令和元年12月23日判決言渡令和元年(行ケ)第10074号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和元年11月25日判決 旧商号株式会社イマック原告株式会社レイマック 訴訟代理人弁護士伊原友己同並山恭子訴訟代理人弁理士楠本高義同藤河恒生同三雲悟志 被告シーシーエス株式会社 訴訟代理人弁理士西村竜平同齊藤真大同上村喜永同田中健一 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2018-800050号事件について令和元年5月8日にし た審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 被告は,平成20年7月30日,発明の名称を「光照射装置」とする発明について特許出願(特願2008-197040号。以下「本件出願」という。)をし,平成21年8月28日,特許権の設定登録(特許第4366431号。請求項の数3。以下,この特許を「本件特許」という。甲17の2)を受けた。 被告は,平成29年12月25日,本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び3を変更し,請求項2を削除する訂正を求める審判請求(訂正2017-390157号)をし,平成30年3月2 )を受けた。 被告は,平成29年12月25日,本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び3を変更し,請求項2を削除する訂正を求める審判請求(訂正2017-390157号)をし,平成30年3月20日付けで訂正を認める審決がされ,同審決は,同月29日に確定した。さらに,被告は,同月15日,本件特許の特許請求の範囲の訂正(以下「本件訂正」という。)を求める審判請求(訂正2018-390056号。甲15)をし,同年6月15日付けで訂正を認める審決(甲16)がされ,同審決は,同月25日に確定した(甲25)。 ⑵ 原告は,平成30年4月26日,本件特許について特許無効審判を請求(無効2018-800050号事件)した(甲17の1)。 特許庁は,令和元年5月8日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月18日,原告に送達された。 ⑶ 原告は,令和元年5月24日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 特許請求の範囲の記載本件訂正前後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び3の記載は,以下のとおりである(以下,本件訂正後の発明を,請求項の番号に応じて,「本件発 明1」,「本件発明3」という。甲16)。 ⑴ 本件訂正前【請求項1】複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えた,ライン状の光を照射する光照射装置であって,電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。 【請求項3】前記LEDが,表 るLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。 【請求項3】前記LEDが,表面実装型LEDである請求項1記載の光照射装置。 ⑵ 本件訂正後(訂正箇所に下線を引いた。)【請求項1】複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えた,ライン状の光を照射する光照射装置であって,電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし,複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。 【請求項3】前記LEDが,表面実装型LEDである請求項1記載の光照射装置。 3 本件審決の理由の要旨 (1) 本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。 その要旨は,①本件発明1は,原告製品「IDB-11/14R」と「IDB11/14W」(甲3)として本件出願前に公然実施をされた発明(以下「甲3発明」という。)及び周知技術(IDB-Lシリーズ(甲2,5),甲11)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由ア-1),②本件発明3は,甲3発明,上記①の周知技術及び周知・慣用技術(表面実装型LED(甲2,5))に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由ア-2),③本件発明1は,原告製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件出願前に公然実施をされた発明(以下「甲4発明」という。)及び上 きたものではない(無効理由ア-2),③本件発明1は,原告製品「IDB-C11/14R」と「IDB-C11/14B」(甲4)として本件出願前に公然実施をされた発明(以下「甲4発明」という。)及び上記①の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由イ-1),④本件発明3は,甲4発明,上記①の周知技術及び上記②の周知・慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由イ-2),⑤本件発明1は,原告製品「IDB-L600/20RS」と「IDB-L600/20WS」(甲5)として本件出願前に公然実施をされた発明(以下「甲5発明」という。)ではない(無効理由ウ-1),⑥本件発明1は,甲5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由ウ-2),⑦本件発明1は,甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由ウ-3),⑧本件発明3は,甲5発明ではない(無効理由ウ-4),⑨本件発明3は,甲5発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由ウ-5),⑩本件発明3は,甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない(無効理由ウ-6),⑪本件訂正は,実質上特許請求の範囲を変更するものではなく,訂正要件に適合するとして,原告の主張する無効理由はいずれも理由がないというものである。 (2) 本件審決が認定した甲3発明ないし甲5発明,本件発明1と甲3発明ないし甲5発明の一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア甲3発明複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と,前記プリント基板を収容するケースと,を備えたLEDDirectBarL し甲5発明の一致点及び相違点は,以下のとおりである。 ア甲3発明複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と,前記プリント基板を収容するケースと,を備えたLEDDirectBarLightであって,直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し,赤色LEDの場合には,LEDを6個直列に接続し,前記赤色LEDはGL3UR43であり,前記GL3UR43のTYP順電圧が1.85Vであり,白色LEDの場合には,LEDを3個直列に接続し,そのような直列回路を2本並列に接続し,前記白色LEDはNSPW310BS-CRまたはNSPW310BS-CSであり,前記NSPW310BSの標準順電圧が3.6Vであり,前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり,1枚の前記プリント基板を配置するLEDDirectBarLight。 イ甲4発明複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と,前記プリント基板を収容するケースと,を備えたダイレクトバー照明であって,直流電源の電源電圧(12V)とLEDを接続し,赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,前記赤色LEDはGL3UR43であり,前記GL3UR43のTYP順電圧が1.85Vであり,青色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回 路を2本並列に接続し,前記青色LEDはNSPB310A-WSまたはNSPB310A-WTであり,前記NSPB310Aの標準順電圧が3.6Vであり,前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり,1枚の前記プリント基板を配置するダイレクトバー照明。 ウ甲5発明複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と,前記プリント基板を収容するケースと,を備えたLED LEDの数は6個であり,1枚の前記プリント基板を配置するダイレクトバー照明。 