は,地方自治法に法的根拠を有するものであり(同法232条の2),昭和59年度以降の誤納金で既に消滅時効の完成した分につき宝塚市長に返還請求がなされ宝塚市長が返還金の額を確定した場合において,返還請求者が誤納金の返 的根拠を有するものであり(同法232条の2),昭和59年度以降の誤納金で既に消滅時効の完成した分につき宝塚市長に返還請求がなされ宝塚市長が返還金の額を確定した場合において,返還請求者が誤納金の返還を受けられる旨を詳細に定めたものである。そうすると,本件要綱は,所定の支給要件を満たした場合において,固定資産税等につき誤納金を支払った者に対し,その返還を受け得る抽象的な地位を与えたものということができる(最高裁判所平成15年9月4日第一小法廷判決参照)。そして,かかる本件要綱の仕組みによれば,上記抽象的な地位に基づき具体的な支払を受けるためには返還額の確定を受けなければならないのであって,返還請求者は,宝塚市長の過誤納金返還支払通知がなされることによって初めて具体的な誤納金返還請求権を取得するのであるから,本件通知2は行政処分に当たる。 (2) 原告が平成18年度から平成22年度までに納付した本件固定資産税等相当額に係る請求の当否(争点2。甲事件)【原告の主張】ア不当利得返還請求(主位的請求)(ア) 本件賦課決定の無効課税処分における内容上の過誤が課税処分の根幹についてのそれであって,徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,不服申立期間の徒過による不可争効の発生を理由として被課税者に同処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるときには,当該課税処分は例外的に無効になるとされている(最高裁判所昭和48年4月26日第一小法廷判決・民集27巻3号629頁。以下「昭和48年判決」という。)。 本件土地はもともと不存在であり課税要件が欠けているのであるから,固定資産税等が発生する余地はなく,課税要件の根幹に重大な過誤 - 11 -があったことは明らかである。また,原告は,相続により本件土地の所 ともと不存在であり課税要件が欠けているのであるから,固定資産税等が発生する余地はなく,課税要件の根幹に重大な過誤 - 11 -があったことは明らかである。また,原告は,相続により本件土地の所有権を取得し,毎年固定資産税等を払い続けてきたのであるから,本件賦課決定につき何ら原因を与えておらず,責められるべき事情もない。 さらに,原告は,本件土地を担保として融資を受けるという利益を得ているものの,本件土地は原告の父が正当な対価を支払って購入した物であるから,このような利益をもって原告を非難することは妥当ではない。 したがって,本件賦課決定は無効であり,本件固定資産税等に係る利得を保持する法律上の原因とはなり得ない。被告は,台帳課税主義の適用により本件賦課決定は適法である旨主張するが,台帳課税主義には存在しない土地に係る固定資産税等の賦課権限を創造する効力はない。 (イ) 法律上の原因に関する本件賦課決定の主張の制限固定資産税等は固定資産の所有者が負担すべきものである。被告が主張する台帳課税主義は,あくまで課税の便宜(課税の円滑・迅速)のために所有者でない者に対する課税を適法なものとする制度(技術的手法)であるところ,かかる制度が合憲であるというためには,賦課決定を受けた真実の所有者でない者が支払った損失を回復できる方法が残されていなければならない。しかるに,本件土地は実際には存在していないものとされ,真実の所有者がいないのであるから,真実の所有者に対する不当利得返還請求によっては,原告の損失は回復されないのであって,このような場合には,本件賦課決定が無効ではないとしても,正義公平の原則から同決定を法律上の原因として主張することができなくなるというべきである。 イ国家賠償請求(予備的請求)宝塚市長は,課税庁として,納税 は,本件賦課決定が無効ではないとしても,正義公平の原則から同決定を法律上の原因として主張することができなくなるというべきである。 