平成29年12月21日判決言渡平成25年(行ウ)第123号損害賠償等請求事件(住民訴訟) 主文 1 本件訴えのうち,次の各部分を却下する。 (1) 平成15年4月1日から平成24年3月18日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とする賠償命令又は損害賠償請求をすることを求める部分(2) 平成24年3月19日から平成25年3月31日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とする賠償命令又は損害賠償請求をすることを求める部分のうち,ア高槻市教育委員会の総務課長であったP1及びP2に対する賠償命令をすることを求める部分イ高槻市水道部の総務企画課長であったP3に対する損害賠償請求をすることを求める部分ウ高槻市交通部の総務課長又は総務企画課長であったP4に対する,(ア) 平成24年3月19日から同年11月7日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とする賠償命令をすることを求める部分(イ) 平成24年11月8日から平成25年3月31日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とする損害賠償請求をすることを求める部分 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 市長部局及び消防本部関係(1) 被告高槻市長は,次に掲げる者(以下「歴代市長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員(括弧内の金額は予備的主張に係る金額である。以下同じ。)及びこれに対する平成25年6月29日(被告らに対する訴状送達 槻市長は,次に掲げる者(以下「歴代市長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員(括弧内の金額は予備的主張に係る金額である。以下同じ。)及びこれに対する平成25年6月29日(被告らに対する訴状送達の日の翌日。以下同じ。)から支払済みまで年5分の割合による金員の請求をせよ。 P5 10億9912万6400円(3050万6500円)P6 2億6061万7600円( 723万3500円)(2) 被告高槻市長は,次に掲げる者(以下「歴代人事課長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求をせよ。 P7 2億3547万8400円( 516万0000円)P8 2億3547万8400円( 516万0000円)P9 4億7095万6800円(1032万0000円)P10 2億3547万8400円( 516万0000円) 2 教育委員会関係(1) 被告高槻市長は,次に掲げる者(以下「歴代教育長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求をせよ。 P11 7569万7900円( 49万4000円)P12 1億6334万8100円( 106万6000円)(2) 被告高槻市長は,次に掲げる者(以下「歴代教委課長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済 みまで年5分の割合による金員の請求又は賠償命令をせよ。 P13 7171万3800円( 46万8 れ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済 みまで年5分の割合による金員の請求又は賠償命令をせよ。 P13 7171万3800円( 46万8000円)P14 4780万9200円( 31万2000円)P15 2390万4600円( 15万6000円)P16 4780万9200円( 31万2000円)P1 2390万4600円( 15万6000円)P2 2390万4600円( 15万6000円) 3 水道事業関係(1) 被告高槻市水道事業管理者は,次に掲げる者(以下「歴代水道管理者」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求をせよ。 P17 972万5600円( 30万4000円)P18 2917万6800円( 91万2000円)P19 2127万4750円( 66万5000円)P20 1276万4850円( 39万9000円)(2) 被告高槻市水道事業管理者は,次に掲げる者(以下「歴代水道課長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求又は賠償命令をせよ。 P21 2188万2600円( 68万4000円)P22 1276万4850円( 39万9000円)P23 1276万4850円( 39万9000円)P10 1094万1300円( 34万2000円) 1276万4850円( 39万9000円)P23 1276万4850円( 39万9000円)P10 1094万1300円( 34万2000円)P3 1458万8400円( 45万6000円) 4 自動車運送事業関係(1) 被告高槻市自動車運送事業管理者は,次に掲げる者(以下「歴代運送管理者」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25 年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求をせよ。 P24 347万6400円( 21万6000円)P25 5446万3600円( 338万4000円)P26 5562万2400円( 345万6000円)P27 2665万2400円( 165万6000円)(2) 被告高槻市自動車運送事業管理者は,次に掲げる者(以下「歴代運送課長」という。)に対し,それぞれ次に掲げる金員及びこれに対する平成25年6月29日から支払済みまで年5分の割合による金員の請求又は賠償命令をせよ。 P28 1390万5600円( 86万4000円)P29 1390万5600円( 86万4000円)P30 2781万1200円( 172万8000円)P31 1390万5600円( 86万4000円)P13 1390万5600円( 86万4000円)P4 5562万2400円( 345万6000円)第2 事案の概要本件は,高槻市の住民である原告らが,被告らを相手 1390万5600円( 86万4000円)P4 5562万2400円( 345万6000円)第2 事案の概要本件は,高槻市の住民である原告らが,被告らを相手に,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,平成15年4月1日から平成25年3月31日まで(以下「本件期間」という。)において,高槻市の市長部局,消防本部及び教育委員会の職員ら並びに高槻市水道事業及び高槻市自動車運送事業の企業職員ら(以下,併せて「市職員ら」という。)の給与の支出負担行為及び支出命令に係る専決権者であった者(歴代人事課長,歴代教委課長,歴代水道課長及び歴代運送課長。 以下「歴代課長等」という。)及びその指揮監督権限を有していた者(歴代市長,歴代教育長,歴代水道管理者及び歴代運送管理者。以下「歴代市長等」という。)に対し,①主位的に,本件期間中に市職員らが取得した特別休暇及び病気休暇(以下「本件特別休暇等」という。)につき給与を減額することなくその支出負担行 為及び支出命令をしたことは給与条例主義に反し違法であると主張して,②予備的に,本件期間中に市職員らが取得した祭祀休暇(以下「本件祭祀休暇」という。)の一部は不正に取得されたものであるのに,これを見逃して市職員らの給与の支出負担行為及び支出命令をしたことは違法であると主張して,不法行為に基づく損害賠償請求又は賠償命令をすることを求めている住民訴訟の事案である。 1 関係法令の定め(1) 給与条例主義地方自治法204条3項は,給料,手当及び旅費の額並びにその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨規定し,同法204条の2は,普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには,これをその常勤の職員等に支給 にその支給方法は,条例でこれを定めなければならない旨規定し,同法204条の2は,普通地方公共団体は,いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには,これをその常勤の職員等に支給することができない旨規定する。 地方公営企業法38条4項は,企業職員(地方公営企業の管理者の権限に属する事務の執行を補助する職員をいう(同法15条1項)。)の給与の種類及び基準は,条例で定める旨規定する。 (2) 特別休暇等の定め(甲4~7,乙18,25,26,顕著な事実)ア高槻市職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例(平成2年高槻市条例第28号。以下「勤務時間条例」という。)5条の3は,職員の休暇は,年次有給休暇,病気休暇,特別休暇及び介護休暇とする旨規定し,同条例5条の5は,病気休暇は,職員が負傷又は疾病のため療養する必要があり,その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合における休暇とする旨規定し,同条例5条の6第1項は,特別休暇は,選挙権の行使,結婚,出産,交通機関の事故その他の特別の事由により職員が勤務しないことが相当である場合として規則で定める場合における休暇とする旨規定し,同条例5条の8は,病気休暇,特別休暇(規則で定めるものを除く。)