- 1 -平成26年6月3日判決言渡平成24年(ネ)第3458号地位確認等請求控訴事件 主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人らに関する部分を取り消す。 2 控訴人らが被控訴人に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 3 被控訴人は,控訴人ら(ただし,原告番号63,64,68,69を除く。)に対し,上記各控訴人に対応する別紙賃金額一覧表「2011年1月分賃金未払額」欄記載の金員及びこれに対する平成23年1月26日から支払済みまで年6分の割合による金員をそれぞれ支払え。 4 被控訴人は,控訴人ら(ただし,原告番号63,64,68,69を除く。)に対し,平成23年2月から本判決確定の日まで,毎月25日限り,上記各控訴人に対応する別紙賃金額一覧表「請求賃金額」欄記載の金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員をそれぞれ支払え。 5 被控訴人は,控訴人P1(原告番号63)に対し,平成23年2月から本判決確定の日まで,毎月25日限り,同控訴人に対応する別紙賃金額一覧表「請求賃金額」欄記載の金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 6 被控訴人は,控訴人P2(原告番号64)に対し,平成23年6月から本判決確定の日まで,毎月25日限り,同控訴人に対応する別紙賃金額一覧表「請求賃金額」欄記載の金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで- 2 -年6分の割合による金員を支払え。 7 被控訴人は,控訴人P3(原告番号68)に対し,平成23年3月から本判 「請求賃金額」欄記載の金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで- 2 -年6分の割合による金員を支払え。 7 被控訴人は,控訴人P3(原告番号68)に対し,平成23年3月から本判決確定の日まで,毎月25日限り,同控訴人に対応する別紙賃金額一覧表「請求賃金額」欄記載の金員及びこれに対する各支払期日の翌日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 被控訴人の前身の株式会社P4は,株式会社P5,株式会社P6とともに,平成22年1月19日に東京地方裁判所で会社更生手続が開始されて,P7弁護士と株式会社P8が更生管財人に選任され,その後,平成23年3月28日に会社更生手続が終結した。 控訴人ら及び原審原告P9(原告番号9)は,客室乗務員として株式会社P4に勤務し,客室乗務員をもって組織される労働組合であるP10ユニオンの組合員であったが,平成22年12月9日,同月31日付けで整理解雇する旨の解雇予告通知(以下「本件解雇予告通知」といい,本件解雇予告通知に基づく解雇を「本件解雇」という。)を受けた。 本件は,控訴人ら及び原審原告P9が被控訴人に対し,本件解雇が無効である旨を主張して,労働契約に基づき,① 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに(なお,控訴人P11(原告番号69)は,地位確認のみを請求する。),② 本件解雇の時点で勤務していた控訴人ら(原告番号1ないし8,10ないし62,65ないし67,70ないし72)及び原審原告P9については,平成23年1月分(ただし,同月分については,原告番号60ないし68を除き,支給を受けた平成22年12月分乗務手当保障額を控除した額)から本判決確定の日までの賃金及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利 同月分については,原告番号60ないし68を除き,支給を受けた平成22年12月分乗務手当保障額を控除した額)から本判決確定の日までの賃金及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払,③ 本件解雇の時点で病気を理由に欠勤,休職していたが,後に主治医から就業可能との診断を受けた控訴人ら(原告番号63,64,68)について- 3 -は,それぞれ主治医から就業可能との診断がされた日の属する月の翌月から本判決確定の日までの賃金及びこれらに対する各支払期日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は,控訴人ら及び原審原告P9の請求をいずれも棄却し,控訴人らが控訴した。 なお,原審において,原審被告(被控訴人P5株式会社)が会社更生手続終結後に原審被告P7更生管財人を受継し,当審において,控訴人P12が被承継人亡P13(原告番号57)を相続により承継した。なお,原審原告P9の控訴はない。 2 事案の概要の詳細は,次のとおり補正し,後記3のとおり当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要等」2,「第3 本件の争点」及び「第4 争点についての当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,被控訴人は,控訴人ら(ただし,原告番号69を除く。)の賃金額について,原判決別紙「賃金額認否」に記載のとおり,認否をしている。 (1)原判決6頁12・13行目の「新たな事業再生計画」の次に「(以下「本件新事業再生計画」という。)」を加え,同頁13・14行目の「この新たな事業再生計画」を「本件新事業再生計画」と改める。 (2)同7頁3行目の「前記(6)の新たな事業再生計画」を「本件新事業再生 本件新事業再生計画」という。)」を加え,同頁13・14行目の「この新たな事業再生計画」を「本件新事業再生計画」と改める。 (2)同7頁3行目の「前記(6)の新たな事業再生計画」を「本件新事業再生計画」と改める。 (3)同8頁17行目の「新たな事業再生計画」を「本件新事業再生計画」と,同頁20行目の「この新たな事業再生計画」を「本件新事業再生計画」と,同頁25行目の「事業再生計画」を「本件新事業再生計画」とそれぞれ改め,同頁25行目の「(以下,」から同頁26行目の「という。)」までを削除する。 (4)同9頁10行目の「「有効配置稼働数」」の次に「(以下,単に「有効配- 4 -置数」ともいう。)」を加える。 (5)同13頁1・2行目の「「病欠日数・休職日数基準」という」を「「病欠日数・休職日数基準」といい,後記イの変更後も含めて用いる」を加える。 (6)同16頁25頁の「本件解雇後の平成23年2月8日」を「平成23年1月19日に本件訴訟が提起された後の同年2月8日」と改める。 (7)同19頁5行目末尾の次に改行の上,次のとおり加える。 「カ P8に対する出資金の償還被控訴人は,平成24年9月19日,P14第1部に再上場を果たし,P8の保有株式はすべて売却されて,P8の出資金3500億円は全額償還された(甲488,489)。」 3 当審における当事者の主張(1)控訴人らの主張ア人員削減計画の完遂本件解雇が強行された平成22年12月31日の時点で客室乗務員の有効配置稼働数(有効配置数)は4042名となっており,平成22年度確定下期路線計画における平成23年3月末時点での必要稼働数4120名を下回っており,管財人が完遂すべき人員削減計画は,平成22年12月31日時点で既に完遂されていたもので なっており,平成22年度確定下期路線計画における平成23年3月末時点での必要稼働数4120名を下回っており,管財人が完遂すべき人員削減計画は,平成22年12月31日時点で既に完遂されていたものである。 本件においては,本件更生計画,その基礎となった本件新事業再生計画,平成22年度確定下期路線計画,それに基づく人員削減計画上,同年12月31日の時点で84名の客室乗務員を整理解雇によって削減する必要性は全くなかったものであり,被控訴人が主張する人員削減の必要性は認められないのであって,本件解雇は,この点のみをもってしても,整理解雇法理に照らし,解雇権濫用として無効である。 (ア)人員削減の必要性とその不存在被控訴人の主張する本件解雇の正当性,有効性を基礎づける人員削減- 5 -の必要性については,本件更生計画上,事業規模を縮小することと縮小した事業規模に見合う人員体制にすることが必要であり,稼働ベースで更生計画に基づく事業規模の縮小により減少した必要稼働数に対して余剰となる有効配置稼働数を削減する必要があったとするものである。そして,本件において管財人が完遂しなければならない人員削減計画とは,客室乗務員の有効配置稼働数を必要稼働数4120名まで減らすことを内容とするものであり,必要稼働数を上回る有効配置稼働数に相当する人員を削減することを目的とするものであった。 しかし,実際には,平成22年12月31日時点における客室乗務員の有効配置稼働数は,4042名であったのであり,人員削減計画は既に完遂されており,本件では,被控訴人が主張する人員削減の必要性を基礎づける事実,すなわち必要稼働数を上回る有効配置稼働数に当たる余剰人員の存在が認められなかったのである。 (イ)削減目標の設定と有効配置稼働 本件では,被控訴人が主張する人員削減の必要性を基礎づける事実,すなわち必要稼働数を上回る有効配置稼働数に当たる余剰人員の存在が認められなかったのである。 (イ)削減目標の設定と有効配置稼働数の算定被控訴人の算定によれば,平成23年3月末の必要稼働数は4120名であり,これに対応する想定有効配置稼働数は4726名である。 この想定有効配置稼働数4726名は,平成22年9月1日時点における総在籍者数から平成23年3月末までの希望退職応募以外の一般退職者数を控除した同時点における想定総在籍者数5898名を算出し,同時点で想定される休職者数894名,契約社員地上業務10名,非稼働乗務員要素268名を控除した数字である。 被控訴人は,平成22年9月28日,平成23年3月末時点の想定有効配置稼働数4726名をもとに,同時点での必要稼働数4120名との差である606名分を削減目標としてP10らに説明した。 (ウ)12月時点の客室乗務員の有効配置稼働数しかし,平成22年12月1日時点の有効配置稼働数は,控訴人らの- 6 -算定によれば,次のとおり,4140名となっており,人員削減計画上の必要稼働数4120名に対してほとんど余剰のない状態になっていた。 同日時点総在籍者数 5773名(甲391)同日P15統合のタイ人増分 -557名(甲391)同日時点休職者数 -798名(甲391)同日時点総配置数 4418名(甲470)契約社員地上業務 -10名(乙9)非稼働乗務員要素 -268名(乙9)同日時点有効配 4418名(甲470)契約社員地上業務 -10名(乙9)非稼働乗務員要素 -268名(乙9)同日時点有効配置数 4140名(甲470)そして,平成22年12月1日以降も,相当数の退職が見込まれ,実際に,同日から平成23年1月1日までに,本件解雇による84名を除いて132名が減少し,同日から同年3月末までに218名が減少したのであるから,平成22年12月以降の人員数の把握をしていた被控訴人において,特段の人員削減施策を講じなくても,人員削減計画が完遂される状況にあることは明らかであったものであり,平成22年12月9日の時点で本件解雇予告通知が不要であったことはいうまでもない。 また,平成22年11月30日付けで締結された被控訴人と主要行とのリファイナンスに関する基本合意が解雇による人員削減を正当化する根拠にならないことは明らかであることのみならず,特段の人員削減施策を講じなくとも,4120名との差20名が解消されることは確実であったのであるから,被控訴人において,人員削減施策の進捗状況とこの時点までの飛躍的な業績回復状況を主要行に正しく説明していれば,リファイナンスの協議の開始に何らの支障もなかったはずであり,人員圧縮等の実現の重大な支障が生じていないことは明白であったのであり,リファイナンスの基本合意や協議開始の必要性などという事情は,- 7 -本件解雇予告通知や本件解雇の実行の根拠とならないものである。 さらに,平成22年12月31日時点の有効配置稼働数は,控訴人らの算定によれば,次のとおり,4042名となっており,既に人員削減計画上の必要稼働数4120名を下回っていた。 平成23年 さらに,平成22年12月31日時点の有効配置稼働数は,控訴人らの算定によれば,次のとおり,4042名となっており,既に人員削減計画上の必要稼働数4120名を下回っていた。 平成23年1月1日時点総在籍者数 5557名(甲392)P15統合のタイ人増分 -557名(甲392)平成23年1月1日時点休職者数 -755名(甲392)被解雇者(休職者9名を除く) +75名(甲471)平成23年1月1日時点総配置数 4320名(甲471)契約社員地上業務 -10名(乙9)非稼働乗務員要素 -268名(乙9)平成22年12月31日時点有効配置数 4042名(甲471)したがって,この時点で人員削減計画は既に完遂されていたのであって,本件更生計画上,これ以上整理解雇によって客室乗務員を削減する必要性は全くなかったものである。 しかし,被控訴人は,平成22年12月31日時点における実際の有効配置稼働数について,P10に対して一切説明しておらず,本件解雇の時点における実際の有効配置稼働数は,最も重要な数値であって,把握していないはずのないものであるが,実際の有効配置稼働数を説明せず,既に必要稼働数を下回っていた事実を伏せたまま,本件解雇を強行したものであり,本件更生計画,本件新事業再生計画の枠を大きく逸脱した暴挙というべきである。 (エ)人員削減の必要性仮に,平成22年9月28日の時点で客室乗務員の有効配置稼働数を人員削減計画上の必要稼働数4120名まで減らすために稼働ベース606名分の削減を行う必要性があったとしても,その後の希望退職者数- に,平成22年9月28日の時点で客室乗務員の有効配置稼働数を人員削減計画上の必要稼働数4120名まで減らすために稼働ベース606名分の削減を行う必要性があったとしても,その後の希望退職者数- 8 -及び一般退職者数の推移等により,客室乗務員の有効配置稼働数が同年12月31日までに人員削減計画上の必要稼働数4120名より少なくなっていたのであり,同年9月28日時点で存在したかもしれない解雇の必要性は,同年12月31日の本件解雇の時点までに消滅したものである。 いったん,平成22年9月28日に希望退職者によって稼働ベース606名を削減する目標を立てた以上,同年12月31日までに有効配置稼働数4120名以下になっていたとしても,稼働ベース606名の希望退職による削減を完遂するというのであれば,目標自体を自己目的化するものであって,本末転倒というほかない。 また,必要稼働数4120名は,日本人と外国人を合わせた客室乗務員トータルの人数であり,人員削減計画上の総在籍者数5898名,有効配置稼働数4726名も,同様であって,人員削減計画が客室乗務員のトータルで有効配置稼働数4120名体制を目指していたことは明らかであり,客室乗務員全体の有効配置稼働数が4120名を下回っているのに,それ以上に日本人の客室乗務員を本件解雇により削減する必要性など,人員削減計画に存在しない。 イ整理解雇法理及び信義則に照らした本件解雇の無効本件更生計画に定められた「事業規模縮小に見合う人員体制」は,本件解雇の時点において既に達成されており,解雇権濫用の考慮要素としての人員削減の必要性は存在しなかったものであり,また,本件会社更生手続下における被控訴人の人員削減施策は,労使関係,労働契約関係上の信義則に著しく反しており,強 れており,解雇権濫用の考慮要素としての人員削減の必要性は存在しなかったものであり,また,本件会社更生手続下における被控訴人の人員削減施策は,労使関係,労働契約関係上の信義則に著しく反しており,強行された解雇権の行使は権利濫用に当たるものであったから,本件解雇は,整理解雇法理及び信義則に照らして,無効であることが明らかである。 (ア)人員削減の必要性の不存在- 9 -人員削減施策の目的は,「事業規模に見合った人員削減」ないし「事業規模の縮小」であって,収支改善のために費用削減を図るものであり,費用削減策として人員削減施策が策定されたものである。事業規模縮小施策とそのための人員削減施策は,収支の改善,営業利益の計上,キャッシュフローの最大化を目的としているのであり,目標となるべき経営指標を上回ることが望ましいとの判断があり得たとしても,業績と無関係に人員削減を行うこと自体が経営施策の目的となることはないのであって,あくまでも目標とされた経営指標達成の観点から,人員削減の必要性が判断されるべきである。 しかし,本件解雇の時点では,被控訴人においては,本件更生計画を上回る営業利益が確保され,自己資本比率も増大しており,「当座比率」,「流動比率」,「インタレスト・ガバレッジ・レシオ」,「キャッシュフロー」等の財務指標及び損益分岐点の大幅な引下げ等のいずれの点でも,事業を継続する上での財務安定性に何らの支障もなく,まして二次破綻の危険性を示す事実もなかった。 本件解雇の直前の平成22年11月末時点での累計連結営業費用は,当初の更生計画の目標を修正した8603億円よりも182億円も超過削減した8421億円となっており,同年12月末時点における累計営業費用は,当初の更生計画の目標を修正した959 累計連結営業費用は,当初の更生計画の目標を修正した8603億円よりも182億円も超過削減した8421億円となっており,同年12月末時点における累計営業費用は,当初の更生計画の目標を修正した9592億円よりも約290億円も超過削減した9302億円となっていた。このうち,人件費についても,平成23年3月末時点で目標としていた2549億円を206億円も超過して削減しており,本件解雇の時点において,既に人件費はその目標を200億円近く超過して削減されていたのであって,被控訴人は,大規模な固定費削減による利益改善効果として,内部的,構造的な増益要因が継続していく経営体質となっていた。 被控訴人が実施した165名の整理解雇により削減される人件費は,- 10 -被控訴人の主張によっても年間約20億円であり,この金額は,平成21年度のP16グループの営業費用合計額の0.123パーセント,平成22年度の営業費用合計額の0.170パーセントにすぎない。 このように,本件解雇の時点の被控訴人の財務状況に照らせば,「継続的に利益の出せる経営体質実現」のために,本件解雇をもたらす人員削減の必要性が認められないことは明らかというべきであり,人員状況それ自体としても,人員削減施策を完遂しており,その人員削減の進捗状況も要因となって,堅調な業績,財務状況がもたらされているのであり,人員状況,財務状況,経営状況を総合的にみれば,被控訴人が策定した本件新事業再生計画の遂行のために人員削減が必要であるとの判断に合理性は認められない。 そして,本件解雇後の被控訴人の経営状況は,高水準の利益を計上し続け,これに伴って被控訴人の財務体質も着実に強化され,平成24年度末においては,自己資本比率が46.6パーセントにまで達しており,こ そして,本件解雇後の被控訴人の経営状況は,高水準の利益を計上し続け,これに伴って被控訴人の財務体質も着実に強化され,平成24年度末においては,自己資本比率が46.6パーセントにまで達しており,これは,本件解雇前の平成22年12月の財務基盤が脆弱であったのが突然に強化されたものではなく,その時点で被控訴人に存在した内部的,構造的な増益要因が継続した結果である。 本件解雇の時点において,被控訴人の本件解雇後の飛躍的な業績回復動向については,相当程度予測が可能であり,これを視野に入れて本件解雇の必要性を検討した場合,本件解雇の必要性はおよそ認められる余地などなかったものである。 また,本件解雇の直後から生じた被控訴人の人員不足,それを補うための2年連続の客室乗務員1人当たりの稼働時間の大幅増加,平成24年4月以降の合計1580名もの大量採用という本件解雇後に生じた事実からすれば,本件解雇の時点で人員削減の必要性があったとは到底認めることができない。 - 11 -前記アのとおり,平成22年12月1日から平成23年1月1日までの1か月間に客室乗務員の総在籍者数は132名も減少しており,その後も相当数の自然減が見込まれ,平成22年12月31日時点での有効配置稼働数は人員削減計画上の必要稼働数を78名も下回っていたのであり,こうした状況でさらに84名の客室乗務員の整理解雇を実施すれば,本件解雇後,客室乗務員の人員不足に陥ることは明白であった。 本件解雇以降の人員不足,稼働時間数の大幅増加,客室乗務員の大量採用の事実は,本件解雇の時点における人員削減の必要性判断において,当然に考慮されるべき事情であり,人員体制の観点からは,本件解雇による人員削減の必要性が全くなかったことがいっそう明らかである 大量採用の事実は,本件解雇の時点における人員削減の必要性判断において,当然に考慮されるべき事情であり,人員体制の観点からは,本件解雇による人員削減の必要性が全くなかったことがいっそう明らかである。 以上のとおり,本件解雇の時点で既に被控訴人の内部に存在していた内部的,構造的な増益要因(大規模な固定費削減による利益改善効果)が継続した結果,本件解雇以降も被控訴人の経営状況は高水準の利益を計上し,財務体質も着実に強化され,平成24年度末においては,自己資本比率が46.6パーセントにまで達し,他方で,本件解雇直後から,被控訴人は客室乗務員の人員不足に陥り,客室乗務員1人当たりの稼働時間の大幅増加,さらには客室乗務員の大量採用に至っている。これらの事実は,事後的に,経営上の必要性の観点からも,被控訴人の人員体制の観点からも,本件解雇によって人員を削減する必要性が存在しなかったことを明確に示している。 したがって,本件解雇の時点において,解雇権濫用の考慮要素としての人員削減の必要性は存在しなかったものであり,就業規則52条1項4号の「企業整備のため,やむをえず人員を整理するとき」にも該当しないのであり,本件解雇は直ちに無効というべきである。 (イ)特有の信義則違反ないし権利濫用本件会社更生手続における被控訴人の人員削減施策は,① 雇用継続- 12 -のための解雇回避措置(リフレッシュ休職等)が実現可能であったにもかかわらず,当初の約束に反してこれを拒否し,② 運航の安全確保や社会的観点におよそ適合しない整理解雇の人選基準を突如提示して,これに固執し,③ 解雇回避を求めるP10に対し,不誠実な団交に終始しつつ,乗務外し,自宅待機命令の圧力下に希望退職を強要し,P10の争議権確立投票に公然と介 ない整理解雇の人選基準を突如提示して,これに固執し,③ 解雇回避を求めるP10に対し,不誠実な団交に終始しつつ,乗務外し,自宅待機命令の圧力下に希望退職を強要し,P10の争議権確立投票に公然と介入し,争議権行使を妨害して解雇を性急に強行したものであり,労使関係,労働契約関係上の信義則に著しく反するものであった。 被控訴人は,これらの行為を平成22年9月27日の本件人選基準案の提示から同年12月9日の本件解雇予告通知までのわずか2か月間に集中させ,本件更生計画上の人員削減達成期限である平成23年3月末から3か月も前倒しして本件解雇を強行したものであり,本件解雇が権利濫用に当たることは明らかである。 a 解雇回避努力に反する事実経過の特徴(a)平成22年1月21日に開かれた8労組に対する管財人説明会において,法人管財人であるP8は,約1万5000人の人員削減について,非連結化による削減,自然減,早期退職,一時帰休などワークシェア的なものも含めて実施すると発言し,質疑応答の中では,いきなり整理解雇など考えていないと明言した。被控訴人は,この約束以降,同年9月27日までの8か月間,P10に対しても組合員個人に対しても解雇を切り出したことはなかったが,同日,8労組に対して整理解雇のための本件人選基準案を提示するとともに,一時帰休やワークシェアのような雇用継続のための解雇回避措置を一切行わない方針を固めていたものであり,現に,最後まで年齢制限付きの希望退職募集以外の解雇回避措置を一切拒否する態度を貫いたのであって,労使関係における信義則を踏みにじる甚だしい背- 13 -信行為であった。 (b)被控訴人は,平成22年9月3日から希望退職の第1次募集を実施したが,これには対象者の年齢を45歳以 て,労使関係における信義則を踏みにじる甚だしい背- 13 -信行為であった。 (b)被控訴人は,平成22年9月3日から希望退職の第1次募集を実施したが,これには対象者の年齢を45歳以上に限定する年齢制限が付されていた。P10は,何度も希望退職募集の年齢制限の撤廃あるいは30歳代までの引下げを提案したが,被控訴人は,希望退職の最終募集において,対象年齢を3歳引き下げただけで,それ以上年齢枠を拡大しようとしなかった。 (c)被控訴人は,平成22年9月2日,P10に対する希望退職の説明会において,客室乗務員の人員削減目標は頭数で570名と説明したが,希望退職の第1次募集の応募結果が明らかになると,同月28日の事務折衝において,稼働ベースで606名,頭数で660名の削減が必要と発言し,当初目標とした頭数570名は,稼働ベースでは517名であったと説明され,削減目標数は89名もの上積みとなった。しかし,同年10月6日の事務折衝で示された上積みの理由は,路線必要数の減少,長欠者の減少等などをいうにとどまり,合理的な説明はされなかったのであって,解雇回避ではなく,削減目標を上積みして目標未達を作出し,整理解雇の口実にしようとしたものであった。 (d)被控訴人は,削減目標数を不合理に上積みし,年齢制限付きの希望退職募集に固執して,削減目標未達の状況を作出する一方,P10の提案したリフレッシュ休職等の実効性のある雇用継続のための解雇回避措置については,一過性のものにすぎないなどとして,頑なにその実施を拒み続けた。 しかし,平成22年12月時点の人員状況,平成23年1月から3月末までの人員減少,稼働時間の増加等に照らせば,この時期に行われる雇用継続を前提とする解雇回避措置は,恒久的な施策であ- 14 -る必 かし,平成22年12月時点の人員状況,平成23年1月から3月末までの人員減少,稼働時間の増加等に照らせば,この時期に行われる雇用継続を前提とする解雇回避措置は,恒久的な施策であ- 14 -る必要はなく,平成23年3月末までの短期的,一時的措置で十分だったのである。にもかかわらず,被控訴人は,恒久的な施策が必要という事実に反する不合理な説明を繰り返し,リフレッシュ休職等の解雇回避措置を拒否した。 (e)被控訴人では,整理解雇の本件人選基準案発表の翌日の平成22年9月28日から,マネージャーにより,本件人選基準案に該当する者に対して面談を行う旨の連絡が開始され,同年10月1日から,対象者はS10(乗務がアサインされることのない10時から16時までの自宅待機命令)となり,順次,面談がされた。 希望退職募集の対象となる者のうち,特定の者だけにS10と面談が指示されたことにより,指示されていない者が希望退職募集に応じる可能性は低くなり,希望退職募集の対象者はより狭められたのであり,被控訴人は,解雇回避に逆行する措置をとり,P10からの年齢制限撤廃又は年齢制限の引下げの要請を聞き入れることなく,希望退職募集の年齢制限に固執した上で,狙った対象者に対する直接的な希望退職の強制を続けた。 (f)P10は,最終的に対等な立場の労使交渉を通じて解決を図るため,平成22年11月1日から同月19日までの間,争議権確立の一般投票に入った。 この争議権投票の最中である同月15日の団体交渉において,被控訴人は,整理解雇の方針をP10に告げ,翌16日の事務折衝において,P8のディレクターは「争議権が確立された場合,それが撤回されるまで更生計画案で予定されている3500億円の出資をすることはできません。」と発言し,管財人代 10に告げ,翌16日の事務折衝において,P8のディレクターは「争議権が確立された場合,それが撤回されるまで更生計画案で予定されている3500億円の出資をすることはできません。」と発言し,管財人代理は,「認可決定前に,つまり再建の具体的なスタートラインにつく前に,社内に争議の可能性のある会社を,裁判所が再建できると判断して,認可する- 15 -というのは極めて慎重であると,つまり,仮に可決されても認可決定は出ないかもしれない。」と発言して,公然と労働組合の自主的な方針に介入したのであるが,労働組合の権利行使である争議権確立を理由に,既に決定している出資の実行を止め,被控訴人を破綻させるなどという選択肢があるわけがなく,嘘の脅しであった。このようなもっともらしい嘘は,現実にP10内部に大きな不安と動揺を招き,これを狙った介入であったのであって,P10では,混乱が生じて解雇回避措置について話し合うことができないまま,本件解雇が強行される事態に至った。 (g)本件更生計画の人員削減の目標達成時期は,平成23年3月31日であったが,被控訴人は,平成22年9月以降,希望退職者,一般退職者が続出して,同年12月には人員削減計画が達成され,平成23年1月以降も200名を超える退職者が出ることを見越していたにもかかわらず,P10に対してこの事実を秘匿し続けて,本件更生計画上の達成時期を3か月も前倒しして,平成22年12月末をもって,本件解雇を性急に強行したものであって,そこに解雇回避努力は微塵もなかった。 (h)このように,被控訴人は,本件会社更生手続の当初,P10に対して約束したワークシェアなどの雇用継続のための解雇回避措置を平成22年9月27日から一切拒否し,団体交渉におけるP10の真摯な提案も無視し,削減目標を上 訴人は,本件会社更生手続の当初,P10に対して約束したワークシェアなどの雇用継続のための解雇回避措置を平成22年9月27日から一切拒否し,団体交渉におけるP10の真摯な提案も無視し,削減目標を上積みして解雇の口実を作り,狙った対象者に退職を強要した上,対等な立場の労使交渉の確保のためのP10の争議権確立投票に嘘の脅しで介入し,人員削減の達成状況をP10に対して秘匿したまま,本件更生計画を3か月も前倒しして本件解雇を強行したものであり,労使関係上,労働契約上の信義則違反を重ねたものであって,解雇回避努力義務違反は明白で- 16 -ある。 (i)ところが,被控訴人においては,平成23年1月から同年3月末までに,218名もの客室乗務員が退職し,客室乗務員の稼働が64.5時間と平成22年度の計画値である61.2時間と比較して3.3時間も増加し,同月以降,職場には人員不足の状況が生じ,稼働時間の増加や管理職,訓練教官,地上勤務者への乗務指示によっても,人員不足は解消せず,平成24年の人員不足は極めて深刻であり,有給休暇の取得すらできなくなって,グループミーティングも中止せざるを得ないほどであった。 その結果,被控訴人は,平成24年4月から現時点までに,期中採用1020名を含む総数1580名もの大量の客室乗務員を採用したが,このような採用計画を進めても人員不足は解消せず,同年10月10日の経営協議会では,社長が客室乗務員の人員不足のために利益率の高いチャーター便を出せなかったことを認めている。 このような本件解雇後の事情からしても,被控訴人において,平成22年12月の時点で雇用継続のための解雇回避措置を講じることができたことは明白である。 b 解雇回避努力義務違反(a)被控訴人においては,本件解雇の 被控訴人において,平成22年12月の時点で雇用継続のための解雇回避措置を講じることができたことは明白である。 