平成24(ネ)38 未払金(甲事件),立替金返還等(乙事件)請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成24年11月29日 広島高等裁判所 その他 広島地方裁判所 福山支部 平成20(ワ)268
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判決文本文27,840 文字)

- 1 - 主文 1 一審被告の控訴に基づき,原判決中,一審被告敗訴部分を取り消す。 2 上記取消しに係る一審原告の請求を棄却する。 3 一審原告の控訴を棄却する。 4 訴訟費用は,第一,二審とも一審原告の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 一審被告主文1,2,4項と同旨 2 一審原告(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 甲事件(ア,イは選択的請求である。)ア一審被告は,一審原告に対し,2億2429万0186円及びうち2億1000万円に対する平成20年6月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 イ一審被告は,一審原告に対し,2億2280万円及びこれに対する平成19年12月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 乙事件(ア,イは選択的請求である。)ア一審被告は,一審原告に対し,1億4962万5000円及びうち1億4513万6250円に対する平成20年8月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 イ一審被告は,一審原告に対し,1億5513万6250円及びこれに対する平成20年4月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 訴訟費用は,第一,二審とも一審被告の負担とする。 - 2 -(5) (2),(3)につき,仮執行の宣言第2 事案の概要1(1) 広告代理店を営む一審原告は,同じく広告代理店を営み,大手引越業者である一審被告から多額の広告取扱業務の委託を受けていた株式会社Aに対し,①平成19年12月17日に2億1000万円を,②平成20年4月11日に1億4513万6250円を支払った。 (2) 甲事件請求(いずれも選択的請求)は,上記(1)① を受けていた株式会社Aに対し,①平成19年12月17日に2億1000万円を,②平成20年4月11日に1億4513万6250円を支払った。 (2) 甲事件請求(いずれも選択的請求)は,上記(1)①の2億1000万円の支払についてア支払取次契約に基づく請求一審被告がA会社に発注する広告取扱業務について,代金受領までのA会社の資金をつなぐため,一審原告は,平成19年11月30日,一審被告との間で,一審原告がA会社に対し2億1000万円を支払い,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた2億2429万0186円を支払う旨の支払取次契約を締結したとして,一審原告が,一審被告に対し,2億2429万0186円及びうち2億1000万円に対する履行期の翌日である平成20年6月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,イ重畳的債務引受契約又は保証契約に基づく請求一審原告は,A会社に対し,2億1000万円を貸し付け,一審被告は,一審原告に対し,重畳的に上記貸金債務を引き受け,又は保証したとして,一審原告が,一審被告に対し,上記貸金及び利息の合計2億2429万0186円及びうち2億1000万円に対する履行期の翌日である平成20年6月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,ウ不法行為に基づく請求上記2億1000万円の支払は,一審被告がA会社に対して支払う広告- 3 -取扱代金の資金繰りのため,一審被告が,一審原告に対し,ファイナンスを依頼するものであったところ,一審被告のB代表取締役会長は,平成19年10月には,一審被告の広告代金の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対して返済ができなくなることを知り得べきであるのに,また,一審被告の担当従 ったところ,一審被告のB代表取締役会長は,平成19年10月には,一審被告の広告代金の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対して返済ができなくなることを知り得べきであるのに,また,一審被告の担当従業員であるC,Dも,返済不能となることを知り得べきでありながら,一審原告に広告取扱名目でファイナンスを依頼し,一審原告に2億1000万円を支払わせ,その結果,一審原告は,一審被告から,上記金額の返済を受けることができなくなったとして,一審原告が,一審被告に対し,民法709条又は715条1項に基づき,弁護士費用を含む損害金2億2280万円及びこれに対する不法行為の日である平成19年12月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 (3) 乙事件請求(いずれも選択的請求)は,上記(1)②の1億4513万6250円の支払についてア支払取次契約に基づく請求一審被告がA会社に発注する広告取扱業務について,代金受領までのA会社の資金をつなぐため,一審原告は,平成20年4月8日ころ,一審被告との間で,一審原告がA会社に対し1億4513万6250円を支払い,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億4962万5000円を支払う旨の支払取次契約を締結したとして,一審原告が,一審被告に対し,1億4962万5000円及びうち1億4513万6250円に対する最終履行期の翌日である平成20年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,イ立替払契約に基づく請求- 4 -一審被告がA会社に支払うべき広告取扱代金1億4513万6250円について,一審原告は 払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,イ立替払契約に基づく請求- 4 -一審被告がA会社に支払うべき広告取扱代金1億4513万6250円について,一審原告は,平成20年4月8日ころ,一審被告との間で,これを一審原告が立替払いし,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億4962万5000円を支払う旨約定したとして,一審原告が,一審被告に対し,1億4962万5000円及びうち1億4513万6250円に対する最終履行期の翌日である平成20年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,ウ不法行為に基づく請求一審被告は,A会社に対する広告取扱代金の資金繰りのため,一審原告に対し,広告取扱名目でファイナンスを依頼したところ,Bは,一審被告の広告代金の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対する返済ができなくなることを知りながら,また,一審被告の担当従業員であるC,Dも,返済不能となることを知りながら,さらに,Cに代理権がないとすれば,発注指示書を偽造するなどして代理権があると欺罔して,一審原告に1億4513万6250円を支払わせ,その結果,一審原告は,一審被告から,上記金額の返済を受けることができなくなったとして,一審被告が,一審原告に対し,民法709条又は715条1項に基づき,弁護士費用を含む損害金1億5513万6250円及びこれに対する不法行為の日である平成20年4月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 (4) 原判決は,甲事件請求及び乙事件請求について,いずれもCの不法行為に係る一審被告の る平成20年4月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 (4) 原判決は,甲事件請求及び乙事件請求について,いずれもCの不法行為に係る一審被告の使用者責任を認め,過失相殺をした上で,一審原告の請求を,一審被告に対し1億5505万4500円及びうち9200万円に対する平成19年12月17日から,うち6305万4500円に対する平成20- 5 -年4月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を一審原告に支払うよう求める限度で認容し,その余の請求をいずれも棄却したので,一審被告及び一審原告がそれぞれ控訴をした。 