平成12(行ウ)41 公金支出差止請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年11月27日 大阪地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-6609.txt

判決文本文40,227 文字)

平成15年11月27日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成12年(行ウ)第41号公金支出差止請求事件口頭弁論終結日平成15年8月19日判決 主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求被告は,地下鉄新線「北港テクノポート線」の建設事業に関する公金を支出してはならない。 2 予備的請求被告は,地下鉄新線「北港テクノポート線」の下記建設工事について支出負担行為をしてはならない。 記(1) 咲洲「3k」から夢洲「4k672m000」に至る道路・地下鉄一体区間の地下鉄工事部分(2) コスモスクエア駅西端「2k499m000」から西へ19.9メートル離れた地点から咲洲「3k」までの道路と一体でない地下鉄工事部分第2 事案の概要本件は,原告らが,大阪市が中心となって実施している地下鉄新線北港テクノポート線の建設事業ないしその事業に対する公金支出が違法であるとして,被告に対し,平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「旧法」という。)242条の2第1項1号に基づき,その事業に関する公金支出(以下「本件公金支出」という。)等の差止めを求める住民訴訟である。 1 前提事実(争いのない事実及び証拠(各摘示)により容易に認められる事実)(1) 原告らは,いずれも大阪市の住民である。 (2) 北港テクノポート線(以下「本線」という。)は,咲洲のコスモスクエア駅を起点とし,夢洲,舞洲を経て此花区北港2丁目の新桜島駅までの約7.3キロメートルを海底トンネルで結ぶ地下鉄規格の普通鉄道(以下「地下鉄」という。)として計画されている路線である。建設事業費は1870億円と試算されている。 本線の施工方 丁目の新桜島駅までの約7.3キロメートルを海底トンネルで結ぶ地下鉄規格の普通鉄道(以下「地下鉄」という。)として計画されている路線である。建設事業費は1870億円と試算されている。 本線の施工方法は,咲洲側の陸上部並びに夢洲及び舞洲の駅部分はオープンカット(開削)工法(地表面から工事に必要な深さまで掘り下げ,構築物を完成させた後再び土砂で埋め戻す工法で,主に駅部や特殊なトンネル部で用いられる工法)とし,咲洲~夢洲間の道路・鉄道併設トンネル(以下「夢洲トンネル」という。)は,沈埋工法(陸上などの別の場所で製作した沈埋函を水に浮かべて建設位置まで曳航し,あらかじめ浚渫した所定の海底に順次沈めた後埋め戻してトンネルを構築する工法)を採用し,他の鉄道区間はシールド工法(オープンカット工法によって造られた立坑から,掘削機を用いて地中深く横穴を掘っていき,その中にセグメントと呼ばれるブロックを組み立てていく工法)としている(甲8,乙22,証人A邦明)。 本線工事は,沈埋トンネル及びアプローチ部については,大阪市が国に施工委託して行うこととされ,本線のインフラ部分(レール,枕木等,電車を走行させるために必要な設備を敷設するための施設)については,大阪市が直接請負業者に工事を発注し,上記インフラ部分以外の部分(インフラ外部)は大阪市が51パーセント出資する第三セクターである株式会社大阪港トランスポートシステム(以下「OTS」という。)が建設することになっている。国委託部分については,大阪市が,年度ごとに,当年度分の工事について国と委託契約を締結し,委託費の支払については,上記の契約の定めるところにより国からの請求に基づき委託費を支出し,工事完了時には,国からの完了通知と精算額調書に基づき工事費の精算を行うこととされている。大阪市の発注部分について の支払については,上記の契約の定めるところにより国からの請求に基づき委託費を支出し,工事完了時には,国からの完了通知と精算額調書に基づき工事費の精算を行うこととされている。大阪市の発注部分については,大阪市が,年度ごとに,当年度分の工事について,工事請負業者と請負契約を締結し,請負代金の支払については,上記契約の定めるところにより前金を支払い,出来高部分又は検査済み工事材料の検査確認ができたものについては業者からの請求に基づきその代金を部分払として支払い,工事完了時に残額を支払うこととされている。 本線完成後は,OTSがその営業をする予定となっている。 (3) テクノポート大阪計画(乙1)大阪市は,昭和63年7月,臨海部の新たな埋立地を活用して,先端技術開発機能,国際交易機能,情報通信機能を中心に文化,レクリェーション,居住等の都市機能を備えた21世紀の新都心づくりを推進するために,テクノポート大阪計画を策定した。本線に関しては,開発の進捗に合わせて南港地区(咲洲)から延伸しネットワークを形成するとともに,北港北地区(舞洲)から都心北部へ連絡するルートの建設を促進するとされていた。 (4) 運輸政策審議会答申第10号(乙2)平成元年5月の運輸政策審議会答申第10号「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」(以下「運政審答申」という。)において,本線は,鉄道網及び鉄道輸送の課題に対応するために必要な新設路線として挙げられた。 (5) スポーツアイランド基本計画(乙3)大阪市は,平成2年7月,北港北地区(舞洲)において,スポーツアイランド計画を推進するために,スポーツアイランド基本計画を策定した。 (6) 大阪市では,2008年(平成20年)の夏季オリンピックに関し,平成6年3月に大阪市議会において「オリン いて,スポーツアイランド計画を推進するために,スポーツアイランド基本計画を策定した。 (6) 大阪市では,2008年(平成20年)の夏季オリンピックに関し,平成6年3月に大阪市議会において「オリンピック招致,開催に関する決議」が議決され,平成10年12月には,オリンピック招致が閣議了解され,正式立候補の上,招致活動が行われたが,平成13年7月,同オリンピックの開催地は北京と決定された。大阪オリンピックが開催された場合,舞洲にオリンピック用競技場が建設され,舞洲を中心とする本線の沿線各地区のスポーツ施設が会場として用いられ,夢洲には選手村が建設され,2007年(平成19年)に完成を予定していた本線はメインアクセスとしての役割を果たすことになっていた。そして,オリンピック終了後には,夢洲の選手村を改装し,6万人の居住を予定する住宅を開発することが計画されていた。 (7) 本線建設の着工大阪市は,平成12年度から平成19年度までを工期とし,平成20年を開業予定として本線の建設を計画した。本線の営業主体となるOTSは,平成12年7月19日,運輸大臣に対し,本線に係る鉄道事業許可の申請を行い(乙6の1),同年10月11日に許可を受け(乙17),次いで同月12日に工事施行認可申請(第一次)を行い(乙18),同年12月1日に認可を受けた(乙19)。本線に係る都市計画については,都市計画案の公告,縦覧が同年8月1日から同月15日までの間行われ(乙12),同年12月4日に都市計画審議会に諮られ,その了承を得た(乙13の1,2)。同月12日から都市計画決定の告示,縦覧の手続が行われた(乙14)。同月から本線の建設工事が開始された。また,OTSは,平成13年1月26日に工事施行認可申請(第二次)を行い(乙20),同年7月27日に認可を受けた(乙21)。 示,縦覧の手続が行われた(乙14)。同月から本線の建設工事が開始された。また,OTSは,平成13年1月26日に工事施行認可申請(第二次)を行い(乙20),同年7月27日に認可を受けた(乙21)。 (8) テクノポート大阪計画の見直し(乙23)大阪市は,平成13年9月以降,プロジェクトチームを組んでテクノポート大阪計画の今後の進行について検討し,平成14年12月,「『テクノポート大阪』計画の今後の進め方について」と題する報告書を発表した。 (9) 本線建設の進捗状況等本線につき,平成14年度末までに完了している工事は,①咲洲側アプローチ部及び夢洲側アプローチ部の地盤改良,②咲洲側アプローチ部及び夢洲側アプローチ部の基礎工事(基礎杭打設等)の一部,③夢洲側アプローチ部の仮設工事(掘削部の土留工事),④咲洲側アプローチ部の仮設工事の一部,⑤夢洲側立坑の製作及び設置工事(ただし,地下鉄開通部分の仕上げ工事を除く。)である。大阪市が平成14年度末までに支出した工事費用(事業費を含む。)は70億7965万円である。 本線について,今後大阪市が予定している工事は,「コスモスクエア駅西端2k499m000」から西へ19.9メートル離れた地点から「4k672m000」の地点までである。このうち,平成15年度に予定している主な工事は,①「コスモスクエア駅西端2k499m000」から西へ19.9メートル離れた地点から「コスモスクエア西線路増築部終端大阪港起点2k727m064」までの地下鉄増線工事のうち,基礎杭の打設工事及び仮設工事(掘削部の土留工事),②「コスモスクエア西線路増築部終端大阪港起点2k727m064」から西に約89メートルまでの区間における咲洲側漏斗部を築造するための基礎杭の打設工事及び仮設工事(掘削部の土留工事),③沈埋函の製 「コスモスクエア西線路増築部終端大阪港起点2k727m064」から西に約89メートルまでの区間における咲洲側漏斗部を築造するための基礎杭の打設工事及び仮設工事(掘削部の土留工事),③沈埋函の製作であり,予算は57億7330万円である。 そして,「4k672m000」から先については,夢洲の中長期的な需要を見極めてから工事に着手することにしているが,その時期は未定である。 (10) 原告らは,平成12年3月13日及び同年4月21日,本線建設が地方自治法(以下「法」という。)1条,2条12項,13項,地方財政法4条に違反するとして,本線建設を取り止める等の適切な措置を求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)を行ったが,大阪市監査委員は,原告らに旧法242条5項に基づく証拠の提出及び陳述の機会を与えることなく,同年3月13日の監査請求について同年4月20日付けで却下した。 2 争点(1) 監査請求前置(被告の主張)法242条1項に基づく監査請求は,地方公共団体の執行機関又は職員に違法又は不当な財務会計上の行為があると認められるとき,当該行為の防止又は是正を図ることを目的とするものであり,本来,その対象となるべき行為は,財務会計上の行為に限られている。本件監査請求は,それ自体では財務会計上の行為とはいえない本線の建設計画そのものに対する批判に終始しており,何ら特定の財務会計上の行為を対象としたものとはなっていない。もっとも,財務会計上の行為とその原因となる非財務的行為との間に密接かつ一体的関係がある場合には,その原因となる行為の違法性を主張することにより,当該財務会計上の行為の是正を求めることができるとも考えられるが,原告らの監査請求においては,財務会計上の行為ないし不当となるべき原因たる事実が全く指摘されていない。それゆえ を主張することにより,当該財務会計上の行為の是正を求めることができるとも考えられるが,原告らの監査請求においては,財務会計上の行為ないし不当となるべき原因たる事実が全く指摘されていない。それゆえ,本件監査請求を受理した大阪市監査委員は,本件監査請求を不適法として却下したのである。 以上のように,本件監査請求は不適法であるから,本件訴えは監査請求前置を満たしておらず不適法である。 (原告らの主張)原因行為の違法が財務会計行為の違法に直結する場合には,これらの行為を含めて監査請求の対象となるべきところ,本件公金支出と本線建設とは密接不離の関係にあり,本線建設の違法が公金支出の違法に直結するといえるから,原告らの監査請求は適法である。 (2) 本件公金支出の違法性(原告らの主張)ア財務会計行為とその原因となる非財務会計行為との間に密接かつ一体的な関係がある場合,原因行為の違法性が財務会計行為に承継されるところ,本線建設と本線の建設に係る費用の支出は密接かつ一体的な関係にあるから,本線建設が違法であれば,本線建設に係る費用の支出も違法となる。 イ法2条14項,地方財政法4条1項違反等(ア) 地方公共団体は,その事務を処理するに当たっては,住民の福祉の増進に努めるとともに,最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならず(法2条14項),その経費は,その目的を達成するための必要かつ最少の限度を超えてこれを支出してはならない(地方財政法4条1項)とされているところ,本線に係る建設事業は,このような健全財政の要件を満たしておらず違法である。 (イ) 需要見込みがないこと都市内交通を担う公共交通は,整備予定地域の人口の集積と予測を基にその種類を選択される。地下鉄は,高速大量輸送機関に分類されるが,建設費が高額であることが特色であり (イ) 需要見込みがないこと都市内交通を担う公共交通は,整備予定地域の人口の集積と予測を基にその種類を選択される。地下鉄は,高速大量輸送機関に分類されるが,建設費が高額であることが特色であり,地下鉄を整備し,運営するには,地下鉄の沿線地域に高密度な人口の集積が必要である。 現在,咲洲のコスモスクエアから夢洲,舞洲,此花区桜島のルート付近には,常住者はいない。舞洲のスポーツ施設やゴミ処理施設等も地下鉄の交通需要に見合うものではない。 被告は,本線を開発型路線と位置づけ,テクノポート大阪計画による将来の交通需要に応えるものであるとするが,被告の需要予測に示された従業員人口や常住人口は,大阪のオフィス街で最も従業員人口密度の高い大阪駅前等や他の臨海副都心における従業員人口との比較,ポートアイランド等の隣接埋立地の常住人口等との比較においても,明らかに過大な予測値である。現在,コスモスクエア地区に既に存在するワールドトレードセンター(WTC),アジア太平洋トレードセンター(ATC)等においても,テナントが集まらず多くの空きスペースを抱えている。大阪市の人口も微減傾向になっている。運政審においても,本線の建設について,地下鉄ではなく,輸送量,建設費が地下鉄の約半分となる新交通システムすなわちニュートラムとして建設することを妥当とする答申を出している。 本線の建設はテクノポート大阪計画に基づき計画されたものであるが,テクノポート大阪計画自体も再検討され,夢洲の住宅開発は10年以上先まで凍結され,舞洲に計画されていたゴルフ場,スキー場等といったスポーツレクリェーション施設も中止されることになったのであるから,予想される常住人口や従業員人口も更に減少することになる。 仮にテクノポート大阪計画を前提としても,開発当初は交通需要が少ないこと ポーツレクリェーション施設も中止されることになったのであるから,予想される常住人口や従業員人口も更に減少することになる。 仮にテクノポート大阪計画を前提としても,開発当初は交通需要が少ないことから,路線バス,路面電車で十分である。また,車両の定員とは座席数とつり革,手すりの数の合計であり,ラッシュ時にはそれ以上の人員を輸送することは日常的であるところ,被告の需要予測によっても,本線を地下鉄ではなくニュートラムとした場合に,定員を超える時間帯は一日の一部であり,地下鉄を敷設するほどの需要があるとはいえない。 以上によれば,本線の沿線地域に,地下鉄建設に十分な需要は見込まれない。 (ウ) 莫大な費用本線建設の費用は1870億円と試算されているが,これまでの地下鉄建設の実績と桜島との連絡線建設による追加費用も合わせると,本線建設費用は総額3600億円に達すると予想される。また地下鉄はそのランニングコストが高く,本線の維持費すら赤字となる可能性が高い。 一方,大阪市は,平成13年度に5兆4311億円の累積債務があり,平成14年11月には財政非常事態を宣言した。本線建設後に本線の運営を予定しているOTSについても,既に運行中の南港テクノポート線のランニングコストが膨大であるため,鉄道部門で50億円もの累積赤字を計上している。そして,本線の建設運営により償却対象資産(インフラ外)に係る減価償却費が大きくなる一方で,本線については距離に比例した運賃を取ることは困難であり,夢洲の住宅が順調に売却されなければ乗客が極端に少なくなることになるから,本線建設運営後には,OTSは毎年50億円以上の赤字を出し,経営破綻が予想される。 本線建設により,大阪市やOTSの財政危機を更に悪化させることになることは明らかである。 (エ) 以上のように地下鉄へ 建設運営後には,OTSは毎年50億円以上の赤字を出し,経営破綻が予想される。 本線建設により,大阪市やOTSの財政危機を更に悪化させることになることは明らかである。 (エ) 以上のように地下鉄への需要見込みのない地域に,莫大な費用を支出して本線を建設すると,建設費はもとよりその後の維持費を含め莫大な赤字を出すことは必至であり,本線建設に関する費用を支出することは,有効性,効率性,経済性及び市民の福利適合性のいずれにも反し,被告に一定の裁量が認められるとしても,本線の建設事業は,健全財政の要件を満たしておらず違法である。 被告は,本線のうち,咲洲のコスモスクエア駅から夢洲へのトンネル部分の工事について,国の道路建設と一体化して行うことが経済的,技術的に合理的であるとし,同部分について先行して着工することが必要であると主張する。しかし,大阪市港湾局企画振興部計画課長である証人Aの証言にもあるように,本線建設は技術的に着工から供用開始まで8年かかるところ,夢洲の開発開始時期は10年以上先であって,夢洲での交通需要の発生は更にその先になる。咲洲,夢洲間のトンネル工事には400億円の建設費用がかかり,供用されるまでにも借入金の支払利息や減価償却,施設維持費等の経費がかかる。そして,技術的には道路部分の建設後に地下鉄部分の建設をすることも可能であることからすれば,咲洲,夢洲間のトンネル部分について,現在,国の道路建設と一体化して行う必要はないというべきである。 ウ本線建設の都市計画法違反地下鉄は,都市計画法上,都市施設とされ,都市施設は「土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めること」とされている(都市計画法13条1項11号) 用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めること」とされている(都市計画法13条1項11号)。 (ア) 適切規模要件違反都市計画法にいう適切規模は,公共交通機関を新設する場合においては,いかなる公共交通機関を選択するかという点において検討されるべき問題である。一般に鉄軌道系の公共交通機関は,単位輸送量と速度を基準に,地下鉄のような高速大量型,モノレールや新交通システムのような中速中量型,路面電車のような低速少量型の3種類に区分される。この選択で重要であるのは,高速大量の輸送機関ほど当初の建設費用と建設後のランニングコストが高いことである。地下鉄を選択する場合,路線の周辺地域に相当量の人口の張り付きが必要であり,将来の見込みが必要である。本線の建設予定地は,現在無人の人工島であり,被告の需要予測が明らかに過大であるのは前述したとおりである。なお,他の人工島では,公共輸送機関として地下鉄を選択していないし,運政審答申も新交通システム,すなわちニュートラムによる整備を挙げている。 都市施設の安全,防災要件は,都市計画基準に直接掲げられていないが,都市計画法において当然の前提となっているところ,海底に地下鉄を整備する以上,水害の場合に水没する危険があり,本線は危険性が高い。 したがって,地下鉄として計画されている本線の建設が適切規模要件に違反することは明らかである。 (イ) 現在及び将来の土地利用要件違反前述のとおり,本線の路線は,舞洲,夢洲の人工島以外は大阪湾であり,路線周辺を埋め立てない限り,人口が増えることはない。人工島での住宅計画の人口6万人は現在存在せず,仮に計画どおり人口が張り付いたとしても,高速大量の輸送機関である地 洲の人工島以外は大阪湾であり,路線周辺を埋め立てない限り,人口が増えることはない。人工島での住宅計画の人口6万人は現在存在せず,仮に計画どおり人口が張り付いたとしても,高速大量の輸送機関である地下鉄の輸送能力に対応する人口集積は将来も見込めない。また,人工島に企業やスポーツ施設が立地したとしても,地下鉄の必要性は説明できない。 (ウ) 必要な位置要件違反都市施設は必要な位置に配置されなければならない。将来の整備が検討もされていない位置に地下鉄を整備することは,不必要な整備であり,違法である。 運政審答申では,本線の夢洲から此花方面への延伸を検討対象としながらも,此花区が工業地帯で常住人口が存在しない地区であり,また仮に地下鉄を整備する場合,此花区は地下鉄とJRの2本の公共交通機関を持つことになるから,その必要性に関し否定的に記載されている。本線は,海底を通ってきた地下鉄の終点駅が沿岸地区にあり,しかも他のいかなる公共交通機関とも接続していない。被告は,新桜島駅とJR桜島駅との間について,地下鉄又はJRを延伸させる計画路線としているが,そのような計画路線は運政審答申にないものである。さらに,鉄軌道の整備は,交通需要の高い都心から周辺地域に向けて整備するのが原則であるが,仮に沿岸地域から人工島である夢洲までの鉄軌道を整備する必要があるのであれば,JR桜島駅からJR此花線を延長するか,同駅から高架鉄道を整備すれば最短距離の路線であり合理的である。 したがって,本線の此花区方面への延伸路線は,運政審答申で必要性に関し否定的に記載されていた路線の先取りであり,不必要な整備として違法である。 (エ) 以上によれば,本線建設が都市計画法13条1項6号に違反することは明らかである。 エ本件公金支出の確実性違法な本線建設により本件公金支 線の先取りであり,不必要な整備として違法である。 (エ) 以上によれば,本線建設が都市計画法13条1項6号に違反することは明らかである。 エ本件公金支出の確実性違法な本線建設により本件公金支出がされることは必至である。そして,本線建設着工と工事が進むほどにその中止や回復が困難となるのであり,差止めが必要である。 (被告の主張)ア本件公金支出は,法2条14項,地方財政法4条1項等に適合している。 (ア) 本線建設の合理性についてテクノポート大阪計画においては,先端技術開発機能,国際交易機能,情報通信機能の3つの中核機能に加えて,21世紀の新しい都市核にふさわしい文化,レクリェーション,住居などが臨海部に集積させるべき機能として挙げられており,大阪市は,同機能にふさわしい土地利用計画を立てて,これに基づいて詳細な需要予測を行っており,決して過大な評価をしているわけではない。 都市機能の東京への一極集中により大阪の地盤沈下が叫ばれている状況において,大阪市が21世紀の本格的な都市間競争を勝ち抜き,我が国の持続的な発展を先導する役割を果たしていくためには,上記の新しい機能を集積させた街づくりが必要となってくるところ,市域の狭隘な大阪市の既存市街地において,そのような街づくりに必要な土地を確保することは不可能であることから,テクノポート大阪計画に従って臨海部の開発を着実に進めていく必要がある。計画当初は,平成20年を目指して開発を行ってきたところ,昨今の経済状況の悪化等にかんがみ,開発期間が調整されてはいるが,今後の社会経済状況に応じて開発を進めていく予定であり,中長期的には本線について予測した需要が発生することは十分見込まれる。 