【DRY-RUN】主 文 原判決中被告人A1に関する部分を破棄する。 被告人A1を懲役二年に処する。 被告人A1に対する原審の未決勾留日数中一〇〇日を右本刑に算入する。 押収にかかる物件中
主文 原判決中被告人A1に関する部分を破棄する。 被告人A1を懲役二年に処する。 被告人A1に対する原審の未決勾留日数中一〇〇日を右本刑に算入する。 押収にかかる物件中原審裁判所昭和三八年押第一一号の証第一号猟銃(五連銃)一挺、同じく証第二号猟銃(二連銃)一挺、同じく証第六号の一猟銃実包一二四発及び同じく証第六号の二発射済み薬莢五個を被告人A1から没収する。 その余の被告人についての本件被告人及び検事の各控訴をいずれも棄却する。 訴訟費用中原審証人B1(第一、二回)に支給した分は被告人A1の負担、当審証人B2に支給した分は被告人A2の負担、同B3に支給した分は被告人A3の負担、同B4、同B5、同B6に支給した分は、被告人A2、同A3、同A1、同A4、同A5の負担とする。 理由 検察官香山静郎の控訴の趣意は記録編綴の鳥取地方検察庁検察官検事吉開猛名義の控訴趣意書、被告人A2の主任弁護人前田修の控訴の趣意は同弁護人及び弁護人田中節治名義の控訴趣意書、被告人A3、同A4の弁護人前田修の控訴の趣意は同弁護人名義の控訴趣意書、被告人A5の弁護人中田正子の控訴の趣意は同弁護人名義の控訴趣意書、被告人A1、同A6の弁護人君野駿平の控訴の趣意は同弁護人名義の控訴趣意書各記載のとおりであり、被告人A7、A8の弁護人田中節治の検察官控訴に対する意見は同弁護人名義意見書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。 これに対する当裁判所の判断は次のとおりである。 (被告人A2関係)一、 弁護人前田修同田中節治の控訴趣意中原判示第一事実に対する事実誤認の主張について所論は、被告人A2において判示の如くC1組事務所に出かけて発砲したことは間違ないが、然し右は偵察に赴いたところ相手方から狙撃され 田中節治の控訴趣意中原判示第一事実に対する事実誤認の主張について所論は、被告人A2において判示の如くC1組事務所に出かけて発砲したことは間違ないが、然し右は偵察に赴いたところ相手方から狙撃されたので、これに対する威嚇の目的で、致命傷を与えにくい散弾を用い相当距離からしかも空中に向けて発砲したものであつて、殺害の意図を有しなかつたものであるのに、原判決がこれを殺人未遂に問擬したのは事実の誤認であるというのである。 然しながら原判決挙示の証拠並びに原審で取調べた司法警察員作成昭和三八年一月二八日付検証調書及び当審裁判所実施にかかる検証調書を総合すると、原判示の事実を肯認することができる。即ち、被告人A2は検察官に対する供述調書において、C1組々員を殺害する意図であつたことを認めているのみならず、初回の襲撃に失敗すると再度の襲撃を試み、空中に発砲したのでなくC1組事務所隣家の屋根にいた同組員めがけて発砲し、使用した二連猟銃及び実包の機能と射程距離の点からいつても命中すれば相手に致命傷を与え得る関係にある(二二、八米離れた地点から発射しているが、射程距離二五米以内であれば人体に致命傷を与え得る)ことが前掲証拠により明かであつて、殺意を以て発砲したがその目的を達し得なかつた事実を認定するにつき足らないところはない。論旨は理由がない。 二、 弁護人前田修の控訴趣意中原判示第二(二)事実に対する事実誤認もしくは法令適用の誤りの主張について所論は、被告人A2において原判示C2会事務所において鍬の柄が存置してあるのを見かけたことは間違いないが、同被告人には共同加害の目的もなく、又そもそも右事務所を住居としているものであるから集つて来たという関係にはないものであり、自分の住居から退去しない限り集合したことになるというのもまことに不合理であつて、 には共同加害の目的もなく、又そもそも右事務所を住居としているものであるから集つて来たという関係にはないものであり、自分の住居から退去しない限り集合したことになるというのもまことに不合理であつて、原判決が兇器準備集合罪に問擬したのは、事実を誤認したか又は法令の解釈適用を誤つたものであるというのである。 原判決挙示の証拠を総合すると、原判示冒頭事実記載の如き経緯により、昭和三八年一月一二日午後八時過頃C1組々員より被告人A2等の所属するC2会のC3支部事務所が襲撃され、よつて原判示第二(一)(二)事実記載の各被告人が右事務所に集つて来たこと、もつとも、あるものは従前より右事務所を住居とし、あるものは当時偶々右事務所に遊びに来ていたものであり、あるものは襲撃の後にこのことを知つてあるいは知らずして事務所に来たものであつて、襲撃の難に遭つたものはその直後頃から、襲撃の模様を後に聞いたものはその直後頃から、いずれもC1組々員の生命身体等に対する共同加害の意図を有するに至つたこと(以上についての詳細は後に被告人A1の控訴趣意に対し述べるとおりである。)、被告人A2自身はC2会C3支部長たる被告人A1が興行師をしているのでその手伝いをするとともに、従来より右事務所を住居とする者であること、C1組々員による襲撃後殊に支部長名義の看板が奪取されていることを見てくやしくてたまらず、直ちに前記二連猟銃と実包を持出し、被告人A3と共に前記の如くC1組事務所を襲つて殺人未遂を犯したこと、事務所に帰つて同所にたむろする被告人A1、同A5、同A8、同A3等とC1組事務所の模様及び打ち合いの状況について話合い、更に自から被告人A4原審相被告人A9のかり出しに奔走したこと、なお、前記の如く集つている各被告人がC1組々員の生命身体等に対し共同加害の目的を有していること の模様及び打ち合いの状況について話合い、更に自から被告人A4原審相被告人A9のかり出しに奔走したこと、なお、前記の如く集つている各被告人がC1組々員の生命身体等に対し共同加害の目的を有していることを認識しており、同月一三日夕刻には原判示の如く鍬の柄が購入されたが、おそくとも一四日朝までには階下の部屋に右一〇本位が設え付けられていることを現認し、自からもこれを手にし相手方の襲撃があつた時はこれで立ちむかい害を加える考えで警戒を続け、引続き原判示の期間右事務所内外に待機していたこと、を認めることができる。 <要旨第一>刑法第二〇八条の二における集合とは通常場所的移動を伴うものであるが、必ずしもそれを前提とするもの</要旨第一>ではなく、既に時と所を同じくしている二人以上のものが、同条所定の共同して害を加うる目的を有するよう<要旨第二>になり、それによつて社会的に一個の集合体とみられるに至つた場合も含まれるものと解する。