及び介護休暇については,規則で定めるところにより,任命権者の承認を受け なければならない旨規定する(ただし,平成25年1月1日に施行された平成24年高槻市条例第78号による改正により,上記各規定は順に5条の4,5条の6,5条の7第1項,5条の9に繰り下げられている。以下,上記改正の前後を問わず,同改正前の条項を用いる。)。 イ高槻市職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例施行規則(平成2年高槻市規則第31号。平成25年高槻市規則 られている。以下,上記改正の前後を問わず,同改正前の条項を用いる。)。 イ高槻市職員の勤務時間,休日,休暇等に関する条例施行規則(平成2年高槻市規則第31号。平成25年高槻市規則第7号による改正前のもの。 以下「勤務時間規則」という。)8条の6は,勤務時間条例5条の6(ただし,平成24年高槻市規則第65条による改正後は「5条の7」である。)の規則で定める場合及び期間は,勤務時間規則別表第3に掲げるとおりとする旨規定し,同別表第3の16は,祭祀休暇の場合につき,「職員が父母等の追悼のための特別な行事のため勤務しないことが相当であると認められるとき。」,その期間につき,「1年度につき1日の範囲内の期間」とする旨規定する。 なお,勤務時間規則別表第3の16の祭祀休暇の場合については,平成25年高槻市規則第7号(平成25年4月1日施行)による改正により,「職員が父母の追悼のための特別な行事(父母の死亡後,市長の定める年数内に行われるものに限る。)のため勤務しないことが相当であると認められるとき。」に改められている。 ウ高槻市水道事業の企業職員については,勤務時間条例5条の3,5条の5及び5条の6第1項と同様の定めが,高槻市水道事業就業規則(昭和59年高水管理規程第10号。以下「水道就業規則」という。)21条,23条1項及び24条1項に規定されており,勤務時間規則8条の6及び別表第3の16と同様の定めが,水道就業規則24条2項及び別表第3の16に規定されている。また,特別休暇及び病気休暇については,勤務時間条例5条の8と同様に,管理者に請求してその承認を受けるものとされている(水道就業規則26条,26条の2,26条の3)。 エ高槻市自動車運送事業の企業職員については,勤務時間 条例5条の8と同様に,管理者に請求してその承認を受けるものとされている(水道就業規則26条,26条の2,26条の3)。 エ高槻市自動車運送事業の企業職員については,勤務時間条例5条の3,5条の5及び5条の6第1項と同様の定めが,高槻市自動車運送事業職員就業規則(平成2年高交管理規程第10号。以下「運送就業規則」という。)20条,22条1項,23条1項に規定されており,勤務時間規則8条の6及び別表第3の16と同様の定めが,運送就業規則23条2項及び別表の14に規定されている。また,特別休暇及び病気休暇については,勤務時間条例5条の8と同様に,管理者に申し出てその承認を受けるものとされている(運送就業規則25条,25条の2,25条の3)。 (3) 給与の減額に関する定め(甲1,8)ア一般職の職員の給与に関する条例(昭和32年高槻市条例第357号。 以下「職員給与条例」という。)15条は,職員が勤務しないときは,その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合を除くほか,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当たりの給与額を減額して給与を支給する旨規定する。 イ高槻市公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例(昭和41年高槻市条例第689号。以下「企業職員給与条例」という。)16条1項は,企業職員が正規の勤務日又は勤務時間中に勤務しないときは,その勤務しないことにつき管理者の承認があった場合を除くほか,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当たりの給与額をその者に支給すべき給与の額から減額する旨規定する。 2 前提となる事実(当事者間に争いのない事実)(1) 当事者等ア原告らは,高槻市の住民である。 イ被告高槻市長は,高槻市の執行機関である。 額する旨規定する。 2 前提となる事実(当事者間に争いのない事実)(1) 当事者等ア原告らは,高槻市の住民である。 イ被告高槻市長は,高槻市の執行機関である。 ウ高槻市は,地方公営企業法2条1項1号及び4号に定める地方公営企業として,高槻市水道事業及び高槻市自動車運送事業(以下,単に「水道事 業」「自動車運送事業」と表記することがある。)を設置している。 被告高槻市水道事業管理者及び被告高槻市自動車運送事業管理者は,当該各地方公営企業の業務を執行し,当該各業務の執行に関し同市を代表する執行機関である(地方公営企業法8条1項)。 (2) 請求又は賠償命令の相手方ア市長部局及び消防本部(ア) 下記の歴代市長は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市長の職にあった者であり,市長部局及び消防本部の職員の給与の支出負担行為及び支出命令につき本来的な権限を有していた者である。 P5 平成15年4月1日~平成23年4月30日P6 平成23年5月1日~平成25年3月31日(イ) 下記の歴代人事課長は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市総務部の人事課長の職にあった者であり,高槻市事務決裁規程(甲18)7条1項,別表第1の3(38)に基づき,専決により市長部局の職員への毎月の給与の支出負担行為及び支出命令を専決した。 P7 平成15年4月1日~平成17年3月31日P8 平成17年4月1日~平成19年3月31日P9 平成19年4月1日~平成23年3月31日P10 平成23年4月1日~平成25年3月31日イ教育委員会 成17年4月1日~平成19年3月31日P9 平成19年4月1日~平成23年3月31日P10 平成23年4月1日~平成25年3月31日イ教育委員会(ア) 下記の歴代教育長は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市教育委員会の教育長の職にあった者であり,平成26年法律第76号による改正前の地方教育行政の組織及び運営に関する法律20条1項により,教育委員会の事務局の事務を統括し,所属の職員を指揮監督する権限を有していた者である。 P11 平成15年4月1日~平成18年6月14日 P12 平成18年6月15日~平成25年3月31日(イ) 下記の歴代教委課長は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市教育委員会教育管理部(平成19年3月31日までは管理部)の総務課長の職にあった者であり,高槻市教育委員会事務決裁規則(甲20)7条1項,別表第1の3(24)に基づき,教育委員会の職員への毎月の給与の支出負担行為及び支出命令を専決した。 P13 平成15年4月1日~平成18年3月31日P14 平成18年4月1日~平成20年3月31日P15 平成20年4月1日~平成21年3月31日P16 平成21年4月1日~平成23年3月31日P1 平成23年4月1日~平成24年3月31日P2 平成24年4月1日~平成25年3月31日ウ水道事業(ア) 下記の歴代水道管理者は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市水道事業管理者の職にあった者であり,水道事業の職員の給与 平成24年4月1日~平成25年3月31日ウ水道事業(ア) 下記の歴代水道管理者は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市水道事業管理者の職にあった者であり,水道事業の職員の給与の支出負担行為及び支出命令につき本来的な権限を有していた者である。 P17 平成15年4月1日~平成16年7月15日P18 平成16年7月16日~平成20年7月15日P19 平成20年7月16日~平成23年6月19日P20 平成23年6月20日~平成25年3月31日(イ) 下記の歴代水道課長は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市水道部の総務企画課長(平成24年3月31日までは総務課長)の職にあった者であり,高槻市水道事業事務決裁規程(甲21)6条2項,別表第2の2(16)に基づき,水道事業の職員への毎月の給与の支出負担行為及び支出命令を専決した。 P21 平成15年4月1日~平成18年3月31日 P22 平成18年4月1日~平成19年12月31日P23 平成20年1月1日~平成21年10月4日P10 平成21年10月5日~平成23年3月31日P3 平成23年4月1日~平成25年3月31日エ自動車運送事業(ア) 下記の歴代運送管理者は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市自動車運送事業管理者の職にあった者であり,自動車運送事業の職員の給与の支出負担行為及び支出命令につき本来的な権限を有していた者である。 P24 平成15年4 き,高槻市自動車運送事業管理者の職にあった者であり,自動車運送事業の職員の給与の支出負担行為及び支出命令につき本来的な権限を有していた者である。 