イ国家賠償請求(予備的請求)宝塚市長は,課税庁として,納税義務者に対し,固定資産税等の課税につき課税要件を適正に把握すべき職務上の義務を負っているものである - 12 -が,被告も当事者となっていた別件判決の言渡しによって本件土地が不存在である可能性を具体的に指摘されたにもかかわらず,課税要件の存否を確認する義務を怠り,別件判決後も漫然と本件賦課決定を行っていたのであり,このような宝塚市長の行為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上違法と評価される。 原告は,当該違法行為によって,平成20年度から平成22年度までに徴収された本件固定資産税等相当額140万8950円(各年度当たり46万9650円)の損害を受けたから,同額及び別紙3の「誤納金」欄(平成20年度から平成22年度)に記載された各金員に対する同「年月日」欄に記載の日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を請求する。 【被告の主張】ア不当利得返還請求(主位的請求)について(ア) 固定資産課税台帳には,納税義務者である当該固定資産の所有者や,その課税標準である価格,不動産登記簿の地積等が登録されており,固定資産税は,上記台帳に記載された情報に基づいて課税されるものである(台帳課税主義)。本件賦課決定は,固定資産課税台帳の記載に基づいて適法に行われていたものであるから,原告の本件固定資産税等の納付については法律上の原因がある。原告は,課税物件がないのであるから固定資産税等が発生しないと主張するが,本件土地に係る表示登記が抹消されたのは平成23年7月13日になってからのことであり,被告には不動産登記を否定する権限もないのであ ,課税物件がないのであるから固定資産税等が発生しないと主張するが,本件土地に係る表示登記が抹消されたのは平成23年7月13日になってからのことであり,被告には不動産登記を否定する権限もないのであるから,不動産登記が存在する以上,被告が固定資産税等を賦課しない理由はないのである。 また,一般に地積更正で地積が減少した(土地の一部が存在しなかった)場合において当該減少部分に係る不当利得返還請求権は発生しない - 13 -ところ,本件は土地の全部が存在しなかったという場合であり上記の場合と別異に取り扱う必要はないのであって,仮に地積更正の場合にも不当利得返還請求が可能であるとすると,固定資産税の徴収実務は大混乱をきたす。 (イ) また,行政処分が無効というためには,処分成立の当初から外形上客観的に明白な瑕疵が存在しなければならないが,本件賦課決定時においてこのような事情は認められない。原告は,本件賦課決定につき不服申立てをすることができたにもかかわらず,過去25年間にわたり一度として不服申立てをしたことがない上,本件土地は,原告が自認するとおり担保物件として機能しており,これによって原告は利益を得ていた。これらの事情に照らせば,不服申立て期間の徒過を理由として原告に本件賦課決定による不利益を甘受させることが,著しく不当であるとはいえない。 (ウ) したがって,本件賦課決定は無効ではない。 イ国家賠償請求(予備的請求)について訴えが提起されたことは,課税手続を停止する要件ではないし,被告に土地登記簿の具体的な内容を調査する義務を課するものでもないから,被告が課税徴収を控える根拠は存在しない。原告は,別件訴訟において本件土地の存在を主張し固定資産税等を納付し続けていた上,本件賦課決定に係る不服申立ても行わなかったもの 務を課するものでもないから,被告が課税徴収を控える根拠は存在しない。原告は,別件訴訟において本件土地の存在を主張し固定資産税等を納付し続けていた上,本件賦課決定に係る不服申立ても行わなかったものであるから,被告が課税徴収を行っていたことについて何ら過失はない。 (3) 原告が昭和59年度から平成17年度までに納付した本件固定資産税等相当額に係る返還請求の当否(争点3。甲事件)【原告の主張】ア主位的請求(本件要綱に基づく請求)(ア) 請求の根拠 - 14 -a 被告は,法18条の3の規定により還付できない固定資産税等につき,特別に還付する定め(本件要綱)を置いているところ,これは,不当利得に関する民法の規定の特則である法18条の3が課した5年間の短期消滅時効の制約を解除するものであり,これによって,原告は昭和59年度分の本件固定資産税等まで遡って請求することができるようになった。 すなわち,本件要綱に基づく請求の本質は民法703条の不当利得返還請求権であり,被告の主張する本件要綱の内部規定論は当たらない。 