2 前提事実当事者間に争いがない事実,証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が容易に認められる。 (1) 当事者等ア一審原告は,広島県福山市に本店を置いている広告取扱業務等を業とする資本金2200万円の広告代理店である。 イ平成19年ないし20年当時,一審被告は,大阪府大東市に本店を置いている引越業を主たる事業とする資本金22億2857円の運送業者であり,東京証券取引所の第一部に上場されていた。 ウ A会社は,東京都港区に本店を置いている広告取扱業務を業とする資本金2億2200万円の広告代理店であった。 株式会社E,株式会社F,株式会社G,株式会社H,株式会社I,株式会社Jは,いずれも広告代理店であり,A会社と取引があった。 (2) 甲事件取引ア一審原告は,平成19年12月17日,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んだ(甲28)。これに関し,一審原告,E会社及び一審被告名義の平成19年11月30日付け覚書(甲1)が作成されている(以下,上記覚書を「本件覚書5」といい,これに関する取引を「甲事件取引」という。)。一審原告及びE会社の各作成部 告,E会社及び一審被告名義の平成19年11月30日付け覚書(甲1)が作成されている(以下,上記覚書を「本件覚書5」といい,これに関する取引を「甲事件取引」という。)。一審原告及びE会社の各作成部分には,会社名下に代表者印が押捺されているが,一審被告の作成部分には,一審被告企画広報室名下に企画広報室長であるCの署名と同人の認印が押印されている。 イ本件覚書5の要旨は,次のとおりである。 (ア) E会社は,一審被告から委託された業務を一審原告に再委託する。 - 6 -(イ) E会社が一審原告に委託する業務は,WEBコンテンツ制作費及び全国看板媒体広告費であり,その詳細は添付別紙に定める(ただし,別紙は添付されていない。)。 (ウ) 業務の実施期間は平成19年12月1日から平成20年5月31日までとする。 (エ) E会社は,一審原告に対し,業務の委託料として,平成20年5月31日に2億1500万円(消費税別途)を支払い,E会社が同日までに上記支払をしなかった場合は,一審被告がこれを同年6月10日までに一審原告に支払う。 (3) 乙事件取引ア一審原告は,平成20年4月11日,A会社の銀行口座に1億4513万6250円を振り込んだ(甲81の1,2)。これに関し,一審被告名義の一審原告に宛てた平成20年4月1日付け業務発注指示書(甲31)が作成されている(以下,上記業務発注指示書を「本件発注指示書」といい,これに関する取引を「乙事件取引」という。)。その担当欄に「C」の認印が押印されている。 イ本件発注指示書の要旨は,次のとおりである。 (ア) 一審被告は,2008年4月~2008年6月分のテレビスポット(広告)を発注し,以下の発注及び請求作業を行うよう指示する。 (イ) 「数量・予算」はa 放送局「K」における広告に る。 (ア) 一審被告は,2008年4月~2008年6月分のテレビスポット(広告)を発注し,以下の発注及び請求作業を行うよう指示する。 (イ) 「数量・予算」はa 放送局「K」における広告について,請求先をF会社,4月分,5月分及び6月分をそれぞれ1800万円,仕入先をA会社として,仕入れを一括で5238万円とする。 b 放送局「L」における広告について,請求先をF会社,4月分,5月分及び6月分をそれぞれ1800万円,仕入先をA会社として,仕入れを一括で5238万円とする。 - 7 -c 放送局「M」における広告について,請求先をF会社,4月分,5月分及び6月分をそれぞれ1150万円,仕入先をA会社として,仕入れを一括で3346万5000円とする。 d 一括の仕入額の合計は1億3822万5000円(消費税別途)である。 (ウ) 「請求・支払」は,買付けは一括してA会社が行い,一審原告はF会社に対し,2008年4月ないし6月の各末日に4750万円をそれぞれ請求し,F会社は,同年5月ないし7月の各末日にこれを支払う(ただし,4月1日請求,4月10日支払,1億3822万5000円との記載もある。)。 (4) 本件紛争の発生ア F会社は,一審原告に対し,平成20年4月30日ころ,同月分業務の発注を中止する旨の同日付け「発注中止のご連絡」と題する書面(甲54)を,同年5月7日ころ,同月分業務及び同年6月分業務の発注を中止する旨の同年5月7日付け「発注中止のご連絡」と題する書面(甲55)をそれぞれ送付し,一審原告に対する支払を拒否した。 一審原告は,平成21年3月6日,一審被告に対し,乙事件訴訟を提起した。 イ一審原告は,平成20年4月30日付け請求書により,E会社に対し,甲事件取引に基づく支払を請求し,同年6月11日 。 一審原告は,平成21年3月6日,一審被告に対し,乙事件訴訟を提起した。 イ一審原告は,平成20年4月30日付け請求書により,E会社に対し,甲事件取引に基づく支払を請求し,同年6月11日付け書面により,一審被告に対し,同取引に基づく支払を請求したが,一審被告は,同月18日付け書面(乙3の1)にて,E会社は,同年7月16日付け書面(甲60)にてそれぞれ一審原告の請求を拒否した。 一審原告は,この間の同年6月27日,一審被告に対し,甲事件訴訟を提起した。 3 当事者双方の主張- 8 -(一審原告の主張)(1) 一審被告は,大手の広告代理店などに広告取扱業務を委託して,年間20億円から30億円の多額の費用を費やして大々的に自己の広告宣伝を行っていたところ,広告代理店であるA会社は,Bに個人的利益を供与してこれに取り入り,平成5年ころには,上記広告取扱業務の多くを受注し,一審被告と取引をする広告代理店の中において中心的な存在となった。 A会社は,一審被告に対し,本来の代金に上記利益供与額を上乗せして請求していたため,一審被告のA会社に対する代金の支払が遅滞し,平成13年には,これが約11億円にまで増大した。一審被告は,当時,上場を目指していて(平成16年に東京証券取引所及び大阪証券取引所に上場),未払債務を処理する必要があったので,Bは,平成13年ころ,約半額を支払ったが,A会社に対する約6億円の簿外債務が残った。しかも,一審被告のA会社に対する未払代金債務は,その後も増大し,平成17年には28億円を超える事態となって,一審被告は,広告代金の資金繰りに窮するようになった。 そこで,一審被告は,平成15年ころ,一審被告のA会社に対する広告代金の支払を先延ばしするため,他の広告代理店との間で,広告取引の形式で,実 審被告は,広告代金の資金繰りに窮するようになった。 そこで,一審被告は,平成15年ころ,一審被告のA会社に対する広告代金の支払を先延ばしするため,他の広告代理店との間で,広告取引の形式で,実質は,当該広告代理店に対し,A会社に支払うべき代金相当額の一時的な金融を依頼する旨の支払取次の取引(ファイナンス的広告取引)を始めた。 (2) Bは,広告委託業務のすべてを企画広報室長であるCに任せ,Cに対し,一審被告の広告委託発注権限を授与していた。また,Cは,会社法14条1項の商業使用人に当たる。A会社従業員であるDは,Cの代理人ないし使者として活動していた。仮にCに代理権の授与がなかったとしても,後記(4),(5)の取引については,表見代理が成立する。 (3) 一審原告は,従業員数十人程度の地方の中小規模の広告代理店であるが,平成17年10月ころ,一審被告を代理するD及びCから,上記支払取次取- 9 -引(ファイナンス的広告取引)の説明を受け,金員の提供を依頼された。 一審原告は,これを承諾し,第1回目の支払取次取引として,平成17年10月17日から同年12月15日にかけて2億0999万8635円を支払い,平成18年5月31日に2億3333万2433円の返済を受け,第2回目の支払取次取引として,平成18年6月5日に2億1000万円を支払い,同年12月1日に2億2112万9160円の返済を受け,第3回目の支払取次取引として,平成18年12月15日に2億1000万円を支払い,平成19年5月31日に2億2575万円の返済を受け,第4回目の支払取次取引として,平成19年6月15日に2億0999万9580円を支払い,平成19年12月7日に2億2575万円の返済を受けた。 (4) 一審原告は,第5回目の支払取次取引として,平成19年11月30 次取引として,平成19年6月15日に2億0999万9580円を支払い,平成19年12月7日に2億2575万円の返済を受けた。 (4) 一審原告は,第5回目の支払取次取引として,平成19年11月30日,一審被告を代理するD及びCとの間で,一審原告,一審被告及びE会社(広告代理店)作成の同日付けの本件覚書5(甲1)を取り交わした上,一審原告がA会社に対し2億1000万円を支払い,一審被告が一審原告に対し上記金額にマージンを加えた2億2429万0186円を支払う旨の支払取次契約を締結し,平成19年12月17日,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んだ。 なお,Bは,上記取引を認識した平成20年1月以降,これを維持しようと奔走し,同年4月7日には,Dらに指示して第6回目の支払取次取引を行わせているから,Cの上記代理行為を追認したというべきである(当審における新たな主張)。 (5) 一審原告は,第6回目の支払取次取引として,平成20年4月8日ころ,一審被告を代表するB又はBを代理するD及びCとの間で,一審原告がA会社に対し1億4513万6250円を支払い,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億496- 10 -2万5000円を支払う旨の支払取次契約を締結し(Bが一審被告を代表して上記契約を締結したとの主張は,当審における新たな主張である。),平成20年4月1日付けの本件業務発注指示書(甲31)を受領したので,平成20年4月11日,A会社の銀行口座に,1億4513万6250円を振り込んだ。 なお,Bは,上記取引を主導しているので,少なくとも,Cの上記代理行為を追認している(当審における新たな主張)。 (6) 4月11日,A会社の銀行口座に,1億4513万6250円を振り込んだ。 なお,Bは,上記取引を主導しているので,少なくとも,Cの上記代理行為を追認している(当審における新たな主張)。 (6) ところが,一審被告の広告代金の資金繰りは改善されず,平成19年には広告代金の資金が窮迫する状態となった上,平成20年1月にBに支払取次契約の詳細が知られるに至った結果,一審被告は,平成20年4月27日,支払取次取引の支払を停止した。その結果,一審原告に対する第5回目の支払取次契約の支払及び第6回目の支払取次契約の支払がされなかった。 (7) したがって,ア甲事件請求(ア) 支払取次契約に基づく請求一審被告は,第5回目の支払取次取引に係る支払取次契約に基づき,一審原告に対し,2億2429万0186円及びうち2億1000万円に対する履行期の翌日である平成20年6月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 (イ) 重畳的債務引受契約又は保証契約に基づく請求一審原告は,A会社に対し,2億1000万円を貸し付け,一審被告は,一審原告に対し,重畳的に上記貸金債務を引き受け,又は保証したということもできるから,一審被告は,一審原告に対し,上記貸金及び利息の合計2億2429万0186円及びうち2億1000万円に対する履行期の翌日である平成20年6月11日から支払済みまで商事- 11 -法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある,(ウ) 不法行為に基づく請求上記2億1000万円の支払は,一審被告がA会社に対して支払う広告取扱代金の資金繰りのため,一審被告が,一審原告に対し,ファイナンスを依頼するものであったところ,Bは,平成19年10月には,A会社の資金繰りが破綻 万円の支払は,一審被告がA会社に対して支払う広告取扱代金の資金繰りのため,一審被告が,一審原告に対し,ファイナンスを依頼するものであったところ,Bは,平成19年10月には,A会社の資金繰りが破綻するとともに一審被告の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対する返済ができなくなることを知り得べきであるのに,また,C,Dも,返済不能となることを知り得べきであるのに,さらに,本件覚書5がD及びCの偽造であるとすると,同人らがこれを用いて一審原告を欺罔して,一審原告に2億1000万円を支払わせ,その結果,一審原告は,一審被告から,上記金額の返済を受けることができなくなったのであるから,一審被告は,一審原告に対し,民法709条又は715条に基づき,弁護士費用を含む損害金2億2280万円及びこれに対する不法行為の日である平成19年12月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 イ乙事件請求(ア) 支払取次契約に基づく請求一審被告は,第6回目の支払取次取引に係る支払取次契約に基づき,一審原告に対し,1億4962万5000円及びうち1億4513万6250円に対する履行期の翌日である平成20年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 (イ) 立替払契約に基づく請求一審被告がA会社に支払うべき広告取扱代金1億4513万6250円について,一審原告が,平成20年4月8日ころ,一審被告との間- 12 -で,これを一審被告が立替払いし,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億4962万5000円を支払う旨約定した(立替払契約)と 告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億4962万5000円を支払う旨約定した(立替払契約)ということができるから,一審被告は,一審原告に対し,1億4962万5000円及びうち1億4513万6250円に対する平成20年8月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。 (ウ) 不法行為に基づく請求一審原告は,一審被告がA会社に対する広告取扱代金の資金繰りのため,一審原告に対し,広告取扱名目でファイナンスを依頼したところ,Bは,A会社の資金繰りが破綻すること及び一審被告の広告資金の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対する返済ができなくなることを認識し,また,一審被告の従業員C,Dも,返済不能となることを知りながら,さらに,本件発注指示書がD及びCの偽造であるとすると,同人らがこれを用いて一審原告を欺罔して,一審原告に1億4513万6250円を支払わせ,その結果,一審原告は,一審被告から,上記金額の返済を受けることができなくなったから,一審被告は,一審原告に対し,民法709条又は715条に基づき,弁護士費用を含む損害金1億5513万6250円及びこれに対する不法行為の日である平成20年4月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払をすべき義務がある。 (一審被告の主張)(1) 一審原告の主張する第1回から第6回までの支払取次取引は,資金繰りに苦しんでいたA会社が,広告取引を仮装して,他の広告代理店に対し,A会社の債務の立替払いやA会社への融資を依頼し,A会社が約半年後にマージ- 13 -ンや利息を加算してその返済をするという取引であり,そもそも,広告代理店 取引を仮装して,他の広告代理店に対し,A会社の債務の立替払いやA会社への融資を依頼し,A会社が約半年後にマージ- 13 -ンや利息を加算してその返済をするという取引であり,そもそも,広告代理店でない一審被告が関係するようなものではなく,現に,これに関係したことやそのような事実を認識していたことはない。 したがって,一審被告が一審原告に対し契約上の責任を負うことはない。 (2) 本件覚書5や本件発注指示書は,架空取引を偽装するものであり,実体のないものである。一審原告も,これらが実体のないものであることを認識していたものであり,一審原告との交渉もすべてA会社従業員Dが行って,Cら一審被告の関係者が交渉に参加したことはなかったのであるから,一審被告が関係する取引でないことを認識していた。