昭和56(行ウ)37 処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和58年9月26日 名古屋地方裁判所 警察関係
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【DRY-RUN】○ 主文 一 被告が原告に対し、昭和五六年七月二一日にした原告の運転免許の効力を同日 から同年八月一九日まで三〇日間停止する旨の処分を取消す。 二 訴訟費用は被告の負担とする。 ○ 事実 第一 当事者

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○ 主文一被告が原告に対し、昭和五六年七月二一日にした原告の運転免許の効力を同日から同年八月一九日まで三〇日間停止する旨の処分を取消す。 二訴訟費用は被告の負担とする。 ○ 事実第一当事者の求める裁判一原告主文同旨二被告(本案前の答弁) 1 本件訴を却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 (本案に対する答弁) 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二当事者の主張一原告の請求原因 1 原告は、昭和五五年八月四日、愛知県公安委員会より、大型、普通、大型特殊、二輪(いずれも一種)一の各運転免許証の交付(更新)を受けたものであるところ、被告は原告に対し、昭和五六年七月二一日、原告の運転免許の効力を同日から同年八月一九日まで三〇日間停止する旨の処分(以下「本件処分」という。)をした。 2 本件処分は、原告が、昭和五六年二月一二日、その使用する従業員に対し積載量を超えて普通貨物自動車を運転するよう命じたこと(以下、自動車の使用者がその者の業務に関し当該自動車の運転者に対し積載量を超えて積載をして当該自動車を運転することを命じることを「積載下命行為」といい、原告の前記行為を「本件積載下命行為」という。)が道路交通法(以下「道交法」と略称する。)一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二、昭和三五年愛知県公安委員会規程第七号(愛知県警察における運転免許の取扱い等に関する規程)、同年愛知県公安委員会規則第六号(愛知県道路交通法施行細則)および同規則に基づき被告の定めた運転免許の効力の停止等の処分量定基準に該当することを理由としてされたものである。しかしながら、本件処分は、次の理由により違法である。 (一) 本件積載下命行為は、道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二に該当しない。 すなわち、 することを理由としてされたものである。しかしながら、本件処分は、次の理由により違法である。 (一) 本件積載下命行為は、道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二に該当しない。 すなわち、(1) 道交法一〇三条二項三号は、「免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき所定期間免許の効力を停止することができる。」旨規定しているところ、右規定およびそれを受けた同法施行令三八条一項二号二はいずれも、運転免許を受けた者自身が自動車および原動機付自転車(以下「自動車等」という。 )を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるときに運転免許の効力の停止処分を行なうことができる趣旨の規定であつて、運転免許を受けた者が他の者に自動車等を運転させることが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるときにも運転免許の効力の停止処分を行なうことができる趣旨で定められている規定ではなく、しかも 「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」(以下「危険性帯有」という。)か否かは、当該運転免許取得者の心身の状況、運転技術等について審査してはじめて判明するものであつて、一般的に積載下命行為を行なつた者が自動車等を運転する場合には、著しく道路における交通の危険を生じさせる蓋然性が高いということはいえない。 してみると仮に本件積載下命行為が著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとしてもそのことから直ちに原告が危険性帯有であるということはできないのみならず、原告は現在より約一八年位前に運転免許を取得し、その後毎日のごとく自動車の運転に従事してきたが、本件積載下命行為の日である昭和五六年二月一二日より以前においては積載下命行為の事実 きないのみならず、原告は現在より約一八年位前に運転免許を取得し、その後毎日のごとく自動車の運転に従事してきたが、本件積載下命行為の日である昭和五六年二月一二日より以前においては積載下命行為の事実はなく、しかも、最近一〇年の間に犯した法令違反は昭和五三年ころの踏切での一旦停止義務違反と昭和五六年六月三〇日の速度超過違反だけであり、右のいずれの違反も軽微な違反であることからすれば、原告が危険性帯有に該当するものではないことは明らかである。 従つて、原告は、道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二に該当せず、本件処分は違法なものである。 なお、昭和三五年愛知県公安委員会規程第七号、同年愛知県公安委員会規則第六号および被告の定めた運転免許の効力の停止等の処分量定基準は、当該運転免許取得者の心身の状況、運転技術等には何ら関係なく、積載下命行為という事実のみで処分の対象とするものであるから、右各規定は積載下命行為を行なつた者が道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二に該当するか否かの判断基準たり得るものではなく、本件処分が右各規定に依拠してされたからといつて原告が危険性帯有に該当することにはならない。 (二) 仮に、本件積載下命行為が道交法一〇三条二項三号に該当するとしても、道交法一〇三条二項三号は「免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」という極めて漠然としたあいまい不明確な規定であり、憲法三一条の趣旨から無効である。 