b 解雇回避努力義務違反(a)被控訴人においては,本件解雇の時点以前から,飛躍的に業績が回復し,本件更生計画の定める目標をはるかに上回っており,本件解雇の時点では,その後も業績改善が継続することが当然に想定される状況にあったから,人員削減の必要性はそもそもなかったのであり,仮にあったとしても,極めて低かったのであるから,解雇回避努力義務の要求水準として,解雇を回避する可能性のある措置をできる限り実施することが強く要請されていたものである。 (b)被控訴人の客室乗務員においては,若年層の退職率が高かったの- 17 -であり,希望退職募集の当初から,年齢制限を撤廃又は引き下げて希望退職の募集を行っていれば,若年層を含む多くの希望退職応募者が生じ,本件解雇を回避できたことは明らかであり,しかも極めて容易に実施できる回避措置であったにもかかわらず,被控訴人は,最後まで希望退職募集の年齢制限に固執した。 平成23年1月から同年3月末までに218名(邦人119名)もの一般退職があったことからすれば,本件解雇の時点で,年齢制限を撤廃し又は引き下げれば,邦人退職者のうちの相当数が前倒しで希望退職に応募していたことが容易に想像できる。しかも,本件解雇の実施された平成22年12月末の時点では,被控訴人の主張によれば,人員削減目標数は60.5名分にまで減少していた。被控訴人は,本件解雇の時点においても,年齢制限の撤廃又は引下げによる希望退職募集をせず,解雇回避努力義務を懈怠したのである。 (c)リフレッシュ休職は,1か月単位の無給休職制度であり,有効配置稼働数の計算上,稼働ベースはゼロであるか 撤廃又は引下げによる希望退職募集をせず,解雇回避努力義務を懈怠したのである。 (c)リフレッシュ休職は,1か月単位の無給休職制度であり,有効配置稼働数の計算上,稼働ベースはゼロであるから,これを実施すれば,同休職取得者の人数分の稼働がゼロとなり,その分だけ有効配置稼働数が減少するから,人件費削減効果もある極めて実効性のある解雇回避措置であったのであり,本件解雇前にリフレッシュ休職を実施すれば,人員削減目標の未達とした60.5名分以上の応募があり,容易に人員削減目標を達成していたことは明らかであった。 P10は,平成22年12月1日からの事務折衝,同月7日の団体交渉で改めてリフレッシュ休職の実施を強く求めたのであるが,被控訴人は,本件解雇の時点においても,リフレッシュ休職を実施せず,解雇回避努力義務を懈怠した。 (d)部分就労は,通常勤務者の勤務日数が月間20日であるのに対し,その半分の10日を勤務日とする雇用形態であり,就労日数は通常- 18 -乗務の50パーセントであるのに対して賃金は45パーセントとされるから,人件費圧縮にもなる制度であって,部分就労は稼働ベースで0.5と計算され,有効配置稼働数が減少し,しかも,いったん部分就労となると,元には戻れない制度であって,恒久的な解雇回避策となり得るものであり,リフレッシュ休職と同様,部分就労を選択する者を募集していれば,本件解雇を回避できた現実的可能性は高い。 被控訴人は,部分就労を実施せず,解雇回避努力義務を懈怠した。 (e)被控訴人は,本件解雇直前の平成22年12月に新人客室乗務員32名(平成21年度内定者,10月8日入社)をラインアウト(訓練終了後,実乗務に就労)させたものであり,これを延期すれば,少なくとも,32名分の は,本件解雇直前の平成22年12月に新人客室乗務員32名(平成21年度内定者,10月8日入社)をラインアウト(訓練終了後,実乗務に就労)させたものであり,これを延期すれば,少なくとも,32名分の解雇は回避できたことが明らかである。平成23年1月から3月末までに218名もの一般退職者が出たことを考慮すると,その延期は最長3か月で十分であった。 被控訴人は,本件解雇の直前に新人客室乗務員をラインアウトさせるという解雇回避努力に真っ向から反することを行ったのであり,本件解雇によって解雇された労働者との信義に著しく反する解雇回避努力義務違反である。 (f)被控訴人では,平成22年12月中に132名,平成23年1月から3月末までに218名の客室乗務員が一般退職等の自然減耗により減少しており,被控訴人は,当然にこれを把握していたのであるから,仮に,平成22年12月9日時点で108名,同月末時点で84名の客室乗務員が余剰であったとしても,その状況は平成23年3月末までの人員推移の中で解消されていたことが明らかである。 平成23年3月末までに在籍人員数が200名以上減ることが確- 19 -実に見込まれていたのであるから,84名に対する解雇日を同月末まで延期したとしても,本件更生計画が定めた期限までに「事業規模縮小に見合う人員体制を構築する」という人員削減計画の目的達成に何ら支障はなかったのであり,本件解雇に係る解雇日の延期は,極めて容易かつ確実な解雇回避措置であった。 (g)このように,被控訴人は,本件解雇に至る一連の経緯に照らしても,現実的に容易に実施可能であった雇用継続のための様々な解雇回避措置について,P10が真摯に具体的な提案をしたにもかかわらず,一切これを実施せず,希望退職募 は,本件解雇に至る一連の経緯に照らしても,現実的に容易に実施可能であった雇用継続のための様々な解雇回避措置について,P10が真摯に具体的な提案をしたにもかかわらず,一切これを実施せず,希望退職募集も不合理な年齢制限に固執するなど解雇回避に逆行する措置をとり続けたのであり,信義則違反を繰り返して本件解雇を強行したものであって,解雇回避努力義務違反は明白である。 c 本件人選基準の不合理性(a)年齢基準の不合理性年齢基準については,国際的には,中高年等社会的に保護に値するものを対象とした整理解雇は許されないという観点が裁判上考慮される傾向にあり,解雇における中高年労働者に対する優先的な保護がEU各国やアメリカ法等の先進国では実施されている。フランスにおいては,家族責任,在職年数,再就職が困難となる社会的性格を帯びた地位にあるか否かが考慮されなければならず,ドイツにおいても,勤続年数,年齢,扶養義務が考慮されなければならないとされている。 使用者側の一方的な事情による整理解雇により受ける不利益の高さ(被害度)から,労働者を保護する必要性において,国による違いはなく,日本においても,整理解雇における人選基準として社会的観点が考慮されるべきであり,被害度の高さとして再就職が困難- 20 -となる社会的性格や扶養義務などに着目されるべきである。 被控訴人は,年齢の高い者は「貢献度」及び「被害度」が低いとして,年齢制限を策定したとするが,継続的な信頼関係に依拠する労働関係を使用者の一方的な事情で解消する整理解雇においては,年齢の高さ,勤続年数の長さ,扶養義務があることなどの属性を被害度の高さや貢献度の高まりとして考慮すべきであって,年齢基準は,このような社会的観 を使用者の一方的な事情で解消する整理解雇においては,年齢の高さ,勤続年数の長さ,扶養義務があることなどの属性を被害度の高さや貢献度の高まりとして考慮すべきであって,年齢基準は,このような社会的観点を考慮していない点で合理性がなく,許されない。 そして,被控訴人には,古くから女性客室乗務員を若年者に限ろうとする積年の差別的体質があったのであり,若年層に厚い人員構成への転換を図る目的は,積年の違法な差別体質の発露であって,合理性がないことは明らかであり,また,あえて豊富な経験と熟練の技能を有する客室乗務員を優先して整理解雇の対象とすることは,安全の層を薄くするものであって,不合理である。 実際に,年齢基準により解雇された控訴人らの多くは,子や親の扶養,介護,住宅ローンなどの責任と負担がある一方,年齢の高いことが理由で再就職先が見つからないか,極めて低賃金の非正規雇用しかないことにより,経済的に困窮し,扶養に支障を来しているのであり,被控訴人の客室乗務員として熟練し,貢献した年数が長いほど,このような不利益が増大している。これは,まさに年齢の高い者が長年勤務した会社を一方的に解雇されたことにより生じる社会的観点における不利益であり,年齢基準により解雇された者が受ける被害度が高いことを裏付けるものであり,年齢基準が社会的に相当でないことを示している。 また,解雇対象者に提示された退職条件については,個々の内容をみると,退職金及び退職一時金は,被控訴人に現在在籍する労働- 21 -者に対しても将来退職時において就業規則や退職金規程に基づいて支給される性質のものであり,本件解雇に際して金額が増大して支給されたものではなく,希望退職や整理解雇の際に上記の給付がされること自体を「破格の内容 将来退職時において就業規則や退職金規程に基づいて支給される性質のものであり,本件解雇に際して金額が増大して支給されたものではなく,希望退職や整理解雇の際に上記の給付がされること自体を「破格の内容」とすることはできない。 (b)病欠日数・休職日数基準の不合理性傷病による人選基準についても,解雇により労働者が受ける不利益の高さを社会的観点から考慮すべきことは,年齢基準と同様であって,傷病を抱える者が解雇により受ける被害は,保護の必要性が高いにもかかわらず,その考慮が全くされていない。「被害度」は,扶養義務の存否や再就職の困難性等の意味にまで趣旨を拡張して判断されるべきであるが,こうした観点が欠落したまま,傷病を有し,又は有していた客室乗務員を傷病苦と経済苦の二重の過酷な状況に陥れる可能性を包含させていたものであり,合理性はない。 客室乗務員は,過酷な就労環境と不規則な勤務形態などの業務の特殊性から,地上職とは異なり,傷病によって欠勤,休職となることの多い職種であり,仕事への取組みが勤勉であるほど,職業病的な側面を有する疾病に罹患する機会も多いのであって,類型的に就業環境によって惹起しやすい疾病により,客室乗務員が欠勤,休職せざるを得なかったとしても,労働者には帰責されないはずであり,そのような客室乗務員を整理解雇対象者に包含する傷病基準に合理性はない。 そして,疾病による欠勤日数,休職期間を解雇の人選基準とすることは,長期雇用システムの中で,使用者が傷病に罹患した労働者の解雇を一定期間猶予し,心身の回復を図ることを許容するために設けた休職制度の意義を根本から否定するものであり,労働者の傷病を理由として,使用者が労働者に休むことを命じておきながら,- 22 -その反面 一定期間猶予し,心身の回復を図ることを許容するために設けた休職制度の意義を根本から否定するものであり,労働者の傷病を理由として,使用者が労働者に休むことを命じておきながら,- 22 -その反面において,労働契約を解約させることは禁反言の原則に反するものというべきであり,被控訴人側の事情で職場復帰までに期間,日数を要した場合でも,これを考慮せずに基準該当者を解雇対象者とするものであって,極めて不合理である。特に,休職中の客室乗務員が主治医等の判断に基づいて客観的には復職可能な状態にある場合に,被控訴人の判断の過程において,復職までの面談等の日程を設定することは,使用者がその就労を全部又は一部拒否しているものであり,復職日の指定が平成22年9月27日より後になったために,救済措置に該当しなくなったことによって,整理解雇の対象者とすることは極めて不条理な行為であって,その解雇権の行使は濫用というべきである。 さらに,傷病による欠勤,休職の日数が解雇の人選基準となるという実績を作ることは,傷病をおして乗務する傾向を誘発するものであり,客室乗務員本人の健康被害や安全運航への懸念につながることになるのであって,こうした観点からも,傷病による本件人選基準は不合理である。 実際に,傷病による本件人選基準により本件解雇の対象となって解雇された控訴人らは,傷病を療養する必要があり,傷病を抱えたまま再就職をすることが困難であって,会社を一方的に解雇されたことにより生ずる著しい不利益を受けており,傷病者らが受ける被害度には高いものがあり,傷病による本件人選基準は,社会的に相当でない。 特に,経済的な不利益としては,傷病による本件人選基準によって解雇された者の大半が単身者かつ公的年金の受給権を満たさ 高いものがあり,傷病による本件人選基準は,社会的に相当でない。 特に,経済的な不利益としては,傷病による本件人選基準によって解雇された者の大半が単身者かつ公的年金の受給権を満たさない者であって,企業年金に関しては,加入期間の条件を満たさないために,脱退一時金のみの支給となる者もおり,傷病の療養のために- 23 -休職中の者にとっては,二重の苦しみとなり,もともと業務に由来する傷病による欠勤,休職を理由とされた者が多く含まれているのであって,病欠日数・休職日数基準は,その適用結果においても,理不尽,不合理な事態を招いており,合理性は認められない。 (c)本件解雇において,被控訴人が設定した本件人選基準は,年齢による基準も傷病による基準も,いずれもそれ自体が合理性を欠いており,適用結果も不合理であるから,これらの基準を適用した本件解雇による控訴人らの解雇は,無効というべきである。 d 本件解雇に至る手続の不当性被控訴人は,本件会社更生手続の当初は,雇用確保を前提とする措置を含めた解雇回避努力の履行を明言し,P10もそれを前提に労働条件の切下げに応じてきたが,被控訴人は,従業員及び労働組合の意見を聴取することなく,人員削減計画の深掘り,前倒しを行い,その後は,年齢制限を付した希望退職措置に固執し,その他の解雇回避措置については検討すらせず,具体的な説明なく人員削減目標を上積みした上で,希望退職措置の対象となった控訴人らをフライトから外して退職強要を行い,平成22年12月に新人客室乗務員32名をラインアウトさせる一方で,本件解雇を強行したものである。 この間,被控訴人は,団体交渉,事務折衝等において,人員削減目標の達成状況を理解するために必要な稼働ベースの具体的算定 2名をラインアウトさせる一方で,本件解雇を強行したものである。 この間,被控訴人は,団体交渉,事務折衝等において,人員削減目標の達成状況を理解するために必要な稼働ベースの具体的算定方法を隠し,頭数と稼働ベースによる差の内訳を説明せず,人員削減の必要性を判断するために不可欠な平成22年9月以降の一般退職者数の開示を拒絶し,本件解雇の時点における実際の人員状況に基づく有効配置稼働数を説明しなかった。そして,解雇回避措置についても,P10からの実効性のある提案を検討せず,年齢制限付き希望退職措置に固執して何ら合理的な説明をせず,P10が争議権を確立しようとし- 24 -たところ,これを阻止するための支配介入の不当労働行為まで行い,解雇回避に向けたP10の団結力及び交渉力を弱体化させるに至っている。 結局,被控訴人は,雇用継続のための解雇回避措置をとる意思がなかったのであり,本件解雇を実施する方針のもと,不誠実な交渉を繰り返して本件解雇に至ったものであり,被控訴人の対応は,著しく信義に反するもので,手続が不当であることは明白であるから,本件解雇は無効というべきである。 (ウ)ILO勧告ILOは,P10とP17組合が平成23年3月23日付けでILO結社の自由委員会に対して行った申立てに対し,平成24年6月15日,① 被控訴人の客室乗務員の削減の過程において,組合三役などP10の組合活動の中心を担ってきた控訴人らを解雇してはならないこと,②管財人が客室乗務員などの被控訴人本体の人員削減計画の定立,人員削減の手法,人員削減の時期を検討するに当たっては,P10に対し,それらに関する基本的な情報を適切な時期に提供した上で,解雇を回避するための十分かつ率直な協議を行うことを保障しなければなら 立,人員削減の手法,人員削減の時期を検討するに当たっては,P10に対し,それらに関する基本的な情報を適切な時期に提供した上で,解雇を回避するための十分かつ率直な協議を行うことを保障しなければならないこと,③ P10が被控訴人による整理解雇に反対して争議権を確立しようとしたことに対しては,その活動のあらゆる局面において,被控訴人による妨害からの自由が全面的に保障されなければならないこととする勧告をした。 