b また,地方自治法232条の2に基づき定められた本件要綱は,市長が過払税額を確認したときは当該過払税額が生じる原因となった賦課処分を受けた者に対し,返還金を支払う旨規定しており(3条),これは定められた条件(本件要綱2条及び3条)を満たす限り自動的に行われるものである。したがって,原告は,本件要綱に定める条件が充足されれば,特段の処分を要せず,被告に対して請求権を取得する(本件要綱の外部的効力)。 被告は,本件要綱が内部規定であることを理由として法規範性が否定される旨主張するが,内部規定に外部的効力を認めない趣旨は,行政庁による恣意的な権限行使を防止する点にあるのだから(平等原則),本件のように過誤 件要綱が内部規定であることを理由として法規範性が否定される旨主張するが,内部規定に外部的効力を認めない趣旨は,行政庁による恣意的な権限行使を防止する点にあるのだから(平等原則),本件のように過誤納により生じた損失をいかに回復するかという場面においては,むしろ本件要綱の外部的効力を認め,具体的権利の発生根拠としてその法規範性を認めるべきである。 (イ) 要件該当性本件は土地が存在しないのに存在していると誤認して賦課決定が行われてきたものであるところ,本件要綱は「重大な課税事務上の誤り」に - 15 -より過誤納金が発生した場合には還付を認めているものであり(2条各号),本件は1号(住宅用地の認定処理の誤り),2号(所有者認定処理の誤り)あるいは4号(重大な課税事務上の誤りで,市長が認めるもの)に該当する。 被告は,本件要綱は,被告自身の過誤によって過誤納金が生じた場合を前提としている旨主張する。しかし,上記のとおり,本件要綱に基づく請求は民法上の不当利得返還請求権に他ならないところ,当該権利発生事由として,被告の違法性ないし有責が必要になるものではない。 したがって,本件要綱にいう「誤り」とは,客観的な事実の食い違いあるいは結果的に課税根拠がないことが判明した場合を指すものと解すべきである。また,仮にこのように解せないとしても,地方公共団体の長は固定資産の実地調査を法律上義務付けられているところ,宝塚市長は本件土地の不存在を長年にわたり看過してきたのであるから,被告には「誤り」がある。 イ予備的請求(不当利得返還請求)原告の主張(前記(2)ア)のとおり,本件賦課決定は無効である。そして,法が定めた短期消滅時効の規定は,徴税事務の便宜のために設けられたものであるところ,本件では,便宜を図るべき徴税事務自体がな 原告の主張(前記(2)ア)のとおり,本件賦課決定は無効である。そして,法が定めた短期消滅時効の規定は,徴税事務の便宜のために設けられたものであるところ,本件では,便宜を図るべき徴税事務自体がなかったのであるから,同規定の適用はなく,民法の原則に従うべきである。 したがって,本件固定資産税等に係る不当利得のうち民法上の消滅時効(10年)の適用がない部分の返還を請求する。 【被告の主張】ア主位的請求(本件要綱に基づく請求)について(ア) 請求の根拠について本件要綱は,内部規定にすぎず,納税者に直接返還請求権を付与したものではない。すなわち,本件要綱は,法の短期消滅時効にかかる部分 - 16 -について被告が時効主張できることを前提として,地方自治法232条の2を根拠として定められたものであるところ,本件要綱では,宝塚市長がその裁量により本件要綱に該当すると判断した場合にのみ請求書を提出でき,支払を行うものとされているのであって,このような場合以外に請求権を認めたものではない。 (イ) 要件該当性について本件要綱は,客観的な課税事務上の過誤であり,その過誤が被告によってもたらされたものである場合を前提としているが,本件では,被告には全く過誤のない事案であって,被告は台帳の記載に基づき適正に課税事務を遂行していたにすぎないから,そもそも本件要綱の対象範囲ではなく,その適用の前提を欠く。また,本件要綱に該当するか否かの判断は宝塚市長の裁量である。 イ予備的請求(不当利得返還請求)について被告の主張(前記(2)ア)と同旨。 第3 当裁判所の判断 1 本件各通知の処分性の有無(争点1。乙事件)(1) 本件通知1についてア取消訴訟の対象となる「処分」とは,公権力の主体たる国 被告の主張(前記(2)ア)と同旨。 第3 当裁判所の判断 1 本件各通知の処分性の有無(争点1。