令和5(わ)214 住居侵入、強盗致傷

裁判年月日・裁判所
令和6年5月17日 岐阜地方裁判所
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判決文本文2,886 文字)

宣告日令和6年5月17日事件番号令和5年(わ)第214号被告人A及びBに対する住居侵入、強盗致傷被告事件 主文 被告人両名をそれぞれ懲役7年に処する。 被告人両名に対し、未決勾留日数中各170日をそれぞれその刑に算入する。 理由 【罪となるべき事実】被告人両名は、金品を強奪しようと考え、C、D、E及び氏名不詳者らと共謀の上、令和5年5月2日午後2時29分頃、岐阜県大垣市(住所省略)所在のF(当時75歳)方に、同人方インターフォンを鳴らし、玄関ドアを開けて応対に出た同人に対し、「東邦ガスです。」などと言い、異変を感じた同人が玄関ドアを閉めようとするや、玄関ドアを引き開けて同人方に侵入し、その頃から同日午後2時49分頃までの間、同所において、あらかじめ用意していたバールを示すなどしながら、同人に対して「殺すぞ。」「金はどこだ。」などと言って脅迫し、さらに、同人の両手親指を結束バンドで緊縛し、複数回にわたり、同人の顔面、左脇腹、左腕等を拳で殴打し、足蹴りにするなどの暴行を加えて、その反抗を抑圧し、同人が所有する現金36万円、現金約2200万円在中の金庫1個及び商品券等(額面合計36万円相当)を強取し、その際、前記暴行により、前記Fに全治約2か月を要する左多発肋骨骨折並びに全治約1か月を要する左下極腎嚢胞破裂及び上顎前歯部亜脱臼等の傷害を負わせた。 【証拠の標目】省略なお、被告人両名は、強取した現金は30万円であったと主張する。しかし、前記Fは、会長就任の祝儀として現金や商品券等をもらい、被害に遭った当日 は、その返礼のために現金等の金額を数えてリストに入力していたところであって、現金等は机の上に置いていた旨証言しているところ、同人が作成したと認められる「お祝い受領リスト 、被害に遭った当日 は、その返礼のために現金等の金額を数えてリストに入力していたところであって、現金等は机の上に置いていた旨証言しているところ、同人が作成したと認められる「お祝い受領リスト」には、「金一封300,000」「金一封30,000」「金一封30,000」などと記載されている。祝儀に対する返礼のためのメモという性質上その記載に誤りが混入する可能性は考え難いことからすれば、上記リストの記載の信用性は高く、また、Fは、被害後に警察と一緒に現場を確認したが、現金は残っていなかった旨も述べていることからすれば、被害に遭った当時、総額36万円の現金が机の上にあり、これらが全額奪われたと認められる。 この点被告人Bは、上記机の上に置かれていた現金をポケットに入れた後、2階洋室に移動して2度これを数えたところ、30万円であったと供述する。しかし、約20分間と短時間の犯行時間内において行った勘定の正確さには疑問がある上、被告人B以外にも現金を机の上から持ち出したと供述するCら共犯者が、被告人Bが持ち出した30万円とは別に6万円を持ち出したことも十分に考えられる。そうすると、被告人Bの供述を踏まえても、36万円が強取されたという上記認定は揺るがない。 【法令の適用】省略【量刑の理由】本件は、被告人両名が指示役の知人や面識のなかった16歳の少年2名及びこれらの背後に存在する氏名不詳者らと共謀の上で行った住居侵入及び強盗致傷の事案である。 被告人らは、4名で被害者方に押し入り(うち2名はバールを持参)、無抵抗の高齢の被害者に対して殴る蹴るなどの暴行を加えるなどしており、より重い怪我をさせる可能性もあった危険な態様であった。被害者に全治約2か月の大怪我を負わせただけでなく、2階から飛び降りることを余儀なくさせるほどの強い恐怖心 る蹴るなどの暴行を加えるなどしており、より重い怪我をさせる可能性もあった危険な態様であった。被害者に全治約2か月の大怪我を負わせただけでなく、2階から飛び降りることを余儀なくさせるほどの強い恐怖心も抱かせ、約2272万円もの多額の財産を奪っており、被害結果は重大である。 被告人両名は、指示役の知人に当初空き巣に誘われてこれに応じ、その指示に従って実行犯として本件に関わったものであるが、空き巣ではなく12億円を狙った強盗であることを知った後も思いとどまることなく、指示されたわけでもないのに犯行遂行のために結束バンド等の道具を準備するなど積極的に関わった。特に被告人Aは、指示役の知人と連絡を取りつつ犯行に及び、直接傷害結果に繋がった可能性の高い強度の暴行を被害者に加え、現場において他の実行犯らに指示を与えるなど最も積極的に関わり、被告人Bも、被害者に暴行を加えているほか、現金や金庫の持ち出しを行うなどの重要な役割を果たしている。 しかも、被告人両名は、前科こそないものの、いずれも詐欺等の非行により保護観察中の身であったものであり、それにもかかわらず極めて安易に犯罪の誘いに乗ったという点も悪質である。 他方、被害総額約2272万円のうち現金2096万円は被害者に返還されており、被告人Aについては更に母親が200万円を用意して被害弁償を申し出るなどしたという事情もあり、これらは被告人両名ないし被告人Aのために酌むことができる。しかし、被告人Aには自首が成立し、被告人Bも当初から犯行を認めているという点については、被告人両名が強奪した現金を指示役に渡すことなく持ち逃げして襲撃され、その難を逃れるために付近の建造物に侵入して現行犯人逮捕されたという事情があることなどからして酌むにも限界があり、そのほかに弁護人らが主張する事情もさして酌 示役に渡すことなく持ち逃げして襲撃され、その難を逃れるために付近の建造物に侵入して現行犯人逮捕されたという事情があることなどからして酌むにも限界があり、そのほかに弁護人らが主張する事情もさして酌むべき事情には当たらない。 以上によれば、被告人両名の刑事責任は、いずれも「強盗致傷」「実行共同正犯」「侵入強盗」「処断罪と同一又は同種の罪の件数1件」「累犯前科、同種前科、執行猶予中の前科、仮釈放中の前科又はその他の量刑上考慮した前科の有無すべてなし」の条件で検索して得られるデータ(「6年以下」を中心として「3年以下」から「8年以下」ないし「9年以下」までの山型の分布になる。)から上記以外の前科や併せて起訴された余罪のないもの(「8年以下」以上のものはこのような前科や余罪があるものが大半である。)を除外した残りのうち相当に重い部類のものと 同等といえる(なお、被告人A、被告人Bは双方重要な役割を担っており、上記の通り被告人Aのみに認められる有利な一般情状があることも踏まえれば、被告人両名の責任に刑に差をつけるほどの違いがあるとはいえない。)。よって、主文のとおり刑を定めた。 (求刑-被告人両名につきそれぞれ懲役7年弁護人の科刑意見-被告人両名につきそれぞれ懲役5年)令和6年5月21日岐阜地方裁判所刑事部 裁判長裁判官村瀬賢裕 裁判官濱口紗織 裁判官津田康平

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