平成29(行コ)388 法人税更正処分取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和元年5月29日 東京高等裁判所
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判決文本文34,886 文字)

【機密性2】- 1 - 令和元年5月29日判決言渡し平成29年(行コ)第388号法人税更正処分取消請求控訴事件(原審東京地方裁判所平成27年(行ウ)第514号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要 1 本件について(1) 本件の事案の骨子は,以下のとおりである。 ア内国法人である被控訴人は,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの連結事業年度(以下「本件連結事業年度」という。)において,外国子会社から,我が国の会社法上(以下,我が国の会社法を単に「会社法」という。),資本剰余金及び利益剰余金に相当する各金額を原資とする剰余金の配当を受けた。 イ被控訴人は,上記の資本剰余金を原資とする配当については,法人税法(平成27年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。以下では,この法人税法を単に「法」ということがある。)24条1項3号にいう資本の払戻しの一態様である「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」に当たり,上記の利益剰余金を原資とする配当については,法23条1項1号にいう「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。)」(具体的には利益剰余金を原資とする配当)に当たることを前提として,それぞれにこれら各法条を適用した上で,京橋税務署 長に対し,本件連結事業年度の法人税の連結確定申告(以下「本件申告」という。)をした。 なお,法24条1項3号は,配当の額の一定範囲(配当を行った法人の「株式に対応する部 橋税務署 長に対し,本件連結事業年度の法人税の連結確定申告(以下「本件申告」という。)をした。 なお,法24条1項3号は,配当の額の一定範囲(配当を行った法人の「株式に対応する部分の金額」を超える部分の金額)についてこれを法23条1項1号に掲げる金額とみなして(この金額は「みなし配当」と称される。)益金に算入しないものとしたものであり,同条3項は,その計算方法等の定めを政令に委任し,この委任を受けて,法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。以下同じ。以下「施行令」という。)23条1項3号がその計算方法等について定めている。 そして,上記みなし配当を除いた金額(株式又は出資に対応する部分の金額)については,法61条の2第1項1号にいう有価証券の譲渡に係る対価の額として認識される(法61条の2第1項)。 ウ京橋税務署長は,平成26年4月28日付けで,上記アの各剰余金の配当について,各決議日や効力発生日が同一であることなどを理由として,その全額が法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当〔資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。〕)」に該当するとして,被控訴人に対し,法人税の更正処分(以下「本件更正処分」という。)をした。 エ被控訴人は,平成26年6月27日,国税不服審判所に,本件更正処分についての審査請求をしたが,これを棄却する裁決を受けた。 オそこで,被控訴人は,平成27年8月21日,原審(東京地方裁判所)に提訴し,上記アの各剰余金の配当は,それぞれ別個の議案により決議された別個のものであり,このうち利益剰余金を原資とする配当は,法人税法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。))」には該当しないから,本件更正処分には誤りがあるとして,その このうち利益剰余金を原資とする配当は,法人税法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。))」には該当しないから,本件更正処分には誤りがあるとして,その一部の取消しを求めた。 (2) 原審は,平成29年12月6日,要旨,①法24条1項3号は,資本剰余 金及び利益剰余金の双方を原資とする配当について規律するものであるとした(その限りで同旨の控訴人の主張を採用した。)が,②法は,施行令23条1項3号に従ってみなし配当の金額を計算した場合に,利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が上記「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれて法61条の2第1項1号にいう有価証券の譲渡に係る対価の額として認識され,法人税の課税を受けることとなる事態は想定していないところ,施行令23条1項3号の定めによれば上記のような計算結果となるから,その限りにおいて,同定めは法人税法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であり,本件更正処分のうち連結所得金額が本件申告に係る金額を超え,翌期へ繰り越す連結欠損金額が本件申告に係る金額を下回る部分は,違法な処分として取消しを免れないとして,被控訴人の請求を認容する原判決をした。 (3) これに対し,控訴人がこれを不服として控訴した。 2 剰余金の配当の受取りに係る法人税課税等の概要剰余金の配当の受取りに係る法人税課税等の概要は,以下のとおり原判決を補正するほか,原判決「事実及び理由」の第2の1に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決3頁18行目から19行目にかけての「法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。以下同じ。)」を「施行令」に改める。 (2) 同6頁6行目の「別紙」を「原判決別紙」に改 原判決3頁18行目から19行目にかけての「法人税法施行令(平成26年政令第138号による改正前のもの。以下同じ。)」を「施行令」に改める。 (2) 同6頁6行目の「別紙」を「原判決別紙」に改める。 3 前提事実前提事実は,以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」の第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決10頁8行目の「別表」を「原判決別表」に改め,以下,全ての「別 表」を同様に改める。 4 争点(1) 争点1法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」の意義等はどのようなものか。 (2) 争点2本件配当は,その全体が法24条1項3号の対象となるか(本件資本配当と本件利益配当とは別個独立のものか,又は1個のものか)。 (3) 争点3(当審における新たな争点)施行令23条1項3号は法24条3項の委任の範囲を超えない適法なものか。 5 争点についての当事者の主張(1) 争点1(法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」の意義等はどのようなものか。)についてア控訴人(ア) 会社法は,株主に対する分配の可否の観点から,株主資本を資本金,準備金,剰余金等の各項目に区分するが,法人税法は,法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保という目的(同法1条)から,課税所得等については,いわゆる税法基準に基づき,独自にその範囲を規律し,独自の構造をもった計算を行うものである。 (イ) 剰余金の配当は,会社がその株主に対し,その有する株式の数に応じて会社の財産(配当財産)を分配する行為であるところ,会社法において,従前の利益 の構造をもった計算を行うものである。 (イ) 剰余金の配当は,会社がその株主に対し,その有する株式の数に応じて会社の財産(配当財産)を分配する行為であるところ,会社法において,従前の利益の配当は利益剰余金を原資とする剰余金の配当とし,従前の株式の消却を伴わない資本の減少は資本金の資本剰余金への振替え及び資本剰余金を原資とする剰余金の配当としつつ,いずれも剰余金の 配当として整理され,利益の配当と出資の返還の双方の性質を持った配当が統一的に「剰余金の配当」として規定されたこと(同法461条,446条1号,会社計算規則149条)を受けて,法人税法は,剰余金の配当の課税について,会社法上の原資の区分に着目して,「剰余金の配当」(同法23条1項1号の剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。))と「資本の払戻し」(法24条1項3号の剰余金の配当)とに区分しつつ,以下のとおりとした。 a 基本的に,配当の手法にかかわらず,剰余金の配当全体を資本と利益とが混合したものと考え,一旦その全額を上記「資本の払戻し」と整理した上,純資産について株主等が拠出した部分の金額と法人が稼得した部分の金額とを峻別し,両者を混同しない法人税法の根幹を成す基本原則に基づいて,配当金を支払う法人(以下「支払法人」という。)において課税済みの利益の分配であるか否かの観点から,同項の定め及びその委任を受けた施行令23条1項3号により,みなし配当の金額(法人が稼得した部分の金額に対応すると認められる部分の金額)を計算することとした(その方法は,資本部分の払戻しの額(株主等が拠出した部分の金額。当該剰余金の配当により減少する支払法人の資本金等の額を意味する。)を計算して,これを除いた額を「法人が稼得した部分の金額」(利益部分の払戻しの額。 本部分の払戻しの額(株主等が拠出した部分の金額。当該剰余金の配当により減少する支払法人の資本金等の額を意味する。)を計算して,これを除いた額を「法人が稼得した部分の金額」(利益部分の払戻しの額。当該剰余金の配当により減少する支払法人の利益積立金額を意味する。)とするものである。)。 b 例外的に,剰余金の配当の原資が利益剰余金のみであることが明らかな剰余金の配当のみが法23条1項1号の「剰余金の配当」に当たるものとした。 上記のとおり,法人税法は,みなし配当の計算に関し,会社法等が定める区分を用いることは予定していないし,そのような処理は,法人税 法の前記目的(1条)に照らして不可能である。