主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴人が当審で追加した公法上の確認の訴えを却下する。 3 当審における訴訟費用は,全て控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁(千葉県知事)が控訴人に対し平成22年12月17日付け管財第○号でなした競争入札への参加禁止処分並びに物品等一般競争入札参加者及び指名競争入札参加者の入札参加資格の取消処分をいずれも取り消す。 3 処分行政庁(千葉県知事)が控訴人に対し平成22年12月17日付け建不第○号でなした指名停止処分を取り消す。 4 (当審で追加した請求)(1) 控訴人は,被控訴人(教育委員会,水道局,企業庁,病院局及び警察本部を含む。)が発注する委託業務(建設工事に係る測量,調査,設計等の委託業務を除く。)の競争入札の参加資格を有していること,並びにA等級の物品等一般競争入札参加者及び指名競争入札参加者の入札参加資格を有していることを確認する。 (2) 控訴人は,被控訴人が発注する建設工事の指名競争入札における指名業者の地位にあることを確認する。 第2 事案の概要(用語の略称及びその意味は,原判決に従う。) 1 本件は,控訴人が千葉県公安委員会によって警備業務に係る営業の停止処分になったこと等を理由として,処分行政庁(千葉県知事)が,控訴人に対し,① 物品の購入又は製造,印刷の請負その他の契約(建設工事,建設工事に係る製造の請負,工事用材料の買入れ及び測量,調査,設計等の業務委託に係る契約を除く。)に関し,平成22年12月17日から平成24年6月16日ま での1年6か月間,一般競争入札及び指名競争入札への参加の禁止(本件入札参加禁止),② 同各 査,設計等の業務委託に係る契約を除く。)に関し,平成22年12月17日から平成24年6月16日ま での1年6か月間,一般競争入札及び指名競争入札への参加の禁止(本件入札参加禁止),② 同各入札の参加資格の取消し(本件入札参加資格取消し),③ 平成22年12月17日から平成23年6月16日までの6か月間,建設工事請負契約等についての指名停止(本件指名停止)をそれぞれ行ったことから,控訴人が①から③まで(本件入札参加禁止等)の措置が,いずれも行政処分であるとして,これら処分の取消しを求めた事案である。 また,控訴人は,本件訴訟提起後,原審において,競争入札における参加資格等の私法上の資格があること及び指名業者の地位にあることの確認の訴えを,追加的に変更申立て(本件訴えの変更申立て)した。 原判決は,本件入札参加禁止等の措置は,いずれも行政処分に当たらず,同取消請求に係る訴えは不適法であるとして却下し,本件訴えの変更申立ては許されないとした(判決理由中で判示した。)。 原判決を不服として,控訴人が控訴し,併せて,競争入札における参加資格等の資格があること及び指名業者の地位にあることの確認の訴えは,公法上の確認の訴え(公法上の当事者訴訟としての確認の訴え)でもあるとして,訴えを追加的に変更した(この関係を争点(3)とする。)。 2 関係法令,前提事実,争点及び当事者の主張は,後記3のとおり付加するほかは,原判決「理由」中,第2の1から4まで(原判決2頁21行目冒頭から同9頁11行目末尾まで)に各記載のとおりであるから,これらを引用する(ただし,「原告」は「控訴人」と,「被告」は「被控訴人」とそれぞれ読み替える。以下引用部分について同じである。)。 3 当審における当事者の補充的・追加的主張(1) 控訴人の主張 用する(ただし,「原告」は「控訴人」と,「被告」は「被控訴人」とそれぞれ読み替える。以下引用部分について同じである。)。 3 当審における当事者の補充的・追加的主張(1) 控訴人の主張ア争点(1)(本件入札参加禁止等の措置の処分性及び違法性)について競争入札参加資格の認定や指名競争入札参加者の指名は,普通地方公共団体の立場からすれば,契約の準備的行為の性格を有するが,競争入札に よって契約を受注する国民(企業)の立場からすれば,それらによる地位を取得することによってはじめて,普通地方公共団体と契約を締結し得る地位を取得できることになり,受注することができる可能性が全くない地位とは,全く異なる地位に立つことができる。 また,競争入札によって,普通地方公共団体が業者と契約をした場合は,その契約の性質が私法上のものであるとしても,契約締結に至る過程は,一般私人とは異なり,公金支出を伴うことから一般競争入札が原則とされており,平等原則(憲法14条)が妥当することも当然であるから,普通地方公共団体に相手方選定について広範な裁量があるとはいえない。 