而して既に右</要旨第二>共同加害の目的を以て集合しているものが、何者かによつて兇器の準備がされていることを知つた場合は、速<要旨第三>やかに右集合体から離脱しない限り不真正不作為犯として本罪が成立する。離脱しない限り本罪が成立するこ</要旨第三>と、即ち離脱の義務あることは場所的移動をしないもの、殊に集合場所が自己の住居であるものにおいても変りはないというべきである。もつとも自己の住居である場合そこより退去すべき義務は必ずしも存しないが、右集合体より離脱すること、即ち右共同加害の目的を放擲することを要し、これをしない以上本罪が成立する。前記認定の如く被告人A2が住居とする右事務所に他の被告人が集まり、被告人A2を含めて各人がC1組々員の生命身体に対する共同加害の目的を有するに至つたものであるから、被告人A2を含めて集合し 立する。前記認定の如く被告人A2が住居とする右事務所に他の被告人が集まり、被告人A2を含めて各人がC1組々員の生命身体に対する共同加害の目的を有するに至つたものであるから、被告人A2を含めて集合したことになり、兇器たる鍬の柄の準備あることを知りながら、敢てこれを手にして相手を迎撃すべく事務所を警戒する等なお集合体内に止まる意思を明示しているものであるから、本罪の成立することはいうまでもなく、原判決にはこの点に事実の誤認も法令解釈適用の誤りもない。論旨は理由がない。 三、 弁護人前田修同田中節治の控訴趣意中量刑不当の主張並びに検察官の控訴趣意について各弁護人の所論は、被告人A2の殺人未遂の所為は、C1組より襲撃されたため興奮の余り反撃に及んだもの、しかも同僚が相手の発砲により負傷を受けて始めて発砲したものであり、弾丸の威力もさして強いものでなく危険度の低いものであり且つ犯行後自首しており、その余の所為はいずれも事案軽微であるから、原判決の刑は重過ぎるというのであり、検察官の所論は、C2会とC1組とはそれぞれいわゆる暴力団であつて、原判決挙示するところの両派の争いは鳥取市民の心胆を寒からしめた大事件であり、被告人A2は前科三犯を有しC2会支部の若者頭として不健全な生活をしているものであるから、原判決の刑は軽過ぎるというのである。 よつて記録について精査する。被告人A2が被告人A3と共謀の上犯した殺人未遂の事案は、弁護人所論の如く、C1組々員が仕込杖、サーベル、短刀、猟銃等を携えて不意にC2会C3支部事務所を襲撃し、支部長たる被告人A1等に仕込杖等を示して脅迫し、玄関ガラス戸に猟銃を発射してこれを破壊し、あまつさえC2会の支部長名入りの木製看板を奪取して帰へるという暴挙に及んだためこれに憤慨してなした反撃行為であつて、C1組々員の行為 杖等を示して脅迫し、玄関ガラス戸に猟銃を発射してこれを破壊し、あまつさえC2会の支部長名入りの木製看板を奪取して帰へるという暴挙に及んだためこれに憤慨してなした反撃行為であつて、C1組々員の行為の強く指弾さるべきに比べればなお犯行の動機において同情すべき余地がないともいえないということができ、行為の形態からいつても、深慮遠謀の上必殺の方法を以てのぞんだというのではなく、むしろ反射的行為ともいうべき単純なものである。然しながら他面人家が密集し往来も少くない市街の中で猟銃を発射し、僅かの時間にしろいわば市街戦を展開したものであり、社会の安寧秩序に及ぼした影響は決して小さいということはできず、その銃弾が一般市民に命中しないとはいえないにもかかわらず、かような点は敢て意に介さない傲慢不遜な行為であるということができる。兇器準備集合の所為も前段説示の経緯からして被告人等の立場からはやむを得ないものがあるということもできるが、然し前同様社会の人心に与えた不安は大きい。又殺人未遂に使用された猟銃等は平素より被告人A2が極秘裏に保管の責に任じていたものであつて、極めて危険な所為ということができる。又被告人は、暴力犯の前科四犯を有しC2会支部の一員として平素必ずしも健全な生活を送つているものではない。以上の諸点にかんがみると、原判決の刑は各弁護人が主張する如く決して重過ぎるものでもないし、検察官が主張する如く決して軽過ぎるものでもない。論旨はいずれも理由がない。 (被告人A3関係)一、 弁護人前田修の控訴趣意中原判示第一事実に対する事実誤認の主張について所論は、被告人A3は被告人A2が判示の如くC1組事務所附近に赴いて発砲した際これに同行したことはあるが、単に偵察の目的で同行したに過ぎず、相手を殺害する意図は有しなかつたものであるのに、原判 て所論は、被告人A3は被告人A2が判示の如くC1組事務所附近に赴いて発砲した際これに同行したことはあるが、単に偵察の目的で同行したに過ぎず、相手を殺害する意図は有しなかつたものであるのに、原判決がこれを殺人未遂に問擬したのは事実の誤認であるというのである。 被告人A3は警察以来被告人A2がC1組事務所を襲つた際同行したが偵察の目的であり、被告人A2が発砲するに及んで始めて原判示二連銃の用意があることを知つたと供述し、被告人A2も右同様猟銃を使用するまでは毛布の中にかくしていたと供述するところである。然しながら原審取調にかかる、右両名が襲撃に使用した観光タクシー所属乗用車の運転手A10の検察官に対する供述調書(昭和三八年一月二六日付)によると、被告人A2、A3両名の指示でやむなく二度目に原判示農協会館横の道路をD1通りの方に向つて徐行しD2横附近に来た時、被告人A3がC1組事務所の方を見て「まだ屋根の上にいるいる。」といつており、ついで誰かが自動車の窓ガラスをあけ、被告人両名か互いに「私が射つ私が射つ」といいあつており、被告人A3が運転手に「おやじ射つたら車を走らせよ」といい被告人A2も「もたもたするな」といつており、D1通りに右折しかけ車左窓がC1組事務所に対面した頃二発の銃弾が発射されたことが認められる。即ち被告人両名が猟銃を発射してC1組々員に危害を加えるべく共謀していた事実を肯認できるのであつて(C2会C3支部の組員であるB7は原審において、被告人A3は事務所を出る時から既に銃を手にしていたと証言するところでもある。)