すなわち,「資本金等の額」(株主等から出資を受けた金額(法2条16号)は,会社法上の「資本金」及び「資本剰余金(資本準備金及びその他資本剰余金)」の合計額とは一般的には一致しないし,「利益積立金額」(法人の所得の金額で留保しているもの(同条18号)と会社法上の「利益剰余金(利益準備金及びその他利益剰余金)」とについても同様である。このことは,会社法上,資本金の額が利益剰余金の額に振り替えられる場合があるなど,同法における利益剰余金の額又は資本剰余金の額が,法人税法上の法人が稼得した部分の金額又は株主等が拠出した部分の金額に限られないことからも明らかである。そして,上記aの「資本部分の払戻しの額」及び「利益部分の払戻しの額」も,会社法における資本金の額及び資本剰余金の額の合計額並びに利益剰余金の額を指すものではない。 また,法人税法が課税の対象とする所得(企業利益)は,第一次的には私法によって規律される経済活動又は経済事象に基づいて発生するものであるから,同法の各条項には私法上の概念を用いたものも多数あり,法23条1項1号及 課税の対象とする所得(企業利益)は,第一次的には私法によって規律される経済活動又は経済事象に基づいて発生するものであるから,同法の各条項には私法上の概念を用いたものも多数あり,法23条1項1号及び24条1項3号も「剰余金の配当」という会社法上の概念を用いているが,その区分・単位の把握については,会社法に定めはなく,法人税法が,租税法定主義を前提として,法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保という独自の目的に沿って,会社法とは異なる「剰余金の配当」の区分・単位の捉え方を用いるのは当然である。 (ウ) 法24条1項3号の文理解釈上も,上記のように解するのが相当であるし,それが同号の趣旨並びに法人税法の目的及び構造にも合致する。 すなわち,同号の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」とは,法23条1項1号とも対比すれば,資本剰余金のみを原資とする配当及び資本剰余金と利益剰余金を原資とする配当の双方を意味するものと解するのが自然である(換言すれば,この区分を明ら かにするために「資本剰余金の額の減少に伴うもの」の文言が用いられたものであり,「資本剰余金の額の減少に伴う部分の金額」といった規定振りは採られていないことはこれを裏付ける。)。 また,同号の趣旨は,資本剰余金を原資とする剰余金の配当と利益剰余金を原資とする剰余金の配当とが同時に行われた場合,そのいずれを先に計算するかにより,受取配当の益金不算入額が変わることとなるため,恣意性が介在して公平性に問題が生じ,税制が統一的な取扱いを定めないとすれば事後の調査等でこの先後について問題となることが想定されたことから,このような恣意的な課税関係が生じることを避けることにある。したがって,法24条1項3号を上記のように解することが同号の趣旨及 れば事後の調査等でこの先後について問題となることが想定されたことから,このような恣意的な課税関係が生じることを避けることにある。したがって,法24条1項3号を上記のように解することが同号の趣旨及び法人税法の上記目的に合致する。 (エ) 一方,法23条1項1号が,利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当についてその全額を益金に算入しないこととしたのは,以下のとおり,計算の簡便等を図るための課税政策上のものにすぎない。 a 利益剰余金を原資とする配当中には,税務上は資本部分の払戻し(株主等が拠出した部分の払戻し)に当たる額が含まれている場合があり,その場合には,当該配当の全額が支払法人において課税済みの利益(会社法上の利益剰余金ではなく,利益積立金額(法人税法2条18号)を指す。)であるとはいえない。また,利益積立金額がマイナスの支払法人が利益剰余金を原資とする剰余金の配当を行った場合には,当該配当のうちに「課税された利益」はない。 b しかし,利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当中の「課税された利益」の金額を算出してこれに法23条1項を適用するとすれば,株主は,その金額を算出して所得金額の計算に反映させ,支払法人は,剰余金の配当ごとに,株主が上記計算をするのに必要な「資本金等の額」,「利益積立金額」等を通知するといった煩瑣で膨大な計算・事 務手続が必要となる上,所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18年法律第10号)による平成18年度の税制改正(以下「平成18年度税制改正」という。)前は,法人税法は,株主等の持株関係に変動がない場合における株主に対する会社財産の払戻しについて,資本の減少による会社財産の流出か,配当による会社財産の流出かといった払戻しの手続の違いに応じて,「資本若しくは出資の減少」(資本 係に変動がない場合における株主に対する会社財産の払戻しについて,資本の減少による会社財産の流出か,配当による会社財産の流出かといった払戻しの手続の違いに応じて,「資本若しくは出資の減少」(資本部分と利益部分とが比例的に払い戻されるもの)及び「利益の配当」として規律していたところ,利益剰余金のみを原資とする剰余金の配当中の「課税された利益」の金額を算出してこれのみに法23条1項を適用するとすれば,会社財産の払戻しに関する課税関係は,上記改正前後で大きく異なるものとなり,その影響が甚大である。 そこで,法人税法は,剰余金の配当のうち利益剰余金のみを原資とするものに限り,例外的に,その全額を同法23条1項1号の適用対象としたものである(同号が適用される場合には,支払法人の配当により減少した利益剰余金の金額が現に課税された利益から成るものであるかどうかを問わず,その全額が同号の規律に服する。)。 (オ) したがって,法24条1項3号の適用場面において,法23条1項1号の規定を根拠に,利益剰余金を原資とする部分の配当について税法上も「配当」とみなして益金不算入とすべきであることが帰結されることはなく,利益剰会金を原資とする部分が資本部分の払戻しとして有価証券の譲渡に係る対価の額として認識されることがあることも,法人税法上当然に予定されている。 そうすると,原判決が,法人税法は,利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額が,法24条1項柱書の「株式又は出資に対応する部分の金額」に含まれて法61条の2第1項1号にいう有価証券の譲渡に係る対価の額として認識され,法人税の課税を受けることとなる事態を 想定していないとしたのは誤りである。 イ被控訴人法23条1項1号及び24条1項3号にいう「資本剰余金の額の減少 る対価の額として認識され,法人税の課税を受けることとなる事態を 想定していないとしたのは誤りである。 イ被控訴人法23条1項1号及び24条1項3号にいう「資本剰余金の額の減少伴うもの」の意義等は,以下のとおり解すべきである。 (ア) 法人税法においては,株主等が拠出した部分と法人が稼得した利益との厳格な峻別という大原則が採られており,法23条1項1号及び24条1項3号の各規定もかかる大原則に沿って解釈すべきであること,これらの規定にいう「剰余金の配当」とは,会社法等の私法上の「剰余金の配当」のいわゆる借用概念であって,会社法等の私法上の「剰余金の配当」と同じ事柄を意味しており,利益剰余金を原資とする剰余金の配当と資本剰余金を原資とする剰余金の配当という,私法上別個独立した2つの行為は,租税法上も,別個独立の「剰余金の配当」という行為として解すべきである。したがって,法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」とは,資本剰余金を原資とする剰余金の配当をいい,利益剰余金を原資とする剰余金の配当を含まないと解するのがごく自然かつ合理的であり,利益剰余金を原資とする剰余金の配当については法23条1項1号の剰余金の配当として同項の規定が,資本剰余金を原資とする剰余金の配当については法24条1項3号の剰余金の配当として同項がそれぞれ別個独立に適用されると解するのが論理的な帰結であるというべきである。 (イ) そして,資本剰余金のみが原資である剰余金の配当と,利益剰余金のみが原資である剰余金の配当とが,それぞれ別個の決議に基づき行われた場合には,納税者の選択した私法上の法形式は租税法上も尊重されるから,前者は法24条1項3号によって規律され,後者は同法23条1項1号で規律されることになり,また,私 ぞれ別個の決議に基づき行われた場合には,納税者の選択した私法上の法形式は租税法上も尊重されるから,前者は法24条1項3号によって規律され,後者は同法23条1項1号で規律されることになり,また,私法上の決議が分かれている以上,議案の順番等により相互に先後関係があると私法上評価されるもの と解される。 上記の場合について,税務当局において課税の公平の観点から対応が必要であるからといって,この2つの剰余金の配当の双方を併せて法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当すると解釈することは,明文の根拠に基づかずに納税者の選択した私法上の法形式を否認することであるから,許されないというべきである。 (ウ)a また,一つの決議に基づく一つの剰余金の配当の原資が資本剰余金及び利益剰余金の双方である場合については,そのうち利益剰余金を原資とする部分は法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」には該当せず,資本剰余金が原資である部分のみが同号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当するというべきである。 b もっとも,上記の場合のうち,当該剰余金の配当の個別具体的な事実関係に照らして,課税上,上記の各部分のいずれが先行するかによって計算結果が変わるという先後関係の問題が生じ,かつ,利益剰余金を原資とする部分が株式の譲渡対価に相当する資本金等の額の減少として取り扱われるという結果が生じないときに限っては,法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」とは,原資に資本剰余金が含まれている剰余金の配当の全体(利益剰余金を原資とする部分も含む。)をいうと解される。 (2) 争点2(本件配当は,その全体が法24条1項3号の対象となるか(本件資本配当と本件利益配当とは別個独立のものか, 金の配当の全体(利益剰余金を原資とする部分も含む。)をいうと解される。 (2) 争点2(本件配当は,その全体が法24条1項3号の対象となるか(本件資本配当と本件利益配当とは別個独立のものか,又は1個のものか))についてア控訴人(ア) 本件配当に法24条1項3号又は法23条1項1号のいずれが適用されるかについての一般的基準についてa 上記各法条の適用が問題になる場面においては,剰余金の配当に係 る決議が複数のものであったとしても,同時(一体的)なものは全体を一つの剰余金の配当とみるべきであり,その性質・内容に従って上記各法条のいずれかが適用される。すなわち,租税法の基本原則である租税公平主義は,担税力に即した課税と租税の公平・中立性を要請し,法24条1項3号の趣旨も,剰余金の配当に係る原資の私法上の選択等により恣意的な課税関係が生じることを避けることにあるところ,同時(一体的)に行われる剰余金の配当により株主法人に流入する経済的価値は,単一の決議で行われた一つの剰余金の配当と異なるところがなく,株主である法人において益金と認識し得べき時期も同様であるから,このような剰余金の配当を法人税法上一つの「剰余金の配当」と区分し,その計算結果を同一とすることは,剰余金の配当について恣意的な課税関係が生じることを防ぎ,租税公平主義の要請に適うものである。 b 剰余金の配当が同時(一体的)に行われたものであるかどうかは,個々の事案ごとに個別具体的な事実関係に応じて判断されるが,そのメルクマールは,以下のとおりと考えるべきである。 (a) 原則として,①一つの株主総会において決議され,かつ,②効力発生日を同一日として決議された剰余金の配当は,効力発生日の到来により,その全額 は,以下のとおりと考えるべきである。 (a) 原則として,①一つの株主総会において決議され,かつ,②効力発生日を同一日として決議された剰余金の配当は,効力発生日の到来により,その全額について,支払法人には配当金支払債務が,株主法人には配当金支払請求権がそれぞれ生じ,法人税法上,当該効力発生日に剰余金の配当に係る経済的価値が移転したものとされて益金と認識され得るに至るから,同時(一体的)に行われたものとみるべきである。 (b) なお,少なくとも一つの株主総会で決議された剰余金の配当で,その効力発生日を同一日とするものについては,会社法も,以下のとおり,原資の単一性の有無及び議案・議決の数にかかわらず,こ れらが一体一つの剰余金の配当であるとの前提に立つものであり,上記(a)の解釈は会社法の解釈とも整合する。 ⅰ 会社法における「剰余金の配当」は,会社が,株主に対し,その有する株式の数に応じて(中略)会社の財産(配当財産)を分配する行為を指す機能的な用語であり,原資ごとに別異の概念は定立されていない。また,株主総会の決議において配当の効力発生日等を定めることとされている(同法454条1項)。 そうすると,少なくとも一つの株主総会で決議された剰余金の配当で,その効力発生日を同一日とするものについては,利益剰余金及び資本剰余金の双方を原資とするものであっても,財産(配当財産)を分配する行為として単一であり,一つの剰余金の配当であると解するのが,上記の一般的意義に沿う。 ⅱ また,剰余金の配当に係る分配可能額は,その配当に係る効力発生日ごとに判断され(会社法461条1項8号),仮に,剰余金の配当について原資を異にする複数の議案が提出され,決議されたとしても,これらを また,剰余金の配当に係る分配可能額は,その配当に係る効力発生日ごとに判断され(会社法461条1項8号),仮に,剰余金の配当について原資を異にする複数の議案が提出され,決議されたとしても,これらを一体の一つの剰余金の配当とみて,分配可能額を超過するか否か判断されるから,会社法は,効力発生日を剰余金の配当の単位のメルクマールとしているものである(原資の別や議案,決議の数等で区別するものでない。)。 さらに,剰余金の配当について,株主が会社提案の議案と異なる議案を提案した場合において,当該議案が会社提案の議案と両立するものであるときには,当該議案は会社提案の議案の追加提案であると解されており,両議案とも可決された場合には,剰余金の配当は各議案について一体的に(全体が一つの剰余金の配当として)実行されることとなる点とも整合する。 (c) 例外的に,仮に,近接した時期に現に複数回株主総会が行われ, 各株主総会でそれぞれ剰余金の配当に係る決議が行われるなどしたとすれば,それに至る特段の事情が存することが通常であるから,剰余金の配当が同時(一体的)に行われるものであるか否かの認定判断に際しては,かかる特段の事情がしん酌され,株主総会を近接した時期に複数回開催したことについて合理的な理由が認められる場合には,各配当金支払請求権が成立した時期は異なるから,各剰余金の配当の効力発生日が同一日であったとしても,それら全体が同時(一体的)に行われるものとはならない。 (d) 以上のとおり解すれば,剰余金の配当が法24条1項3号で規律されるのか否かについて予測可能性及び法的安定性が害されることもない。 (イ) 本件配当についてa 本件配当は,以下のとおり,一つの株主総会における一つの決議に 1項3号で規律されるのか否かについて予測可能性及び法的安定性が害されることもない。 (イ) 本件配当についてa 本件配当は,以下のとおり,一つの株主総会における一つの決議により実施されたものである。 (a) 本件配当は,E社及びその傘下の子会社から6億4400万ドルの資金を被控訴人に還流させることを目的として,被控訴人における税務上の取扱いが最適なものとなるよう,その原資をE社の資本剰余金1億ドル及び利益剰余金5億4400万ドルと割り当てたものであり,本件資本配当又は本件利益配当は,一方のみでは上記目的を達成することができない密接不可分の関係にある。 (b) 株主総会の決議に相当する意思決定が本件同意書という単一の書面をもって行われ(本件配当に係る意思決定機関であるE社の役員会は,株式会社の株主総会に相当し,本件同意書は,本邦の株式会社の場合に会社法319条1項の規定に基づき可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされる。),かつ,本件同意書において,本件各決議書は全て包括的に同一の平成24年11月12日付 けで採択するとするものであり,各採択に前後関係はないから,本件配当に係る決議は,一つの株主総会における一つの決議として行われたものである。すなわち,本件資本配当に係る本件決議書C及び本件利益配当に係る本件決議書Dにおける各決議事項は,E社が控訴人に対する分配を法的に有効に行い得る行為の範囲を示すにすぎず,具体的な実行についてはE社に裁量の余地があることからすれば,上記各決議事項は,本件資本配当又は本件利益配当の各実行に係るものとは同視し得えず,その各決議は,本件配当を実行する旨の決議それ自体ではないのであって,本件同意書において,具体的な効力発生日を平成2 記各決議事項は,本件資本配当又は本件利益配当の各実行に係るものとは同視し得えず,その各決議は,本件配当を実行する旨の決議それ自体ではないのであって,本件同意書において,具体的な効力発生日を平成24年11月12日と定め,E社及びその唯一の社員である被控訴人において,本件利益配当及び本件資本配当の各実行に係る具体的意思決定をすることは容易であったことからすれば,本件配当は,本件各決議書とは別に(明示又は黙示に)提案され,本件同意書において,本件各決議書の採択と併せて一括して決議されたものである。 そして,本件配当の効力発生日は,平成24年11月12日という単一の日である。 (c) 株主である被控訴人の側からみても,本件配当に基づく経済的価値が平成24年11月12日(効力発生日)の到来をもって一体的に被控訴人に流入し,そこには資本剰余金の額を原資とする部分が含まれているから,本件配当は,法人税法上,E社の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの(以下略))」(同法24条1項3号)に該当する。 (d) 以上のような本件配当の目的や本件配当の実行に係る決議の具体的態様に照らせば,本件配当は,(私法上も)一つの株主総会における一つの決議に基づくものであったというべきである。 b 仮に,本件資本配当と本件利益配当とが,その各実行に係る決議が別個のものとしてされ,それぞれが会社法にいう剰余金の配当に相当するとしても,前記(ア)aのとおり,法23条1項1号又は24条1項3号の適用においては,一つの株主総会において,効力発生日を同一日として決議された剰余金の配当は,形式上複数の議案・決議がされたとしても,法人税法上は同時(一体的)に行われたものとして一つの剰余金の配当とみるべきであると つの株主総会において,効力発生日を同一日として決議された剰余金の配当は,形式上複数の議案・決議がされたとしても,法人税法上は同時(一体的)に行われたものとして一つの剰余金の配当とみるべきであるところ,本件配当は,一つの株主総会において,効力発生日を同一日として決議され,本件配当に係る経済的価値も一体的に被控訴人に流入していることからすれば,本件配当は同時(一体的)に行われたものであり,法人税法上は一つの「剰余金の配当」であるとみるべきである。 イ被控訴人(ア) 本件配当については,E社は,被控訴人の意向も踏まえ,本件配当に先立ち,原資について,本件資本配当と本件利益配当とを区分し,前者が後者に先行するものとして配当することを検討し,平成24年11月12日付けで,私法上,つまりデラウェア州法上,2つの別個の,かつ,順次連続した先後関係のある剰余金の配当をしたものである。すなわち,本件資本配当及び本件利益配当は,同時に行われたものでもなければ,一つの決議に基づく一つの剰余金の配当として行われたものでもない。 このことは,本件各決議書の列挙順に加え,本件決議書A及び本件決議書Bは,本件資本配当に係る本件決議書C及び本件利益配当に係る本件決議書Dとの関係上,論理的に先行するものとして先に記載されていることも踏まえれば,本件決議書C及び本件決議書Dとの間も同様に前者が後者に先行するものというべきことからして,明らかである。 したがって,前記(1)イ(ア)において述べたとおり,本件資本配当は法24条1項3号によって規律され,その後にされた本件利益配当は法2 3条1項1号によって規律されることになる。 本件資本配当及び本件利益配当の2つの剰余金の配当の双方が併せて法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うも れた本件利益配当は法2 3条1項1号によって規律されることになる。 本件資本配当及び本件利益配当の2つの剰余金の配当の双方が併せて法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当するとの控訴人の主張は,明文の根拠なく控訴人又はE社が選択した私法上の行為を否認するものであるから,失当である。 (イ) また,上記の点を措くとしても,本件資本配当及び本件利益配当については,①控訴人の主張によれば,5億4400万ドルの本件利益配当のうち,みなし配当の金額4億3294万2228.44ドルを超える1億1105万7771.56ドルが,利益剰余金からの配当であるにもかかわらず,E社の株式の譲渡対価に相当する資本金等の額の減少として取り扱われていることになり,かつ,②本件資本配当と本件利益配当とのいずれが先に行われたとして計算しても,原判決別表4-1及び4-2のとおり,計算結果は同じであって控訴人が挙げるような課税上の先後関係の問題は存在しないから,法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」は原資に資本剰余金が含まれている剰余金の配当全体(利益剰余金を原資とする部分も含む。)をいうとの解釈(前記(1)イ(ウ)b)が妥当する場合であるとはいえない。 (ウ) 控訴人の主張する課税関係は,本件資本配当及び本件利益配当のどちらを先に行ったとしても決して生じ得ず,株主等が拠出した部分と法人が稼得した利益との峻別という法人税法の大原則に反するものであるとともに,被控訴人に対して,本来であれば生じ得ない過重な税負担(欠損金額の減額)を課すものである。このような課税の必要性は,皆無である。 (エ) したがって,本件連結事業年度の連結所得金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額は本件申告のとおりとなるという 欠損金額の減額)を課すものである。このような課税の必要性は,皆無である。 (エ) したがって,本件連結事業年度の連結所得金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額は本件申告のとおりとなるというべきであるから,本件更正処分は違法である。 (3) 争点3(施行令23条1項3号は法24条3項の委任の範囲を超えない適法なものか。)についてア控訴人以下のとおり,施行令23条1項3号の適用が法24条3項による委任の範囲を超えるものではなく,施行令23条1項3号に従い計算した結果及びこれを前提とする本件更正処分は適法である。 (ア) 施行令23条1項3号についてa 会社法上の利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当であっても,支払法人において課税済みの利益(利益積立金額)の分配等とはいえないのであり,これを税法上も「配当」と扱わないことは,法24条1項が当然に予定するところであって,施行令23条1項3号は,このような法人税法の趣旨に沿うものであり,法24条1項による委任の範囲を逸脱していない。 b 原判決は,「利益積立金額がマイナスの状態で行われた剰余金の配当が利益剰余金を原資としていた場合に,当該利益剰余金を原資とする部分の剰余金の配当の額を課税済みのものとして益金不算入とすることが相当といえるかどうかは一応問題となり得るとしつつ,当該利益剰余金の原資とされた流入価値が利益としての性質を有するものである以上,いずれは課税されるものというべきであるから,二重課税を避けるための益金不算入という法人税法の趣旨はこの場合にも妥当するとしたのは,以下のとおり,誤りである。 (a) 「資本の払戻し」(資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当)について,二重課税を避けるための益金不算入という法人税 はこの場合にも妥当するとしたのは,以下のとおり,誤りである。 (a) 「資本の払戻し」(資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当)について,二重課税を避けるための益金不算入という法人税法の趣旨が妥当するのは,当該剰余金の配当のうち,支払法人において課税済みの利益(利益積立金額)からの分配と認められる部分の金額である。利益剰余金の額は必ずしも「課税済みの利益」のみで構成 されるものではないから,剰余金の配当の原資が利益剰余金からなる部分であるか否かは,二重課税を避けるという場面で考慮されるべき事情ではない。 (b) また,剰余金の配当の原資が利益としての性質を有し,支払法人において将来課税される可能性があるからといって,当該剰余金の配当の時点で先んじて益金不算入とするとすべき合理的恨拠はない(原判決の上記判示は解釈論を逸脱するものである。)。法人税法は,事業年度(同法13条)の所得に対して法人税を課すという構造を採っており,利益積立金額がマイナスの状態の下で行われた「資本の払戻し」(法24条1項3号の剰余金の配当)については,剰余金の配当時点で既に「課税済み」の利益積立金額は存在しないから,二重課税を避けるとの趣旨は,当該「資本の払戻し」については妥当しない。将来,法人税が課された「所得の金額」が支払法人に留保されることによって,資本の払戻しの直前はマイナスであった利益積立金額の当該マイナスの部分が補填される可能性があるとしても,それは可能性にすぎず,利益積立金額が将来的にプラスにならないこともあるし,仮に,補填されるとしても,資本の払戻しの時点ではその時期すら判然としない。そのような状態の下で,将来補填されるかもしれない可能性をもって,株主法人において二重課税を避けるために益金不算入の趣 し,仮に,補填されるとしても,資本の払戻しの時点ではその時期すら判然としない。そのような状態の下で,将来補填されるかもしれない可能性をもって,株主法人において二重課税を避けるために益金不算入の趣旨が妥当するとすることは,法人税法において,支払法人と株主法人とを通じた,法に規定のない無期限の課税の繰り延べを認めるに等しい。 なお,施行令23条1項3号による計算の結果,当該資本の払戻しの額のうち,資本部分の払戻しの額(「株式又は出資に対応する部分の金額」)を超える部分の一部ないし全部については,株主法人において益金不算入とされるが,これは,法入税法24条1項が, みなし配当の金額の計算を通じて将来資本の払戻しなどといった不合理な結果を生じさせないために,当該部分を利益部分の払戻しの額として配当とみなすこととした結果,当該部分について同法23条1項又は23条の2第1項が適用されるという,反射的な効果にすぎず,納税者に不利益を課すものでもない。このような反射的な効果によって,法人税法24条1項がその計算の細目を委任する施行令23条1項3号に基づく計算結果が違法・無効となるものではない。 (イ) 施行令23条1項3号に従い計算した結果及びこれを前提とする本件更正処分は適法であることについてa(a) 前記((2)ア(イ))のとおり,本件配当は「資本剰余金の額の減少に伴うもの」に該当し,その全額が法24条1項3号の資本の払戻しにより交付された金銭の額となるから,これを前提として施行令23条1項3号の定めに従った計算をすると,原判決別表2-1のとおり,6億4400万ドルの本件配当のうち「株式又は出資に対応する部分の金額」がE社の直前の資本金等の額と同額の2億1105万7771.56ドルとなり,みなし配当の金額が4 と,原判決別表2-1のとおり,6億4400万ドルの本件配当のうち「株式又は出資に対応する部分の金額」がE社の直前の資本金等の額と同額の2億1105万7771.56ドルとなり,みなし配当の金額が4億3294万2228.44ドル(344億2323万6583円)となる。 そして,以上を踏まえて本件連結事業年度の連結所得金額及び翌期へ繰り越す連結欠損金額を計算すれば,原判決別表3のとおり,本件申告に係る連結所得金額から,受取配当金の過大計上額88億3020万3417円が減算される一方で,外国子会社から受ける配当等の益金不算入過大額83億8869万3246円及び関係会社株式譲渡損失の損金算入過大額88億3020万3417円が加算されることなどにより,連結所得金額がマイナス69億0988万7134円,翌期へ繰り越す連結欠損金額が214億6572万 8939円となり,これは本件更正処分における上記各金額と同額であるから,本件更正処分は適法である。 (b) なお,被控訴人は,本件配当については,本件資本配当と本件利益配当とに先後関係があるとした場合にも,いずれを先に計算してもその結果に差異が生じないことをもって,本件利益配当に法24条1項の適用が許されないかのように主張するが,個々の事案において,資本剰余金及び利益剰余金を原資とする剰余金の配当について,いずれの剰余金の配当について先に計算してもその結果に差異が生じない場合があったとしても,そのような場合に利益剰余金を原資とする部分に同項の規定を適用しなくてもよいとする適用除外規定は存在せず,前述した法人税法の考え方は,全ての法人税の申告において一律に適用されるものであるから,上記のような被控訴人の主張は採り得ない。 b 本件配当は,E社が米国デラウェア州LLC 除外規定は存在せず,前述した法人税法の考え方は,全ての法人税の申告において一律に適用されるものであるから,上記のような被控訴人の主張は採り得ない。 b 本件配当は,E社が米国デラウェア州LLC法に基づいて,課税済みの利益を表す利益積立金額が大幅にマイナスの状態で行ったものであり,E社で課税済みの利益が被控訴人に配当される段階で重ねて課税されるという問題は生じないから,本来,本件配当には益金不算入制度を適用すべき「配当」(利益部分の払戻し)はなく,本件配当の全額が「株式又は出資に対応する部分の金額」(資本部分の払戻し)と認識されるべきものであるが,いわゆる「将来資本の払戻し」等の不合理な計算結果を避けるために調整された施行令23条1項3号に基づき計算する結果,本件配当の一部が「配当」とみなされて益金に算入されないこととなるのは,課税技術上の調整であって,納税者に不利益をもたらすものでもないから,施行令23条1項3号に基づく計算に違法はない。 c 原判決は,資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の 配当がされた場合に,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額を超えて,施行令23条1項3号の規定に基づく「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」が算出されるときは,当該「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」は,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額と同額となるものと解するのが相当であるとする。 しかし,上記のような規定は法人税法にはなく,原判決は,明文の規定にない課税要件を解釈論によって付すに等しく,租税法律主義(憲法84条)に違反する。また,法人税法は,支払法人の利益積立金額がマイナスの場合に行われた「資本の払戻し」について,将来資本の払戻しや,支払法人における資本金等の額を超えて有価証券の譲 法律主義(憲法84条)に違反する。