昭和40(行ツ)29 公売無効確認等請求

裁判年月日・裁判所
昭和43年10月8日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 昭和35(ネ)1246
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人露峰光夫、同米原克彦、同仁藤一、同菅生浩三、同玉生靖人の上告理 由第

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判決文本文3,631 文字)

主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人露峰光夫、同米原克彦、同仁藤一、同菅生浩三、同玉生靖人の上告理由第一について。 公売処分を違法または無効ならしめる事由として、公売物件の見積価格が著しく低廉に失するとする主張が争われる場合に、右公売物件の時価が幾何かは、右見積価格が低廉かどうかの認定に役立つ間接事実にほかならず、それに関する自白は裁判所の認定を拘束するものではない。従つて、所論のように本件公売物件の時価について被上告人の自白があつたと認めうるとしても、原審が、これに拘束されず、証拠に基づいてそれと異なる価額を時価と認定したのをもつて、違法ということはできない。 また、論旨の指摘する原判決の本件公売物件の公売当時における時価は四、七〇〇、〇〇〇円を下らないものと認められる旨の判示については、右時価の認定に採用された証拠のうちには右認定額を下回わる価額を鑑定したものが含まれていること、他面上告人が時価の主張の根拠としたものなど右認定額をはるかに上回わる価額を鑑定した証拠はすべて排斥されていること、なおまた、右公売物件が宅地建物であるにしても、その時価を広い幅を持たせて認定するようなことはありえないことにかんがみれば、そのいわんとするところは、右公売物件の時価を四、七〇〇、〇〇〇円見当と認めて誤りないとするにあるものということができる。されば、右判示をもつては、なんら客観的な時価を認定したことにはならないものといい、原判決にはかかる不確定な時価を基準として本件見積価格を著しく低廉ではない旨を判示した失当があるとして非難する所論は、肯認しがたい。論旨は、いずれも理由- 1 -がない。 同第二について。 公売手続における見積価格の決定、公告の して本件見積価格を著しく低廉ではない旨を判示した失当があるとして非難する所論は、肯認しがたい。論旨は、いずれも理由- 1 -がない。 同第二について。 公売手続における見積価格の決定、公告の目的が、入札価額の一応の基準を示して多くの入札者を誘引するとともに、公売物件を不当な低価により売却することを防止し公売の公正を図るにあるとするも、右見積価格の当否は、単に公売物件の売却決定を違法ならしめることがありうるにすぎない。従つて、右見積価格の不当は、そのために公売物件が著しく低価に売却されたような事実の存しないかぎり、それだけでは公売処分の取消または無効の原因に値するものとは解しがたい。本件についてみると、前叙のように、原判決は本件公売物件の時価を四、七〇〇、〇〇〇円見当と認定したものと解せられるのであり、その見積価格二、九八三、一四七円はともかく、本件公売物件の売却価額は、右時価の七割を超える三、三三三、〇〇〇円であつたというのであるから、著しく不当なものとは認められない。それは、公売における売却価額が比較的低額である通例に徴してやむをえない程度のものといわなければならない。されば、本件公売物件の見積価格を不当として公売の無効を主張する論旨は、採用しがたい。 論旨は、なお、被上告人は、上告会社には滞納処分費および滞納税金額に十分見合うべき適当な財産の存することを熟知しながら、本件土地建物を差し押え公売したものとし、これを本件公売の無効原因と認めなかつた原判決を非難する。しかし、そのいうところの適当な財産とは、原判決の認定によれば、上告会社の代表取締役Dが個人名義で国から払下げを受けた宅地建物であり、その代金残額の不払により国は契約を解除できる状態にあつたうえ、不動産登記もいまだ国の所有名義に留保されていたのである。従つて、それが実 代表取締役Dが個人名義で国から払下げを受けた宅地建物であり、その代金残額の不払により国は契約を解除できる状態にあつたうえ、不動産登記もいまだ国の所有名義に留保されていたのである。従つて、それが実質的には上告会社の所有にあつたことを被上告人において知りえたとしても、そのような物件を完全に上告会社の財産として差押公売の対象に選択しなければならないとする所論の到底肯認しがたいことは、- 2 -原判示のとおりである。 