にもかかわらず,本件解雇により,P10の中心的な活動を担ってきた控訴人らが解雇され,被控訴人とP10との間で本件解雇を回避するための十分かつ率直な協議は行われず,被控訴人がP10の争議権確立に対して違法な介入を行ったのであり,本件解雇は,ILOの勧告の趣旨に照らして,信義則に違反し,不当労働行為として無効というべきで- 25 -ある。 ILOは,平成25年10月,フォローアップ手続を実施して意見表明を発出して,本件解雇の効力に関して解決に向けてどのような措置がとられたかなどの報告のほか,解雇された労働者を再び雇用するための採用計画に関する労働組合との協議の実施などを求めており,勧告に引き続くフォローアップ見解の内容を読み込めば,本件解雇が信義則に違反し,不当労働行為として無効であることがより一層明白である。 (エ)安全確保,向上義務と本件解雇人員削減計画は,希望退職と整理解雇によって,職場から53歳以上の客室乗務員を一掃し,同時に,航空運送事業者として貴重な財産というべきベテラン乗務員を切り捨て,安全の層を薄くするものであり,安全の確保,向上義務に真っ向から反するものであった。実際に客室乗務員の職場では,本件解雇の直後から,不安全事例が多発しており,運航乗務員からも,客室乗務員全 り捨て,安全の層を薄くするものであり,安全の確保,向上義務に真っ向から反するものであった。実際に客室乗務員の職場では,本件解雇の直後から,不安全事例が多発しており,運航乗務員からも,客室乗務員全体として安全意識やレベルが低下しているとの指摘がされている。 そして,本件解雇を含む人員削減施策は,社員の活気や意欲,自由にものの言える職場という安全の基盤を根底から掘り起こし,職場のモラールを著しく阻害したのであり,傷病で休職した者を人選し,53歳以上のベテランを一掃した本件解雇は,職場をものの言えぬ状態にするとともに,安全に関する経験やノウハウの蓄積を消失させたのであり,被控訴人は,安全の確保,向上義務を怠ったものである。 ウ本件解雇と不当労働行為控訴人らに対する本件解雇は,控訴人らがP10組合員であるが故にされた不利益な取扱いであり,かつ,P10を弱体化させ,その運営に支配介入するものであるから,労働組合法7条1号,3号に違反する不当労働行為である。 - 26 -(ア)控訴人らの解雇に向けた人員削減施策の実施破綻当初の被控訴人の人員削減施策は,客室乗務員を事業再生計画に従って必要な範囲で無理なく削減する方針をとっていた。 しかし,平成22年3月ないし4月に行われた年齢条件を35歳以上とする本件特別早期退職措置によって,無限定に削減人数を追求する方法では,P18組合員が大幅に減少し,P10組合員がさほど減少しないことが明らかになったことから,被控訴人は,危機感をもって,同年6月以降の人員削減施策を転換させ,同年10月13日の団体交渉の席上,被控訴人側から「こうありたいという,人員構成,体制」との発言があり,同年11月4日の団体交渉では,P8のマネージャーが「ただ誰でもいいというわけではな 転換させ,同年10月13日の団体交渉の席上,被控訴人側から「こうありたいという,人員構成,体制」との発言があり,同年11月4日の団体交渉では,P8のマネージャーが「ただ誰でもいいというわけではなく。そこには量だけでなく,中身の問題がある。」と発言し,管財人は,旧経営陣のP10排除方針を容認し,これに沿って人員削減を進めた。そして,被控訴人は,このような人員削減施策を秘したまま,P10に労働条件の切下げに協力させたあげく,同年9月27日に至って,整理解雇のための本件人選基準案を提示したものである。 被控訴人は,平成22年10月以降,退職に応じないP10組合員を排除するには解雇しか方法がなく,解雇を実行するため,削減目標を上積みすることにより,目標未達の状態を作出することとし,客室乗務員の削減目標を同年6月段階で,稼働ベース517名,頭数570名と設定し,同年9月2日に削減目標約570名と説明していたのに,同月28日になって稼働ベースで606名,頭数で660名の人員削減が必要であると言い出したのである。この時期に無理やり削減目標の上積みをしたのは,その直前の希望退職の第1次募集で,P10組合員,特に中心的な活動家が希望退職に応じていないことがわかり,整理解雇をするための仕組みを作るためである。 - 27 -客室乗務員に対する希望退職募集については,管理職55歳以上,一般職45歳以上という年齢制限が付されていたが,P10組合員には一般職で45歳以上の者が多く,希望退職募集を始めた平成22年9月の時点で,45歳以上の対象者は,P10組合員850人中の約300人,P18組合員4500人中の約500人であって,圧倒的にP10組合員の方が高い割合になる。管理職に対する希望退職募集については,55歳以上という高い年齢条件が ,P10組合員850人中の約300人,P18組合員4500人中の約500人であって,圧倒的にP10組合員の方が高い割合になる。管理職に対する希望退職募集については,55歳以上という高い年齢条件が加えられており,該当者がほとんどいなかったが,これは,その後もP10敵視,P18育成という労務方針を引き継ぐため,解雇断行に奔走した管理職を温存したものである。 また,被控訴人が持ち出した稼働ベース論は,本来,運行を維持するために必要な人員の算出のために用いるものであって,現に稼働している者をベースにしなければ,その算出ができないことは道理である。これを人員削減目標に適用することは,フルに乗務している者のみを削減数1とカウントし,フルに乗務していない者は1未満にカウントし,休職者に至ってはゼロとカウントし,何名退職しても削減数にはカウントされないことになるのであって,現にフル稼働している者を中心に退職させないと目標が達成しない仕組みであり,この方式をとることによって,削減目標のハードルが高くなったのである。 減った業務量に応じて1人当たりの仕事量を減らし,仕事を分かち合うリフレッシュ休職や部分就労等のワークシェアは,稼働ベース論に従えば,単に解雇回避策にとどまらない人員削減施策といえ,当時の職場状況からしても十分な実現可能性があったものであるが,被控訴人は,P10が平成22年9月25日付けでした解雇回避に関わる緊急4項目の提案について,これを一顧だにせず,希望退職以外の解雇回避措置をしなかったものであり,削減目標未達を作り出す工作をした。 そして,被控訴人は,平成23年1月から3月までの邦人客室乗務員- 28 -の一般退職者は119名であるが,これを平成22年12月時点で当然に把握しており,新人事賃金制度が平成 をした。 そして,被控訴人は,平成23年1月から3月までの邦人客室乗務員- 28 -の一般退職者は119名であるが,これを平成22年12月時点で当然に把握しており,新人事賃金制度が平成23年1月から実施されて労働条件が大幅に切り下げられる予定であったから,これらを受けて希望退職募集を行えば,応募が増える可能性が高かったのであるが,希望退職未達を作出するため,同年3月を待たずに,平成22年12月で本件解雇を強行したのである。 年齢基準による退職者の人選は,P18組合員の退職を最小限に,P10組合員の退職を最大限にする基準である。長年にわたるP10組合員に対する昇格上の差別が累積した結果,一般職ではキャリアの長い人に多くのP10所属の客室乗務員がいたからであり,本件人選基準によって解雇された84名のうちP10組合員が71名と84.5パーセントを占めている事実がその役割を示している。 被控訴人は,希望退職募集で削減目標未達を作出することに成功したが,一般退職者によって削減目標は達成してしまったため,これを秘して本件解雇を強行したものであって,強い不当労働行為意思が表れており,本件解雇は極めて悪質な不当労働行為である。 (イ)本件解雇の強行とP10の受けた打撃被控訴人がP10組合員の退職に向けてまず行ったのが,整理解雇のための本件人選基準案の発表直後から始まった面談による退職強要である。面談とは名ばかりの指名解雇であって,対象とならなかった者は,自分が整理解雇の対象でないことを知り,希望退職に応じることがなくなって,希望退職による目標達成を困難にしたのであり,労使の交渉によって,人員削減の進行を協議すべきときに,被控訴人は,整理解雇を背景に,P10組合員の排除を実行したのである。 P10 くなって,希望退職による目標達成を困難にしたのであり,労使の交渉によって,人員削減の進行を協議すべきときに,被控訴人は,整理解雇を背景に,P10組合員の排除を実行したのである。 P10は,平成22年11月15日には整理解雇の実施方針が示され,年齢制限をつけた希望退職募集以外の解雇回避措置が一切行われない状- 29 -況から,やむなく争議権を確立し,それを背景に団体交渉を行うことを予定して,同月1日ないし19日の間,争議権投票を行ったところ,その最中の同月16日の事務折衝で,管財人から「P10が争議権を確立した場合,P8の3500億円の出資はしない」という発言があり,これは前日に発表された整理解雇を強行するために争議権の確立に対して介入したものであって,明確な不当労働行為であり,P10において,一般組合員に動揺が走り,脱退者も出て,解雇回避措置について話し合うことができないまま,本件解雇が強行されたのである。 本件解雇によって,P10は執行委員長,副委員長を含む6名の執行委員,代議員19名が解雇され,執行体制は大きな困難に直面した。解雇の脅しの中で多くの組合員が退職し,平成22年5月には1209名であった組合員が平成23年1月1日には569名となり,組合財政も逼迫することになって,基本的な組合活動が困難になる事態に陥ったが,P18は,解雇後に始まった新人大量採用によって組織を回復しており,今回の大量人員削減は,P10組合員をP18組合員と入れ替える結果となったのであり,これが目的だったものである。 (ウ)P10排除を生んだ労使関係被控訴人は,一貫して意に沿わない労働組合を分裂させ,意に沿う労働組合を育成する労務政策をとってきており,1975年に労使協調路線のP18組合(P18)にP19支部を発足させ んだ労使関係被控訴人は,一貫して意に沿わない労働組合を分裂させ,意に沿う労働組合を育成する労務政策をとってきており,1975年に労使協調路線のP18組合(P18)にP19支部を発足させてからは,P18育成・P10組合弱体化(P10弱体化)を軸とし,昇格差別などによってP10組合員を脱退させる,新人客室乗務員をP18に加入させる,加入した新人をP10組合に渡さないことを根幹とした労務政策を展開してきた。なかでも,被控訴人が徹底して行った昇格差別により,P10組合に所属している限り,上位職への昇格は望めず,昇格差別が繰り返された結果,上位職はP18組合員が圧倒的多数となり,管理職はす- 30 -べてP18OBでしめられるようになり,P10組合員,特に組合活動家は下位職に据え置かれ,また,被控訴人は,P10組合根絶のため,客室乗務員の国内線基地廃止,契約制客室乗務員採用,メールボックス使用禁止などの措置をとった。 このように被控訴人がP10を敵視してその弱体化を図るのは,P18が会社と完全に一体化して労働組合としての本来の機能を果たしていないのに対し,P10は,経営に対するチェック機能を果たし,職場に大きな影響力を保持しているからであり,いわゆる監視ファイル事件は,被控訴人がP10の影響力をおそれ,P10の弱体化に懸命であったことをよく示すものである。 そして,被控訴人のP18育成・P10弱体化の労務政策は,P5とP20の経営統合の過程でも,全く異なるところはなかった。 (エ)本件解雇後の職場の状況歪んだ人員削減施策の実行は,大きなひずみを生み,余剰人員を削減したはずなのに,平成23年1月から直ぐに人員不足が発生し,1人当たりの稼働時間を増加させ,管理職や地上業務に関わる乗務員にも乗員を命じること 員削減施策の実行は,大きなひずみを生み,余剰人員を削減したはずなのに,平成23年1月から直ぐに人員不足が発生し,1人当たりの稼働時間を増加させ,管理職や地上業務に関わる乗務員にも乗員を命じることとなり,平成24年4月以降は,大量の客室乗務員採用に踏み切ったのであり,平成24年度は期中採用650名,平成25年度は新卒290名,期中370名,平成26年度は新卒270名の合計1580名もの人員を採用した。 当時の現状として,必要最低限の人員の確保もできていなかったことになるのであり,この結果,職場は4人に1人が新人という異常事態となったのである。 (オ)不当労働行為意思本件解雇は,管財人によってされたものであるが,人員削減施策の立案実行,すなわち,削減目標の設定,解雇者の人選等の具体的実務は,- 31 -客室本部,労務部が担っていたのであり,本件解雇に関する被控訴人の不当労働行為意思は,本件解雇の実務に当たった客室本部,労務部の意図や意思によって決まるものである。 客室本部,労務部は,長年P10と対立関係にあったP18出身者で占められ,40年に及ぶP18育成・P10弱体化の労務政策を遂行してきたのであって,人員削減施策が実行される絶好の機会を見逃すはずがなく,これを口実にP10幹部・活動家を職場から一掃し,P10の弱体化を図ったのである。 管財人は,実際には,客室本部や労務部に依存しなければ,人員削減施策を実行できず,運行を維持するための必要人員を想定することもできないのであり,客室本部や労務部のP10排除の意図を承知,容認して,施策を受け入れたのであり,自身も,会社破綻の中で労働者の雇用を守ろうとするP10の活動を現状認識に欠けるものと評価し,好ましいと考えておらず,今後の上場によるP8出資 排除の意図を承知,容認して,施策を受け入れたのであり,自身も,会社破綻の中で労働者の雇用を守ろうとするP10の活動を現状認識に欠けるものと評価し,好ましいと考えておらず,今後の上場によるP8出資金の回収などに支障になるとして,嫌悪していたものである。 本件解雇には,不当労働行為意思が優に認められ,被控訴人のこのような意図のもとに本件解雇を強行したことは,安全運行の基礎となる職場環境を破壊し,不安全要因を増大させるものであって,「再建の大前提は安全運行の確保」とする更生計画の趣旨にも反するものである。 (カ)このように,平成22年6月以降にとられた被控訴人の客室乗務員に対する人員削減施策は,P10の活動を中心的に担う組合員を職場から排除することを目的に進められ,経営危機は,長年P10と対立し,P10組合員を快く思わない被控訴人の一部幹部にとっては,P10を排除する千載一遇の好機であり,はじめに解雇ありきで行われた人員削減施策であった。 P10組合員の解雇を実現するためには,削減目標未達の事実を作出- 32 -することが必要であり,達成が困難な削減目標を設定し,これを未達とし,削減目標未達を理由にP10組合員を解雇する手法をとった。このために一度設定した削減目標でもできる限り上積みし,希望退職の年齢制限に固執し,ワークシェアを採用せず,稼働ベース論を採用して非稼働者が退職してもカウントせず,整理解雇時期の前倒しを行い,年齢基準によって対象の絞込みをしたのである。 ところが,想定以上に希望退職以外の退職者が多かったため,削減目標を達成し,削減目標未達を口実とする解雇の実施は不可能となったにもかかわらず,被控訴人は,退職強要や争議権への介入を行った上で,本件解雇を強行したものであり,本件解雇は 職者が多かったため,削減目標を達成し,削減目標未達を口実とする解雇の実施は不可能となったにもかかわらず,被控訴人は,退職強要や争議権への介入を行った上で,本件解雇を強行したものであり,本件解雇は,極めて悪質な不当労働行為である。 本件解雇は,P10を嫌悪し,控訴人らがP10に所属することを理由とした不利益取扱いであるから,労働組合法7条1号に該当する不当労働行為であり,併せて,P10の弱体化を図り,P10の運営に支配介入するものであるから,同条3号にも該当する不当労働行為である。 