令和6(行ケ)10048 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年1月30日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-94002.txt

キーワード

判決文本文30,217 文字)

令和7年1月30日判決言渡 令和6年(行ケ)第10048号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和6年11月13日判決 原告 アボットダイアベティスケアインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 波田野晴朗 松本陸 橋沙耶香 同訴訟代理人弁理士 佐藤俊司 太田雅苗子 被告 特許庁長官 同指定代理人 渡邉あおい 山田啓之 須田亮一 阿曾裕樹 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する原告による上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。 事実 及び理由 第1 請求 特許庁が不服2022-10155号事件について令和6年1月4日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 本件は、商標出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は、商標法3条1項3号及び同条2項の該当性である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認め は、商標出願の拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は、商標法3条1項3号及び同条2項の該当性である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認められる事実)⑴ 特許庁における手続の経緯等原告は、令和2年10月5日、指定商品を「第10類医療用血糖監視装置」(以下「本願指定商品」ということがある。)とする、立体商標である別紙「商標目録」記載の商標(以下「本願商標」という。)について、商標 登録出願をしたが(商願2020-122583、甲1)、令和4年3月29日付けで拒絶査定を受けたため、同年6月30日、拒絶査定不服審判を請求した。 特許庁は、これを不服2022-10155号事件として審理し、令和6年1月4日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との本件審決をし(出 訴期間90日を付加)、その謄本は、同月19日、原告に送達された。 原告は、出訴期間内である同年5月17日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 ⑵ 原告が販売する医療用血糖監視装置糖尿病患者が自己の血糖値を継続的に測定するための方法には、大別して、 専用の穿刺器具を用いて少量の血液を採取し、センサーに吸引させて血糖値を測る血糖自己測定(Self-monitoringofbloodglucose、SMBG)と、センサーを上腕部、腹部等に一定期間装着し、連続して血糖値を測定する持続血糖モニター(ContinuousGlucoseMonitoring、CGM)があり、それぞれの方法に応じた測定機器がある(以下、「SMBG」、「CGM」の語 は、これらの測定機器を示す意味でも用いることがある。)。原告が 「FreeStyle リブレ」の商品名で販売する ぞれの方法に応じた測定機器がある(以下、「SMBG」、「CGM」の語 は、これらの測定機器を示す意味でも用いることがある。)。原告が 「FreeStyle リブレ」の商品名で販売する医療用血糖監視装置(以下「原告商品」という。)は、後者に使用される商品であり、本願商標の立体形状からなり、2週間の連続使用が可能なセンサー(以下「原告センサー」ということがある。)と、センサーから血糖値(正確にはグルコース値)を読み取って表示するリーダー(なお、専用アプリをインストールしたスマートフォ ンによることも可能である。)、センサーを身体に装着するために用いるセンサーアプリケーターからなる(甲10、13、甲18の1・2、甲20、乙18)。 2 本件審決の理由の概要(詳細は別紙「本件審決(抜粋)」のとおり)⑴ 商標法3条1項3号該当性について 本願商標の立体的形状は、本願商標の指定商品「医療用血糖監視装置」について、機能又は美感に資することを目的として採用されたものとみるのが相当であり、また、「医療用血糖監視装置」の形状として、需要者において、機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものといえ、結局のところ、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する 標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当する。 ⑵ 商標法3条2項該当性について本願商標の立体的形状からなる原告センサーを含む原告商品は、平成28 年10月に日本において販売が開始され、その販売数及び売上高は相当程度あり、原告のウェブサイトやパンフレットにおいて広告宣伝がされ、その広告費用も なる原告センサーを含む原告商品は、平成28 年10月に日本において販売が開始され、その販売数及び売上高は相当程度あり、原告のウェブサイトやパンフレットにおいて広告宣伝がされ、その広告費用も相当程度あり、加えて、新聞、雑誌及びウェブサイトで紹介されていることなどが認められることから、原告センサーそれ自体は、需要者の間に一定程度認識されていることがうかがえる。 しかし、原告商品に関する広告及び紹介記事においては、原告センサーの 画像が殊更に大きく顕著に表示されているものではなく、また、常に「FreeStyle リブレ」の文字からなる商標とともにされている事実に鑑みれば、本願商標の立体的形状が、需要者の目に付きやすく、強い印象を与えているものとは認められない。 そうすると、原告の提出した証拠によっては、本願商標が本願指定商品に 使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいまだ認めることができない。 したがって、本願商標は、商標法3条2項の要件を具備するものではない。 3 原告主張の審決取消事由⑴ 商標法3条1項3号該当性の判断の誤り(取消事由1) ⑵ 商標法3条2項該当性の判断の誤り(取消事由2)第3 当事者の主張 1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性の判断の誤り)について(原告の主張)⑴ 本願商標の立体的形状は、以下の形状からなる(下記図参照)。 そして、日本市場で販売されている本願指定商品で、このような特徴的な形状を組み合わせたセンサーは、原告センサーのみである。 ① 低い扁平な略正円柱形の形状(以下「本件正円柱形状」という。)② 本件正円柱形状の底面に接するような、底面より大きく厚みが うな特徴的な形状を組み合わせたセンサーは、原告センサーのみである。 ① 低い扁平な略正円柱形の形状(以下「本件正円柱形状」という。)② 本件正円柱形状の底面に接するような、底面より大きく厚みがほぼない円板(以下「本件正円板」という。) ③ 上面中央に小さい歯車状の模様を内包する正円形の孔(以下「本件正円孔」という。)④ 上部の白色の正円柱形状と下部の透明な正円柱形状の二層からなり、透明な下部の側面を一周する等間隔で溝が施された形状(以下「本件二層形状」という。) ⑵ 本願商標の立体的形状は、以下のとおり、様々な選択肢の中で選択され、複雑な製造工程を経て作り出されており、商品の機能に資することを目的とするものではない。 ア本件正円柱形状について センサーを正常に機能させるために必要な形状ではなく、技術的な機能に由来するものではない。また、他の形状と比較して製造が難しく、材料の無駄がより多く生じるが、シンプルで無駄がなく、美的に優れていることから、需要者の目を惹き、他社商品との差別化を図る形状として採用したものである。 イ本件正円板について本件正円柱形状本件正円板本件正円孔本件二層形状 本件正円柱形状と同様の理由に加え、本件正円孔と相まって、センサー全体の円形の形状を強調するために採用したものである。 ウ本件正円孔についてセンサーの装着時に使用するセンサーアプリケーターの針を、センサー上面から皮下に挿入するための孔であるが(甲18の2)、機能としては 孔であれば足りるところ、正円形の外観を強調するために孔の形状を小さな正円としてセンサーの中心に配し、他社商品との差別化を図るために、内部の歯車状の形状を追加したものであ の2)、機能としては 孔であれば足りるところ、正円形の外観を強調するために孔の形状を小さな正円としてセンサーの中心に配し、他社商品との差別化を図るために、内部の歯車状の形状を追加したものである。 