したがって,一審原告が,本件覚書5や本件発注指示書により,欺罔されたことはなく,むしろ,一審原告は,高利のマージン(利息)を得ることを目的に,上記架空取引に参加し(第1回から第4回の支払取次取引等により1億円以上の利益を得ている。),本件覚書5や本件発注指示書を利用して,取引銀行を欺罔して資金を調達していたのである。 したがって,一審被告は,一審原告に対し,不法行為責任を負うことはない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,一審原告の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,以下のとおりである。 2 本件紛争に至る経緯等前記前提事実,証拠(甲50,51,56,57,61,66,69,73,74の1,2,甲75の1,2,77,乙6,8の1,2,乙9の1,2,乙10,乙12の1ないし5,乙13,16の1,2,乙24,50の1,2,乙56,証人N,同O,同D,同C,同P及び関係箇所掲記の各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,本件紛争 の1,2,乙9の1,2,乙10,乙12の1ないし5,乙13,16の1,2,乙24,50の1,2,乙56,証人N,同O,同D,同C,同P及び関係箇所掲記の各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,本件紛争に至る経緯として,次のとおりの事実が認められる。 - 14 -(1) 一審被告の宣伝広告とA会社との広告取引ア一審被告は,主たる業務である引越業務について,宣伝広告活動に力を入れ,Bが役員であった当時,これに年間20億円以上の費用を費やしていた。 一審被告は,広告取扱業務の発注について,毎年期末において,翌年度に実施する広告の内容と広告費の予算額の大要を年・期・月毎に定め,取締役会の承認を得てこれを実行していたもので,個々の広告取扱業務の発注の際には,予算額を超えないように,必ず代金額を決めて行っていた。 広告委託業務は,企画広報室が担当し,その担当役員には,Bが就任し,広告の発注権限は,Bだけが有していて,企画広報室(室長C・課長相当)は,Bが決裁したところに従って,発注その他の事務手続を行っていた。 一審被告の上記広告業務の委託は,上記当時,円滑に遂行され,一審被告の広告代理店に対する債務が滞るようなことはなく,また,会計帳簿に記載されないような広告関係費が存在した形跡もない。 イ広告代理店であるA会社は,平成2年ころから,一審被告から広告取扱業務の委託を受けていたが,一審被告との取引を拡大し,平成8年ころには年間約8億円を超える広告取扱業務を受注するようになった。 A会社は,そのころ,一審被告との関係を更に密にするため,関西支社を一審被告本社社屋と同一敷地内にある別棟建物の一室に移転するとともに,一審被告本社社屋に存する企画広報室に,一審被告担当のDの執務机を設けてもらい,同室の一審被告従業員が不在の際のマス ,関西支社を一審被告本社社屋と同一敷地内にある別棟建物の一室に移転するとともに,一審被告本社社屋に存する企画広報室に,一審被告担当のDの執務机を設けてもらい,同室の一審被告従業員が不在の際のマスコミ対応を行ったり,他の広告代理店の広告代金についてアドバイスしたりするなど企画広報室の業務を無償でサポートするようになり,Dは,一審被告「企画広報室広報担当」との名刺(甲7)の使用や一審被告のドメイン名のメールアドレスの使用を許諾された。 A会社は,上記経過により,一審被告との関係を更に緊密なものとし,- 15 -平成10年以降,一審被告から年間約10億円を超える広告取扱業務を受注するようになり(一審被告の年間宣伝広告費の約5割に相当する。),一審被告と取引関係のある広告代理店の中の中心的存在となった。 (2) A会社の他の広告代理店に対する未払債務の増大とその対応ア A会社は,一審被告から受注した広告取扱業務を他の広告代理店に再委託するなどしていたが,次第に取引先広告代理店に対する未払債務が増加し,平成13年8月ころには,上記未払債務が約11億円に達し,その資金繰りに苦慮するようになった。 イ Dは,そのころ,企画広報室の業務の無償サポートで懇意となったC(企画広報室長)に対し,上記実情を話して,一審被告の資金援助を依頼したところ,Cも,Dに協力しようと考え,Bにそのことを伝えた。Bは,一審被告が株式上場を準備している中で,A会社が倒産すると,上場や一審被告の宣伝広告活動に支障が出るかもしれないと懸念して,A会社に対する資金援助を決め,同年11月から平成14年1月にかけて,一審被告からA会社に対し,レディースパック・キャンペーン広告料の名目で,5億5600万円を支払った。 ウ A会社は,一審被告の上記援助などにもかかわ 決め,同年11月から平成14年1月にかけて,一審被告からA会社に対し,レディースパック・キャンペーン広告料の名目で,5億5600万円を支払った。 ウ A会社は,一審被告の上記援助などにもかかわらず,他の広告代理店に対する未払債務を処理することができず,資金繰りに窮するに至ったところ,支払期日が到来する目先の支払だけでも何とか処理するため,平成15年ころから,一審被告から多額の広告取扱業務の委託を受けているという信用を背景にして,ある広告代理店に対して負っている未払債務を支払うため,他の広告代理店に対し,その立替払い又は債務相当額の貸付けを依頼してこれらを実行してもらい,後日,2~5%のマージンないし利息を付加して立替金又は貸付金を返済することを始めた。上記取引については,これに加わる広告代理店は,立替金又は貸付金との名目でA会社に信用を供与することが困難であったため,架空の広告取引を仮装して,その- 16 -代金を支払うという形式をとった(以下,このような取引を仮装して数社間で行われる金融取引を「循環取引」という。)。 Dは,上記のとおり懇意になったCに対し,A会社が上記のような循環取引を行って資金繰りをしていることを説明するとともに,広告代理店の社内決裁のため,一審被告が広告発注者である旨仮装したいとして,Dがカラーコピーやパソコンを使って偽造した一審被告作成名義の発注書その他の文書に企画広報室長であるCの署名押印等を求め,Cも,Dの求めに応じて,内容が虚偽であることを認識した上で,A会社に協力する趣旨で,一審被告に隠れて,一審被告の発注書等の偽造文書に企画広報室長として署名押印するなどしていた。 エ A会社は,上記対応によっても,未払債務の処理をすることができず,このような循環取引を繰り返さざるを得ない状況となり,い 被告の発注書等の偽造文書に企画広報室長として署名押印するなどしていた。 エ A会社は,上記対応によっても,未払債務の処理をすることができず,このような循環取引を繰り返さざるを得ない状況となり,いわばこのような循環取引の繰り返しによってかろうじて経営を維持するような状態に陥った。ただし,上記循環取引を繰り返しても,マージンないし利息が増大するだけであるから,もとより,A会社の未払債務は解消されることはなく,かえって更に増大していった。 (3) 一審原告とA会社との間の本件スキーム(循環取引)の約定ア一審原告は,地方(広島県福山市)の中小規模の広告代理店であるが,平成15年4月ころから,一審被告との間で,広島地方の広告取扱業務(1件当たり100万円ないし200万円程度)を散発的に受注するようになった(甲8ないし26)。これらの取引は,一審原告の営業担当であったOが一審被告企画広報室長のCと商談したものであったところ,Oは,同年5月ころ,CからA会社関西支社のDを紹介され,これを契機に,Dと商談したところ,一審原告とA会社との取引が開始され,一審原告は,A会社との間で,毎月120万円程度の広告取扱業務を受注するようになった(乙20)。 - 17 -イ A会社は,上記(2)のとおり,他の広告代理店との循環取引により資金繰りをしていたが,未払債務が更に増大したため,平成17年7月ころ,A会社の循環取引に参加していた広告代理店であるG会社,H会社及びI会社らとの間で循環取引の実情の確認や未払債務解消に向けての対策を協議し,上記広告代理店に対する未払債務(各社の合計によると約32億円となる。)を今後約5年間をかけて解消していくなどと説明したが,その具体策があったわけではなかった。 他方,A会社は,資金繰りの苦しさから,一審被告に対 する未払債務(各社の合計によると約32億円となる。)