労働組合法7条の不当労働行為禁止規定は,私法上の強行法規でもあるから,同法に違反する解雇は,当然に無効であるから,本件解雇は,不当労働行為であって,無効である。 (2)被控訴人の主張ア人員削減の必要性更生裁判所から選任された管財人は,中立公正な立場で更生会社におけるすべての関係人の権利関係の調整を図り,更生計画案を策定し,利害関係人の決議を得て,裁判所の認可によって効力を生じた更生計画を遂行する職責を担っている。被控訴人の本件更生計画の基礎となった本件新事業再生計画には,事業規模縮小に伴う適正な人員体制の早期確立を内容とする人員削減施策が含まれ,管財人は,この人員削減施策を遂行する責務を- 33 -負っていたが,大規模な特別早期退職,希望退職を繰り返し募ったものの,本件更生計画で予定した人員削減を達成することができず,やむを得ず,本件解雇を実行したものであり,このような人員削減及び本件解雇は,本件更生計画の基礎となった本件新事業再生計画に基づき,管財人の職務遂行の一環としてされたものである。 本来,人員削減の必要性についての経営者の判断は,企業経営の合理化のために講ずべき経営施策に関するものであ なった本件新事業再生計画に基づき,管財人の職務遂行の一環としてされたものである。 本来,人員削減の必要性についての経営者の判断は,企業経営の合理化のために講ずべき経営施策に関するものであり,経営者の固有の権限に属するものとして,原則的に尊重されるべきである。そして,本件解雇は,本件更生計画の達成のために必要となる人員削減を完遂するために行われたものであり,更生手続における人員削減施策は,更生手続下にない企業の場合と比較して,解雇の意思表示の時点において,必要性が既に十分に検討され,客観的に正当性が確保されているというべきである。 本件解雇に当たっては,本件更生計画に基づき縮小した事業規模に見合った人員にすることが必要であったのであり,人員削減につき高度の必要性が存在する。 (ア)航空事業の特性被控訴人を含むP16グループは,航空事業を営む企業グループであり,航空事業には,売上げや損益が外部の事業環境によって大きく左右され,費用構造が硬直的であるなどという特性があるため,航空事業会社の財務状況を分析,検討する上で,その特性を理解する必要がある。 a 外部の事業環境による影響航空事業は,交通機関としての特徴からして,一般的には,日常的に利用されることは少なく,航空需要が社会経済の変動を大きく受ける特性を有している。 また,航空需要は,人の移動に大きく左右されるものであり,旅客が安全に安心して渡航できる外部環境が損なわれると,これによって- 34 -大きな影響を受ける。 そして,航空事業の業績は,航空機の燃料である燃油市況の乱高下によって,大きな影響を受けるものであり,燃油サーチャージを運賃に上乗せするとしても,旅客離れを防ぐため,負担額 受ける。 そして,航空事業の業績は,航空機の燃料である燃油市況の乱高下によって,大きな影響を受けるものであり,燃油サーチャージを運賃に上乗せするとしても,旅客離れを防ぐため,負担額の上昇を一定程度抑える必要があり,厳しい経営を強いられる。 b イベントリスクによる影響外部の事業環境による影響を受けやすい航空事業にとって,テロ,戦争,震災,疫病,金融恐慌など世界の経済情勢等を急激に悪化させるイベントリスクは脅威となる。イベントリスクは,予測ができない一方,発生した途端に航空事業を取り巻く外部環境を大きく変容させるため,特に,比較的国際線の割合が大きい被控訴人は,世界の各所で発生するイベントリスクの影響をより受けやすい。 実際,平成13年から本件解雇の実施後の平成23年までの間,主なものだけでも,平成13年9月の①米国同時多発テロ,平成15年3月の②SARSと③イラク戦争,平成16年2月の④鳥インフルエンザ,平成20年9月の⑤リーマンショックによる金融危機,平成21年4月の⑥新型インフルエンザ,平成23年3月の⑦東日本大震災及びP21発電所事故などがあり,これらにより,大きな影響を受けたものである。 c 費用構造の硬直性航空事業は,突発的に発生するイベントリスクの影響に直面するにもかかわらず,P16グループにおいては,全体の費用に占める固定費の割合が過半を占めて変動費が相対的に小さく,また,容易に路線便数を変更できないことから,費用構造が硬直的であって,イベントリスクに即応して,その影響を軽減化することが困難であり,売上げの大幅な減少が直ちに収益への深刻な打撃となる。 - 35 -d 厳しい事業環境P16グループを含め ントリスクに即応して,その影響を軽減化することが困難であり,売上げの大幅な減少が直ちに収益への深刻な打撃となる。 - 35 -d 厳しい事業環境P16グループを含めた航空事業者を取り巻く今後の環境については,東日本大震災及びP21発電所事故の後も,ギリシャの財政問題に端を発する欧州危機の懸念や為替,燃油市況の変化による燃油の高騰などがあり,ローコストキャリア(LCC)と呼ばれる新興航空会社の台頭によって競争が激化する一方,少子高齢化の進行によって,長期的な旅客数の減少が見込まれるなど,今後も,なお予断を許さない状況にあると予測される。 (イ)更生計画の基本方針被控訴人の本件会社更生手続では,イベントリスクの影響を受けやすく,固定費の割合が高いという航空事業の特性を考慮に入れ,本件更生計画案において,赤字を出している路便,地点からの撤退,燃費効率の悪い大型・中型機の退役や機材の小型化(ダウンサイジング)等を早期に実施することで早期の収支改善を目指す一方,路線便数の縮小は,直ちに収入の減少を意味するため,赤字路線からの撤退,機材のダウンサイジングの効果を得るためには,事業規模に応じた人員,組織体制が必須であった。 本件更生計画案においては,「航空事業のリストラクチャリングに伴い,人員・組織体制についてもグループ全体として大幅なダウンサイジング〔中略〕を進める」,「事業規模に応じた直接・間接人員数削減を実施し,総人件費を圧縮する」として,事業規模の縮小及び縮小した事業規模に見合った人員削減を行うことを基本方針としていた。 (ウ)更生計画達成の必要性一般に,更生計画案の基礎となる事業再生計画の実現可能性は,収益弁済を旨とする更生計画において債権者らが った人員削減を行うことを基本方針としていた。 (ウ)更生計画達成の必要性一般に,更生計画案の基礎となる事業再生計画の実現可能性は,収益弁済を旨とする更生計画において債権者らが重大な関心を持つものであり,本件更生計画案について,主要行ら債権者は,特に人員削減の達成- 36 -状況に強い関心を有していた。 被控訴人は,本件更生計画案に対する債権者らの同意を得るに当たっても,計画が実現されているかにつき厳しいチェックを受けており,本件更生計画の同意を得るためには,本件更生計画案の基礎となる本件新事業再生計画に対する金融機関の信頼を得て,提示した各種事業施策の一つ一つを実現していく必要があった。 被控訴人の本件更生計画においては,人員削減のほか,一般更生債権の免除,分割弁済,既存株式の消却など,各利害関係人の利害を調整し,応分の負担を求める内容となっており,このような本件更生計画案が可決,認可されたことにより,本件会社更生手続の廃止決定,破産手続への移行に至ることなく,被控訴人が再建できるようになったものであり,加えて,本件更生計画は裁判所の関与により定められ,特に被控訴人の再建にあっては,公的資金の出資を伴うため,公的な約束として本件更生計画に従った施策を実施することが必要であった。 (エ)更生計画達成のための人員削減の必要性本件更生計画案では,事業の縮小,縮小した事業規模に見合った人員削減を行うことを基本方針として,「早期退職,子会社売却等により,P16グループの人員削減をより推進し,平成21年度末の48,714人から平成22年度末には約32,600人とする予定である」と人員削減の計画を示しており,本件更生計画を達成するためには,本件更生計画案上の人員削減計画の遂行が必要であ 平成21年度末の48,714人から平成22年度末には約32,600人とする予定である」と人員削減の計画を示しており,本件更生計画を達成するためには,本件更生計画案上の人員削減計画の遂行が必要であった。 平成22年11月の時点で,平成22年度確定下期路線計画に基づいて,大幅に規模を縮小した路線便数計画が実行されており,事業縮小後の人員規模に照らした人員の余剰が顕在化していた。 そして,本件更生計画案別表5-1の事業損益計画表は,平成22年11月末に特別早期退職措置等の人員削減施策により人員削減が行われ- 37 -ることを前提に作成されており,本来,同月30日の本件更生計画案認可の時点において,人員削減についての結果を明確にする必要があった。 また,事業損益計画表は,本件更生計画案において示されており,債権者らも,同月末以降,人員の余剰が顕在化することを認識していた。 加えて,被控訴人は,主要行との間で本件基本合意を締結し,「更生計画に記載されている対象事業者における諸施策(人員圧縮等,実施中のコスト削減策)〔中略〕の実現に重大な支障が生じていないこと」がリファイナンス協議の前提として定められ,主要行がリファイナンス協議を開始するにあたり,本件更生計画の人員削減施策に重大な支障が生じていないことが協議の前提であると考えられていた。 被控訴人においては,平成22年11月30日を経過した時点で,本件更生計画案との齟齬が生じており,本件更生計画に基づき,早急に余剰となった人員の削減をすることが必要であった。 (オ)削減目標人数の設定と本件解雇削減目標人数の設定は,本件更生計画に基づく事業規模の縮小により必要人員が減少したことにより,事業規模縮小後の必要人員として算定し あった。 (オ)削減目標人数の設定と本件解雇削減目標人数の設定は,本件更生計画に基づく事業規模の縮小により必要人員が減少したことにより,事業規模縮小後の必要人員として算定したものであり,平成22年度確定下期路線計画及び本件新事業再生計画に基づく事業規模の縮小に合わせ,客室乗務員を適正規模に縮小するに当たっては,「稼働ベース」(① 事業運営に必要な労働力として通常勤務のできる1人の社員の労働力(「1稼働」)を単位とする「必要稼働数」を算出し,② 在籍社員全体の実労働力についても,一定の換算基準に従って1稼働を単位とする労働力に換算して「有効配置稼働数」を算出し,③ これらを比較して人員計画を立てる考え方)に基づき,必要稼働数及び有効配置稼働数を算出した上,後者から前者を差し引いた数に相当する人員を削減することとした。 削減目標数の算定に当たっては,平成22年度下期の必要稼働数と有- 38 -効配置稼働数を月別に想定し,月別のスタンバイ引当数を考慮しながら,算出した削減目標を与件として,下期を通じて運航維持が可能であることを確認したものである。下期路線計画は,平成22年4月28日に公表されたが,同年8月末までに見直して最終確定した上で同年10月以降に実施するものであり,これを踏まえて,人員削減計画も見直しをして,最終的な人員削減目標を決定する予定であったところ,同年8月19日に一部修正して計画が確定した。 この平成22年度確定下期路線計画に基づき,平成22年8月末の人員状況を反映させて同年9月末までに人員削減目標を最終決定した結果,設定された客室乗務員の最終的な削減目標は稼働ベースで606名分(ただし,第1次希望退職措置の応募者を含む人数)となり,最終的に設定された606名分について,人員削減を 削減目標を最終決定した結果,設定された客室乗務員の最終的な削減目標は稼働ベースで606名分(ただし,第1次希望退職措置の応募者を含む人数)となり,最終的に設定された606名分について,人員削減を行う必要があったものである。 そして,希望退職措置の結果,763名(稼働ベースで534名分)の客室乗務員が応募して被控訴人を退職し,削減目標数に対する不足数は稼働ベースで72名分となったことから,この不足数に当たる客室乗務員として特に対象者から除外した1名を除く108名(稼働ベースで71名分)に対し,平成22年12月9日,本件解雇予告通知をした。 その後,同年12月10日から同月27日までの間も,被解雇者を対象として希望退職者の募集を行った結果,客室乗務員23名(稼働ベースで10.5名分)の応募者があり,この他に関連会社への転籍者が1名(稼働ベースで0名分)となったことから,削減目標に満たなかった客室乗務員84名(稼働ベースで60.5名分)に対し,本件解雇を行ったものである。 イ本件解雇回避措置被控訴人は,本件解雇に先立ち,本件特別早期退職措置を行い,希望退- 39 -職措置を3回行ったほか,募集期間も2度延長し,希望退職の募集に当たっては再就職支援を行うなどの応募の促進措置もとり,グループ会社への出向による余剰人員数の削減も図った。また,ワークシェアリング(リフレッシュ休職及び部分就労),一時帰休による解雇回避措置については,縮小した事業規模を前提とした必要人員の縮小は,本件更生計画上,その後も継続して生ずるものである以上,恒久的な措置としてはとり得ないものであった。 本件解雇は,既に破綻状態に陥って本件会社更生手続に至り,更生手続の中で本件更生計画の内容に基づき,管財人の職務として行われたもの である以上,恒久的な措置としてはとり得ないものであった。 本件解雇は,既に破綻状態に陥って本件会社更生手続に至り,更生手続の中で本件更生計画の内容に基づき,管財人の職務として行われたものであって,破綻に至っていない企業より人員削減の必要性の程度の高いことが明らかな事案であり,解雇回避措置を含む整理解雇における他の3要素は,高度の人員削減の必要性を前提として判断されるべきである。 (ア)本件特別早期退職措置被控訴人は,平成22年3月から同年4月までの間,客室乗務員を対象として,特別早期退職の募集を行い,退職条件として,規程上の退職金支払のほか,一時金として6か月分の賃金の追加支払,改定前の制度による企業年金の存続,年次有給休暇の買取り,外部機関による再就職支援サービスの提供などとした結果,在籍社員数1367名の客室乗務員が応募して被控訴人を退職した。 (イ)希望退職措置(本件希望退職措置,本件最終希望退職措置及び本件追加希望退職措置)被控訴人は,その後,平成22年9月3日から同月24日までの第1次募集,同年10月1日から同月22日までの第2次募集,同月26日から同年11月9日までの最終募集(ただし,その後,同月30日までと同年12月9日までと順次期間を延長)の3度にわたって希望退職者の募集を行った結果,763名(稼働ベースで534名分)の客室乗務- 40 -員が応募し,被控訴人を退職した。 そして,平成22年12月9日の本件解雇予告通知後も,被解雇者を対象として,同月27日までの間,希望退職者の募集を行い,客室乗務員23名(稼働ベースで10.5名分)の応募者があり,被控訴人を退職したが,客室乗務員の削減目標人数(稼働ベースで606名分)には満たないものであった。 (ウ 希望退職者の募集を行い,客室乗務員23名(稼働ベースで10.5名分)の応募者があり,被控訴人を退職したが,客室乗務員の削減目標人数(稼働ベースで606名分)には満たないものであった。 (ウ)再就職支援被控訴人は,当初から,外部機関のP22社による再就職支援サービスの提供を行うこととし,希望退職等の促進措置をとり,グループ内での再就職先のあっせん,紹介を実施した。 (エ)その他の措置被控訴人は,人件費の減額として,本件会社更生手続の開始に先立つ平成20年10月から5パーセントの賃金減額措置を実施し,平成22年1月19日の本件会社更生手続開始後も,一般職及び管理職について,更なる賃金の切下げがされ,新人事賃金制度が開始される前の同年12月31日まで実施された。 