原告らは,夢洲等における企業等の進出が見込めないとするが,新しい都市機能が集中した臨海部へ企業が進 発を進めていく予定であり,中長期的には本線について予測した需要が発生することは十分見込まれる。 原告らは,夢洲等における企業等の進出が見込めないとするが,新しい都市機能が集中した臨海部へ企業が進出するモチベーションは高い。また,本線は,新たに開発する住宅に居住する人々,物流施設,業務施設で働く人々の移動手段を確保した上で,沿線を開発し,新しい街づくりを進めていくという開発型路線である。現代社会において地下鉄が公共交通機関として重要な役割を果たしていることはいうまでもなく,バスに比べて交通渋滞による遅滞が生じない,強風の場合に橋によるアクセスが困難になるところ,地下鉄はそのような天候の影響を受けにくい,短い運転間隔での運行が可能であるなどの利点があり,住宅購入や企業進出の際に,地下鉄によるアクセスのあることが大きな動機となる。したがって,原告らが主張するように,需要が見込めるようになってから地下鉄を敷設するのでは,企業進出等に遅れが生じ,テクノポート大阪計画に大きな支障が生じることは明らかである。 また,ゴルフ場等のレクリェーション施設の設置が中止となったが,現在のところ具体的な計画はないものの,それらの施設予定地は都市機能用地に変更されており,同都市機能用地施設の従業員が地下鉄を利用することになるから,従前の緑地に比べて需要が増えるといえる。 さらに,原告らは,ラッシュ時には定員以上の人員を輸送することは日常的であり,被告の需要予測によっても,本線を地下鉄とする必要はないと主張するが,定員数を上回る乗客を乗せて運行することは,安全性,快適性の観点から問題があり,また乗降時間が長くなり,定時運転を確保することも難しくなる。運輸サービスを行う者としては,安全性,快適性,確実性を犠牲にして機種選定を行うべきではない。仮に舞洲方面から 適性の観点から問題があり,また乗降時間が長くなり,定時運転を確保することも難しくなる。運輸サービスを行う者としては,安全性,快適性,確実性を犠牲にして機種選定を行うべきではない。仮に舞洲方面からコスモスクエア駅までの間をニュートラムとすると,コスモスクエア駅から本町方面は地下鉄であることから,乗換えの必要が生じ,乗客の利便性を大きく損なう。 以上によれば,本線を地下鉄としたことについて十分な合理性が認められる。 (イ) 今後の本線建設について本線のうち,咲洲のコスモスクエア駅から夢洲へのトンネル部分(夢洲トンネル)の工事については,以下の理由から先行着工し,夢洲より先については,夢洲の中長期的な需要を見極めながら工事を進めていく予定であるから,需要が全く見込めない状況において本線を整備しているという原告らの主張は失当である。 a 道路・地下鉄部分が一体である区間について咲洲と夢洲を結ぶ道路トンネル(夢洲トンネル)は,平成14年9月に供用が開始された夢洲のコンテナターミナルや将来的に建設が予定されているコンテナターミナルと咲洲や背後の都市圏との輸送ネットワーク形成のために必要不可欠であり,本線とは関係なく整備が急がれるものである。そして,夢洲トンネルは沈埋トンネル工法により製作されるが,沈埋トンネル工法とは,陸上で製作した沈埋函という構造物を沈埋現場まで曳航し,あらかじめ掘削した海底に沈めた後に土砂の埋め戻しを行うものである。本件においては,将来的に本線を整備する予定になっていることから,道路部分と地下鉄部分を一体的に整備する方が経済合理的であることは明らかである。仮に別々に整備する場合には,あらためて沈埋工法又はシールド工法により地下鉄部分を整備することになるが,このように別々に工事をすれば,歳出増加につながる。 b 道路 合理的であることは明らかである。仮に別々に整備する場合には,あらためて沈埋工法又はシールド工法により地下鉄部分を整備することになるが,このように別々に工事をすれば,歳出増加につながる。 b 道路,地下鉄部分が必ずしも一体ではない区間について仮に道路部分のみを先行して完成させ,地下鉄部分は後に整備するとすれば,道路部分が地下鉄部分の上を走行しており,地下鉄部分の工事はオープンカット工法(地表を掘り,構造物を建造し,埋め戻す工法)により行われることになるから,道路整備費が二重にかかり,地下鉄工事中の長時間にわたり道路部分の使用が不能になり,咲洲と夢洲の道路ネットワークを早期に整備した意義が薄れてしまう不都合が生じる。なお,仮にシールド工法によって地下鉄部分を整備しようとした場合でも,咲洲の工事予定部分は狭隘で,掘削機等を搬入する立坑は道路部分以外に確保できず,同様の不都合が生じる。 イ以下のとおり,本線に係る事業計画は都市計画法に適合しており,大阪市における都市計画の適法性,妥当性を審査する機関である大阪市都市計画審議会においても,都市計画基準に適合するものとして都市計画決定が可決され,大阪市において都市計画決定されたものである。 (ア) 都市計画法違反の判断基準都市計画法13条は,都市計画を定める上で遵守すべき事項を定めた規定であり,都市計画が違法であるか否かの規範にすぎない。したがって,たとえ本線に係る事業計画に同条の要件に適合しない点があったとしても,それだけでは本線に係る事業に対する支出が直ちに違法となるものではない。本線に係る事業における都市計画が同条に違反し違法となることにより,初めて本線に係る事業に対する支出が違法となるのである。 そして,都市計画法の定める基準は,抽象的な文言で表現されているにすぎないのであって 事業における都市計画が同条に違反し違法となることにより,初めて本線に係る事業に対する支出が違法となるのである。 そして,都市計画法の定める基準は,抽象的な文言で表現されているにすぎないのであって,その基準を当てはめるに当たっては,性質上,専門技術的な判断と同時に,都市政策全体の見地からの政策的な判断が求められるということができる。したがって,具体的にどのような都市計画を定めるかは,決定権者である大阪市の裁量にゆだねられているものであって,その適否を判断するに当たっては,都市計画法上の考慮要素についての大阪市の判断に社会通念上著しく不相当な点があり,その裁量の範囲を逸脱し,あるいは裁量権の濫用があったと認められない限り,当該都市計画決定が違法となるものではない。 (イ) 本線の必要性原告らは,被告の需要予測を不当なものであり,本線は採算が見込まれず都市計画法に違反すると主張するが,被告は,適切な需要予測に基づき本線の必要性を判断している。そもそも,土地利用等の現状及び将来の見通し等については,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するという観点から論じられるべきものであるところ,人口問題のみに固執するのは,都市計画法の趣旨に反するものである。本線は開発型路線であり,あくまでも開発計画に基づく需要予測に基づき鉄道を敷設することにより,有効な土地利用を図ることができれば都市計画の基準に合致するのである。鉄道によるアクセスがなければ,将来的に予定されている国際物流関連施設,物流関連,貿易関連企業,住宅,スポーツレクリェーション施設の誘致がたちまち困難となり,都市計画法が目指すところの機能的な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持することができないこととなるのは明らかである。本線建設を見送ることは,むしろ夢洲,舞洲等の有効な土地利 がたちまち困難となり,都市計画法が目指すところの機能的な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持することができないこととなるのは明らかである。本線建設を見送ることは,むしろ夢洲,舞洲等の有効な土地利用を自ら放棄することに等しいのであり,本線は都市政策全体の見地から設置すべき路線である。 (ウ) 原告らの主張に対する反論a 適切規模要件違反本線は,鉄道事業許可を受ける際に行った需要予測において,将来市内の他の地下鉄並みの輸送需要が発生することが見込まれ,監督官庁から鉄道事業許可を受けている。人工島における交通機関の選択は,人工島の規模や土地利用計画,輸送需要の見通しによって異なるところ,夢洲や舞洲に関する需要予測の結果によれば,地下鉄の輸送力が必要と判断されたのである。運政審答申は,その時点における運輸政策審議会の意見表明であり,社会情勢等の変化に応じて適宜再検討されるべきものであるし,法的拘束力も有しない。 原告らが主張する防災要件違反については,抽象的な水没等のおそれを指摘するものにすぎない。現在,海底に立地する鉄道路線があるが,海底部の鉄道が防災上問題があるとの指摘は一切されておらず,原告らの主張は何ら根拠のないものである。 以上によれば,適切規模要件違反には当たらない。 b 現在及び将来の土地利用要件違反本線の沿線人口は開発計画の完成時において4万9000人の夜間人口と6万3000人の就業人口が想定されており,これを基にした需要予測によると1日当たり13万人の利用者を見込むことができる。これは地下鉄の輸送力に対応する乗客見込数であって,本線建設が,沿線の現在及び将来の土地利用計画に照らして,決して過大なものということはできない。 c 必要な位置要件違反本線の設置位置については,都市計画決定時にその必要性が検討され であって,本線建設が,沿線の現在及び将来の土地利用計画に照らして,決して過大なものということはできない。 c 必要な位置要件違反本線の設置位置については,都市計画決定時にその必要性が検討された上,都市計画審議会で可決され,都市計画決定されたものである。 運政審答申には,法的拘束力がなく,具体的な計画策定に当たってはその後の事情や計画の変化を織り込むべきであることは当然であり,現在の計画に何ら違法性はない。なお,運政審答申では,本線建設の必要性が否定されているわけではなく,検討の結果必要性が認識されれば,計画実現のために積極的に努力することが期待されていたものである。 原告らは,新桜島駅と他の路線のアクセスを問題とするが,大阪市では,臨海部におけるループ状の鉄道ネットワークを完成させるべく本線の新桜島駅とJR桜島駅を接続する路線について検討中である。 (エ) 以上によれば,本線建設が都市計画法に適合するものであることは明らかである。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(監査請求前置)について法242条に定める住民監査請求は,普通地方公共団体の財政の腐敗防止を図り,住民全体の利益を確保する見地から,当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の違法若しくは不当な財務会計上の行為又は怠る事実について,その監査と予防,是正等の措置を監査委員に請求する権能を住民に与えたものであるから,その対象事項は,同条1項の定める公金の支出,財産の取得・管理・処分,契約の締結・履行,債務その他の義務の負担,公金の賦課・徴収又は財産の管理を怠る事実という財務会計上の行為又は怠る事実としての性質を有するものに限られる。 本件監査請求に係る大阪市職員措置請求書(甲1)をみると,原告らの監査請求の対象が財務会計上の行為又は怠る事実であるか否かについ う財務会計上の行為又は怠る事実としての性質を有するものに限られる。 