を今後約5年間をかけて解消していくなどと説明したが,その具体策があったわけではなかった。 他方,A会社は,資金繰りの苦しさから,一審被告に対し,広告代金の前払いを申し入れ,平成17年10月以降,一審被告から四半期毎に広告代金の前払いを受けるようになった。 ウこのような中,Dは,A会社の資金繰りのため,従来の循環取引と別に,一審原告が加わった新たな循環取引を組成し,一審原告が銀行から調達した資金をA会社に提供させたいと考え,平成17年7月ころ,A会社関西支社において,Oに対し,一審被告がある広告代理店に広告を発注することを仮装し,その広告代理店が一審原告に,一審原告が更にA会社その他の広告代理店にこれを発注することを仮装した上,一審原告が上記仮装取引を理由に銀行から融資を受けて,これをA会社や一審原告発注先広告代理店の口座に広告代金名目で振り込み,その6か月後に,A会社や一審原告発注元広告代理店が,一審原告に対し,再び広告代金の名目で,マージン又は利息を付して支払った金員を返還するというスキーム(以下「本件スキーム」という。)を組成し,これによる循環取引を行って,A会社に資金援助してほしいと依頼し,1回につき2億円程度を提供してほしいと述べた。 一審原告は,A会社に対し1回につき2億円の信用を供与することは大きな負担となることから,Q広島支社長がOとともにA会社関西支社を訪ね,Dから再度本件スキームについての説明を受け,Dと協議をした。な- 18 -お,その際,Dから呼ばれたCがその席に顔を出し,協議には参加しなかったものの,Q広島支社長らに対し,Dへの協力を依頼する旨の発言をしたことがあった。 一審原告は,本件スキームに参加すれば多額のマージンが得られ,また,A がその席に顔を出し,協議には参加しなかったものの,Q広島支社長らに対し,Dへの協力を依頼する旨の発言をしたことがあった。 一審原告は,本件スキームに参加すれば多額のマージンが得られ,また,A会社は一審被告から多額の広告取扱業務の委託を受けていて信用できる会社であると考え,A会社(担当D)との上記協議により,本件スキームに参加することを決めた。 Oは,Dとの間で,本件スキームの内容等について更に協議を重ね,その中で,平成17年8月26日付け書面(甲41の1)をDに送付し,本件スキームの金額の上限を2億円,年間回数を2回とした上で,①一審原告の広告代金請求先として,第一希望を一審被告,第二希望を他の広告代理店(H会社,G会社,I会社)とすること,②一審被告又は他の広告代理店から一審原告宛ての発注書を発行すること,③一審原告が広告代金を請求する広告代理店と取引覚書を取り交わすこと,④一審原告の受け取るマージンを12%とすることなどを要求した。 Dは,②のうち他の広告代理店が一審原告宛ての発注書を発行すること及び③については了承したものの,①のうち一審被告が請求先になること及び②のうち一審被告が一審原告宛ての発注書を発行することについては了承せず(そのため,その後の交渉書面(甲41の2,3)においては,上記広告代金請求先の第一希望を一審被告とするとの記載が削除された。),④についても,明確な合意がされるまでには至らず,継続協議とされた。 エなお,上記一審原告とA会社との交渉について,Cも含め一審被告の関係者がこれに加わったことはなく,また,一審原告が,一審被告に対し協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなかった。 (4) 一審原告とA会社との第1回目の循環取引- 19 -ア一審原告は,平成17年9月,A会社の ,また,一審原告が,一審被告に対し協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなかった。 (4) 一審原告とA会社との第1回目の循環取引- 19 -ア一審原告は,平成17年9月,A会社の依頼により,A会社との間で,本件スキームに基づく第1回目の循環取引を行うことを約定した。これは,一審被告が発注するWEBコンテンツ制作関連業務について,一審被告が広告代理店E会社にこれを委託し,E会社がこれを一審原告に再委託し,E会社が平成18年5月31日に一審原告に対し委託料として2億2222万円(消費税別途)を支払い,E会社が同日までに上記支払をしなかった場合は,一審被告がこれを同年6月10日までに一審原告に支払うとの広告取扱業務の委託取引を仮装したものであり,上記内容の平成17年9月10日付け覚書(以下「本件覚書1」という。甲42の1)が作成され,A会社から一審原告に交付された。これは,一審原告が2億1000万円の銀行融資を得るために必要な書類であり,Dが原案を提示した後,一審原告が取引先銀行の意見を聞いた上,修正を施して作成されたものであった。本件覚書1には,一審原告及びE会社の記名欄に各会社記名印と代表者印が押捺されており,一審被告の記名欄には,一審被告企画広報室名下にCが署名し,自己の認印(三文判)を押印している。なお,本件覚書1には,本件スキームの当事者であるA会社に関する記載はない。 イ一審原告は,A会社との上記約定に従い,本件覚書1などにより銀行融資を受けた上で,平成17年10月17日,A会社の銀行口座に7001万3160円を,同年11月15日,同口座に6999万2475円を,同年12月15日,同口座に6999万3000円(合計2億0999万8635円)をそれぞれ振り込み(甲42の2ないし8),E会社は,平成18年5 ,同年11月15日,同口座に6999万2475円を,同年12月15日,同口座に6999万3000円(合計2億0999万8635円)をそれぞれ振り込み(甲42の2ないし8),E会社は,平成18年5月31日,一審原告の銀行口座に2億3333万2433円を振り込んで(甲42の9,10),第1回循環取引は無事終了した。なお,関係者間において,本件覚書1によるWEBコンテンツ制作関連業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,同業務は実施されていない。 - 20 -ウ一審原告は,第1回目の循環取引をするについて,A会社と話し合って,約定したが,Cも含め一審被告の関係者が上記話合いに加わったことはなく,また,一審原告が,一審被告に対して協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなく,もとより,一審被告と何らかの合意をしたこともなかった。 (5) 一審原告とA会社との第2回目から第4回目の循環取引ア一審原告は,その後も,A会社との間で,次のとおり,本件スキームに基づく循環取引を行った。 (ア) 本件スキームに基づく第2回目の循環取引一審原告は,平成18年6月ころ,A会社との間で,WEBコンテンツ制作関連業務を仮装して,本件スキームに基づく第2回目の循環取引を行うことを約定し,同月5日,A会社の指示に基づき,A会社の銀行口座(株式会社R名義口座)に2億1000万円を振り込んだ。そして,同年12月1日,E会社から一審原告の銀行口座に2億2112万9160円振り込まれて,第2回目の循環取引は無事終了した(甲38の1ないし6)。なお,関係者間において,上記WEBコンテンツ制作関連業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,同業務は実施されていない。 (イ) 本件スキームに基づく ないし6)。なお,関係者間において,上記WEBコンテンツ制作関連業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,同業務は実施されていない。 (イ) 本件スキームに基づく第3回目の循環取引一審原告は,平成18年12月ころ,A会社との間で,WEBコンテンツ制作関連業務を仮装して,本件スキームに基づく第3回目の循環取引を行うことを約定し,同月15日,A会社の指示に基づき,A会社の銀行口座に1億4574万円を,H会社の銀行口座に6426万円(合計2億1000万円)をそれぞれ振り込りこんだ。そして,平成19年5月31日,E会社から一審原告の銀行口座に2億7987万1350円が振り込まれて,第3回目の循環取引は無事終了した(甲39の1な- 21 -いし5)。なお,関係者間において,上記WEBコンテンツ制作関連業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,同業務は実施されていない。 (ウ) 本件スキームに基づく第4回目の循環取引一審原告は,平成19年6月ころ,A会社との間で,WEBコンテンツ制作関連業務を仮装して,本件スキームに基づく第4回目の循環取引を行うことを約定し,同月15日,A会社の指示に基づき,A会社の銀行口座に8114万4000円を,H会社の銀行口座に2706万8790円を,G会社の銀行口座に1億0178万6790円(合計2億0999万9580円)をそれぞれ振り込んだ(甲40の1ないし6)。 ところが,一審原告に支払をするはずのE会社は,支払期日とされた平成19年11月30日を経過しても,一審原告に対し,約定された2億1500万円(消費税別途)を支払わなかった。そこで,一審原告は,A会社に対し,支払を約する書面の提出を求めたところ,A会社は,平成19年12月4日付け を経過しても,一審原告に対し,約定された2億1500万円(消費税別途)を支払わなかった。そこで,一審原告は,A会社に対し,支払を約する書面の提出を求めたところ,A会社は,平成19年12月4日付け「支払確認書」(甲5)を作成し,これを一審原告に送付した。これには,一審被告発注の広告業務について,一審被告から入金あり次第,A会社が上記金額を速やかに支払う旨記載され(ただし,上記広告業務は存在しないので,これに関する記載は虚偽である。),A会社取締役Dが署名押印するほか,一審被告企画広報室名下にCが署名しCの認印(三文判)が押印されていた(Cも内容虚偽であることを認識した上で,A会社に協力する趣旨で,署名押印したものである。)。 A会社は,同月7日,2億2575万円を一審原告の銀行口座に振り込み,第4回目の循環取引は無事終了した(甲6)。なお,関係者間において,上記WEBコンテンツ制作関連業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,同業務は実施されてい- 22 -ない。 イ上記各取引を行うに当たっては,第1回目の循環取引と同様,各取引の都度,A会社から一審原告に対し覚書(以下,取引順に「本件覚書2」等という。甲2ないし4)が交付され,これらが,一審原告が銀行から上記各取引に必要な資金の融資を受けるのに利用された。 本件覚書2ないし4も,本件覚書1と同様,広告取扱業務の委託取引を仮装する内容のものであり,その要旨も,業務の実施期間や委託料が若干相違するほかは,本件覚書1と概ね同じであり,一審原告及びE会社の記名欄に各会社記名印と代表者印が押捺されており,一審被告の記名欄には,一審被告企画広報室名下にCが署名し,自己の認印(三文判)を押印していた。なお,本件覚書2ないし4には,本件覚書1と同様,本件ス 名欄に各会社記名印と代表者印が押捺されており,一審被告の記名欄には,一審被告企画広報室名下にCが署名し,自己の認印(三文判)を押印していた。なお,本件覚書2ないし4には,本件覚書1と同様,本件スキームの当事者であるA会社に関する記載はない。 ウ一審原告は,第2回目ないし第4回目の循環取引をするについて,A会社と話し合って約定したが,Cも含め一審被告の関係者が上記話合いに加わったことはなく,また,一審原告が,一審被告に対して協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなく,もとより,一審被告と何らかの合意をしたこともなかった。 (6) A会社の苦境と援助依頼A会社は,資金繰りの苦しさから,一審原告に対し,本件スキーム以外にも,広告取引を仮装した金員の交付を依頼し,一審原告もこれに同意して,平成19年1月ころから,両者間で,一審被告が発注する電話帳広告を仮装するなどして,一審原告がA会社に対し金員を提供する取引を始め(乙36ないし39),他方,一審被告に対しても,平成19年9月ころ,二半期毎に広告代金の前払いをしてほしい旨申し入れ,同月から同年10月にかけて,一審被告の第32期営業年度(同月から平成20年9月まで)の宣伝広告費約27億3000万円のうちの上半期(同年10月ないし平成20年3- 23 -月)分の前払金として,約12億円の支払を受けたりしていた(甲97の1ないし7,甲98,乙56)。 (7) 甲事件取引ア一審原告は,平成19年11月30日ころ,A会社との話合いにより,A会社との間で,本件スキームに基づく第5回目の循環取引(甲事件取引)を行うことを約定した。これは,一審被告が発注するWEBコンテンツ制作関連業務について,一審被告がこれをE会社に委託し,E会社がこれを一審原告に再委託し,E会社が平成20年 の循環取引(甲事件取引)を行うことを約定した。これは,一審被告が発注するWEBコンテンツ制作関連業務について,一審被告がこれをE会社に委託し,E会社がこれを一審原告に再委託し,E会社が平成20年5月31日に一審原告に対し委託料として2億1500万円(消費税別途)を支払い,E会社が同日までに上記支払をしなかった場合は,一審被告がこれを同年6月10日までに一審原告に支払うとの広告取扱業務の委託取引を仮装したものであり,上記内容の平成19年11月10日付けの本件覚書5(甲1)が作成され,A会社から一審原告に交付され,一審原告が銀行から必要資金の融資を受けるのに利用された。本件覚書5には,一審原告及びE会社の記名欄に各会社記名印と代表者印が押捺され,一審被告の記名欄には,一審被告企画広報室名下にCが署名し,自己の認印(三文判)を押印している。また,本件覚書5には,本件スキームの当事者であるA会社に関する記載はない。さらに,関係者間において,上記WEBコンテンツ制作関連業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,同業務は実施されていない。加えて,一審原告は,甲事件取引をするについて,A会社と話し合って,A会社と約定しただけであり,Cも含め一審被告の関係者が上記話合いに加わったことはなく,また,一審原告が,一審被告に対して協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなく,もとより,一審被告と何らかの合意をしたこともなかった。 したがって,甲事件取引も,支払金額や支払期日を除けば,第1回から第4回までの循環取引と全く同様のものであった。 - 24 -イ一審原告は,平成19年12月17日,上記約定に基づき,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んだ(甲28)。 (8) 一審被告のA会社循環取引に対する対応 ものであった。 - 24 -イ一審原告は,平成19年12月17日,上記約定に基づき,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んだ(甲28)。 (8) 一審被告のA会社循環取引に対する対応ア一審被告は,A会社の行っている上記循環取引については何ら認識していなかったところ,Bは,平成20年1月11日ころ,H会社の関西支社長から,広告代理店の間で一審被告に対する売掛金がかなり残っており,その額は約20億円にのぼっている旨告げられたので,真偽を確かめるべく,同日,A会社のS関西支社長から事情聴取したところ,同支社長から,A会社は未払債務の処理ができず,これが広告代理店の間で回されてマージンが加算され,約30億円くらいになっていると告げられ,平成20年1月13日にも,同支社長とDから,同様の事実を告げられた。 Bは,その後も,同年2月ころ,A会社,G会社,H会社,J会社らの広告代理店の社長や支社長などから,それぞれ事情を聴取したところ,上記広告代理店からは,一審被告関係の広告代金であるから一審被告に支払義務があると告げられた。 イ Bは,その後,一審被告が作成していない発注書等を見せられるに至ったので,一審被告がA会社の循環取引に関する支払義務を負うことはないと考え,役員会に報告した。上記経緯を経て,一審被告は,同年5月ころ,広告代理店からの支払に応じない態度を示した。 (9) 乙事件取引ア A会社は,平成20年4月上旬ころ,A会社の資金繰りのため,本件スキームに基づき,一審原告に対し,一審被告のテレビスポットの広告業務取引を仮装した,第6回目の循環取引である乙事件取引(一審原告が,同年4月,A会社に対し,1億4513万6250円を支払い,F会社が,一審原告に対し,同年4月ないし6月に3回に分割してこれにマージンな 引を仮装した,第6回目の循環取引である乙事件取引(一審原告が,同年4月,A会社に対し,1億4513万6250円を支払い,F会社が,一審原告に対し,同年4月ないし6月に3回に分割してこれにマージンないし利息を加算した金額を支払うというもの)を依頼した。