ウ甲5発明複数の同一のLEDを搭載したプリント基板と,前記プリント基板を収容するケースと,を備えたLEDLinearArrayLight であって,電源電圧(12V)とLEDを接続し,赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,そのような直列回路を29本並列接続し,前記赤色LEDはLT1U40Aであり,前記LT1U40AのTYP順電圧が1.85Vであり,白色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を58本並列接続し,前記白色LEDはE1S30-AW0A7-03であり,前記E1S30-AW0A7-03のTyp.標準の直流順電圧が3. 2Vであり,1枚の前記プリント基板に搭載されるLEDの個数は174個であり,2枚の前記プリント基板を長手方向に2枚直列させてあるLEDLinearArrayLight。 エ本件発明1と甲3発明の一致点及び相違点(一致点1)複数の同一のLEDを搭載したLED基板と, 前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えたライン状の光を照射する光照射装置。 (相違点1)本件発明1は,「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし,複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」のに対して,甲3発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を2本並列に接続 ライン方向に沿って直列させてある」のに対して,甲3発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を2本並列に接続し,」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり,1枚の前記プリント基板を配置する」点。 オ本件発明1と甲4発明の一致点及び相違点(一致点2)複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えたライン状の光を照射する光照射装置。 (相違点2)本件発明1は,「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし,複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」のに対して,甲4発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,」「青色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を2本並列に接続し,」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であり,1枚の前記プ リント基板を配置する」点。 カ本件発明1と甲5発明の一致点及び相違点(一致点3)複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えたライン状の光を照射する光照射装置であって,複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。 (相違点3)本件発明1は,「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載さ 光照射装置。 (相違点3)本件発明1は,「電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし」たのに対して,甲5発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,そのような直列回路を29本並列接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を58本並列接続し,」「1枚の前記プリント基板に搭載されるLEDの個数は174個であ」る点。 第3 当事者の主張 1 取消事由1(訂正要件の判断の誤り)について⑴ 原告の主張本件審決は,本件訂正は,発明特定事項における直列的要素の削除若しくは択一的記載の要素の追加又は発明特定事項の上位概念への変更ではなく,発明のカテゴリーを変更するものでもないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものとはいえない旨判断した。 しかしながら,本件訂正による特許請求の範囲(請求項1)の訂正は,本件訂正前は1枚のLED基板についての発明であったものを,複数のLED 基板をライン状に直列させて所望の長手方向の長さの製品を得るという発明に変質させるものである。 したがって,本件訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであって,特許法126条6項に違反するものであるから,本件訂正は同項の規定に適合するものであるとした本件審決の判断は,誤りである。 ⑵ 被告の主張本件訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法126条6項の規定に適合するものであるから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事 被告の主張本件訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではなく,特許法126条6項の規定に適合するものであるから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(甲3を主引用例とする本件発明1の進歩性の判断の誤り)について⑴ 原告の主張本件審決は,当業者が相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到できたか否かに関し,①甲3には,「LED単位数」及び「LED単位数の最小公倍数」に基づき決定された「赤色LED」又は「白色LED」の搭載個数及び配線の接続関係とした「プリント基板」をライン方向に直列させたことは示されておらず,原告の出願である甲6(特開2009-59636号公報。公開日:平成21年3月19日)にも,「LED単位数」及び「LED単位数の最小公倍数」という技術的思想に基づき,LEDの個数や接続関係を設定したことの明示はなく,自明ということもできないことから,甲3発明は,上記技術的思想に基づいて,各LEDの個数や配線を決定したことが認識できるものではないこと,②甲2には,「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」ことが周知技術であることを示すに足る開示はないこと,③甲5において,1枚の基板に搭載されるLEDは174個であって,「前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし」てはいないこと, ④甲11には,「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」技術の開示はないことなどから,本件発明1は,甲3発明及び周知技術,あるいは,甲3発明及び甲2,甲5又は本件出願前に頒布された刊行物である甲11(特許第3481599号公報。発行日:平成15年12月 技術の開示はないことなどから,本件発明1は,甲3発明及び周知技術,あるいは,甲3発明及び甲2,甲5又は本件出願前に頒布された刊行物である甲11(特許第3481599号公報。発行日:平成15年12月22日)に係る技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない旨判断した。 アしかしながら,甲3発明における赤色LEDの場合の6個,白色LEDの場合の3個は,本件発明1の「LED単位数」に当たり,その「最小公倍数」が「6」であることは明らかである。甲6にも,従来技術として,電源電圧が12Vであり、LEDの順電圧が赤色LEDの場合は1.85V、白色LED等の場合は3.6Vであって、LEDの直列接続個数が赤色LEDの場合は6個、白色LED等の場合は3個である回路の構成,及び,かかる回路を基本ユニットとして複数の回路ユニットが並列的に接続される構成が開示されている(【0004】,【0005】,図6,7)。 なお,基本ユニットを1つのLED基板に複数並べるか,又は,基本ユニットをLED基板にして複数並べるかは,故障や品質あるいは作業効率を考えて,実施者が適宜決める事柄にすぎない。 そして,製品の長手方向の必要な長さを満たすために,所定の寸法の単位基板を長手方向に連設することは,極めてありきたりの技術であり,かかる技術は,甲2(21頁記載の「ラインセンサー照明/IDB-LIDB-L/H」の他の製品),甲5(イマック製ラインセンサー照明「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」)及び甲11(図11~13)に開示されている。 さらに,LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数とし,そのLED基板を長手方向に複数並べることも,周知の技術である(甲5,24) されている。 さらに,LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数とし,そのLED基板を長手方向に複数並べることも,周知の技術である(甲5,24)。 加えて,公倍数のうちのどの数字を単位として採用するかは,実施者の設計事項の範囲内の事柄である。 そうすると,当業者は,甲3発明及び上記周知技術(甲2,5,11)に基づき,相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができたものである。 