- 1 -平成24年2月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成22年(ワ)第11604号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成23年11月24日判決東京都荒川区<以下略>原告 A1訴訟代理人弁護士坂本誠一同森田智宏埼玉県北足立郡<以下略>被告梅松院埼玉県鴻巣市<以下略>被告池元院埼玉県朝霞市<以下略>被告台雲寺上記被告3名訴訟代理人弁護士宮澤征男同廣川英史同田村彰浩神奈川県鎌倉市<以下略>被告株式会社石長訴訟代理人弁護士丸山健同木下祐介同大森孝参訴訟復代理人弁護士南東雄介埼玉県狭山市<以下略>被告有限会社岩崎石材訴訟代理人弁護士丸山健 - 2 -同木下祐介訴訟復代理人弁護士大森孝参同南東雄介埼玉県蓮田市<以下略>被告有限会社一富士商事訴訟代理人弁護士青木孝同橋本栄三同鈴木研一同西村浩一 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 鈴木研一同西村浩一 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告梅松院は,原告に対し,818万1000円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告池元院は,原告に対し,521万1000円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告台雲寺は,原告に対し,1637万5500円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告株式会社石長は,原告に対し,1703万7000円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告有限会社岩崎石材は,原告に対し,1273万0500円及びこれに対する平成21年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 被告有限会社一富士商事は,原告に対し,1703万7000円及びこれ - 3 -に対する平成21年5月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,後記1(2)記載の登録商標(以下「本件商標」といい,その商標権を「本件商標権」という。)の商標権者である原告が,①被告梅松院,被告株式会社石長(以下「被告石長」という。)及び被告有限会社一富士商事(以下「被告一富士商事」という。)が,共同して,「グレイブガーデンみどりの森」という名称の霊園における墓地の永代使用権を販売するに当たり,その広告に別紙被告標章目録1記載の標章(以下「被告標章1」という。)を付して頒布するなどしたこと,②被告池元院,被告石長及び被告一富士商事が,共同 霊園における墓地の永代使用権を販売するに当たり,その広告に別紙被告標章目録1記載の標章(以下「被告標章1」という。)を付して頒布するなどしたこと,②被告池元院,被告石長及び被告一富士商事が,共同して,「グレイブガーデン北本」という名称の霊園における墓地の永代使用権を販売するに当たり,その広告に別紙被告標章目録2記載の標章(以下「被告標章2」という。)を付して頒布するなどしたこと,③被告台雲寺及び被告有限会社岩崎石材(以下「被告岩崎石材」という。)が,共同して,「グレイブガーデンあさか野」という名称の霊園における墓地の永代使用権を販売するに当たり,その広告に別紙被告標章目録3(1)記載の標章(以下「被告標章3(1)」という。)を付して頒布するなどしたこと,④被告台雲寺,被告石長及び被告一富士商事が,共同して,「グレイブガーデンセカンドステージ」という名称の霊園における墓地の永代使用権を販売するに当たり,その広告に別紙被告標章目録3(2)記載の標章(以下「被告標章3(2)」といい,被告標章1,2,3(1)及び3(2)を併せて「被告各標章」という。)を付して頒布するなどしたことは,それぞれ本件商標に類似する標章を本件商標の指定役務と同一の役務に関する広告に使用する行為(商標法37条1号,2条3項8号)であって,本件商標権の侵害に当たる旨主張して,被告らに対し,共同不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。 1 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の - 4 -全趣旨により認められる事実である。)(1) 当事者ア原告は,平成18年10月5日,宗教法人である総本山世界平和寺(以下「世界平和寺」という。)の責任役員に就任し,以来その地位にある(甲6の7,甲45,49,51,52,原告本人)。 イ(ア ア原告は,平成18年10月5日,宗教法人である総本山世界平和寺(以下「世界平和寺」という。)の責任役員に就任し,以来その地位にある(甲6の7,甲45,49,51,52,原告本人)。 イ(ア) 被告梅松院,被告池元院及び被告台雲寺(以下,これらを併せて「被告各寺院」という。)は,いずれも,各自の宗派の教義をひろめ,儀式行事を行い,信者を教化育成することなどを目的として,宗教法人法に基づいて設立された宗教法人である。 (イ) 被告石長は,石材の加工及び販売,土木工事の設計施工,不動産の賃貸,管理,売買及び仲介等を目的とする株式会社である。 (ウ) 被告岩崎石材は,墓石の設計,加工及び販売,墓地の造成工事請負及び販売,霊園経営コンサルタント業等を目的とする特例有限会社である(以下,被告石長及び被告岩崎石材を併せて「被告各石材店」という。)。 (エ) 被告一富士商事は,土木建築工事の設計請負及び施工等を目的とする特例有限会社である。 (2) 原告の登録商標原告は,以下の登録商標(本件商標)の商標権者である(甲21,22)。 登録番号商標登録第4426122号出願日平成11年6月11日登録日平成12年10月20日商品及び役務の区分第42類指定役務墓地又は納骨堂の提供登録商標別紙商標目録記載のとおり(3) 被告らの行為 - 5 -ア被告標章1の使用等(ア) 被告梅松院は,平成17年11月,埼玉県北足立郡<以下略>において,「グレイブガーデンみどりの森」との名称を付した霊園を開園したが,平成21年4月,当該霊園の名称を「みどりの森」に変更した(以下,名称変更の前後を問わず,この霊園を「本件霊園1」という。)。 (イ) 被告梅松院は, どりの森」との名称を付した霊園を開園したが,平成21年4月,当該霊園の名称を「みどりの森」に変更した(以下,名称変更の前後を問わず,この霊園を「本件霊園1」という。)。 (イ) 被告梅松院は,平成17年4月29日,被告石長との間で,本件霊園1内の墓地の永代使用権の販売業務を被告石長に委託することなどを内容とする「墓地永代使用権設定販売委託等業務提携契約書」(乙5の2)に基づく契約(以下「被告梅松院・被告石長間販売委託契約」という。)を締結した。同契約においては,①被告石長が被告梅松院に受託保証金を預託すること,②被告石長は,本件霊園1内の墓地の永代使用権を利用者に販売し,その永代使用料を代理徴収して,被告石長の当該永代使用料の返還債務と被告梅松院の上記受託保証金の返還債務とを相殺勘定して清算を行うこと,③上記永代使用権の販売の宣伝は,被告梅松院と被告石長が協議して行い,宣伝費は被告石長が負担すること,④被告石長が販売した上記永代使用権の利用者の建墓工事は,被告石長が独占的に行うことができるものとすることなどが合意された(乙5の2)。 (ウ) 被告石長は,平成17年11月ころから平成21年4月までの間,被告梅松院・被告石長間販売委託契約に基づく受託業務として,本件霊園1内の墓地の永代使用権の販売を行い,その際,その販売のためのチラシ広告やカタログに被告標章1を付して頒布し,また,インターネット上の広告に被告標章1を掲示した。 (エ) 被告一富士商事は,平成17年9月ころから同年12月ころにかけて,本件霊園1内における墓地造成工事を行った(丁1)。 - 6 -イ被告標章2の使用等(ア) 被告池元院は,平成18年8月ころ,埼玉県北本市<以下略>において,「グレイブガーデン北本」との名称を付した霊園を開園したが,平成2 た(丁1)。 - 6 -イ被告標章2の使用等(ア) 被告池元院は,平成18年8月ころ,埼玉県北本市<以下略>において,「グレイブガーデン北本」との名称を付した霊園を開園したが,平成21年4月,当該霊園の名称を「北本霊園」に変更した(以下,名称変更の前後を問わず,この霊園を「本件霊園2」という。)。 (イ) 被告池元院は,平成17年ないし平成18年ころ,被告石長との間で,本件霊園2内の墓地の永代使用権の販売業務を被告石長に委託することなどを内容とする契約(以下「被告池元院・被告石長間販売委託契約」という。)