本件監査請求に係る大阪市職員措置請求書(甲1)をみると,原告らの監査請求の対象が財務会計上の行為又は怠る事実であるか否かについて一見して明確に判断することができるとはいえないものの,「違法テクノ線建設を取り止める等適切な措置を求め」と記載され,本線建設に関する違法・不当事由として,大阪市が本線を建設すること,本線建設に伴う建設費が3800億円に上ること,大阪市の累積赤字が4兆6000億円に上ること等の指摘がされた後,これらが必要最少経費の原則を定める地方財政法4条1項に違反すると記載されていることに照らせば(甲1),本件監査請求が本線建設に伴う公金支出の差止めを求めているものと解することが可能であり,法242条1項が定める住民監査請求の対象事項となる公金支出を問題としているということができる。 したがって,本件監査請求が財務会計上の行為又は怠る事実を対象としておらず違法であるとする被告の主張は採用できない。 2 争点(2)(本件公金支出の違法性)について原告らは,本線建設が違法であるから,原因行為の違法が承継され,本件公金支出又は本線に係る支出負担行為も違法であるとして,本件公金支出又は本線に係る支出負担行為の差止めを求めている。 市長は,経費の支出を伴う事業の施行決定及び工事の請負契約等の締結権限を有しており(大阪市においては,本線関連事業については港湾局長の専決とされているが,本来的権限は市長にある。),経費の支出決定,支出命令についても,実際には局長,課長等が専決することになっているとはいえ,市長が本来的権限を有しており,専決者に対する指揮監督の権限と責務を有しているということができる。したがって,財務会計行為の直接の原因行為となる事業の施行決定等が違法 することになっているとはいえ,市長が本来的権限を有しており,専決者に対する指揮監督の権限と責務を有しているということができる。したがって,財務会計行為の直接の原因行為となる事業の施行決定等が違法であって,市長において,誠実執行義務に従ってこれを取消し,停止し,又は是正することができ,かつ,そうすべきであるにもかかわらず,そのような措置を講ずることなく,支出負担行為,支出命令等の財務会計行為を行うことが,財務会計法規上違法となる場合があることは否定できない。 そこで,以下,本線建設事業の違法性について検討することとする。 (1) 前述の前提事実に加え,証拠(各摘示)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 アテクノポート大阪計画(乙1,22,証人A)(ア) 大阪市は,昭和63年7月に,臨海部のまちづくりの枠組みを定める基本計画としてテクノポート大阪計画を策定した。テクノポート大阪計画は,大阪市が21世紀に向けた活力ある国際情報都市として,さらには,快適な都市環境を備えた産業・文化都市として発展していくため,大阪市中心部と関西文化学術研究都市とを結ぶ東西軸と関西国際空港から神戸に至る湾岸軸とが交差する地点として開発,発展の可能性の高い臨海部に,今後の発展を担う先端技術開発機能,国際交易機能及び情報通信機能の中核機能に加え,21世紀の都市核にふさわしい文化,レクリェーション,住居といった都市機能を集積して,近畿圏,大阪都市圏の発展をリードしようとする新しい街づくりの計画であり,広域的な大規模プロジェクトである。 (イ) 計画人口テクノポート大阪の完成時(概ね平成22年)の計画人口は,南港地区(咲洲コスモスクエア地区),北港北地区(舞洲)及び北港南地区(夢洲)のそれぞれの常住人口を0人,0人,6万人の合計6万人,従業人口を3 クノポート大阪の完成時(概ね平成22年)の計画人口は,南港地区(咲洲コスモスクエア地区),北港北地区(舞洲)及び北港南地区(夢洲)のそれぞれの常住人口を0人,0人,6万人の合計6万人,従業人口を3万7000人,1万人,4万5000人の合計9万2000人,昼間人口を7万1000人,2万2000人,10万7000人の合計20万人と設定された。 (ウ) 概算投資額テクノポート大阪計画実現のため,必要な投資額として,公共部門(埋立て,土地造成,道路・鉄道等の都市基盤施設)が約9000億円,民間部門(業務・商業施設,住宅等の建設投資)が約1兆3000億円と試算された。 (エ) 土地利用a 北港北地区(舞洲)埋立てを完了し地盤改良中の北港北地区(舞洲)は,広大なスポーツレクリェーション空間と技術開発・研修,教育ゾーンからなる比較的低密な地区とするとされ,レクリェーションゾーン110ヘクタール(スポーツ施設,レクリェーション施設,緑地等),技術開発・研修,教育ゾーン60ヘクタール(研究開発型企業,高等教育機関・研究施設,研修施設,健康関連研究施設等),物流ゾーン40ヘクタール(コンテナ埠頭,物流関連施設等),その他15ヘクタール(道路)として利用されるとされた。 b 北港南地区(夢洲)埋立中又は埋立予定の北港南地区(夢洲)は,テクノポート大阪の中核にふさわしい業務,商業施設を中心に集積させるとともに,一つのまちとして自立する居住ゾーンを設け,また,未来型の大型都市施設を導入するとされ,技術開発・研修ゾーン20ヘクタール(先端技術開発・研修施設,商品開発・展示施設等),国際交易・業務ゾーン85ヘクタール(国際交易・交流施設,コンベンション施設,業務・商業・居住複合施設等),情報・通信ゾーン10ヘクタール(情報・通信関連企業,コンピューターセン 開発・展示施設等),国際交易・業務ゾーン85ヘクタール(国際交易・交流施設,コンベンション施設,業務・商業・居住複合施設等),情報・通信ゾーン10ヘクタール(情報・通信関連企業,コンピューターセンター等),文化・レクリェーションゾーン60ヘクタール(文化施設,レクリェーション施設,緑地等),居住ゾーン130ヘクタール(住宅(低層~高層,マリーナ付き等2万戸(一部は,国際交易業務ゾーン上層に設置)),地区センター(ショッピングセンター,医療施設等),小中高等学校等),物流ゾーン60ヘクタール(大水深コンテナ埠頭,物流関連施設等),その他25ヘクタール(道路)として利用されるとされた。 c 南港地区(咲洲)都心に近いテクノポート大阪の玄関口として,国際交易機能等を中心に集積させ,比較的高密度な開発を行い,また,機能的に24時間対応のまちとするとされ,技術開発・研修ゾーン40ヘクタール(システム開発センター,ソフト開発センター,研修施設等),国際交易・業務ゾーン60ヘクタール(一部,情報・通信系,文化系を含む。)(ワールドトレードセンター,アジア・太平洋トレード・センター,国際見本市会場(インテックス大阪),展示場,ホテル・コンベンション施設,ファッション関連施設,ワイン館等),情報・通信ゾーン5ヘクタール(テレポート基地等),文化,レクリェーションゾーン15ヘクタール(海洋博物館,緑地等),物流ゾーン15ヘクタール(国際フェリーターミナル,航空貨物基地等),その他25ヘクタール(道路)として利用されるとされた。 (オ) 都市基盤施設本線は,テクノポート大阪計画における都市基盤施設の一つとして挙げられ,開発の進捗に合わせて南港地区(咲洲)から延伸しネットワークを形成するとともに,北港北地区(舞洲)から都心北部へ連絡するルートの建設を ,テクノポート大阪計画における都市基盤施設の一つとして挙げられ,開発の進捗に合わせて南港地区(咲洲)から延伸しネットワークを形成するとともに,北港北地区(舞洲)から都心北部へ連絡するルートの建設を促進するとされた。 イ運政審答申(乙2)運政審答申において,本線は,テクノポート大阪計画(北港地区)に伴い発生する輸送需要に対応するために必要な路線(大規模プロジェクト等の対応のために必要な路線)であり,新交通システムとして整備する路線であるとされ,本線のうち海浜緑地(コスモスクエア駅)から北港北地区(舞洲)までの区間については,テクノポート大阪計画の進捗状況に合わせて着手するとされ,目標年次(平成17年)までに整備に着手することが適当である路線として位置づけられ,北港北地区(舞洲)から此花区方面へ向かう区間については,テクノポート大阪計画の進捗状況,当該整備に伴う新規需要の規模,北港~大阪港間の路線による対応等を総合的に勘案して,路線整備の必要性について検討するとされ,今後路線整備について検討すべき方向として位置づけられた。 ウスポーツアイランド基本計画(乙3)大阪市は,平成2年7月,増大かつ多様化する市民の健康増進やスポーツ・レクリェーション需要に対応するとともに,大阪市制100周年記念事業として,長期的展望に立ち,次代の市民の財産ともなるような施設整備を図るものとして,北港北地区(舞洲)におけるスポーツアイランド計画を推進するために,スポーツアイランド基本計画を策定し,北港北地区(舞洲)に,マリーナ,ゴルフコース,屋内人工スキー場等の施設を設置するとした。 なお,同計画の土地利用・交通施設計画においても,本線の整備が前提とされている。 エ大阪港港湾計画(乙8)大阪市は,平成9年3月,平成17年を目標年度とする大阪港港湾 の施設を設置するとした。 なお,同計画の土地利用・交通施設計画においても,本線の整備が前提とされている。 エ大阪港港湾計画(乙8)大阪市は,平成9年3月,平成17年を目標年度とする大阪港港湾計画を策定した。 同計画は,平成元年における大阪港のコンテナ貨物取扱量が輸出366万1287トン,輸入501万6716トンの合計867万8003トンであり,平成6年においては,輸出504万5946トン,輸入815万3708トンの合計1319万9654トンであったところ,目標年度である平成17年には,コンテナ専用岸壁で取扱うコンテナ貨物量を2465万トンと予測している。そして,これに対応して,南港地区(咲洲),北港南地区(夢洲)のコンテナ埠頭計画に変更を加え,新島地区に新たなコンテナ埠頭を計画している。各地区のコンテナ埠頭における平成17年度の予測取扱量は,南港の既設コンテナ埠頭で550万トン,新設コンテナ埠頭で380万トン,新島地区で870万トン,北港南地区で665万トンと計画している。 同計画では,北港北地区(舞洲),北港南地区(夢洲)においても,都心及び南港地区(咲洲)とを連絡する輸送機関の充実が重要となるため,鉄軌道の導入を図るとして,本線の構想が示されている。 オ夢洲~咲洲連絡路及び北港テクノポート線建設に伴う事業化検証調査業務報告書(乙4)大阪市は,平成10年10月,夢洲~咲洲連絡路及び北港テクノポート線の事業化の評価に関し,運輸省第三港湾建設局と共同で調査を実施し,大阪港夢洲~咲洲連絡路及び北港テクノポート線事業化検証調査委員会を設置し,夢洲トンネルと本線の事業効果について費用便益分析を用いた評価を行った。 (ア) 便益算定項目便益算定項目(便益を受ける主体)としては,時間短縮(自動車利用者,鉄道利用者),走行経費削 設置し,夢洲トンネルと本線の事業効果について費用便益分析を用いた評価を行った。 (ア) 便益算定項目便益算定項目(便益を受ける主体)としては,時間短縮(自動車利用者,鉄道利用者),走行経費削減(自動車利用者)及び道路交通事故減少(自動車利用者)の3つの便益が挙げられている。走行時間短縮便益(自動車利用者)は,交通施設整備のない場合における自動車交通量と所要時間を乗じたものから,交通施設整備のある場合における自動車交通量と所要時間を乗じたものを差し引き,これに時間価値原単位と365日を乗じて算出される。時間短縮便益(鉄道利用者)は,鉄道利用者数,所用時間差(夢洲トンネルと本線がない場合の自動車での所要時間と鉄道での所要時間の差),時間価値原単位及び365日を乗じて算出される。走行経費削減便益は,自動車交通量,夢洲トンネル及び本線の有無によるガソリン消費量差,ガソリン単価並びに365日を乗じて算出される。道路交通事故減少便益は,夢洲トンネル及び本線がない場合の交通事故発生数と夢洲トンネル及び本線がある場合の交通事故発生数の差額に交通事故社会的損失原単位を乗じて算出する。 (イ) 費用項目費用項目としては,事業費2860億円と維持管理費66億円/年が挙げられている。 (ウ) 交通量の算定夢洲トンネル及び本線がある場合の発生集中交通量(後述カ(ウ)d参照)に,道路利用率を用いて道路への配分交通量を算出して,夢洲トンネル及び本線がある場合の交通量を算定する。 