C1組事務所隣家の屋根の上にいる同組員めがけて発射しており、使用した猟銃実包の機能及び射程距離の点からいつて命中すれば相手に致命傷を与え得る関係にあることは被告人A2の控訴趣意に対し説示したとおりであり、右の 家の屋根の上にいる同組員めがけて発射しており、使用した猟銃実包の機能及び射程距離の点からいつて命中すれば相手に致命傷を与え得る関係にあることは被告人A2の控訴趣意に対し説示したとおりであり、右の状況からいつて被告人A3においても被告人A2と共同して相手を殺害する意図があつたといわざるを得ない。論旨は理由がない。 二、 弁護人前田修の控訴趣意中量刑不当の主張並びに検察官の控訴趣意について弁護人の所論は、被告人A3の殺人未遂の所為はC1組々員の挑発に刺戟されたものであり、自からは発砲しておらずむしろ被害者の立場にあるものであり、その他家庭の事情、本人の改悛の情を考慮すると原判決の刑は重過ぎるというのであり、検察官の所論は、C2会とC1組はそれぞれ暴力団であつて、原判決挙示するところの両派の争いは鳥取市民の心胆を寒からしめた大事件であり、被告人A3は右争闘においても積極的に行動したものであり、原判示その余の事案もいずれも悪質なものであるから、原判決の刑は軽過ぎるというのである。 よつて記録について精査する。被告人A3が被告人A2と共謀の上犯した殺人未遂の事案は、C1組々員の先制攻撃に挑発されたものであつて、その動機、態様において若干の同情すべき点があることは被告人A2の控訴趣意に対し説示したとおりである外、被告人A3は被告人A2の弟分に当たるものであり、自からは発砲しておらず、被告人A2に対するよりは更に考慮の余地があるということができるけれども、他方右犯行が鳥取市民の安寧秩序に及ぼした影響の小さくないことも被告人A2の控訴趣意に対し説示したとおりである。又原判示その余の事案はいずれも善良の市民に対し些細なことに因縁をつけてこれを苦しめる悪質な事案であつて、暴力団員の不真面目な生活を顕すものということができる。以上の諸点にかんがみ たとおりである。又原判示その余の事案はいずれも善良の市民に対し些細なことに因縁をつけてこれを苦しめる悪質な事案であつて、暴力団員の不真面目な生活を顕すものということができる。以上の諸点にかんがみると、原判決の刑は弁護人が主張する如く決して重過ぎるものでもないし、検察官が主張する如く決して軽過ぎるものでもない。論旨はいずれも理由がない。 (被告人A1関係)一、 弁護人君野駿平の控訴趣意中原判示第二(一)事実に対する事実誤認、法令適用の誤りの主張について所論は、(イ)原判決は被告人A1及び判示その余の被告人にC1組々員の身体に害を加える目的があつたと認定しているが、各被告人にかような目的は存在せず、関係被告人の供述中にその存在を肯定する部分があるとしても、右は相手の殴込みを防ぐには相手をたたく必要があろうとの取調官の理詰めの誘導による供述であつて証拠となすに足らず、他にはこれを認めるに足る証拠がない。(ロ)原判決は被告人A1は被告人A11をして鍬の柄三〇本を購入させた旨、多数組員をして鍬の柄を携えて待機せしめた旨、その他全般的に組員を指揮した旨認定しているが、鍬の柄の購入を指示したのは被告人A12であつて被告人A1は代金を支払つたに過ぎず、又被告人A1において組員に鍬の柄を持つて待機せしめたりその他組員全体の指揮をとつたとみるべき何等の証拠も存在しない。(ハ)かりに被告人A1において「事務所に集つて来た多数組員をして鍬の柄を携えて待機せしめ」た行為があつたとしても、それは既に任意に集合してきた者をその後において内部的に統制した行為に過ぎず、刑法第二〇八条の二第二項は集合せしめる行為を把えて特に重く罰するものであつて、内乱罪や騒擾罪における如く集団内の地位によつて処罰の態様を異にしようとするものでないのであるから、結局原判決は内部的 、刑法第二〇八条の二第二項は集合せしめる行為を把えて特に重く罰するものであつて、内乱罪や騒擾罪における如く集団内の地位によつて処罰の態様を異にしようとするものでないのであるから、結局原判決は内部的統制行為を以て集合せしめたとする法令の解釈適用の誤りを犯したものであるというのである。 原判決挙示の証拠を総合すると、被告人A1は原判示冒頭事実記載の如き経緯によつてC2会C3支部二代目支部長となり被告人A11及び同A12はその兄弟分として幹事を勤め、被告人A2、同A3、同A4、同A8、同A5、同A6及び原審相被告人A9はその輩下としていずれも同支部に属する組員であり、被告人A13、同A7は同じくC2会の系統に属するC4組々員であること、即ち被告人A1を除くその余の者は被告人A1の指揮を受け得る地位にあることを認めることができる。 右各証拠を総合すると、昭和三八年一月一二日午後八時過頃原判示のC2会C3支部の事務所であり被告人A1の住居である家屋において、被告人A1、同A5、同A8、同A3は階下で将棋をさし、被告人A2は二階でテレビを見ていたところ、原判示の如くC1組々員の襲撃があり、被告人A1等に対し兇器を示して脅迫し猟銃を発射しあまつさえ支部長名入りの看板を奪取して引上げたこと、被告人等のうち一部の者は屋外に飛出したがやがて同家に帰えり、その後被告人A2同A3におい原判示第一の如くC1組に対し積極的行為に出るものがあつたり、あるいは連絡、警戒のため出向くものがあつたにしろ、右各被告人は同月一五日各判示の時刻頃まで同事務所内外にいたこと、被告人A2、同A3は前記の如く被告人A1の興行手伝いをなし従前より右事務所を住居としていたが、被告人A5同A8は偶々遊びに来ていたものであること、被告人A12は同日午後九時頃映画見物に出かけ、帰途偶々 A2、同A3は前記の如く被告人A1の興行手伝いをなし従前より右事務所を住居としていたが、被告人A5同A8は偶々遊びに来ていたものであること、被告人A12は同日午後九時頃映画見物に出かけ、帰途偶々C2会事務所に立寄つてC1組より襲撃があつたことを聞き、そのまま原判示の時刻頃まで同所に止まつたものであること、被告人A6は同日午後九時前市内a町のE麻雀屋に立寄つたところ、同所にいた人にC2会支部に異変があつたことを聞き右事務所にかけつけ、そのまま原判示の時刻頃まで同所に止まつたものであること、被告人A4は同日午後一〇時頃弟の宅において妻の父親より、C1組とC2会の衝突をラヂオが報した旨を聞き、右事務所にかけつけ、そのまま原判示の時刻頃まで同所に止まつたものであることを認めることができる。即ち以上の者は、C1組々員が襲撃した際既にC2会事務所に居たか又はその後に自から事務所に来たものであつて、誰からも右事務所に呼びよせられた関係にはないものであることが明らかである。 