イ以上のとおり,本件審決における相違点1の容易想到性の判断には誤りがある。 そうすると,本件発明1は,甲3発明及び前記アの周知技術(甲2,5,11)に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,これと異なる本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 被告の主張ア本件出願の願書に添付した明細書(以下,図面を含めて「本件明細書」という。甲17の2)に記載されたとおり,本件発明1は,LED基板の大きさを同じにするだけでなく,その大きさを可及的に小さくして,汎用性を向上させるものである(【0009】)。そして,LED基板の長さを可及的に短くしたことにより,LED基板を,多様な長さのライン光照射装置に共通に用いることのできる汎用性の高いものにするという,作用効果を奏するものである。 一方,原告も自認するとおり,本件出願当時,LED基板の設計においては,故障を防ぎ,品質を保持し,作業を効率化するために,LED基板間の配線及び半田付けを極力減らすようにするのが常であった(甲12,13)。 すなわち,本件出願当時の当該技術分野では,本件発明1のようにLED搭載個数を最小公倍数にしたLED基板を複数並べるという構成は,LED基板が小さく短くなって,上記の不具合が 2,13)。 すなわち,本件出願当時の当該技術分野では,本件発明1のようにLED搭載個数を最小公倍数にしたLED基板を複数並べるという構成は,LED基板が小さく短くなって,上記の不具合が発生するため,一考されることすらなく,例えば,甲5のように,LED搭載個数がより多くなる他 の公倍数とし,LED基板をできれば1枚にして,可及的に長くすることが行われていた。甲3にも,単純にLED数が3個と6個という構成のみが開示されているに過ぎず,LED搭載個数をLED単位数の最小公倍数とする目的及びその効果については,何らの開示も示唆もない。 そして,かかる技術常識からすると,仮に,甲5のように複数のLED基板を直列させる技術に接したとしても,甲3に示されるような最小の長さのLED基板を複数並べること(相違点1に係る本件発明1の構成とすること)は,故障や品質の低下,あるいは作業効率の低下を招きかねないため,当業者は想到できなかったものである。 イ以上のとおり,本件審決における相違点1の容易想到性の判断に誤りはないから,本件発明1は,甲3発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではないとした本件審決の判断に,誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。 3 取消事由3(甲4を主引用例とする本件発明1の進歩性の判断の誤り)について⑴ 原告の主張本件審決は,甲3を主引用例とする場合と同様に,本件発明1は,甲4発明及び周知技術に基づいて,あるいは,甲4発明に甲2若しくは甲4に係る技術的事項又は甲11に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない旨判断した。 しかしながら,前記2⑴と同様の理由により,当業者は,甲4発明及び前記2⑴の る技術的事項又は甲11に記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない旨判断した。 しかしながら,前記2⑴と同様の理由により,当業者は,甲4発明及び前記2⑴の周知技術(甲2,5,11)に基づき,相違点2に係る本件発明1の構成を容易に想到できたものであるから,本件審決における相違点2の容易想到性の判断には誤りがある。 そうすると,本件発明1は,甲4発明及び上記周知技術に基づき,当業者 が容易に発明をすることができたものであるから,これと異なる本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 被告の主張甲4発明は,甲3発明と同様の構成を有するものである。 そうすると,前記2⑵と同様の理由により,本件審決における相違点2の容易想到性の判断に誤りはないから,本件発明1は,甲4発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明をすることができたものではないとした本件審決の判断に,誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由3は理由がない。 4 取消事由4(甲5を主引用例とする本件発明1の新規性及び進歩性の判断の誤り)について⑴ 原告の主張本件審決は,①甲5発明の1枚の「プリント基板」に搭載されるLEDの個数は174(=6×29(赤色LED),=3×58(白色LED))であり,最小公倍数である6ではないため,本件発明1は,甲5発明であるとはいえない,②甲5発明は,174個という多数のLEDを1枚のプリント基板に搭載する構成を有するものであって,プリント基板の長さを可及的に短くするという技術思想を有するものではないから,甲5発明において,プリント基板に搭載するLEDの個数を,直列接続されている赤色LEDの個数「6」と直列接続されている青色LEDの個数「3」の最小公倍数である「6」個とすること るものではないから,甲5発明において,プリント基板に搭載するLEDの個数を,直列接続されている赤色LEDの個数「6」と直列接続されている青色LEDの個数「3」の最小公倍数である「6」個とすることは,当業者であっても容易になし得たものではない,③i)甲3発明及び甲4発明は,「LED単位数」,「LED単位数の最小公倍数」という技術的思想に基づいて,LEDの個数や接続関係を設定したものとはいえないこと,ii)甲3発明及び甲4発明は,複数のプリント基板ではなく,1枚のプリント基板にLEDを6個搭載し,それを収容するケースから構成されるLEDDirectBarLight として完成されたものであること,iii) 甲5発明は,1枚のプリント基板に174個という多数のLEDを搭載するものであるところ,甲3発明及び甲4発明は,1枚のプリント基板に6個のLEDを搭載したものであり,LEDの個数が大幅に異なることに鑑みると,甲3発明又は甲4発明に係る技術的事項を甲5発明に適用する動機付けがあるとはいえず,作用効果の予測性があるともいえないので,当該適用は,当業者であっても容易に想到できたものではない旨判断した。 アしかしながら,甲5発明は,LED単位数の公倍数が採用された製品であるところ,本件発明1は,その中の最小公倍数を特定するだけのものであるから,相違点3は実質的な相違点ではなく,本件発明1は新規性を欠く。 イ仮に,相違点3が実質的な相違点であるとしても,甲5発明の構成中の公倍数の中から最小公倍数を取り出すことに何らの創作性もないから,相違点3に係る本件発明1の構成は,当業者が甲5発明に基づき,あるいは,甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づき,容易に想到できたものである。 ウ以上のとおり,本件審決における,相違点3が ,相違点3に係る本件発明1の構成は,当業者が甲5発明に基づき,あるいは,甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づき,容易に想到できたものである。 ウ以上のとおり,本件審決における,相違点3が実質的な相違点であるとする判断及び相違点3の容易想到性の判断には誤りがある。 そうすると,本件発明1は,甲5発明と同一である,あるいは,甲5発明に基づき,又は甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,これと異なる本件審決の判断は誤りである。 ⑵ 被告の主張ア本件審決における相違点3の認定に誤りはなく,この相違点が甲5に開示されているに等しい事項であるともいえないから,本件発明1は新規性を欠くものではない。 イまた,前記2⑵のとおり,本件出願当時の技術常識に鑑みると,複数の LED基板を並べた構成において,LED搭載数を公倍数から最小公倍数とすることについて,何ら動機付けはなく,甲5発明から,あるいは,甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づき,相違点3に係る本件発明1の構成に容易に想到できたものではない。 ウ以上のとおり,本件審決における,相違点3が実施的な相違点であるとした判断及び相違点3の容易想到性の判断に誤りはないから,本件発明1は,甲5発明であるとはいえず,また,甲5発明から,あるいは甲5発明及び甲3発明ないし甲4発明に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものではないとした本件審決の判断に,誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由4は理由がない。 5 取消事由5(本件発明3の新規性及び進歩性の判断の誤り)について⑴ 原告の主張本件審決は,本件発明3は相違点1ないし相違点3に係る構成を有するもの の取消事由4は理由がない。 5 取消事由5(本件発明3の新規性及び進歩性の判断の誤り)について⑴ 原告の主張本件審決は,本件発明3は相違点1ないし相違点3に係る構成を有するものであるから,本件発明1と同様の理由により,甲5発明であるとはいえず,当業者が容易に発明をすることができたものでもない旨判断した。 しかしながら,前記2ないし4のとおり,本件審決のした本件発明1の新規性及び容易想到性の判断に誤りがある以上,本件審決の上記判断は,その前提を欠くものであって,誤りである。 ⑵ 被告の主張前記2ないし4のとおり,本件審決のした本件発明1の新規性及び容易想到性の判断に誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由5は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(訂正要件の判断の誤り)について⑴ 本件明細書の記載事項等についてア本件訂正前及び本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲(請求項1)の 記載は,前記第2の2のとおりである。 本件明細書(甲17の2)の発明の詳細な説明には,次のような記載がある(下記記載中に引用する「図1ないし3」については別紙1を参照)。 (ア) 【技術分野】【0001】本発明は,複数のLEDを用い,例えばライン状の光を照射することができる光照射装置に関し,特にワーク(製品)の所定照射領域における傷の有無やマーク読み取り等の検査用として好適に用いられるものに関するものである。 【背景技術】【0002】ライン光照明装置等の光照射装置は,特許文献1に示すように,複数のLEDを搭載した長尺状のLED基板と,このLED基板を収容する筐体と,を備えている。 【0003】この光照射装置において,LED基板に搭載されるLE 置は,特許文献1に示すように,複数のLEDを搭載した長尺状のLED基板と,このLED基板を収容する筐体と,を備えている。 【0003】この光照射装置において,LED基板に搭載されるLEDの個数は,電源電圧VEとLEDの順方向電圧Vfとの関係から,直列接続されるLEDの個数が制限される。 【0004】例えば,電源電圧VEが24Vの場合,赤色LEDの順方向電圧Vfが約2.2Vであり,LED基板に搭載される赤色LEDの個数は10個である。また,白色LEDの場合の順方向電圧Vfが約3.3Vであり,LED基板に搭載される白色LEDの個数は6個である。さらに,赤外LEDの順方向電圧Vfが約1.5Vであり,LED基板に搭載される赤外LEDの個数は15個である。 【0005】 しかしながら,上記のように,LED基板に搭載されるLEDの個数が異なることから,LED基板のサイズが異なり,LEDの種類毎に専用のLED基板を用意する必要がある。また,LED基板を収容する筐体もLEDの種類に応じて異なり,それぞれ用意する必要があるという問題がある。 (イ) 【発明が解決しようとする課題】【0006】そこで本発明は,上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり,種類の異なるLEDを用いた光照射装置において,LED基板の大きさを同一にして,部品の共通化により部品点数の削減,製造コストの削減を実現することをその主たる所期課題とするものである。 【課題を解決するための手段】【0007】すなわち本発明に係る光照射装置は,複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えた光照射装置であって,電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の 明に係る光照射装置は,複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体と,を備えた光照射装置であって,電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載するLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数としていることを特徴とする。 【0008】このようなものであれば,LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数として,順方向電圧の異なるLED同士でLED基板に搭載される個数を同一にすることができ,順方向電圧の異なるLEDが搭載されるLED基板同士の大きさを同じする(原文のまま)ことができる。また,順方向電圧の 異なるLEDを用いた光照射装置を製造する場合に,LED基板を収容する筐体として同一のものを用いることができる。このようなことから,光照射装置の製造において,LED基板及び筐体などの部品を共通化することができ,部品点数を削減することができるとともに,製造コストを削減することができる。 【0009】LED基板の大きさを同じにするだけでなく,その大きさを可及的に小さくして,汎用性を向上させるためには,前記LED基板に搭載するLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としていることが望ましい。 【発明の効果】【0011】このように本発明によれば,LED基板のサイズを同一にして,部品点数及び製造コストを削減できる。 (ウ) 【発明を実施するための最良の形態】【0012】次に,本発明に係る光照射装置1の一実施形態について図面を参照して説明する。… 一にして,部品点数及び製造コストを削減できる。 (ウ) 【発明を実施するための最良の形態】【0012】次に,本発明に係る光照射装置1の一実施形態について図面を参照して説明する。…【0014】本実施形態に係る光照射装置1は,例えば検査物(ワーク)の所定照射領域にライン状の光を照射するもので,撮像装置(図示しない)で前記所定照射領域を撮影し,得られた画像データを,画像処理装置(図示しない)で取り込んで傷等の有無の自動表面検査を行う製品検査システム等に用いられる。 【0015】具体的にこのものは,図1及び図2に示すように,LED基板2と, 筐体3と,伝熱部材4と,押圧部材5と,を備えている。 【0016】LED基板2は,図3に示すように,複数の同一のLED21を搭載した長尺状の基板である。具体的にLED基板2は,長尺状のプリント配線基板の表面に複数のLED21を光軸を略一定方向に揃えて長辺方向に直線状となるように,短辺方向に1列又は複数列(図においては3列)に機械実装したものである。LED21は,図示しない電圧制御回路により,図示しない電源からの電圧が制御されて供給されるものであり,例えば薄い矩形板状をなすパッケージ211の中央にLED素子212を配設した表面実装型(チップ型)のものである。かかるLED21は,例えば,前記LED素子212が,長辺方向及び短辺方向それぞれにおいて所定の間隔で並ぶように配置される。 【0017】筐体3は,図1及び図2に示すように,LED基板2を収容する基板収容空間を形成する収容凹部301を有するものである。具体的に筐体3は,長尺金属製で,長手方向(延伸方向)に直交する断面が概略コの字形状をなすものであり,左右側壁31,32及び底壁33によ する基板収容空間を形成する収容凹部301を有するものである。具体的に筐体3は,長尺金属製で,長手方向(延伸方向)に直交する断面が概略コの字形状をなすものであり,左右側壁31,32及び底壁33により収容凹部301が形成される。なお,本実施形態の収容凹部301は2つのLED基板2を長手方向に連続して収容する。…【0019】押圧部材5は,図2に示すように,複数のLED21毎に対応する複数のレンズ部501を有し,LED基板2の長辺側端部201を筐体3の収容凹部301の底面に向かって押圧するものである。なお,本実施形態では,押圧部材5は,各LED基板2に対応するように,直列に連続させて設けられている(図1参照)。 【0023】 しかして本実施形態のLED基板2に搭載されるLED21の個数は,種類の異なるLED21毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている。なお,種類の異なるLED21には,例えば,射出する光の波長が異なるLEDだけでなく,射出する光の波長が同じであっても,パッケージ211に配設されるLED素子の数が異なるLEDを含む。いずれの場合においても,種類の異なるLED21のパッケージ211は同一形状であることが望ましい。また,LED基板2上に搭載するLED21の個数の決定方法は,複数のLED21を電圧制御する場合にのみ有効である。 【0024】ここで,「LED単位数」とは,電源電圧VEとLED21を直列に接続したときの順方向電圧Vfの合計(Vf×N)との差(VE−Vf×N)が,所定の許容範囲となるLED21の個数であり,電源電圧VEに対して直列接続されるLED21の個数である。 【0025】本実施形態の順方向電圧Vfは,パッケージ化されたLED21毎の順方向電圧である。また なるLED21の個数であり,電源電圧VEに対して直列接続されるLED21の個数である。 【0025】本実施形態の順方向電圧Vfは,パッケージ化されたLED21毎の順方向電圧である。また,「所定の許容範囲」とは,種類の異なるLED21毎に定まるLED単位数の公倍数によりLED基板2にLED21を搭載した場合に,所望の照射領域を1つ又は複数のLED基板2により実現できる条件(より具体的には,種類の異なるLED21毎に定まるLED単位数の最小公倍数を可及的に小さくする条件),及び種類の異なるLED21毎にそのLED単位数を可及的に大きくする条件により決まる。 【0026】例えば,光照射装置1をFA(産業用自動機器)に組み込んで用いる場合,つまり,電源電圧VEが24Vの直流電圧である場合について,赤 色LED21,白色LED21及び赤外LED21の3種類の光照射装置1を製造する場合について説明する。 【0027】赤色LED21の順方向電圧Vfは約2.2Vであり,当該赤色LED21を電源電圧VEに対して直列接続できる個数は10個である。つまり,赤色LED21のLED単位数は10個である。 【0028】また,白色LED21の順方向電圧Vfは約3.3Vであり,当該白色LED21を電源電圧VEに対して直列接続できる個数は6個である。 