乙事件)(1) 本件通知1についてア取消訴訟の対象となる「処分」とは,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうちで,その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最高裁判所昭和30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)ところ,原告が主張する過誤納金は公法上の不当利得であり,その還付請求権の法的性質は不当利得返還請求権に他ならないのであるから,還付請求を受けた地方自治体の長の対応如何によって上記権利の得喪が生じるものではない。 また,原告は,法17条は納税者に対して簡易迅速な還付を受ける地位 - 17 -を特に保障した規定である旨主張するが,同条は,請求を受けた地方団体の長を名宛人として過誤納金を遅滞なく還付しなければならないことを規定するにとどまり,過誤納金の還付について簡便な手続を設ける趣旨であるとは解されず,上記主張は採用できない。 イしたがって,本件通知1は,国民の権利又は法律上の利益に何ら影響を及ぼすものではないというべきであるから,処分性は認められない。 (2) 本件通知2についてア原告は,本件要綱は,所定の支給要件を満たした場合において固定資産税等につき誤納金を支払った者に対しその返還を受け得る抽象的な地位を与えるものであり,宝塚市長の過誤納金返還支払通知がなされることによって具体的な誤納金返還請求権を取得するものであるから,かかる支払を行わない旨の本件通知2は処分性を有する旨主張する。 イこの点につき,本件要綱に基づく返還金の支払は,地方自治法232条の2 よって具体的な誤納金返還請求権を取得するものであるから,かかる支払を行わない旨の本件通知2は処分性を有する旨主張する。 イこの点につき,本件要綱に基づく返還金の支払は,地方自治法232条の2に基づくものであり,本来私法上の贈与の性質を有するものであるところ,かかる支給関係は被支給者の申込みに対して行政庁が承諾することによって初めて成立するのが原則であり,このような行政庁の行為が公権力の行使としての性質を有するとはいい難い。また,本件要綱は,被告の内部規定であって,法律,政令ないし条例による委任を受けて定められたものではないから,法規としての性質を持つものではない上,証拠(甲22,29)によれば,本件要綱では返還金の支払対象者の決定が被告市長の判断に委ねられる形式になっており(2条,3条),返還を申し込む者に対して何らかの請求権を与えるような規定は存在しないのであって,本件通知2の内容も,本件要綱の規定に該当しない旨を形式的に通知するにすぎないものと認められる。 以上の点に照らせば,本件要綱が,これに基づく宝塚市長の行為について処分性を付与しているとは解せないというべきである。 - 18 -(3) まとめよって,本件各通知は,いずれも取消訴訟の対象となる「処分」には当たらないと解すべきであるから,これらの取消しを求める訴えは不適法である。 2 原告が平成18年度から平成22年度までに納付した本件固定資産税等相当額に係る請求の当否(争点2。甲事件)(1) 課税処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのものであって,徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,出訴期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に当該処分による不利益を甘受させることが,著しく不当と認められるような例外的な て,徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお,出訴期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に当該処分による不利益を甘受させることが,著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には,上記の過誤による瑕疵は,当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である(昭和48年判決)。 (2)ア固定資産税等の課税客体は,土地や家屋などの固定資産であるところ(法342条1項,702条1項,341条1号),前提事実によれば,本件土地は,本件賦課決定当初から登記簿上は存在するものの実際には存在しない土地であったものと認められる。 