を締結した。同契約においては,前記ア(イ)の被告梅松院・被告石長間販売委託契約とおおむね同様の合意がされた。 (ウ) 被告石長は,平成18年8月ころから平成21年4月までの間,被告池元院・被告石長間販売委託契約に基づく受託業務として,本件霊園2内の墓地の永代使用権の販売を行い,その際,その販売のためのチラシ広告やカタログに被告標章2を付して頒布し,また,インターネット上の広告に被告標章2を掲示した。 (エ) 被告一富士商事は,平成18年4月ころから同年7月ころにかけて,本件霊園2内における墓地造成工事を行った(丁2)。 ウ被告標章3(1)の使用等(ア) 被告台雲寺は,平成14年10月,埼玉県朝霞市<以下略>において,「グレイブガーデンあさか野」との名称を付した霊園を開園したが,平成21年4月,当該霊園の名称を「芝生の霊園あさか野」に変更した(以下,名称変更の前後を問わず,この霊園を「本件霊園3(1)」という。)。 (イ) 被告台雲寺は,平成14年12月12日,被告岩崎石材との間で,本件霊園3(1)内の墓地の永代使用権の販売業務を被告岩崎石材に委託することなどを内容とする「墓地永代使用権設定販売委託等業務提 イ) 被告台雲寺は,平成14年12月12日,被告岩崎石材との間で,本件霊園3(1)内の墓地の永代使用権の販売業務を被告岩崎石材に委託することなどを内容とする「墓地永代使用権設定販売委託等業務提 - 7 -携契約書」(乙7)に基づく契約(以下「被告台雲寺・被告岩崎石材間販売委託契約」という。)を締結した。同契約においては,①被告岩崎石材が被告台雲寺に受託保証金を預託すること,②被告岩崎石材は,本件霊園3(1)内の墓地の永代使用権を利用者に販売し,その永代使用料を代理徴収して,被告岩崎石材の当該永代使用料の返還債務と被告台雲寺の上記受託保証金の返還債務とを相殺勘定して清算を行うこと,③上記永代使用権の販売の宣伝は,被告台雲寺と被告岩崎石材が協議して行い,宣伝費は被告岩崎石材が負担すること,④被告岩崎石材が販売した上記永代使用権の利用者の建墓工事は,被告岩崎石材が独占的に行うことができるものとすることなどが合意された(乙7)。 (ウ) 被告岩崎石材は,平成14年12月ころから平成21年4月までの間,被告台雲寺・被告岩崎石材間販売委託契約に基づく受託業務として,本件霊園3(1)内の墓地の永代使用権の販売を行い,その際,その販売のためのチラシ広告やカタログに被告標章3(1)を付して頒布し,また,インターネット上の広告に被告標章3(1)を掲示した。 エ被告標章3(2)の使用等(ア) 被告台雲寺は,平成19年10月,埼玉県朝霞市<以下略>において,「グレイブガーデンセカンドステージ」との名称を付した霊園を開園したが,平成21年4月,当該霊園の名称を「芝生の霊園あさか野セカンドステージ」に変更した(以下,名称変更の前後を問わず,この霊園を「本件霊園3(2)」といい,また,本件霊園1,本件霊園2,本件霊園3(1)及び本件霊園3(2)を の名称を「芝生の霊園あさか野セカンドステージ」に変更した(以下,名称変更の前後を問わず,この霊園を「本件霊園3(2)」といい,また,本件霊園1,本件霊園2,本件霊園3(1)及び本件霊園3(2)を併せて「本件各霊園」という。)。 (イ) 被告台雲寺は,平成19年ころ,被告石長との間で,本件霊園3(2)内の墓地の永代使用権の販売業務を被告石長に委託することなどを内容とする契約(以下「被告台雲寺・被告石長間販売委託契約」と - 8 -いう。)を締結した。同契約においては,前記ア(イ)の被告梅松院・被告石長間販売委託契約とおおむね同様の合意がされた。 (ウ) 被告石長は,平成19年10月ころから平成21年4月までの間,被告台雲寺・被告石長間販売委託契約に基づく受託業務として,本件霊園3(2)内の墓地の永代使用権の販売を行い,その際,その販売のためのチラシ広告やカタログに被告標章3(2)を付して頒布し,また,インターネット上の広告に被告標章3(2)を掲示した。 (エ) 被告一富士商事は,平成19年8月ころから同年11月ころにかけて,本件霊園3(2)内における墓地造成工事を行った(丁3)。 2 争点本件の争点は,①被告各標章は,本件商標に類似するか(争点1),②被告各石材店は,本件商標の指定役務と同一の役務に関する広告に被告各標章を使用したか(争点2),③被告一富士商事は,本件商標権侵害の共同不法行為責任を負うか(争点3),④本件商標権の効力は,商標法26条1項3号により被告各標章に及ばないか(争点4),⑤原告が被告らに対し本件商標権に基づく損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用となるか(争点5),⑥原告における損害の発生及び損害額(争点6)である。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(商標の類否)について(1) づく損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用となるか(争点5),⑥原告における損害の発生及び損害額(争点6)である。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(商標の類否)について(1) 原告の主張本件商標の構成は,別紙商標目録記載のとおりであるところ,「GRAVEGARDEN」及び「グレイブガーデン」の各文字は,英語にも,日本語にも存在しない単語であり,「墓」を意味する「GRAVE(グレイブ)」と,「庭」を意味する「GARDEN(ガーデン)」という二つの言葉を統合することで,これまでの墓地,墓苑又は霊園とは異なった明るいイメージを与える言葉として原告が作り出した造語である。 - 9 -一方,被告各標章の構成は,それぞれ別紙被告標章目録記載のとおりであるところ,いずれも,「グレイブガーデン」の各文字部分が先頭に目立つように配置され,上記各文字部分に,墓地を提供する場所を示す言葉である「みどりの森」(被告標章1),「北本」(被告標章2)及び「あさか野」(被告標章3(1))や,「あさか野」の「2番目の場所」であることを示す「セカンドステージ」(被告標章3(2))の言葉が付加されているにすぎないことからすると,被告各標章の要部はいずれも「グレイブガーデン」の文字部分であるといえる。 そして,本件商標と被告各標章の要部とを対比すると,本件商標と被告各標章とがそれぞれ類似することは明らかである。 (2) 被告らの主張ア被告各石材店及び被告一富士商事の主張原告は,被告各標章において,「グレイブガーデン」の文字部分が要部である旨を主張するが,「グレイブガーデン」という言葉は,「墓」を意味する「GRAVE(グレイブ)」と,「庭園」を意味する「GARDEN(ガーデン)」をつなぎ合わせたもので,墓地,墓苑ないし霊 要部である旨を主張するが,「グレイブガーデン」という言葉は,「墓」を意味する「GRAVE(グレイブ)」と,「庭園」を意味する「GARDEN(ガーデン)」をつなぎ合わせたもので,墓地,墓苑ないし霊園の意味で通常使用される用語にすぎないから,被告各標章の当該部分が,特に自他識別力を発揮するものとはいえない。 したがって,被告各標章においては,「グレイブガーデン」の文字部分が特に要部として認識されるものではなく,それ以外の「みどりの森」,「北本」,「あさか野」及び「セカンドステージ」の各文字部分等をも含めた不可分一体のものとして認識されるというべきである。 してみると,「グレイブガーデン」の文字のみならず,これに続く地名等が主従の別なく一体として結合した被告各標章と,「GRAVEGARDEN」及び「グレイブガーデン」の文字のみから成る本件商標とでは,その外観も呼称も異なるものといえるから,本件商標と被告各 - 10 -標章とは,いずれも類似しない。 イ被告各寺院の主張原告の主張は争う。 2 争点2(被告各石材店についての役務の類否)について(1) 原告の主張被告石長は,本件霊園1,本件霊園2及び本件霊園3(2)内の墓地の永代使用権を販売するための広告において,被告標章1,2及び3(2)をそれぞれ使用し,また,被告岩崎石材は,本件霊園3(1)内の墓地の永代使用権を販売するための広告において,被告標章3(1)を使用したものであるところ,墓地の永代使用権の販売行為は,本件商標の指定役務のうち,「墓地の提供」に含まれるものといえる。また,本件各霊園における永代使用権の設定行為と墓地墓石の販売行為は一体として行われ,これを行う石材店も被告各石材店に限定されているのであるから,被告らは,共同して,「墓地又は納骨堂の提 といえる。