平成15年(行ケ)第331号審決取消請求事件(平成16年7月5日口頭弁論終結)判決原告オルガノ株式会社訴訟代理人弁護士永島孝明同伊藤晴國同弁理士伊藤高英同磯田志郎同細田浩一同復代理人弁護士明石幸二郎被告株式会社東芝訴訟代理人弁護士吉武賢次同宮嶋学同弁理士佐藤政光 主文 特許庁が無効2002-35248号事件について平成15年6月17日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 手続の経緯(1) 被告は,発明の名称を「中空糸膜濾過装置」とする特許第1851891号(昭和59年3月31日出願,平成6年6月21日設定登録,以下「本件特許」という。)の特許権者である。 原告は,平成14年6月14日,本件特許の特許請求の範囲第1項に係る発明(以下「本件発明」という。)について無効審判の請求をし,無効2002-35248号事件として特許庁に係属した。特許庁は,同事件について審理した上,平成15年6月17日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月27日,原告に送達された。 (2) 原告は,平成15年7月 ついて審理した上,平成15年6月17日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月27日,原告に送達された。 (2) 原告は,平成15年7月24日,本件審決の取消しを求める本訴を提起した。一方,被告は,本訴の係属中に,特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的として,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲第1項の訂正等を求める訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2003-39256号事件として審理し,平成16年3月23日,「特許第1851891号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」との審決(以下「本件訂正審決」といい,その訂正を「本件訂正」という。)をし,その謄本は,同年4月2日,原告に送達され,確定した。 2 本件明細書の特許請求の範囲第1項の記載(1) 本件審決時少なくとも流入口と流出口を設けた容器本体と,前記容器本体内に配設した仕切板と,前記仕切板に固定された中空糸膜モジュールとから構成された中空糸膜濾過装置において,前記中空糸膜モジュールは取水管と,前記取水管の周囲に配設された多数本の中空糸膜フィルタと,前記取水管と前記中空糸膜フィルタの両端を解放状態で接着固定した端部材とから構成され,前記中空糸膜フィルタ内に浸透した処理液の一部が上記中空糸膜フィルタの中空部の下端から取水管に流れるようにしたことを特徴とする中空糸膜濾過装置。 (2) 本件訂正後(注,本件訂正による訂正箇所を下線で示す。)容器本体と,前記容器本体内に配設した仕切板と,前記容器本体の前記仕切板より下方位置の流入口に設けた液体供給管と,前記容器の上端部の流出口に設 ,本件訂正による訂正箇所を下線で示す。)容器本体と,前記容器本体内に配設した仕切板と,前記容器本体の前記仕切板より下方位置の流入口に設けた液体供給管と,前記容器の上端部の流出口に設けた処理液排出管と,前記容器本体の下端部の流出口に設けた濃縮液排出管と,前記仕切板に固定された中空糸膜モジュールとから構成され,かつ濾過操作が中止されて逆洗操作が行われ濃縮液が排出されるようにした中空糸膜濾過装置において,前記中空糸膜モジュールは取水管と,前記取水管の周囲に配設された,液体中の分散固形物を捕捉する多数本の中空糸膜フィルタと,前記取水管と前記中空糸膜フィルタの両端を解放状態で接着固定した端部材とから構成され,前記液体中の分散固形物が分離されて前記中空糸膜フィルタ内に浸透した処理液の一部が上記中空糸膜フィルタの中空部の下端から取水管に流れるようにしたことを特徴とする中空糸膜濾過装置。 3 本件審決の理由本件審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,原告(請求人)が主張する無効理由及び証拠方法によっては,本件発明に係る特許を無効とすることはできないと判断した。 なお,原告が無効審判において主張した無効理由は,(1)本件発明は,特公昭53-35869号公報(本訴甲2,審判甲2)及び特開昭58-183916号公報(本訴甲3,審判甲3)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるので,その特許は同法132条1項の規定により無効とされるべきである,(2)本件特許について平成13年10月10日にされた訂正は,特許法126条1項ただし書の規定に違反してされたものであるから,本件特許は同法123条1項7号の規定により無効とされるべきであると ある,(2)本件特許について平成13年10月10日にされた訂正は,特許法126条1項ただし書の規定に違反してされたものであるから,本件特許は同法123条1項7号の規定により無効とされるべきであるというものである。 第3 原告主張の審決取消事由本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲第1項の記載は,出願時に遡って,上記第2の2(2)記載のとおりであったことになるから,本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲第1項の記載(上記第2の2(1))のとおり認定し,その進歩性を判断した本件審決は,判断対象となるべき本件発明の要旨認定を誤ったことに帰し,違法なものとして,取り消されるべきである。 第4 被告の反論本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲第1項の記載が上記のとおり訂正され,本件発明の要旨が上記第2の2(2)記載のとおりのものとなったことは認める。本件審決が取り消されるべきものであることについては,争わない。 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。そうすると,本件審決が本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲第1項の記載(上記第2の2(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,その誤りは本件審決の結論に影響を及ぼす瑕疵であるということができるから,本件審決は,違法として取り消されるべきである。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第2部裁判長裁判官篠原勝美 請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 主文 東京高等裁判所知的財産第2部裁判長裁判官篠原勝美 裁判官古城春実 裁判官岡本岳
▼ クリックして全文を表示