従つて、道交法一〇三条二項三号を根拠とする本件処分は違法である。 なお、道交法一〇三条二項三号は、道交法七五条二項(自動車の使用制限処分)と同様「著しく」ということを要件としているが、「著しく」というからにはそれ相応の基準が要求されることは当然であり、道交 る。 なお、道交法一〇三条二項三号は、道交法七五条二項(自動車の使用制限処分)と同様「著しく」ということを要件としているが、「著しく」というからにはそれ相応の基準が要求されることは当然であり、道交法七五条二項については政令(道交法施行令二六条の六)でその基準を定めているのにもかかわらず、道交法一〇三条二項三号には、右基準となるべき政令の定めがなく、両者の対比からみても不明確な規定というべきである。 (三) 仮に本件積載下命行為が道交法一〇三条二項三号に該当するとしても、道交法一〇三条二項三号は、積載下命行為を行なつた使用者のうち、運転免許を取得している使用者のみに行政処分を加えるものであり、このことは運転免許を取得している使用者に対して、運転免許を取得していない使用者に比して理由のない不利益不平等を与えることとなるから、右規定は、憲法一四条(法の下の平等)に違反し無効であり、それに基づく本件処分は違法なものである。 (四) 仮に本件積載下命行為が道交法一〇三条二項三号の規定に該当するとしても、被告が本件処分をなしたことは裁量権を逸脱もしくは濫用したものである。 すなわち道交法一〇三条二項、同法施行令三八条一項一号イ、同項二号イによる、いわゆる点数制度による運転免許の取消、効力停止処分は、運転免許取得者の帯有する危険性を定型的画一的に評価したものであり、道交法一〇三条二項三号による点数制度によらない処分が運転免許取得者の危険性帯有を理由とする処分であるとすれば、右両制度は互いに均衡を保たなければならない。 そして、積載下命行為は、積載量を超えて自動車を運転すべきことの教唆にすぎないから、積載下命行為を行なつた者が仮に何らかの危険性を有するとしても、その危険性は、運転者本人の有する危険性と同様に評価されるにすぎない。 そうすると、積載量を超えて を運転すべきことの教唆にすぎないから、積載下命行為を行なつた者が仮に何らかの危険性を有するとしても、その危険性は、運転者本人の有する危険性と同様に評価されるにすぎない。 そうすると、積載量を超えて自動車を運転した場合、運転者本人には、積載重量制限を超過した積載の割合が制限積載重量の五割未満であれば一点、五割以上で二点であり、その違反のみでは運転免許の効力停止処分を科せられることはないのであるから、一回の積載下命行為のみで道交法一〇三条二項三号により運転免許の効力停止処分をすることは前記両制度の間の権衡を失するものである。 従つて、原告の本件積載下命行為のみを理由とする本件処分は、被告の裁量権の範囲を逸脱もしくは濫用する違法なものである。 (五) (1)原告は、被告から差出人を愛知県警察本部運転免許課とする出頭通知書を受け取つたが、右通知書には、原告に対し運転免許の停止処分の点数に達したので昭和五六年六月一六日に出頭し、講習を受講せよと記載されており、点数によらない運転免許の効力停止処分をする旨の通知はされていない。 しかるに、被告は、右通知書に基づき出頭した原告に対し、点数によらない本件処分をなした。 従つて、本件処分には手続上の瑕疵がある。 3 よつて、本件処分の取消を求める。 二被告の答弁(本案前の抗弁) 1 本件処分について、被告は原告に対し、昭和五六年七月二一日、原告が同日道交法一〇八条の二第一項二号に規定する講習を受講したことにより運転免許の効力停止期間を二九日間短縮し同日一日間とする旨の処分をしている。 従つて、本件処分の効果は右処分の日一日の期間の経過により消滅した。 2 ところで、行政事件訴訟法九条は、処分の取消によつて回復すべき法律上の利益がある場合に限つて例外的に訴の利益を認めている。 そして、右法条にいう「法律上の利益」 日一日の期間の経過により消滅した。 2 ところで、行政事件訴訟法九条は、処分の取消によつて回復すべき法律上の利益がある場合に限つて例外的に訴の利益を認めている。 そして、右法条にいう「法律上の利益」とは、本件処分のような制裁的処分の期間が経過し係争処分の効力がなくなつた場合にはその処分の取消を求める利益は原則として消滅し、ただ当該の処分歴が将来における処分の加重原因とされ、あるいは当該の処分歴によつて不利益に扱われる場合にのみ、右処分の取消を求める利益が存すると解するのが相当である。 3 本件処分は、後記のとおり本件積載下命行為を理由とする道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二に基づくものであり、積載下命行為は同法施行令別表第一において基礎点数が定められている違反行為ではないから、本件処分は点数制度によらない処分である。 そして、道交法施行令にいう違反行為とは、自動車等の運転に関し法令の規定またはこれに基づく処分に違反する行為であつて同施行令別表第一の一の表の上欄に掲げるもの(すなわち、基礎点数の定められているもの)をいう(同施行令三三条の二第一項一号)から、本件処分のように点数制度によらない処分として運転免許の効力停止処分を受けた者は、同施行令三三条の二第二項二号に掲げるもの(すなわち、同施行令別表第二備考第一号に該当するもの)に該らず、かつまた、同号に規定する処分とは違反行為を理由とする処分を指しているから、同施行令にいう違反行為に該当しない事由に基づく処分を受けたことは、同施行令三三条の二第二項二号に規定する処分を受けたこととはならない。 従つて、点数制度によらない運転免許の効力停止処分は同施行令別表第二備考にいう「前歴」には該当しない。 4 そうすると、点数制度によらない処分を受けた者は、右処分が他の処分の加重原因とさ ならない。 従つて、点数制度によらない運転免許の効力停止処分は同施行令別表第二備考にいう「前歴」には該当しない。 4 そうすると、点数制度によらない処分を受けた者は、右処分が他の処分の加重原因とされ、あるいは右処分を理由として不利益に扱われたりすることはないのであるから、右処分が期間の経過によりその効力を失つたのちは、その取消を求める法律上の利益を有しないというべきである。 本件処分は、前記1項のとおり昭和五六年七月二一日の経過によりその効力を失つているから、原告は、もはや本件処分の取消によつて回復すべき法律上の利益を有せず、本件処分の取消を求める訴は不適法である。 (本案に対する答弁) 1 請求原因1の事実は認める。 2 同2のうち冒頭部分は認める。