エ本件二層形状について機能との関係では二層とする必要はなく、また、色彩・透明度について も無限の選択肢がある。下部側面を一周する等間隔の溝は、通気孔としての機能に由来するが、溝の数、形状、等間隔の配置は、美観上の理由である。 ⑶ 本件審決や被告が指摘する他社商品には、本願商標の特徴をすべて備えるものはなく、本願商標とは全く形状が異なる上、そのほとんどは、本件審決 時点において、日本で販売されていないか、医療用血糖監視装置に該当しないか、そもそも商品化されていないものである。 例えば、本件審決が競合商品の形状として挙げるもののうち、別掲2⑴として掲げる商品(甲14に同じ)は、略半円形の直線部にやや小さい略長方形を配した形状であり、本件商標の略正円柱形とは全く異なる形状であるし、 別掲2⑵の商品(乙2)は日本で販売されておらず、日本における本願指定商品を扱う分野に属するものではない。 ⑷ 以上のとおり、本願商標の形状は、客観的にみて商品の機能又は美観に資するという目的のために採用されたと認められる形状ではなく、機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものではなく、他社製品と 一目で識別可能なものであるから、自他識別力を有しており、商標法3条1 項3号に該当しない。 (被告の主張)⑴ 本願商標の立体的形状は、以下の形状からなる。 ① 全体的に扁平な略円形の立体的形状② 高さの低い扁平な「略円柱形」とその底面に接する底面より大きく厚み がない「円板形」の2つの組合せ( ⑴ 本願商標の立体的形状は、以下の形状からなる。 ① 全体的に扁平な略円形の立体的形状② 高さの低い扁平な「略円柱形」とその底面に接する底面より大きく厚み がない「円板形」の2つの組合せ(円形の組合せ)③ 「略円柱形」の上面中央に小さい歯車状の模様を内包する孔状のもの(孔状)④ 略円柱形の側面を一周する波状の模様・装飾(波形状)⑵ 医療用血糖監視装置である他社商品のセンサー(開発中のものを含む。) の形状をみると、全体的に扁平な略円柱形のもの(前記⑴①に類似)、体に接着する部分を他の部分より大きくしたり、さらに略円形としたりしたもの(前記⑴②に類似)、上面に文字、孔、くぼみ、円形状の模様等を配したもの(前記⑴③に類似)、側面部分に様々な模様ないし装飾等があるもの(前記⑴④に類似)が多数存在する(乙2~13)。 さらに、医療用血糖監視装置以外で身体に装着するパッチやセンサーにおいては、一般的に、円形、扁平といった形状が採択されている(乙20~32)。 ⑶ 本願指定商品のセンサーは、一定期間身体に装着して血糖値を測定するものであるから、機能上、扁平であることが求められ、また、身体に固定する ための接着層が設けられるものである(乙1)。 そうすると、前記⑴①、②の形状は、機能向上の観点又は美観上の観点から選択したものと容易に認識することができる。 前記⑴③,④の形状は、全体に占める割合が小さく、目立つものではない上、何らかの事柄、事象を表したものともいえないから、需要者に出所表示 機能として強い印象を与えるものではなく、機能や美観を向上する目的で選 択されたと認識できる。また、前記⑴③は、針を皮下に挿入するための孔であり(乙1)、機能に資するものである。 機能として強い印象を与えるものではなく、機能や美観を向上する目的で選 択されたと認識できる。また、前記⑴③は、針を皮下に挿入するための孔であり(乙1)、機能に資するものである。 そして、前記⑵のとおり、多くの点において形状が共通する他社商品があることからみて、本願商標の形状は、需要者において、機能又は美観に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものといえる。 ⑷ 以上のとおり、本願商標は商標法3条1項3号に該当するとした本件審決の判断に誤りはない。 2 取消事由2(商標法3条2項該当性の判断の誤り)について(原告の主張)本願商標の立体的形状は、原告商品において継続して独占的に使用されてき ており、その結果、需要者が何人か(具体的な事業者名までは求められていない。)の業務に係る商品であることを認識することができるものとなっており、商標法3条2項に該当する。 ⑴ 本願商標は、前記1(原告の主張)のとおり、医療用血糖監視装置のセンサーとして極めて顕著な特徴を有する形態であり、他社の関連製品において、 同一又は類似する立体的形状は採用されていない(甲14~16)。 ⑵ 本願商標の使用実績等は、以下のとおりであり、本件審決は、これを過小評価している。 ア原告商品は、平成26(2014)年に欧州で販売を開始して以降、世界60か国以上、550万人以上の糖尿病患者に使用され、令和4(20 22)年8月時点の総売上高は●●●ドルを超えている。 原告は、国内では、平成28年12月に医療機関向けの商品である「FreeStyle リブレPro」(同月1日保険適用開始)の、平成29年1月に患者向けの商品である「FreeStyle リブレ」(同年9月1日保険適用開始)の販売を開 に医療機関向けの商品である「FreeStyle リブレPro」(同月1日保険適用開始)の、平成29年1月に患者向けの商品である「FreeStyle リブレ」(同年9月1日保険適用開始)の販売を開始した(甲8の3、甲20,21)。 イ原告商品は、それまで主流であった血糖自己測定器(SMBG)と異な り、指先穿刺による採血という痛みを伴わず、かつ持続的な血糖変動の測定を可能とする、極めて画期的な商品であった。 ウ原告商品は、医療用機器等の大手卸売業者等、日本全国の20社以上の販売代理店のほか、全国の薬局、ドラッグストア、家電量販店、楽天市場などのECサイトにおいて、全国の需要者に対し販売されている(甲8の 2、甲26~29)。 エ本願商標は、原告が販売する原告センサーのすべてに使用されているほか、原告商品用のスマートフォンアプリ、公式ウェブサイトにおいて、象徴的に使用されている(甲17~19)。 オ原告センサーは、使用後に廃棄する使い捨ての商品であるところ、平成 28年の販売開始から令和5年までの国内における原告センサーの販売数量及び純売上高、原告が投じた広告宣伝費、医療用血糖監視装置における原告商品の市場シェアは、それぞれ別紙「原告センサーの販売数量等」のとおりであり、十分な販売実績等がある。 カ原告は、広告宣伝の一つとして、自社ウェブサイトに原告センサーを目 立つ態様で掲載しており、令和3年1月1日から令和4年6月6日までの間において、アクセス数は330万回、新規利用者は80万人近くに達している(甲8の2・5)。また、原告は、同様の広告宣伝を、医療機関向け販促パンフレット(甲8の6等)、セミナー開催(甲8の3)、YouTube の動画投稿(甲31等)において行っている。 に達している(甲8の2・5)。また、原告は、同様の広告宣伝を、医療機関向け販促パンフレット(甲8の6等)、セミナー開催(甲8の3)、YouTube の動画投稿(甲31等)において行っている。 なお、医療機器である原告商品の広告宣伝については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律により、同法による製造販売の承認前であった平成28年5月より前には広告が制限されており(同法68条)、同月以降も、医薬品等適正広告基準により、一般消費者を対象とする広告が制限されていることに留意すべきである。 キ原告商品は、日本糖尿病学会編著の「糖尿病治療の手びき2023」 (甲10)を始めとする多数の書籍、糖尿病専門ウェブサイト、各種医療機関等の第三者のウェブサイト、新聞記事等(甲4の1・3、甲32~45)において、原告センサーの形状、すなわち本願商標の立体的形状とともに紹介されているほか、平成29(2017)年のグッドデザイン賞(甲6)を受賞した。 ク本件審決は、広告宣伝等において、文字商標である「FreeStyle リブレ」が併用されていることを指摘するが、原告商品の広告や紹介記事においては、原告センサーの画像・イラストが殊更に大きく顕著に表示され、需要者に最も強い印象を与えるものとなっているし、中には、文字商標を表示していないものもある。 さらに、コカ・コーラのボトルの立体商標、カップヌードル容器やキンチョールのスプレー缶の位置商標のように、著名な商品名又は商標と同時に使用されていても、それ自体が自他識別力を有すると評価される場合もあることを考慮すべきである。 ⑶ アンケート結果(甲49)について 本願指定商品「医療用血糖監 は商標と同時に使用されていても、それ自体が自他識別力を有すると評価される場合もあることを考慮すべきである。 ⑶ アンケート結果(甲49)について 本願指定商品「医療用血糖監視装置」の主たる需要者は、1型糖尿病患者のように継続的にインスリン療法により治療を行う糖尿病患者と、これらの患者を診療、支援する看護師及び医師である。このように需要者が限定されていることは、多数の競合品が存在し、需要者が一般消費者全体に及ぶ商品とは、取引の実情が異なることを意味する。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(被告の主張)⑴ 前記1(被告の主張)のとおり、本願商標の形状の特異性はさしたるもの とはいえず、全体的にみて、類似した形状の他社商品も存在し、出所識別標識として強い印象を与えるものではない。 ⑵ 原告が主張する本願商標の使用実績等についてみると、これらの使用態様においては、いずれも、原告センサーが円形又は扁平であることを確認することができるものの、「円形の組合せ形状」、「孔状」及び「波形状」の特 徴の全部を 用実績等についてみると、これらの使用態様においては、いずれも、原告センサーが円形又は扁平であることを確認することができるものの、「円形の組合せ形状」、「孔状」及び「波形状」の特 徴の全部を確認することができるものではなく、出所識別標識として強い印象を与えるとはいえない。グッドデザイン賞の紹介記事(甲6)をみても、これらの形状は評価されていない。 ⑶ 原告が主張する本願商標の使用期間、原告商品の販売数量、広告宣伝の期間・規模等の使用の実情をいう原告従業員の陳述書(甲8の1・2)は、客 観的信頼性に乏しい。 これらの裏付け証拠が提出されたとしても、前記⑴、⑵を考慮すると、本願商標が自他商品識別力を獲得したということはできない。 原告商品の市場シェアについては、血糖自己測定器・関連商品及び糖尿病治療薬の国内市場規模は令和4(2022)年度で6810億円(乙33)、 自己血糖測定器の国内市場規模は8億1600万米ドル(乙34)と試算されていることからみて、市場シェアがさほど高いものではない。 ⑷ 本件アンケートの結果についてア本願商標の指定商品である医療用血糖監視装置は、糖尿病患者及び医師、看護師などの医療従事者を主たる需要者とするものであるが、病院向け の血糖測定器(乙15)や血糖自己測定器(乙16)等のような、血糖 値を監視する必要性のある患者について本人又は医療従事者が利用する商品を含むものであることに加え、我が国の糖尿病患者は、糖尿病が強く疑われる者が690万人、可能性を否定することができない者が1370万人とされていることから(乙17)、その治療に関わる医療従事者を含めると、需要者層は極めて広範に及ぶ。 これに対し、本件アンケートは、過去1年 を否定することができない者が1370万人とされていることから(乙17)、その治療に関わる医療従事者を含めると、需要者層は極めて広範に及ぶ。 これに対し、本件アンケートは、過去1年内のインスリン処方、比較的重度の糖尿病患者が用いる医療機器である持続血糖モニター(CGM)の購入、推奨、指導の経験の有無により対象者を選別しており、将来的にインスリン療法が必要となる者を含む、一般の糖尿病患者を広く対象とするものとなっていないから、本願指定商品に係る需要者層の一般的 な認識を客観的かつ公正に反映したものとはいえない。 イ本件アンケートは、回答者を前記のように選別するスクリーニング調査に続けて、原告センサーの写真を表示してメーカー名等を尋ねる本調査を実施しており、それらが医療機器であることを前提に、自己が利用する医療機器のメーカー名等を回答することが促されるものとなっている。 しかも、リアルタイムCGMのうち保険適用されているのは、原告商品を含む3社の商品であるから(乙18)、回答者はいずれかの商品の利用者である可能性が高く、糖尿病患者のうち●●●●●(純粋想起、26頁)が原告との関連を回答したとされる回答結果は、原告商品の利用者の割合を反映しているにすぎないと考えられる。仮に、この数字が原 告商品の市場シェアより低いのであれば、利用者でもその形状を出所識別標識たる特徴として認識、記憶していないことになる。 ウ医療関係者については、●●●●●(純粋想起、26頁)が原告との関連を回答したとされる医師は、糖尿病治療の経験が豊富な専門性の高い医師(原告商品を見慣れている者)が選別されている。看護師の正答率 ですら●●●●●にとどまることからすると、糖尿病治療に関する商品 知識が高 、糖尿病治療の経験が豊富な専門性の高い医師(原告商品を見慣れている者)が選別されている。看護師の正答率 ですら●●●●●にとどまることからすると、糖尿病治療に関する商品 知識が高くない一般の医療分野全般においては、はるかに低い正答率となると考えられ、原告商品が広く認知されていないことが分かる。 さらに、患者が購入、使用する商品については、病院向け血糖測定器と異なり、専門医師は商品の流通をあっせんする者であるにすぎず、その認識が需要者の認識を直接示すとはいえない。 エ医療機器の取引においては、製品の機能等を慎重に検討した上で、商品形状のみに依存せず、商品名等を通じて選定、処方されると考えられるから、需要者が原告商品の形状を出所識別標識たる特徴として認識、記憶して取引するとは考えにくい。 オ以上のとおり、本件アンケートの結果は、調査対象者の選別方法や質問 方法などにより、正答率を上げるためのさまざまな工夫がなされており、その調査結果においても、糖尿病患者の正答率が●●●●●程度にすぎないことから、半数をはるかに超える需要者は、原告センサーの形状と原告との関連性を想起することができていないといえる。 カなお、本件アンケートは、令和6年6月26日から同年7月4日にかけ て実施されたものであり、本件審決時(同年1月4日)における需要者の認識を直接示すものではない。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性の判断の誤り)について⑴ 判断基準 商標法3条1項3号は、商品の形状その他の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、商標登録を受けることができない旨規定している。商品の立体的形状も、同号の「形状」に含まれている(同 標法3条1項3号は、商品の形状その他の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、商標登録を受けることができない旨規定している。商品の立体的形状も、同号の「形状」に含まれている(同法2条1項、5条2項参照)。指定する商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標の登録が認められないのは、通常の場合、この ような商標は、自他商品識別力を欠くと考えられるからである。もとより、 同法3条1項3号に該当する商標であっても、使用をされた結果、自他商品識別力を有するに至ったと認められる場合には、商標登録が認められるが(同条2項)、その場合でも、商品が当然に備える特徴と認められる立体的形状のみからなる商標の登録は認められない(同法4条1項18号、商標法施行令1条の2)。商品の機能を確保するために不可欠であるような立体的 形状は、商品が当然に備える特徴と解されるのであり、このような立体的形状を有する商品が、存続期間の更新が可能な商標権に基づき、事実上、半永久的に独占販売されることは相当ではないからである。 以上によれば、立体的形状のみからなる商標の商標法3条1項3号該当性は、当該立体的形状が指定商品の形状を「普通に用いられる方法で表示」す るものであり、自他商品識別力を欠くものと認められるか否かという観点から判断されるのであり、同法4条1項18号のように商品の当然に備える特徴である立体的形状(商品の機能を確保するために不可欠な立体的形状)のみからなる標章であると認められることまでは要しない。 しかるところ、商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより 効果的に発揮させ、又は商品の美観をより優れたものとする等の目的で選択されるものである。また、これらの目的で選択された商品の形状 るところ、商品の形状は、多くの場合、商品に期待される機能をより 効果的に発揮させ、又は商品の美観をより優れたものとする等の目的で選択されるものである。また、これらの目的で選択された商品の形状は、通常、同種の商品に関与する者であれば誰でも使用することを欲するようなものであり、需要者からみれば、商品の形状そのものの範囲を出ないと認識されるものと考えられる。これらの点に照らすと、客観的にみて、商品の機能又は 美観に資することを目的として採用されると認められる商品の形状は、特段の事情のない限り、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものと解するのが相当である。