【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人竹下重人の上告理由第二の二について 所得税法によれば、居住者に対
主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人らの負担とする。 理 由 上告代理人竹下重人の上告理由第二の二について 所得税法によれば、居住者に対して課される所得税の額(以下「算出所得税額」 という。)は、一暦年間におけるすべての所得の金額を総合して課税総所得金額等 を計算した上、これに所定の税率等を適用して算出するものとされ(第二編第一章 ないし第三章)、同法一二〇条一項の規定により確定申告をする居住者は、総所得 金額若しくは退職所得金額又は純損失の金額の計算の基礎となった各種所得につき 同項五号の「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」(以下「源泉徴収税額」 という。)がある場合には、これを算出所得税額から控除して納付すべき所得税の 額を計算し、その結果納付すべき税額があるときは、これを国に納付しなければな らないものとされ(同号、一二八条)、また、右の計算上控除しきれなかった金額 があるときは、その金額に相当する所得税の還付を受けることができるものとされ ている(一二〇条一項六号、一三八条)。 右の一二〇条一項五号にいう「源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額」と は、所得税法の源泉徴収の規定(第四編)に基づき正当に徴収をされた又はされる べき所得税の額を意味するものであり、給与その他の所得についてその支払者がし た所得税の源泉徴収に誤りがある場合に、その受給者が、右確定申告の手続におい て、支払者が誤って徴収した金額を算出所得税額から控除し又は右誤徴収額の全部 若しくは一部の還付を受けることはできないものと解するのが相当である。けだし、 所得税法上、源泉徴収による所得税(以下「源泉所得税」という。)について徴収・ 納付の義務を負う者は源泉徴収の対象となるべき所得の支払者とされ、原判示のと - 1 - おり するのが相当である。けだし、 所得税法上、源泉徴収による所得税(以下「源泉所得税」という。)について徴収・ 納付の義務を負う者は源泉徴収の対象となるべき所得の支払者とされ、原判示のと - 1 - おり、その納税義務は、当該所得の受給者に係る申告所得税の納税義務とは別個の ものとして成立、確定し、これと並存するものであり、そして、源泉所得税の徴収・ 納付に不足がある場合には、不足分について、税務署長は源泉徴収義務者たる支払 者から徴収し(二二一条)、支払者は源泉納税義務者たる受給者に対して求償すべ きものとされており(二二二条)、また、源泉所得税の徴収・納付に誤りがある場 合には、支払者は国に対し当該誤納金の還付を請求することができ(国税通則法五 六条)、他方、受給者は、何ら特別の手続を経ることを要せず直ちに支払者に対し、 本来の債務の一部不履行を理由として、誤って徴収された金額の支払を直接に請求 することができるのである(最高裁昭和四三年(オ)第二五八号同四五年一二月二 四日第一小法廷判決・民集二四巻一三号二二四三頁参照)。このように、源泉所得 税と申告所得税との各租税債務の間には同一性がなく、源泉所得税の納税に関して は、国と法律関係を有するのは支払者のみで、受給者との間には直接の法律関係を 生じないものとされていることからすれば、前記源泉徴収税額の控除の規定は、申 告により納付すべき税額の計算に当たり、算出所得税額から右源泉徴収の規定に基 づき徴収すべきものとされている所得税の額を控除することとし、これにより源泉 徴収制度との調整を図る趣旨のものと解されるのであり、右税額の計算に当たり、 源泉所得税の徴収・納付における過不足の清算を行うことは、所得税法の予定する ところではない。のみならず、給与等の支払を受けるに当たり誤って源泉徴収をさ れた(給与等を不当に一部天引控除 計算に当たり、 源泉所得税の徴収・納付における過不足の清算を行うことは、所得税法の予定する ところではない。のみならず、給与等の支払を受けるに当たり誤って源泉徴収をさ れた(給与等を不当に一部天引控除された)受給者は、その不足分を即時かつ直接 に支払者に請求して追加支払を受ければ足りるのであるから、右のように解しても、 その者の権利救済上支障は生じないものといわなければならない。 右と同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法 はない。右違法があることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨 は、採用することができない。 - 2 - 同第二の一について 課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は、当該課税処分によって確定 された税額の適否であり、課税処分における税務署長の所得の源泉の認定等に誤り があっても、これにより確定された税額が総額において租税法規によって客観的に 定まっている税額を上回らなければ、当該課税処分は適法というべきである。 原審の適法に確定した事実関係の下において、上告人らの本件各収入が給与所 得でなく、一時所得又は退職所得であるとしても、本件各更正処分等に係る納付す べき税額は、右の場合の正当な納付すべき税額を下回るとした原審の判断は、正当 として是認することができる。そうすると、いずれにしても本件各更正処分等は違 法とはいえないのであって、本件各収入が給与所得であるかどうかについて判断す るまでもなく、上告人らの本件各請求は理由がない。原判決に所論の違法はなく、 論旨は採用することができない。 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、 裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 佐 藤 政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、 裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷 裁判長裁判官 佐 藤 庄 市 郎 裁判官 坂 上 壽 夫 裁判官 貞 家 克 己 裁判官 園 部 逸 夫 裁判官 可 部 恒 雄 - 3 -
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