2の(一)ないし(四)はすべて争う。なお、原告が昭和五六年六月三〇日、速度超過違反をしたことは認める。 三被告の主張 1 原告は、愛知県豊橋市<地名略>において(広)中川商店なる商号を用いて、青果業および包装資材販売業を営み、右(広)中川商店の店主として四トン積普通貨物自動車一台(三河一一に五六九五号―以下「原告自動車」という。)ほか六台の自動車を自己のために運行の用に供していた。 2 原告は、昭和五六年二月一二日午後二時三〇分頃、南部青果集出荷場(愛知県豊橋市<地名略>所在)において、前記(広)中川商店の従業員であるAに、原告自動車の最大積載量(四二五〇キログラム)に積載物の重量が超過していることを十分認識しながら、原告自動車に合計重量七〇三五キログラムの青果物の積載を命じ、かつ、原告自動車を運転し京都市内の中芳青果市場ほか一か所に配達するよう指示した(本件積載下命行為)。 3 道交法一〇三条二項三号および同法施行令三八条一項二号二にいう「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある 京都市内の中芳青果市場ほか一か所に配達するよう指示した(本件積載下命行為)。 3 道交法一〇三条二項三号および同法施行令三八条一項二号二にいう「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」もの(危険性帯有)とは原告主張のとおり、免許を受けた者自身が自動車等を運転することが著しく道路における危険を生じさせるおそれがあるものと解すべきところ、被告の本件積載下命行為は、危険性帯有に該当する。 すなわち、自動車の使用者は、自動車の運転者に道交法およびこれに基づく命令に規定する安全な運転に関する事項を遵守させる義務がある(道交法七四条一項)にもかかわらず、逆にその地位を利用して、通常被用者その他弱い立場にあるため使用者の指示に従わざるを得ない自動車の運転者に対し、積載量を超えて自動車を運転すること(右は、道交法五七条一項によつて禁止されており、かつ、道交法施行令にいう違反行為に該当する。)その他の違反行為をすることを命じることは、その法秩序無視の心理的傾向を示す外形的事実(徴表)の一つに該るから、当該使用者が自ら自動車等を運転する際においても法令違反行為をする蓋然性が著しく高いことは社会通念上十分推認できるのである。 4 被告は、前項の理由から、道交法一〇三条二項三号および同法施行令三八条一項二号二に基づき、原告に対して行政処分することとし、処分量定については、昭和三五年度愛知県公安委員会規程第七号、同年愛知県公安委員会規則第六号および同規則に基づき被告の定めた運転免許の効力の停止等の処分量定基準により運転免許の効力の停止期間を三〇日間と処分量定した。 5 本件処分には、以下に述べるとおり何らの違法性もない。 (一) 本件積載下命行為についで道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二を適用した点について(1) 本件処分は、前記の 定した。 5 本件処分には、以下に述べるとおり何らの違法性もない。 (一) 本件積載下命行為についで道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二を適用した点について(1) 本件処分は、前記のとおり、原告が運転に関し心理的適性を欠くため原告自身による自動車等の運転が交通事故その他道路における交通の危険を生じさせるおそれが多分にあるとしてされたものである。 なお、道交法七五条二項に基づく処分は、当該違反に係る自動車のみを対象とする行政処分(いわゆる対物処分)であつて当該使用者の受けた運転免許の効力を停止するなどという対人処分は、右規定の全く予定していないところである。 (2) 昭和三五年愛知県公安委員会規程第七号、同年愛知県公安委員会規則第六号および被告の定めた運転免許の効力の停止等の処分量定基準が危険性帯有を認定すべき違反行為として具体的に掲げているものは、積載下命行為などいかなる観点からみても運転に関し心理的適性を欠くことを顕著に示しているものばかりであるから、右各規定は、道交法および道交法施行令に違反するものではない。 (二) 憲法三一条について(1) 憲法三一条にいう適正手続の保障のなかには罪刑法定主義の保障が含まれていることが明らかであるが、右適正手続の保障が刑罰法規ではない道交法一〇三条二項三号に及ぶものとしなければならないか否かは、大いに疑問である。 (2) 右を積極に解するとしても、道交法一〇三条二項三号はあいまい不明確なものではない。 すなわち、刑罰法規の明確性については、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的な場合に当該行為が刑罰法規の適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである旨解されているところ、道交法一〇三条二項三号にいう「著しく道路にお 合に当該行為が刑罰法規の適用を受けるものかどうかの判断を可能ならしめるような基準が読みとれるかどうかによつてこれを決定すべきである旨解されているところ、道交法一〇三条二項三号にいう「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」を、交通事故その他道路における交通の危険を生じさせるおそれが多分にあることと解釈した場合に、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に、当該運転免許を受けた者の法秩序無視の心理的傾向、ならびにその者の行為(右行為が加担行為である場合には、右行為自体のほか加担された者が実行した行為)の内容、その違法性、危険性およびその者の行為またはその者が加担した他人が実行した行為が刑事(反則)事件として成立したかどうか、また処罰の有無とその種類、程度等、これらの行為に対する刑事(反則)事件における評価などを総合することにより、その者が運転に関する心理的適性を欠くものとして右法条の適用を受けるものかどうかを判断することは十分可能であるから、道交法一〇三条二項三号は憲法三一条に違反するような不明確性を有するものではない。 (3) 更に、道交法一〇三条二項三号にいう「著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」という概念の外延に若干不明確な点が存するとしても、右規定は、これを本件に適用する限り不明確な部分はないから憲法三一条に違反しない。 