- 1 -平成18年(ワ)第406号交通事故による損害賠償請求事件 主文 本件訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求被告は,原告に対し,金19万4440円及びこれに対する平成18年8月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要 事案の要旨本件は,被告の運転する原動機付自転車に衝突されて負傷し,既に被告との間で一部勝訴の確定判決を得ている原告が,不法行為による損害賠償請求権に基づき,被告に対し,前訴において前記事故と相当因果関係がないと判断された症状に対する治療費について,前訴において賠償を求めていなかった期間に係る治療費の支払を求めている事案である。 前提となる事実(証拠等を掲記した事実以外は,当事者間に争いがない)。 ( )本件事故の発生 原告は,被告との間で発生した下記交通事故(以下「本件事故」という)によ。 り負傷した。 ア発生日時平成15年8月18日午後8時40分ころイ発生場所甲府市城東○丁目○番○○号ウ事故態様原告が上記道路を歩行していたところ,定員外乗車(二人乗り)及びスピード違反で原動機付自転車を運転していた被告に衝突された。 ( )前訴事件 ア原告は,本訴被告を被告として,甲府地方裁判所に対し,本件事故によって原告が被った損害の賠償を求める旨の訴えを提起した(甲府地方裁判所平成17年(ワ)第441号損害賠償請求事件。以下,この事件を「前訴事件」という。 。)イ原告は,前訴事件において,原告は本件事故によって頚椎・腰椎捻挫等の傷害を負ったほか,本件事故後,変形性頸椎症が発症し,平成15年12月20日に症状固定と診断された後も通院治療を継続しており,次のとおりの損害を被ったと主張した。 ①通院治療費・通院交通費・固 等の傷害を負ったほか,本件事故後,変形性頸椎症が発症し,平成15年12月20日に症状固定と診断された後も通院治療を継続しており,次のとおりの損害を被ったと主張した。 ①通院治療費・通院交通費・固定具・診断書料(平成16年1月31日から同年12月25日まで分)35万6824円②通院慰謝料67万円③後遺障害慰謝料110万円- 2 -④逸失利益126万6284円ウ被告は,前訴事件において,①原告の変形性頸椎症は,本件事故と全く関係のない原告の既往症であり,そのための治療は本件事故と因果関係がない,②本件事故による症状固定日は平成15年12月20日であるところ,原告の請求する治療費等は症状固定後のものであるから,被告はその賠償責任を負わないと主張した。 エ甲府地方裁判所は「原告の主張する変形性頸椎症は,非外傷性の疾患であっ,て,原告の既往症であるから,本件事故と相当因果関係にあるとは認められない。したがって,原告が症状固定と診断された平成15年12月20日以後の治療費については,本件事故と相当因果関係にある損害とはいえない」と判断し,平成18年4月20日,前。 ,(),,(),訴事件につき別紙判決書省略のとおり原告の請求のうち通院慰謝料上記イ②後遺障害慰謝料(同③)及び逸失利益(同④)の一部の賠償を求める範囲で認容し,治療関係費(同①)及びその余の逸失利益の賠償を求める部分を棄却する旨判決した(以下,この判決を「前訴判決」という。 。)(乙1)( )前訴判決の確定 ア原告は,前訴判決に対して控訴を申し立てたが,その後,間もなくしてこれを取り下げ,前訴判決は確定した。 イ原告は,平成18年5月10日,前訴判決にのっとって,同判決主文1項で命ぜられたとおりの金銭の支払を受けた(支 対して控訴を申し立てたが,その後,間もなくしてこれを取り下げ,前訴判決は確定した。 イ原告は,平成18年5月10日,前訴判決にのっとって,同判決主文1項で命ぜられたとおりの金銭の支払を受けた(支払額は,附帯請求を含めて合計172万9896円である。 。)(乙2,原告本人)( )本件治療費の支出 原告は,平成16年12月26日(訴状2頁に「平成17年12月26日」とあるのは「平成16年12月26日」の誤記である)以降も,頚部,腰,背部及び下肢,。 等にとう痛があると訴えて(以下,この症状を「本件症状」という,A外科病院にお。)いて診療を受け,平成18年7月7日までの間に,同病院に対し,合計19万4440円の治療費を支払った(以下,この治療費を「本件治療費」という。 。)(甲4の1ないし5,甲5の1・2,甲6,7の1ないし4,甲8の1ないし100)( )本訴の提起 原告は,本件治療費は本件事故と相当因果関係にある損害であると主張して,平成18年7月28日,被告に対し,本件治療費相当額の支払を求める本訴を提起した。 (当裁判所に顕著)第3当裁判所の判断 一個の不法行為に基づく損害賠償請求において,前訴が一定の期日までに支出した治療費のみを請求する旨明示したものであったときは,後訴でその後の後遺症の治療費を請求することは妨げられないと解される(最高裁昭和42年7月18日判決・民集21巻6号1559頁参照。したがって,本訴における判断が,前訴判決の既判力によって遮)断されることはない。 - 3 - しかしながら,前記前提となる事実,証拠(原告本人,乙1)及び弁論の全趣旨によると,原告が平成16年12月26日以降も訴えている本件症状は,既に前訴の提起時には存在し,前訴判決において本件事故とは相当因果関係がないと 前提となる事実,証拠(原告本人,乙1)及び弁論の全趣旨によると,原告が平成16年12月26日以降も訴えている本件症状は,既に前訴の提起時には存在し,前訴判決において本件事故とは相当因果関係がないと判断されたものであると認められる。 そこで,本件の訴えの適法性について検討するに,①仮に本件訴えが適法であるとすれば,本件においては,本件症状が本件事故によるものなのか,それとも原告の既往(),,症によるものなのかという点が主な審理の対象争点となるところこの点については前訴において既に争点とされ,原告及び被告による主張立証が尽くされていると認められ,,,,ること②そして前訴判決においてはそうした原告及び被告の訴訟活動を踏まえて原告が症状固定と診断された平成15年12月20日以後の治療費は本件事故と相当因果関係にある損害とはいえないと判断されていること,③原告は,前訴判決(仮執行宣言付き)に対して控訴したが,間もなくこれを取り下げ,前訴判決は確定していること,④原告は,平成18年5月10日,前訴判決の主文1項で命ぜられたとおり,被告から172万9896円の支払を受けていること,⑤本訴に応訴することは,被告にとっても相当の負担があると認められること(実際に,被告は,本件の訴訟追行を弁護士である訴訟代理人に委任している)などを総合考慮すれば,本訴は,実質的に紛争の蒸し返しで。 あり,信義則に照らして許されないというべきである。 以上によると,その余の点につき検討するまでもなく,本件訴えは不適法であるから却下すべきである。よって,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部裁判官岩井一真 主文 て,訴訟費用の負担について民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 甲府地方裁判所民事部裁判官岩井一真
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