さらに,入札参加資格や指名業者たる地位の得喪は,当事者の合意によって生じるものではなく,あくまで普通地方公共団体が一方的に優越的な意思の発動として決定するものである。 そして,近時判例も,実効的な権利救済を図る観点から,それまで否定していた分野について処分性を認めている(最高裁平成20年9月10日大法廷判決・民集62巻8号2029頁,平成17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号1661頁など)。 以上よりすると,本件入札参加禁止等の措置については,国民の立場からの視点を考慮し,実効的な権利救済を図る趣旨から,処 成17年7月15日第二小法廷判決・民集59巻6号1661頁など)。 以上よりすると,本件入札参加禁止等の措置については,国民の立場からの視点を考慮し,実効的な権利救済を図る趣旨から,処分性を認めるべきである。 イ争点(2)(本件訴えの変更の可否)について控訴人が,本件訴えの変更で確認を求めている私法上の資格や地位は,取消請求の争点である被控訴人の行為における違法性の有無によって決定されるもので(被控訴人の行為が違法であれば,控訴人が確認を求めている資格や地位はあり,被控訴人の行為が適法であれば,控訴人が確認を求めている資格や地位はないという表裏一体の関係にある。),実質的な審理事項は同一であるなどの点から,本件訴えの変更は許されるべきである。 ウ争点(3)(公法上の当事者訴訟としての確認の訴えの可否)控訴人が本件訴えの変更で確認を求めている資格,地位は,私法上の契約を締結する資格,地位であるという側面と共に,地方自治法234条,地方自治法施行令167条の4,同条の11第1項という公法の規定によって規律された公法上の法律関係の資格,地位であるという側面の二面性があるといえる。 そうすると,公法上の当事者訴訟としての確認の訴えとして,訴えの変更は許されなければならないし,その資格,地位が確認されなければならない。 (2) 被控訴人の主張ア争点(1)(本件入札参加禁止等の措置の処分性及び違法性)について本件入札参加禁止等の措置が契約締結に至る準備的行為であることは明白であるし,一般競争入札が原則とされるのは,財務会計上の適正さを担保するためであって,このことが,国民の権利義務を画するものとはいえないし,競争入札の位置づけが契約の準備的な 的行為であることは明白であるし,一般競争入札が原則とされるのは,財務会計上の適正さを担保するためであって,このことが,国民の権利義務を画するものとはいえないし,競争入札の位置づけが契約の準備的な行為であることを左右するものではない。 イ争点(2)(本件訴えの変更の可否)について本件取消訴訟に係る訴えと私法上の確認の訴えとでは,審理事項だけでなく,訴訟要件をはじめ,訴訟手続に関する規律が異なるから,実質的に同種の訴訟手続とはいえず,本件訴えの変更は認められるべきではない。 ウ争点(3)(公法上の当事者訴訟としての確認の訴えの可否)訴訟類型に二重の性格を有すると構成することは,手続法の解釈として観念できず,許されないというべきである。 また,入札参加資格等について,公法上の地位を認めることはできず,同確認の訴えは,不適法として却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,本件入札参加禁止等の措置に対する処分取消しの訴えを却下し,本件訴えの変更は許さず,当審で追加された公法上の当事者訴訟としての確認の訴えは,訴えの変更は許されるものの,却下すべきものと判断する。その理由は,次のとおり改め,後記2のとおり付加するほかは,原判決「理由」中,第3の1,2(原判決9頁13行目冒頭から同12頁18行目末尾まで)に各記載のとおりであるから,これらを引用する。 (1) 原判決10頁8行目の「そうすると」から12行目末尾までを,17行目末尾に,改行の上,移記する。 (2) 同11頁2行目の「いえる。」の次に,「また,競争入札参加資格と同様,指名競争入札の制度上(地方自治法施行令(施行令)167条の11第1項,同条の4,同条の12第1項),指名業者に制限があり,普通 同11頁2行目の「いえる。」の次に,「また,競争入札参加資格と同様,指名競争入札の制度上(地方自治法施行令(施行令)167条の11第1項,同条の4,同条の12第1項),指名業者に制限があり,普通地方公共団体に指名についての裁量があることからすると,指名競争入札に参加を希望する者に,指名についての法律上の権利及び利益があるとはいえない。」