原審相被告人A9は検察官に対する供述調書及び原審公判廷において、一二日夜中自宅でC1組C2会が衝突した旨のラヂオ放送を聞いて右事務所にかけつけたと供述するのに対し、被告人A2は検察官に対する供述調書において、一二日午後一〇時頃ハイヤーによつてA4、A9を呼びに行つたところA9だけ在宅したので、これを事務所に連れ帰つたと供述するところである。かりに被告人A2において右A9を連れ帰つたとの供述が正しいとしても、右の事実を被告人A1において知つていたとの証拠もないので、いわんや被告人A1が指示して呼びよせたと認定することはできない。被告人A11は右襲撃当時兵庫県豊岡市におり、被告人A12において一二日夜電報を打つてC2会C5支部を通じ呼びよせたものであることが前掲各証拠によつて認め 示して呼びよせたと認定することはできない。被告人A11は右襲撃当時兵庫県豊岡市におり、被告人A12において一二日夜電報を打つてC2会C5支部を通じ呼びよせたものであることが前掲各証拠によつて認められるが、右の点につき被告人A12は検察官に対する供述調書において、「私は今度はC1組とC2会との対決になるかも知れんから、神戸の本部その他境港等の支部にお詫び旁々報告をした方がいいのではないかといいましたら、A1も了解されました。私は取敢えずC2会のC5支部には自分が電報を打ちますとA1さんに話しました。」と供述するので、被告人A11を呼びよせることにつき被告人A1の了解があつたとは考え得るけれども、右供述のみで被告人A1の指示によつて呼びよせたと認定するにはなお因難があるというべく、他には被告人A1が被告人A11を呼びよせたことを肯認させるに足る証拠はない。なお被告人A1が前掲被告人以外のものを当時呼びよせたとする証拠も存しない。 以上の次第で、被告人A1はその余の被告人等に対し指示を与え得る地位にはあるけれども、判示第二(一)事実につき散在する者を指示して一個所に集めるという形においてこれを集合せしめたとする証拠はないといわなくてはならない。 而して既に時と所とを同じくする二人以上のものが、刑法第二〇八条の二所定の共同して害を加える目的を有するに至れば、同条第一項にいう「集合した」ことになることは、被告人A2の控訴趣意に対し説示したと<要旨第四>おりであるが、右同様に、既に時と所とを同じくする二人以上のものに対し右所定の目的を附与し社会的に一</要旨第四>個の集合体を形成せしめたものは、同条二項にいう「集合せしめた」ものに該当するというべきである。そこで、被告人A1において時と所とを同じくする前掲の者達に対し、C1組々員の生命身体に対し /要旨第四>個の集合体を形成せしめたものは、同条二項にいう「集合せしめた」ものに該当するというべきである。そこで、被告人A1において時と所とを同じくする前掲の者達に対し、C1組々員の生命身体に対し共同して害を加うる目的を附与したか否かにつき案ずるに、これを肯認するに足る証拠はないというべきである。前掲各証拠によると、むしろ襲撃の難に遭つたものはその瞬間からC1組々員に対する反撃もしくは再度襲撃の場合迎撃して共同して加害する意図を持ち、その後かけつけたものも襲撃の知らせを聞いた時から、あるいは到着後襲撃模様の詳細を聞いた時から前同様の意図を持つたことが認められる。即ち、両派の間に実力行使はなく単に相反目している状態にある時、相手に対し共同して加害する目的が形成されるについては、長もしくはその他のものによる形成行為が存在することか多いが、本件の場合はC1組々員による襲撃を機縁として右共同加害の目的が形成されるに至つたものであり、支部長たる被告人A1の指示をまつ必要がなかつたものと見ることができる。もつとも原判示鍬の柄の購入については、被告人A11が検察官に対する供述調書において「A12が私に鍬の柄のようなものを買うてきてくれんかといい、私はそんなものはいらんというと、A12はまあ買うて来ておいてくれというので、私は二階に上がりA1にA12が棒を買うて来てくれというから金を出してくれというと五千円黙つて渡した。」旨供述しているところであつて、右は被告人A12が被告人A11に意見を具申し、被告人A11において長たる被告人A1の意向を質したところ被告人A1において購入すべく決裁したものであつて、畢竟被告人A1において鍬の柄を購入したものとみることが可能であるが、然し鍬の柄を購入することにより直ちに共同加害の目的を附与したとはいえないのであつて A1において購入すべく決裁したものであつて、畢竟被告人A1において鍬の柄を購入したものとみることが可能であるが、然し鍬の柄を購入することにより直ちに共同加害の目的を附与したとはいえないのであつて、かようにみ得る格別の事情があつたとの証拠はなく、むしろ前記の如く各人は既にそれ以前に共同加害の目的を有していたというべきである。なお被告人A1がC2会C3支部長であり、その余のものは弟分もしくは輩下であるので、支部長のためにC1組への反撃を決意したものがあつたかもしれないが、そうだからといつて、被告人A1が右の目的を附与しよつて集合せしめたものであるといい得ないこともとよりである。 被告人A1はC2会事務所を住居としているが、C1組々員に対し共同して加害する目的を有していたので(その目的の存在することは代金を支払つて鍬の柄三〇本を購入させたことによつても明瞭である。)、他の者と同様刑法第二〇八条の二第一項の集合したことに該当するけれども、前叙の次第で「人を集合せしめた」との証拠はないというべく、これを刑法第二〇八条の二第二項の兇器準備結集罪に問擬した原判決は事実を誤認したかもしくは法令の解釈適用を誤つたものというべく、原判決中被告人A1に関する部分は、この点において到底破棄を免かれない。 論旨は理由がある。 (従つて同被告人についての弁護人及び検察官の量刑不当の主張についての判断は省略する。)(被告人A4関係)一、 弁護人前田修の控訴趣意中原判示第二(二)事実に対する事実誤認もしくは法令適用の誤りの主張について所論は、被告人A4はC1組よりの殴込みと同時にC2会事務所にかけつけたが、その後になつて鍬の柄の準備あることを知つたものであつて、準備あることを知つて集合した関係にはなく、原判決がこれを兇器準備集合罪に問擬したのは事実を誤 りの殴込みと同時にC2会事務所にかけつけたが、その後になつて鍬の柄の準備あることを知つたものであつて、準備あることを知つて集合した関係にはなく、原判決がこれを兇器準備集合罪に問擬したのは事実を誤認したか又は法令の解釈適用を誤つたものであるというのである。 