- 1 -令和5年10月31日判決言渡令和5年(行コ)第171号市長に対する不信任決議の取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和4年(行ウ)第398号)主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 α市議会が令和4年7月28日付けで控訴人に対してした不信任の決議を 取り消す。 第2 事案の概要(略語は、特に断りのない限り原判決の例による。以下同じ。) 1 本件は、被控訴人(1審被告)であるα市の市長であった控訴人(1審原告)が、α市議会が市長の不信任の議決をしたことから、同市議会を解散し、同市議会議員選挙が行われたところ、解散後に初めて招集された同 市議会が、再び市長の不信任の議決(以下「本件不信任議決」という。)をし、本件不信任議決の通知を受けたことにより失職したが、本件不信任議決は違法であるとして、被控訴人に対し、その取消しを求めた事案である。 原審は、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人がこれを不服として控 訴した。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、以下のとおり原判決を補正し、後記3のとおり当審における控訴人の主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし3に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決2頁15行目の「原告は、」の次に「令和4年6月16日の時点で- 2 -のα市長であり、その後」を加える。 ⑵ 原判決4頁17行目から18行目にかけての「従わなかった」を「違反した」に、同行目の「議会軽視の」を「市政運営全般における強引な」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決5頁9行目の「要件を欠く」の次に「ものであ 4頁17行目から18行目にかけての「従わなかった」を「違反した」に、同行目の「議会軽視の」を「市政運営全般における強引な」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決5頁9行目の「要件を欠く」の次に「ものであり、同条1項、2項 に違反する」を加える。 3 当審における控訴人の主張⑴ 本件不信任決議の主な理由は、α市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の執行を阻止しようとした違法な本件条例に控訴人が従わなかったことである。 ⑵ 不信任の議決において、その理由に法的な誤りが存在する場合は、司法による法的な判断がされてしかるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないと判断するものであり、その理由は、原判決6頁8行目の「2項の要件を欠く」を「1項、2項に違反する」に改め、 後記2のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」(以下「原判決第3」という。)の1及び2に記載のとおりであるから、これを引用する。 2 当審における控訴人の主張に対する判断⑴ 控訴人は、本件不信任決議の主な理由は、α市高齢者保健福祉計画・介護 保険事業計画の執行を阻止しようとした違法な本件条例に控訴人が従わなかったことである旨主張する。 しかし、本件不信任決議の内容は、原判決別紙記載のとおりであって、不信任の理由につき、「A市長は、先の不信任決議について明らかな論点のすり替えをおこなっている。あたかも介護老人福祉施設の新設をめぐって市長 と議会が対立し、市長の政策を議会が妨害しているかのような主張を繰り返- 3 -しているが、不信任の理由は、A市長の民主主義のルールを無視した強引な進め方に対するものであり、政策以前の問題で と議会が対立し、市長の政策を議会が妨害しているかのような主張を繰り返- 3 -しているが、不信任の理由は、A市長の民主主義のルールを無視した強引な進め方に対するものであり、政策以前の問題である。このことは、B中学校西側市有地の活用や介護老人福祉施設の新設について前向きな考えを持つ議員さえ、不信任決議に賛成したことからも明らかである。A市長のあまりにも強引な市政運営は、介護老人福祉施設をめぐる問題だけではなく、地域公 共交通の実証実験やβ地区の開発計画等においても繰り返されてきた。」と明示されており、控訴人が主張するような理由で本件不信任決議に至ったものでないことは明らかである。 したがって、控訴人の前記主張は採用できない。 ⑵ また、控訴人は、不信任の議決において、その理由に法的な誤りが存在す る場合は、司法による法的な判断がされてしかるべきである旨主張する。 控訴人の前記主張は、要するに、本件条例が違法であり、控訴人がこれに従わないことを理由とする本件不信任議決の当否について司法判断されるべき旨主張するものと解されるが、本件不信任議決の理由は、前記⑴認定のとおりであるから、控訴人の前記主張は前提を欠くものであって、採用できな い。なお、前記⑴の理由によって本件不信任決議をしたことが法的に誤りであったことをうかがわせる事情もない。 ⑶ 控訴人の当審におけるその余の主張も、原審における主張を繰り返すもの又はその前提を欠くものであるなど、前示の認定判断を左右するに足りるものとはいえない。 3 よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第16民事部 - 4 -裁判長裁判官土 主文 の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 東京高等裁判所第16民事部 裁判長裁判官土田昭彦 裁判官古谷健二郎 裁判官森岡礼子
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