すなわち、積載下命行為は、前記のとおり当該使用者の法秩序無視の心理的傾向を示すものであり、右使用者自身が自動車等を運転する場合には交通事故その他道路における交通の危険を生じさせる蓋然性が高いことは、何ら疑念を挾む余地がない程明白である。 ところで、当該事案において問題とされている行為が当該規定の適用を受けることが明白な典型的事態に関する場合には当該規定の外延の を生じさせる蓋然性が高いことは、何ら疑念を挾む余地がない程明白である。 ところで、当該事案において問題とされている行為が当該規定の適用を受けることが明白な典型的事態に関する場合には当該規定の外延の不明確性によつて何ら当該行為者は自己の権利を侵害されるわけではないから、当該事案の具体的事実関係に適用される限りにおいて明確性に欠けるところはなく、外延が不明確であるとしても憲法三一条に違反するものではない。 そうすると道交法一〇三条二項三号は、これを本件に適用する限り不明確な部分はないから憲法三一条に違反しない。 なお、道交法七五条二項の適用について道交法施行令二六条の六が定められているのは、使用者側の事情のいかんにより自動車の使用制限期間に差異があるからであり、道交法一〇三条二項三号に関する政令である道交法施行令三八条二項においては危険性帯有者側の事情のいかんによつて運転免許の効力の停止期間に差異を設けなかつたため、とくに右事情のいかんに触れる必要がないため道交法二六条の六のような定めがされなかつたのであるから、道交法七五条二項について政令にその適用基準の定めがあることを理由として道交法一〇三条二項三号の規定が具体性を欠くものとはいえないし、自動車の使用制限(道交法七五条二項)と、危険性帯有者に対する運転免許の効力停止処分とは、その立法趣旨を異にするのであるから、一概に処分の軽重を論じることはできないとしても、自動車の使用制限処分については公開による聴聞が必要とされている(道交法七五条二項)うえ、自動車の使用者が営業者である場合には、自動車の使用制限処分は事実上営業の一部停止処分と同一の効果があることに思いを至せば、仮に自動車の使用制限処分の要件が危険性帯有を理由とする運転免許の効力停止処分の要件より具体的であるとしても、そのことは敢て異 限処分は事実上営業の一部停止処分と同一の効果があることに思いを至せば、仮に自動車の使用制限処分の要件が危険性帯有を理由とする運転免許の効力停止処分の要件より具体的であるとしても、そのことは敢て異とするに足りないところである。 (三) 憲法一四条について憲法一四条一項にいう「法の下の平等」とは、絶対的な平等を意味するものではなく不合理な差別を禁止したものであるから、社会通念上合理的な根拠を有する差異は何ら憲法の右規定に違反するものではない。 そもそも、運転免許は、警察許可としての性質を有する処分であり、一般人が自由に自動車等の運転行為を行なうときは社会公共の安全を害するおそれがあることから、道交法六四条において一般的にこれを禁止し、特定の要件を備えている者に対して特にその禁止を解除して適法にその行為を行わせるものであり、また、運転免許の効力の停止は、将来における道路交通の危険を予防するという行政目的を達成するため、自動車等の運転についての一般的禁止を解除するという運転免許の効力を一時的に停止する行政処分である。 運転免許の効力の停止の性質は、右のとおりであるから、運転免許の効力の停止の対象とされるものは、運転免許を受けたものに限られるのであつて、運転免許を有しないために当初から自動車等を運転するおそれのない者を対象とする必要は全くないのみならず、これを対象とすることは不可能ですらある。 従つて、積載下命行為を行なつた使用者のうち運転免許を受けた者のみが、危険性帯有を理由とする運転免許の効力停止処分の対象とされることには社会通念上、合理的理由ないし合理的根拠があるから、右の差異は、何ら憲法一四条に違反するものではない。 (四) 運転者本人の受ける処分との比較の点について使用者が運転する場合も運転者が運転する場合も、運転上の義務は同じであるが 合理的根拠があるから、右の差異は、何ら憲法一四条に違反するものではない。 (四) 運転者本人の受ける処分との比較の点について使用者が運転する場合も運転者が運転する場合も、運転上の義務は同じであるが、使用者は、使用者として道交法上特別の義務を課せられており、かつ、右義務に違反した場合の影響が大きいうえに、積載下命行為を行なつた使用者が自ら自動車等を運転する際においても法令違反行為をなし、交通事故その他道路における交通の危険を生じさせる蓋然性が著しく高いことは前記のとおりであり、一方で運転者本人は、被用者という弱い立場にあるために使用者からの積載下命行為があつたときは事実上これに従わざるを得ないものであることを考慮すれば、使用者と運転者との処分内容に差異を設けること(運転者本人は原間として直ちに運転免許の効力停止処分を受けないのに対して、積載下命行為を行なつた使用者は直ちに運転免許の効力停止処分の対象とされること)には、十分合理性がある。 そのうえ、運転者本人が積載物重量制限超過運転の結果、重大な事故を起こした場合には、運転免許の取消処分を受けることもあり得るのであるから、使用者に対する処分が運転者に対する処分に比して、一概に重いということもできないし、違法行為の実行者が不問に付されるにもかかわらず、これを教唆・幇助した者のみが処罰されることすら、実定法上実例が存する程である(国家公務員法一一〇条一項一七号、地方公務員法六一条四号など)から、積載下命行為を行なつた使用者と積載物重量制限超過運転の実行者たる運転者本人の取り扱いに右程度の差異が存することは何ら異とするに足りない。 しかも、本件においては、原告の法秩序無視の心理的傾向は極めて顕著である。すなわち、(1) 原告は、積載下命行為が違法かつ危険であることを十分認識しながら、営業上の とは何ら異とするに足りない。 しかも、本件においては、原告の法秩序無視の心理的傾向は極めて顕著である。すなわち、(1) 原告は、積載下命行為が違法かつ危険であることを十分認識しながら、営業上の必要により常習的に右違法行為を従業員である運転者に下命してきた。 (2) 原告は、安全運転管理者を選任しなければならないにもかかわらず、これを怠つていたほか、その使用車両についての名義変更手続も怠つていた。 (3) 原告の使用する従業員が交通法規に違反した事実が極めて多い。 (4) 原告は、本件積載下命行為を行なうにあたり、Aが貨物を原告自動車に積載する現場にいて、右貨物の重量が制限積載重量を相当程度超過していることおよびAが高速道路を利用するため、事故が発生した場合には甚大な被害が生じることを十分知つていたのであるから、本件積載下命行為は、極めて悪質である。 (5) 原告は、本件積載下命行為について、昭和五六年五月二一日、豊橋簡易裁判所において略式命令にて罰金八〇〇〇内(道交法七五条一項六号、同法一一九条一項一二号)の刑事処分を受けたのにもかかわらず、本件処分の執行を担当する警察官(B部長)に対して、「何とか行政処分を免れる方法はないのか」と頻りに尋ねている。 (6) 原告は、本件処分執行の当日は自動車に乗つてこないようにと注意を受けていたにもかかわらず、これに従わず、処分者講習の終了後、当日午後一二時までは車両を運転しないようにと注意され、これを了解した旨の文書に署名捺印しているにもかかわらず、自動車を運転して帰宅しようとしている。 従つて、本件処分における処分量定は妥当であり、被告の有する裁量権の範囲を逸脱するものではない。 6 愛知県警察本部運転免許課は、昭和五六年六月一日、出頭日を同月一六日、出頭場所を交通安全豊川講習所(以下「豊川講習所」と る処分量定は妥当であり、被告の有する裁量権の範囲を逸脱するものではない。 6 愛知県警察本部運転免許課は、昭和五六年六月一日、出頭日を同月一六日、出頭場所を交通安全豊川講習所(以下「豊川講習所」という。)とする出頭通知書を原告に送付した。 右出頭通知書には「運転免許の停止処分の点数に達しましたので」と記載されていたが、被告は、以下に述べるとおり原告に対し本件処分が点数制度による処分ではないことを十分に説明しているから、本件処分の手続に瑕疵はない。 なお、点数制度によらない処分については、従来から不動文字で印刷された出頭通知書を作成しないで点数制度による出頭通知書のうち「運転免許の停止処分の点数に達しましたので」とある部分を「運転免許の停止処分に該当しますので」と訂正して使用していたところ、たまたま原告に対する出頭通知書については右関係部分の訂正を忘れたままの状態で送付してしまつたものである。 (一) 昭和五六年六月一一日午前一〇時頃、愛知県警察本部運転免許課分室に原告から電話で問い合わせがあつたので、巡査部長Cは、本件処分は同年二月一二日の本件積載下命行為によるものであつて、前記出頭通知書は点数制度による免許停止処分のための出頭通知ではない旨の回答をした。 (二) 同年六月三〇日、巡査部長Bは、豊川講習所に原告が出頭し(出頭日は、数回変更された。)、本件処分について説明を求めたので、「本件の処分は、点数制度によらないものである。」と述べたうえでその処分理由を説明した。 (三) 同年七月二一日、B部長は、運転免許停止処分通知書記載の処分理由である本件積載下命行為について説明して本件処分を執行した。 三被告の答弁に対する原告の認否・反論(本案前の抗弁に対し) 1 原告は、本件処分による運転免許の効力停止期間中である昭和五六年七月二一日にした 件積載下命行為について説明して本件処分を執行した。 三被告の答弁に対する原告の認否・反論(本案前の抗弁に対し) 1 原告は、本件処分による運転免許の効力停止期間中である昭和五六年七月二一日にした自動車の運転について、無免許運転を理由として点数加算され、被告から運転免許停止の点数に達したとの通知を受け、昭和五六年九月三〇日、聴聞会が開かれた。そして、その際、被告の担当者から運転免許停止処分を右当日にも是非したいと言われたが、原告は本件処分は違法であつて、右七月二一日の運転は無免許運転に当らないから、本件訴訟の終了するまで運転免許停止処分を留保してくれるよう強く依頼したので、運転免許停止処分がなされていないにすぎない。 2 従つて、原告は、本件訴訟において本件処分が取消されなければ運転免許停止処分を科せられることは確実であるから、本件処分の取消を求めるについて法律上の利益を有する。 (本案についての認否) 1 被告の主張1の事実は認める。 2 同2の事実のうち、原告が原告自動車の積載物の重量がその最大積載量を超過していることを十分認識していたことは否認し、その余は認める。 3 同3は争う。 4 同4の事実は認める。 5 同5のうち(四)(1)、(3)は否認し、(5)は認める。その余は争う。 6 同6の冒頭部分のうち、被告主張の出頭通知書が送付されたこと、右出頭通知書には被告主張のとおりの記載があつたことは認めるが、被告主張のとおりの説明がされたことは否認する。その余は知らない。(一)のうち原告が被告主張の架電をしたことは認めるが、その余は否認する。(二)、(三)の事実は認めるが、法律に無知な原告がわずかな時間の説明で本件処分の理由を納得できるはずがない。 四原告の反論に対する被告の認否、再反論(本案前の抗弁に対する原告の反論について) 11 の 、(三)の事実は認めるが、法律に無知な原告がわずかな時間の説明で本件処分の理由を納得できるはずがない。 四原告の反論に対する被告の認否、再反論(本案前の抗弁に対する原告の反論について) 11 のうち第一文の事実は認め、2は争う。 2 原告が本件処分による運転免許の効力停止期間中にした自動車の運転について新たに、無免許運転を理由とする運転免許の効力停止処分を受けるという不利益を受けるおそれがあるとしても、右不利益は、将来の発生にかかり、しかもその発生の蓋然性が事実上は極めて高い場合であつても、法律上は、現実にその発生をみるまでの間は未だ不確定の域を出ない。 3 そして、右のような将来受けるかも知れない不利益処分をあらかじめ防止するための行政訴訟は、事前の救済を認めないことを著しく不相当とする特段の事情がある場合に限り許容されると解すべきであるところ、右不利益は、原告が運転免許の効力停止期間中に自動車の運転をしたという別個の事実に由来するものであつて、本件処分により当然かつ直接的に招来されるものではないから右不利益の存することをもつて右特段の事情ということはできない。 4 仮に本件処分が違法であるとしても、原告がこれによつて被る不利益として主張しているところ(二次処分を受けること)は、本件処分の取消をまつまでもなく、原告が現実に二次処分を受けた場合において、二次処分の効力を争う訴訟によつて救済を受けることが可能であるから、原告が二次処分を受けたときにその取消を求めて提起する訴訟において、その請求原因として本件処分の違法性を主張すれば足りるのであり、右の訴訟のほかに本件処分力取消について訴の利益を認める必要はない。 なお、仮にこれを反対に解した場合には、本件処分に重大かつ明白な瑕疵があるため当然無効とされるときでも、行政事件訴訟法三六条により 右の訴訟のほかに本件処分力取消について訴の利益を認める必要はない。 