他人の生命身体等に対し共同加害の目的を以て集合しているものが後に兇器の準備あることを知つた場合は、速やかに集合より離脱しない限り不真正不作為犯として兇器準備集合罪を構成することはさきに説示したところであるが、原判決挙示の証拠を総合すると、被告人は前記の如く、急を聞いてかけつけ、C1組々員が再度襲撃した時は共同でその身体生命に害を加える目的を以て右事務所に止まり、一二月一三日午後一〇時頃鍬の柄が一五、六本右事務所に設え付けてあり、又組員数人がこれを持つて警戒に当つているのを目撃しながら、同月一六日午後三時頃まで相手の襲撃に設えて右事務所に待機していたものであることが明らかであるから、本罪に問われても致方ないところというべく、原判決には事実の誤認もなければ法令解釈適用の誤りもない。論旨は理由がない。 二、 弁護人前田修の控訴趣意中原判示第一〇第一一事実に対する事実誤認、審理不尽もしくは理由不備の主張について所論は医師F作成の鑑定書によれば、被告人A4は右各犯行時普通酩酊とは質的に異なつた酩酊状態にあり、反省力や抑制力が特に弱められていることが明らかであり、又被告人A4が酩酊によりすくなくとも心神耗弱であつたことを証する幾多の証言が存する。而して心神に機能障害がないことは検察官の立証責任にかかるところであるから、これを覆すに足る有力な証拠を挙げない限り心神に機能障害があつたと認定すべきであるのに、原判決がこれをなくして慢然と心神に機能障害がないとしたのは、事実誤認、審理不尽もしくは理 るところであるから、これを覆すに足る有力な証拠を挙げない限り心神に機能障害があつたと認定すべきであるのに、原判決がこれをなくして慢然と心神に機能障害がないとしたのは、事実誤認、審理不尽もしくは理由不備のいずれかが存在するものであるというのである。 そこで記録について精査する。被告人A4は判示第一〇事実につき司法警察員及び検察官に対する供述調書において「昭和三七年四月五日夜鳥取駅前のG店に遊びに行つたところ被告人A5同A2等がいて一しよになり、次に連れだつて市内D1通りの別のパチンコ店に行き、更に喫茶店H、ホルモン料理屋と歩き、ホルモン料理屋にドブ酒がなかつたため酒を一杯ひつかけようと被告人A2と共に外に出たら、隣に原判示バー「I」があつたので判示第九(三)事件により被告人A3等が逮捕されたことを思い出して同店に入り、ウイスキーを飲んだあと一旦ホルモン料理屋に帰つて被告人A5等を連れて再びバー「I」に赴いたこと、そこでウイスキーを注文して飲んだが、被告人A5がマダムJをつかまえ被告人A3等が逮捕された件につき話しあい何か要求していることを現認したこと、被告人A3の事件のことが腹の中にあつておさまらない気持でいるところへ、求めるレコードをかけてくれないこともあつてむらむらと腹立たしい気持になり、この店を貸切りにさせいと怒鳴り、更に灰皿を床の上に投げつけたこと」の経緯を供述しているが、その供述は比較的詳細で理路整然としており、何等の矛盾もなくしかもその余の証拠と符合しているところであるから、当時被告人は意識も明瞭で記憶も正しく、心神に格別異常がなかつたと推定することができ、原審証人Jの証言によつても「被告人A5はよく酔つていたが、被告人A4は少し飲んでいる程度でそれ程酔つておらず、店に入る時も被告人A4において被告人A5をかかえるように なかつたと推定することができ、原審証人Jの証言によつても「被告人A5はよく酔つていたが、被告人A4は少し飲んでいる程度でそれ程酔つておらず、店に入る時も被告人A4において被告人A5をかかえるようにしていた」ことが明らかであり、右の次第で被告人A4は判示第一〇の犯行時心神に機能障害はなかつたと認定することができる。被告人A4は又判示第一一事実につき司法警察員及び検察官に対する供述調書において「昭和三七年四月八日午後妻と共に前記G店に行つたところ被告人A2がいて一しよになり、午後八時閉店になるとともに三人一しよに駅に出て待合所売店でコーヒーを飲み、二の丸に花見に行くべく観光タクシーに乗つたが途中思いかえしてバー「K」支店に乗りつけたこと、同所で約二時間即ち同月九日午前零時頃まで洋酒等を飲みながら三人で歓談し、勘定は被告人A2が支払つたこと、そこで被告人A4は奢り返す気になつて近くにあつた判示バー「L」に二人を連れて行つたこと、三人で飲んでいるうち踊つてみたくなり判示の如くMに踊つてくれと申込んだが断られ、執拗に頼んでもなお断るので判示第二(一)事実の如く暴行をなし、なお同(二)事実の如くNにおいて注意したためこれに暴行を加え、最後に同(三)事実の如く器物を損壊したこと」の経緯を供述しているが、その供述は詳細で理路整然としており、何等の矛盾もなくしかもその余の証拠と符合しているところであるから、当時被告人は意識も明瞭で記憶も正しく心神に格別異常がなかつたと推定することができ、原審証人Mの証言によると、なるほど当時被告人A4が相当程度酩酊しており又その場で何等かの薬物を口にしたことが認められるけれども、同時に意識の確かな点もあつて、例えば知らせによつて警官が同店に来た後退去するに際しては「飲代金を払つておかぬとあとがうるさい。」といいながら の場で何等かの薬物を口にしたことが認められるけれども、同時に意識の確かな点もあつて、例えば知らせによつて警官が同店に来た後退去するに際しては「飲代金を払つておかぬとあとがうるさい。」といいながらその支払いをなしたことが認められ、酩酊は異常なものとまではいえないことが明らかであり、以上の次第で被告人A4は判示第一一の犯行時においても心神に機能障害はなかつたと認定することができる。原審で取調べた医師F作成の鑑定書には「被告人A4がハイミナールに対して異常な反応性を持つていること、犯行時被告人A4は当時摂取していたハイミナールとアルコールとの相乗作用によつて、尋常の酩酊とは質的に多少違つた酩酊状態にあつて反省力や抑制力がとくに弱められ、衝動性感情性がとくに高まつていたと考えられる。」旨の鑑定結果の記載かあるが、本件犯行時に摂取されたハイミナール及びアルコール量について右鑑定が前提とするところは必ずしも事実どおりであるといえないので、右鑑定結果によつて直ちに前記の認定を左右できない。よつて右各犯行当時心神に異状がないとした原判決には事実の誤認はないというべく、原判決もその判文によつて右の各証拠により被告人A4の心神に異状がないものと判断したものと理解でき、審理不尽も理由不備もないというべきである。