夢洲トンネル及び本線がない場合の交通量の設定は,自動車交通の迂回と鉄道利用者の自動車交通への転換とを基に算定される。 (エ) 便益算定結果時間短縮便益は,平成20年に354億6500万円,平成29年に2784億7700万円であり,走行経費削減便益は,平成20年に62億40 自動車交通への転換とを基に算定される。 (エ) 便益算定結果時間短縮便益は,平成20年に354億6500万円,平成29年に2784億7700万円であり,走行経費削減便益は,平成20年に62億4000万円,平成29年に363億3000万円であり,交通事故減少便益は,平成20年に15億2300万円,平成29年に39億5200万円となり,平成29年に約3200億円の便益が見込まれる。 (オ) 費用便益分析(社会費用便益比)社会費用便益比は,プロジェクト便益の現在価値をプロジェクト費用の現在価値で除して算出されるが,社会的にみて現在価値に換算された費用1単位が,そのプロジェクト期間において平均的にどれだけの便益を生み出すかを表しており,その評価基準は,1以上の値をとった場合,そのプロジェクトは社会的に価値を持つと判断できる。 夢洲トンネル及び本線の整備に関しては,総便益が3兆1500億円,費用は3200億円となり,費用便益比は10.01で1.0を上回る。 カ本線に係る鉄道事業許可申請等(乙6,17)(ア) 本線の営業主体となるOTSは,平成12年7月19日,運輸大臣に対し,本線に係る鉄道事業許可の申請を行い,同年10月11日に許可を受けた。 (イ) 本線は,咲洲・夢洲・舞洲・此花区を連絡する路線であり,3か所で航路など海域を横断する。航路を橋梁形式で横断する場合,橋梁下面から海面までの距離(桁下高さ)を航行する船舶の海面上の高さ以上に確保する必要が生じる。本線が横断する咲洲~夢洲間の海域は大阪港の主要航路であり,高さ45メートルにもなるコンテナ船等の大型船が航行するため,潮位の変動や波による船体の動揺を考慮すると,橋梁の桁下高さは最低でも50メートルは必要となる。このような高さの橋梁に線路を敷設して地下鉄を走行させるためには,現在地 ナ船等の大型船が航行するため,潮位の変動や波による船体の動揺を考慮すると,橋梁の桁下高さは最低でも50メートルは必要となる。このような高さの橋梁に線路を敷設して地下鉄を走行させるためには,現在地下約7.7メートルの深さにあるコスモスクエア駅から海面上約55ないし65メートル(橋梁下面高さ+橋梁構造物の厚み+鉄道用の走路の厚み)まで登る必要があり,コスモスクエア駅終端から航路までの約1025メートルを直線で登ると勾配は6.1ないし7.1パーセントとなり,普通鉄道構造規則(昭和62年3月2日運輸省令第14号)17条を満たさないことから,全面地下構造とすることになった(乙6,22)。 (ウ) 上記鉄道事業許可申請の中で,OTSは,大阪市臨海地域ではテクノポート大阪計画に基づくまちづくりが推進され,舞洲では,スポーツ・レクリェーション施設の整備が進められ,物流関連施設が稼働し,夢洲においても,大規模住宅,貿易・流通関連企業が集積する国際業務ゾーン及び大水深コンテナターミナルを中心とする国際流通センター等を整備すべく埋立造成中であり,平成20年の開業時には,本線沿線地域の夜間人口が1万1700人,従業員人口が2万9800人,臨海地域の開発計画完成時(熟成期)には,本線沿線地域の夜間人口が4万9000人,従業員人口が6万3000人に達し,1日約13万人の輸送需要が発生することになるとしている。 上記の需要予測は,<A>対象地域の設定,<B>将来人口フレームの設定,<C>ゾーン区分の設定,<D>発生集中交通量の予測,<E>分布交通量の推定,<F>交通手段別交通量の推定,<G>終日輸送需要の推定,<H>ピーク時輸送需要の設定という流れで行われており,これらの設定等の概要は以下のとおりである。なお,上記の設定等は,本線の終着駅である新桜島駅とJRの 別交通量の推定,<G>終日輸送需要の推定,<H>ピーク時輸送需要の設定という流れで行われており,これらの設定等の概要は以下のとおりである。なお,上記の設定等は,本線の終着駅である新桜島駅とJRの終着駅である桜島駅とが接続されるという前提で行われている(乙7,22,証人A)。 a <A>対象地域の設定本線の需要予測の対象とする地域を北港北(舞洲),北港南(夢洲),新島地区,此花西部臨海区とし,対象地域外を大阪市及び周辺2府4県で構成する京阪神都市圏とした。 b <B>将来人口フレームの設定(別紙1。乙10)(a) 夜間人口大阪市全域における人口政策としての2005年目標のマスタープランでは,人口構成の均衡化を実現するために必要な人口規模や21世紀の都市居住にふさわしい居住水準や住環境を前提としたときの受入可能性及び市域内における住宅建設の将来展望を考慮し,目標年次である2005年(平成17年)における計画人口が280万人程度であることが望ましいとされた。そして,平成5年当時の大阪市内の人口が260万人程度であったことから,新たに20万人を受け入れる住宅施設を整備する必要があるとし,都市部での住宅整備の限界や市内の各地域ごとの特性を考慮して,臨海部で約7万8000人程度を受け入れ,このうち6万人を大規模な住宅開発が可能な夢洲で,残りの1万8000人を在来臨海部の此花臨海,築港,弁天,鶴浜の各地区で受け入れる必要があるとされていた。このように,上位計画としては,夢洲に6万人程度の居住人口を集積することとしているが,大阪市の全庁的な組織である夢洲まちづくり推進本部において,計画策定から鉄道事業許可申請までの社会情勢の変化を考慮して,より実現可能な計画として,中層住宅を中心に,美しい町並みをもったゆとりのある住宅地づくりを進めると ある夢洲まちづくり推進本部において,計画策定から鉄道事業許可申請までの社会情勢の変化を考慮して,より実現可能な計画として,中層住宅を中心に,美しい町並みをもったゆとりのある住宅地づくりを進めるとの観点から,住宅ゾーンの面積を約200ヘクタールとし,1万5000戸程度の住宅を計画していることから,鉄道事業上はこれに沿った人口フレームとして,目標年次(熟成時)である平成34年の計画人口を4万5000人とすることとし,目標年次から逆算して,開業時である平成20年の計画人口9000人と設定した。 平成7年3月に再開発地区計画が策定された此花西部臨海地区については,開業時2700人,熟成時4100人と設定した。 (b) 従業人口将来の従業人口は,以下のとおり,対象地域である夢洲,新島,舞洲及び此花西部臨海地区の地区別の土地利用計画面積と土地利用用途別原単位(単位面積当たりの従業員数)を乗じる等の方法で算出した。 a) 埠頭用地及び港湾関連用地(物流機能)(夢洲,舞洲,新島地区)及び夢洲の住宅施設用地の従業人口の原単位は,北港地区と類似している大阪南港における大阪南港立地事業所実地調査の結果から推定した。 b) 夢洲の流通系港湾関連用地(業務・研究施設用地)及び舞洲の業務研究開発施設の需要は,大阪市臨海部の業務関連用地需要についてのアンケート調査の結果より把握,設定した。 c) 夢洲の業務商業系施設のうち環境関連業務及び準緑地系のうち環境産業系の従業人口は,港湾計画で定めている従業人口を参考に,面積比率により算出した。 d) 夢洲の業務商業系施設のうち業務商業施設及び住居系の都市文化軸の業務商業系の従業人口は,他地区の開発事例を参考に原単位を算出した。 e) 夢洲の集客系施設である緑地施設の従業人口の原単位は,大阪市内の同程度の規模で利用 うち業務商業施設及び住居系の都市文化軸の業務商業系の従業人口は,他地区の開発事例を参考に原単位を算出した。 e) 夢洲の集客系施設である緑地施設の従業人口の原単位は,大阪市内の同程度の規模で利用形態の近い公園施設の事例を参考に算出した。 f) 社会福祉施設(舞洲),清掃工場用地(舞洲)及び下水処理施設(夢洲,舞洲)の従業人口の原単位は,大阪市内の各施設の事例から算出した。 g) 舞洲における緑地・レクリェーション用地の従業員人口は,別紙2のとおり,予定している施設ごとに類似施設等を参考にしながら必要な従業員数を算出した。 h) 舞洲における交通機能用地(ヘリポート)の従業員数は,予想される自動車駐車台数を基に算出した。 i) 新島における危険物取扱施設用地は,此花地区からの移転を想定していることから,同地区おける対象事業者へのヒヤリング結果を基に,従業人口の原単位を算出した。 j) 此花西部臨海地区における都市機能用地・港湾関連用地・交流拠点用地の夜間従業人口は,企業へのヒヤリング,類似施設の事例等を参考に算出した。 k) 夢洲の緑地施設の利用者については,類似施設の平均入園者数等を参考に算出した。 l) 舞洲における緑地の利用人数は,別紙3のとおり,予定している施設ごとに算出した。 c <C>ゾーン区分の設定本線の対象地域及び対象地域外はそれぞれ広範囲にわたるため,対象地域と対象地域外との間や,対象地域内で移動する人の量を予測するため,これらの地域をいくつかのゾーンに区分する必要がある。対象地域は駅を中心とした4つのゾーンに区分し,対象地域外はパーソントリップ調査で設定されている41のゾーンに区分した。なお,パーソントリップ調査とは,10年に1度,県庁所在地の都市等において居住者の日常的な交通行動を把握することを目的に行われて 地域外はパーソントリップ調査で設定されている41のゾーンに区分した。なお,パーソントリップ調査とは,10年に1度,県庁所在地の都市等において居住者の日常的な交通行動を把握することを目的に行われている調査であり,被調査者を無作為に抽出し,被調査者の調査日1日の行動について,目的や発着地,利用交通機関,利用時間などについて尋ねる調査である。 d <D>発生集中交通量の予測発生交通量とは,あるゾーンに着目し,そのゾーンからゾーン外に出る交通量(人の移動で交通手段は問わない。)であり,集中交通量とは,あるゾーンに向かってゾーン外から入ってくる交通量である。 <C>で設定した対象地域のゾーンごとの発生集中交通量は,<B>で設定した将来人口フレームにパーソントリップ調査から求めた南港の発生集中原単位を乗じて予測した。発生集中原単位とは,人口1人が1日当たり生成する交通量のことである。帰宅目的の交通量は,帰宅以外の目的(出勤,登校,自由,業務)のうち,自宅から発生したトリップの総和と概ね等しいため,帰宅以外の発生トリップと自宅発生率(従業人口と夜間人口の比が対象地区と類似している大阪市,京都市,神戸市より設定した。)を用いて帰宅の集中トリップとした。また,帰宅目的の発生交通量に関しては,発生交通量と集中交通量の合計が等しくなるよう設定した。 e <E>分布交通量の予測分布交通量とは,<D>で算出した対象地域の各ゾーンの発生集中交通量のうち,どれだけの交通量が他のどのゾーンに出て行くのか,又は,他のどのゾーンから入ってくるのかを求めたものである。 内々・流出入交通量は,従業人口,夜間人口比の類似するポートアイランドの内々率を適用して地区内々交通量を推計し,発生集中交通量と内々交通量との差を流出入交通量とした。 分布交通量の予測方法は,現在 内々・流出入交通量は,従業人口,夜間人口比の類似するポートアイランドの内々率を適用して地区内々交通量を推計し,発生集中交通量と内々交通量との差を流出入交通量とした。 分布交通量の予測方法は,現在パターン法,重力モデル法等がある。 予測した発生集中交通量の分布パターンは,鉄道整備による時間短縮や大規模な開発がない限り基本的に現況の分布パターン(現在パターン法)に従うと考えられる。しかし,本線の対象地域においては,大規模な土地利用の変化が見込まれる大規模プロジェクト立地ゾーンや,鉄道新線整備により交通利便性が大きく変化するゾーンであることから,重力モデル法を用いて発生集中交通量を予測した。 