また,本件各霊園における永代使用権の設定行為と墓地墓石の販売行為は一体として行われ,これを行う石材店も被告各石材店に限定されているのであるから,被告らは,共同して,「墓地又は納骨堂の提供」を行っているものといえる。 したがって,被告各石材店は,本件商標の指定役務と同一の役務に関する広告に被告各標章を使用したものである。 (2) 被告各石材店の主張被告各石材店が業として行っているのは,①墓石の販売,②墓石の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,③墓石への彫刻,④霊園における建墓工事の請負であり,被告各石材店が被告各標章を使用して行った広告も,これらの役務に関するものにほかならない。 しかるところ,特許庁の商品及び役務の区分によれば,本件商標の指定役務である「墓地又は納骨堂の提供」が第42類(現在の第45類)であるのに対し,上記①の「墓石」は第19類,上記②の「墓石の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は第35類,上記③の「墓石への彫刻」は第40類,上記④の「建墓工事」は第37類であっ - 11 -て,いずれも本件商標の指定役務とは,商品及び役務の区分が全く異なっている。 したがって,被告各石材店は,本件商標の指定役務と同一の役務に関する広告に被告各標章を使用したものとはいえない。 3 争点3(被告一富士商事の共同不法行為責任の有無)について(1) 原告の主張被告一富士商事は,被告各寺院の委託を受け,本件霊園1,本件霊園2及び本件霊園3(2)について,墓地,埋葬等に関する法律(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づく墓地経営許可の申請の代行及び墓地造成工事等を行ったものである。 そして,被告一富士商事は,被告各寺院が上記各霊園に「グレイブガーデン」を 関する法律(以下「墓埋法」という。)10条1項に基づく墓地経営許可の申請の代行及び墓地造成工事等を行ったものである。 そして,被告一富士商事は,被告各寺院が上記各霊園に「グレイブガーデン」を含む名称を付して墓地の経営及び永代使用権の販売を行うことを熟知しながら,これらの霊園についての墓地経営許可申請を代行するとともに,墓地造成工事を行って,各霊園の開園及び墓地の販売に協力し,ひいては,被告各寺院及び被告各石材店による本件商標権の侵害行為(墓地永代使用権の販売のための広告に被告各標章を使用する行為)に協力した。 したがって,被告一富士商事の上記行為は,本件商標権侵害の共同不法行為に当たるから,原告に対し,その共同不法行為責任を負う。 (2) 被告一富士商事の主張被告一富士商事は,被告各寺院から原告主張の委託を受けたことはなく,本件霊園1,本件霊園2及び本件霊園3(2)についての墓地経営許可の申請業務を代行したこともない。 被告一富士商事は,被告各寺院の霊園開設事業に関与していた有限会社坂内企画及び有限会社キャッツメイクとの間の請負契約に基づき,上記各霊園における墓地造成工事を行ったにすぎず,被告各寺院及び被告各石材店が行った墓地永代使用権の販売やそのための広告には何ら関与していな - 12 -い。 したがって,被告一富士商事は,本件商標権の侵害行為に協力したことはないから,原告主張の共同不法行為責任を負うべき理由はない。 4 争点4(商標法26条1項3号該当性)について(1) 被告らの主張被告各標章のうち,「グレイブガーデン」の文字部分は,「墓地」や「霊園」と同義の「墓園」を英訳した用語にすぎず,そのことは,高校卒業程度の英語力があれば,容易に理解できることである。 そうすると,被告各石材店が「グレ レイブガーデン」の文字部分は,「墓地」や「霊園」と同義の「墓園」を英訳した用語にすぎず,そのことは,高校卒業程度の英語力があれば,容易に理解できることである。 そうすると,被告各石材店が「グレイブガーデン」の文字部分を含む被告各標章を,本件各霊園における墓地の永代使用権の販売,すなわち「墓地の提供」の役務に関する広告に表示した行為は,当該役務の普通名称,提供の場所,提供の用に供する物,態様又は提供の方法を普通に用いられる方法で表示したものというべきである。 したがって,被告らによる被告各標章の使用は,商標法26条1項3号に掲げる商標の使用に当たるから,本件商標権の効力は及ばない。 (2) 原告の主張被告らは,「GRAVEGARDEN(グレイブガーデン)」の用語が,「墓園」を意味する英単語として存在しているかのように主張するが,そのような英単語は存在せず,当該用語は,前記1(1)のとおり,「墓」を意味する「GRAVE(グレイブ)」と,「庭」を意味する「GARDEN(ガーデン)」という二つの言葉を統合して原告が作り出した造語である。 したがって,被告各標章は,「墓地の提供」の役務についての普通名称,提供の場所,提供の用に供する物,態様又は提供の方法を普通に用いられる方法で表示したものとはいえず,商標法26条1項3号の商標には当たらない。 - 13 - 5 争点5(権利濫用の成否)について(1) 被告らの主張以下の諸事情に鑑みれば,原告が被告らに対し,本件商標権に基づく損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用に当たるというべきである。 ア本件商標の商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があること(ア) 商標法3条1項柱書きは,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については たるというべきである。 ア本件商標の商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があること(ア) 商標法3条1項柱書きは,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる。」と規定する。 そして,特許庁の商標審査基準(第9版)をみると,「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をしないことが明らかであるときは,原則として,商標法3条1項柱書きにより登録を受けることができる商標に該当しないものとされ,その一例として,「指定商品又は指定役務に係る業務を行うことができる者が法令上制限されているため,出願人が指定商品又は指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合」が挙げられている。 (イ) この点,本件商標の指定役務とされる「墓地又は納骨堂の提供」に係る業務についてみると,墓地や納骨堂を経営しようとする者は,墓埋法10条1項により都道府県知事の許可を受けなければならないものとされるところ,厚生労働省が示す「墓地経営・管理の指針」では,墓地の永続性及び非営利性の確保の観点から,営利企業を墓地の経営主体として認めることは適当でないとの考えが示されており,さらに,全国の各地方公共団体が定める墓地の経営許可に関する条例では,墓地及び納骨堂の経営主体を,原則として地方公共団体,宗教法人又は公益法人(以下「宗教法人等」という。)に限定し,個人が「墓地」の経営を許される場合を,「自己又は自己の親族のために設置さ - 14 -れた墓地を自己又は自己の親族のために引き継いで経営しようとするとき。」や「災害の発生又は公共事業の実施に伴い自己又は自己の親族のために設置された墓地を移転して,自己又は自己の親族のために新たに墓地を経営しようとする場合で,宗教的感情上及び公 経営しようとするとき。」や「災害の発生又は公共事業の実施に伴い自己又は自己の親族のために設置された墓地を移転して,自己又は自己の親族のために新たに墓地を経営しようとする場合で,宗教的感情上及び公衆衛生上支障がないと町長が認めるとき。」などのごく例外的な場合に限定している。 してみると,そもそも個人である原告は,「自己の業務」として「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことが法令上許されていないものといえるから,本件商標が,出願人たる原告において「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」でないことは明らかである。 したがって,本件商標の商標登録には,商標法3条1項柱書きに違反する無効理由がある。 (ウ) この点,原告は,後記のとおり,墓地や納骨堂の経営主体が法令上宗教法人等に限られているとしても,宗教法人等の「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を当該宗教法人等から委託を受けた者が行うことまでが法令上制限されるものではないとした上で,原告は,宗教法人である世界平和寺の相談役又は責任役員の地位にあり,同宗教法人から本件商標を使用した「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を含む「高齢者元気村サンパラダイス」の事業等の遂行を委ねられ,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を「自己の業務」として行ってきたものであるから,本件商標の商標登録が商標法3条1項柱書きに違反するとはいえない旨を主張する。 しかしながら,ここで原告のいう「委託」が,宗教法人等が「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を他者に「丸投げ」して,これを全て行わせることを意味するとすれば,そのような「委託」は,墓 - 15 -埋法が禁止する「名義貸し」に当たるから,許容されるものではない。 他方,原告のいう「委託」が,宗教法人等 て,これを全て行わせることを意味するとすれば,そのような「委託」は,墓 - 15 -埋法が禁止する「名義貸し」に当たるから,許容されるものではない。 他方,原告のいう「委託」が,宗教法人等が行う「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務のうち,永代使用権の販売行為等の一部の業務を他者に行わせることを意味するとすれば,そのような受託者の行為は,あくまで墓地の経営主体である宗教法人等の「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務の一環として行われるものにすぎないから,当該業務それ自体が受託者自身の業務となるものではない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (エ) 以上のとおり,本件商標の商標登録には商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があるものといえるが,本件商標については,その設定登録の日(平成12年10月20日)から既に商標法47条1項所定の5年の除斥期間が経過しているため,商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らが,本件において,当該無効を理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主張することはできない。 しかしながら,原告による本件商標権の行使が除斥期間の経過によって許容されるとするならば,墓地の永続性・非営利性の確保の観点から,その経営主体を宗教法人等に限っている現行法の法秩序を著しく乱すこととなるから,このような商標権の行使は,権利の濫用として許されないと解すべきである。 イ本件商標には,原告の信用が化体しておらず,出所識別機能がないこと(ア) 原告がこれまでに本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務に使用してきたという事実は何ら認められないから,本件商標は,原告の信用を化体するものではなく,出所識別機能を有しない。 したがって,被告 までに本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務に使用してきたという事実は何ら認められないから,本件商標は,原告の信用を化体するものではなく,出所識別機能を有しない。 したがって,被告らが「墓地の提供」の役務に関して被告各標章を - 16 -使用しても,本件商標の出所識別機能が害されることはない。 (イ) 原告は,後記のとおり,これまで,宗教法人である世界平和寺の相談役又は責任役員として,全国各地において,「高齢者元気村サンパラダイス」の事業等を遂行する中で,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に関して本件商標を使用してきた旨主張するが,原告提出の各証拠によっても,そのような事実を認めることはできない。 ウ本件商標の登録出願は不法な利益を取得しようとする意図によるものと推測されること被告各寺院は,平成21年4月3日,原告の代理人弁護士から,本件各霊園に「グレイブガーデン」の名称を使用することを止めるようにとの警告書の送付を受けたことから,それぞれ速やかに本件各霊園の名称を変更する手続をとった。 ところが,その後,原告の関係者から依頼されたという「敬天新聞社」のB1なる人物が,街宣車を被告各寺院に乗り付けたり,被告各寺院及び本件各霊園の経営に不正があるかのように記載したチラシを配布するなどの行為に及んだ。 このように,原告が,被告各寺院に対して常識に反する手段で圧力をかけてきたことからすれば,原告は,宗教法人等が営む霊園事業に介入して不法な利益を取得する意図をもって,本件商標の登録出願を行ったものと推測される。 (2) 原告の主張ア本件商標の商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があるとの主張について(ア) 墓埋法10条1項による墓地又は納骨堂の経営の許可については,行政上の通知により戦 2) 原告の主張ア本件商標の商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があるとの主張について(ア) 墓埋法10条1項による墓地又は納骨堂の経営の許可については,行政上の通知により戦後一貫して宗教法人等にのみ与えられる運用がされており,これを受けて各都道府県等の条例においても,墓地 - 17 -及び納骨堂の経営主体を原則として宗教法人等に限る旨が規定されている。 しかながら,このような限定は,経済状況の変化に影響されることなく,墓地及び納骨堂の経営の永続性,非営利性を確保する趣旨から,単にその経営主体を宗教法人等に限定するものであって,宗教法人等の「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を,当該宗教法人等から委託を受けた者が行うことまで制限するものではない。 むしろ,実際の墓地や霊園の開発事業は,宗教法人等が独力でこれを行うことはまれであり,石材店やコンサルタント会社などの多数の事業者が関与して行われるのが一般的である。 したがって,宗教法人等ではない者であっても,宗教法人等からの委託を受けた上で,当該宗教法人等と共同することにより,「自己の業務」として「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことは可能である。 (イ) しかるところ,原告は,本件商標の登録出願(平成11年6月11日)以前から現在に至るまで,宗教法人である世界平和寺の相談役又は責任役員の地位にあり,同宗教法人から本件商標を使用した「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を含む「高齢者元気村サンパラダイス」の事業等の遂行を委ねられ,全国各地においてこれらの事業に係る活動を行い,その中で,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に関して本件商標を使用してきた。 このように,原告による本件商標の登録出願は,原告が行うこれらの事業活動に使用する おいてこれらの事業に係る活動を行い,その中で,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に関して本件商標を使用してきた。 このように,原告による本件商標の登録出願は,原告が行うこれらの事業活動に使用するために行われたものであり,本件商標は,出願人たる原告にとって「自己の業務」である「墓地又は納骨堂の提供」の役務について使用をする商標に当たるものといえるから,本件商標の商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があるとはい - 18 -えない。 (ウ) また,被告らは,本件商標について,商標法47条1項所定の除斥期間が既に経過し,商標登録無効審判の請求をすることができないため,上記無効を理由とする権利行使制限の抗弁を主張することができないことを前提としながら,原告による本件商標権の行使が権利の濫用に当たる旨を主張する。 しかしながら,商標法47条1項が定める除斥期間の趣旨は,商標登録の無効審判が請求されることなく除斥期間が経過したときは,商標登録がされたことにより生じた既存の継続的な状態を保護するために,商標登録の有効性を争えないものとすることにあると解されるところ,被告らの上記権利濫用の主張が認められるとすれば,除斥期間を定めた法の趣旨が没却されることになるから,このような主張が認められるべきではない。 