P24 平成15年4月1日~同年7月11日P25 平成15年7月18日~平成19年7月11日P26 平成19年7月12日~平成23年6月19日P27 平成23年6月20日~平成25年3月31日(イ) 下記の歴代運送課長は,本件期間のうち次の期間につき,高槻市交通部の総務課長(平成24年4月1日から平成25年3月31日までは総務企画課長)の職にあった者であり,高槻市自動車運送事業事務決裁規程(甲22)6条2項,別表2の1(17)に基づき,自動車運送事業の職員への毎月の給与の支出負担行為及び支出命令を専決した。 P28 平成15年4月1日~平成16年3月31日P29 平成16年4月1日~平成17年3月31日P30 平成17年4月1日~平成19年3月31日P31 平成19年4月1日~平成20年3月31日P13 平成20年4月1日~平成21年3月31日P4 平成21年4月1日~平成25年3月31日(3) 本件特別休暇等の取得の承認等本件特別休暇等(本件祭祀休暇を含む。)の取得については,本件期間に おいて,これを取得する市職員らの直属の上司の専決により承認された。また,本件特別休暇等については,有給の休暇として扱われ,その期間につき市職員らの給与の減額は行われなかった。 おいて,これを取得する市職員らの直属の上司の専決により承認された。また,本件特別休暇等については,有給の休暇として扱われ,その期間につき市職員らの給与の減額は行われなかった。 なお,年次有給休暇,病気休暇及び特別休暇の承認については,市長部局においては,技監,部長及び理事につき副市長,部長代理,次長及び参事につき部長,課長及び主幹につき部長代理,課長代理,所長及び副主幹につき課長,チームリーダー及び主査につき所長,チーム員につきチームリーダーがそれぞれ専決により承認するものとされており(高槻市事務決裁規程別表第1の2(3)),消防本部,教育委員会,水道事業及び自動車運送事業についても,これに準じて,各職員の直属の上司が専決により承認するものとされている(消防本部につき高槻市消防事務決裁規程別表第1(20),教育委員会につき高槻市教育委員会事務決裁規則別表第1の2(3),水道事業につき高槻市水道事業事務決裁規程別表第1の2(3),自動車運送事業につき高槻市自動車運送事業事務決裁規程別表第1の2(3))。 (4) 監査請求及び訴えの提起等ア原告らは,平成25年3月19日付けで,本件特別休暇等の期間に係る給与の支給は違法であるなどとして,被告らに対し,「過去10年分の当該給与支給分について,関係団体,関係人,関係職員,決裁権者,専決権者,その他の責任者及び市長等それぞれに対し,不当利得返還請求又は損害賠償請求することを勧告すること」などを求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。これに対し,高槻市監査委員は,同年5月14日付けで,平成24年3月20日から請求日(平成25年3月19日)までを本件監査請求の対象期間とした上,本件監査請求には理由がないとしてこれを棄却し,その頃,原告 し,高槻市監査委員は,同年5月14日付けで,平成24年3月20日から請求日(平成25年3月19日)までを本件監査請求の対象期間とした上,本件監査請求には理由がないとしてこれを棄却し,その頃,原告らに対しその旨を通知した。 イ原告らは,平成25年6月11日,本件訴えを提起した。 3 主たる争点 (1) 本案前の争点ア平成24年3月19日以前にされた給与の支出負担行為及び支出命令に係る適法な監査請求の前置の有無イ歴代課長等の賠償命令対象職員該当性(2) 主位的主張(本件特別休暇等につき給与を減額しない違法)ア本件特別休暇等につき給与を減額しないことの適否イ歴代市長等及び歴代課長等の賠償責任の有無ウ損害の有無及び額(3) 予備的主張(本件祭祀休暇の不正取得を見逃した違法)ア本件祭祀休暇の不正取得の有無等イ歴代市長等及び歴代課長等の賠償責任の有無ウ損害の有無及び額 4 当事者の主張(1) 本案前の争点ア平成24年3月19日以前にされた給与の支出負担行為及び支出命令に係る適法な監査請求の前置の有無(被告らの主張)住民監査請求は,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは,これをすることができない(地方自治法242条2項本文)。 したがって,平成24年3月19日以前にされた市職員らの給与の支出負担行為及び支出命令については,監査請求期間を徒過しており,適法な監査請求が前置されていない。 原告らは,監査請求期間を徒過したことにつき同項ただし書の「正当な理由」があると主張するが,特別休暇及び病気休暇については高槻市の条例等で定め おり,適法な監査請求が前置されていない。 原告らは,監査請求期間を徒過したことにつき同項ただし書の「正当な理由」があると主張するが,特別休暇及び病気休暇については高槻市の条例等で定められているし,公務員のこれらの休暇は一般に有給とされており,原告らもそのことを当然に認識していた。また,原告P32は,各種 調査権限を有する高槻市議会議員であるから,相当の注意力をもって調査等をすれば,特別休暇及び病気休暇が有給とされていること等につき容易に知ることができたというべきである。したがって,原告らは,本件期間における給与の支出負担行為及び支出命令につき,監査請求をするに足りる程度にその行為の存在及び内容を知ることができたというべきであり,上記の「正当な理由」がないことは明らかである。 (原告らの主張)市職員らの休暇に対して給与を支払うためには条例等により明示する必要があるところ,高槻市には特別休暇及び病気休暇を有給とする旨の条例等の規定はなかったから,本件特別休暇等につき給与を減額しないでその支出負担行為及び支出命令がされていることを原告らが認識することは不可能であった。 原告らが,特別休暇及び病気休暇が有給とされていることを最初に知り得たのは,平成25年3月18日開催の高槻市議会総務消防委員会における人事課長等の答弁である。そして,原告らは,上記委員会の翌日である同月19日に本件監査請求を行っており,相当な期間内に監査請求をしたものであるから,監査請求期間を徒過したことにつき地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」があったというべきである。 イ歴代課長等の賠償命令対象職員該当性(被告らの主張)歴代人事課長及び歴代教委課長につ 治法242条2項ただし書の「正当な理由」があったというべきである。 イ歴代課長等の賠償命令対象職員該当性(被告らの主張)歴代人事課長及び歴代教委課長については,本件期間において,地方自治法243条の2第1項後段の賠償命令対象職員に指定する旨の規則が制定されていなかったため,給与の支出負担行為及び支出命令につき賠償命令対象職員には該当しない。なお,本件期間経過後の平成26年4月1日以降は,平成26年高槻市規則第22号による改正後の高槻市財務規則(平成7年高槻市規則第13号)143条3項1号,2号により,賠償命令対 象職員に該当するものとされている。 歴代水道課長については,本件期間において,地方公営企業法34条,高槻市水道事業職員の賠償責任に関する規程(昭和54年高水管理規程第6号)2条1号により,給与の支出負担行為及び支出命令につき賠償命令対象職員に該当する。 歴代運送課長については,平成24年11月8日に高槻市自動車運送事業職員の賠償責任に関する規程(平成24年高交管理規程第12号)が施行されたため,同日以降の給与の支出負担行為及び支出命令に関しては,賠償命令対象職員に該当するが(地方公営企業法34条,同規程1号,2号),その余の期間については,賠償命令対象職員に該当しない。 (原告らの主張)歴代教委課長,歴代水道課長及び歴代運送課長の賠償命令対象職員該当性は,法的評価の問題であり,原告らは,不法行為に基づく損害賠償請求と賠償命令とを選択的に主張する。 (2) 主位的主張(本件特別休暇等につき給与を減額しない違法)ア本件特別休暇等につき給与を減額しないことの適否(原告らの主張)(ア) 的に主張する。 (2) 主位的主張(本件特別休暇等につき給与を減額しない違法)ア本件特別休暇等につき給与を減額しないことの適否(原告らの主張)(ア) 特別休暇及び病気休暇を有給とする法令上の根拠の有無高槻市の勤務時間条例及び勤務時間規則並びに水道就業規則及び運送就業規則には,特別休暇及び病気休暇を有給とするとか,給与から減額しないなどとする定めはない。したがって,給与条例主義及び労働基準法(民間の事業者が特別休暇や病気休暇を有給とするか無給とするかについては,同法89条1号により,就業規則に絶対的に記載しなければならない。)に照らし,本件特別休暇等については,無給として扱い,市職員らの給与から減額しなければならない。 給与条例主義の趣旨を踏まえると,民主的コントロールの下,市民の 税金から支給される市職員らの給与については,積極的に減額しないという条例等の根拠がない限り,減額すべきである。特に,賃金に関しては「ノーワークノーペイ」の原則が適用されるから,休暇につき給与を支給するには,明示的な条例が必要であって,職員給与条例15条や企業職員給与条例16条1項だけでは,本件特別休暇等につき給与を支給する根拠とはならない。そのため,近隣の他の自治体は,特別休暇及び病気休暇の期間の給与につき,条例に「減額しない」旨の明示的な規定を設けているのである(甲26)。 人事院は,昭和60年8月7日付けで,一般職の職員の給与に関する法律(昭和60年法律第97号による改正前のもの。以下「旧給与法」という。)を改正し,国家公務員の休暇の種類として年次休暇,特別休暇及び病気休暇を規定するよう勧告したが(甲32),この勧告は,休暇に関して法律の根拠なく運用さ による改正前のもの。