すなわち、商品の形状が、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、同種の商品について、機能又は美観に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものであれば、当該形状が他の 特徴を有していたとしても、商標法3条1項3号にいう「普通に用いられる 方法で表示」したものに該当するというべきである。 ⑵ 本願商標についてア本願商標は、別紙商標目録記載の立体的形状からなる立体商標であり、①低い扁平な略正円柱形の形状(本件正円柱形状)、②本件正円柱形状の底面に接する、底面よりやや大きい円板(本件正円板)、③上面中央に一 部が欠けた小さな歯車状の立体的な模様を内包する正円形の孔(本件正円孔)、④上部の正円柱形状と下部の正円柱形状の二層からなり、下部の側面を一周する等間隔で溝が施された破線状の形状(本件二層形状)を有している(以上の特徴は原告の特定に倣うが、表現を変えた部分がある。)。 イ前記ア①の本件正円柱形状についてみると、本願商標の立体的形状は、 本願指定商品(医療用血糖監視装置)である原告商品を構成し、身体に一定時間以上 うが、表現を変えた部分がある。)。 イ前記ア①の本件正円柱形状についてみると、本願商標の立体的形状は、 本願指定商品(医療用血糖監視装置)である原告商品を構成し、身体に一定時間以上連続して装着する原告センサーに採用されている形状である(前提事実⑵)。その扁平であるとともに滑らかな曲線、曲面で構成されている形状は、身体に一定時間連続して装着することが想定されているセンサー類に共通するものと考えられる。 すなわち、医療用血糖監視装置である他社商品のセンサーをみると、本件審決の時点(令和6年1月4日)で国内で販売されていたもの(甲14~16、乙5、7、8)、本件審決の時点で開発中か、少なくとも海外で販売されているもの(乙2~4、6、10~12)は、いずれも、扁平であるとともに滑らかな曲線、曲面で構成されることは共通し、こ れらの商品の中には、正円柱の側面や上面をより滑らかな曲面とした形状のものもある(乙2~4、6、11)。さらに、医療用血糖監視装置ではないが、身体に装着するパッチやセンサーの多くにおいて、円形、扁平な形状が採用されている(乙20~32)。 そうすると、前記ア①の本件正円柱形状は、客観的にみて、商品の機能 に資することを目的とするものであり、機能の点から必ずしも不可欠と いえない点についても、美観に資することを目的とするものと認められる。 ウ前記ア②の本件正円板は、センサーを皮膚に装着するための接着層であり(甲18の2、乙1の段落【0053】、【0054】、【図1】)、このような底面の薄い接着層は、正円形ではないものも含め、他社商品 のセンサー(甲15、16、乙10)にも認められる。また、原告センサーは、装着の際に円筒形のセンサーアプリケーター 【図1】)、このような底面の薄い接着層は、正円形ではないものも含め、他社商品 のセンサー(甲15、16、乙10)にも認められる。また、原告センサーは、装着の際に円筒形のセンサーアプリケーターにいったん収納し、接着層に手で触れることなく装着することができるが(甲18の2)、接着層が本件正円柱形状よりわずかに大きい円形であることは、このような装着時の機能にも資すると認められる。 そうすると、前記ア②の本件正円板は、客観的にみて、商品の機能に資することを目的とするものであり、機能の点から必ずしも不可欠といえない点についても、美観に資することを目的とするものと認められる。 エ前記ア③の本件正円孔は、センサーの装着時にセンサーアプリケーターの針を皮膚に刺すための孔であり(甲18の2)、その意味で機能に資 するものと認められるが、針よりも相当大きな孔とし、内部に立体的な歯車状の模様を内包する形状は、機能のみならず、美観に配慮したものと考えられる。 また、被告が証拠提出する他社商品のセンサーをみても、上面に小さな孔が存在するものはあっても(乙11、12)、その内部に立体的な歯 車状の模様を内包する、あるいはこれに類似する形状のものはない(なお、乙13は、「小型汎用部品(コンデンサ、インダクタ等)提供による製品の小型化」を宣伝する村田製作所のウェブページであり、写真の商品は原告商品と認められる。)。 そうすると、前記ア③の本件正円孔は、原告センサーに特徴的な形状と いうことができるが、需要者が予測し得ないような斬新な形状とまでは 認められないことから、美観に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものといえ、客観的にみて、機能又は美観に資することを 、需要者が予測し得ないような斬新な形状とまでは 認められないことから、美観に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものといえ、客観的にみて、機能又は美観に資することを目的とするものと認められる。 オ前記ア④の本件二層形状は、原告センサーにおいては、センサー内部の電子回路の受け皿となり、周囲に溝が施された部品を、側面から露出さ せる構成とすることにより、側面視でセンサー上面の筐体と二層の形状となるとともに、等間隔で溝が施された破線状の形状となる外観としたものであり(甲31の1)、下部側面の等間隔の溝は通気孔としての機能に由来するが、溝の数、形状、等間隔の配置は、美観上の理由から採用されたと認められる(甲64、弁論の全趣旨)。 なお、被告が証拠提出する他社商品のセンサーには、これに類似する形状のものは見当たらない。 ⑶ 以上のとおり、本願商標の立体的形状は、客観的にみて、商品の機能又は美観に資することを目的として採用されると認められるものであるから、本願商標は、その需要者からみて、指定商品である医療用血糖監視装置の形状 を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として、自他商品識別力を有さないというべきである。 原告は、この点を争うが、前記⑵の認定に照らし、採用することができない。 したがって、本願商標は商標法3条1項3号に該当するとした本件審決の 判断に誤りはなく、取消事由1には理由がない。 2 取消事由2(商標法3条2項該当性の判断の誤り)について⑴ 判断基準商標法3条2項は、同条1項3号から5号までに該当する商標であっても、使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には商標登録を受けるこ とができる旨規定して ⑴ 判断基準商標法3条2項は、同条1項3号から5号までに該当する商標であっても、使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には商標登録を受けるこ とができる旨規定している。 同項3号に該当する商標は、もともと類型的に自他商品識別力が乏しいものである上、本願商標のように商品の立体的形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、それが同法4条1項18号にも該当する場合に商標登録が認められないことは明らかであり、仮に該当しない場合であっても、通常、特定人に独占させることが相応しくないものである。 しかるところ、このような商標について、同法3条2項を適用して商標登録を認めたときは、存続期間の更新が繰り返されることにより、事実上、半永久的に当該形状を商標として使用し、当該形状に係る商品を独占販売することを認める結果となるのであるから、同項を適用する場合には、当該形状について、このような結果を許容するに足りる十分な自他商品識別力が、そ の商標としての使用により獲得されたことが認められる必要がある。 そして、当該形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存否、当該商標が使用された期間、商品の販売数量、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情を総合考慮して判断すべきである。 ⑵ 本願商標の形状及び本願商標の形状に類似した他の商品等の存否本願商標の形状の特徴的な部分は、前記1⑵のとおり、①本件正円柱形状、②本件正円板、③本件正円孔、④本件二層形状であり、いずれも客観的にみて機能又は美観に資する目的のものと認められるが、機能の点から必ずしも不可欠とはいえない形状を含むものである。 確かに、③ 本件正円板、③本件正円孔、④本件二層形状であり、いずれも客観的にみて機能又は美観に資する目的のものと認められるが、機能の点から必ずしも不可欠とはいえない形状を含むものである。 確かに、③の小さな歯車状の立体的な模様を内包する本件正円孔や、④の本件二層形状についても、その形状は、需要者にある程度強い印象を与えるということができるかもしれないが、これらの点を考慮してもなお、本願商標に係る商品の形状が、商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものと解されることは前記のとおりである。