平成23年1月1日から導入された新人事賃金制度は,社員の職務内容や特性をより反映させたものであり,これにより,それまでの年功序列的で硬直的であった賃金体系を見直し,昇格管理,ポスト管理を徹底するとともに,業績が評価される仕組みを構築し,各種手当てを廃止し,水準を見直した。 この他,被控訴人では,本件解雇に先立ち,被控訴人における経費を削減するため,本件解雇回避措置として,本判決別紙②に列挙した回避措置を行った。 ウ解雇対象者の人選本件解雇は,84名の客室乗務員(稼働ベースで60.5名分)を対象- 41 -に実施し,その解雇対象者は,本判決別紙①の本件人選基準により選定された。 もともと,整理解雇における人選基準の設定は,一定の人員削減が必要な前提における比較,相対の問題であり,人選基準としては,企業貢献度,被害度の観点などがあり得るが,これらの基準のうちのどれを選択するかは,使用者がその経営判断 選基準の設定は,一定の人員削減が必要な前提における比較,相対の問題であり,人選基準としては,企業貢献度,被害度の観点などがあり得るが,これらの基準のうちのどれを選択するかは,使用者がその経営判断としてすべきものである。 被控訴人においては,本件人選基準案の設定に当たっては,貢献度を考慮しつつ,被害度についても加味した基準を用い,貢献度の検討においては,将来の貢献度を定量的に把握することが困難であり,過去の貢献度によって判断できると考えられることから,過去の貢献度を評価することとし,具体的な指標として,「病気欠勤日数」「休職期間」「人事考課」等の客観的なデータによるほか,人員調整の目標が達成できない場合は,年齢の高い者から順に対象とする年齢基準の考え方を採用した。 これらの指標は,いずれも客観的に把握できるものであり,恣意性の入る余地のない基準であって,このような本件解雇における本件人選基準が合理的なものであることは明らかである。 (ア)病欠日数・休職日数基準の合理性本件人選基準では,貢献度において低いと評価できる一定の日数,期間で線引きすることにより,恣意性が介在しない客観的で明確な基準として設定されており,具体的な日数,期間の設定は,次のとおりの考え方に依拠したものであり,合理性がある。 a 「平成22年度の病気欠勤日数が41日以上」「休職期間が2か月以上」「病気欠勤日数及び休職期間の合計が61日以上」の基準被控訴人では,1年度に付与される年次有給休暇の最大日数が20日であり,前年度の繰越しを含め1年間に取得できる最大の年次有給休暇取得日数が40日となるため,それとの均衡から,40日の範囲- 42 -内では病気欠勤があったとしても年次有給休暇を取得することが可能であっ 年度の繰越しを含め1年間に取得できる最大の年次有給休暇取得日数が40日となるため,それとの均衡から,40日の範囲- 42 -内では病気欠勤があったとしても年次有給休暇を取得することが可能であったとみなして対象から除外し,「平成22年度の病気欠勤日数が41日以上」の基準を設定した。 また,休職期間及び病気欠勤との合算については,有給休暇20日と月間休日10日で1か月相当となることから,「病気欠勤日数が41日以上」に相応する期間として,「休職期間が2か月以上」「病気欠勤日数及び休職期間の合計が61日以上」の基準を設定した。 b 平成20年ないし平成22年度の過去2年5か月間において「病気欠勤日数が合計81日以上」「休職期間が4か月以上」「病気欠勤日数及び休職期間の合計が121日以上」の基準対象となる平成20年から平成22年の3年間について,年間に付与される年次有給休暇の最大日数20日の3年分60日と前年度の繰越分20日を加えた80日が3年間に取得できる最大の年次有給休暇日数となるため,それとの均衡から,80日の範囲内では病気欠勤があったとしても年次有給休暇を取得することが可能であったとみなして対象から除外し,「合計81日以上」の基準を設定した。 また,休職期間及び病気欠勤との合算については,80日間継続的に病気欠勤したとすると,月間10日の公休日を含めて就業できない期間が約4か月となることから,「病気欠勤日数が81日以上」に相応する期間として,「休職期間が4か月以上」「病気欠勤日数及び休職期間の合計が121日以上」の基準を設定した。 c 「平成20年度13日以上,平成21年度13日以上,平成22年度6日以上の病気欠勤」の基準日常的に健康に不安があり,これらの期 間の合計が121日以上」の基準を設定した。 c 「平成20年度13日以上,平成21年度13日以上,平成22年度6日以上の病気欠勤」の基準日常的に健康に不安があり,これらの期間を通じて欠勤がちであった者についても,貢献度が相対的に低いといえることから,日数としては,平均して1か月当たり1日を超えて病気欠勤をしたことに相応- 43 -する日数として基準を設定した。 d 基準日の設定被控訴人は,本件人選基準における病欠,休職等の期間を算出する基準日を平成22年8月31日と設定した。 これは,被控訴人において,全従業員の勤務状況等を把握するためには,一定程度の期間を要するところ,平成22年9月27日に本件人選基準案を発表した際,取得できた勤務状況等のデータが同年8月31日時点のものであったため,同日が基準日となったものである。 また,本件人選基準では,「ただし,上記病気欠勤,休職等による基準に該当する者について,平成22年9月27日現在で乗務復帰している者で,平成18年10月1日以降平成20年3月31日までに,連続して1か月を超える病気欠勤期間,休職期間がなかった者」については,本件解雇の対象から除外して本件人選基準案を修正したが,平成22年9月27日を基準日としたのは,本件人選基準案の発表日と同日に設定したものである。 このように,本件人選基準における基準日の設定については,いずれも恣意的に設定されたものではない。 (イ)年齢基準の合理性本件解雇に当たっては,病欠日数・休職日数基準及び人事考課基準によっても目標人数に達しない場合,職種,職位ごとに目標人数に達するまで,年齢の高い者から順に目標人数に達するまで解雇対象者としたもので 本件解雇に当たっては,病欠日数・休職日数基準及び人事考課基準によっても目標人数に達しない場合,職種,職位ごとに目標人数に達するまで,年齢の高い者から順に目標人数に達するまで解雇対象者としたものであり,この年齢基準は,使用者の恣意の介在する余地がなく,公平性が担保される基準であり,将来の貢献度を考慮し,将来の再建に向けた原動力となる若年層を残すという観点による基準であり,次のとおりの合理性がある。 被控訴人における定年は60歳であるが,年齢の高い者ほど定年によ- 44 -る退職時期が近くなって将来勤務できる期間が短く,また,高年齢者の方が賃金水準が高いため,人件費を考慮しても,高年齢者から順に解雇した方がより将来の人件費を削減することになる。 また,被害度の観点からも,被控訴人の客室乗務員については,年功序列的な賃金体系であったから,年齢の高い者は,若年の社員と比べて高額の賃金を受領し,勤続年数に応じて退職金計算時の支払係数が増加して退職一時金が高額になることから,解雇後の生活を維持することが容易な状況にある。 控訴人らは,本件解雇までの間,平均で月額賃金約48万円の支給を受け,本件解雇に伴う退職時にも,退職一時金などとして,企業年金からの脱退一時金相当額も含め,平均して約2800万円を受領することができ,さらには,年金の受給が可能となる時期も早いということができる。 エ本件解雇に至る手続本件解雇は,8労組との協議,交渉を経て行われたものであり,その交渉,協議の内容としても,実のあるものであったから,手続的に無効とされるべき経緯はない。 (ア)各組合との交渉経緯被控訴人は,平成22年9月27日,整理解雇における本件人選基準案を8労組に提示し,その後,被控訴人か であったから,手続的に無効とされるべき経緯はない。 (ア)各組合との交渉経緯被控訴人は,平成22年9月27日,整理解雇における本件人選基準案を8労組に提示し,その後,被控訴人から,労務,客室本部の担当者らが出席し,途中からは社長,管財人も出席し,各組合との交渉,協議を続けてきた。 客室乗務員を組合員とするP18,P10との交渉の時期,回数については,平成22年9月27日から同年12月末までの間,P18とは11回,P10とは17回にわたっている。 具体的な団体交渉,事務折衝等の経緯は,本判決別紙③及び④に記載- 45 -のとおりである。 (イ)本件解雇の必要性に関する説明内容被控訴人は,平成22年9月27日に整理解雇の本件人選基準案を提示して以降,団体交渉において,本件更生計画案に従って事業規模に見合った人員数にすることが必要であり,余剰人員を抱えることでその分の人件費のコストが発生することを説明した。 P10に対しては,平成22年9月29日の団体交渉において,被控訴人から,人員の縮小に関して,本件更生計画案中に事業規模の縮小に伴って適正な人員規模まで削減するとされ,これを達成する必要があること,人員削減目標が未達となった場合には,債権者らの理解を得ることが困難となり,被控訴人の会社再建が難しくなる可能性のあることを説明し,翌30日の団体交渉においても,同様の説明をした。 また,P18に対しても,平成22年9月30日の団体交渉において,同様に人員調整施策の必要性について説明した。 しかし,P18は,平成22年12月9日の団体交渉において,解雇回避を要請し,P10も,同日の団体交渉において,本件解雇の撤回を要求するなど,両組合とも本件解雇の実 性について説明した。 しかし,P18は,平成22年12月9日の団体交渉において,解雇回避を要請し,P10も,同日の団体交渉において,本件解雇の撤回を要求するなど,両組合とも本件解雇の実施を認めない旨を表明して,本件解雇の必要性に関する両組合との交渉は,平行線をたどったものである。 被控訴人は,十分に説明,協議等の手続を尽くしており,不誠実と評価されるものでない。 (ウ)本件解雇の回避措置に関する説明内容各組合との交渉過程において,解雇回避措置として,希望退職措置の対象年齢の拡大,一時帰休,ワークシェア,部分就労の実施,平成23年3月31日までの解雇回避措置などが提案された。 このうち,希望退職措置の対象年齢については,従来の人員構成を踏- 46 -まえ将来の競争力をもった組織運営を行うための人材確保,更生手続下の会社として人件費や退職金につき求められる費用の圧縮や抑制,対象者の多くが受けられる年金制度上の優遇措置などから,年齢制限が合理的理由に基づくものであることを説明し,他方,組合からの要請に応じて,最終募集において,対象年齢を42歳以上に拡大し,募集期間を順次延長した。 一時帰休,ワークシェア,部分就労の実施については,いずれも抜本的,恒久的な施策とならない旨をP18とP10に対して回答している。 また,P10から提案のあった平成23年3月31日までの解雇回避措置を取ったとしても,単に解決を先延ばしするものでしかなかった。 被控訴人の交渉における説明の内容は,合理的な検討に基づくものであり,その経緯についても,不誠実と評価されるものではない。 (エ)本件人選基準案に関する説明内容被控訴人は,平成22年9月27日,各組合に対し,本件人選基 理的な検討に基づくものであり,その経緯についても,不誠実と評価されるものではない。 (エ)本件人選基準案に関する説明内容被控訴人は,平成22年9月27日,各組合に対し,本件人選基準案を提示し,P18及びP10との間では,同月18日の各事務折衝において,本件人選基準案についての説明を行い,会社が再建する過程における至近の2,3年に期待できる貢献度を重視し,過去の貢献度を客観的にみてこれを判断するための具体的な指標として本件人選基準案の内容を考えている旨の説明をするとともに,基準に示された日数,基準日の説明をした。 これに対し,P10は,本件人選基準案につき団体交渉を行うつもりはないという姿勢であった。他方,P18や他職種の組合からは,現在,乗務復帰している者は,将来の貢献度が低いとはいえないのでないかとする趣旨の指摘を受けた。 そこで,被控訴人は,病気欠勤,休職等による基準に該当する者について,平成22年9月27日現在で乗務復帰している者で,平成18年- 47 -10月1日から平成20年3月31日までに連続して1か月病気欠勤期間,休職期間(各期間の合算を含む)がなかった者を本件解雇の対象者から除外する旨の修正を行い,この本件人選基準を各組合に提示した。 このように,被控訴人は,本件人選基準案について,各組合との交渉を踏まえた変更も行ったものである。 オ本件解雇と不当労働行為本件解雇の対象者の人選は,本件人選基準を当てはめることによってされたものであり,本件人選基準に用いられた指標は,いずれも客観的に算定可能なものであって,恣意的な要素はないのであり,特定の者を対象者として人選することはできず,そのような人選はしていない。 本件解雇は,本件会社更生手続にお れた指標は,いずれも客観的に算定可能なものであって,恣意的な要素はないのであり,特定の者を対象者として人選することはできず,そのような人選はしていない。 本件解雇は,本件会社更生手続における法律管財人が判断して執行したものであり,法律管財人は,本件会社更生手続の以前における被控訴人の労使関係に関与したものではない。 本件解雇の対象者は,希望退職措置の応募状況によって常に変動し続けるものであり,被控訴人において,解雇対象者の人選につき恣意的なコントロールを及ぼすことはもとより不可能である。 本件解雇は,特定の対象者を排除するためにされたものでないことは明らかであり,不当労働行為には当たらない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人らの請求は,いずれも理由がないから棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり補正し,後記2のとおり当審における控訴人らの主張に対する判断を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第 5 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決47頁11行目の「機械的に」を削除し,同頁18・19行目の「直ちに労働者の就労が拒否されるわけではないこと」を「更生管財人が継続する事業において労働契約上の使用者としての地位を承継するものであるこ- 48 -と」と改め,同48頁1・2行目の「置かれていることに鑑みると」から同頁6行目末尾までを次のとおり改める。 「置かれており,更生管財人が,労働契約法などの規定の定める要件によらずに労働契約を解除することができる旨を定める法の規定がないことからすれば,更生手続の下で更生管財人がした整理解雇についても,労働契約法16条が適用されるものと解され,整理解雇が同条にいう解雇の「権利を濫用したもの」に当たるか否か 旨を定める法の規定がないことからすれば,更生手続の下で更生管財人がした整理解雇についても,労働契約法16条が適用されるものと解され,整理解雇が同条にいう解雇の「権利を濫用したもの」に当たるか否かを判断するについては,いわゆる整理解雇法理も適用されるものと解するのが相当である。 そして,いわゆる整理解雇法理における人員削減の必要性という要素は,解雇の時点において破綻に至っていない企業の場合においては,債務超過や赤字の累積など高度の経営上の困難から人員の削減が必要であり,企業の合理的な運営上やむを得ないものとされるときには,これが存在すると解されるのである。