以下「旧給与法」という。)を改正し,国家公務員の休暇の種類として年次休暇,特別休暇及び病気休暇を規定するよう勧告したが(甲32),この勧告は,休暇に関して法律の根拠なく運用されている点に問題があったことを受けて,これを是正するために行われたものである。そして,旧給与法15条は上記勧告を受けて昭和60年に改正されたのであるから,同年以前,同条の下で,国家公務員の特別休暇及び病気休暇を有給とすることは違法であったというべきである。そして,職員給与条例15条等が旧給与法15条と同様の規定であることからすると,特別休暇及び病気休暇を有給とする高槻市の運用は明らかに違法である。 また,「人事院規則15-14,人事院規則15-15及び関係運用通知等について」(平成6年7月27日自治能第63号。以下「本件通知」という。)が,地方公共団体の職員の勤務時間,休暇等については,国の職員と権衡を失しないように定めるべきであること,各地方自治体において上記人事院規則等を十分に検討し,勤務時間,休暇等について国の職員と権衡を失している場合は是正措置を講ずることを求めていることなどからすると,高槻市は,遅くとも平成6年の時点で,旧給与法 15条と同様の規定である職員給与条例15条を改正すべきであったといえ,その後の特別休暇及び病気休暇に対する給与の支給は給与条例主義に反し違法である。 (イ) 本件特別休暇等を有給とする承認の要否等について特別休暇及び病気休暇の取得の承認は,職場における業務遂行の問題であり,労働義務を免れさせても円滑な職務の遂行が可能かどうかという判断によりされるものである。そのため,この承認は,職員の直属の上司が専決により行うことになっている。他方,特別休暇及び 遂行の問題であり,労働義務を免れさせても円滑な職務の遂行が可能かどうかという判断によりされるものである。そのため,この承認は,職員の直属の上司が専決により行うことになっている。他方,特別休暇及び病気休暇を有給とする承認は,労働義務の免除の問題ではないから,直属の上司ではなく,給与担当者による財務に関する承認が必要となる。このように,特別休暇及び病気休暇の取得の承認とこれを有給とする承認とは,その趣旨及び目的を異にしており,専決権者が異なることからしても,明らかに異質のものであり,これを同一視することはできない。 被告らは,仮に特別休暇及び病気休暇の取得の承認とは別にこれを有給とする承認が必要であるとしても,給与の減額をすることなくその支出負担行為及び支出命令がされていることをもって,本件特別休暇等を有給とする承認が黙示的にされていると主張するが,給与条例主義の趣旨やその重要性に鑑みれば,ここでの承認は積極的な明示の承認でなければならず,上記のような形式的な事務処理上の対応をもって黙示の承認とすることはできない。 (被告らの主張)(ア) 特別休暇及び病気休暇を有給とする法令上の根拠の有無高槻市においては,特別休暇及び病気休暇につき任命権者の承認(勤務時間条例5条の8)があれば,職員給与条例15条の「任命権者の承認があった場合」に該当することから,給与の減額をせずにその支出負担行為及び支出命令をしている。また,水道事業及び自動車運送事業に おいても,特別休暇及び病気休暇につき管理者の承認(水道就業規則26条の3,運送就業規則25条の3)があれば,企業職員給与条例16条1項の「管理者の承認があった場合」に該当することから,給与の減額をせずにその支出負担行為及び支出命 き管理者の承認(水道就業規則26条の3,運送就業規則25条の3)があれば,企業職員給与条例16条1項の「管理者の承認があった場合」に該当することから,給与の減額をせずにその支出負担行為及び支出命令をしている。このように,本件特別休暇等について市職員らの給与を減額しないことは,条例等に基づく適法な取扱いである。 職員給与条例15条は,旧給与法15条に準じて規定されたものである。そして,昭和60年以前,国は,旧給与法15条の下で,特別休暇及び病気休暇について任命権者の承認があった場合には,「一般職の職員の給与に関する法律の運用方針」(乙2),人事院規則15-6(休暇)第1項及び「人事院規則15-6(休暇)の運用について(通知)」(乙3)により,給与を減額せずにこれを支給していた。高槻市は,旧給与法15条及びこれに関する国の運用に準じて,特別休暇及び病気休暇につき承認を与えた場合には,職員給与条例15条の「任命権者の承認があった場合」に該当するものとして,給与を減額しないでこれを支給しているのであり,このことは,企業職員給与条例16条1項についても同様である。 また,本件通知において「国の職員と権衡を失しないように定めるべき」とされているのは,休暇の種類,内容,有給か無給か等の点において,国の職員のそれに及ばない場合には,国の職員と同様の種類の休暇を設け,また,休暇の内容やその休暇を有給とすることを国の職員と同等にすべき旨を述べたものというべきであり,単に,国の法律の規定に条例等の文言を合わせるように通知したものではない。そして,平成6年当時から現在に至るまで,特別休暇及び病気休暇が有給であることについては国も高槻市も同様であり,休暇の内容等において「権衡を失している」状況にないことは明らかである。 ない。そして,平成6年当時から現在に至るまで,特別休暇及び病気休暇が有給であることについては国も高槻市も同様であり,休暇の内容等において「権衡を失している」状況にないことは明らかである。 (イ) 本件特別休暇等を有給とする承認の要否等について原告らは,本件特別休暇等の取得についての承認とこれを有給とする承認とは別のものであると主張するが,いずれの承認も「任命権者の承認」と規定されていること(前者につき勤務時間条例5条の8等,後者につき職員給与条例15条等)や,職員給与条例15条等は単に「任命権者の承認があった場合を除く外」とのみ規定しており,前者の承認と後者の承認とを区別して,前者の承認だけでなく後者の承認も必要とするような規定とはなっていないことなどに照らすと,上記主張は原告ら独自の見解というべきであって,何ら理由はない。なお,昭和60年以前の国においても,旧給与法15条の下で,上司による特別休暇及び病気休暇の取得の承認(専決)の他に,給与担当者の承認(専決)はされていなかった。 仮に,本件特別休暇等の取得についての承認とは別に,本件特別休暇等を有給とする承認が必要であるとしても,給与の支出負担行為及び支出命令の専決権者は,本件特別休暇等について減額することなくその支出負担行為及び支出命令を行っているのであるから,本件特別休暇等を有給とする承認が黙示的にされているというべきである。 イ歴代市長等及び歴代課長等の賠償責任の有無(原告らの主張)(ア) 歴代課長等は,本件特別休暇等につき市職員らの給与を減額しなければならないのに,これを減額することなく違法にその支出負担行為及び支出命令を専決したものであり,故意又は過失若しくは重 (ア) 歴代課長等は,本件特別休暇等につき市職員らの給与を減額しなければならないのに,これを減額することなく違法にその支出負担行為及び支出命令を専決したものであり,故意又は過失若しくは重過失により,高槻市に損害を与えたものである。したがって,歴代人事課長は民法709条に基づき,歴代教委課長,歴代水道課長及び歴代運送課長は民法709条又は地方自治法243条の2第1項に基づき,高槻市に対する賠償責任を負う。 歴代市長等は,上記(ア)の違法な支出負担行為及び支出命令の専決を阻止すべき指揮監督上の義務があったにもかかわらず,これを阻止しなかったものであり,故意又は過失により,高槻市に損害を与えたものである。したがって,歴代市長等は,民法709条に基づき,高槻市に対する賠償責任を負う。 (イ) 被告らは,歴代市長等や歴代課長等に故意又は過失若しくは重過失はないと主張するが,昭和60年に旧給与法15条が改正されてから約30年もの期間が経過しているのであり,地方公務員実務提要(乙1)にもこのことは記載されていることなどからすると,上記の者において,本件特別休暇等を有給とすることが給与条例主義に違反することは認識し得たというべきであって,上記の者には故意又は過失若しくは重過失があるというべきである。 (被告らの主張)高槻市においては,旧給与法15条と同様の規定である職員給与条例15条等に従って,本件特別休暇等につき給与の支給をしてきたものである。 そもそも,歴代市長等及び歴代課長等は,条例の規定あるいはその適用が違法であると最高裁判所で判断されたような例外的な場合でない限り,当該規定を執行しなければならないのであるから,万が一,当該規定が違法であったとしても,当該職員の 等は,条例の規定あるいはその適用が違法であると最高裁判所で判断されたような例外的な場合でない限り,当該規定を執行しなければならないのであるから,万が一,当該規定が違法であったとしても,当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反しない限り,個人がその責任を負うべきものではない(最高裁判所平成4年12月15日第三小法廷判決・民集46巻9号2753頁参照)。また,原告らが問題視する上記の規定及びその適用につき,違法であると判断された事例はないし,そのような議論がされたということもない。 したがって,歴代市長等及び歴代課長等には,給与条例主義に反して違法であるとの認識(故意)がなかったことはもちろん,これを認識することも不可能であり,過失すら全く存在しないというべきである。 