一審原告は,- 25 -これを承諾し,同年4月11日,A会社の銀行口座に1億4513万6250円を振り込んだ(甲81の1,2,甲99の1ないし4)。 一審原告は,乙事件取引をするについて,A会社と話し合って,A会社と約定しただけであり,Cも含め一審被告の関係者が上記話合いに加わったことはなく,もとより,一審被告と何らかの合意をしたこともなかった。 なお,上記テレビスポットの広告業務は仮装されたものであって,これを行わないことが合意されていたので,一審原告や乙事件取引の関係会社は同業務を実施していない。 イ Dは,乙事件取引について,パソコンを使って一審被告のロゴ,社名,住所等を記載して一審被告名義の同年4月1日付け本件発注指示書(甲31)を偽造し,これを一審原告に送付し,一審原告は,これを銀行から必要資金の融資を受けるのに利用した。なお,一審被告の発注書には,通例,一審被告の社印が押捺されるが,本件発注指示書にはこれが押印されておらず,担当欄にCの認印(三文判)が押捺されていただけであった。また,本件発注指示書には,本件スキームの当事者であるA会社に関する記載はない。 (10) A会社の支払不能ア A会社の行っていた各循環取引は,平成20年4月下旬ころには,取引を仮装するのに利用された一審被告のみならず広告業界全体に明らかになり,一審被告に対しても,多数の広告代理店から問い合わせが来る状態となった。そのため,一審被告は,A会社に対する信頼をすべて喪失し,取引をすべて打ち された一審被告のみならず広告業界全体に明らかになり,一審被告に対しても,多数の広告代理店から問い合わせが来る状態となった。そのため,一審被告は,A会社に対する信頼をすべて喪失し,取引をすべて打ち切ることを決め,第33期営業年度(平成20年10月1日から平成21年9月30日まで)から,A会社に対しては,広告取扱業務を一切発注していない。 イ上記事態となったところ,A会社は,本件スキームその他のA会社を巡る循環取引に基づく支払ができなくなり,一審原告に対しても,甲事件取- 26 -引及び乙事件取引の支払をしなかった。 3 一審原告の甲事件請求について(1) 支払取次契約,重畳的債務引受契約又は保証契約に基づく請求についてア一審原告は,平成19年11月30日,一審被告を代理するD及びCとの間で,本件覚書5を取り交わして,支払取次契約(一審原告がA会社に対し2億1000万円を支払い,一審被告が一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた2億2429万0186円を支払う旨の契約),重畳的債務引受契約又は保証契約(一審原告がA会社に対し2億1000万円を貸し付け,あるいは一審被告が一審原告に対し上記貸金債務を重畳的に引き受け,又は保証したという契約)を締結し,これに基づき,同年12月17日,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んだと主張する。 イ確かに,本件覚書5が作成され,その一審原告の記名欄に一審原告の会社印と代表者印が押捺され,一審被告の記名欄には,一審被告企画広報室名下に企画広報室長のCが署名し,自己の認印(三文判)を押印しており,また,一審原告は,平成19年12月17日,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んでいる。 ウしかし,上記認定のとおり,一審原告は,A会社との間で,一審被告がある広告 )を押印しており,また,一審原告は,平成19年12月17日,A会社の銀行口座に2億1000万円を振り込んでいる。 ウしかし,上記認定のとおり,一審原告は,A会社との間で,一審被告がある広告代理店に広告を発注することを仮装し,その広告代理店が一審原告に,一審原告が更にA会社その他の広告代理店にこれを発注することを仮装した上,一審原告が上記仮装取引を理由に銀行から融資を受けて,これをA会社や一審原告発注先広告代理店の口座に広告代金名目で振り込み,その6か月後に,A会社や一審原告発注元広告代理店が,一審原告に対し,再び広告代金の名目で,マージン又は利息を付して支払った金員を返還するという本件スキームを組成し,これによる循環取引により,A会社に資金援助をすることを合意し,平成17年9月以降,A会社との間で,本件スキームに基づく4回の循環取引を行い,本件覚書5に係る取引は,- 27 -本件スキームに基づく第5回目の循環取引(甲事件取引)の実施を約定したものであって,一審原告のA会社に対する上記振り込みは,これに基づくものである。また,本件覚書5は,一審原告が,本件スキームを実施する手段として,銀行から資金の融資を受けるため,一審被告発注の広告取引を仮装したものでしかなく,その内容(一審被告がE会社にWEBコンテンツ制作関連業務等を委託し,E会社がこれを一審原告に再委託し,E会社が平成20年5月31日に一審原告に対し委託料として2億1500万円(消費税別途)を支払い,E会社が同日までに上記支払をしなかった場合は,一審被告がこれを同年6月10日までに一審原告に支払うとの広告取扱業務の委託取引)は虚偽であり,上記WEBコンテンツ制作関連業務は実施されていないのである。Cも,A会社の循環取引に協力する趣旨で,内容が虚偽であることを認識した までに一審原告に支払うとの広告取扱業務の委託取引)は虚偽であり,上記WEBコンテンツ制作関連業務は実施されていないのである。Cも,A会社の循環取引に協力する趣旨で,内容が虚偽であることを認識した上で,一審被告に隠れて,署名,押印したにすぎないのであり,また,DはA会社の従業員であって,一審被告の代理人とみる余地はない。そうすると,循環取引の当事者である一審原告も,本件覚書5が仮装されたもので,その内容が虚偽であり,Cが上記趣旨で本件覚書5に署名押印したことや,Dの立場を十分認識していたものというべきである。 エそうすると,上記イの事実から,上記アの主張を認めることはできず,また,上記主張に沿う証拠(甲30,50,51,56,57,61,66ないし69,77,92の1,2,甲100,101の1,2,証人N,同O等)はいずれも採用することができず,他に,一審原告と一審被告を代理するD及びCとの間で,上記アの各契約が締結されたことを認めるに足りる証拠は存しないというべきである(したがって,BによるCの代理行為の追認の余地はない。)。 したがって,一審原告の上記アの各請求は,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 - 28 -(2) 不法行為に基づく請求についてア一審原告は,一審原告の甲事件取引に係る2億1000万円の支払は,一審被告がA会社に対して支払う広告取扱代金の資金繰りのため,一審被告が,一審原告に対し,ファイナンスを依頼するものであったところ,Bは,平成19年10月には,A会社の資金繰りが破綻するとともに一審被告の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対する返済ができなくなることを知り得べきであるのに,また,C,Dも,返済不能となることを知り得べきであるのに,さらに,本件覚書5がD及びCの偽造であると 被告の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対する返済ができなくなることを知り得べきであるのに,また,C,Dも,返済不能となることを知り得べきであるのに,さらに,本件覚書5がD及びCの偽造であるとすると,同人らがこれを用いて一審原告を欺罔して,一審原告に2億1000万円を支払わせたと主張する。 イしかし,一審原告の上記2億1000万円の支払は,一審原告とA会社との間の第5回目の循環取引の約定に基づくものであり,その趣旨は,一審原告がA会社に対し資金援助することであり,その返済はA会社が行う旨約定されていたものである。また,一審原告とA会社との間の本件スキームの合意,第1回目から第4回目までの循環取引の約定,更に甲事件取引(第5回目の循環取引)については,Cも含め一審被告の関係者がこれに加わったことはなく,また,一審原告が,一審被告に対し協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなかったのであるから,一審被告は,上記循環取引に何ら関与しておらず,もとより,一審被告が,一審原告に対し,ファイナンスを依頼することもなかったというべきである。