内々交通量の分布はゾーン別目的別に,人口指標による分布確率法で予測した。 f <F>交通手段別交通量の推定<E>で算出したゾーン間の分布交通量が通勤,通学,業務,自由の移動の目的別に鉄道という交通手段にどれだけ配分されるかは,交通網の整備水準,特に鉄道の整備水準及び都心と対象地区との距離の関係が大きいといえる。北港地区内を通過する本線は,コスモスクエア駅より港区を通過している大阪市交通局中央線と相互乗り入れするため,都心との位置関係及び交通条件が類似している港区の交通手段分担率を適用した。対象地区内については,交通条件の類似する南港地区の交通手段分担率を適用した。 g <G>終日輸送需要の推定鉄道路線の経路配分の考え方は,最短経路(主として所要時間)にすべての鉄道利用分布交通量を配分する最短経路一括配分法と,同時に複数経路を選択し,各経路の特性値で配分する複数経路配分法とがある。鉄道路線の選択要因は,所要時間のほかに運賃や利便性(例えば,乗換回数)等も挙げられること,また,都市内の鉄道網は密度が高く,経路の選択に幅があるこという観点から,ゾ 分する複数経路配分法とがある。鉄道路線の選択要因は,所要時間のほかに運賃や利便性(例えば,乗換回数)等も挙げられること,また,都市内の鉄道網は密度が高く,経路の選択に幅があるこという観点から,ゾーン間の鉄道経路選択に際しては複数の経路へ選択することが必要であるから,本線に関しては,選択要因により配分できる非集計行動モデルのうち,マルチ・ロジットモデルを採用し,1日当たりの輸送需要を予想した。 本線の開業時(平成20年度)及び熟成時(平成34年)の終日輸送需要は,別紙4のとおりである。 h <H>ピーク時輸送需要の設定ピーク時輸送需要とは,<G>で算出した1日当たりの鉄道の輸送需要がピーク1時間当たりにどれだけ集中するかを示すものである。対象地区は,出勤,登校目的以外に,自由,業務トリップが混在している地区であり,これは大阪市内の交通と概ね同等であることから,大阪市交通局における地下鉄全路線の平均集中率を算出して,23パーセントと設定した。 本線の開業時(平成20年度)及び熟成時(平成34年)のピーク時輸送需要は,別紙5のとおりである。 キテクノポート大阪計画の見直し(乙22,23,証人A)大阪市は,社会経済環境の大きな変化や長引く景気低迷の影響,また,大阪市がオリンピックを誘致できなかったことを踏まえ,平成13年9月に,テクノポート大阪計画の今後の進め方について検討するプロジェクトチームを発足させ,平成14年12月,「『テクノポート大阪』計画の今後の進め方について」と題する報告書を発表した。同報告書の概要は以下のとおりである。 (ア) テクノポート大阪計画を取り巻く現況と課題昭和63年のテクノポート大阪計画策定以降,グローバル化や高度情報化の著しい発展,地球環境問題の深刻化など,社会経済環境が大きく変化する中で,これま ア) テクノポート大阪計画を取り巻く現況と課題昭和63年のテクノポート大阪計画策定以降,グローバル化や高度情報化の著しい発展,地球環境問題の深刻化など,社会経済環境が大きく変化する中で,これまで我が国の発展をリードしてきた大阪は,管理中枢・文化創造・情報発信機能などの高次都市機能の東京への一極集中や,生産機能等の地方圏・海外への分散,さらには,90年代以降の経済の低迷もあって,相対的な地位の低下に直面している。こうした状況の下,大阪市が21世紀の本格的な都市間競争に勝ち抜くとともに,我が国の持続的な発展を先導する役割を引き続き果たしていくためには,今後とも時代に即した都市機能の充実を図り,国際的な都市魅力を備えたまちづくりを推進していかなければならない。 そのためには,市域の狭隘な大阪市にとって貴重な空間である臨海部全体を,既成市街地との機能分担も踏まえつつ,一層有効に活用していくことが喫緊の課題となっており,大阪市財政を取り巻く環境が極めて厳しい中においても,事業の収支均衡を保ちながら開発を着実に進めていることが求められている。 (イ) 都市再生等に係る国の動向及び本市の対応国は,平成13年5月,都市再生本部を設置し,同年7月,都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域として,大阪駅周辺・中之島・御堂筋などの都心部とともに,咲洲コスモスクエア地区を緊急整備地域として一次指定した。また,経済財政諮問会議などにおいて,構造改革特区が提案され,法整備が予定されている。さらには,近畿圏の大都市部での大学等の立地を制限していた工場等制限法が廃止されるなど,都市の知的装置である大学等の立地環境も整いつつある。一方,アジア域内では港間競争が激化しており,港湾の国際競争力を高める必要があることから,特定の湾港において集中的な投資と先導的な規 されるなど,都市の知的装置である大学等の立地環境も整いつつある。一方,アジア域内では港間競争が激化しており,港湾の国際競争力を高める必要があることから,特定の湾港において集中的な投資と先導的な規制緩和を行うスーパー中枢港湾の育成を図る方針が国において示されている。 これらの動向に対応して,大阪市は,平成14年7月に大阪市都市再生本部を設置している。 (ウ) テクノポート大阪計画の新たな展開(基本的な考え方)新臨海部(咲洲,舞洲,夢洲)において,21世紀の大阪を先導する新しい都市機能の集積を積極的に進めてきたが,大阪市を取り巻く状況からすると,今後もこの方針を堅持し,実現していくことがますます重要となっている。しかしながら,厳しい経済・財政状況の下,この方針を実現し大阪圏の再生を現実とするためには,都市再生をはじめとする新しい取組を推進することが不可欠である。そのため,新臨海部の立地特性を活かした都市の再生に資する機能を付加し,既成市街地の機能更新にも対応していくとともに,併せて,民間の投資意欲を誘発するような誘導策も検討することによって,更なる大阪の発展や港湾機能の充実強化につながるテクノポート大阪計画の新たな展開を図っていく。 (エ) 各地域の開発の方向性a 舞洲スポーツアイランド計画地では,市民ニーズの変化や昨今の景気低迷等の影響を受け,民間の施設整備が進まない状況にあるため,個々の施設整備計画の検証・見直しを行い,第三セクターや民間事業として想定していたゴルフ場,人工スキー場については計画を中止し,マリーナ,展望レストランやリゾートホテルについては凍結することとした。また,緑地の一部(19.6ヘクタール)を都市機能用地に変更することとした(乙24,証人A)。 今後は,市民ニーズに対応すべく,民間のアイデアも取り入れ リゾートホテルについては凍結することとした。また,緑地の一部(19.6ヘクタール)を都市機能用地に変更することとした(乙24,証人A)。 今後は,市民ニーズに対応すべく,民間のアイデアも取り入れながら施設誘致に取り組むとともに,中長期的な観点から新たな施設配置計画を検討作成していくこととし,その間は市民が多目的に利用できる運動広場等として利用していくこととなった。 b 夢洲夢洲については,埋立地盤改良後に放置期間等を要し,概ね平成22ないし23年ころに開発可能になると見込まれることから,従来の開発計画を踏まえ,今後の社会経済環境の変化を的確に把握しつつ,大阪の発展を先導する新しい都市機能の導入を図るとともに,既成市街地の都市機能更新に対応しながら,大阪市全体の都市機能の向上にも寄与するまちづくりを進めていくとされた。 c 咲洲コスモスクエア地区咲洲コスモスクエア地区は,大阪港咲洲トンネル及び地下鉄による都心からのアクセスが容易であり,関西国際空港から神戸に至る交通ネットワークが充実し,1期地区では,国際交易関連や先端技術開発・情報通信関連の企業が立地しており,今後もこのような機能の集積を図り,とりわけ新産業シーズ(新産業の種)を生み出す先端的な技術開発機能の強化が大阪経済の活性化を図る上で喫緊の課題となっていることから,当地区に産学協同の先端技術開発の導入を進めていき,また,大学・研究機関等の誘致の可能性を検討するとされた。 (オ) 本線の開業時期については,夢洲等における住宅開発,物流施設及び業務施設の開発状況や需要動向を慎重に検討した上で,鉄道が必要と判断される時期に向けて着手するとし,本線の整備区間については,当面,咲洲コスモスクエア地区から夢洲までの区間の整備とし,引き続き,夢洲から先の区間については,今後の大阪市 討した上で,鉄道が必要と判断される時期に向けて着手するとし,本線の整備区間については,当面,咲洲コスモスクエア地区から夢洲までの区間の整備とし,引き続き,夢洲から先の区間については,今後の大阪市全体の鉄道ネットワークの形成状況や新臨海部の開発状況,事業主体であるOTSの鉄道事業としての収支などを勘案して検討していくとされた。 ク各地域の状況(乙23,証人A)(ア) 咲洲第1期地区は,インテックス大阪をはじめ,ATC,WTCといった集客施設が集積され,集客人数は年間約800万人となっているほか,スポーツ,IT関連や精密機器分野等の民間業者が進出し,用地の分譲が95パーセントに達している。公的なインキュベータ施設であるソフト産業プラザやデザイン産業プラザ,環境ビジネスのプロモーションを行うグリーンエコプラザ等のビジネス支援機能がWTCやATC内に集積している。なお,ATC(うちITM棟)は,計画当初には国際交易の中核として国際的卸売業が行われることが予定されていたが,現在では,大規模商業小売店舗として当初の予定と異なる店舗が入居がしている。WTCも,国際交易の中核施設として,企業間のコネクションとなる運営業務が行われることを計画していたが,現状では,大阪市港湾局や大阪市の外局が賃借し,これらがWTCの賃借料の6割程度を占めている。 第2期地区については,既に分譲が決定しているのは全体の6パーセント程度である。結婚式場経営業者が第2期地区の1.5ヘクタールについて定期借地権を設定して事業活動することが決定しているが,利用が決定されているのは全体の10パーセント超である。 (イ) 夢洲平成14年9月に,C-10の一部とC-11のコンテナターミナルが開業し,民間業者がC-11のコンテナターミナルに進出している。C-10は今後,利 のは全体の10パーセント超である。 (イ) 夢洲平成14年9月に,C-10の一部とC-11のコンテナターミナルが開業し,民間業者がC-11のコンテナターミナルに進出している。C-10は今後,利用者を公募する予定となっている。C-10,C-11の背後の物流用建物についても,利用者が決定して稼働している。 (ウ) 舞洲スポーツ・レクリェーションゾーンについては,アリーナ,野球場等の公共セクター主導型のスポーツ・レクリェーション施設の整備が概ね完了している。技術開発・研修教育,物流ゾーンについては,外貿埠頭及び内貿埠頭が整備され,その背後には,冷蔵倉庫を中心に物流施設の集積が進み,また,環境事業局舞洲工場や都市環境局舞洲スラッジセンターの整備が図られている。 ケ大阪市の支出金額(乙22)大阪市が本線建設に支出した工事費用(事業費を含む。)は,平成12年度が約14億5100万円,平成13年度が約26億1000万円であり,平成14年度末までに合計70億7965万円となった。 コ地下鉄及びニュートラムの輸送能力(乙22,証人A)地下鉄の場合,6両編成の1列車の定員は820人で,安全を確保しての運転が可能な最短間隔の2分45秒間隔で運転した場合には,1時間当たり22本の運転となるため,輸送能力は1時間当たり1万8040人(820×22)となる。 現在,ニュートラムを営業している大阪市交通局,OTSは,ともに4両編成で運転を行っている。仮に6両編成に増強した場合,1編成の定員は264人であり,自動運転が可能な最短間隔2分間隔(1時間当たり30本)とすると,1時間当たり7920人(264×30)の輸送能力となる。 (2) 原告らは,本線建設は,需要見込みのない地域に,莫大な費用を支出して本線を建設するものであり,法2条14項の最少経費最 本)とすると,1時間当たり7920人(264×30)の輸送能力となる。 (2) 原告らは,本線建設は,需要見込みのない地域に,莫大な費用を支出して本線を建設するものであり,法2条14項の最少経費最大効果の要請及び地方財政法4条1項の必要最少経費の要請を満たしておらず,被告の裁量権を逸脱,濫用するものであって,違法であると主張するので,以下,検討する。 ア本線の需要について(ア) 前述の前提事実及び認定事実のとおり,大阪市は,本線の営業主体となるOTSが,平成12年7月19日に運輸大臣に対し本線に係る鉄道事業許可の申請を行うに当たって,本線沿線地域の需要予測を行った。上記の需要予測は,従来より一般的に行われている需要予測の算出方法を用いて行われており,また,運輸大臣がOTSの上記申請を受け鉄道事業許可をしていることからすれば,テクノポート大阪計画を前提とした当時の予測として一応合理的なものであると認めることができる。 上記需要予測によれば,本線のピーク時輸送需要は,開業時(平成20年度)において3274人,熟成時(平成34年度)において9759人であり,熟成時のピーク時輸送需要によれば,本線を地下鉄として計画することが相当といえる。 ただし,上記需要予測後に,テクノポート大阪計画の見直し作業が行われ,舞洲において計画されていたゴルフ場,人工スキー場,マリーナ,展望レストラン及びリゾートホテルが中止又は凍結されることとなり,また,舞洲の緑地の一部(19.6ヘクタール)が都市機能用地に変更されたほか,上記需要予測時において予定されていた本線の新桜島駅とJR桜島駅とを接続する計画も変更された(証人A)。大阪市は新たな施設誘致を行うとしているが,上記の変更を踏まえて,上記需要予測も再検討する必要があるといえる。 そこで,テクノポート大 新桜島駅とJR桜島駅とを接続する計画も変更された(証人A)。大阪市は新たな施設誘致を行うとしているが,上記の変更を踏まえて,上記需要予測も再検討する必要があるといえる。 そこで,テクノポート大阪計画の見直し等による上記需要予測の変化を検討するに,ゴルフ場,人工スキー場,マリーナ,展望レストラン及びリゾートホテルが中止又は凍結することにより,従業人口は625人,年平均利用者数は3078人減少する(乙10)。他方,緑地を都市機能用地と変更することにより,鉄道需要としては増加することが見込まれる(証人A)。上記需要予測は,新桜島駅と桜島駅が接続している前提で,開業時(平成20年度)の新桜島駅とJR桜島駅との間における終日往復旅客流動数として8338人の発生集中交通量があるとし,ピーク時にはJR桜島駅から新桜島駅へ2128人の集中交通量があるとしている。また,熟成時(平成34年度)の同区間における終日往復旅客流動数として2万2556人の発生集中交通量があるとし,ピーク時には,JR桜島駅から新桜島駅へ5956人の集中交通量があるとしている。これに対し,新桜島駅とJR桜島駅との接続がない場合には,これらの交通量は一定程度減少することが容易に推測される。したがって,上記需要予測にこれらの変化を反映させた場合,上記需要予測に一定の変更が生じることは間違いないところである。しかしながら,今後他の施設の誘致が行われ得ること,新桜島駅とJR桜島駅との接続路線の計画は現在未定とされているが,今後検討を進める予定とされており(乙22),計画自体が否定されたわけではないこと等も考慮すると,これらの変化により,上記需要予測が全く合理性を欠き参考にならないものになるということまではいえない。 (イ) 原告らは,①上記需要予測における常住人口や従業人口が,大阪駅 はないこと等も考慮すると,これらの変化により,上記需要予測が全く合理性を欠き参考にならないものになるということまではいえない。 (イ) 原告らは,①上記需要予測における常住人口や従業人口が,大阪駅前や臨海副都心であるポートアイランドにおける常住人口や従業人口と比較して明らかに過大であること,②咲洲コスモスクエア地区から夢洲,舞洲,此花区にかけて,現在常住者がいないこと,③咲洲コスモスクエア地区のWTCやATCにおいてテナントが集まらず多くの空きスペースを抱えていること,④大阪市の人口が微減していること,⑤運政審は,本線を地下鉄ではなくニュートラムとして建設するとの答申をしていたこと,⑥テクノポート大阪計画の見直しがされたこと,⑦テクノポート大阪計画を前提としても,開発当初は路線バス等で十分であるから,当面の間,地下鉄の需要はないことを挙げて,本線が地下鉄であってもニュートラムであっても需要の見込みがなく,それにもかかわらず本線を建設することは違法であると主張する。 しかし,①について,大阪駅前やポートアイランドの常住人口や従業人口数や基礎条件の異同は証拠上明らかではなく,テクノポート大阪計画を前提とした人口予測が明らかに過大と認めるに足りる証拠はない。②及び⑦については,本線は,新たに開発する住宅に居住する人々,物流施設,業務施設で働く人々の移動手段を確保した上で,沿線を開発し,新しい街づくりを進める開発型路線である。地下鉄は公共交通機関として重要な役割を果たしており,バスに比べて交通渋滞による遅滞が生じない点や,天候の影響を受けにくい点,短い運転間隔での運行が可能である点等の利点があり,住宅購入や企業進出の際に,地下鉄によるアクセスのあることが大きな誘因となることは明らかである。本線の施工から供用までに約8年間を要する(証人 点,短い運転間隔での運行が可能である点等の利点があり,住宅購入や企業進出の際に,地下鉄によるアクセスのあることが大きな誘因となることは明らかである。本線の施工から供用までに約8年間を要する(証人A)ことも考慮すると,需要が見込めるようになってから地下鉄を敷設するのでは企業進出等に遅れが生じかねず,開発当初は路線バス等で対応しつつ,これと併行して整備を進め,適切な時期に開業を予定するということは合理的な方策であって,原告らの主張を直ちに採用することはできない。⑤については,運政審答申は,その時点における運輸政策審議会の意見表明であり,社会情勢等の変化に応じて適宜再検討されるべきものであって,法的拘束力も有しないから,そのことのみによって本線を地下鉄として建設することが違法となるわけではなく,本線につき鉄道事業許可がされたことからしても,原告らの主張は採用できない。 ③,④及び⑥については,確かに,次のような事実が認められる。すなわち,先行的に開発が行われているコスモスクエア地区では,第三セクターであるWTCやATCにおいて,テナント確保が難航し,国際交易拠点という当初の計画とは異なり,小売店舗や大阪市の外局等が入居している状況である。また,咲洲の第2期地区において,造成が完了した土地のうち利用が既に決定しているのは全体の10パーセント超にすぎない。テクノポート大阪計画の見直しにより,舞洲での土地利用計画も変更された。また,大阪市中心部については人口が微増に転じたものの(証人A),臨海部の人口も連動して増加が期待できるというものでもない。このような状況の下では,本線に関して行われた需要予測について,再度慎重に検討することが望まれるところではある。しかし,都市機能の東京への一極集中,生産機能等の地方圏・海外への分散等により大阪の地位が ような状況の下では,本線に関して行われた需要予測について,再度慎重に検討することが望まれるところではある。しかし,都市機能の東京への一極集中,生産機能等の地方圏・海外への分散等により大阪の地位が相対的に低下している状況において,市域の狭隘な大阪市にとって,広大な未利用地のある臨海部において,統一的な計画に基づき都市機能の集積を図り,さらには都市再生をはじめとする取組みを行うことの必要性を一切否定することもできないところであり,テクノポート大阪計画の見直しの過程で,本線の開発時期について,夢洲等における住宅開発,物流施設及び業務施設の開発状況や需要動向を慎重に検討した上で,鉄道が必要と判断される時期に向けて着手するとしていることも考慮すると,上記のような事実があることから,本線について全く需要が期待できず,本線の建設が違法であるということはできない。 (ウ) さらに,原告らは,⑧上記需要予測を前提としても,ニュートラムの場合に定員を超える時間帯は一日の一部であるから,本線を地下鉄とする需要があるとはいえないと主張する。 しかし,定員数を上回る乗客を乗せて運行することは,安全性,快適性の観点から問題があり,また乗降時間が長くなり,定時運転を確保することも難しくなる。都市部の鉄道では,ラッシュ時に定員以上の人員を輸送することが日常的に見られるとしても,鉄道敷設に当たる規格・機種選定の段階から,そのような事態を見込むことは適当でない。また,仮に舞洲方面からコスモスクエア駅までの間をニュートラムとすると,コスモスクエア駅から本町方面は地下鉄(中央線)であることから,乗換えの必要が生じ,乗客の利便性を大きく損なうことになる。したがって,上記の点を理由に本線を地下鉄として建設することが違法であるとする原告らの主張は採用できない。 イ本線建設 線)であることから,乗換えの必要が生じ,乗客の利便性を大きく損なうことになる。したがって,上記の点を理由に本線を地下鉄として建設することが違法であるとする原告らの主張は採用できない。 イ本線建設に要する費用について原告らは,従前の地下鉄建設の実績から,本線の新桜島駅とJR桜島駅とを結ぶ連絡線の建設に伴う追加費用も合わせると,本線の建設費用は総額3600億円に達すると主張するが,建設費用の増加はあり得るところとはいえ,現時点において原告らの主張のとおりの建設費用が確実に必要になることを認めるに足りる的確な証拠はない。 原告らは,大阪市及び本線営業主体であるOTSが厳しい財政難にあるところ,本線建設には,多額の建設費用や本線のランニングコストがかかることから,本線建設は,大阪市やOTSの財政危機を更に悪化させることが明らかであって違法であると主張する。 本線の建設事業費は1870億円と試算され,OTSの鉄道事業許可申請書(乙6)の事業収支見積書によれば,本線開業時(平成20年)の営業費用及び営業外費用の支出は95億2100万円であり(なお,営業収益は35億2400万円),単年度収支均衡年度(平成30年度)の支出は105億0900万円(なお,営業収益は105億9800万円)とされており,本線の建設費及びランニングコストが多額に上ることが認められる。また,大阪市及びOTSが共に厳しい財政難に直面していることも認められる(甲29,乙23)。このような状況の下では,原告らが指摘する点も十分理解できるところではあるものの,大阪市は収支均衡を保ちながらテクノポート大阪計画を進めていくとし,本線の整備区間についても,事業主体であるOTSの鉄道事業としての収支などを勘案して検討していくとしており(乙23),これらの点を考慮すれば,本線の建設がおよそ違 ノポート大阪計画を進めていくとし,本線の整備区間についても,事業主体であるOTSの鉄道事業としての収支などを勘案して検討していくとしており(乙23),これらの点を考慮すれば,本線の建設がおよそ違法であるとまではいえず,現時点において,本線建設に係る事業費の支出が違法となるということもできない。原告らの主張は採用できない。 ウ本線建設のうち先行着工部分について原告らは,夢洲での交通需要の発生は10年以上先であるところ,夢洲トンネル部分の先行着工により建設費用がかかり,更に供用されるまでに借入金の支払利息や減価償却,施設維持費等の経費がかかる一方,技術的には道路部分の建設後に地下鉄部分の建設をすることも可能であることから,夢洲トンネル部分等を先行着工する必要はないと主張する。 