イ本件商標には原告の信用が化体されておらず,出所識別機能がないとの主張について前記ア(イ)のとおり,原告は,宗教法人である世界平和寺の相談役又は責任役員の地位にあり,同宗教法人から本件商標を使用した「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を含む「高齢者元気村サンパラダイス」の事業等の遂行を委ねられ,全国各地においてこれらの事業に係る活動を行い,その中で,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に関して本件商標を使用してき 」の役務に係る業務を含む「高齢者元気村サンパラダイス」の事業等の遂行を委ねられ,全国各地においてこれらの事業に係る活動を行い,その中で,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に関して本件商標を使用してきたものであるから,本件商標には原告の信用が化体されており,出所識別機能がないとはいえない。 ウ本件商標の登録出願は不法な利益を取得しようとする意図によるものと推測されるとの主張について被告らの主張は争う。 エ以上によれば,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請 - 19 -求権の行使が権利の濫用に当たるとする被告らの主張は理由がない。 6 争点6(原告における損害の発生及び損害額)について(1) 原告の主張ア被告らの共同不法行為責任被告各石材店は,それぞれ被告各寺院からの委託に基づき,被告各寺院と共同して,本件各霊園における墓地の永代使用権の販売業務を行う中で,本件商標に類似する被告各標章を広告に使用して,本件商標権の侵害行為を行い,その結果,原告は損害を被った。また,被告一富士商事は,これらの侵害行為に協力した。 したがって,被告らは,原告に対し,本件商標権侵害の共同不法行為者として,原告が受けた損害を連帯して賠償すべき義務がある。 イ損害額(ア) 商標法38条2項による損害額a 商標法38条2項によれば,商標権を侵害した者がその侵害行為により利益を受けているときは,当該利益の額が商標権者の受けた損害の額と推定される。 しかるところ,被告らは,被告各標章を広告に使用して本件各霊園における墓地の永代使用権を販売することにより,それぞれ次のような利益を受けている。 (a) 本件霊園1に係る利益被告梅松院,被告石長及び被告一富士商事は,平成17年11月ころから平成21年4月までの間, 永代使用権を販売することにより,それぞれ次のような利益を受けている。 (a) 本件霊園1に係る利益被告梅松院,被告石長及び被告一富士商事は,平成17年11月ころから平成21年4月までの間,被告標章1を広告に使用して本件霊園1における墓地の永代使用権を販売することによって,次のような利益を受けた。 ① 墓地の永代使用権の販売代金606区画で,合計1億8092万8000円 - 20 -② 墓石の販売代金及び設置工事代金合計10億9080万円(1基当たり180万円×606区画)③ 管理料合計1億8783万円(年間管理料合計375万6600円×50年間)④ 利益額合計7297万7900円(上記①ないし③の合計額14億5955万8000円×利益率5%)(b) 本件霊園2に係る利益被告池元院,被告石長及び被告一富士商事は,平成18年8月ころから平成21年4月までの間,被告標章2を広告に使用して本件霊園2における墓地の永代使用権を販売することによって,次のような利益を受けた。 ① 墓地の永代使用権の販売代金386区画で,合計1億3615万円② 墓石の販売代金及び設置工事代金合計6億9480万円(1基当たり180万円×386区画)③ 管理料合計1億2129万円(年間管理料合計242万5800円×50年間)④ 利益額合計4761万2000円(上記①ないし③の合計額9億5224万円×利益率5%)(c) 本件霊園3(1)に係る利益被告台雲寺及び被告岩崎石材は,平成14年10月ころから平 - 21 -成21年4月までの間,被告標章3(1)を広告に使用して本件霊園3(1)における墓地の永代使用権を販売することによって,次のような利益を受けた。 ① 墓地の永代 10月ころから平 - 21 -成21年4月までの間,被告標章3(1)を広告に使用して本件霊園3(1)における墓地の永代使用権を販売することによって,次のような利益を受けた。 ① 墓地の永代使用権の販売代金943区画で,合計4億4603万9000円② 墓石の販売代金及び設置工事代金合計16億9740万円(1基当たり180万円×943区画)③ 管理料合計3億9606万円(年間管理料合計792万1200円×50年間)④ 利益額合計1億2697万4950円(上記①ないし③の合計額25億3949万9000円×利益率5%)(d) 本件霊園3(2)に係る利益被告台雲寺,被告石長及び被告一富士商事は,平成19年10月ころから平成21年4月までの間,被告標章3(2)を広告に使用して本件霊園3(2)における墓地の永代使用権を販売することによって,次のような利益を受けた。 ① 墓地の永代使用権の販売代金270区画で,合計1億5093万円② 墓石の販売代金及び設置工事代金合計4億8600万円(1基当たり180万円×270区画)③ 管理料合計1億1340万円(年間管理料合計226万8000円×50年間) - 22 -④ 利益額合計3751万6500円(上記①ないし③の合計額7億5033万円×利益率5%)b 以上によれば,各被告が賠償すべき商標法38条2項による損害額は,次のとおりである。 (a) 被告梅松院 7297万7900円(前記a(a)④)(被告石長及び被告一富士商事と連帯)(b) 被告池元院 4761万2000円(前記a(b)④)(被告石長及び被告一富士商事と連帯)(c) 被告台雲寺 1億6449万1450円(前記a(c)④及びa(d)④の と連帯)(b) 被告池元院 4761万2000円(前記a(b)④)(被告石長及び被告一富士商事と連帯)(c) 被告台雲寺 1億6449万1450円(前記a(c)④及びa(d)④の合計額)(内金1億2697万4950円につき被告岩崎石材と,内金3751万6500円につき被告石長及び被告一富士商事とそれぞれ連帯)(d) 被告石長 1億5810万6400円(前記a(a)④,a(b)④及びa(d)④の合計額)(内金7297万7900円につき被告梅松院及び被告一富士商事と,内金4761万2000円につき被告池元院及び被告一富士商事と,内金3751万6500円につき被告台雲寺及び被告一富士商事とそれぞれ連帯)(e) 被告岩崎石材 1億2697万4950円(前記a(c)④)(被告台雲寺と連帯)(f) 被告一富士商事 1億5810万6400円(前記a(a)④,a(b)④及びa(d)④の合計額)(内金7297万7900円につき被告梅松院及び被告 - 23 -石長と,内金4761万2000円につき被告池元院及び被告石長と,内金3751万6500円につき被告台雲寺及び被告石長とそれぞれ連帯)(イ) 商標法38条3項による損害額商標法38条3項によれば,商標権者は,商標権を侵害した者に対し,その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。 しかるところ,本件商標の使用料相当額としては,被告らが被告各標章を広告に使用して本件各霊園における墓地の永代使用権を販売することによって得た売上総額の5パーセントが相当である。 そして,被告らの本件各霊園ごとの売上総額は,前記(ア)a(a)ないし(d)の各①ないし③の合計額となるから おける墓地の永代使用権を販売することによって得た売上総額の5パーセントが相当である。 そして,被告らの本件各霊園ごとの売上総額は,前記(ア)a(a)ないし(d)の各①ないし③の合計額となるから,それぞれに係る本件商標の使用料相当額は,その5パーセントに当たる前記(ア)a(a)ないし(d)の各④の金額と同額となる。 したがって,各被告が賠償すべき商標法38条3項による損害額は,前記(ア)b(a)ないし(f)の各金額と同額である。 ウ小括よって,原告は,被告らに対し,上記イ(ア)b又は(イ)記載の各損害額の内金として,それぞれ前記「第1 請求」記載の金額及びこれに対する不法行為の後である平成21年5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 (2) 被告らの主張ア商標法38条2項の不適用商標法38条2項は,商標権侵害行為により商標権者の売上げが減退した結果,その利益が減少した場合の逸失利益の額を法律上推定する規 - 24 -定であるから,商標権者が同条項の適用を受けるためには,自ら業として登録商標を使用していることが必要とされる。 