そして,Bも,一審被告の広告取引を仮装する循環取引が行われていたことを知らなかったのであるから,一審被告が,これを認識した後,関係会社からの請求を拒否し,A会社との取引を取り止めたことは,正当な行為であったというべきである。加えて,一審原告は,本件覚書5の内容が虚偽であること,CがA会社の循環取引に協力する趣旨で本件覚書5に署名,押印したにすぎないこと,DはA会社の従業員であって,一審被告の代理人とみ- 29 -る余地はないことなどを認識していたものというべきである。 そうすると,一審被告に不法行為が成立する余地はなく,一審原告の一審被告に対する不法行為に基づく請求は,その余の点について判断 29 -る余地はないことなどを認識していたものというべきである。 そうすると,一審被告に不法行為が成立する余地はなく,一審原告の一審被告に対する不法行為に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないものというべきである。 4 一審原告の乙事件請求について(1) 支払取次契約,立替払契約に基づく請求についてア一審原告は,平成20年4月8日ころ,一審被告を代表するB又はBを代理するD及びCとの間で,第6回目の支払取次契約(一審原告がA会社に対し1億4513万6250円を支払い,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億4962万5000円を支払う旨の契約)又は立替払契約(一審被告が,一審被告がA会社に支払うべき広告取扱代金1億4513万6250円を立替払いし,一審被告が,一審原告に対し,上記金額にマージンを加えた金額として,平成20年5月31日,同年6月30日,同年7月31日にそれぞれ4987万5000円,合計1億4962万5000円を支払う旨の契約)を締結し,本件発注指示書を受領したので,平成20年4月11日,A会社の銀行口座に,1億4513万6250円を振り込んだ,Bは,少なくとも,Cの上記代理行為を追認しているなどと主張する。 イ確かに,本件発注指示書が作成され,その担当欄にCの認印(三文判)が押捺されており,また,一審原告は,平成20年4月11日,A会社の銀行口座に,1億4513万6250円を振り込んでいる。 ウしかし,上記認定のとおり,一審原告は,A会社との間で,一審被告がある広告代理店に広告を発注することを仮装し,その広告代理店が一審原告に,一審原告が更にA会 3万6250円を振り込んでいる。 ウしかし,上記認定のとおり,一審原告は,A会社との間で,一審被告がある広告代理店に広告を発注することを仮装し,その広告代理店が一審原告に,一審原告が更にA会社その他の広告代理店にこれを発注することを仮装した上,一審原告が上記仮装取引を理由に銀行から融資を受けて,こ- 30 -れをA会社や一審原告発注先広告代理店の口座に広告代金名目で振り込み,その6か月後に,A会社や一審原告発注元広告代理店が,一審原告に対し,再び広告代金の名目で,マージン又は利息を付して支払った金員を返還するという本件スキームを組成し,これによる循環取引により,A会社に資金援助をすることを合意し,平成17年9月以降,A会社との間で,本件スキームに基づく5回の循環取引を行い(ただし,第5回目は甲事件取引なので決済されていない。),本件発注指示書に係る取引は,本件スキームに基づく第6回目の循環取引(乙事件取引)の実施を約定したものであって,一審原告のA会社に対する上記振込みは,これに基づくものである。また,本件発注指示書は,一審原告が,本件スキームを実施する手段として,銀行から資金の融資を受けるため,一審被告発注の広告取引を仮装したものでしかなく,その内容(テレビスポットの広告業務の発注)は虚偽であり,上記テレビスポットの広告業務は関係会社において実施されていないのである。Cも,A会社の循環取引に協力する趣旨で,内容が虚偽であることを認識した上で,一審被告に隠れて,本件発注指示書の担当者欄に押印したにすぎないのであり,また,DはA会社の従業員であって,一審被告の代理人とみる余地はない。そうすると,循環取引の当事者である一審原告も,本件発注指示書が仮装されたもので,その内容が虚偽であり,Cが上記趣旨で本件発注指示書に署名押印した 従業員であって,一審被告の代理人とみる余地はない。そうすると,循環取引の当事者である一審原告も,本件発注指示書が仮装されたもので,その内容が虚偽であり,Cが上記趣旨で本件発注指示書に署名押印したことや,Dの立場を十分認識していたものというべきである。 エそうすると,上記イの事実から,上記アの各契約が締結されたことを認めるには足りず,また,上記主張に沿う証拠(甲30,50,51,56,57,61,66ないし69,77,92の1,2,甲100,101の1,2,証人N,同O等)はいずれも採用することができず,他に,一審原告と一審被告を代表するB又はBを代理するD及びCとの間で,上記アの各契約が締結されたことを認めるに足りる証拠は存しない(したがっ- 31 -て,BによるCの代理行為の追認の余地はない。)。 したがって,一審原告の上記アの各請求は,その余の点を判断するまでもなく,理由がない。 (2) 不法行為に基づく請求についてア一審原告は,一審被告がA会社に対する広告取扱代金の資金繰りのため,一審原告に対し,広告取扱名目でファイナンスを依頼したところ,Bは,A会社の資金繰りが破綻すること及び一審被告の広告資金の資金繰りが限界に来ていて,一審原告に対する返済ができなくなることを認識し,一審被告の従業員C,Dも,返済不能となることを知りながら,また,本件発注指示書がD及びCの偽造であるとすると,同人らがこれを用いて一審原告を欺罔して,一審原告に1億4513万6250円を支払わせたと主張する。 イしかし,一審原告の上記1億4513万6250円の支払は,一審原告とA会社との間の第6回目の循環取引の約定に基づくものであり,その趣旨は,一審原告がA会社に対し資金援助することであり,その返済はA会社が行う旨約定されていたも 513万6250円の支払は,一審原告とA会社との間の第6回目の循環取引の約定に基づくものであり,その趣旨は,一審原告がA会社に対し資金援助することであり,その返済はA会社が行う旨約定されていたものである。また,一審原告とA会社との間の本件スキームの合意,第1回目から第5回目までの循環取引の約定,更に乙事件取引(第6回目の循環取引)については,Cも含め一審被告の関係者がこれに加わったことはなく,また,一審原告が,一審被告に対し協議を求めたり,問い合わせや確認をしたこともなかったのであるから,一審被告は,上記循環取引に関与しておらず,もとより,一審被告が,一審原告に対し,ファイナンスを依頼することもなかったというべきである。そして,Bも,一審被告の広告取引を仮装する循環取引が行われていたことを知らなかったのであるから,一審被告が,これを認識した後,関係会社からの請求を拒否し,A会社との取引を取りやめたことは,正当な行為というべきである。加えて,一審原告は,本件発注指示書の内容が虚偽であ- 32 -ること,CがA会社の循環取引に協力する趣旨で本件発注指示書に押印したにすぎないこと,DはA会社の従業員であって,一審被告の代理人とみる余地はないことなどを認識していたものというべきである。 そうすると,一審被告に不法行為が成立する余地はなく,一審原告の一審被告に対する不法行為に基づく請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないものというべきである。 第4 結論以上の次第で,一審原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,一審被告の控訴は理由があるから,原判決中,一審被告敗訴部分を取り消し,同取消しに係る一審原告の請求を棄却し,一審原告の控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとお ある。 よって,一審被告の控訴は理由があるから,原判決中,一審被告敗訴部分を取り消し,同取消しに係る一審原告の請求を棄却し,一審原告の控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 主文 広島高等裁判所第4部 理由 裁判長裁判官宇田川基 裁判官近下秀明 裁判官丹下将克

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