つまり,白色LED21のLED単位数は6個である。なお,白色LED21を直列接続できる個数は,7個も考えられるが,他の種類のLED21のLED単位数との関係で,可及的に最小公倍数を小さくする値にしている。 【0029】さらに,赤外LED21の順方向電圧Vfは約1.5Vであり,当該赤外LED21を電源電圧VEに対して直列接続できる個数は15個である。つまり 倍数を小さくする値にしている。 【0029】さらに,赤外LED21の順方向電圧Vfは約1.5Vであり,当該赤外LED21を電源電圧VEに対して直列接続できる個数は15個である。つまり赤外LED21のLED単位数は15個である。 【0030】そして,赤色LED21のLED単位数(10個),白色LED21のLED単位数(6個),及び赤外LED21のLED単位数(15個)の最小公倍数である30個を,各色LED基板2に搭載するLED21の個数としている。 【0031】回路上における各LED21の接続方法としては,LED単位数に対応する個数のLED21を直列接続し,その直列接続されたLED群を最小公倍数となるように並列接続する。つまり,赤色LED21の場合 には,図4に示すように,10個の赤色LED21を直列接続して赤色LED群とし,赤色LED21の個数が全体として30個となるように(つまり,赤色LED群を3列に)並列接続する。また,白色LED21の場合には,図5に示すように,6個の白色LED21を直列接続して白色LED群とし,白色LED21の個数が全体として30個となるように(つまり,白色LED群を5列に)並列接続する。さらに,赤外LED21の場合には,図6に示すように,15個の赤外LED21を直列接続して赤外LED群とし,赤外LED21の個数が全体として30個となるように(つまり,赤外LED群を2列に)並列接続する。 (エ) 【0033】<本実施形態の効果>【0034】このように構成した本実施形態に係る光照射装置1によれば,LED基板2に搭載されるLED21の個数を,種類の異なるLED21のLED単位数の最小公倍数として,種類の異なるLED21であっても同じにしているの 構成した本実施形態に係る光照射装置1によれば,LED基板2に搭載されるLED21の個数を,種類の異なるLED21のLED単位数の最小公倍数として,種類の異なるLED21であっても同じにしているので,種類の異なるLED21が搭載されたLED基板2同士の大きさを同じする(原文のまま)ことができる。また,種類の異なるLED21を用いた光照射装置1を製造する場合に,LED基板2を収容する筐体3として同一のものを用いることができる。このようなことから,光照射装置1の製造において,LED基板2及び筐体3などの部品を共通化することができ,部品点数を削減することができるとともに,製造コストを削減することができる。 【0035】また,LED基板2の大きさを同じできる(原文のまま)だけでなく,LED個数が同じであるので,LED基板2上におけるLED21の位置を,各色LED21それぞれ同じにすることができ,LED21の前 方にレンズ部材(本実施形態では押圧部材5)を設ける場合であっても,LED21の種類に関係なく,同じレンズ部材(押圧部材5)を用いることができ,レンズ部材(押圧部材5)に汎用性を持たせることができ,部品点数を削減でき,製造コストを削減することができる。 【0036】さらに,LED基板2に搭載されるLED21の個数を,種類の異なるLED21のLED単位数の最小公倍数としているので,LED基板2の大きさを可及的に小さくして,汎用性を向上させることができる。 【0037】<その他の変形実施形態>【0038】なお,本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。 【0039】例えば,前記実施形態の押圧部材5は複数 なお,本発明は前記実施形態に限られるものではない。以下の説明において前記実施形態に対応する部材には同一の符号を付すこととする。 【0039】例えば,前記実施形態の押圧部材5は複数のレンズ部501を備えるものであったが,LED基板2に搭載されるLED21が砲弾型のものである場合には,図7に示すように,押圧部材5が,複数のLED21毎に対応して設けられた貫通孔502を有するものであっても良い。…【0041】さらに,LED基板と押圧部材とを対応させて,それらLED基板及び押圧部材の直列させる数を変更して,光照射装置の長さを変更するようにして良い。 【0043】加えて,前記実施形態では,LEDの個数を最小公倍数としているが,その他に公倍数であっても良い。 【0045】 その他,前述した実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてよいし,本発明は前記実施形態に限られず,その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。 イ前記アの記載事項によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明1に関し,次のような開示があることが認められる。 (ア) 複数のLEDを搭載した長尺状のLED基板と,このLED基板を収容する筐体とを備えた光照射装置において,LED基板に搭載されるLEDの個数は,電源電圧VEとLEDの順方向電圧Vfとの関係から,直列接続されるLEDの個数が制限される。そのため,LED基板のサイズが異なり,LEDの種類毎に専用のLED基板及びこの基板を収容する筐体を用意する必要があるという問題があった(【0002】~【0005】)。 (イ) そこで,「本発明」は,種類の異なるLEDを用いた光照射装置において,LED基板の大きさを同一にして,部品の る筐体を用意する必要があるという問題があった(【0002】~【0005】)。 (イ) そこで,「本発明」は,種類の異なるLEDを用いた光照射装置において,LED基板の大きさを同一にして,部品の共通化により,部品点数及び製造コストの削減を実現することを主たる課題とする(【0006】)。 「本発明」は,上記の課題を解決するため,複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体とを備えた光照射装置であって,電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載するLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数とする構成を採用した(【0007】)。 「本発明」は,上記構成を採用することにより,LED基板のサイズを同一にして,部品点数及び製造コストを削減できるという効果を奏する(【0008】,【0011】)。 また,前記LED基板に搭載するLEDの個数を,前記LED単位数の最小公倍数とすることにより,LED基板の大きさを同じにするだけでなく,その大きさを可及的に小さくして,汎用性を向上させるという効果を奏する(【0009】,【0036】)。 ⑵ 本件訂正について本件訂正は,請求項1における「前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数としている光照射装置。」を,「前記LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし,複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。」に訂正するものである。 そして,原告は,本件訂正は,本件訂正 方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数とし,複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある光照射装置。」に訂正するものである。 そして,原告は,本件訂正は,本件訂正前は1枚のLED基板についての発明であったものを,複数のLED基板をライン状に直列させて所望の長手方向の長さの製品を得るという発明に変質させるものであり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものであるから,特許法126条6項に違反する旨主張する。 そこで,この点について検討する。 ア本件特許の特許請求の範囲(請求項1)の「LED基板」の意義(ア) 本件訂正前の特許請求の範囲(請求項1)の記載によれば,「LED基板」とは,「ライン状の光を照射する光照射装置」に「備え」られた「基板収容空間を有する筐体」に「収容」され,「複数の同一のLEDを搭載した」ものであって,「搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数と」するものであることを理解できる。 一方,本件訂正前の特許請求の範囲(請求項1)には,「LED基板」の個数について定義した記載はなく,「LED基板」の個数を単数に限定 して解釈すべき根拠となる記載はない。 (イ) 次に,前記⑴イのとおり,本件明細書の発明の詳細な説明には,「本発明」は,複数の同一のLEDを搭載したLED基板と,前記LED基板を収容する基板収容空間を有する筐体とを備えた光照射装置であって,電源電圧とLEDを直列に接続したときの順方向電圧の合計との差が所定の許容範囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載するLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数とする構成を採用することにより,LED基板のサイズを同一にし 囲となるLEDの個数をLED単位数とし,前記LED基板に搭載するLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数とする構成を採用することにより,LED基板のサイズを同一にして,部品点数及び製造コストを削減できるという効果を奏するものであり,さらに,上記LED基板に搭載するLEDの個数を,上記LED単位数の最小公倍数とすることにより,LED基板の大きさを同じにするだけでなく,その大きさを可及的に小さくして,汎用性を向上させるという効果を奏する旨が記載されており,この点に本件訂正前の特許請求の範囲(請求項1)の発明(以下「本件訂正前発明1」という。)の技術的意義があると認められる。 また,当業者であれば,上記「汎用性を向上させる」とは,可及的に小さな大きさのLED基板の直列枚数を変えることにより,LED基板を様々な長さの光照射装置に用いることのできるようにすることなどを意味するものであることを理解できるものといえる。 そして,本件訂正前発明1の上記技術的意義に照らすと,上記LED基板の個数を単数に限定する必然性はみいだし難い。 むしろ,本件明細書の【発明を実施するための最良の形態】に関する記載は,複数の上記LED基板をライン方向に沿って直列させることが可能であることを理解できるものであって(【0017】,【0041】,図1),このことも,上記理解を裏付けるものといえる。 (ウ) 以上の本件訂正前発明1の特許請求の範囲(請求項1)の記載及び 本件明細書の記載を総合すれば,本件訂正前発明1の「LED基板」は個数が単数のものに限定されないと解される。 イ訂正の適否について本件訂正による訂正事項は,前記柱書のとおりであり,本件訂正前においては,LED基板の枚数や具体的な配置の特定がなかったものを,本件 が単数のものに限定されないと解される。 イ訂正の適否について本件訂正による訂正事項は,前記柱書のとおりであり,本件訂正前においては,LED基板の枚数や具体的な配置の特定がなかったものを,本件訂正後においては,「複数の前記LED基板を前記ライン方向に沿って直列させてある」ことを特定するものである。 そして,本件明細書には,2つのLED基板をライン方向に沿って直列させること(【0017】,【0019】,図1)及びLED基板の直列させる数を変更して,光照射装置の長さを変更させること(【0041】)が記載されていることから,本件訂正は,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でした訂正であると認められる。 また,本件訂正前発明1の「LED基板」は個数が単数のものに限定されないと解されることについては,前記アのとおりであり,本件訂正は,訂正前に特定されていなかった基板の枚数や配置を特定するものに過ぎないから,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないと認められる。 したがって,本件訂正は,実質上特許請求の範囲を変更するものではなく,訂正要件に適合するとした本件審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由1は理由がない。 2 取消事由2(甲3を主引用例とする本件発明1の進歩性の判断の誤り)について⑴ 甲3発明について証拠(甲1,3)及び弁論の全趣旨によれば,甲3発明は,前記第2の3⑵アのとおりであり,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)として,本件出願前に公然実施をされた発明であると認め られる。 そして,甲3発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを6個直列に接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを3個直列に接続し,そのような直列回路を2 をされた発明であると認め られる。 そして,甲3発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを6個直列に接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを3個直列に接続し,そのような直列回路を2本並列に接続し,」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は6個であ」るものであるところ,上記赤色LEDの数「6」と上記白色LEDの数「3」の最小公倍数は「6」であるから,甲3発明は,上記LED基板に搭載されるLEDの個数が,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数であるものといえる。 一方,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)からは,いかなる技術思想に基づき,同製品のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのかは,明らかでない。 また,甲6には,従来技術として,12Vの直流電源に接続される第1,第2の電源接続部の間に,順電圧Vfが1.85V程度の赤色系などの発光ダイオードを6個直列に接続する構成や(別紙2記載の図6),順電圧Vfが3.6V程度の白色系などの発光ダイオードを3個直列に接続したものを2個並列接続する構成(同図7),及び上記いずれの回路においても,これらの回路を基本ユニットとして複数の回路ユニットが並列的に接続されていることが記載されているが(【0004】,【0005】,図6,7),上記基本ユニットを1枚のLED基板に搭載する構成は記載されておらず,かかる構成を示唆する記載もない。 以上によれば,原告の指摘する甲6の従来技術の記載に鑑みても,甲3において,いかなる技術思想に基づき,同製品のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのかは,明らかでないといえる。 ⑵ 本件出願当時の周知技術についてア甲2,甲5及び甲24について(ア) 証拠(甲2,5)及び弁論の 品のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのかは,明らかでないといえる。 ⑵ 本件出願当時の周知技術についてア甲2,甲5及び甲24について(ア) 証拠(甲2,5)及び弁論の全趣旨によれば,甲5発明は,前記第 2の3⑵ウのとおりであり,原告製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)として,本件出願前に公然実施をされた発明であると認められる。 (イ) また,証拠(甲2,24)及び弁論の全趣旨によれば,本件出願前に,①i)原告製品「IDB-L900/20RS」と「IDB-L900/20GS」,及びii)原告製品「IDB-L1200/20RS」と「IDB-L1200/20WS」が公然販売されていたこと,②上記①の各製品により実施される発明は,長手方向に直列させるプリント基板の枚数が,上記①i)の製品は3枚であり,上記①ii)の製品は4枚であるほかは,いずれも甲5発明と同様の構成を有するものであり,1枚のプリント基板に搭載されるLEDの個数は174個であり,赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,そのような直列回路を29本並列接続し,白色(又は緑色)LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を58本並列接続するものであることが認められる。 イ甲11について(ア) 甲11には,次のような記載がある(下記記載中に引用する「図11ないし13」 については別紙3を参照)。 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は,カメラを用いて被検査物の認識や検査を行う画像機器等のための照明装置に関し,特に,線状の光源とそれに適合した反射器を備えた照明装置に関する。 【0041】【実施例】本発明に係る線状照明装置の具体的構成例として 検査物の認識や検査を行う画像機器等のための照明装置に関し,特に,線状の光源とそれに適合した反射器を備えた照明装置に関する。 【0041】【実施例】本発明に係る線状照明装置の具体的構成例として,連接型線状照明装置を図11~図14により説明する。本実施例の線状照明装置は,一定の長さの線状照明装置ユニットを複数個,レール上に並べて連 接することにより,任意の長さの線状照明装置を構成することができるものである。図11はレール11上に固定された線状照明装置ユニット10の断面図である。ユニット10はケース12とその中に固定された照明ユニット13から成る。ケース12にはレール11の断面に対応する凹断面を有するスライド溝14が形成され,これによりユニット10全体がレール11上をスライド可能となっている。なお,ケース12はアルミ又はプラスチックの押し出し成形により作製することができる。 【0042】図12に示すように,照明ユニット13はLED保持板15と反射鏡16から成り,LED保持板15は反射鏡16の裾部にネジや接着剤等により固定されている。LED保持板15はプリント基板で構成され,LED17取り付け用の穴が一定の間隔で穿孔されているとともに,各穴を接続するプリント配線が形成されている。LED17は,そのリード線を各穴に通した後,プリント配線にハンダ付けすることにより固定される。反射鏡16の反射面は楕円又は放物線となっており,その反射面とLED17の発光部が本発明に従う上記位置関係を持つように,LED保持板15は反射鏡16に固定されている。