したがって,本件賦課決定は,課税客体という課税要件の根幹に関わる過誤を有するものである。 イ(ア) この点について,被告は,固定資産税は固定資産課税台帳に記載された情報に基づいて課税されるものであり,台帳課税主義の適用があるとした上で,本件土地は,登記簿上存在していたのであり,被告は台帳課税主義に基づいて本件賦課決定をしたにすぎないから,その手続に何ら違法性はない旨主張する。 (イ) ところで,台帳課税主義とは,固定資産税の課税を固定資産課税台帳(法380条1項)に登録されたところに従って行うという建前をいい,その具体的な現れとして,法は,固定資産税等について固定資 - 19 -産課税台帳に所有者として登録されている者を納税義務者とし(いわゆる名義人課税主義。343条2項,702条2項),そこに登録された固定資産の価格を課税標準として課するとしている(349条1項,702条2項)。これは,本来,固定資産税等は,固有資産の真実の所有者に対して当該固定資産の適正な時価を課税標準として課されるべきものであるが(法341条5号,343条1項,349条1項,702条1項,2 2項)。これは,本来,固定資産税等は,固有資産の真実の所有者に対して当該固定資産の適正な時価を課税標準として課されるべきものであるが(法341条5号,343条1項,349条1項,702条1項,2項),課税要件の早期確定による円滑迅速な課税事務処理の要請及び縦覧制度(固定資産税課税台帳の縦覧を通じて,納税者に対して固定資産の評価が適正に行われているか否かを確認する機会及び不服申立ての機会を与えること(法415条,416条参照)。)に基づき,納税義務者及び課税標準の処理につき,特に例外を認めたものと解される。そうすると,台帳課税主義とは,あくまで課税客体となる固定資産が存在することを前提として,その納税義務者及び課税標準につき特則を定めたものと解するのが相当であり,そもそも課税客体が存在しない本件において,適用されるべきものではないというべきである。 したがって,被告の上記主張は採用できない。 ウ(ア) また,証拠(甲1,2),前提事実及び弁論の全趣旨によれば,本件土地は,原告の父(B)の資産管理会社であったD株式会社が昭和46年7月2日付け売買によって取得したもので,その後,昭和51年1月3日付け売買によりBが取得し,同人の死亡に伴い,相続により原告が所有するに至ったものと認められ,本件土地に係る登記作出の原因として別件判決(甲7)が判示する,昭和36年の分筆時における表示登記の過誤につき,原告や原告の父が何らかの関与をしたと疑うに足りる事情も認められない。これに加えて,原告が,本件固定資産税等を昭和59年度以降滞りなく支払続けていたこと(前提事実 - 20 -(1))や別件訴訟において本件土地の存在を主張し続けていたこと(甲7,8)に照らすと,原告において本件土地が不存在であるとして本件賦課決定に対する不服申立てをしな と(前提事実 - 20 -(1))や別件訴訟において本件土地の存在を主張し続けていたこと(甲7,8)に照らすと,原告において本件土地が不存在であるとして本件賦課決定に対する不服申立てをしなかったことを責めるのは酷というべきであって,出訴期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として原告に当該処分による不利益を甘受させることは著しく不当であると認められる。 (イ) 被告は,仮に不当利得返還請求が認められるとすれば地積更正の場合にも同様に認められることとなり,固定資産税の徴収実務が大混乱をきたす,原告は本件土地を担保物件として用いていたことによって利益を得ていたなどと主張する。 しかし,地積更正によって地積が減少した場合には,課税客体である一筆の土地の一部分が存在しないにとどまり,当該一筆の土地に係る課税要件は存在している部分において充足しているのであるから,全く課税客体の存在しない本件とは事案を異にするというべきであり,本件と同様の事案が多数存在するとか,本件において不当利得返還請求を認めることで徴収実務が混乱を来すなどの事情は認め難い。また,固定資産税等が,土地等の資産価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課される租税と解されること(最高裁判所昭和59年12月7日第二小法廷判決・民集38巻12号1287頁参照)からすれば,担保物件として利用していたことから,直ちに固定資産税等の負担を強制することが正当化されるとも認め難い。 