ところが,本件においては,原告が業として本件商標を使用していた事実は認められず,また,具体的な使用予定があった事実も認められないから,本件において,商標法38条2項の適用はない。 イ商標法38条3項による損害の不発生登録商標に顧客吸引力が全く認められず,登録商標に類似する標章を使用することが第三者の商品等の売上げに全く寄与していないことが明らかなときは,商標法38条3項の得べかりし利益としての使用料相当額の損害も生じていないというべきである。 しかるところ,本件においては,原告が業として本件商標を使用して「墓地又は納骨 ことが明らかなときは,商標法38条3項の得べかりし利益としての使用料相当額の損害も生じていないというべきである。 しかるところ,本件においては,原告が業として本件商標を使用して「墓地又は納骨堂の提供」の役務を行った事実が全く認められないのであり,また,そもそも霊園内の墓地の永代使用権の需用者が,その購入に当たって重視するのは,当該霊園及び墓地の立地条件(交通アクセスの良さ,周辺環境など),経営主体たる宗教法人等の信用力や評判,管理体制,墓地区画の広さ,販売価格などの点であって,当該霊園に使用される名称や標章ではない。 してみると,本件商標には,その指定役務である「墓地又は納骨堂の提供」の役務についての顧客吸引力が全く存在しないというべきであるから,被告らが本件各霊園内の墓地の永代使用権を販売することによって利益を得ているとしても,それは,被告ら自身の信用力や宣伝等によるものであって,「グレイブガーデン」の文字を含む被告各標章の使用がその売上げに全く寄与していないことは明らかである。 したがって,本件においては,商標法38条3項による損害の発生も認められない。 第4 当裁判所の判断 - 25 - 1 争点5(権利濫用の成否)について本件事案の内容等に鑑み,原告による本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使が権利の濫用に当たる旨の被告らの抗弁の成否から判断することとする。 (1) 商標法3条1項柱書きに違反する無効理由の有無について被告らは,本件商標の指定役務である「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことができる主体は法令上宗教法人等に限られており,個人である原告が「自己の業務」として上記業務を行うことはできないから,本件商標は,出願人たる原告において「自己の業務に係る商品又は役務について使用をす できる主体は法令上宗教法人等に限られており,個人である原告が「自己の業務」として上記業務を行うことはできないから,本件商標は,出願人たる原告において「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」ではなく,原告による本件商標の商標登録には商標法3条1項柱書きに違反する無効理由がある旨主張するので,以下検討する。 ア商標法3条1項柱書きは,「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については,次に掲げる商標を除き,商標登録を受けることができる。」と規定し,登録出願に係る商標が,その出願人において「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを商標の登録要件の一つとして定めている。 しかるところ,商標法1条が「この法律は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」と規定していることなどに鑑みると,商標法は,商標の使用を通じてそれに化体された業務上の信用が保護対象であることを前提とした上で,出願人が現に商標を使用していることを登録要件としない法制(いわゆる登録主義)を採用したものであり,その上で,商標法3条1項柱書きが,出願人において「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」であることを商標の登録要件とした趣旨は,上記のような法制の下 - 26 -において,他者からの許諾料や譲渡対価の取得のみを目的として行われる,いわゆる商標ブローカーなどによる濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという点にあるものと解される。 そして,このような法の趣旨に鑑みれば,商標法3条1項柱書きの「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,出願人が自己の業務 の健全な運営を確保するという点にあるものと解される。 そして,このような法の趣旨に鑑みれば,商標法3条1項柱書きの「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,出願人が自己の業務に現に使用する商標又は近い将来において自己の業務に使用する意思がある商標であることを要し,また,ここでいう「自己の業務に使用する意思がある」といえるためには,単に出願人が主観的に使用の意図を有しているというのみでは足りず,自己の業務での使用を開始する具体的な予定が存在するなど,客観的にみて,近い将来における使用の蓋然性が認められることを要するものと解するのが相当である。 イそこで,以上のような観点から,原告が指定役務を「墓地又は納骨堂の提供」として登録出願を行った本件商標が,出願人たる原告において「自己の業務に係る役務について使用をする商標」に当たるものといえるか否かについて,検討することとする。 (ア) 「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことができる主体について被告らは,本件商標の指定役務である「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことができる主体は法令上宗教法人等に限られており,個人である原告が「自己の業務」として上記業務を行うことはできないとして,このことから直ちに,本件商標は,出願人たる原告において「自己の業務に係る役務について使用をする商標」とはいえない旨を主張する。 そこで,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことができる主体についての法令等の規定をみるに,墓埋法10条1項によれば,墓地や納骨堂を経営するには,都道府県知事の許可を要するも - 27 -の(ただし,地方自治法252条の17の2第1項によれば,「都道府県は,都道府県知事の権限に属する事務の一部を,条例の定めるところに 堂を経営するには,都道府県知事の許可を要するも - 27 -の(ただし,地方自治法252条の17の2第1項によれば,「都道府県は,都道府県知事の権限に属する事務の一部を,条例の定めるところにより,市町村が処理することとすることができる。」とされるため,都道府県が条例でその旨を定めた場合には,市町村の事務として墓埋法10条1項の許可が行われることとなる。)とされるところ,平成12年12月6日に当時の厚生省生活衛生局長が各都道府県知事等宛てに発した「墓地経営・管理の指針等について」と題する通知(生衛発第1764号)においては,「墓地経営の許可に関する指針」として,「墓地の永続性及び非営利性の確保の観点から,従前の厚生省の通知等により,営利企業を墓地経営主体として認めることは適当ではないとの考え方が示されている。この考え方を変更すべき国民意識の大きな変化は特段認められないことから,従来どおり「市町村等の地方公共団体が原則であり,これによりがたい場合であっても宗教法人,公益法人等に限る」との行政指針にのっとって行うことが適当であり,具体的な運用に当たっては,こうした要件を条例,規則等に定めておくことが望ましいと考えられる。」とされている(丙4)。また,上記のような従前からの厚生省の通知等を受けて,墓埋法10条1項の許可事務を行う都道府県又は市町村においては,当該許可に関する条例を制定し,その中で,墓地や納骨堂の経営主体について,特別な事情がない限り,地方公共団体,宗教法人又は公益法人でなければならない旨を定めている(丙5の1ないし6)。 以上のような墓埋法10条1項の規定とこれに関する行政上の通知及び各都道府県等の条例の内容からすれば,本件商標の商標登録がされた当時(平成12年10月20日)から,個人である原告が自ら墓埋法10 以上のような墓埋法10条1項の規定とこれに関する行政上の通知及び各都道府県等の条例の内容からすれば,本件商標の商標登録がされた当時(平成12年10月20日)から,個人である原告が自ら墓埋法10条1項の許可を得ることは実際上不可能であったものと認められ,したがって,原告は,「墓地又は納骨堂」の経営主体として「墓 - 28 -地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を行うことはできなかったものといえる。 