また,法人税法は,支払法人の利益積立金額がマイナスの場合に行われた「資本の払戻し」について,将来資本の払戻しや,支払法人における資本金等の額を超えて有価証券の譲渡に係る対価の額が認識されるなどの不合理な結果が生じないようにするため,施行令23条1項3号がその計算式を規定しているが,これを超えて,同法が,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額を超える「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」が算出されることとなるのを想定していないと解すべき理由はないし,現に施行令23条1項3号の規定に基づいて算出される「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」(株主法人が支払法人の株式を全部保有している場合に,当該株主法人において「有価証券の譲渡に係る対価の額」となる額)は,前記のとおり,支払法人における払戻しの直前の資本金等の額を超えることはないから,当該「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」を修正すべき理由はない。 d なお,原判決は,施行令23条1項3号の規定に基づいて算出される「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」2億1105万7771.56ドルは,本件配当により減少した資本剰余金の額1億ドルを超えるから,上記「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」及び「株式又は出資に対応する部分の金額は1億ドルに,また,これに伴 ってみなし配当の金額も5億4400万ドルに修正されるべきであると判示するが,上記のとおり,原判決が法人税法24条1項の解釈・適用の規範として述べるところには理由がないから,これを前提とする上記判示も理由がない。 イ被控訴人(ア) 法23条1項1号は,その剰余金の配当が利益剰余金のみを原資とするものである限り,利益剰余金に資本性の金額が混合しているか否か法 前提とする上記判示も理由がない。 イ被控訴人(ア) 法23条1項1号は,その剰余金の配当が利益剰余金のみを原資とするものである限り,利益剰余金に資本性の金額が混合しているか否か法人税法上の利益積立金額がマイナスであるか否かにかかわらず,適用される。 そして,法24条1項3号は,同号の金額のうちの「資本部分の払戻しの額」を超える額(「利益部分の払戻しの額」を法23条1項1号の額とみなすとしているから,同号は資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当にも適用されると解する場合にも,その利益部分の払戻しの額については,同号によるのと同一の取扱いとすることが文言上帰結される。そして,法24条1項3号の趣旨は,資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当についても,①利益剰余金を原資とする部分は利益部分の払戻しの額としてのみ取り扱い,②資本部分の払戻しの額が生ずるのは資本剰余金を原資とする部分のみとするものである。 したがって,同号は,利益剰余金を原資とする部分が資本部分の払戻しの額すなわち有価証券の譲渡対価の額(法61条の2第1項1号)として取り扱われることは想定していない。 (イ) 以上を踏まえて,仮に,本件配当が資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とするものであった場合に当たり,法24条1項3号が適用されるとしても,施行令23条1項3号の計算式を適用すると,E社の法人税法上の利益積立金額がマイナスであるため,分母であるE社の税務上の 簿価純資産額(資本金等の額と利益積立金額との合計額)が減少する結果,資本部分の払戻しの額が,減少した資本剰余金の額(1億ドル)を超えて,E社の資本金等の額(2億1105万7771.56ドル)として計算されることとなる。これは,法24条1項 合計額)が減少する結果,資本部分の払戻しの額が,減少した資本剰余金の額(1億ドル)を超えて,E社の資本金等の額(2億1105万7771.56ドル)として計算されることとなる。これは,法24条1項3号の適用上,利益剰余金を原資とする部分(5億4400万ドル)について,利益積立金額がマイナスであっても「将来利益の払戻し」としてその全額を利益部分の払戻しの額として取り扱うことを否定し,逆に,上記の減少した資本剰余金の額とE社の資本金等の額との差額1億1105万7771. 56ドルを資本部分の払戻しの額(有価証券の譲渡対価の額)として取り扱うものであって,このような計算結果は,上記a(b)の法24条1項3号の文理及び趣旨に反し,施行令23条1項3号は,そのような計算結果となる限りにおいて,法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(本件配当の原資について)(1) 前記前提事実(引用に係る原判決「事実及び理由」の第2の2(2)),証拠(甲5の1から5まで,甲20,46,乙6)及び弁論の全趣旨によれば,①F社からE社への平成24年11月12日付けで行われた6億4400万ドルの資金移動(引用に係る原判決「事実及び理由」の第2の2(2)イ。以下「本件資金移動」という。)は,F社の事業等からの利益の配当としてされたものであること,②E社は,上記F社から受けた6億4400万ドルを同社の利益剰余金に受け入れたこと,③平成24年11月12日付けで被控訴人に利益配当がされた5億4400万ドルは,上記②のE社の利益剰余金から支出されたこと及び④本件資本配当がE社の追加払込資本(資本剰余金に相当する。)を原資としてされたことがそれぞれ認められる。 以下,個別に述べる。 (2) 上記 益剰余金から支出されたこと及び④本件資本配当がE社の追加払込資本(資本剰余金に相当する。)を原資としてされたことがそれぞれ認められる。 以下,個別に述べる。 (2) 上記(1)①(本件資金移動)について「F,LLC-HomeOffice(Fエルエルシー-本社)」の書出しで始まる書面(甲46。以下,単に「甲46」という。)は,本件資金移動についてのF社における会計上の仕訳を記載したものであるところ,これには借方に「RetainedEarnings-PriorYear(留保利益-前年)」との記載が,貸方に「Demanddeposit-BOHMM(当座預金-ハワイ銀行マネーマーケット)」との記載がそれぞれあり,これらの記載に弁論の全趣旨を併せ考慮すると,F社は,そのハワイ銀行の当座預金口座から合計6億4400万ドルを出金し,これをEに送付して本件資金移動を行ったこと並びにそれがF社及びその子会社の事業から生じた留保利益を原資とするものであることを認めることができる。一方,本件資金移動に係る金額にF社やその子会社の資本剰余金その他資本性の金額が混合していることをうかがわせる証拠は見当たらない。 (3) 上記(1)②(本件資金移動に係る金額をE社が同社の利益剰余金に受け入れたこと)について「E,LLC」と題する書面(乙6。以下,単に「乙6」という。)は,本件資金移動並びに本件資本配当及び本件利益配当についてのE社における会計上の仕訳を記載したものであり,借方に「DemandDeposit-BOH(ハワイ銀行要求払預金)」との記載が,貸方に「DividendIncome-F(配当収入-F)」との記載がそれぞれあるところ,この仕訳は,E社のハワイ銀行の当座預金口座に6億4400万ドルが入金され,それ 要求払預金)」との記載が,貸方に「DividendIncome-F(配当収入-F)」との記載がそれぞれあるところ,この仕訳は,E社のハワイ銀行の当座預金口座に6億4400万ドルが入金され,それが同社の配当収入として認識されたことを示しており,このことからすれば,本件資金移動に係る金額は,E社の損益計算において配当収入として認識され,同金額は貸借対照表における純資産の部の「留保利益」(我が国の利益剰余金に相当すると推認される。)に含まれるものであることが認められる。 (4) 上記(1)③(被控訴人に利益配当がされた5億4400万ドルが上記(1)②のE社の留保利益から支出されたこと)について 乙6には,本件利益配当としてE社が被控訴人に対して行った5億4400万ドル分の現実の資金移動について,借方に「RetainedEarnings(訳は利益剰余金)」との記載が,貸方に「DemandDeposit-BOH(ハワイ銀行要求払預金)」との記載がそれぞれあり,この仕訳は,E社のハワイ銀行の当座口座から5億4400万ドルが出金され,かつ,その出金によりE社の留保利益(訳は利益剰余金)が減少したことを示しており,この減少は,上記②によるF社からの本件資金移動により増加した6億4400万ドルの純資産(留保利益)から出金がされたことを示すものと認められ,したがって,本件利益配当が,本件F社配当により増加したE社の留保利益を原資として行われたものであることが認められる。 (5) 上記(1)④(本件資本配当がE社の追加払込資本を原資としてされたこと)について乙6には,借方に「Capital(資本)」として,貸方に「AdditionalPaidInCapital(追加払込資本。訳は資本剰余金)としてそれぞれ1億03 資としてされたこと)について乙6には,借方に「Capital(資本)」として,貸方に「AdditionalPaidInCapital(追加払込資本。訳は資本剰余金)としてそれぞれ1億0381万ドルの記載及び借方に「AdditionalPaidInCapital」として,貸方に「DemandDeposit-BOH」としてそれぞれ1億ドルの記載があり,これらの記載は,E社は,1億0381万ドルを追加払込資本(我が国の資本剰余金に相当する。)勘定に振り替えた上,被控訴人に対し,そのうち1億ドルの送金手続を行ったことを示しており,これに弁論の全趣旨を併せ考慮すれば,E社は,上記追加払込資本中の1億ドルを原資として被控訴人に対して本件資本配当をしたことが認められる。 (6) 控訴人の主張について控訴人は,上記①から③までの各事実をいずれも否認するが,上述したとおり,前記前提事実及び上記各証拠によればこれらの事実が認められるというべきであり,他にこれを覆すに足りる証拠はない。 2 争点1(法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の 額の減少に伴うものに限る。)」の意義等はどのようなものか。)について(1) 法24条1項3号及び法23条1項1号の規律対象についての当事者双方の主張の骨子ア控訴人は,剰余金の配当については,その全体が資本と利益とが混合したものであるとして,その全額を「資本の払戻し」と整理し,これに法24条1項3号を適用した上で,施行令23条1項3号によりみなし配当の金額を計算することとし,例外的に,剰余金の配当の原資が利益剰余金のみであることが明らかな剰余金の配当のみが法23条1項1号の「剰余金の配当」に当たると主張する。 