反射鏡16は樹脂成形により作製し,反射面はアルミ等の金属膜を蒸着して形成するのがコスト上有利である。 【0043】ケース12の上部には長手方向に連続する開口18が設けられており,その いる。反射鏡16は樹脂成形により作製し,反射面はアルミ等の金属膜を蒸着して形成するのがコスト上有利である。 【0043】ケース12の上部には長手方向に連続する開口18が設けられており,その開口18にはガラス,アクリル等の透明板19が嵌め込まれている。 LED17で発光され,反射鏡16で反射された光はこの開口18を通って上部から外部に放射される。反射鏡16の反射面が楕円である場合は,外部に放射された光は本線状照明装置ユニットの上部の所定距離にある線上に集束し,反射面が放物線である場合は開口18から上に向か って平行光として放射される。 【0044】ケース12の一方の側壁の外側には,給電用のボード20を配備するための溝21が設けられ,溝の底(照明ユニット13側の壁面)には各LED17に対応した穴が設けられて各LED17への配線が通されている。溝21の外側には保護板22が嵌め込まれている。 【0045】図13に示すように,レール11上には複数の線状照明装置ユニット10が連続して並べられ,その両端は側板24を介して固定具25により固定される。固定具25はネジ等によりレール11に固定される。隣接する線状照明装置ユニット10同士は,双方の給電用ボード20を連結する正負一対の連結具23a,23bにより電気的に接続されている。 これにより,一方の端に電源線を接続するだけで,全ての線状照明装置ユニット10の全てのLED17に電力を供給することができるようになっている。 【0046】本実施例の線状照明装置ユニット10は,上記のように連接して任意の長さにして使用することができるほか,もちろん,レールを使わずにそれ1個のみで単独で使用することもできる。また,このような連接は,使用者において使用時に行ってもよいし,メーカーにおい 連接して任意の長さにして使用することができるほか,もちろん,レールを使わずにそれ1個のみで単独で使用することもできる。また,このような連接は,使用者において使用時に行ってもよいし,メーカーにおいて出荷前に行ってもよい。 (イ) 前記(ア)の記載事項によれば,甲11には,「一定の長さの線状照明装置ユニット10を複数個,レール11上に並べて連接することにより,任意の長さの線状照明装置を構成すること,線状照明装置ユニット10は,ケース12とその中に固定された照明ユニット13から成り,照明ユニット13は,プリント基板から構成されるLED保持板15と反射 鏡16からなること」の開示があると認められる。 一方,甲11には,照明ユニット13のLED保持板15を複数個,レール11上に並べて連接することを明示ないし示唆する記載は存在しない。 ウ甲12及び甲14について(ア) 被告が,原告に対し,本件特許に係る特許権の侵害を理由とする原告製品の製造差止,損害賠償等を求めた訴訟(大阪地方裁判所平成29年(ワ)第7532号。以下「別件訴訟」という。)において,原告が書証として提出した説明書(原告のLED照明機器グループ設計部に所属する従業員が作成した文書。甲12)には,以下の記載がある。 「LED基板の設計においては,当業者は,故障を防ぎ,品質を保持し,作業を効率化するために,『LED基板間の配線及び半田付けを極力減らす』ようにするのが常である。例えば,LEDが搭載される部分の長さが100mmの場合,約10mmのLED基板を10個直列させるよりは,約100mmの1個のLED基板を用いる。『LED基板をできるだけ小さくする』ことには意味はない。」(2頁)。 (イ) 別件訴訟において,被告(別件訴訟の原告)が書 D基板を10個直列させるよりは,約100mmの1個のLED基板を用いる。『LED基板をできるだけ小さくする』ことには意味はない。」(2頁)。 (イ) 別件訴訟において,被告(別件訴訟の原告)が書証として提出した説明書(被告の照明技術・商品開発部に所属する従業員が作成した文書。 甲14)には,以下の記載がある。 「本件発明の出願前までは,私たちも,被告さんのおっしゃるように,『故障を防ぎ,品質を保持し,作業を効率化するために,LED基板間の配線及び半田付けを極力減らす』といったこの分野特有の常識に囚われており,LED基板を極力短くして並べるなどといった発想は禁忌でした。」(3頁)(ウ) 以上の事実によれば,本件出願当時,LED基板の設計における技術分野では,故障を防ぎ,品質を保持し,作業を効率化するために,L ED基板間の配線及び半田付けを極力減らすようにすることが技術常識であったものと認められる。 本件出願前に頒布された原告製品のカタログ(甲1,2)でも,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)が属する製品(ダイレクトバー照明IDB)のラインナップには,甲3発明に係る,LED基板に搭載されるLEDの個数が順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数であるものを,長手方向に複数並べた構成の製品は掲載されておらず,LED基板の縦及び/又は横の寸法を伸長し,当該基板に搭載されるLEDの個数を増やしたLED基板が多数掲載されているのみであって(甲1の17頁,甲2の17頁等),かかる事実も,本件出願当時の技術常識に関する上記認定を裏付けるものといえる。 ⑶ 相違点の容易想到性の判断についてア前記⑴のとおり,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」( 実も,本件出願当時の技術常識に関する上記認定を裏付けるものといえる。 ⑶ 相違点の容易想到性の判断についてア前記⑴のとおり,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)として,本件出願前に公然実施をされた甲3発明は,LED基板に搭載されるLEDの個数が,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数であるものといえる。 しかしながら,上記の原告製品からは,いかなる技術思想に基づき,同製品のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのかは,明らかでない(前記⑴)。 また,本件出願当時,プリント基板(LED基板)を長手方向に2枚ないし4枚直列させる発明が,原告製品として公然実施されていたが,これらの製品は,赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,そのような直列回路を29本並列接続し,白色(又は緑色)LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を58本並列接続するものであり,1枚のLED基板に搭載されるLEDの個数は174個であっ て,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数(6個)のLEDを1枚のLED基板に搭載するものではなかった(前記⑵ア)。 さらに,本件出願当時,LED基板の設計における技術分野では,故障を防ぎ,品質を保持し,作業を効率化するために,LED基板間の配線及び半田付けを極力減らすようにすることが技術常識であった(前記⑵ウ)。 そうすると,甲3発明に接した当業者は,仮に,当該プリント基板(LED基板)に搭載されるLEDの個数が,赤色LEDを直列に接続する場合の個数と白色LEDを直列に接続する場合の個数の最小公倍数であることを認識し,かつ,原告製品として公然実施されていた,プリント基板(LED基板)を長手方向に2枚ないし 赤色LEDを直列に接続する場合の個数と白色LEDを直列に接続する場合の個数の最小公倍数であることを認識し,かつ,原告製品として公然実施されていた,プリント基板(LED基板)を長手方向に2枚ないし4枚直列させてライン状の光を照射する光照射装置の発明(前記⑵ア)を認識していたとしても,甲3発明において,当該LED基板の構成を維持したまま,これをライン方向に沿って直列させる構成(相違点1に係る本件発明1の構成)とすることを容易に想到することができたものと認めることはできない。 むしろ,上記の技術常識に鑑みると,ライン方向に沿って配置されるLEDの個数を増やそうとすれば,甲3発明に係るLED基板をライン方向に伸長して,1枚の基板に搭載するLEDの個数を増やす方が自然であるといえる。 したがって,本件発明1は,甲3発明及び原告の主張する周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものとは認められない。 イこれに対し原告は,製品の長手方向の必要な長さを満たすために,所定の寸法の単位基板を長手方向に連設することは,極めてありきたりの技術であり(甲2,5,11),LED基板に搭載されるLEDの個数を,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数とし,そのLED基板を長手方向に複数並べることも,周知の技術であって(甲5,24),公倍数のうちのどの数字を単位として採用するかは,実施者の設計事項の 範囲内の事柄であることから,当業者は,甲3発明及び上記周知技術に基づき,相違点1に係る本件発明1の構成を容易に想到することができた旨主張する。 しかしながら,前記アのとおり,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)により開示された技術思想や,本件出願当時の周知技術及び技術常識等に照ら きた旨主張する。 