他方で,一般に,墓地や霊園の開発,販売,管理等の事業において,石材店やコンサルタント会社などの民間業者が関与し,墓地の経営主体となる宗教法人等と共同して当該事業を進めていく場合があることは,本件各霊園の開発経過に関する証拠(乙5の1及び2,乙6,7)等に照らしても容易に推認し得るところである。そして,このように宗教法人等以外の業者等が宗教法人等からの委託を受けて,墓地の開発,販売,管理等の業務の一部を行っているような場合には,当該業者等は,墓地の経営主体である宗教法人等と共同することによって,「自己の業務」として「墓地の提供」の役務に係る業務を行っていると評価できる場合もあり得るものということができる。 してみると,被告らが主張するように,原告が法令上「墓地又は納骨堂」の経営主体とはなり得ない個人であるとの理由のみから直ちに,本件商標が,出願人たる原告において「自己の業務に係る役務について使用をする商標」とはいえないものと即断することは相当でなく,この点については,更に,原告が本件商標の登録出願に至った経過,その当時における原告の本件商標の使用状況やその使用予定の有無等の具体的な事情を勘案して,本件商標が,原告において,自己の業務に現に使用し,又は近い将来において自己の業務に使用する意思がある商標であったものといえるか否か 件商標の使用状況やその使用予定の有無等の具体的な事情を勘案して,本件商標が,原告において,自己の業務に現に使用し,又は近い将来において自己の業務に使用する意思がある商標であったものといえるか否かを検討する必要がある。 (イ) 検討a 原告は,原告が,本件商標の登録出願(平成11年6月11日)以前から現在に至るまで,宗教法人である世界平和寺の相談役又は責任役員の地位にあり,同宗教法人から本件商標を使用した「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を含む「高齢者元気村サンパ - 29 -ラダイス」の事業等の遂行を委ねられ,全国各地においてこれらの事業に係る活動を行い,その中で,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に関して本件商標を使用してきたとした上で,原告による本件商標の登録出願は,原告が行うこれらの事業活動に使用するために行われたものであるから,本件商標は,出願人たる原告において「自己の業務に係る役務について使用をする商標」に当たる旨を主張する。 そして,原告は,世界平和寺の委託により本件商標を使用して行ってきた活動として,具体的には,①平成11年ころから平成18年ころまで,千葉県安房郡X町において準備が進められた「高齢者元気村サンパラダイス」の開発事業の一環としての霊園開発事業(以下「X町における事業」という。),②平成18年ころから,東京都港区Y地において準備が進められている納骨タワーの建設事業(以下「Y地における事業」という。),③平成21年ころから,徳島県鳴門市において準備が進められている「瀬戸内sea鳴門サンパラダイス」の開発事業の一環としての霊園開発事業及び納骨タワーの建設事業(以下「鳴門市における事業」という。),④平成22年から,和歌山県伊都郡Z町において準備が進められている霊園開発事業(以下「Z町におけ の開発事業の一環としての霊園開発事業及び納骨タワーの建設事業(以下「鳴門市における事業」という。),④平成22年から,和歌山県伊都郡Z町において準備が進められている霊園開発事業(以下「Z町における事業」という。)の各事業を企画,展開してきた旨を主張するので,原告主張の各事実が認められるか否かについて,以下検討する。 (a) 原告と世界平和寺との関係について原告は,原告と世界平和寺との関係について,①昭和62年ころ,世界平和寺の代表役員であるC1と知り合い,同寺の信徒総代となり,また,相談役として同寺の運営に関与するようになった旨,②その後,平成18年には,世界平和寺の責任役員に就任 - 30 -し,かつ,東京都新宿区に設置された同寺の東京執務室の室長に任命された旨を主張し,かつ,これに沿う供述(甲45,原告本人)をする。 そこで検討するに,原告が平成18年10月5日に世界平和寺の責任役員に就任したことは前記争いのない事実等(1)アのとおりであり,また,平成18年当時,世界平和寺の「東京執務室」と称される事務所が存在し,原告が同寺の東京執務室長の肩書きを有していたことをうかがわせる証拠(甲25,50)はあるものの,それより前の原告と世界平和寺との関係については,世界平和寺の相談役としてその運営に関与していたなどとする原告の供述があるのみで,これを裏付けるに足りる証拠はない。 してみると,平成18年より前の原告と世界平和寺との関係は,証拠上不明であるというほかなく,したがって,原告が,本件商標の登録出願(平成11年6月11日)以前から世界平和寺の相談役として同寺の運営に関与し,同寺からその業務を委託される立場にあったという事実も認めることができない。 (b) X町における事業について原告は,X町における事業 日)以前から世界平和寺の相談役として同寺の運営に関与し,同寺からその業務を委託される立場にあったという事実も認めることができない。 (b) X町における事業について原告は,X町における事業について,①原告は,かねてから福祉,介護,霊園の3つの事業から構成される「高齢者元気村サンパラダイス」の事業を企画し,そのための候補地を探していたところ,平成11年に,千葉県安房郡X町に適当な土地を発見し,地主である吉浜興産株式会社の賛同を得て,事業実現に向けた活動を行うようになった旨,②原告は,当該事業の中で,「グレイブガーデン」という名称を付した霊園事業を行うことを計画し,世界平和寺に協力を依頼して,同寺が当該霊園事業の実施主体となり,原告が同寺から委託を受けて,同事業に係る業務を行うこ - 31 -ととなった旨,③その後,原告は,近隣住民等から同意書を取り付けたり,協賛企業等から事業資金を集めるなどの活動を行ったが,平成18年のいわゆるリーマンショックの影響により,企業等からの資金調達が困難となり,結局,当該事業計画は実現しないまま終了に至った旨を主張し,かつ,これに沿う供述(甲45,原告本人)をする。 しかしながら,上記のような事業計画が現に進行していたことを示す証拠として原告が提出しているのは,いずれも原告自身が作成したものと認められる「高齢者元気村サンパラダイス事業計画書」と題する書面の写し(甲3)及び「高齢者元気村サンパラダイス」と題するパンフレット様の書面の写し(甲4)程度にすぎないところ,これらの資料は,そもそも原告自身が作成した客観性の乏しい資料にすぎない上に,その作成時期も確認することができず,その記載内容を見ても,「グレイブガーデン」ないし「GRAVEGARDEN」の名称を付した霊園事業については, 身が作成した客観性の乏しい資料にすぎない上に,その作成時期も確認することができず,その記載内容を見ても,「グレイブガーデン」ないし「GRAVEGARDEN」の名称を付した霊園事業については,上記甲3の書面には何らの記載もなく,また,上記甲4の書面には,簡単なイラストと説明文が記載されている程度で,具体的な事業計画の内容がほとんど記載されていないのであって,いずれも原告主張のような事業計画が現に進行していたとの事実を裏付けるに足りるものではない。 してみると,平成11年ころから本件商標を使用した霊園開発事業としてX町における事業の計画が進行していたとの事実については,結局のところ,原告のその旨の供述があるのみであって,これを裏付けるに足りる証拠はないというべきであるから,そのような事実を認めることはできない。 (c) その他の事業について - 32 -さらに,原告は,平成18年以降も,原告が準備を進める本件商標を使用した霊園又は納骨タワーの開発・建設に係る事業として,Y地における事業,鳴門市における事業及びZ町における事業の各計画が現に進行している旨を主張し,かつ,これに沿う供述(甲45,原告本人)をする。 しかしながら,これらの事業計画が現に進行していることを示すものとして原告が提出している証拠をみても,いずれも原告自身が作成したものと認められる「介護&福祉GRAVE高齢者元気村納骨タワー」なる施設及び「Y地メモリアルパーク」なる施設についてのパンフレット様の書面の写し(甲5,6の1ないし3)や「瀬戸内 SIE 鳴門 SUNPARADISE 事業計画書」と題する書面(甲26)がある程度であり,これらの資料が,原告主張のような各事業計画が現に進行していたとの事実を裏付けるに足りるものでないことは,各書面 鳴門 SUNPARADISE 事業計画書」と題する書面(甲26)がある程度であり,これらの資料が,原告主張のような各事業計画が現に進行していたとの事実を裏付けるに足りるものでないことは,各書面の内容等に照らし明らかである。 