ウ損害の有無及び額(原告らの主張)(ア) 「高槻市の給与・定員管理等について(平成25年4月公表分)」(甲15)によれば,職員の初任給のうち最も低いものは13万7200円(平成24年4月1日現在)であり,これを基礎として,期末手当及び勤勉手当を含めた最低年収を算定すると218万8340円となるから,職員の日当相当額は6000円を下回らない(218万8340円÷365日≒6000円)。 (イ) 「平成23年度休暇等部局別平均取得日数」(甲14)に記載された特別休暇及び病気休暇の取得日数は次のとおりである。 市長部局 19623.2日消防本部 3039.2日教育委員会 3984.1日水道事業 1215.7日自動車運送事業 2317.6日(ウ) 本件期間において高槻市が被った1年間当たりの損害額 教育委員会 3984.1日水道事業 1215.7日自動車運送事業 2317.6日(ウ) 本件期間において高槻市が被った1年間当たりの損害額は,上記(イ)の日数に最低日当相当額6000円を乗じた次の各金額であり,これを基に,歴代市長等及び歴代課長等の各在任期間に応じて個々に割り付けた額(賠償額)は,前記第1「請求」に掲げた各金額(括弧内の金額を除く。)のとおりである。 市長部局(歴代市長及び歴代人事課長)1億1773万9200円消防本部(歴代市長)1823万5200円教育委員会(歴代教育長及び歴代教委課長)2390万4600円 水道事業(歴代水道管理者及び歴代水道課長)729万4200円自動車運送事業(歴代運送管理者及び歴代運送課長)1390万5600円(被告らの主張)争う。 (3) 予備的主張(本件祭祀休暇の不正取得を見逃した違法)ア本件祭祀休暇の不正取得の有無等(原告らの主張)全国の中核市及び大阪府下の市(高槻市を除く。以下,併せて「他市」という。)の祭祀休暇の取得率(甲34,35)をみると,ごく一部を除き,大半は10%にも満たない。これに対し,高槻市の人事課が作成した「平成23年度休暇等部局別平均取得日数」(甲14)によると,各部局における1年間の祭祀休暇の取得率は,概数で,市長部局33.3%,教育委員会19.7%,水道事業56.6%,自動車運送事業88.6%,消防本部80.2%となっており,いずれも異 4)によると,各部局における1年間の祭祀休暇の取得率は,概数で,市長部局33.3%,教育委員会19.7%,水道事業56.6%,自動車運送事業88.6%,消防本部80.2%となっており,いずれも異常に高い数値となっている。 祭祀休暇は,身内の祭祀といった特別な場合にのみ認められる休暇であって,それほど出くわすことのない事由が生じたときの休暇であるにもかかわらず,高槻市の祭祀休暇の取得率が上記のように異常に高いことからすると,不正に取得されていることは明らかである。 (被告らの主張)本件祭祀休暇は,勤務時間条例等の規定に基づいて適法に取得されたものである。他市における祭祀休暇の取得率については不知であるが,高槻市において祭祀休暇の取得率が高いのは,勤務時間規則別表第3の16(平成25年高槻市規則第7号による改正前のもの)において,「職員が父母等の追悼のための特別な行事のため勤務しないことが相当であると認めら れるとき。」と定められており,「父母等」と特に親族の範囲が定められておらず,追悼のための行事の期間についても定めがなく,33回忌や50回忌などの法要も祭祀休暇の対象となっていたことが関係しているのではないかと思われる。取得要件が異なれば,取得日数も異なることは当然であり,取得率の差が存在することは不自然ではない。なお,勤務時間規則別表第3の16は平成25年高槻市規則第7号(平成25年4月1日施行)により改正され,取得要件が限定された結果,市職員らの祭祀休暇の取得率は平成25年度が8.6%,平成26年度が6.9%となっており,他市の取得率と大差はなく,不正取得がうかがわれるような状況ではない。 イ歴代市長等及び歴代課長等の賠償責任の有無(原告らの主張) 6年度が6.9%となっており,他市の取得率と大差はなく,不正取得がうかがわれるような状況ではない。 イ歴代市長等及び歴代課長等の賠償責任の有無(原告らの主張)(ア) 本件期間における高槻市の祭祀休暇については,①祭祀休暇の取得が年度末に偏っていること,②祭祀休暇の取得日が平日の場合もあること,③祭祀休暇の取得率が他市のそれと比較して異常に高いことなど不自然な点が多く,歴代課長等は,祭祀休暇の申請が虚偽のものでないかを疑い,これを調査し判断する義務を負っていたというべきである。しかし,歴代課長等は,上記義務を尽くすことなく,故意又は過失若しくは重過失により,本件祭祀休暇の一部が不正に取得されていることを漫然と見逃してこれを有給とする承認を決裁(専決)し,引き続き,市職員らの給与の支出負担行為及び支出命令を行い,高槻市に損害を与えたものである(なお,本件祭祀休暇を有給とする承認と上記支出負担行為及び支出命令とは不可分一体であり,前者が違法であれば後者も違法となる。)。 また,歴代市長等は,この点について適切な指揮監督を怠っていたものである。したがって,歴代市長等及び歴代人事課長は民法709条に基づき,歴代教委課長,歴代水道課長及び歴代運送課長は民法709条又は地方自治法243条の2第1項に基づき,高槻市に対する賠償責任を 負う。 (イ) 被告らは,歴代市長等や歴代課長等に故意又は過失若しくは重過失はないと主張するが,高槻市における祭祀休暇の取得率が他市のそれと比べて突出していることは明らかであり,これは単に祭祀休暇の取得要件が異なることで説明がつくものではない。通常,法事等は土曜日や日曜日に行うものであり,平日に祭祀休暇を取得する者があれば,その実態について疑問を持つのは当 明らかであり,これは単に祭祀休暇の取得要件が異なることで説明がつくものではない。通常,法事等は土曜日や日曜日に行うものであり,平日に祭祀休暇を取得する者があれば,その実態について疑問を持つのは当然のことである。 実際,平成17年12月19日開催の総務消防委員会(甲36)において,P33から,高槻市の祭祀休暇の取得率等について問題点や疑義が示されている。歴代市長等及び歴代課長等は,このような問題があることを知りながら,過失によりこの問題を放置していたと評価せざるを得ない。 (被告らの主張)(ア) 高槻市における祭祀休暇の取得率が他市のそれと異なるのは,祭祀休暇の取得要件が異なっていたためであることは前述のとおりであり,特に不自然なことではない。また,祭祀休暇の取得が年度末に偏っているという事実もない。そして,市職員らの祭祀休暇の取得に際しては,その理由の聴取はするものの,条例上,適正な取得であることを示す資料を提出させるような制度とはなっておらず,そのような資料の提出を求めることは実務的にも全く現実的でない。 また,歴代課長等は,給与の支出負担行為及び支出命令の決裁をするに際しては,職員の上司(高槻市事務決裁規程に基づく承認の専決権者)が祭祀休暇の取得の承認をしたことを前提に,総務課等において計算した給与の金額について支出負担行為及び支出命令の決裁をしているのであり(なお,前述のとおり,特別休暇につき有給とすることの承認は不要であるから,その違法性等を論ずる必要はない。),上記職員の上司 が承認した祭祀休暇が虚偽のものであったかどうかを判断することは現実的には不可能である。 したがって,歴代課長等において,祭祀休暇の申請が虚偽のものでないかどうかを調 が承認した祭祀休暇が虚偽のものであったかどうかを判断することは現実的には不可能である。 したがって,歴代課長等において,祭祀休暇の申請が虚偽のものでないかどうかを調査し判断する義務を負うものではないし,歴代市長等にこの点に係る指揮監督上の義務違反もないというべきである。また,これらの者において,本件祭祀休暇の一部が不正取得であるとの認識はなく,過失も全く存しないというべきである。 (イ) 原告らが指摘する平成17年12月9日開催の総務消防委員会のP33の質問は,職員定数の問題及び職員の採用問題に関する質問であり,特別休暇を主たる問題として取り上げたものではない。また,祭祀休暇について触れた部分においても,祭祀休暇の不正取得を問題としているのではなく,祭祀休暇の制度論を述べているのであって,上記質問は歴代市長等及び歴代課長等の過失の評価根拠事実となるものではない。 また,高槻市においては,特別休暇についてその都度改正を行っており,特別休暇の問題点を漫然と放置しているものではない。 ウ損害の有無及び額(原告らの主張)(ア) 他市の各部局における祭祀休暇の取得率の平均値を10倍したものを超える範囲については,少なくとも祭祀休暇の不正取得があったものといえる。したがって,これらの不正取得された祭祀休暇の日数に係る日当相当額が,高槻市の被った損害額である。 (イ) ①平成24年度の高槻市の各部局における祭祀休暇の取得率,②他市の各部局における祭祀休暇の取得率の平均値を10倍したもの及び③その差(①-②)は,次のとおりである。 ① ② ③市長部局 取得率の平均値を10倍したもの及び③その差(①-②)は,次のとおりである。 ① ② ③市長部局 36.37% 9.70% 26.67% 消防本部 80.50% 18.96% 61.54%教育委員会 17.60% 10.08% 7.52%水道事業 52.78% 17.20% 35.58%自動車運送事業 86.05% 18.96% 67.09%そして,上記③に④高槻市の各部局の全職員数を乗じると,⑤祭祀休暇を不正取得した職員の人数が算出され,これに最低日当相当額6000円を乗じると,⑥高槻市の被った損害額(年額)が算出される。 ④ ⑤ ⑥市長部局 1614人 430人 258万0000円消防本部 323人 199人 119万4000円教育委員会 341人 26人 15万6000円水道事業 108人 38人 22万8000円自動車運送事業 215人 144人 86万4000円(ウ) 上記(イ)⑥の高槻市の被った損害額(年額)は,平成24年度の数字を根拠としているが,高槻市においては,同年度まで祭祀休暇が高い率で取得されている状態が続いていたのであり,最低日当相当額6000円や他市の取得率を10倍した数値(②)を用いて控えめに算出していることからしても,本件期間の各年度 ては,同年度まで祭祀休暇が高い率で取得されている状態が続いていたのであり,最低日当相当額6000円や他市の取得率を10倍した数値(②)を用いて控えめに算出していることからしても,本件期間の各年度の損害額が上記(イ)⑥の損害額(年額)を下回ることはない。したがって,本件期間の各年度において,少なくとも上記の損害額が発生していたものといえ,これを基に,歴代市長等及び歴代課長等の各在任期間に応じて個々に割り付けた額(賠償額)は,前記第1「請求」の括弧内に掲げた各金額のとおりである。 (被告らの主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 平成24年3月19日以前にされた給与の支出負担行為及び支出命令に係る 適法な監査請求の前置の有無(主たる争点(1)ア)(1) 本件監査請求は平成25年3月19日にされたものであるから(前提となる事実(4),甲16),本件監査請求のうち,平成15年4月1日から平成24年3月18日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を対象とする部分は,地方自治法242条2項本文の監査請求期間(当該行為のあった日又は終わった日から1年)を経過しており,同項ただし書にいう「正当な理由」がない限り,不適法である(なお,同月19日にされた給与の支出負担行為及び支出命令については,期間計算において初日は算入されないため,監査請求期間を経過していない。)。 そこで,以下,平成15年4月1日から平成24年3月18日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令につき,原告らが監査請求期間を徒過したことに「正当な理由」があるか否かについて検討する。 (2) 普通地方公共団体の執行機関等の財務会計上の行為が秘密裡にされた場合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもっ 間を徒過したことに「正当な理由」があるか否かについて検討する。 (2) 普通地方公共団体の執行機関等の財務会計上の行為が秘密裡にされた場合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には,地方自治法242条2項ただし書にいう「正当な理由」の有無は,特段の事情のない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかにより判断すべきである(最高裁判所平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁参照)。 (3) 原告らは,市職員らの休暇に対して給与を支払うためには条例等により明示されている必要があるところ,高槻市には特別休暇及び病気休暇を有給とする旨の条例等の規定はなく,原告らにおいて,本件特別休暇等につき給与を減額しないでその支出負担行為及び支出命令がされていることを認識することは不可能であったとして,監査請求期間を徒過したことにつき「正当な 理由」があると主張する。 しかし,公務員の特別休暇や病気休暇が有給であることは広く知られていることであり,高槻市もこのような取扱いを秘密にしていたとは認められないから,高槻市において,本件特別休暇等につき給与を減額しないでその支出負担行為及び支出命令がされていることは,高槻市の住民が相当の注意力をもって調査すれば当然にこれを知ることができたというべきであるし,ましてや,高槻市議会議員である原告P32においては,その議員としての調査権限に基づき調査すればこれを知ることは容易であったはずである。したがって,平 然にこれを知ることができたというべきであるし,ましてや,高槻市議会議員である原告P32においては,その議員としての調査権限に基づき調査すればこれを知ることは容易であったはずである。したがって,平成15年4月1日から平成24年3月18日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令については,「普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合」には該当せず,原告らが上記の支出負担行為及び支出命令につき監査請求期間を徒過したことにつき,地方自治法242条2項ただし書の「正当な理由」があるとは認められない。 (4) よって,本件訴えのうち,平成15年4月1日から平成24年3月18日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とする賠償命令又は損害賠償請求をすることを求める部分は,適法な監査請求の前置を欠くものであって不適法であるから,これを却下すべきである。 2 歴代課長等の賠償命令対象職員該当性(主たる争点(1)イ)(1) 地方自治法243条の2第1項後段は,支出負担行為(1号)や支出命令(2号)等をする権限を有する職員のほか,「その権限に属する事務を直接補助する職員で普通地方公共団体の規則で指定したもの」を賠償命令対象職員とする旨規定する。 そして,同条1項後段各号の行為(支出負担行為等)につき専決又は代決権限を有する者は,賠償命令対象職員の要件である「その権限に属する事務 を直接補助する職員」に該当すると解されるが,さらに「普通地方公共団体の規則で指定したもの」にも該当するためには,上記文言の自然な意味内容に加えて,大阪府の照会に対する総務省自治行政局の回答(乙28)にも照 助する職員」に該当すると解されるが,さらに「普通地方公共団体の規則で指定したもの」にも該当するためには,上記文言の自然な意味内容に加えて,大阪府の照会に対する総務省自治行政局の回答(乙28)にも照らすと,地方自治法15条1項所定の普通地方公共団体の規則に,上記の者を賠償命令対象職員とする旨の定めがあることが必要であると解され,その専決又は代決権限が普通地方公共団体の規則(事務決裁規則等)をもって定められているだけでは,上記「普通地方公共団体の規則で指定したもの」には該当しないというべきである。 なお,地方自治法243条の2の規定は,地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任にも準用され,その場合において,同条1項中「規則」とあるのは,「規則又は企業管理規程」と読み替えられる(地方公営企業法34条)。 (2) 以上を前提に,歴代課長等のうち平成24年3月19日から平成25年3月31日までの期間(以下「本件適法期間」という。)において給与の支出負担行為及び支出命令の専決権者であった者が,賠償命令対象職員に該当するかどうかについて検討する。 ア本件適法期間において歴代人事課長であった者はP10であり(前提となる事実(2)ア(イ)),同じく歴代教委課長であった者はP1(平成24年3月19日~同月31日)及びP2(平成24年4月1日~平成25年3月31日)であるところ(同イ(イ) ),本件適法期間において,これらの者を賠償命令対象職員とする旨の規則の定めはなく(乙22,弁論の全趣旨),これらの者は賠償命令対象職員に該当しない。 したがって,本件訴えのうち,本件適法期間にされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とするP1及びP2に対する賠償命令をすることを求める部分は,不適法である。 したがって,本件訴えのうち,本件適法期間にされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とするP1及びP2に対する賠償命令をすることを求める部分は,不適法である。 イ本件適法期間において歴代水道課長であった者はP3(平成24年3月 19日~平成25年3月31日)であるところ(前提となる事実(2)ウ(イ)),本件適法期間において,この者を賠償命令対象職員とする旨の「高槻市水道事業職員の賠償責任に関する規程」(昭和54年高水管理規程第6号)2条1号があったから(乙23),P3は賠償命令対象職員に該当する。 したがって,本件訴えのうち,本件適法期間にされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とするP3に対する損害賠償請求をすることを求める部分は,不適法である。 ウ本件適法期間において歴代運送課長であった者はP4であるところ(前提となる事実(2)エ(イ)),平成24年11月8日に企業管理規程である「高槻市自動車運送事業職員の賠償責任に関する規程」(平成24年高交管理規程第12号)が施行されたため(乙24),本件適法期間のうち上記施行日の前日まで(平成24年3月19日~同年11月7日)の給与の支出負担行為及び支出命令に関しては,賠償命令対象職員に該当しないが,本件適法期間のうち上記施行日以後(同月8日~平成25年3月31日)の給与の支出負担行為及び支出命令に関しては,上記規程1号及び2号により賠償命令対象職員に該当する。 