すなわち、商品の形状が、当該商 品の用途、性質等に基づく制約の下で、同種の商品について、機能又は美観 に資することを目的とする形状の選択であると予測し得る範囲のものである限り、他社商品にはない特徴的な部分があったとしても、それだけでは、本願商標が商標法3条2項に基づく自他識別力を取得することになるわけではない。 ①の本件正円柱形状についても同様であり、結局、同項に基づき商標登 録を認めるためには、本願商標に係る商品の形状が、使用をされた結果、その特徴的な部分を含め、需要者に対し、単に商品の特徴を普通に用いられる方法で表示したものにとどまらず、出所識別標識たり得る特徴であると認識されるに至ったものであることが、証拠関係に照らし、客観的に認められる必要がある。 ⑶ 本願商標が使用された期間、商品の販売数量、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情についてア医療用血糖監視装置について(甲9~11、乙18)(ア) インスリン療法は、日常的にインスリンを皮下注射して行う糖尿病の治療法であり、体内でインスリンを生成する細胞が破壊された1型 糖尿病患者(糖尿病患者の5%未満、約10~14万人)の場合は原則とし スリン療法は、日常的にインスリンを皮下注射して行う糖尿病の治療法であり、体内でインスリンを生成する細胞が破壊された1型 糖尿病患者(糖尿病患者の5%未満、約10~14万人)の場合は原則として欠くことができない。生活習慣等の原因により発症する2型糖尿病患者(糖尿病患者の約90%)等の場合、多くはインスリン療法まで必要としないが、年数を経て病状が進行するなどして、インスリン療法が必要となることがある。 (イ) インスリン療法は、強力な血糖改善効果をもつ反面、低血糖によるさまざまな危険を招くリスクがあることから、適切な血糖コントロールを行うため、患者が厳密に自身の血糖変動を把握することが望まれる。血糖値が短時間で大きく変化する1型糖尿病患者のほか、血糖値の動きをみてインスリン量を調節する必要があるインスリン頻回注射 療法やインスリン持続注入ポンプを用いている患者の場合にも、正常 な血糖値を目指すために血糖自己測定が必要となる。 (ウ) 本願の指定商品である「医療用血糖監視装置」は、血糖自己測定のための装置であり、本願商標となっているのは、原告商品のうち、上腕部、腹部等に一定期間装着し、連続して血糖値を測定する持続血糖モニター(CGM)のために用いられる原告センサーである。 (エ) 一般社団法人日本糖尿病学会は、平成31年1月11日、「持続グルコースモニタリングデバイス適正使用指針」を策定し(令和6年5月15日まで随時改訂)、保険適用となった、原告を含む3社の具体的な製品毎に、適応となる患者像、糖尿病治療の専門的な知識に基づく指導内容等を定めている。 イ原告商品について原告は、平成28年12月に医療機関向けの商品である「FreeStyle リブレPro」(同月1日保険適用開始、リーダー 門的な知識に基づく指導内容等を定めている。 イ原告商品について原告は、平成28年12月に医療機関向けの商品である「FreeStyle リブレPro」(同月1日保険適用開始、リーダーを医療機関が所持、管理するもの)の、平成29年1月に患者向けの商品である「FreeStyle リブレ」(同年9月1日保険適用開始)の販売を開始し、その後一貫して、原告 センサーに本願商標の立体的形状を採用して使用している(甲8の3、甲20、21、弁論の全趣旨)。 原告商品は、患者が自己使用する医療用血糖監視装置としては、国内で最も先行して販売が開始されたものであり、その後に他社商品が販売あるいは販売が計画されている状況にある(甲10、乙2~5、7~1 2、18)。 ウ本願商標が使用された期間前記イのとおり、原告は、平成28年12月に原告センサーを含む原告商品の販売を開始している。 また、原告は、同年11月28日、自社のウェブサイト上のプレスリリ ースにおいて、本願商標の立体的形状である原告センサーの画像ととも に「FreeStyle リブレPro」の発売開始を告知していることから(甲21)、遅くともそのころ以降、原告商品に関する広告に本願商標を付して頒布、提供し、本願商標を使用したと認められる。 したがって、本件審決時までの本願商標の使用期間は、約7年となる。 エ商品の販売数量等(別紙「原告センサーの販売数量等」参照) (ア) 原告社内の会計システムから抽出したデータ(甲50の1・2、甲64)によれば、原告センサーの販売数量等は、平成28年の販売開始以降急速に増加しており、令和元年には約●●●●個、純売上高は約●●●円(1米ドル=150円で換算した場合、以下 (甲50の1・2、甲64)によれば、原告センサーの販売数量等は、平成28年の販売開始以降急速に増加しており、令和元年には約●●●●個、純売上高は約●●●円(1米ドル=150円で換算した場合、以下同じ)、令和4年には約●●●●個、純売上高約●●●●円、令和5年には約●●●●個、純 売上高約●●●●円であったと認められる。 そして、原告が委託した米国の調査会社の調査結果(甲51の1・2)によれば、医療用血糖監視装置に係る原告商品の国内市場シェアは、令和2(2020)から令和5(2023)年までの4年間、1型糖尿病患者では●割を、2型糖尿病患者では概ね●割を上回っているが、直近 の3年間を通じてシェアは減少傾向にある(前者について●●●●%→●●●●%→●●●●%、後者について●●●●%→●●●●%→●●●●%)。なお、同調査結果の対象とする「医療用血糖監視装置」の具体的範囲は明らかでない。 (イ) 他方、MordorIntelligence のウェブサイト(乙34)に掲載された、 自己血糖測定器市場の令和4(2022)年の市場規模は約6億9600万米ドル(1044憶円)であり、その約70%は検査ストリップ分野(採取した血液を試験機器に載せて測定するもの)であって、使用頻度の違いから、血糖測定器よりも検査用ストリップのシェア拡大が見込まれるとされている(仮に残り30%がすべて持続血糖モニター(CG M)であるとすると、その市場規模は約313億2000万円とな る。)。 696,000,000×0.3×150=31,320,000,000このほか、同ウェブサイトには、「日本自己血糖測定器市場のリーダーたち」として、原告のほか、4社の名前が挙げられている。 (ウ) 以上によれば、原告センサ 3×150=31,320,000,000このほか、同ウェブサイトには、「日本自己血糖測定器市場のリーダーたち」として、原告のほか、4社の名前が挙げられている。 (ウ) 以上によれば、原告センサーの売上が増加しているということはで きるが、自己血糖測定器市場全体における原告製品のシェアが圧倒的というわけでもない。甲51の1及び2におけるシェアの対象商品市場は、明らかではないが、仮に、それが持続血糖モニターに関するデバイス市場のみを対象とするものだとしても、シェアは3年間で減少傾向にある。したがって、これらの統計的数値から、本願商標が、そ の使用により、インスリン治療に関わるすべての需要者からみて、自他識別能力を有するに至ったことを推認することは困難である。 オ広告宣伝がされた期間及び規模等(ア) 原告は、原告商品の広告宣伝を、原告の公式ウェブサイト(甲13、20~22)、リーフレット、ポスターや説明資料(甲53~60、 62、63)、糖尿病学会における展示(甲61)、Youtube の紹介動画(甲19、31の1~3)により行っており、その広告宣伝費は、平成28年から令和5年までの合計で約●●●円であった(甲50の2、別紙「原告センサーの販売数量等」参照)。 原告の公式ウェブサイトの閲覧実績は、令和3(2021)年1月1 日から令和4(2022)年6月6日までの間、アクセス数は約331万回、新規ユーザーは約78万人であった(甲8の5)。 なお、原告商品は医療機器であるため、医薬品等適正広告基準により、一般消費者を対象とする広告が制限され、主として医療関係者を対象とするものに限られている(甲12、弁論の全趣旨)。 これらの広告宣伝のほぼすべてにおいて、原告センサーを上面視した 、一般消費者を対象とする広告が制限され、主として医療関係者を対象とするものに限られている(甲12、弁論の全趣旨)。 これらの広告宣伝のほぼすべてにおいて、原告センサーを上面視した 画像(別紙商標目録の2番目のもの)、又は斜め上からみた画像(別紙商標目録の1番目のものか、その左右を逆にしたもの)が、その冒頭に掲載されている。斜め上からみた画像からは、本願商標の①本件正円柱形状、②本件正円板、③本件正円孔及び④本件二層形状のうち下部側面を一周する破線状の形状を確認することができ、上面視した 画像からも、①本件正円柱形状、②本件正円板、③本件正円孔の形状を確認することができる。 (イ) 原告商品は、日本糖尿病学会編著の「糖尿病治療の手びき2023」(甲10)を始めとする多数の書籍、糖尿病専門サイト、各種医療機関等の第三者のウェブサイト、新聞記事等(甲4の1・3、甲32~ 34、36~45)において紹介されており、甲37、42を除き、前記(ア)同様の原告センサーの画像が掲載されている。 (ウ) 原告商品は、平成29年のグッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会実施)を受賞し、その紹介記事には、リーダーとともに原告センサーの画像(斜め上からみた画像)が掲載された(甲5、6。 なお、甲6の審査委員の評価中には「家庭用医療器具に求められる、分かりやすさ、使いやすさ、保管しやすさ」を評価した旨の記載はあるが、前記①から④までの各特徴について特に言及はない。)(エ) しかるところ、これらの原告商品の広告宣伝等は、そのほとんどすべてにおいて「FreeStyle リブレ」の文字からなる商品名とともに広告 又は紹介されていることが認められる。原告センサーを装着した状態の写真を掲載してい 品の広告宣伝等は、そのほとんどすべてにおいて「FreeStyle リブレ」の文字からなる商品名とともに広告 又は紹介されていることが認められる。原告センサーを装着した状態の写真を掲載している場合にも、説明部分では「freestyle リブレ」の商品名とともに、専用のリーダーや携帯をかざすだけで血糖値を見ることができるのが便利である等との解説がされており(甲42、43、45)、そこで強調されているのは、専ら持続血糖モニター(CGM) 装置としての有用性である。視覚的に認識することができる原告セン サーの立体的形状それ自体は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものであることには変わりはないから、これらの広告宣伝等をもっても、原告商品が、文字からなる商品名から離れて、その形状自体で需要者により強い印象を与える自他識別力を獲得するに至ったものとまでは認めることはできない(そもそも、原告商品の広告宣伝 等からは、需要者が、これらの広告宣伝のうち、どの部分に強い印象を受けているのかは明らかではない。)。 ⑷ 本件アンケート(甲49)についてア本件アンケートは、令和6年6月26日から同年7月4日にかけて調査会社により実施されたものであるから(甲49の24頁。以下の頁数は甲 49のものを示す。)、調査時期としては、その約半年前である本件審決時(同年1月4日)における需要者の認識を裏付けるものとみて、特に問題はない。 そして、その回答者のスクリーニング条件は、以下のとおりである。 (ア) 糖尿病患者(18歳以上) 323名 糖尿病との診断を受けており、過去1年以内に医師からインスリン製剤を処方されたことがあり、過去1年以内にCGMの購入経験がある、又は今後購入を予定・検討している者( 18歳以上) 323名 糖尿病との診断を受けており、過去1年以内に医師からインスリン製剤を処方されたことがあり、過去1年以内にCGMの購入経験がある、又は今後購入を予定・検討している者(4、6、44頁)(イ) 糖尿病患者の親(20歳~69歳) 39名1~17歳の子が糖尿病患者であり、過去1年以内に医師からイン スリン製剤を処方されたことがあり、かつ過去1年以内にCGMの購入経験がある、又は今後購入を予定・検討している者(4、6、44頁)(ウ) 看護師 214名看護師として代謝・内分泌・糖尿科、一般内科、腎臓内科、総合診 療科・総合内科のいずれかに勤務し、過去1年以内に医師からインス リン製剤を処方された糖尿病患者に対し指導・支援を行ったことがあり、過去1年以内にCGMの使用の指導・支援経験がある、又は今後予定・検討している者(5、6、49頁)(エ) 医師 202名医師として糖尿病科、代謝・内分泌内科、一般内科、腎臓内科、総合 診療科・総合内科のいずれかに勤務し、過去1年以内に糖尿病患者に対しインスリン製剤を処方したことがあり、過去1年以内にCGMの使用を勧めたり指導したことがある、又は今後予定・検討している者(5、6、81頁)イ回答結果 上記の回答者に、別紙商標目録のものと同じ写真を提示した場合の回答結果は、以下のとおりであった。 なお、患者等のうちの1型糖尿病患者、医師・看護師のうち1型糖尿病患者に使用推奨、指導等の経験がある者の正答率は、さらに高いものとなっている。 (ア) 糖尿病患者、糖尿病患者の親(41頁~)見たことがある ●●●●●特 は、さらに高いものとなっている。 (ア) 糖尿病患者、糖尿病患者の親(41頁~)見たことがある ●●●●●特定のメーカーの製品だと思う ●●●●●メーカー又は製品名を正答(純粋想起) ●●●●●メーカー・製品名を正答(選択肢による助成想起) ●●●●● 純粋想起・助成想起合計の正答率 ●●●●●(イ) 看護師(49頁~)見たことがある ●●●●●特定のメーカーの製品だと思う ●●●●●メーカー又は製品名を正答(純粋想起) ●●●●● メーカー・製品名を正答(選択肢による助成想起) ●●●●● 純粋想起・助成想起合計の正答率 ●●●●●(ウ) 医師(81頁~)見たことがある ●●●●●特定のメーカーの製品だと思う ●●●●●メーカー又は製品名を正答(純粋想起) ●●●●● メーカー・製品名を正答(選択肢による助成想起) ●●●●●純粋想起・助成想起合計の正答率 ●●●●●ウ本件アンケートの回答者について(ア) 本願商標の指定商品である医療用血糖監視装置は、前記⑶アのとおり、糖尿病の治療としてインスリン療法を受けており、日常的に継続して 血糖値を測定する必要性が高い重度の糖尿 いて(ア) 本願商標の指定商品である医療用血糖監視装置は、前記⑶アのとおり、糖尿病の治療としてインスリン療法を受けており、日常的に継続して 血糖値を測定する必要性が高い重度の糖尿病患者が、直接の需要者となると認められる。 また、インスリン療法は、重度の糖尿病患者の治療として行われるものであり、医療用血糖監視装置である持続血糖モニター(CGM)の適応や使用についても、医師の専門的知識に基づく指導が望ましい (乙18)とされているのであるから、糖尿病の専門的知識を有する医療関係者も需要者に当たるといえ、特に医師の認識は、体温計や血圧測定器のような日用品に近い医療機器と異なり、患者が商品を購入するに際しても重要となると認められる。 (イ) もっとも、患者が血糖値を自己測定する方法として、従来、穿刺採 取した血液をセンサーで測定する血糖自己測定器(SMBG)が広く使われており、なお、自己血糖測定装置の市場において相当程度の割合を占めていると考えられるから(前記⑶エ(イ))、これを利用する患者等も、医療用血糖監視装置の潜在的な需要者に当たるといえる。 したがって、本件アンケートのスクリーニング条件として、持続血 糖モニター(CGM)の購入を現に予定又は検討している患者、指導 等を予定している医師、看護師に限ったことは、もともと母数が少ないことに加え、将来需要者となる者の多くが含まれていないのではないかとの疑問がある。 (ウ) その意味で、本件アンケートは、将来的にインスリン療法が必要となる者を含む一般の糖尿病患者を広く対象とするものとなっておらず、 本願商標の指定商品に係る需要者層の一般的な認識を客観的かつ公正に反映したものではないのではないかという問題点があるが、仮にこ なる者を含む一般の糖尿病患者を広く対象とするものとなっておらず、 本願商標の指定商品に係る需要者層の一般的な認識を客観的かつ公正に反映したものではないのではないかという問題点があるが、仮にこの点を措いたとしても、以下に述べるとおり、本件アンケートの結果は、商標法3条2項の適用を認めるに十分なものではない。 エ回答結果について 純粋想起の正答率は、糖尿病患者及びその親で●●●●●、看護師で●●●●●にとどまっており、助成想起を合計した場合でも、それぞれ●●●●●、●●●●●にとどまっているという結果は、本願商標は、その形状自体では、需要者に対し、自他識別力を有するに至っていないことを明らかに示すものである。医師として過去1年以内に糖尿病患者 に対しインスリン製剤を処方し、若しくは過去1年以内にCGMの使用を勧めたり指導したりしたことがあり、又は今後予定・検討している者ですら、純粋想起の正答率は●●●●●にすぎず、助成想起を併せて●●●●●になるにすぎない。本件アンケートの結果をみても、本願商標が、その使用の結果、高い自他識別力を有するに至っていることを認め るに足りず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 原告は、本件アンケートの結果に基づき、需要者の認知度が高い旨縷々主張するが、いずれも採用することができない。 ⑸ 商標法3条2項該当性についての結論以上のとおり、本願商標の形状(前記⑵)は、③の本件正円孔と④の本 件二層形状を含む全体として、需要者に強い印象を与えるものであること を認めるに足りる的確な証拠がないのみならず、本願商標が使用された期間、原告商品の販売数量、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情を総合考慮したとしても、本願商標に係る原告センサーの形状が、それ自 めるに足りる的確な証拠がないのみならず、本願商標が使用された期間、原告商品の販売数量、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情を総合考慮したとしても、本願商標に係る原告センサーの形状が、それ自体では、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する範疇に属するにもかかわらず、その使用の結果、広く自他識別力を有するに至ったものと認 めるに足りるだけの主張立証はないというべきである。そうすると、本願商標は、使用された結果、本願指定商品の需要者において十分な自他商品識別力を獲得したと認めることはできないから、商標法3条2項を適用することはできないというべきである。 したがって、この点に係る本件審決の判断には誤りはない。 3 結論よって、原告の請求は理由がないから、請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 裁判官菊池絵理 裁判官 頼晋一 (別紙)商標目録 以上 (別紙)本件審決(抜粋) 4 当審の判断(1)商標法第3条第1項第3号該当性についてア立体商標における商品の形状に係る判示 (ア)商品又は商品の包装(以下「商品等」という。)の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択さ に係る判示 (ア)商品又は商品の包装(以下「商品等」という。)の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。 このように、商品の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、 それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品等の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。 そうすると、商品等の形状は、多くの場合、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。 (イ)また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として 採用されるが、一方で、当該商品等の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。 しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべき である。その理由は 測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべき である。その理由は、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商 品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から必ずしも適切でないことにある。 (ウ)さらに、商品等に、需要者において予測し得ないような斬新な形状が用いられた場合であっても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるとき には、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。 その理由として、商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に、商品等の機能の観点からは発明ないし考案として、商品等の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占 権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反することが挙げられる(知的財産高等裁判所平成18年(行ケ) 第10555号判決、平成19年(行ケ)第10215号判決、平成22年(行ケ)第10253号判決)。 イ本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性本願商標は、別掲1のとおり (行ケ) 第10555号判決、平成19年(行ケ)第10215号判決、平成22年(行ケ)第10253号判決)。 イ本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性本願商標は、別掲1のとおり、高さの低い偏平な略円柱形及びその底面に接するように当該略円柱形の底面より大きくて厚みがほぼない円板形が組み合わされており、略円柱形 の上面中央に小さい歯車状のものが埋没するように配され、略円柱形の側面を一周するように波状の模様ないし装飾が施された立体的形状からなるものである。 そして、本願商標の指定商品を扱う分野において、原審で示した別掲2のとおり、偏平な円形ないし略円柱形のセンサーや丸みを帯びた薄型形状のセンサーが存在することが認められる。 そうすると、本願商標の立体的形状における、高さの低い偏平な略円柱形及びその底面 部に接するように当該略円柱形の底面より大きく厚みがほぼない円板形の組合せは、本願商標の指定商品について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものといえる。 また、本願商標の立体的形状における、略円柱形の上面中央に埋没するように配された小さい歯車状のものや、略円柱形の側面を一周するように施された波状の模様ないし装飾 についても、商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものといえるものであり、そのようには認識されないというべき特段の事情は見いだせない。 してみると、本願商標の立体的形状は、客観的にみて、本願商標の指定商品である「医療用血糖監視装置」について、機能又は美感に資することを目的として採用されたものと みるのが相当であり、また、「医療用血糖監視装置」の形状として、需要者において、機能又は美感に資す である「医療用血糖監視装置」について、機能又は美感に資することを目的として採用されたものと みるのが相当であり、また、「医療用血糖監視装置」の形状として、需要者において、機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものといえ、結局のところ、本願商標は、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 ウ請求人の主張について(ア)請求人は、請求人(法人)の技術部門の職員が宣誓した宣誓書(参考資料2)を提出した上で、本願商標の立体的形状は、実際に製造するには多くのステップと考慮事項が必要であり、「恣意性」がある旨、また、円形形状とすることによって、普通に用いられない方法で表示するという「特段の事情」がある旨主張している。 ところで、請求人のいうところの「恣意性」とは、上記宣誓書における「・・・、利用可能な代替デザインがある、すなわち、形状の恣意性がある・・・」(参考資料2-2、3ページ)との記載から、「利用可能な代替デザインがある」ことをいっているものと思われる。 そして、上記ア(イ)のとおり、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による 形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商 品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。 そうすると、たとえ利用可能な代替デザインがあったとしても、また、製造するには多くのステップと考慮事項が必要であったとしても、上記イのとおり、本願商標の立体的形状は、機能又は美感に資することを そうすると、たとえ利用可能な代替デザインがあったとしても、また、製造するには多くのステップと考慮事項が必要であったとしても、上記イのとおり、本願商標の立体的形状は、機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものと判断するの が相当であって、円形形状とすることが「特段の事情」に当たるとはいえない。 (イ)請求人は、「偏平」で、かつ、「丸い」形状は我が国の市場においては、請求人の「医療用血糖監視装置」のみであり、加えて、円形状の中央に付された歯車を模したような模様や、側面部に波を模したような模様が付されていることから、本願商標の自他商品識別力が認められるべきである旨主張している。 