なお、仮にこれを反対に解した場合には、本件処分に重大かつ明白な瑕疵があるため当然無効とされるときでも、行政事件訴訟法三六条により本件処分の期間経過後は、二次処分の効力を争う訴のみが許され本件処分に対する無効確認の訴が許されないのに対し、本件処分に無効原因とならない程度の瑕疵が存するに留まるときは、かえつて二次処分の効力を争う訴のほか本件処分の取消を求める訴が許容されるという奇妙な結論に達することとなる。 第三証拠関係(省略)○ 理由一被告は、本案前の抗弁として、本件処分の効果は昭和五七年七月二一日の経過により消滅しており、かつ原告には本件処分の効果が消滅したのちになお本件処分の取消を求める法律上の利益は存しない旨主張するので、まずその点について判断する。 1 被告が原告に対1し、昭和五六年七月二一日、原告の運転免許の効力を同日から同年八月一九日まで三〇日間停止する旨の処分(本件処分)をしたことは当事者間に争いがなく、成立について争いのない乙第二号証(本件においては、書証の成立はすべて当事者間に争いがないから、以下書証は証拠番号のみを掲記する。)、第一一号証および証人Bの証言によれば、被告が原告に対し、昭和五六年七月二一日、原告が道交法一〇八条の二第一項二号に規定する講習を受講したことにより運転免許の効力停止期間を二九日間短縮し同日一日間とする旨の処分をしたことが認められる(右認定に反する証拠はない。)。 従つて、本件処分による原告の運転免許の効力停止は、右処分の日である昭和五六年七月二一日の経過をもつてその期間が満了したものであることは明らかである。 そして、行政事件訴訟法九条は、処分の取消の訴は当該処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者(処分の効果が期間 和五六年七月二一日の経過をもつてその期間が満了したものであることは明らかである。 そして、行政事件訴訟法九条は、処分の取消の訴は当該処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者(処分の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分の取消によつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り提起することができる旨定めているから、原告が本件処分の効果が消滅したのちになお本件処分の取消によつて回復すべき法律上の利益を有する者でなければ、本件処分の取消の訴を提起することができないことは、被告主張のとおりである。 2 そこで、原告が右法律上の利益を有するかについて検討する。 (一) 原告が、本件処分により運転免許の効力停止期間中である昭和五六年七月二一日にした自動車の運転について無免許運転を理由として点数加算され、被告から運転免許停止の点数に達したとの通知を受け、昭和五六年九月三〇日、聴聞会が開かれたことは当事者間に争いがない。 従つて、本件処分が取消されない限り、原告は違反行為に係る累積点数が道交法施行令の別表第二第一欄の前歴のない者の少なくとも第五欄に該当することとなり(原告が、右「無免許運転」をした日から起算して過去三年内である昭和五六年六月三〇日に速度超過違反を行なつていることは当事者間に争いがなく、かつ、乙第一〇号証の二によれば、原告が右「無免許運転」をした日から起算して過去三年内に道交法施行令別表第二備考一号、同法施行令三三条の二第二項二号による違反行為をしたことを理由とする処分を受けたことがないことを認めることができる。)、道交法一〇三条二項二号、同法施行令三八条一項二号に該当する結果となる。 (二) 被告は、原告が道交法一〇三条二項二号、同法施行令三八条一項二号により運転免許の効力停止の処分を受けるか否かは、 。)、道交法一〇三条二項二号、同法施行令三八条一項二号に該当する結果となる。 (二) 被告は、原告が道交法一〇三条二項二号、同法施行令三八条一項二号により運転免許の効力停止の処分を受けるか否かは、将来の発生にかかり、かつ、本件処分により当然かつ直接的に招来されるものではない旨主張する。 なるほど、道交法一〇一二条二項二号による運転免許の効力の停止処分は、公安委員会(愛知県においては、運転免許の効力の停止に関する事務は道交法一一四条の二第一項、愛知県公安委員会規則第六号(愛知県道路交通法施行細則)一五条の二第二号によつて愛知県公安委員会から被告に委任されている。)に運転免許の効力を停止するか否かについて裁量権を認めているから、原告の違反行為に係る累積点数が前記のとおり道交法施行令の別表第二第一欄の前歴のない者の第五欄に該当するに至つたとしても、原告が右を理由として運転免許の効力停止処分を受けること(原告が、いまだ右を理由とする運転免許の効力停止処分を受けていないことは、弁論の全趣旨によりこれを認める。)は、本件処分および原告の前記「無免許運転」の事実により、法律上当然に招来されるものではない。 しかしながら、原告が、法律上当然に運転免許の効力停止処分を受けるものでないとしても、前記「無免許運転」の事実により道交法施行令別表第一の定める基礎点数を付せられること自体で原告に本件処分の取消により回復すべき法律上の利益があるというべきである。すなわち、運転免許の効力停止期間中における自動車の運転は、道交法施行令別表第一に掲げる基礎点数の付される違反行為であつて、道交法一〇三条二項二号、同法施行令三八条一項一号イ、同二項一号イは、一定期間内に付された違反行為に係る基礎点数を合計した点数(累積点数)の多少によりこれを道交法施行令別表第二の第二欄ないし つて、道交法一〇三条二項二号、同法施行令三八条一項一号イ、同二項一号イは、一定期間内に付された違反行為に係る基礎点数を合計した点数(累積点数)の多少によりこれを道交法施行令別表第二の第二欄ないし第五欄の区分を基準として運転免許の取消あるいは効力停止の処分の理由とするものであり、かつ、違反行為について基礎点数を付するか否かについて、公安委員会(被告)に裁量の余地はないと解される。 そうすると、本件処分を取消さない限り、前記「無免許運転」に係る基礎点数(一二点)が、右「無免許運転」をした日から三年を経過するまでは、原告の累積点数に右「無免許運転」による基礎点数が加算される状態が継続することとなるのであつて、右は原告に対する将来の処分の理由となり、かつ、道交法施行令別表第二の第二欄ないし第五欄のいずれの区分に該当するかについて法令上当然に影響を与えるのであるから、原告は、本件処分の取消を求めるについて法律上の利益を有するというべきである。 (三) なお、被告は、将来処分を受けたときに、当該処分の取消を求め、本件処分の違法を主張することができるから、本件処分の取消を求めることはできない旨主張するので付言するに、仮に将来処分を受けたときに、当該処分の取消を求める訴の理由として本件処分の違法を主張することができるとしても(本件処分と将来の処分とは一連の手続ということはできないから、将来の処分の効力を争う訴訟において本件処分の違法をその取消事由として主張することはできないと解する余地もある。)、将来、本件処分の違法を主張することができ、法律上の不利益を回復することができる可能性が残されていることの一事をもつて、現在既に提起されている本件訴について法律上の利益を否定すべき筋合のものではないから、被告の主張は失当である。 4 従つて、原告には本件処分の することができる可能性が残されていることの一事をもつて、現在既に提起されている本件訴について法律上の利益を否定すべき筋合のものではないから、被告の主張は失当である。 4 従つて、原告には本件処分の取消を求める法律上の利益があるので、以下、進んで本案について判断する。 二 1本件処分が、昭和五六年二月一二日、原告がその使用する従業員に対し積載量を超えて普通貨物自動車を運転するよう命じたこと(本件積載下命行為)をその理由として道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二、昭和三五年愛知県公安委員会規定第七号(愛知県警察における運転免許の取扱い等に関する規程)、同年愛知県公安委員会規則六号(愛知県道路交通法施行細則)および同規則に基づき被告の定めた運転免許の効力の停止等の処分量定基準によりされたものであることは当事者間に争いがない。 そこで、本件積載下命行為を行なつたことから、原告が道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号二にいう「著しく道路における交通の危険性を生じさせるおそれがある」もの(危険性帯有)に該当するということができるか否かについて検討する(なお、被告は、被告の主張5(四)において本件積載下命行為以外にも原告を右危険性帯有と判断した理由が存する趣旨と解されないではない主張をし、証人Dもその旨供述しているが、本件全証拠によつても、本件処分当時、本件処分をするにあたつて、本件積載下命行為以外の事由を判断資料とした形跡は何らこれを窺うことはできない。)。 2 道交法一〇三条二項は、免許を受けた者が同項各号に定めた事由のうち、いずれかに該当することとなつたときは、政令で定める基準に従い、公安委員会は、その者の免許を取り消し、又は免許の効力を停止することができる旨定めているところ、同項各号の定めは(一) 身体の障害で自動車 れかに該当することとなつたときは、政令で定める基準に従い、公安委員会は、その者の免許を取り消し、又は免許の効力を停止することができる旨定めているところ、同項各号の定めは(一) 身体の障害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じたとき(一号)(二) 自動車等の運転に関し道交法もしくは道交法に基づく命令の規定又は道交法の規定に基づく処分に違反したとき(二号)(三) 右一、二号のほか免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき(三号)であり、右道交法一〇三条二項を承けた道交法施行令三八条一項二号は、免許の効力停止の基準として(一) 違反行為に係る累積点数が道交法施行令別表第二の第一欄に掲げる区分に応じてそれぞれ同表の第五欄に掲げる点数に該当したとき(イ―いわゆる点数制度による免許の効力の停止)(二) 運転免許の取消基準(道交法施行令三八条一項一号ロ)に至らない程度の身体の障害で自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのあるものが生じたとき(ロ)(三) 自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認められる病気にかかつたとき(ハ)(四) 右イからハに掲げる場合のほか、その者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき(ニ)を定める。 以上の道交法一〇三条二項および道交法施行令三八条一項二号の規定の各文言に照らすと、道交法一〇三条二項三号においては運転免許者自身には、身体障害や法令違反の事実はないが、その者が運転に関する心理的適性を欠くために交通事故その他道路における交通の危険を生ヒさせるおそれが多分にある場合を含めて免許の取消もしくは効力停止処分の対象としているものと解するのが相当であり、しかも右処分をす する心理的適性を欠くために交通事故その他道路における交通の危険を生ヒさせるおそれが多分にある場合を含めて免許の取消もしくは効力停止処分の対象としているものと解するのが相当であり、しかも右処分をするについては運転免許者の右心理的適性の欠除を示す外形的事由と運転免許者自身の運転の危険性との間には一般的に高度の蓋然性が存在することが必要だと解するのが相当である。 かかる前提に立つて本件を見るに、被告が本件処分をなしたのは、原告が本件積載下命行為をしたためであることは前記のとおりであり、原告のなした右積載下命行為が原告の運転免許者としての心理的適性の欠除を示す外形的事由であることも多言を要しないところであるから、結局被告のなした本件処分が正当であるためには、右外形的事由のほか原告が運転免許者として自ら自動車等を運転する場合に交通事故または道路における交通の危険を生じさせるおそれが多分にあることが証明されることが必要なところ、右外形的事由が存在することが、直ちに右下命者自身の運転の危険性帯有に結びつくとする経験則は一般に存在するとまではいいがたいうえ、本件全証拠を検討するもこれを認めるに足りる証拠は存しない。 けだし、使用者の積載下命行為は、使用者の法秩序無視の心理的傾向を示すものであるから、積載下命行為を命じた使用者が積載下命行為を命じたことのない使用者に比して、法秩序無視の心理的傾向が強いことは否定すべくもないが、積載下命行為における反規範性と使用者が自ら自動車を運転する場合の運転の具体的危険性とは同一次元において比較考慮することのできないものであることに照らすと、使用者が被用者に積載下命行為をなしたからといつて、その一事によつてその使用者自ら自動車を運転する場合に交通の危険を発生させるおそれが多分にあるものとは推認できないからである。 