を加える。 2 当審における当事者の補充的・追加的主張についての判断(1) 控訴人は,争点(1)(本件入札参加禁止等の措置の処分性及び違法性)について,前記第2の3(1)アのとおり主張する。 しかしながら,競争入札によって契約を受注する国民(企業)からすると,競争入札に参加できるか否かで,経済的な地位が相違することは理解できるものの,同相違は事実上のものであって,競争入札参加資格の認定や指名競争入札参加者の指名が,契約という私法上の行為を目指すものである以上,その準備的行為であるという法的な性格が,上記事実上の事柄によって変更されるものではないといわざるを得ない。 また,一般私人の場合とは異なり,契約締結に至る過程には,各種の法的な規制が必要とされるが,これは主に財政規律の点からであって,競争入札に参加を希望する者に何らかの法律上の権利や利益を保障するものではなく, また普通地方公共団体には,発注者として,競争入札に参加させる者の範囲の決定にある程度の裁量が認められることは否定できない。 さらに,入札参加資格や指名業者たる地位の得喪は,当事者の合意によって生じるものではなく,あくまで普通地方公共団体が一方的に決めるものではあるが,これは,契約締結を準備する発注者として,申込みの誘因の一内容としてなし得ることであるから,普通地方公共団体が一方的に優越的な意思 ではなく,あくまで普通地方公共団体が一方的に決めるものではあるが,これは,契約締結を準備する発注者として,申込みの誘因の一内容としてなし得ることであるから,普通地方公共団体が一方的に優越的な意思の発動として決定するものであることを意味するとはいえない。 なお,控訴人の指摘する処分性についての最高裁判例は,本件とは事案が異なることは明らかである。 そうすると,本件入札参加禁止等の措置については,処分性を認めるべきであるとの控訴人の主張は,その前提を欠き,採用することができない。 (2) 控訴人は,争点(2)(本件訴えの変更の可否)について,前記第2の3(1)イのとおり主張するが,控訴人の主張を採用できないことは,前記1(原判決引用部分)のとおりである。 (3) 控訴人は,争点(3)(公法上の当事者訴訟としての確認の訴えの可否)について,前記第2の3(1)ウのとおり主張する。 控訴人が,当審で新たに追加的に申し立てたのは,公法上の当事者訴訟(行政事件訴訟法4条)としての確認の訴えであるから,本件入札参加禁止等の措置に関する取消請求に係る訴えと,適用される手続法は同一であり,同種の訴訟手続(民事訴訟法136条)の場合であるといえるし,両方の訴えに請求の基礎の同一性(民事訴訟法143条)も認められるから,行政事件訴訟法19条2項により,控訴人の訴えの変更は許される。 しかしながら,控訴人が確認を求める法律関係は,前記第1の4のとおり,控訴人が被控訴人に対して,競争入札の参加資格を有していること,A等級の物品等一般競争入札参加者及び指名競争入札参加者の入札参加資格を有していること,被控訴人が発注する建設工事の指名競争入札における指名業者 の地位にあることであり,前記1,2(1)の各説示で明らか 品等一般競争入札参加者及び指名競争入札参加者の入札参加資格を有していること,被控訴人が発注する建設工事の指名競争入札における指名業者 の地位にあることであり,前記1,2(1)の各説示で明らかなとおり,いずれも私法上の契約についての準備的行為に関する資格や地位であって,「公法上の法律関係に関する」(行政事件訴訟法4条)ものということはできない。しかも,この点は,控訴人に限らず,同一の地位等の確認を請求する場合には,証拠関係にかかわらず,公法上の法律関係に関する請求とすることはできないのであるから,およそ請求ができない場合に当たるので,訴えは不適法というべきである。 したがって,控訴人の主張は採用することができない。 第4 結論よって,前記第3と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,当審で追加された公法上の当事者訴訟としての確認の訴えは,不適法であるから却下し,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官芝田俊文 裁判官大久保正道 裁判官浅見宣義
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