また、請求人は、請求人の「医療用血糖監視装置」が紹介されている数件のウェブサイト(参考資料4)を示した上で、当該商品が「五百円玉程度のセンサー」、「500円玉大の丸いセンサー」又は「500円玉大の小型の丸いセンサー」のように記載され、丸い500円玉大のセンサーの形状そのものが自他商品の識別力を有している旨主張している。 請求人の提出に係る参考資料4によれば、数件のウェブサイトにおいて、請求人の「医 療用血糖監視装置」が「五百円玉程度のセンサー」、「500円玉大の丸いセンサー」又は「500円玉大の小型の丸いセンサー」のように紹介されていることが認められる。 しかしながら、これらの紹介記事は、いずれも500円玉程度の大きさであることや丸い形状をしていることといった商品の形状の特徴を単に説明しているものであって、500円玉程度の大きさであることや丸い形状をしていることそれ自体が自他商品の識別標識 として機能していることを示すものではない。 また、当該ウェブサイトにおいて、本願商標の立体的形状における、略円柱形の上面 きさであることや丸い形状をしていることそれ自体が自他商品の識別標識 として機能していることを示すものではない。 また、当該ウェブサイトにおいて、本願商標の立体的形状における、略円柱形の上面中央に埋没するように配された小さい歯車状のものや、略円柱形の側面を一周するように施された波状の模様ないし装飾について、特筆している記載は何ら見当たらない。 そして、別掲2のとおり、偏平な円形ないし略円柱形のセンサーや丸みを帯びた薄型形 状のセンサーが存在することをも踏まえれば、本願商標が自他商品の識別力を有するとい うことはできない。 (ウ)請求人は、本願商標の同様の「偏平」かつ「丸い」形状が米国や他の国で意匠登録されていることを示した上で、本願商標は「医療用血糖監視装置」そのものの機能をそのまま表す形状ではない旨、グッドデザイン賞を受賞していることから、本願商標はありきたりな美感に資する目的で採用されたものではない旨、本願商標が他国において商標登 録されていることを示した上で、本願商標の独占使用を認めることが公益上適当である旨主張している。 しかしながら、意匠登録と商標登録とではその要件を異にするものであり、また、グッドデザイン賞はあくまでもデザインが評価されたことを示すものであり、他国における商標登録は我が国における自他商品の識別力を直接示すものではないから、請求人の当該主 張によって、上記イの判断が左右されるものではない。 (エ)以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できない。 (2)商標法第3条第2項該当性についてア請求人は、仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標は使用による識別力を獲得している旨を主張しているので、本願商標の同条第2項該 当性について、 性についてア請求人は、仮に、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標は使用による識別力を獲得している旨を主張しているので、本願商標の同条第2項該 当性について、以下判断する。 イ商標法第3条第2項に係る判示商品等の立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標ないし商品等の形状、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間・地域及び規模、当該形状に類似した他の商品等の存否などの諸事 情を総合考慮して判断するのが相当である。 そして、使用に係る商標ないし商品等の形状は、原則として、出願に係る商標と実質的に同一であり、指定商品に属する商品であることを要するというべきである(上記(1)アに係る知的財産高等裁判所判決)。 また、一般に、商品等の形状に接する需要者は、当該形状は、商品等の機能や美感を際 立たせるために選択されたものと認識し、出所識別標識のために選択されたものとは認識 しない場合が多いといえることからすると、当該立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかの判断に当たっては、当該立体的形状が需要者の目に付きやすく、強い印象を与えるものであったかについても勘案して判断すべきである。 ウ本願商標の商標法第3条第2項該当性について(ア)事実認定 請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、次の事実が認められる。 a 請求人は、本願商標の立体的形状からなる「医療用血糖監視装置」(以下「請求人商品」という。)を、2016年10月に日本において販売を開始し、現在までの日本における総売上高は約2.7億USドルに上り、また、日本国内に20社以上の販売代理店を有しており、こ 置」(以下「請求人商品」という。)を、2016年10月に日本において販売を開始し、現在までの日本における総売上高は約2.7億USドルに上り、また、日本国内に20社以上の販売代理店を有しており、これらの代理店を通じて日本全国に商品を販売しており、加えて、請求 人商品の市場シェアは、2021年においては一般的なグルコースモニター全体の約20%であり、日本において1日に数回インシュリンを投与する患者の間で第1位の市場シェアを獲得した(参考資料8-2)。 b 請求人は、自身のウェブサイトで請求人商品に関する広告を行っており(参考資料8-2別紙2)、そのウェブサイトのアクセス数は、2021年1月1日から2022 年6月6日の間に330万を超え、80万人近くの新規消費者が訪れている(参考資料8-2別紙3)。また、請求人商品に関するパンフレットも配布している(参考資料8-2別紙4)。 c 2016年10月の導入から今日に至るまで、請求人商品の広告に、合計で約1,450万ドルが費やされた(参考資料8-2)。 d 請求人商品が、2017年に公益財団法人日本デザイン振興会主催のグッドデザイン賞を受賞している(参考資料6)。 e 2022年に請求人商品に関する保険適用の対象者が増えることになった際に、新聞やウェブ等の約50以上の媒体がそのニュースを採りあげており(参考資料8-2別紙1)、また、現在においても、請求人商品を紹介するウェブサイトがある(参考資料 4)。 f 請求人のウェブサイト(参考資料8-2別紙2)、請求人商品に関するパンフレット(参考資料8-2別紙4)及び請求人商品に関する新聞やウェブ等の記事(参考資料4、参考資料8-2別紙1)の一部には、請求人商品の画像が掲載されているが、これ 2別紙2)、請求人商品に関するパンフレット(参考資料8-2別紙4)及び請求人商品に関する新聞やウェブ等の記事(参考資料4、参考資料8-2別紙1)の一部には、請求人商品の画像が掲載されているが、これらの画像は、いずれも、殊更に大きく顕著に表示されているものではない。 g 請求人のウェブサイト(参考資料8-2別紙2)、請求人商品に関するパンフレ ット(参考資料8-2別紙4)及び請求人商品に関する新聞やウェブ等の記事(参考資料4、参考資料8-2別紙1)において、請求人商品は、常に「FreeStyleリブレ」の文字からなる商標とともに広告又は紹介されている。 (イ)判断a 上記(ア)で認定した事実によれば、本願商標の立体的形状からなる「医療用血 糖監視装置」である請求人商品は、2016年に販売が開始され、その販売数及び売上高は相当程度あり、請求人のウェブサイトやパンフレットにおいて広告宣伝がされ、その広告費用も相当程度あり、加えて、新聞、雑誌及びウェブサイトで紹介されていることなどが認められる。 そうすると、請求人商品それ自体は、需要者の間に一定程度認識されていることがうか がえる。 b しかしながら、請求人商品に関する広告及び紹介記事において、請求人商品の画像が殊更に大きく顕著に表示されているものではなく、また、請求人商品の広告又は紹介が常に「FreeStyleリブレ」の文字からなる商標とともにされている事実に鑑みれば、本願商標の立体的形状が、需要者の目に付きやすく、強い印象を与えているものと は認められない。 c そうすると、請求人の提出した証拠によっては、本願商標がその指定商品「医療用血糖監視装置」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ってい ない。 c そうすると、請求人の提出した証拠によっては、本願商標がその指定商品「医療用血糖監視装置」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいまだ認めることができない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。 以上 (別紙「原告センサーの販売数量等」省略)

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る