主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人中道武美及び被告人本人の各上告趣意のうち、死刑に関して憲法九条、一三条、三一条、三六条違反をいう点は、死刑が所論憲法の各規定に違反しないことは、当裁判所の判例(最高裁昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁、最高裁昭和二四年新(れ)第三三五号同二六年四月一八日大法廷判決・刑集五巻五号九二三頁)とするところであるから、所論は理由がなく、被告人の自白調書に関して憲法三四条、三八条二項違反をいう点は、記録を調べても、被告人の弁護人依頼権が侵害されたと認めるべき証拠はなく、所論自白調書の任意性を疑わせる証跡はないから、所論は前提を欠き、その余は、単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、いずれも適法な上告理由に当たらない。 また、記録を精査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(本件は、不動産業を営む被告人が、資金繰りに窮したことから、負債の返済資金を得る目的で、昭和五七年三月二一日、同業者のAを金属バットで殴打した上、麻縄で絞殺して額面三〇〇〇万円の小切手一通を強取し、翌日、その死体を雑木林中に埋めて遺棄し、同月二五日、更に金員を取得し併せてA殺害の犯行の隠ぺいを図る目的で、Aの従業員Bを前記金属バットで撲殺して現金二一〇〇万円を強取し、その死体を分譲用別荘敷地内に埋めて遺棄したという事案である。いずれも罪質は極めて悪質で、動機に酌量の余地はなく、結果は重大であり、架空の商談や巧みなつくり話で被害者らを誘い出し、あらかじめ凶器として金属バットを準備携行するなど計画的犯行であって、犯行の態様も冷酷かつ残虐である。以上の諸事情に加え、遺族の被害感情、社会に与えた影響等に照らすと、被告人が反省しているこ い出し、あらかじめ凶器として金属バットを準備携行するなど計画的犯行であって、犯行の態様も冷酷かつ残虐である。以上の諸事情に加え、遺族の被害感情、社会に与えた影響等に照らすと、被告人が反省していること、被- 1 -告人にはさしたる前科がないことなど、被告人のためにしんしゃくすべき事情を十分考慮しても、被告人の罪責は誠に重く、原判決が維持した第一審判決の死刑の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。 よって、同法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 検察官堀内國宏公判出席平成八年一〇月二五日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官福田博裁判官大西勝也裁判官根岸重治裁判官河合伸一- 2 -
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