大阪港におけるコンテナ貨物量の伸びは大きく,今後も伸び続けることが予想される。夢洲では,平成14年9月に,C-10の一部,C-11のコンテナターミナルの供用が開始され,これらのコンテナターミナルと連続する新しいコンテナターミナルの建設も計画している。夢洲のコンテナターミナルから荷揚げされた貨物が,咲洲の配送センター等に輸送された後,配送されるケースも多く,咲洲のC-1ないし4の背後やC-6,7の背後には,多くの貨物が集積されている。現在,夢洲トンネルがないため,夢洲,咲洲間を陸上輸送する場合には,咲洲から高速道路を利用し,舞洲経由で夢洲に向かうという遠回りなルートをとらざるを得ず,時間的ロス,経済的ロス(高速道路の利用料1400円)が生じており,夢洲・咲洲間,さらには臨海部や背後都市圏との道路ネットワーク形成のためにも,夢洲トンネルの必要性は明らかである(乙22,証人A)。 夢洲トンネルは沈埋トンネル工法により製作されるが,沈埋トンネル工法とは,陸上で製作した 海部や背後都市圏との道路ネットワーク形成のためにも,夢洲トンネルの必要性は明らかである(乙22,証人A)。 夢洲トンネルは沈埋トンネル工法により製作されるが,沈埋トンネル工法とは,陸上で製作した沈埋函という構造物を沈埋現場まで曳航し,あらかじめ掘削した海底に沈めた後に土砂の埋め戻しを行うものである。現在,夢洲トンネルは,道路部分と地下鉄部分を含む一体的構造物をもって整備することが予定されているが,仮に道路部分と地下鉄部分とを別々に整備する場合には,道路部分完成後,改めて沈埋工法又はシールド工法により地下鉄部分を整備することになるのであり,このように別々に工事を行えば歳出増加につながることは明らかである。そして,将来的には本線を整備する予定になっている(それ自体が違法とまではいえないことは,前示のとおり。)ことから,道路部分と地下鉄部分を一体的に整備する方が経済的に合理的であり,また,夢洲トンネル部分が最も長期間の工期を要する部分であることも考慮すると(証人A),道路と地下鉄が一体となっている夢洲トンネル部分の工事を先行着手することは合理的ということができる。 被告は,道路,地下鉄部分が必ずしも一体ではない区間についても,一部先行着手しているが,当該部分は道路部分が地下鉄部分の上を走行していることから,仮に道路部分のみを先行して完成させ,地下鉄部分は後に整備する場合,地下鉄部分の工事は地表を掘り,構造物を建造し,埋め戻す工法であるオープンカット工法により行われることになり,道路整備費が二重にかかり,地下鉄工事中の長時間にわたり道路部分の使用が不能になり,咲洲と夢洲の道路ネットワークを早期に整備した意義が薄れてしまうし,また,シールド工法によって地下鉄部分を整備しようとした場合でも,咲洲の工事予定部分は狭隘で,掘削機等を搬入する立坑 が不能になり,咲洲と夢洲の道路ネットワークを早期に整備した意義が薄れてしまうし,また,シールド工法によって地下鉄部分を整備しようとした場合でも,咲洲の工事予定部分は狭隘で,掘削機等を搬入する立坑は道路部分以外に確保できず,同様の不都合が生じることから,道路部分のみを先行して完成させ,地下鉄部分は後に整備するのは困難である(証人A)。 以上によれば,本線のうち一部を先行着手することには合理性があり,原告らの主張は採用できない。 エ大阪市は,既に,社会経済環境の大きな変化や長引く景気低迷の影響等を踏まえて,テクノポート大阪計画の見直しを図り,本線についても,開発時期は臨海部の開発状況や需要動向を慎重に検討するとし,整備区域も,当面は咲洲コスモスクエア地区から夢洲までの区間とし,夢洲から先の区間については,臨海部の開発状況やOTSの鉄道事業としての収支を勘案して検討するとしている。 前述のとおり,大阪市が平成12年に行った需要予測に関しては,当時としては一応合理性は認められるものの,上記需要予測後に,本線に関する需要予測に一定の影響を与えることが確実と考えられる臨海部の開発計画の変更があったことに加え,大阪市及びOTSの直面している厳しい財政難や本線建設事業費の多額さ,好調とは言い切れない臨海部の民間需要等を勘案すると,大阪市の都市としての地位低下に歯止めをかけるために,大阪市において今後も何らかの積極的な対応をとることが必要とされているとしても,本線建設に関し,開発時期や整備区域の検討に止まらず,本線建設の要否,本線の規格・構造等も含めた慎重な再検討が望まれるところである。 しかし,これらは大阪市の将来像についての理念等を踏まえた政策的判断の当不当の問題に止まるものであって,本線の建設やその事業費の支出の決定につき被告に裁量権の 慎重な再検討が望まれるところである。 しかし,これらは大阪市の将来像についての理念等を踏まえた政策的判断の当不当の問題に止まるものであって,本線の建設やその事業費の支出の決定につき被告に裁量権の逸脱,濫用があるとまではいえず,法2条14項及び地方財政法4条1項に反するとの原告らの主張は理由がない。 (3) さらに,原告らは,本線建設が都市計画法13条1項11号に反すると主張するので,以下,検討する。 ア都市計画法上,都市計画においては,必要な都市施設について,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることを要するものとされているところ(都市計画法13条1項11号),当該都市施設が必要なものであるか否か,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するために,適切な規模がどの程度で,どの位置に設置するのが適切かについては,主として行政庁の専門技術的又は政策的な判断に基づく裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。したがって,上記基準を満たすかどうかの判断は,その基礎となる事実の認定に明白かつ顕著な誤認があったり,社会通念上著しく不相当な点があるなどして,合理性を有する判断として許容される限度を超えていると認められるときに限り,裁量権の逸脱又は濫用に該当して違法となるというべきである。 イ適切規模要件違反原告らは,①本線に関する需要予測が過大であること,②他の人工島では公共輸送機関として地下鉄を選択していないこと,③運政審が本線を地下鉄ではなくニュートラムとして建設するとの答申をしていたことを挙げ,本線について地下鉄を選定したことが適切規模要件に違反すると主張する。 しかし,①について,本線に関する需要予測が一応合 本線を地下鉄ではなくニュートラムとして建設するとの答申をしていたことを挙げ,本線について地下鉄を選定したことが適切規模要件に違反すると主張する。 しかし,①について,本線に関する需要予測が一応合理的であるといえること,③について,運政審の答申に法的拘束力はなく,社会情勢等の変化に応じて適宜再検討されるべきものであることは,前述のとおりである。②については,同種の人工島での実例は,新規事業を行うに当たり参考となるものではあるが,当然のことながら,機種選定は路線ごとに行うべきであって,上記のとおり一応合理的であるということができる本線に関する需要予測のピーク時輸送需要によれば,本線は地下鉄を選択することが相当であるということができるから,原告らの主張は理由がない。 ウ防災要件違反原告らは,都市施設の安全といった防災要件が都市計画基準に掲げられていないが,都市計画法上,当然の前提となっており,本線は,海底に地下鉄を整備するものであるから,水害の場合に水没する危険があり,防災要件に違反すると主張する。 防災要件が都市計画法上の当然の前提となっているかはともかく,原告らが主張する水害の危険性は抽象的なものにすぎず,海底に道路,鉄道等を整備する例は他にもあるところであり,それだけで防災要件に違反するとの主張は失当である。 エ現在及び将来の土地利用要件違反原告らは,この点でも,本線に関する需要予測を問題としているが,本線に関する需要予測が一応合理的であり,明らかに不合理であるとまではいえないことは前述したとおりである。 オ必要な位置要件違反原告らは,①本線沿線地域には常住人口がいないこと,②本線を整備した場合,此花区は,地下鉄とJRの2本の公共交通機関を持つことになることから,運政審答申は,舞洲から此花地区への延伸についての必要 原告らは,①本線沿線地域には常住人口がいないこと,②本線を整備した場合,此花区は,地下鉄とJRの2本の公共交通機関を持つことになることから,運政審答申は,舞洲から此花地区への延伸についての必要性に関し否定的に記載しているとし,さらに,③本線が人工島から沿岸地域までを結ぶ路線であり,他の公共交通機関と接続していないこと,④仮に人工島と沿岸地域を結ぶ路線が必要であったとしても,JR桜島駅からJR此花線を延長するか,同駅から高架鉄道を整備すれば最短距離の路線となることを挙げて,本線建設が必要な位置要件に違反すると主張する。 ①については,本線は開発型路線であり,本線に関する需要予測が一応合理的であるといえることは前述したとおりである。②については,運政審答申では,舞洲から此花区方面へ向かう区間については,テクノポート大阪計画の進捗状況,当該整備に伴う新規需要の規模,北港~大阪港間の路線による対応等を総合的に勘案して,路線整備の必要性について検討するとされ,今後路線整備について検討すべき方向として位置づけられており,これは,舞洲から此花区への区間について整備の必要性を否定しているわけではなく,検討の結果必要性が認識されれば,積極的に計画を実現することを期待しているものということができる。原告らは,此花区は地下鉄とJRの2本の公共交通機関を持つことになると主張するが,大阪市において,現時点では具体的計画は未定とされているが(乙22),将来的に本線が此花区まで整備される場合には,本線の終着駅である新桜島駅とJR桜島駅を接続し,臨海部にループ状の鉄道交通網を整備する計画も否定されてはいないのであって,原告らの主張は失当である。③及び④についても,JR此花線の延長は規格の点で困難であり,また,上記のとおり,本線が此花区まで整備される場合には 道交通網を整備する計画も否定されてはいないのであって,原告らの主張は失当である。③及び④についても,JR此花線の延長は規格の点で困難であり,また,上記のとおり,本線が此花区まで整備される場合には,新桜島駅とJR桜島駅を接続する路線を整備することによりJR此花線と連絡することも計画・検討されているのであるから,原告らの主張は理由がない。 カ以上によれば,本線建設が都市計画法13条1項11号の基準を満たしているとの判断が,その判断の基礎となる事実の認定に明白かつ顕著な誤認があったり,社会通念上著しく不相当な点があるなどして,合理性を有する判断として許容される限度を超えているとは認められないから,被告に裁量権の逸脱・濫用は認められず,原告らの主張は理由がない。 (3) 以上のとおり,本線建設が違法ということはできないから,本件公金支出又は本線に係る支出負担行為(具体的には,本線のインフラ部分に関する請負契約に基づく請負代金,国委託部分に関する委託料,OTSへの貸付け,開発者負担金等に関する支出負担行為又は公金支出が考えられるところである。)について,本線建設の違法性の承継が認められるか,回復の困難な損害を生ずるおそれがあるか否か(旧法242条の2第1項ただし書)等の点を判断するまでもなく,原告らの請求に理由がないことは明らかである。 3 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないから,棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官川神裕裁判官山田明裁判官小泉満理子 小泉満理子

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る