したがって,本件訴えのうち,①平成24年3月19日から同年11月7日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とするP4に対する賠償命令をすることを求める部分,及び②同月8日から平成25年3月31日までにされた給 年3月19日から同年11月7日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とするP4に対する賠償命令をすることを求める部分,及び②同月8日から平成25年3月31日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令を違法な財務会計行為とするP4に対する損害賠償請求をすることを求める部分は,不適法である。 3 主位的主張・本件特別休暇等につき給与を減額しないことの適否(主たる争点(2)ア)(1) 本件特別休暇等を有給とする法令上の根拠の有無(市長部局,消防本部及び教育委員会関係) ア原告らは,高槻市の条例等には,特別休暇及び病気休暇を有給とするとか,給与から減額しないなどとする定めはないから,給与条例主義に照らし,本件特別休暇等については無給とし,市職員らの給与からその期間の給与を減額しなければならないと主張する。 しかし,勤務時間条例5条の8は,病気休暇,特別休暇(規則で定めるものを除く。)及び介護休暇については,規則で定めるところにより,任命権者の承認を受けなければならない旨規定し,職員給与条例15条は,職員が勤務しないときは,「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」を除くほか,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当たりの給与額を減額して給与を支給する旨規定する。しかるところ,これらの規定において「任命権者の承認」という同一の文言が用いられていることに加え,「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」という文言の自然な意味内容にも照らすと,同条にいう「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」には,特別休暇や病気休暇を取得することにつき勤務時間条例5条の8の任命権者の承認があった場合が含まれると解するのが相当である。 「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」には,特別休暇や病気休暇を取得することにつき勤務時間条例5条の8の任命権者の承認があった場合が含まれると解するのが相当である。 また,勤務時間条例が,特別休暇や病気休暇と同様に任命権者の承認を受けなければならない介護休暇につき,「介護休暇については,給与条例第15条の規定にかかわらず,その勤務しない1時間につき,…勤務1時間当たりの給与額を減額する。」(5条の7第3項)という給与の減額を定める特別の規定を置いていることからすると(甲4),このような規定が設けられていない特別休暇や病気休暇については,職員給与条例15条の「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」に該当するものとして,給与は減額されないというのが自然かつ合理的な解釈である。 以上のとおり,職員給与条例15条の「その勤務しないことにつき,任 命権者の承認があった場合」には,特別休暇や病気休暇を取得することにつき勤務時間条例5条の8の任命権者の承認があった場合が含まれると解されるから,本件特別休暇等につき給与の減額を行わないこと(有給とすること)は,条例上の根拠に基づくものというべきであり,給与条例主義に反するものとはいえない。原告らの上記主張は,独自の見解を前提とするものであって採用することができない。 イなお,特に争点となっている点ではないが,念のため付言するに,勤務時間条例5条の8の任命権者の承認を要する特別休暇には,産前休暇及び産後休暇が含まれておらず(勤務時間規則8条の9第1項,別表第3の4及び5),産前休暇及び産後休暇の取得に際しては,任命権者の承認を受ける必要はなく,産前休暇については申出,産後休暇については届出で足りるものとされている(同規 時間規則8条の9第1項,別表第3の4及び5),産前休暇及び産後休暇の取得に際しては,任命権者の承認を受ける必要はなく,産前休暇については申出,産後休暇については届出で足りるものとされている(同規則8条の9第2項,3項)。そのため,特別休暇のうち産前休暇及び産後休暇については,職員給与条例15条の「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」に該当するかどうかにつき疑義がないではない。しかし,産前休暇については申出,産後休暇については届出で足りるとされているのは,これらは任命権者の承認を経るまでもなく当然に休暇を与えなければならない性質の休暇であるからであり(労働基準法112条,65条1項,2項参照),これらの申出又は届出がされた場合については,これらの休暇の性質上,任命権者の承諾があった場合と同視すべきものというべきである。したがって,産前休暇及び産後休暇についても,他の特別休暇の場合と同様に,同条例15条の「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」に該当すると解するのが相当である。 ウ原告らは,勤務時間条例5条の8の「任命権者の承認」は,特別休暇や病気休暇の取得に係る承認であり,職員給与条例15条の「任命権者の承認」は,その勤務していない期間につき給与を支給し又はこれを減額しな いことについての承認であって,両者は全く異質のものであるとした上,本件特別休暇等については後者の承認がされていないなどと主張する。 しかし,同条は,「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」と規定しているのであって,その文言上,同条の「任命権者の承認」が,給与を支給し又はこれを減額しないことについての承認を意味するものとは解し難い。同条の「任命権者の承認」は,前述のとおり,勤務 場合」と規定しているのであって,その文言上,同条の「任命権者の承認」が,給与を支給し又はこれを減額しないことについての承認を意味するものとは解し難い。同条の「任命権者の承認」は,前述のとおり,勤務時間条例5条の8の「任命権者の承認」と同一のものというべきであり,原告らの上記主張は,独自の見解を前提とするものであって採用することができない(なお,特別休暇や病気休暇を取得する際の任命権者の承認は,その休暇期間中勤務しないことについての承認であると同時に,有給の特別休暇や病気休暇の制度を利用することへの承認でもあるから,これらの休暇につき給与を減額しないことの承認も当然に含まれているというべきである。)。 (2) 本件特別休暇等を有給とする法令上の根拠の有無(水道事業及び自動車運送事業関係)水道就業規則26条1項本文及び運送就業規則25条1項本文は,病気休暇及び特別休暇(ただし,産前休暇及び産後休暇を除く。)の承認を受けようとする職員は,あらかじめ管理者に請求しなければならない旨規定し,水道就業規則26条の3第1項本文及び運送就業規則25条の3第1項本文は,管理者は,病気休暇又は特別休暇の請求について,所定の場合に該当すると認められるときは,これを承認しなければならない旨規定する(甲6,7)。 そして,企業職員給与条例16条1項は,企業職員が正規の勤務日又は勤務時間中に勤務しないときは,「その勤務しないことにつき管理者の承認があった場合」を除くほか,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当たりの給与額をその者に支給すべき給与の額から減額する旨規定する。 このように,水道事業及び自動車運送事業においても,特別休暇や病気休 暇を取得する際には事業管理者の承認を受ける必要がある。そして, き給与の額から減額する旨規定する。 このように,水道事業及び自動車運送事業においても,特別休暇や病気休 暇を取得する際には事業管理者の承認を受ける必要がある。そして,職員給与条例15条の「その勤務しないことにつき,任命権者の承認があった場合」について述べたこと(前記(1))は,ほぼ同じ文言である企業職員給与条例16条1項の「その勤務しないことにつき管理者の承認があった場合」についても同様に当てはまるというべきであり,この要件は,特別休暇や病気休暇を取得することにつき事業管理者の承認があった場合を含むと解するのが相当である。 したがって,水道事業及び自動車運送事業の企業職員に関しても,その特別休暇及び病気休暇につき給与の減額を行わないこと(有給とすること)は,条例上の根拠に基づくものというべきであり,給与条例主義に反するものとはいえない。原告らの主張は採用することができない。 (3) 旧給与法15条の改正等に関する主張についてア国家公務員の給与に係る旧給与法15条は,「職員が勤務しないときは,その勤務しないことにつき特に承認のあった場合を除く外,その勤務しない1時間につき,…勤務1時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」と定めていた。そして,「一般職の職員の給与に関する法律の運用方針」(昭和26年1月11日給実甲第28号)第15条関係1項は,「『その勤務しないことにつき特に承認のあった場合』とは,人事院規則15-6(休暇)第1項に規定する休暇が認められた場合のほか,法令の規定により勤務しないことが認められている場合をいう。なお,法令の規定により勤務しないことが認められている場合であっても,特に給与を減額する旨規定されているときは,その定めるところによる。」とし(乙2) より勤務しないことが認められている場合をいう。