これに対し,被控訴人は,法2 の金額を計算することとし,例外的に,剰余金の配当の原資が利益剰余金のみであることが明らかな剰余金の配当のみが法23条1項1号の「剰余金の配当」に当たると主張する。 これに対し,被控訴人は,法24条1項3号の「資本剰余金の額の減少に伴うもの」とは,資本剰余金を原資とする剰余金の配当をいい,利益剰余金を原資とする剰余金の配当を含まないのであり,利益剰余金を原資とする剰余金の配当については法23条1項1号が,資本剰余金を原資とする剰余金の配当については法24条1項3号がそれぞれ別個独立に適用されると主張する。 イなお,法23条1項1号については,同号が,益金の額に算入されない事由として「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。)」の額(外国法人から受けるものを除く。)」と規定していることからすれば,利益剰余金のみを原資とする配当が行われた場合には同号が適用されるものと解され,このことは,法24条1項3号について控訴人の主張する解釈又は被控訴人の主張する解釈のいずれを採ったとしても変わりはなく,その限りでは当事者双方の主張に相違はない。 (2) 法人税法の規定の解釈について法人税法1条は,同法が,法人税について,納税義務者,課税所得等の範囲,税額の計算の方法,申告,納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものであることをうたっており, 各規定の解釈は,その趣旨を踏まえて行う必要があるが,租税法は,本来,侵害規範であり,法的安定性の要請が強く働くから,その解釈は,原則として文理解釈によるべきであり,みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されないと解される。そして,文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合に,規定の趣旨・目 の解釈は,原則として文理解釈によるべきであり,みだりに拡張解釈や類推解釈を行うことは許されないと解される。そして,文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合に,規定の趣旨・目的に照らしてその意味内容を明らかにするのが相当である。 同時に,租税法規において,会社法等の私法で用いられている概念を用いている場合,すなわち,いわゆる借用概念が用いられている場合には,法的安定性の見地から,別異に解すべきことが明文で規定され,又は規定の趣旨から明らかな場合を除き,当該私法上におけると同じ意義に解するのが相当である。 (3) 株主等が拠出した部分と法人が稼得した利益との峻別並びに法23条1項1号及び24条1項3号の趣旨,改正経緯等についてア法人税法は,「資本金等の額」(法2条16号),「利益積立金額」(同条18号)等の定義規定を設け,「資本金等の額」は,法人が株主等から拠出を受けた金額(法2条16号,施行令8条1項),「利益積立金額」は,法人の所得の金額で留保している金額(法2条18号,施行令9条)としていることが示すとおり,株主等が拠出した部分(以下「株主拠出部分」という。)と法人が稼得した利益(以下「法人稼得利益」という。)とを峻別することを基本原則とし,法人税もこの基本原則にのっとって課すこととしているものと解され(乙50の2参照。このことは,当事者双方が主張しているところである。),法人税法の各規定の解釈においては,上記基本原則を踏まえる必要があるというべきである。 イそして,法23条1項1号及び法24条1項3号は,平成18年度税制改正において改正されたものであるところ,証拠(甲2,4,13)に よれば,その経緯及び内容の概要は,以下のとおりであったと認められる。 び法24条1項3号は,平成18年度税制改正において改正されたものであるところ,証拠(甲2,4,13)に よれば,その経緯及び内容の概要は,以下のとおりであったと認められる。 (ア) 前記第2の2(引用に係る原判決「事実及び理由」の第2の1)のとおり,法23条1項1号は重複課税を避けるための規定であるところ,法24条1項は,もともと,会社制度を定めていた旧商法においては,手続上利益の配当とは位置付けられていなかった株主法人に対する金員等の交付について,そのうちに実質的には支払法人が事業等により稼得した留保利益が含まれている場合があり,それが実質的には利益の配当に当たり,支払法人段階において課税済みの利益であることから,同じように重複課税を避けるため,払戻しを受ける株主法人においてこれを配当として位置づけることとして,いわゆる「みなし配当制度」を設けたものであり,これは,株主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する法人税法上の基本原則の具体的な現れであると解される。 そして,旧商法下においては,法23条1項1号及び法24条1項3号は,会社財産の払戻しの手続の相違(資本の減少による会社財産の流出か,又は配当による会社財産の流出か)に応じて,株主等の持株関係に変動がない場合における株主に対する会社財産の払戻しについて,利益のみの払戻しか,又はそれ以外の払戻し(資本部分と利益部分とが比例的に払い戻される払戻し)かを規律していたものである。 (イ) しかるところ,平成17年の会社法(平成17年法律第86号)の制定により,株式会社の株主に対する会社財産の払戻しについては,①従前の利益の配当及び中間配当は利益剰余金を原資とする剰余金の配当と整理され,②株式の消却を伴わない資本の減少は資本金の資本剰余金への振替え及び 株式会社の株主に対する会社財産の払戻しについては,①従前の利益の配当及び中間配当は利益剰余金を原資とする剰余金の配当と整理され,②株式の消却を伴わない資本の減少は資本金の資本剰余金への振替え及び資本剰余金を原資とする剰余金の配当と整理されたことを踏まえ,平成18年度税制改正において,法23条1項1号及び法24条1項3号は,株主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する基本原則にの っとって,払戻しの原資に着目して,①「剰余金の配当(…資本剰余金の額の減少に伴うもの…を除く。)」を法23条1項1号の対象とし,②資本の払戻しの一態様である「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)」を法24条1項3号の対象としてそれぞれ規律することとしたものと解される。 その際,法23条1項1号及び法24条1項3号は,「剰余金の配当」,「資本剰余金」といった会社法等の私法上の概念(会社法2条13号,25号等,会社法施行規則244条2項3号イ及び会社計算規則2条3項30号等)を用い,それらの概念に依拠して改正されたものである。 (4) 法24条1項3号の規律対象についてア法24条1項3号は,みなし配当の計算の対象となる「資本の払戻し」の一つとして「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」と定めるところ,法令上「もの」とは,一般に,関係代名詞的に,あるものを更に要件等を重ねて限定する場合に用いられる用語であり,「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」の語句の「もの」は,かっこ開き前の「剰余金の配当」を受けたものであって,上記語句は「資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当」を意味するものと解される。 また,上記の定めのうち「…に伴う」については,例えば,「収入に伴う支出の増加」というように, けたものであって,上記語句は「資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当」を意味するものと解される。 また,上記の定めのうち「…に伴う」については,例えば,「収入に伴う支出の増加」というように,後者が前者と同時に生ずる場合,前者の変化等に応じて後者も変化等をする場合,あるいは前者が後者の契機となっているような場合に用いられるものと解される。 なお,「資本剰余金の額の減少に伴うもの」の語句中の,上述した会社法等からのいわゆる借用概念である「資本剰余金」の意義について,会社法等におけるのと別異に解すべきことを示す規定は見当たらない。 イ以上の「…に伴うもの」の用法を踏まえ,上述したとおり,法23条1項1号及び法24条1項3号は,配当の原資に着目した上,会社法上の概念を前提とし,株主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する仕組みの一つとして改正されたものと解されることを併せ考慮すると,同号の「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」,すなわち,「資本剰余金の額の減少に伴う剰余金の配当…」とは,「資本剰余金の額の減少によって行う剰余金の配当…」をいうものと解するのが,文理上自然であると考えられる。 同時に,法24条1項3号は,「資本剰余金の額の減少によって行う剰余金の配当」を,税法上の観点から,一定の計算式を用いてみなし配当部分(実質的に法人稼得利益であると位置付けられる部分)とそれ以外の株主拠出部分とに分割するものと解されるから,「剰余金の配当」が同号の対象となるかどうかは,会社法等の規定に従って株主総会等の決議によって行われた個々の配当ごとに,その原資に応じて判断されるとするのが自然な帰結であると解される。 ウもっとも,資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して剰余金の配当を行った場合に 決議によって行われた個々の配当ごとに,その原資に応じて判断されるとするのが自然な帰結であると解される。 ウもっとも,資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して剰余金の配当を行った場合について,別個の配当が行われたものとして原資に応じて法24条1項3号及び法23条1項1号をそれぞれ適用するとすると,いずれの配当が先に行われたかが問題となる。そして,みなし配当に係る計算式(施行令23条1項3号)の分数の分子が「減少した資本剰余金の額」とされていることから,資本剰余金を原資とする剰余金の配当が行われた場合には資本金等の額と利益積立金額とが比例的減少をするのに対し,利益剰余金を原資とする剰余金の配当が行われた場合には利益積立金額のみが減少することとなるため(甲2の256,257頁参照),このような配当行為について税制が統一的な取扱いを定めないとすれば,事後の調査等でこの先後について問題が生じることが想定され る。 