これに対し,更生会社である被控訴人の場合においては,後記(2)判示のとおり,本件解雇前,いったんは破綻状態にあって,その債権者及び取引先に対する取引上の信頼が失われた状態に陥っており,更生会社の事業の維持更生を目的とする会社更生法(同法1条)に基づく本件会社更生手続開始決定がなされ,同法に基づく手続によって,本件更生計画案が債権者らの同意を得て可決されて裁判所に認可され,本件更生計画が遂行されて事業の維持更生が図られることがなければ,破綻が避けられなかったのであって,同法に基づく更生計画案は,更生会社の当面の破綻を回避するにとどまらず,破綻原因を除去して更生計画を確実に遂行することができる業務体制の確立を図るものとして,そのために必要な諸施策を織り込んで作成することが同法の目的に適うものであることに十分配慮した上で,上記人員削減の必要性の要素を判断するのが相当である。 そして,後記(2)判示のように,被控訴人の本件更生計画の基礎をな- 49 -す本件新事業再生計画における人員削減施策は,債権者など各利害関係人との調整を経て,更生会社である被控訴人の破綻した事業の維持更生のた )判示のように,被控訴人の本件更生計画の基礎をな- 49 -す本件新事業再生計画における人員削減施策は,債権者など各利害関係人との調整を経て,更生会社である被控訴人の破綻した事業の維持更生のための諸施策の一部として本件新事業再生計画に織り込まれたものであり,人員削減施策を含む本件新事業再生計画が遂行されることを前提として,これを基礎とする本件更生計画が債権者らに可決され,本件更生計画が遂行可能であると判断されて裁判所に認可されたものであって(同法199条2項3号参照),これが可決及び認可されなければ,本件会社更生手続が終了し(同法234条3号,4号,236条3号),本件更生計画が認可された場合であっても,更生計画が遂行される見込みがないことが明らかになったときは,更生手続廃止の決定がされて(同法241条1項),更生手続に基づき被控訴人が更生会社として存続できなくなるものであって,このような人員削減計画の実施が更生会社である被控訴人の存続の基礎となる本件新事業再生計画の一部をなすものと認められるのである。 以上判示の各点を総合すれば,被控訴人の管財人がした本件解雇に係る人員削減の実施が,被控訴人の事業を維持更生するという目的にかんがみ,本件更生計画の基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その内容及び時期について合理性が認められるときは,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるというべきである。また,本件会社更生手続に基づき更生会社の事業の維持更生を図るため不可欠な融資を得るために,その時期に整理解雇に係る人員削減を実施する必要性が認められるとき,又は,債権者らからの同意を得て本件更生計画案を可決させるために,その時期に整理解雇に係る人員削減を実施する必 な融資を得るために,その時期に整理解雇に係る人員削減を実施する必要性が認められるとき,又は,債権者らからの同意を得て本件更生計画案を可決させるために,その時期に整理解雇に係る人員削減を実施する必要性が認められるときについても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるものと解するのが相当である。」- 50 -(2)同48頁14行目の「適用があるとの前提で」を「適用があり,更生会社である被控訴人がいったん破綻して,管財人により,本件会社更生手続の過程においてなされたという事実を前提として,前記1判示の各点を踏まえて」と改める。 (3)同48頁25行目の「当該事情は,」の次に「前記1判示の趣旨において,」を加える。 (4)同49頁8行目の「17,」の次に「27,」を加える。 (5)同55頁13行目の「見極めていた」を「見極めており,特に本件更生計画案における人員削減計画については,削減目標の進捗状況,目標達成の蓋然性等につき詳細な質問をするなどして,人員削減施策に特に多大な関心を寄せていた」と,同頁20行目の「経営判断をしたものである」を「経営判断をした上,主要行に対し,着実に人員削減を実行すること,希望退職で集まらなければ,整理解雇に及ぶことを伝えて,本件更生計画案に対する賛成を求めたものである」とそれぞれ改める。 (6)同56頁26行目末尾の次に改行の上,次のとおり加える。 「 そして,P8としては,出資金の回収ができなければ,最終的に国民の税金で損失を補填することから,主要行との間で本件基本合意の成立に至らなかった場合,国民の理解が得られず,単独の出資をすることができなくなる可能性があり,P8による上記出資がされなければ,P23の期限 で損失を補填することから,主要行との間で本件基本合意の成立に至らなかった場合,国民の理解が得られず,単独の出資をすることができなくなる可能性があり,P8による上記出資がされなければ,P23の期限が到来して資金繰りに詰まり,更生会社が破綻すると管財人は判断した。」(7)同57頁2行目の「 このような経緯の中,」を次のとおり改める。 「 本件基本合意7条(本件リファイナンスの協議の前提)は,「各当事者は,以下の事項が本件リファイナンスに係る協議の前提であることを確認する。」として,同条(3)号に「本件リファイナンスに係る最終契約締結までの間に,更生計画に記載されている対象事業者における諸施策(人員圧縮等,実施中のコスト削減策等)及び更生計画策定後に具体化が決定- 51 -された生産性向上や購買改革等による持続的なコスト削減策等の実現に重大な支障が生じていないこと。」と規定されているが,これは主要行からの申出によって加えられたものであり,賛成票の獲得の際の約束が本当に実行されるかを念押ししたものであった。 本件基本合意に引き続く法的拘束力のあるリファイナンス契約の締結交渉が難航していたところ,主要行は,本件更生計画に基づく人員削減計画の達成に特に強い関心をもっており,上記の条項に基づき,「人員圧縮」策の目途がつかない限り,利率,担保,返済期限等のリファイナンスの条件に関する協議の前提が整っていないと主張して,これらの協議が進まない状況にあり,管財人は,毎月の主要行とのバンクミーティングにおいても,人員削減の進捗状況の報告を求められた。 このような経緯の中,」(8)同57頁7・8行目の「路線便数計画」の次に「(平成22年度確定下期路線計画)」を加える。 (9)同57頁17行目冒頭から末尾までを次のと 求められた。 このような経緯の中,」(8)同57頁7・8行目の「路線便数計画」の次に「(平成22年度確定下期路線計画)」を加える。 (9)同57頁17行目冒頭から末尾までを次のとおり改める。 「(ケ)被控訴人の人員削減に関する当時の各新聞の社説a 平成22年11月19日付けP24新聞朝刊社説「P5整理解雇」「労使対立を収拾し出直し急げ」(乙27の1)「 巨額の公的資金を投入して再生を進める以上,リストラの痛みに耐えるしかあるまい。 更生手続き中のP5が,最大250人のパイロットや客室乗務員を対象に整理解雇を実施すると発表した。」「 経営側が組合とギリギリまで話し合いの努力を続けるのは当然だが,「不当解雇」を主張する組合も,社内の混乱が続けば再建計画自体が頓挫しかねないことを理解しておかねばならない。」「 そもそもP5は一度破綻した企業であり,再建にはP8を通じ- 52 -て公的資金が投じられる。その重みを考えれば,一部労組の主張は国民の理解を得られないのではないか。」「 破綻に至るまで,P5では様々な再建策が示されては強硬な反発が巻き起こり,経営陣が腰砕けになって改革が進まなかった歴史がある。労使が,今度こそ甘い体質と決別しない限り,P5は生まれ変われないだろう。」b 平成22年11月22日付けP25新聞朝刊社説「P5の整理解雇やむをえぬ」(乙27の2)「 会社更生手続き中のP5で労使の対立が起きている。P5が最大で250人のパイロットと客室乗務員を対象に整理解雇を実施すると発表したのに対し,一部の労組が不当解雇だと主張。ストライキ権の確立にも言及している。」「 人員削減は8月末に東京地裁に提出した更生計画案の根幹部分だ。実現できなければ を実施すると発表したのに対し,一部の労組が不当解雇だと主張。ストライキ権の確立にも言及している。」「 人員削減は8月末に東京地裁に提出した更生計画案の根幹部分だ。実現できなければ更生計画案は裁判所の認可を受けにくくなり,金融機関との新たな融資の交渉も進められない。そうした状況を考えれば一定の痛みを覚悟し,会社の存続を優先するのは仕方がない側面もある。」「 忘れてならないのは,P5にはP8を通じ,出資だけで3500億円の公的資金が投じられるという点だ。国が支援を決めたのはP5が消滅したら日本の空の足が混乱をきたすと判断したからだった。だとしたら,この正念場で労使の対立が続いていること自体,国民の期待には反している。」「 米国ではP26が困難な労使関係を乗り越え,18日に株式を再上場した。P5が生まれ変わるためにも,再生計画案に沿った経営改革を徹底してやり通す覚悟が問われている。」c 平成22年11月30日付けP26新聞朝刊主張「P5の更生計- 53 -画」「スト実施で認可は問題だ」(乙27の4)「 経営再建中のP5の会社更生計画案について,銀行など債権者の大半が同意した。これを受け,30日にも計画案は東京地裁の認可を受ける見通しだという。 しかし,P5の現状を見る限り,計画案がこのまま認可されることは許されまい。一部労組が人員整理に断固反対の立場を崩さず,ストライキを実施する方針を決めたため,更生計画自体が瓦解しかねないからだ。」「 P5は労組のゴネ得を許す労使なれ合いの体質もあって,何度も再建が頓挫し,今年1月に破綻した。このままでは同じ轍を踏む懸念が残る。「甘え」の企業風土を温存したままでの公的資金投入は国民の理解を得 P5は労組のゴネ得を許す労使なれ合いの体質もあって,何度も再建が頓挫し,今年1月に破綻した。このままでは同じ轍を踏む懸念が残る。「甘え」の企業風土を温存したままでの公的資金投入は国民の理解を得られない。」「 更生計画の認可が,P5の再建を保証するわけではない。再度失敗すれば,国民負担の公的資金が水泡に帰すことになる。P8とP5の労使はそのことを改めて肝に銘じるべきだ。」d 平成22年12月2日付けP28新聞朝刊社説「P5再建」「航空政策も変えよう」(乙27の5)「 東京地裁がP5の更生計画を認めたとはいえ,これで同社の再建が保証されたわけではない。国民の多くは,本当に安全で信頼できる航空会社に生まれ変わるのだろうか-と首をかしげているのが実情だろう。 何しろ今年一月,負債総額二兆三千億円を抱えて事実上倒産した会社である。政府が緊急支援方針を決め,P8が管財人となって経営を指導して,やっと業務を維持している状況だ。」「 社内では人員削減が最大の課題である。国内外四十五路線の撤退にともない,グループ全体で本年度中に約一万六千人減らす計- 54 -画。早期退職だけでなく整理解雇にも踏み切る方針を決めた。 一部組合はストライキを構えて整理解雇の撤回を求めている。 だが多額の公的資金を受けている状況では,組合の強硬姿勢は国民の理解を得にくいだろう。」「 P5の再建は,同時に航空政策を転換するチャンスでもある。」「 羽田と成田両空港の発着容量拡大で日米間で航空自由化(オープンスカイ)が実現した。引き続き韓国などアジア諸国とも協定を結ぶことになる。格安航空会社(LCC)も乗り入れよう。 その際,国内航空会社 港の発着容量拡大で日米間で航空自由化(オープンスカイ)が実現した。引き続き韓国などアジア諸国とも協定を結ぶことになる。格安航空会社(LCC)も乗り入れよう。 その際,国内航空会社の体力が弱くては海外勢に対抗できない。 燃料税や固定資産税の軽減,着陸料の引き下げが不可欠である。」e 平成22年12月3日付けP29新聞朝刊社説「P5更生計画」「早期再建で国民に報いよ」(乙27の6)「 今年初め経営破綻したP5の再建への道筋が見えてきた。ゴールに向けて順調に飛んでほしい。 東京地裁が更生計画を認め,来年3月に会社更生手続きを終える。株式の再上場は2012年をめざすという。当初の想定より速いペースだ。」「 P5はP8から3500億円の出資を受けた。そのうえP8のとりまとめで取引銀行に5200億円の借金棒引きをのんでもらい,約2800億円の新たな融資も受ける。ふつうの倒産企業にはありえないほどの恵まれた条件である。 P5が肝に銘ずべきは,こうした出資や融資を全額返済し,国民負担を生じないようにすることだ。世界経済はなお不安定で,経営の手腕が問われようとしている。」「 当面の課題は,労使対立の克服だ。パイロットや客室乗務員で最大250人の整理解雇に踏み切る方針が対立を生んでいる。ル- 55 -ールを踏まえて慎重に交渉を進めなければならないが,P5は破綻企業であり公的支援も受けている。希望退職者の募集だけで削減計画数に達しなければ,一定の整理解雇に踏み切らざるをえない状況だ。 政府による異例のP5支援は航空システムを守るためである。 だからこそ再生P5は国民の「空の足」を安全に支え続けなければならない。だが,期待される役 に踏み切らざるをえない状況だ。 政府による異例のP5支援は航空システムを守るためである。 だからこそ再生P5は国民の「空の足」を安全に支え続けなければならない。だが,期待される役割はそれだけではないだろう。 国民生活や経済成長に進んで貢献する姿勢が望まれる。」(コ)本件解雇の対象人数の設定に至った経営判断の内容」(10)同58頁16行目の「修正したこと」を「修正し,平成22年度確定下期路線計画を策定したこと」と改め,同頁20行目の「6,」の次に「9,」を加える。 (11)同59頁21行目の「常務」を「乗務」と改める。 (12)同60頁2行目の「被告側は,」の次に「当初,」を加え,同頁3行目の「平成22年6月時点の」を「平成22年6月の段階では,平成23年3月31日時点で想定される」と,同頁4行目の「縮小に伴う」を「縮小に伴って同日時点で想定される」と,同頁5・6行目の「平成23年3月31日時点」を「同日時点」とそれぞれ改める。 (13)同61頁7行目の「(コ)」を「(サ)」と改める。 (14)同62頁13行目冒頭から同65頁9行目末尾までを次のとおり改める。 「(ア)前記ア判示の事実及び証拠によれば,被控訴人を含む更生3社は,平成22年3月の時点において,総額約9592億円の債務超過に陥っており,被控訴人においては,本件旧事業再生計画を見直すに当たって,P8から被控訴人に対し,ビジネス,ファイナンス,会計,法務等の専門家が派遣されてP16グループの実態調査が行なわれ,その結果,被控訴人の事業を維持し更生するために必要不可欠なものと- 56 -して,本件新事業再生計画が作成され,本件新事業再生計画では,平成20年度比の事業規模で国際線は約4割の縮小,国内線は約3割の縮小をして赤字路線を 持し更生するために必要不可欠なものと- 56 -して,本件新事業再生計画が作成され,本件新事業再生計画では,平成20年度比の事業規模で国際線は約4割の縮小,国内線は約3割の縮小をして赤字路線を大幅に削減することがその内容とされたほか,燃費効率の高い機材への更新,拠点数の削減,関連会社の整理等の事業リストラ策を実施し,特に早期の確実な再建を実現するため,本件旧事業再生計画が3年で実施することを予定していた諸施策を大幅に前倒しして初年度中に遂行を終え,大幅な事業縮小に応じた適正規模の人員体制に移行することもその内容とされ,さらに,平成22年度確定下期路線計画に従って,事業縮小の規模に見合った人員削減を行うため,P16グループ全体の人員削減を推進して,平成21年度末の人員約4万8714人を平成22年度末である平成23年3月末には約3万2600人にまで削減する予定とすることもその内容とされたものであって,本件更生計画案は,本件新事業再生計画を基礎として,この人員削施策も織り込んで作成され,本件更生計画として可決,認可されたことが認められる。 