論旨は理由がない。 三、 弁護人前田修の控訴趣意中量刑不当の主張並びに検察官の控訴趣意について弁護人の所論は、被告人A4の犯した事案はいずれも軽微である。即ち兇器準備集合の所為においてもその行為は消極的であり地位も低く、その余の犯行は酒の上で偶発的に発生したものである、現在改悛の情もあることであるから原判決の刑は重過ぎるというのであり、検察官の所論は、C2会とC1組はそれぞれ暴力団であつて原判決挙示するところの両派の争いは鳥取市民の心胆を寒から 生したものである、現在改悛の情もあることであるから原判決の刑は重過ぎるというのであり、検察官の所論は、C2会とC1組はそれぞれ暴力団であつて原判決挙示するところの両派の争いは鳥取市民の心胆を寒からしめた大事件であり、被告人A4は原判示の如き形において右争闘に参加した外その余の事案も善良な市民を苦しめた悪質なものであるから、原判決の刑は軽過ぎるというのである。 よつて記録について精査する。被告人A4等が兇器準備集合罪を犯すに至つたについては、C1組より先制攻撃されたためである等その動機に若干の同情すべき点があることは既に述べたとおりである。然し他方多数の者か兇器を準備して集合することにより社会の安寧を害し鳥取市民を不安に陥れたことも否定できないところであり、その余の事案も善良な市民を苦しめた悪質な事案であり、暴力団員としての不真面目な生活を顕しているということができる。以上の諸点にかんがみると、原判決の刑は弁護人が主張する如く決して重過ぎるものでもないし、検察官が主張する如く決して軽過ぎるものでもない。論旨はいずれも理由がない。 (被告人A5関係)一、 弁護人中田正子の控訴趣意中原判示第二(二)事実に対する事実誤認の主張について所論は、原判決は被告人A5が共同してC1組々員の身体生命に害を加える目的があつた旨認定しているところ、被告人A5等が原判示の如くC2会事務所に待機していたのは単に自衛のためであり、被告人等の自衛の結果として相手が害を受けることがあつたとしてもそれは本条にいう害を加える目的とは関係のないことであり、原判決は事実を誤認したものであるというのである。 然しながら相手方の襲撃が予想され、襲撃があつた場合はこれを迎撃し、よつて共同して相手方の生命身体等に害を加える目的がある以上刑法第二〇八条の二所定の共同して害 誤認したものであるというのである。 然しながら相手方の襲撃が予想され、襲撃があつた場合はこれを迎撃し、よつて共同して相手方の生命身体等に害を加える目的がある以上刑法第二〇八条の二所定の共同して害を加える目的ありとするに十分であつて、右の目的は自から出撃して害を加える場合に限られるものではない(最高裁判所昭和三七年三月二七日第三小法廷判決参照)。本件の場合各証拠によれば、被告人A5にはC1組々員の襲撃があつた場合共同して反撃しその身体生命等に害を加える目的があつたことが認められ、原判決にはこの点に事実の誤認はない。論旨は理由がない。 二、 弁護人中田正子の控訴趣意中原判示第一〇事実に対する事実誤認の主張について所論は、原判決は被告人A5は被告人A4と共謀の上右脅迫の所為に及んだ旨認定しているところ、右両被告人の間には共謀の事実はなく、前後の事情より犯行について相互認識するということも不可能な状態にあつた。而して被告人A5においてJに対し「被告人A3等はお前のために刑務所に入つた。云々」のことを申立てた事実だけでは脅迫したことにはならないものというべく。これを脅迫罪に問擬した原判決には事実の誤認があるというのである。 そこで記録について精査する。被告人A5同A4の各司法警察員及び検察官に対する供述調書その他原判決挙示の証拠を総合すると、被告人両名はいずれも原判示第九(三)の事実に関連して被告人A3等が逮捕されたためバー「I」に対し不快の念を持つていたこと、被告人両名等は昭和三七年五月四日バー「べニス」の隣家にある朝鮮人経営のホルモン料理屋に行つたが、被告人A4においてバー「I」が隣家にあることを見付け一旦これに入つつたが、被告人A5を呼ぶべくホルモン料理屋に帰つたこと、二人はバー「I」の前で「これが被告人A3が逮捕されるに至つた所 行つたが、被告人A4においてバー「I」が隣家にあることを見付け一旦これに入つつたが、被告人A5を呼ぶべくホルモン料理屋に帰つたこと、二人はバー「I」の前で「これが被告人A3が逮捕されるに至つた所だ」ということを話しあつた上二人揃つて同店に入つたこと、被告人A5においてマダムたるJに対し原判示の如く「被告人A3が逮捕されるに至つたのて保釈金を出してくれ」と申向け、被告人A4においてJに対し原判示の如く「店を貸切りにさせい」と申向けて灰皿を床上に投げつけたこと、被告人両名の言動は相互に認識し得る状況にあつたこと、を認めることができ、すくなくとも被告人両名は以心伝心によつて共謀の上原判示の所為に及んだことが明らかであつて、これを脅迫罪に問擬した原判決には何等事実の誤認はないというべきである。論旨は理由がない。 三、 弁護人中田正子の控訴趣意中量刑不当の主張及び検察官の控訴趣意について弁護人の所論は、被告人の所為は犯情軽微であるというのであり、検察官の所論は、C2会とC1組はそれぞれ暴力団であつて、原判決挙示するところの両派の争いは鳥取市民の心胆を寒からしめた大事件であり、被告人A5は被告人A1とC1組事務所附近まで偵察に出かける等積極的に参加しており、その余の事案も悪質で強姦等の前科を有する身であるから、原判決の刑は軽過ぎるというのである。 よつて記録について精査する。被告人A14が兇器準備集合罪を犯すに至つたについては、前記の如くC1組より先制攻撃されたためである等同情すべき点もあるが、右は鳥取市民を極度に不安な気持におとしいれた重大な事件であり、その余の事案も善良な市民を苦しめる悪質なものであり、以上の諸点にかんがみると、原判決の刑は弁護人が主張する如く決して重過ぎるものでもないし、検察官が主張する如く決して軽過ぎるものでもない であり、その余の事案も善良な市民を苦しめる悪質なものであり、以上の諸点にかんがみると、原判決の刑は弁護人が主張する如く決して重過ぎるものでもないし、検察官が主張する如く決して軽過ぎるものでもない。論旨はいずれも理由がない。 (被告人A6関係)一、 弁護人君野駿平の控訴趣意中判示第八(二)事実に対する事実誤認の主張について所論は、被告人A6が判示O等より頭部に傷害を加えられ鳥取会館に引返して後、今度は被告人A6において右Oに傷害を与えるに至つたのは連続した行為、即ち同所において右Oが従前の攻撃に引続いて再び襲いかかつたために被告人A6において反撃したものであるにもかかわらず、原判決か一旦争いは中断した後被告人A6による先制攻撃がなされたと認定し、したがつて又正当防衛又は過剰防衛の前掲たる急迫な侵害がないと認定したのは、事実を誤認したものであるというのである。 然しながら原審証人O同Pの証言、原審における被告人A6の供述を総合すると、被告人A6が判示の如く右Oより傷害を加えられ又これに対し傷害を加えたのはいわゆる喧嘩闘争の結果であることが明瞭であり、両者の攻撃は不正対不正の関係にあること、即ち被告人A6による加害の直前迄Oの攻撃があつたとするも、これを把えて刑法第三六条にいう不正の侵害といえないものであることが明らかであるから、いずれにしろ正当防衛や過剰防衛は成立せず、よつて右認定の誤りは判決に影響を及ぼさないものというべきである。しかのみならず、右O、Pの証言を総合すると、被告人A6が最後に鳥取会館に引返して来た時には既にOは攻撃体制を採つていなかつたものであつて、それを敢て被告人A6において判示の如く加害したことが認められ、かりに原審における被告人A6の供述のみを措信するとしても、被告人A6が底を割つた洋酒瓶を手にして鳥取 を採つていなかつたものであつて、それを敢て被告人A6において判示の如く加害したことが認められ、かりに原審における被告人A6の供述のみを措信するとしても、被告人A6が底を割つた洋酒瓶を手にして鳥取会館前に出た時には、相手の姿も見えなかつたものであつて、その後は相手からはさしたる攻撃はないのに被告人A6において判示の如く加害したことが認められる。論旨はいずれにしろ理由がない。 二、 弁護人君野駿平の控訴趣意中判示第九(三)事実に対する事実誤認の主張について所論は、被告人A6は被告人A8同A3と金員喝取につき共謀したことはない。 被告人A6はJに対し事の顛末を尋ねたことはあるが、金員を要求したり畏怖させたことはなく、Jにおいて暗にこれを要求されていると考えたとしても同人の一人合点であり、他の証拠なくしてこれを認定することは許されない。共謀の上金員を要求したとする原判決は事実を誤認したものであるというのである。 本件記録について精査するに、原判決挙示の証拠を総合すると優に原判示の事実を肯認することができる。 即ち被告人A3同A8が判示バー「べニス」に入つていつたところ、折柄客席は満員であつたので、マダムであるJがその旨を告げてあとで来るように云つたところ、被告人A3が怒つて原判示第九(一)(1)の如くビール瓶を投げつけ脅迫的言辞を弄したこと、また隣家であるサロン「Q」に残つていた被告人A6は、被告人A3の大声とビール瓶のこわれる音を聞いて「I」にかけつけ、Jに対し「どうしたのか外に出て話をつけよう」と無理矢理引出し、被告人A3と一しよになつてJを「Q」に連込んだこと、三人対座の上被告人A3において被告人A6に対し「Jが客の前で満員だから帰れといつたり、かつてバー「R」でも乱暴したことを口にして恥をかかした。」と訴え、被告人A6は「客の前 を「Q」に連込んだこと、三人対座の上被告人A3において被告人A6に対し「Jが客の前で満員だから帰れといつたり、かつてバー「R」でも乱暴したことを口にして恥をかかした。」と訴え、被告人A6は「客の前で恥をかかせることはあるまい。」といつてJを責めたこと、Jが謝つても「お前等の店の一軒二軒めいでやる。」等のいやがらせを執拗に申しつけて話をつけようとしなかつたこと、そこでJにおいてやむなく五〇〇〇円を交付したこと、その間被告人A8は「I」に行つたり「Q」に来たり、その場を出入りしていたこと、を認めることができ、被告人三名がすくなくとも以心伝心により共謀の上右金員を喝取したものというべく、弁護人所論の如く、被告人A6において事の顛末が知りたいのであれば、被告人A3にたずねればよいことであるのに、マダムであるJを他へ引出してその非を執拗に責めた上金員を受取つているのであるから、暗に金員を要求したとみるのが至当であり、原判決には何等事実の誤認はない。論旨は理由がない。 三、 弁護人君野駿平の控訴趣意中量刑不当の主張について弁護人の所論は、被告人A6はC2会においても地位は低く、兇器準備集合においても消極的な立場にあり、銃砲等も臨時に所持していたものに過ぎず、その余の事案も犯情軽微なので原判決の刑は重過ぎるというのである。 よつて記録について精査する。被告人A6が兇器準備集合罪を犯すに至つたについては、C1組より先制攻撃されたためである等同情すべき点もあるのであるが、右の所為は鳥取市民を極度に不安な気持におとしいれた重大な事件であり、その余の事案もあるいは危険な猟銃及び実包を保管したり、あるいは善良な市民に傷害を加えたりこれより金員を喝取する等いずれも悪質なものであるから、以上の諸点にかんがみると原判決の刑は弁護人が主張する如く決して重過ぎるも いは危険な猟銃及び実包を保管したり、あるいは善良な市民に傷害を加えたりこれより金員を喝取する等いずれも悪質なものであるから、以上の諸点にかんがみると原判決の刑は弁護人が主張する如く決して重過ぎるものではない。論旨は理由がない。 (被告人A11、同A13、同A7、同A8、同A12関係)検察官の所論は、右各被告人が所属するC2会及びC1組はいずれも暴力団であつて、右各被告人の所為になる兇器準備集合その他原判決挙示の両派の争いは、鳥取市民の心胆を寒からしめた大事件であり、殊に被告人A11同A12はC2会の幹部であるから右事案についての責任は一段と重いというべく、被告人A13は友人から猟銃を借出してくる等し、被告人A7は自から鍬の柄を購入する等して両名とも右争いに積極的に参加したものであり、被告人A8は被告人A2等と共にC1組事務所附近まで偵察に出かけたとみられるものであり、又被告人A8を除くその余の被告人はいずれも前科を有する身であつて、原判決が右各被告人に対し刑の執行猶予の恩典を与えたのは量刑極めて不当であるというのである。 よつて記録について精査するに、既に再三に亘り説示する如く、右各被告人等の兇器準備集合はC1組よりの先制攻撃を受けたためであり、又相手を積極的に攻撃するというよりむしろ相手方が攻撃に来た際これを迎撃しようというものであることが認められ、社会に与えた不安の小さくないもの等所論指摘の点を参酌するも、原判決の刑はなお破棄しなければならない程軽いとはいえない。