しかしながら,前記アのとおり,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)により開示された技術思想や,本件出願当時の周知技術及び技術常識等に照らすと,本件発明1は,甲3発明及び原告の主張する周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものとは認められないものであり,原告の上記主張は採用することができない。 ウ以上によれば,本件審決における相違点1の容易想到性の判断に誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由2は理由がない。 3 取消事由3(甲4を主引用例とする本件発明1の進歩性の判断の誤り)について証拠(甲2,4)及び弁論の全趣旨によれば,甲4発明は,前記第2の3⑵イのとおりであり,原告製品「IDB-C11/14R」及び「IDB-C11/14B」(甲4)として,本件出願前に公然実施をされた発明であると認められる。 そして,甲4発明と甲3発明の相違点は,前者が「青色LED」であるのに対し,後者が「白色LED」である点のみであり,相違点2が相違点1と異なるのも,この点のみである。 そうすると,本件審決における相違点1 の容易想到性の判断に誤りがない(前記2)のと同様の理由により,本件審決における相違点2の容易想到性の判断に誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由3は理由がない。 4 取消事由4(甲5を主引用例とする本件発明1の新規性及び進歩性の判断の 誤り)について⑴ 甲5発明について証拠(甲2,5)及び弁論の全趣旨によれば,甲5発明は,前記第2の3⑵ウのとおりであり,原告製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)として,本件出願前に公然実施をされた発明であると認められる。 そして,甲5発明は,「 2の3⑵ウのとおりであり,原告製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)として,本件出願前に公然実施をされた発明であると認められる。 そして,甲5発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,そのような直列回路を29本並列に接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し,そのような直列回路を58本並列に接続し,」「前記プリント基板に搭載されるLEDの数は174個であ」り,2枚の上記LED基板を長手方向に直列させてあるものであるところ,「174」は上記赤色LEDの数「6」と上記白色LEDの数「3」の公倍数であるから,甲5発明は,上記LED基板に搭載されるLEDの個数が,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数であるものといえる。 一方,原告製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)からは,いかなる技術思想に基づき,1枚のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのか,また,そのようなLED基板を2枚長手方向に直列させることにしたのかは,明らかでない。 ⑵ 新規性について甲5発明は,「赤色LEDの場合には,LEDを直列に6個接続し,」「白色LEDの場合には,LEDを直列に3個接続し」たものであるところ,仮に,赤色LEDのLED単位数が6であり,白色LEDの単位数が3であるということができるとすると,LED単位数の最小公倍数は6となる。 一方,甲5発明の1枚の「プリント基板」に搭載されるLEDの個数は,174であり,上記の最小公倍数ではない。 そうすると,甲5発明は相違点3に係る本件発明1の構成を開示するもの とは認められず,甲5発明と本件発明1との間に,相違点3が存在するものであり,かかる相違点は実質的な相違 数ではない。 そうすると,甲5発明は相違点3に係る本件発明1の構成を開示するもの とは認められず,甲5発明と本件発明1との間に,相違点3が存在するものであり,かかる相違点は実質的な相違点であると認められる。 したがって,本件発明1は甲5発明ではないとした本件審決における新規性の判断に,誤りはない。 ⑶ 進歩性についてア前記⑴のとおり,原告製品「IDB-L600/20RS」及び「IDB-L600/20WS」(甲5)として,本件出願前に公然実施をされた甲5発明は,LED基板に搭載されるLEDの個数が,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の公倍数である,ライン状の光を照射する照射装置であって,上記LED基板を2枚,上記ライン方向に沿って直列させるものであるといえる。 しかしながら,上記の原告製品からは,いかなる技術思想に基づき,1枚のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのか,また,そのようなLED基板を2枚長手方向に直列させることにしたのかは,明らかでない(前記⑴)。 また,前記2⑴及び3のとおり,本件出願当時,原告製品「IDB-11/14R」及び「IDB11/14W」(甲3)として甲3発明が,原告製品「IDB-C11/14R」及び「IDB-C11/14B」(甲4)として甲4発明が,いずれも公然実施されており,これらの発明は,1枚のLED基板に搭載されるLEDの個数が,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数であるものであるが,他方で,上記の原告製品からは,いかなる技術思想に基づき,同製品のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのかは,明らかでない(前記2⑴,3)。 さらに,前記2⑵ウのとおり,本件出願当時,LED基板の設計における技術分野では,故障を防ぎ,品質を保持し,作 品のLED基板に搭載されるLEDの個数を定めたのかは,明らかでない(前記2⑴,3)。 さらに,前記2⑵ウのとおり,本件出願当時,LED基板の設計における技術分野では,故障を防ぎ,品質を保持し,作業を効率化するために,LED基板間の配線及び半田付けを極力減らすようにすることが技術常識 であった。 そうすると,甲5発明に接した当業者は,仮に,当該プリント基板(LED基板)に搭載されるLEDの個数が,赤色LEDを直列に接続する場合の個数と白色LEDを直列に接続する場合の個数の公倍数であることを認識し,かつ,原告製品として公然実施されていた,1枚のプリント基板(LED基板)に搭載されるLEDの個数が,順方向電圧の異なるLED毎に定まるLED単位数の最小公倍数である甲3発明及び甲4発明を認識していたとしても,甲5発明において,2枚のLED基板を長手方向に直列させるという構成を維持したまま,1枚のプリント基板に搭載するLEDの個数を174個から,直列接続されている赤色LEDの個数「6」と直列接続されている白色LEDの個数「3」の最小公倍数である6個に変更する(相違点3に係る本件発明1の構成とする)ことの動機付けはなく,かかる構成とすることを容易に想到することができたものと認めることはできず,むしろ,1枚のプリント基板に搭載するLEDの個数を減らして,同一数のLEDを配設するのに必要なプリント基板数を増やすことには阻害要因があったと認められる。 イ以上のとおり,当業者において,甲5発明に基づき,又は,甲5発明に甲3発明ないし甲4発明を適用して,相違点3に係る本件発明1の構成に容易に想到することができるものとは認められない。 したがって,本件審決における相違点3の容易想到性の判断に誤りはない。 ⑷ 小括以上のと 用して,相違点3に係る本件発明1の構成に容易に想到することができるものとは認められない。 したがって,本件審決における相違点3の容易想到性の判断に誤りはない。 ⑷ 小括以上のとおり,本件発明1は,甲5発明と同一ではなく,甲5発明,あるいは甲5発明と甲3発明ないし甲4発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでもないから,本件審決の判断に誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由4は理由がない。 5 取消事由5(本件発明3の新規性及び進歩性の判断の誤り)について前記2ないし4のとおり,本件発明1は,甲5発明ではなく,当業者が甲3発明,甲4発明又は甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。 そうすると,本件発明1の発明特定事項を全て含む本件発明3も,同様に,甲5発明であるとはいえず,当業者が甲3発明,甲4発明又は甲5発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから,これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。 したがって,原告主張の取消事由5は理由がない。 6 結論以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がないから,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官鶴岡稔彦 裁判官上田卓哉 裁判官 山門優 (別紙1) 上田卓哉 裁判官 山門優 (別紙1) 【図1】【図2】【図3】 (別紙2) 【図6】 【図7】 (別紙3) 【図11】 【図12】 【図13】
▼ クリックして全文を表示