そ ことに照らすと、使用者が被用者に積載下命行為をなしたからといつて、その一事によつてその使用者自ら自動車を運転する場合に交通の危険を発生させるおそれが多分にあるものとは推認できないからである。 そして、このことは、原告本人の事情を考慮しても窺われるところである。すなわち、乙第一〇号証の一ないし三、第一二号証の一八、一九、原告本人尋問の結果を総合すれば、原告は、昭和四六年ごろから、青果業と包装資材の販売を目的とする(広)中川商店の経営を個人で始め、本件処分時七台の自動車を使用していたこと、右営業開始後本件処分時までに原告の従業員が何回積載違反をなしたかを認めうる資料は本件には存しないが、少なくとも本件積載違反以外に昭和五五年四月二二日と同年七月一五日の二回にわたつて、その従業員であるAが積載違反をなしたこと、右積載違反のうち、原告が下命したのは証拠上は本件だけであること、原告は、昭和三九年ころ自動車の運転免許を取得し、以降毎日のごとく自動車の運転に従事してきたものの、交通法規に違反したのは、昭和五六年六月三〇日の速度違反(五キロ以上二〇キロ未満)一回だけであることが認められ、これに反する証拠はない。従つて、以上の事実によると、原告は本件積載下命行為をしたものの、その自動車の運転態度は普通もしくは良好なものといつてよい。してみると、少なくとも原告に関する限り、積載下命行為と自らの自動車の運転の危険性との間には高度の蓋然性が存在するものとはいえない。 以上によれば、本記積載下命行為をもつて原告の運転の危険性を推認することができることを前提とする被告の主張は、失当であり、これにそう証人Dの証言も採用し難い。 三次に、本件処分の適法性を判断するに当つて本件処分の理由となつた事由のほか、本件処分時に存在した事由をも判断資料とすることができるか否か 主張は、失当であり、これにそう証人Dの証言も採用し難い。 三次に、本件処分の適法性を判断するに当つて本件処分の理由となつた事由のほか、本件処分時に存在した事由をも判断資料とすることができるか否かについて検討するに、道交法一〇四条一項には「公安委員会は、一〇三条一項または二項の規定により免許を取り消し、または免許の効力を九〇日以上停止しようとするときは、公開による聴聞を行なわなければならない。この場合において、公安委員会は、当該処分に係る者に対し、処分をしようとする理由ならびに聴聞の期日および場所を期日の一週間前までに通知し、かつ聴聞の期日および場所を公示しなければならない。」旨規定されているものの、九〇日に満たない期間免許の効力を停止しようとする場合の手続については何ら規定が存しないことに照らすと、道交法は、免許を取消もしくは免許の効力を九〇日以上停止する場合には、処分事由の制限をもうけているものの、九〇日に満たない免許の効力の停止の場合には、処分事由の制限を加えない趣旨ともとれなくはない。 そこで、かかる前提に立つて被告の主張を検討するに、被告は、原告の運転者としての心理的適性の欠除を示す外形的事由として、被告の主張5(四)の(1)~(6)の事実を掲げるが、右事由中(1)の事実(すなわち原告が常習的に積載違反を下命してきたこと)を認めるに足りる証拠はなく、(2)の事実(すなわち道交法七四条の二第一項所定の安全運転管理者を選任せず、しかも使用車両について名義変更手続を怠つていたこと)は運転者の運転に関する心理的適性の欠除を示す外形的事実であるものの、そのことによつて直ちに原告が自動車を運転する場合に道路における交通の危険を発生させるおそれが多分にあると推認することはできず、さらに(3)の事実(すなわち、原告の従業員が交通法規によく違 るものの、そのことによつて直ちに原告が自動車を運転する場合に道路における交通の危険を発生させるおそれが多分にあると推認することはできず、さらに(3)の事実(すなわち、原告の従業員が交通法規によく違反すること)および(5)の事実(本件処分執行担当警察官に行政処分を免れる方法はないかと頻りに尋ねたこと)は原告の運転に関する心理的適性の欠除を窺わせるに足りる事実ではないことは明らかである。 次に、(4)の事実(すなわち本件積載下命行為の態様が極めて悪質であること)が仮に被告主張のとおりであるとしても、それは積載下命行為自体が悪質なのであつて、その具体的な態様が特別に悪質なものとも思料されず、しかも(6)の事実(すなわち本件処分の執行当日自動車を運転しないように注意されたのに自動車を運転したこと)中、本件処分前に自動車を運転したことは運転者としての心理的適性を欠く事由とも解されなくはないものの、右事実をもつて直ちに原告が自ら自動車を運転した場合に交通事故その他道路における交通の危険を生じさせるおそれが多分にあるとまで推認することができず、また(6)の事実中本件処分後に自動車を運転した事実は、本件処分後の事情であるから、本件処分の正当性を判断する資料としえないものと解するのが相当である。 従つて、以上によれば、被告が原告の運転者としての心理的適性を欠除する事由として掲げる事実は、そもそもそれ自体認められないか、または交通事故その他道路における交通の危険を発生させるおそれが多分にあることを推認させるに足りる事実でないか、あるいは本件処分の正当性を判断する資料としえない事実に帰するから、被告の前記主張は理由がない。 他に本件においては原告について、本件処分当時、道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号を適用すべき事由を認めることはできない。 料としえない事実に帰するから、被告の前記主張は理由がない。 他に本件においては原告について、本件処分当時、道交法一〇三条二項三号、同法施行令三八条一項二号を適用すべき事由を認めることはできない。 四以上の次第であるから、結局、被告の本件処分は理由なきに帰するから、その余の原告主張の違法事由を判断するまでもなく、被告の本件処分は違法であるから、これを取消すこととし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、行政事件訴訟法七条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官加藤義則澤田経夫綿引穣)

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