なお、論旨は違憲を主張するが、それが前提を欠くことは以上説示したところから明らかであり、諭旨は、いずれも理由がない。 同第三について。 宅地と地上建物とが同一滞納者の所有に属する場合に、建物のみを分離公売することは、通常困難であり、かつ、建物の公売価額を著しく低下せしめる。このことは、現行国税徴収法一二七条のような規定がなく、建物のみの買受人は、滞納者から新たに借地権の設定を受けないかぎり、建物をそのまま保有できなかつた本件公売当時においては、容易に推測しえたところといわなければならない。 論旨は、原判決が、本件公売物件たる建物につき、「敷地使用権の存在を前提とする本件建物のみの見積価格」(それは、敷地との一括公売、すなわち建物買受人の敷地所有権取得を予定するため、建物の取毀し、移転あるいは新たな借地権の取得等を予想しない建物としての見積価格を指称したものと認められる。)を八六六、一四七円としても、建物のみの分離公売による売却価額はこれより相当低落せざるをえない旨判示したのを非難する。本件一括公売による売却価額が三、三三三、〇〇〇円であつた事実にかんがみれば、前示建物見積価格は多少低額に失する感なしとしないが、それにしても、建物のみの分離公売による売却価額を前示見積価格よりも相当下回る程度の金額と推定した原判示を、あなが 〇円であつた事実にかんがみれば、前示建物見積価格は多少低額に失する感なしとしないが、それにしても、建物のみの分離公売による売却価額を前示見積価格よりも相当下回る程度の金額と推定した原判示を、あながち失当ということはできない。右建物と原判決認定の二〇、〇〇〇円程度の動産を公売に付するだけで、滞納処分費および滞納税額八四一、二六〇円の徴収には十分であつたことを特に認めるに足りる証拠もない本件において、右の点をとらえて、本件一括公売処分の重大かつ明白な瑕疵とし、右処分を当然無効ならしめるものとする所論は首肯しがたく、論旨は理由がない。 同第四について。 - 3 -本件公売処分の執行について大阪国税局職員の指導があつたということだけで、所論のように、再調査、審査の請求の結果が予想されるものとし、これら手続を経由することが無意味といえないことは、原判示のとおりである。また、本件公売物件が買受人から明渡を求められる状態にあり、上告会社は営業の基礎を失うことになるので、その救済は急速を要するものとする主張も、再調査、審査の請求が時間を要するだけで所論のような場合の救済には役立たないものといえないかぎり、それだけでは、これら手続を省略する理由とするに足りない。本件公売は、昭和三二年一〇月二五日執行されたのにかかわらず、訴の提起は同年一二月一九日であつたことに徴しても、これに裁判所による急速な救済を要する理由があつたとは推測しがたい。されば、上告会社の本件公売処分の取消の訴につき、訴願前置を排除する正当な事由は認めがたいものとし、右訴を却下した第一審判決を支持した原判決は、正当であつて、論旨は理由がない。 同第五について。 本件記録に徴すると、原審では、口頭弁論の終結にあたり判決言渡期日を指定し、出頭した当事者双方の代理人および参加人代理人に告 支持した原判決は、正当であつて、論旨は理由がない。 同第五について。 本件記録に徴すると、原審では、口頭弁論の終結にあたり判決言渡期日を指定し、出頭した当事者双方の代理人および参加人代理人に告知しているが、その後の判決言渡の期日の変更については、その都度不出頭の当事者および参加人に通知することなく判決の言渡に至つている事実が認められる。しかし、判決言渡の期日が当事者双方および参加人に対し適法に告知された後その期日になつてこれをさらに他の日時に変更する旨の言渡をしたときは、その言渡は民訴法二〇七条、一九〇条二項により、不出頭の当事者、参加人に対しても告知の効力を生じ、右新期日につき呼出状を送達する要はないものと解するのを相当とし(最高裁判所昭和三〇年(オ)第九一二号、同三二年二月二六日第三小法廷判決、民集一一巻二号三六四頁参照)、従つて、原審における判決言渡期日の変更がその都度変更の日時を指定して言い渡されている以上、これに所論の違法は認められず、論旨は採用できない。 - 4 -よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官横田正俊裁判官田中二郎裁判官下村三郎裁判官松本正雄裁判官飯村義美- 5 -

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