したがって,平成18年以降,本件商標を使用した霊園又は納骨タワーの開発・建設に係る事業として上記各事業の計画が進行しているとの事実についても,結局のところ,原告のその旨の供述があるのみであって,これを裏付けるに足りる証拠はないというべきであるから,そのような事実を認めることはできない。 (d) 小括以上によれば,原告が主張する,原告が本件商標の登録出願(平成11年6月11日)以前から世界平和寺の相談役として同寺の運営に関与し,同寺からその業務を委託される立場にあったとの事実,原告が平成11年ころから平成18年ころまで世界平和寺の委託により本件商標を使用した霊園開発事業(X町における事 - 33 -業)の計画を進めていたとの事実,原告が平成18年以降も世界平和寺の委託により本件商標を使用した霊園又は納骨タワーの開発・建設に係る事業(Y地における事業,鳴門市における事業及びZ町における事業)の計画を進めてきたとの事実は,いずれも認めることができない。 また,その他に,原告が,これまでに,本件商標を使用して「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務を現に行い,又は,これを具体的に計画していたとの事実を認めるに足りる証拠もない。 b 以上を前提に,本件商標が,出願人たる原告において「自己の業務に係る役務について使用をする商標」に当たるものといえるか否かにつき判断すると,本件商標の商標登録がされた平成12年10月20日当時,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る自己の業務に現に使用 ついて使用をする商標」に当たるものといえるか否かにつき判断すると,本件商標の商標登録がされた平成12年10月20日当時,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る自己の業務に現に使用していたとの事実が認められないことは明らかである。 加えて,その当時の原告が,「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る自己の業務において本件商標の使用を開始する具体的な予定を有していたとの事実も認められないこと,更に,その後の経過をみても,本件商標の商標登録日から本件口頭弁論終結日(平成23年11月24日)に至るまでの11年余りの間に,原告が,本件商標を使用して「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る自己の業務を現に行い,又は,これを具体的に計画したという事実は認められないこと,これらの事情を総合考慮すると,本件商標の商標登録当時の原告には,客観的にみて,本件商標を自己の業務に使用する意思があったとは認められないというべきである。 してみると,本件商標は,出願人たる原告において「自己の業務に係る役務について使用をする商標」には当たらないものというべ - 34 -きである。 ウ以上によれば,原告による本件商標の登録出願は,商標法3条1項柱書きが定める商標の登録要件を欠くものであるから,本件商標の商標登録には同項柱書きに違反する無効理由(商標法46条1項1号)がある。 (2) 権利濫用の成否についてア上記(1)で述べたとおり,本件商標は,その商標登録当時,出願人たる原告において,自己の業務に現に使用していたとは認められず,かつ,自己の業務に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。 加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標 に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。 加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標の商標登録後においても,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務において現に使用した事実は認められず,また,将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも認められないものであるから,本件商標には,原告の信用が化体されているとはいえない。 これらの事情に鑑みれば,原告の本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使を容認することは,商標法の趣旨・目的,とりわけ,いわゆる登録主義の法制下においての濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという同法3条1項柱書きの規定趣旨に反する結果をもたらすものといえるから,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使は,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。 イこれに対し,原告は,本件商標については,商標法47条1項所定の除斥期間の経過により商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らは,本件商標の商標登録が無効であることを理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主 - 35 -張することができないにもかかわらず,本件商標の商標登録に無効理由があることを根拠として権利濫用の主張を認めることは,上記除斥期間を定めた商標法47条1項の趣旨を没却することとなり,許されない旨を主張する。 しかしながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するた しながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するために,商標登録についての瑕疵が消滅したものと扱う趣旨の規定であると解されるところ,商標権者の特定の相手方に対する具体的な商標権の行使が権利の濫用に当たるか否かの判断は,商標法47条1項の規定が対象とする無効審判請求の可否の問題とは異なる場面の問題である。上記権利濫用の成否は,当事者間において具体的に認められる諸般の事情を考慮して,当該権利行使を認めることが正義に反するか否かの観点から総合的に判断されるべきものであって,ここで考慮され得る事情については,特段の制限が加えられるべきものではない。 したがって,商標権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断に当たっては,当該商標の商標登録に無効理由が存在するとの事情を考慮し得るというべきであり,当該無効理由につき商標法47条1項の除斥期間が経過しているからといって,このような考慮が許されないものとされるべき理由はなく,このことが同項の趣旨を没却するなどといえないことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。 2 結論以上によれば,仮に,被告各標章が本件商標に類似し,被告らの行為が本件商標権の侵害に当たるものと認められるとしても,原告が被告らに対し本件商標権に基づく損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきであるから,原告の被告らに対する本訴請求 - 36 -は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 よって,原告の本訴請求は,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官 主文 -は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。よって,原告の本訴請求は,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 理由 東京地方裁判所民事第46部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官大西勝滋 裁判官石神有吾
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