論旨は理由がない。 以上の次第で被告人A1を除くその余の被告人については被告人及び検事の各控訴は何れも理由がないので刑事訴訟法第三九六条に則りこれを棄却し、当審における訴訟費用の負担につき同法第一八一条第一項本文を適用し被告人A1については前記の如くその控訴は理由 は被告人及び検事の各控訴は何れも理由がないので刑事訴訟法第三九六条に則りこれを棄却し、当審における訴訟費用の負担につき同法第一八一条第一項本文を適用し被告人A1については前記の如くその控訴は理由があるので刑事訴訟法第三九七条第一項第三八二条により原判決中被告人A1に関する部分を破棄し、同法第四〇〇条但書に従い当裁判所において直ちに判決する。 (罪となるべき事実)被告人A1は、昭和二七年の鳥取市大火直後福山市から鳥取市に来て、「S」という的屋の団体に加盟して露天商を始めたが、その後Tという博徒の輩下となつてこれと行動を共にするようになり、右Tが昭和三六年九月頃、神戸市内に本拠を置きUなる者を会長として一般社会から暴力団と目されている「C2会」の下部組織として「C2会C3支部」を結成し、その支部長となつたので、同被告人もこれに加盟したが、米子市方面にまで「C2会C3支部」の縄張りを拡張しようとしたため「C6組」と称する暴力団と相互に対立するようになり、遂に右TがC6組々員に殺害されるという事件が発生したため、同被告人が右Tの後を継ぎ、Vと名乗つて「C2会C3支部」の二代目支部長を襲名し、その事務所を肩書住居たる鳥取市b町c番地B6方に移し、興行師として生活を送るとともに、C2会C3支部組員にして同被告人の輩下である相被告人A2、同A3、同A8等をしてその手伝いをさせていたものであるところ第一、 同じく鳥取市内に事務所を持ち、かねてからC2会C3支部と対抗関係にある「C7組C8支部C1組」組員が、昭和三八年一月一二日午後八時過頃猟銃、仕込杖、サーベル、短刀等の兇器を携えて前記C2会事務所に殴り込みをかけ、被告人A1等に対し兇器を示して脅迫する等のことをし、更に支部長V名義の看板を奪取して引揚げるという事件が発生し、更に重ねてC1組 杖、サーベル、短刀等の兇器を携えて前記C2会事務所に殴り込みをかけ、被告人A1等に対し兇器を示して脅迫する等のことをし、更に支部長V名義の看板を奪取して引揚げるという事件が発生し、更に重ねてC1組々員が襲撃することが予想される事態に立至つたので、右襲撃当時右事務所にいた組員である相被告人A2、同A3、同A8、同A5はそのまま同事務所に止まり、更に急を聞いて同夜相被告人A12、同A6、同A4及び原審相被告人A9が、翌一三日には被告人A11が右事務所に集つて来て、同人等はいずれもC1組々員の殴込みを迎撃し、これを撃退するためその身体生命に共同して害を加える目的を有するに至つたところ、被告人A1は各人に右目的の存することを認めるとともに自己も又右目的を固め、被告人A11をして同月一三日午後七時過頃兇器として使用可能な鍬の柄三〇本を購入の上事務所に備えつけさせ、よつて右事務所において兇器の準備あることを知つて集合し第二、 被告人A1は被告人A2と共謀の上法定の除外事由がないにもかかわらず、昭和三六年一〇月二三日頃から同年一二月初旬頃まで同市a町dのe番地W方階下三畳間の床下に、ついでその頃から同三八年一月一二日頃まで同市b町c番地B6方なる「C2会C3支部」の事務所二階押入に、猟銃二挺(原審裁判所昭和三八年押第一一号の証第一、二号)並びに同実包一二九発(同じく証第六号(一)(二))を保管し、以てこれを所持したものである。 (証拠の標目)右冒頭事実及び第一、二事実は、原判決証拠欄が「原判示第一ないし第五の各事実について」として掲げるものをすべてここに引用する外、原審で取調べた昭和三八年一月二八日付司法警察員作成検証調書、本件記録中各被告人及び原審相被告人A9の原審公判廷における供述記載部分(但し関係部分のみ)並びに当審裁判所実施にかか ここに引用する外、原審で取調べた昭和三八年一月二八日付司法警察員作成検証調書、本件記録中各被告人及び原審相被告人A9の原審公判廷における供述記載部分(但し関係部分のみ)並びに当審裁判所実施にかかる検証調書によつてこれを認める。 (累犯となる前科)被告人A1は昭和三年六月七日鳥取地方裁判所で傷害罪により懲役三月に処せられ、当時その執行を受け終つたものであること、右第二事実の所為は右執行終了の日から五年以内にあることは、同被告人に対する前科調書及び本件調書中同被告人の原審公判廷における供述記載部分によつて明らかである。 (法律の適用)被告人A1の判示第一の点は刑法第二〇八条の二第一項罰金等臨時措置法第二、三条に該当するので所定刑中有期懲役刑を選択し、判示第二のうち銃砲刀剣類等所持取締法違反の点は同法第三一条第一号第三条第一項刑法第六〇条に、火薬類等取締法違反の点は同法第五九条第二号第二一条刑法第六〇条に各該当するところ、両者は一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるから、同法第五四条第一項前段第一〇条により重い銃砲刀剣類等所持取締法違反の罪の刑に従い、所定刑中有期懲役刑を選択するが、右銃砲刀剣類等所持取締法違反の罪は前示前科と累犯関係にあるので、刑法第五六条第五七条を適用して加重するところ、以上は併合罪であるから同法第四五条前段第四七条第一〇条に則り重い銃砲刀剣類等所持取締法違反の罪の刑に法定加重をなした刑期範囲内において被告人を懲役二年に処することとし、原審における未決勾留日数中一〇〇日を刑法第二一条に従つて右本刑に算入し、押収にかかる主文第五項掲記のものは判示第二の組成物件にして被告人A1以外のものに属さないものであるから、同法第一九条によつてこれを没収すべく、原審及び当審における訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第一八一条 かかる主文第五項掲記のものは判示第二の組成物件にして被告人A1以外のものに属さないものであるから、同法第一九条によつてこれを没収すべく、原審及び当審における訴訟費用の負担につき刑事訴訟法第一八一条第一項本文を適用する。 よつて主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官高橋英明裁判官竹村寿裁判官石川恭)
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