したがって,被告の上記主張は採用できない。 (3) まとめア(ア) 以上より,本件賦課決定は当初から無効であり,原告は,本件賦課決定に基づき納付した本件固定資産税等の還付請求権(不当利得返還請求権)を有する。そして,証拠(甲5の1~4,21の3)によれば, - 21 -平 課決定は当初から無効であり,原告は,本件賦課決定に基づき納付した本件固定資産税等の還付請求権(不当利得返還請求権)を有する。そして,証拠(甲5の1~4,21の3)によれば, - 21 -平成18年度から平成22年度までの本件固定資産税等の納付状況は,別紙1及び別紙4のとおりと認められるところ,法定の還付加算金の計算方法は次のとおりとなる。 (イ) 平成18年度から平成22年度までの1年当たりの本件固定資産税等の税額は,固定資産税額が37万4000円,都市計画税が9万5500円となり,還付金は年46万9500円(5年分の合計234万7500円)である(法20条の4の2第3項本文)。そして,固定資産税等は納期が2以上(4期)の税目であるところ(法362条1項本文,702条の7第1項本文),本件固定資産税等に係る分割納付額は,第1期が12万1500円(固定資産税9万5000円,都市計画税2万6500円),第2期以降がそれぞれ11万6000円(固定資産税9万3000円,都市計画税2万3000円)となる。 そうすると,還付加算金の計算の基礎となる還付金の額は,1000円未満は切り捨てられるから(法20条の4の2第8項,第7項,2項),第1期については12万1000円,第2期以降については11万6000円となる(年合計は46万9000円である。)。そして,法施行附則3条の2第1項所定の特例基準割合が年7.3パーセントよりも低いことは公知の事実であるところ(別紙2参照),上記各金額を基礎として各納付日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日から,特例基準割合(ただし,平成26年1月1日以降は,特例基準割合又は年7.3パーセントのいずれか低い方。)に従って還付加算金を算出することとなるが(法施行附則3条の2第3項),このように算出された ,特例基準割合(ただし,平成26年1月1日以降は,特例基準割合又は年7.3パーセントのいずれか低い方。)に従って還付加算金を算出することとなるが(法施行附則3条の2第3項),このように算出された還付加算金の合計額のうち100円未満の端数金額は切り捨てられることとなる(法20条の4の2第7項,第5項)。 イよって,原告が平成18年度から平成22年度までに納付した本件固定資産税等相当額に係る不当利得返還請求は,234万7500円及びうち - 22 -別紙1の「誤納金額」欄記載の各金員に対する同「本判決における起算点」欄記載の各日から宝塚市長が還付のため支出を決定した日まで,それぞれ別紙2の「期間」欄に対応する同「特例基準割合等」欄記載の割合による金員(還付加算金)の支払(ただし,還付加算金の合計額のうち100円未満の端数金額は切り捨てる。)を求める限度で理由があるものと認められる(なお,起算点については,原告主張の起算点が,本来の起算点よりも遅い場合には原告主張の起算点に基づき,本来の起算点よりも早い場合には本来の起算点に基づいている。)。 ウなお,上記金額は原告の主位的請求の金額を下回るものであるが,この差異は損失額の算出に係る適用法条の相違に基づくものであるといえ,仮に原告の予備的請求に係る請求権が認められたとしても,上記金額を超えるような損害額を認めることはできないのであるから,結局,予備的請求は棄却すべきことになる。 3 原告が昭和59年度から平成17年度までに納付した本件土地の固定資産税等相当額に係る返還請求の当否(争点3。甲事件)(1) 主位的請求(本件要綱に基づく請求)についてア原告の主張を整理すると,原告は,①本件要綱は法が定める短期消滅時効の制約(18条の3第1項)を解除するものであって, 点3。