このような事情に照らすと,資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して剰余金の配当を行った場合において,配当の先後関係によって課税関係に差異が生ずるようなときには,例外的に,これを法24条1項3号の「資本の払戻し」として整理し,計算も原資に基づいて資本金等の額と利益積立金額が減少する構造とすることでこの問題の解決を図るものとし,このような配当は,法24条1項3号の規律に服するとすることには合理性があると考えられる。 なお,本件配当については,本件資本配当及び本件利益配当のいずれが先に行われたとしても,結果に相違が生じないことは,原判決別表4の1及び2に記載のとおりである。 (5) 法24条1項3号の趣旨・構造及び法23条1項1号の位置付けについての控訴人の主張についてア控訴人は, に相違が生じないことは,原判決別表4の1及び2に記載のとおりである。 (5) 法24条1項3号の趣旨・構造及び法23条1項1号の位置付けについての控訴人の主張についてア控訴人は,会社法において,利益の配当と出資の返還の双方の性質を持った配当が統一的に「剰余金の配当」として規定されたことを受けて,法人税法は,剰余金の配当の課税について,「剰余金の配当」(法23条1項1号)と「資本の払戻し」(同法24条1項3号の剰余金の配当)とに区分しつつ,①基本的に,剰余金の配当全体を資本と利益とが混合したものと考え,一旦その全額を上記「資本の払戻し」と整理した上,株主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する基本原則に基づいて,支払法人において課税済みの利益の分配であるか否かの観点から,法24条1項3号の定め及び同項3項により委任を受けた施行令23条1項3号により,みなし配当の金額を計算することとし,②例外的に,剰余金の配当の原資が利益剰余金のみであることが明らかな剰余金の配当のみが同法23条1項1号の「剰余金の配当」に当たるものとしたものであり,同号は,計算の簡便等を図るための課税政策上のものにすぎないと 主張する。そして,控訴人は,法24条1項3号において「資本剰余金の額の減少に伴うもの」との文言が用いられたのは上記のような区分を明らかにするためであり,「資本剰余金の額の減少に伴う部分の金額」といった規定振りが採られていないことはこれを裏付けるなどと主張する。 イそこで検討するに,確かに,法24条1項3号は,「資本剰余金を原資とする剰余金の配当」といった端的な語句を用いてはいないが,上述したとおりの「…に伴うもの」の用法に照らして,「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」を資本剰余金のみを原資とす 金を原資とする剰余金の配当」といった端的な語句を用いてはいないが,上述したとおりの「…に伴うもの」の用法に照らして,「剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」を資本剰余金のみを原資とする剰余金の配当及び資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当を意味するとするのが文理の論理的帰結であると断ずることはできない。 ウまた,会社法が資本剰余金及び利益剰余金を原資とする配当を統一的に「剰余金の配当」と整理したものであるとしても,それによって各原資の基本的性格及び内容(基本的には,資本剰余金が株主等が拠出した金員等から,利益剰余金が法人が稼得した利益からそれぞれ構成されるものであり,後記の例外があるとしても,常に又は一般的に利益剰余金に資本性の金額が混合していることを認めるに足りる的確な証拠はない。)を変更したり,配当金全体に資本剰余金及び利益剰余金の双方の性格を与えたりしたものではない。したがって,法人税法が,株主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する基本原則を有していながら,基本的に,剰余金の配当全体を「資本と利益」が混合したものと考え,一旦その全額を法24条1項3号の「資本の払戻し」と整理したとみることには疑問が生ずる。 エさらに,法24条1項3号が資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする配当一般を規律するものであると解するとすれば,利益剰余金をこれとは別の法的性格を有する資本剰余金として取り扱うことになり,株 主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する原則(控訴人は,これは法人税法の根幹を成す基本原則であると主張している。)に整合しないことになり,許される拡張解釈の限度を超えるおそれがあると考えられる。 この点については,いわゆるプロラタ計算(法24条3項,施行令23条1項3号)によ 本原則であると主張している。)に整合しないことになり,許される拡張解釈の限度を超えるおそれがあると考えられる。 この点については,いわゆるプロラタ計算(法24条3項,施行令23条1項3号)によりみなし配当の金額が算出されることによって,利益剰余金を原資とする配当部分が区分され得るとしても,利益剰余金としての性格を有する部分が全てみなし配当として区分されるとは限らない(このことは,後記4(1)において引用する原判決が述べるとおりである。)。殊に,本件配当のように,利益剰余金のみを原資とする配当及び資本剰余金のみを原資とする配当がそれぞれ別の決議で行われた場合に,全体として法24条1項3号を適用することは,利益剰余金を原資とする配当(会社法等の私法上,資本剰余金を原資とする配当とは別個のものであり,性質も異なるものである。)を,資本剰余金を原資とする配当として取り扱うことになる。 確かに,法人税法は,課税所得等について,税法基準に基づいて独自にその範囲を規律して計算を行うものではあるが,法23条1項1号及び法24条1項3号は,会社法の概念に依拠するものである以上,その概念に会社法におけるのと別異の意味内容を盛り込むことには限度があると考えられ,上記のように,一般的に利益剰余金を原資とする配当を資本剰余金を原資とする配当と取り扱うことは,会社法の概念に依拠しつつ株主拠出部分と法人稼得利益との峻別を図った平成18年度税制改正が想定するところを超え,かえって,株主拠出部分と法人稼得利益とを混交するおそれがあると解される。 オそして,平成18年度税制改正における法23条1項1号及び法24条1項3号の改正は,会社法の制定に伴う整備という観点から行われ,抜本的な見直しを企図したものではないことがうかがわれ(乙50の2, 平成18年度税制改正における法23条1項1号及び法24条1項3号の改正は,会社法の制定に伴う整備という観点から行われ,抜本的な見直しを企図したものではないことがうかがわれ(乙50の2, 弁論の全趣旨),そうすると,会社法において「剰余金の配当」という統一的概念が導入され,手続的規律によるのではなく,配当の原資に応じた規律がされたことに対応して,法23条1項1号及び法24条1項3号も会社法の概念に依拠して規律を設けたという以上に,同号の基本的な性格や構造が変更されたと判断すべき事情を認めるに足りる証拠はない。 この点に関し,控訴人は,利益剰余金のうちには資本性の金額が混合している場合があると主張するところ,そのような場合が生ずることが否定されるものではない(例えば,資本金の額を減少して資本剰余金に振り替え,これを更に利益剰余金に振り替えた上で,これを原資として配当する場合)が,利益剰余金中に資本性の金額が含まれているのが一般であるといった状況を認めるに足りる証拠は見当たらないし,資本性の金額を含む利益剰余金を原資とする配当が行われたとしても,それが単独で行われる限り,法23条1項1号は,全て益金に算入しないこととしているところである(このことについては,控訴人及び被控訴人の各見解は同一であると解される。)。しかるときは,法24条1項3号についても,配当のうち利益剰余金を原資とする部分について,上記のように資本性の金額が混合している可能性を前提として,常に資本剰余金を原資とする配当と位置づけることとしたとは解されない。 カ以上の次第で,控訴人の主張は採用することができない。 (6) 小括以上の諸点を総合考慮すると,法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」とは カ以上の次第で,控訴人の主張は採用することができない。 (6) 小括以上の諸点を総合考慮すると,法24条1項3号の「資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの…)」とは,「資本剰余金の額の減少によって行う剰余金の配当」,すなわち,「資本剰余金を原資とする配当」を意味し,したがって,同号は,資本剰余金を原資とする配当について適用され,例外として,資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して 剰余金の配当を行った場合において,いずれの配当が先に行われたとみるかによって課税関係に差異が生ずるものについては,これを「資本の払戻し」と整理し,同配当は同号の規律に服すると解するのが相当である。 3 争点2(本件配当は,その全体が法24条1項3号の対象となるか(本件資本配当と本件利益配当とは別個独立のものか,又は1個のものか)について前記1の認定事実に基づき,上記2に判示したところからすれば,本件資本配当に法24条1項3号が,本件利益配当には法23条1項1号がそれぞれ適用されることになり,争点2について判断することを要しないと解されるが,事案の内容及び本件の経緯に鑑みて,念のため,争点2について判断を加えることとする。 (1) 本件配当が私法上も単一のものであるか否かについてア控訴人は,本件決議書C及び本件決議書Dに係る決議は,E社に対し,本件資本配当並びに本件利益配当をする権限及び権能の付与等をする趣旨のものにすぎず,本件配当を実行する旨の決議それ自体ではなく,本件配当は,本件各決議書とは別に提案され,本件同意書において,本件各決議書の採択と併せて一括して決議されたものであって,本件配当の実行は一つの株主総会における一つの決議に基づくものであったというべきであると主張する。 イそこで検 れ,本件同意書において,本件各決議書の採択と併せて一括して決議されたものであって,本件配当の実行は一つの株主総会における一つの決議に基づくものであったというべきであると主張する。 