主文 本件上告を棄却する。理由 弁護人前堀政幸の上告趣意第一点のうち、憲法三九条違反をいう点について検討すると、記録によつて認められる本件の訴訟経過によれば、原判決が本件公訴事実中詐欺の点につき判決理由中において無罪の判断を示したことは、さきになされた第一次控訴審判決における同様の判断との関係において、憲法三九条にいう「既に無罪とされた行為について刑事上の責任を問」うたものではないことが明白であるといわなければならない。第一次控訴判決における無罪部分は、牽連犯として起訴された事実の一部に関するものであるから、被告人のみからの上告申立によつても、有罪部分と共に上告審に移審係属し、上告審のした差戻判決によつて、再び控訴審に係属したものとみるべきであつて、第一次控訴審かぎりで別個に確定したとはいえないからである。とすれば、所論は前提を欠き、適法な憲法違反の主張にあたらないものというべきである。上告趣意第一点のその余の主張は、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。同弁護人の上告趣意第二点ないし第四点は、事実誤認ないし単なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。また、記録を調べても、本件について刑訴法四一一条を適用すべき点は認められない。よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。昭和四六年六月二三日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官小川信雄- 1 -裁判官色川幸太郎裁判官村上朝一裁判官岡原昌男 裁判官 色川幸太郎 裁判官 村上朝一 裁判官 岡原昌男
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