甲事件)(1) 主位的請求(本件要綱に基づく請求)についてア原告の主張を整理すると,原告は,①本件要綱は法が定める短期消滅時効の制約(18条の3第1項)を解除するものであって,本件要綱に基づく請求の本質は民法703条の不当利得返還請求権であること,②本件要綱は定められた条件(本件要綱2条及び3条)を満たす限り自動的に過払税額の返還を行うものであるから,地方自治法232条の2及び本件要綱は,被告に対する請求権を付与するものであることの2点を請求権の発生根拠として主張するようである。 イ(ア) しかし,法は,18条の3第1項による時効消滅の利益は放棄することができないとして,時効の絶対的効力を定めているところ(18条の3第2項,18条2項),原告の上記主張①は,実質的にみて,かか - 23 -る法の規定を無視するに等しい上,前記(1(2)イ)のとおり,本件要綱に基づく返還金の支払は,地方自治法232条の2に基づくものであり,本来私法上の贈与の性質を有するものというべきであるから,その本質が不当利得返還請求権であるとは解しがたい。また,前記(1(2)イ)のとおり,本件要綱には具体的な請求権の発生根拠になるような規定はない。したがって,原告の上記主張①及び②は,いずれも採用できない。 (イ) なお,原告は,平等原則などを根拠として,本件要綱について外部的効力を認め,具体的権利の発生根拠としてその法規範性を認めるべきである旨主張するが,平等原則を媒介することによって本件要綱が一定の外部的効力を有する場合があるとしても,平等原則を具体的権利の発生根拠とみることはできない。 また,仮に本件要綱に基づく請求権が認められるとしても,本件要綱が市行政に対する市民の信頼を維持することを目的とするものであること(1条)に 平等原則を具体的権利の発生根拠とみることはできない。 また,仮に本件要綱に基づく請求権が認められるとしても,本件要綱が市行政に対する市民の信頼を維持することを目的とするものであること(1条)に照らせば,本件要綱は,被告職員の事務処理上の誤りに基づき発生した過払税額に限定されると解される。しかるに,前提事実によれば,原告の過払税額が発生した原因は,分筆時の登記の過誤(登記官の誤り)であるというのであって,当該過誤は外観上明らかなものでなく,実地調査等によってこれを発見することは著しく困難であったと認められる。したがって,上記過払税額の発生につき,被告職員の事務処理に誤りがあったとは認め難く,結局,本件要綱の適用はないというべきである。 したがって,いずれにしても原告の主張には理由がない。 (2) 予備的請求(不当利得返還請求)についてア原告は,法が定めた消滅時効の規定(18条)は徴税事務の便宜のために設けられたものであるとして,本件では便宜を図るべき徴税事務自体が - 24 -なかったのであるから,上記規定の適用はなく,民法の原則に従うべきである旨主張する。 しかし,同条は公法上の債権に係る権利関係を早期に安定させることを目的とする規定と解される上,法17条以下に規定された過誤納金の還付は公法上の不当利得返還の性質を有するものであり,法17条以下の各規定は,納付された地方税に関し,民法の不当利得の特則を定め,それにより過誤納金について民法上の不当利得の規定の適用を排除する趣旨と解するのが相当であるから,上記主張は採用できない。 イしたがって,民法上の不当利得の規定の適用を前提とする原告の予備的請求は理由がない。 第4 結論以上の次第で,原告の請求は,234万7500円及びうち別紙1の「誤納金額」欄記 い。 イしたがって,民法上の不当利得の規定の適用を前提とする原告の予備的請求は理由がない。 第4 結論以上の次第で,原告の請求は,234万7500円及びうち別紙1の「誤納金額」欄記載の各金員に対する同「本判決における起算点」欄記載の各日から宝塚市長が還付のため支出を決定した日まで,それぞれ別紙2の「期間」欄に対応する同「特例基準割合等」欄記載の割合による金員(還付加算金)の支払(ただし,還付加算金の合計額のうち100円未満の端数金額は切り捨てる。)を求める限度で理由があるから認容し,本件各通知の取消しを求める部分は不適法であるから却下し,その余は理由がないからいずれも棄却することとして,仮執行の宣言は相当でないからこれを付さないこととし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部 裁判長裁判官栂村明剛 - 25 - 裁判官福島かなえ 裁判官小西俊輔
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