なお,法令の規定により勤務しないことが認められている場合であっても,特に給与を減額する旨規定されているときは,その定めるところによる。」とし(乙2),特別休暇や病気休暇は,人事院規則15-6(休暇)第1項に規定する休暇(従前の例により有給休暇とされていた休暇)として,「その勤務しないことにつき特に承認のあった場合」に該当するものとされていた(甲16,乙2)。 職員給与条例15条及び企業職員給与条例16条1項は,旧給与法15条をモデルとして制定されたものであり(弁論の全趣旨),その規定文言もほぼ同一であるところ,同条の「その勤務しないことにつき特に承認のあった場合」に特別休暇や病気休暇を含む旨の上記の解釈及び運用は,職員給与条例15条等につき上記(1)及び(2)で説示した内容に沿うものである。 イもっとも,旧給与法15条は,昭和60年8月7日付け人事院勧告(甲32,乙6)を受けて,一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律(昭和60年法律第97号)により改正された。同改正後の一般職の職員の給与に関する法律15条は,職員が勤務しないときは,「祝日法による休日又は年末年始の休日である場合,休暇による場合その他その勤務しないことにつき特に承認のあった場合」を除き,その勤務しない1時間につき,勤務1時間当りの給与額を減額して給与を支給する旨規定するに至った。 以上の改正の経緯等を踏まえ,原告らは,要旨,上記改正は国家公務員の休暇が法律の根拠なく運用されている点に問題があったことを受けて,これを是正するために行われたものであり,同改正前において,旧給与法15条に基づき特別休暇及び病気休暇を有給とすることは違法であったから,これと同様の規定 用されている点に問題があったことを受けて,これを是正するために行われたものであり,同改正前において,旧給与法15条に基づき特別休暇及び病気休暇を有給とすることは違法であったから,これと同様の規定である職員給与条例15条等により本件特別休暇等を有給とすることも違法であると主張する。 しかし,昭和60年8月7日付け人事院勧告や当時の国会議事録(甲31)をみても,旧給与法15条により特別休暇及び病気休暇を有給とする解釈及び運用が問題視されたことは何らうかがわれないし,このような解釈及び運用を違法又は不当とした裁判例や文献等も見当たらない。むしろ,上記人事院勧告は,当時,昭和22年に国家公務員法が制定される前の旧官吏制度下の休暇制度が経過措置として引き継がれていたことから,休暇 制度を法制的に整備するとともに,現在の社会情勢に適応したものとするため,旧給与法を改正し,休暇の種類を年次休暇,特別休暇及び病気休暇とし,休暇に関する基礎的事項を法律に明記することを求めたものであり(甲31~33,乙6,7),旧給与法15条の上記の改正は,国家公務員の休暇制度等が整備されたことに伴い,併せて整備されたものにすぎないというべきである。 その他,この点に関する原告らの主張等を考慮しても,上記改正前に旧給与法15条により国家公務員の特別休暇及び病気休暇を有給とすることが違法であったとは認められないから,原告らの上記主張は,その前提を誤るものであって採用することができない。 また,原告らは,平成6年に旧自治省行政局公務員部から発出された本件通知を踏まえ,高槻市は遅くとも同年には旧給与法15条と同様の規定である職員給与条例15条を改正すべきであったとも主張するが,この主張も,旧給与法15条に基づいて特別休暇及び 員部から発出された本件通知を踏まえ,高槻市は遅くとも同年には旧給与法15条と同様の規定である職員給与条例15条を改正すべきであったとも主張するが,この主張も,旧給与法15条に基づいて特別休暇及び病気休暇を有給とすることが違法であるという誤った前提に立脚するものといわざるを得ず,採用することができない。 (4) まとめ以上によれば,本件適法期間において,本件特別休暇等につき給与を減額せずにその支出負担行為及び支出命令をすることは,職員給与条例15条及び企業職員給与条例16条1項に基づく適法な取扱いというべきであるから,その余の点を判断するまでもなく,原告らの主位的主張は理由がない。 4 予備的主張・本件祭祀休暇の不正取得の有無等(主たる争点(3)ア)及び歴代市長等及び歴代課長等の賠償責任の有無(同イ)(1) 原告らは,要旨,本件祭祀休暇の一部は不正に取得されており,これを見逃してされた給与の支出負担行為及び支出命令は違法であると主張する。 しかし,原告らは,本件祭祀休暇の一部が不正に取得されている可能性を 抽象的に指摘するにとどまり,誰がいつ取得した祭祀休暇が不正に取得されたものであるかを全く特定していない。そして,平成24年3月19日から平成25年3月31日までにされた給与の支出負担行為及び支出命令は極めて多数回に上るとみられるところ,どの祭祀休暇が不正に取得されたものかが明らかでない以上,具体的にどの支出負担行為及び支出命令が高槻市に対する不法行為となるのかについても,原告らの主張からこれを特定することはできない(なお,原告らは,平成29年1月24日の弁論準備手続期日において,予備的主張においても,主位的主張と同様,個々の給与の支出負担行為及び支出命令の違法を主張する旨を からこれを特定することはできない(なお,原告らは,平成29年1月24日の弁論準備手続期日において,予備的主張においても,主位的主張と同様,個々の給与の支出負担行為及び支出命令の違法を主張する旨を明らかにしている。)。 したがって,原告らの予備的主張は,高槻市に対する不法行為となるべき支出負担行為及び支出命令が特定されておらず,その違法性や過失又は重過失の有無について判断することもできないから,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 (2) 審理の経過等に鑑み,予備的主張についてさらに付言する。 確かに,高槻市の人事課が作成した「平成23年度休暇等部局別平均取得日数」(甲14)によると,各部局における1年間(平成23年度)の祭祀休暇の取得率は,概数で,市長部局33.3%,教育委員会19.7%,水道事業56.6%,自動車運送事業88.6%,消防本部80.2%となり,原告らが調査した他市の祭祀休暇の取得率(甲34,35)と比較しても不自然に高いといわざるを得ない。また,平成25年度以降,高槻市における祭祀休暇の取得率は10%未満の数値となっており,顕著に減少している(乙29,弁論の全趣旨)。これらの点からすると,平成24年度まで高槻市の祭祀休暇の取得要件(勤務時間規則別表第3の16・関係法令の定め(2)イ参照)が他市のそれよりも緩やかであったこと(甲35,乙18,26,29,証人P10)を考慮しても,本件監査請求等において祭祀休暇等が不正取得されている旨の主張がされるまで,相当数の市職員らが,祭祀休暇を 不正に取得していたと疑われても仕方がない面がある。 しかし,高槻市においては,市職員らが祭祀休暇を取得するに当たっては,その直属の上司が専決により承認するものとされているところ(前提と 不正に取得していたと疑われても仕方がない面がある。 しかし,高槻市においては,市職員らが祭祀休暇を取得するに当たっては,その直属の上司が専決により承認するものとされているところ(前提となる事実(3)),仮に祭祀休暇の不正取得があったとしても,その際に職員とその上司との間で具体的にどのようなやりとりがあったかは明らかでないし,祭祀休暇の典型的な場合である親族の法事につき,常に証明書類の提出(勤務時間規則8条の10第2項)を求めるのも現実的ではなく,「父母等の追悼のための特別な行事」(同規則別表第3の16)というプライバシー性の高い事柄であることに照らしても,当該上司が上記承認を専決したことをもって直ちに過失があるとは断じ難い。ましてや,給与の支出負担行為及び支出命令を専決する歴代課長等においては,その給与の対象となる期間において取得された祭祀休暇が実体的に適正なものであったかどうかを審査するものとはされておらず,このような審査を歴代課長等に求めることは事実上無理を強いるものというべきであって(乙29,証人P10,弁論の全趣旨),仮に本件祭祀休暇の不正取得があったとしても,歴代課長等がその給与の支出負担行為及び支出命令を専決したことにつき過失があるとは認められない。 このことは,前述のとおり高槻市における祭祀休暇の取得率が他市のそれよりも高いことや,平成17年12月の高槻市議会(総務消防委員会)において祭祀休暇に関する質問がされていたこと(甲36)などの原告らが主張する事情を考慮しても,左右されるものではない。 したがって,仮に本件祭祀休暇の一部が不正に取得されていたとしても,本件適法期間において,歴代課長等がその給与の支出負担行為及び支出命令を専決したことつき故意又は過失があるとは認められない。また,以上に照らせ 仮に本件祭祀休暇の一部が不正に取得されていたとしても,本件適法期間において,歴代課長等がその給与の支出負担行為及び支出命令を専決したことつき故意又は過失があるとは認められない。また,以上に照らせば,歴代課長等を指揮監督する歴代市長等についても,上記の支出負担行為及び支出命令を阻止しなかったことにつき故意又は過失があるとは認められない。 5 結論以上によれば,原告らの訴えのうち,主文1項に掲げる各部分は不適法であるからこれを却下し,原告らのその余の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官山田明 裁判官徳地淳 裁判官石川舞子
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