イそこで検討するに,そもそも本件資本配当に係る本件決議書Cと本件利益配当に係る本件決議書Dとは別個のものである以上,被控訴人がE社の一人株主であり,本件同意書によって両決議書記載の決議がされたとしても,私法上は別個の決議がされたと評価されるものである。そして,E社に係るLLC契約5.4条が,本件配当を含む分配は,「役員会が決定した時期及び総額において社員に対して行うものとする」と規定していること(甲7)に鑑みると,本件資本配当に係る決議及び本件利益配当に係る決議は,別個のものとして順次,かつ,各配当の承認のほか,これらを実 行すること含むものであったと認められ,他にこの認定を妨げるべき証拠はない。 よって,控訴人の上記の主張は採用することができない。 (2) 本件配当が法人税法上,一つの剰余金の配当に当たるか否かについてア控訴人は,仮に,本件配当が複数の決議に基づいて実行されたものであったとしても,本件配当は,決議及び効力発生日が同一日であり,株主である被控訴人にも,本件配当に基づく経済的価値が効力発生日の到来をもって一体的に流入したものであることを理由に,このような本件配当は,法人税法上は,同時(一体的)に行われた一つの剰余金の配当であり,そのような手続がとられたことに特段の事情等が認められる場合には,例外的に同時(一体的)に行われたものとはならないと主張する。 イしかし,前記認定判断のとおり,本件資本配当はE社において減少させた資本を原資とするものであり,本件利益配当は同社の留保利益を原資とするものであることが明らか れたものとはならないと主張する。 イしかし,前記認定判断のとおり,本件資本配当はE社において減少させた資本を原資とするものであり,本件利益配当は同社の留保利益を原資とするものであることが明らかであるというべきであって,控訴人が指摘する決議日及び効力発生日の同一性等の事情は,形式的なものであるにすぎず,それらの事情が,本件利益配当及び本件資本配当の各性質を変じさせて単一のものとして取り扱うことが許容される基礎を創出するものではないと解するのが相当である。また,本件資本配当及び本件利益配当の各会計処理が適正でなく,又は不適法であるとうかがうべき証拠も見当たらない(例えば,資本性のある金額を利益剰余金として配当したことなどはうかがわれない。)。しかるときは,上記各事情が両配当が全体として一つのものであることを帰結させるとはいえない。 ウまた,控訴人は,その主張の根拠として,株主である被控訴人に本件配当に基づく経済的価値が効力発生日の到来をもって一体的に流入したものであることを挙げるが,法23条1項1号及び法24条1項3号は,支払法人における配当の原資に着目して課税のあり方を規律するものであって, 株主法人への経済的利益の流入に着目してこれを行うものではない。 したがって,控訴人の上記の主張は採用することができない。 エさらに,控訴人が剰余金の配当が同時(一体的)に行われたものであるか否かのメルクマールとして,決議日及び効力発生日の同一性を挙げるが,それが資本剰余金を原資とする配当と利益剰余金を原資とする配当との同一性の有無を判断する基準として機能するのかは疑問を差し挟む余地があると考えられる。例えば,控訴人の主張によると,各決議日は同一であるが,効力発生日が連続した2日であった場合や各決議が連続した2日間に行わ 無を判断する基準として機能するのかは疑問を差し挟む余地があると考えられる。例えば,控訴人の主張によると,各決議日は同一であるが,効力発生日が連続した2日であった場合や各決議が連続した2日間に行われたが,効力発生日が同一であった場合には,両配当は同時(一体的)に行われたものではないことになりそうであるが,これらの場合が,各決議日及び効力発生日が同一であった場合とどの程度実質的な差異があるのかは疑問であり,恣意的な課税関係の防止,公平な課税の確保といったことが控訴人の主張するメルクマールを適用することによって達成されるといえるのかは必ずしも明らかではない。 また,控訴人は,特段の事情がある場合には,資本剰余金を原資とする配当と利益剰余金を原資とする配当とは同時(一体的)に行われたものとはならないと主張するが,特段の事情といったような必ずしも明確とはいえない要件によって法24条1項3号の適用の有無を決することとなるのは相当でないと考えられる。 オそして,仮に,控訴人が,本件資本配当と本件利益配当とを別個のものとみることが租税公平主義や法人税の適正な課税に反するのであれば,租税回避行為(法132条1項等)を理由とする課税が検討されるべきものと考えられ,控訴人の主張するような明確でない課税要件が法24条1項3号に盛り込まれているということはできない。 カしたがって,控訴人の上記の主張は採用することができない。 4 争点3(施行令23条1項3号は法24条3項の委任の範囲を超えない適法 なものか。)について本件の経緯に鑑みて,念のため,仮に,本件配当全体について法24条1項3号が適用されると解した場合には,施行令23条1項3号の適用が法24条3項による委任の範囲を逸脱するものであるかについて検討する。 (1) 判 念のため,仮に,本件配当全体について法24条1項3号が適用されると解した場合には,施行令23条1項3号の適用が法24条3項による委任の範囲を逸脱するものであるかについて検討する。 (1) 判断仮に,本件配当が法人税法上同時(一体的)に行われたものであるとして,そのことを理由に同号が適用されると解するとしても,本件配当のうち本件利益配当の原資が留保利益(利益剰余金)であるにもかかわらず,これに資本配当として課税がされることになり,それは法24条1項3号の委任の範囲を超えることになることは,原判決「事実及び理由」の第3の2に記載のとおりであるから,これを引用する。 (2) 控訴人の主張についてア施行令23条1項3号による計算結果について(ア) 控訴人は,同号による計算結果は,法24条1項3号による委任の範囲を逸脱するものではなく,適法であると主張する。 (イ) しかし,上記計算結果は,利益剰余金を原資とする部分を資本部分の払戻しとして取り扱うことを意味することになり,平成18年度税制改正における改正によって,法人税法には株主拠出部分と法人稼得利益とを峻別する基本原則があるにもかかわらず,法24条1項3号が利益剰余金を原資とする部分についても,資本部分の払戻しの額として取り扱うこととしたとまでは解されないことは引用に係る原判決記載のとおりである。 (ウ) なお,控訴人は,①本件配当は,E社の利益積立金額がマイナスであるから,税法上,本来,その全額が資本部分の払戻しとして認識されるべきである,②利益部分の払戻しの額を配当とみなして計算するのは,将来資本の払戻しといった不合理な結果を回避するための課税技術上の 調整によるものであるから,利益部分の払戻しの額を配当とみなすことには問 分の払戻しの額を配当とみなして計算するのは,将来資本の払戻しといった不合理な結果を回避するための課税技術上の 調整によるものであるから,利益部分の払戻しの額を配当とみなすことには問題がない旨も主張する。 そこで,検討するに,①については,利益剰余金のみを原資とする配当については,法23条1項1号が適用されるところ,その場合には,配当原資となる利益剰余金に資本性のものが混合しているか否か又は利益積立金額がマイナスであるか否かは同号適用の要件とはされているとは解されず,これらがいずれも認められる場合にも同号が適用されることになると考えられることに鑑みると,法人税法は,利益剰余金が課税済みの利益のみで構成されていない場合に,これを原資とする配当の取扱いを別異のものとすることとしたとは解されない。 次に,②の主張についても,利益部分の払戻しの額が利益剰余金を原資とするものである以上,むしろ,その全部がみなし配当とする取扱いがされるべきものである(なお,本件利益配当の原資となってE社の留保利益は,同社がF社から受けた6億4400万ドルの配当に係る利益の一部であり,これに資本性の金額は混合していないことはすでに述べたとおりであり,利益剰余金に資本性の金額が混合していることを前提とする控訴人の主張は,その前提を欠くものである。)。 したがって,控訴人の上記の主張は採用することができない。 イ控訴人のその余の主張について原判決には誤りがあるとする控訴人のその余の主張も,当裁判所の判断を左右するものとはいえない。 (3) 施行令23条1項3号の定めが,資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当への適用に当たり,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額を超える「払戻し等の直前の払戻等対応資本 (3) 施行令23条1項3号の定めが,資本剰余金及び利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当への適用に当たり,当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額を超える「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」が算出される結果となる限りにおいて法人税法の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効であり,この場合の「払戻し等の直前の払戻等対応資本金額等」は, 当該剰余金の配当により減少した資本剰余金の額と同額となるものと解した場合の計算結果は,原判決「事実及び理由」の第3の3に記載のとおりであるから,これを引用する。 5 まとめ以上論じてきたとおり,利益剰余金を原資とする配当については法23条1項1号が,資本剰余金を原資とする配当については法24条1項3号がそれぞれ適用される(例外として,資本剰余金と利益剰余金の双方を同時に減少して剰余金の配当を行った場合において,いずれの配当が先に行われたとみるかによって課税関係に差異が生ずるものについては,これを「資本の払戻し」と整理し,同配当は同号の規律に服すると解される。)。そして,本件資本配当と本件利益配当とは別個独立したものであると認められるから,本件資本配当は法24条1項3号により,本件利益配当は法23条1項1号によりそれぞれ規律され,本件配当に対する課税は,原判決別表1のとおり行われるべきことになる。 したがって,被控訴人の本件請求は理由がある。 第4 結論よって,原判決は,結論において相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第23民事部 裁判長裁判官白石哲 裁判官廣澤諭 裁判官内堀宏達は,差支えのた 東京高等裁判所第23民事部 裁判長裁判官 白石哲 裁判官 廣澤諭 裁判官 内堀宏達は,差支えのため署名押印をすることができない。

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