そして,前記ア判示の事実及び証拠によれば,被控訴人について,これまでに何度となく試みられた自主的な再建策がすべて失敗に終わり,本件会社更生手続が開始される前年の平成21年にも多額の営業損失を計上し,同年6月に融資された1000億円の事業資金も半年のうちに枯渇する見込みとなり,タスクフォースの助言,指導の下での事業再生計画の策定は奏功せず,P8によって私的整理による事業再建が不可能であると評価されたものであって,被控訴人は,いったんは破綻して,その債権者及び取引先に対する取引上の信頼が失われた状態に陥っており,会社更生法に基づく本件会社更生手続開始決定がなされ,同法に基づく更生手続によって,本件 あって,被控訴人は,いったんは破綻して,その債権者及び取引先に対する取引上の信頼が失われた状態に陥っており,会社更生法に基づく本件会社更生手続開始決定がなされ,同法に基づく更生手続によって,本件更生計画案が債権者らの同意を得て可決されて裁判所に認可され,本件更生計画が遂行さ- 57 -れて事業の維持更生が進められなければ,破綻が避けられない状態に陥っていたものと認められるのである。 そして,前記ア判示の事実及び証拠によれば,平成22年1月19日に本件会社更生手続が開始されると同時にP8の支援決定を受けるに至っており,このような経緯を踏まえて作成された本件更生計画の骨子は,株主に100パーセント減資,債権者に約5000億円の債務免除をそれぞれ求め,P8から3500億円の出資を受けるという内容であって,株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,巨額の公的資金まで投入されて,破綻状態にある被控訴人を更生会社として存続させることが図られるものであって,債権者らの同意を得て本件更生計画案が可決され,巨額の公的資金の投入が許容されるためには,更生会社である被控訴人が,現在破綻状態にあるにもかかわらず,将来にわたって公共交通機関として航空事業を安定的,持続的に維持,運営することのできる業務体制が実際に確立されることが必要不可欠であるばかりでなく,本件会社更生手続において,このような業務体制が確立される確実な見込みのあることが,本件更生計画案の可決を左右する債権者ら,公的資金投入の可否を左右する国民の多数から理解を得るために必要不可欠であって,そのためには,更生会社の事業規模を大幅に縮小し,これに応じて,上記判示の人員削減施策を実施することを内容とする本件新事業再生計画及びこれを基礎として上記人員削減施策を織り込んだ本件更生計画 って,そのためには,更生会社の事業規模を大幅に縮小し,これに応じて,上記判示の人員削減施策を実施することを内容とする本件新事業再生計画及びこれを基礎として上記人員削減施策を織り込んだ本件更生計画案を作成して,これを遂行することが必要不可欠であったものと認められるのである。 前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件更生計画案の基礎として策定された本件新事業再生計画は,P8の各分野の専門家が被控訴人の経営の実態を踏まえて問題点を洗い出し,具体的な改善点を指摘し- 58 -た上で,大規模な事業のスリム化と迅速な再建策が提案されており,上記人員削減施策を含めて,被控訴人の事業の維持更生を図るため合理性を備えた内容であると認められ,これを覆すに足りる証拠はなく,客室乗務職の人員削減については,見直しを受けて確定した平成22年度確定下期路線計画に準拠すると平成23年3月31日時点で必要稼働数が4120名と想定され,また,同日時点で有効配置稼働数(有効配置数)が4726名と想定されることから,稼働ベースでその差である606名分が最終的な削減目標とされたことが認められ,これを覆すに足りる証拠はないのである。 そして,前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件新事業再生計画に示された上記人員削減施策については,被控訴人における当時の従業員数約4万8700人の約3分の1にも相当する多数の人員を削減するものであって,これを希望退職措置のみによって実現することは相当程度の困難を伴うものと認められ,これに加えて,客室乗務職についても,現に一連の希望退職措置のみによっては,稼働ベースで606名分の削減には至らなかったこと,人員削減の目標数に到達しなかった頭数換算の人数分の人員については,それぞれの担当業務において専門性が要求される上,その削減規模が大きく よっては,稼働ベースで606名分の削減には至らなかったこと,人員削減の目標数に到達しなかった頭数換算の人数分の人員については,それぞれの担当業務において専門性が要求される上,その削減規模が大きく,各職種の勤務形態及び賃金体系の大幅な変動を伴うことをも総合すると,このような専門性を考慮せずに,被控訴人内における多種の職種間相互の人員の融通によって全員を吸収することも,著しく困難であったものと認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 以上判示の各点を総合すれば,管財人のした本件解雇に係る上記客室乗務職の人員削減の実施は,被控訴人の事業を維持更生するという会社更生法の目的にかんがみ,更生会社である被控訴人の本件更生計画の基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その内容において合- 59 -理性のあることが認められ,また,後記(イ)及び(ウ)に判示するところも併せ考慮すれば,その時期においても合理性のあることが認められるのであり,控訴人ら71名を含む84名についてされた本件解雇は,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるものというべきである。 (イ)次に,前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件会社更生手続開始日の平成22年1月19日にP8による支援決定がされており,この支援決定は,更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため必要不可欠であると認められ,機構法33条3項の規定が,支援決定から原則として3年以内に,当該支援決定に係るすべての再生支援を完了するように努めるべき旨を定めており,航空事業に外資を導入することが規制されていることからすれば,予定されたP8からの巨額の出資金を返済するには,再上場が最も有力でほぼ唯一の手段であるとした管財人 するように努めるべき旨を定めており,航空事業に外資を導入することが規制されていることからすれば,予定されたP8からの巨額の出資金を返済するには,再上場が最も有力でほぼ唯一の手段であるとした管財人の経営判断は合理的なものであると認められ,その認定を左右するに足りる証拠はない。 そして,前記ア判示の事実及び証拠によれば,上記3年の終期に当たる平成25年1月までに再上場をするためには,被控訴人において,本件会社更生手続を終えた上,更生会社ではない会社として,少なくとも1年間の業績を示す必要があり,そのためには,遅くとも平成23年3月末までには,主要行からの新たな融資であるリファイナンスを受けて更生債権,更生担保権を弁済し更生手続を終了させることを要したこと,主要行5行との間で,平成23年3月末までにリファイナンスを受けるためには,それに先立って融資条件の内容の細部まで確定させるための協議に相当程度の時間を要することが予想され,各行内部の稟議決裁手続に要する時間もある上,平成22年12月1日- 60 -の時点でリファイナンスが適時に実行される確実な見込みが存在しなければ,出資金の回収の見込みが立たないものとして,P8による同日の3500億円の出資が実行されることも困難な状況にあったことを総合すれば,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るためには,平成22年11月30日までには,まず,主要行にリファイナンスとして新規貸付をすべき法的義務を負わせるものではない本件基本合意を締結することが必要不可欠であるとした管財人の経営判断には合理性があると認められ,これを左右するに足りる証拠はなく,また,P8からの上記出資がされなければ,P23の期限が到来して資金繰りに詰まって,更生会社である被控訴人が破綻することが避けられないとし 合理性があると認められ,これを左右するに足りる証拠はなく,また,P8からの上記出資がされなければ,P23の期限が到来して資金繰りに詰まって,更生会社である被控訴人が破綻することが避けられないとした管財人の経営判断にも合理性があるものと認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 また,前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件更生計画案は,債権者など各利害関係人との調整を経て,主要債権者からの意見等も参考にして策定され,管財人から平成22年8月31日に本件更生計画案が更生裁判所に提出される前の同月2日,主要行などの主要債権者に対して素案が開示され,管財人において,主要債権者との質疑応答を重ね,最終的に取りまとめられたものであることが認められるところ,取りまとめに至る過程において,主要債権者からは,本件更生計画案における人員計画についても,削減目標の進捗状況,目標達成の蓋然性等につき詳細な質問がされ,主要行は人員削減施策に特に多大な関心を示していたことが認められるのであり,管財人は,このような経緯にかんがみ,本件更生計画案についての債権者投票が平成22年11月19日に締め切られるまでの間に,主要行に対し,着実に人員削減を実行すること,希望退職で集まらなければ,整理解雇に及ぶことを伝えて,本件更生計画案に対する賛成を求めるとともに本件基- 61 -本合意の締結を求めていたものであり,このような状況の下で,同月12日に整理解雇の方針を決めて同月15日にこれを公表し,上記同月19日の前日である同月18日になって,ようやく賛成票が法定多数に達し,同月30日,主要行5行との間で,ようやく本件基本合意の締結に至ったことが認められる。 その上,前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件基本合意7条には,「各当事者は,以下の事項が本件リファイナンスに係 30日,主要行5行との間で,ようやく本件基本合意の締結に至ったことが認められる。 その上,前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件基本合意7条には,「各当事者は,以下の事項が本件リファイナンスに係る協議の前提であることを確認する。」との条項があり,同条(3)号には,「本件リファイナンスに係る最終契約締結までの間に,更生計画に記載されている対象事業者における諸施策(人員圧縮等,実施中のコスト削減策等)〔中略〕の実現に重大な支障が生じていないこと。」との条項があって,これらの条項が主要行からの申出によって加えられたものであり,管財人が賛成票の獲得の際にした約束が本当に実行されるかを念押ししたものであると認められるのであって,本件基本合意に引き続く法的拘束力のあるリファイナンス契約の締結交渉が難航しており,主要行は,引き続き本件更生計画に基づく人員削減計画の達成に特に強い関心を示しており,上記の条項に基づき,「人員圧縮」策の目途がつかない限り,利率,担保,返済期限等のリファイナンスの条件に関する協議の前提が整っていないなどと主張して,これらの協議が進まない状況にあり,毎月の主要行とのバンクミーティングにおいても管財人に対し,人員削減の進捗状況の報告を求めていたことが認められるのである。これらの経緯に加えて,主要行がリファイナンスとして求められる新規貸付が巨額であって,被控訴人がその返済義務を履行することができなければ,主要行は,本件更生計画における巨額の債務免除に加えて更に巨額の損失を受けることになるのであって,本件基本合意には,これに基づいて主要行にリファイナンスとし- 62 -て新規貸付をすべき法的義務を負わせるものではなく,上記各条項まで存在しており,主要行の上記主張や厳しい交渉態度が違法不当であるとは認められないことをも総 て主要行にリファイナンスとし- 62 -て新規貸付をすべき法的義務を負わせるものではなく,上記各条項まで存在しており,主要行の上記主張や厳しい交渉態度が違法不当であるとは認められないことをも総合すれば,主要行は,本件基本合意を締結したとはいえ,管財人において,主要行に対し上記人員圧縮策が確実に遂行されるという認識を与えることができない限り,平成23年3月末までにリファイナンス契約の締結には応じない可能性が高いとした管財人の経営判断も合理的なものであると認められ,これを左右するに足りる証拠はないのである。 そして,被控訴人では,平成22年10月26日に本件最終希望退職措置の実施が発表された後,同年11月19日に本件追加希望退職措置が明らかにされ,同年12月1日には募集期限を同月9日まで延長した上,管財人において,同月9日,本件解雇に係る本件解雇予告通知をしたものであることは,前記ア判示のとおりである。 上記判示の各点に,本件更生計画が株主に100パーセント減資,債権者に約5000億円の債務免除をそれぞれ求め,P8から3500億円の出資を受けるという内容であって,株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,巨額の公的資金まで投入されて破綻状態にある被控訴人の更生会社として存続が図られるものであることをも総合すると,本件会社更生手続に基づき被控訴人事業の維持更生を図るためには,平成23年3月31日までに主要行との間でリファイナンス契約を締結することが必要不可欠であり,そのためには,本件基本合意においてリファイナンスの条件交渉に入るための前提条件と約定された本件更生計画案及び本件新事業再生計画の実現時期,つまり平成22年度確定下期路線計画に基づく人員削減の遂行を終える時期を遅くとも同年12月31日と設定した上,そのような人 ための前提条件と約定された本件更生計画案及び本件新事業再生計画の実現時期,つまり平成22年度確定下期路線計画に基づく人員削減の遂行を終える時期を遅くとも同年12月31日と設定した上,そのような人員削減施策が一連の希望退職措置等の方法によって実現することが困難であ- 63 -ると見込まれたことから,同日を解雇日とする整理解雇を実施することもやむなしとして,控訴人ら71名を含む84名について,整理解雇の方法によって人員削減を実施することとして,本件解雇に係る本件解雇予告通知を同月9日にして,本件解雇をすることが必要であるとした管財人の経営判断には,合理性があるものと認められる。 したがって,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が上記の時期において本件解雇に係る人員削減を実施する必要性があるものと認められるのであって,この点からしても,本件解雇について,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるというべきである。 (ウ)また,管財人は,平成22年11月12日の時点において希望退職者が目標値に達しない場合には整理解雇も辞さないとの基本方針を決定して,同月15日これを正式に発表したものであるが,前記ア判示の事実及び証拠によれば,本件更生計画案が可決されるためには,投票期限である同月19日までに更生債権者らから法定の賛成票を得ることを要したが,その1週間前の同月12日の時点においても,法定多数の賛成票は得られていなかったこと,主要行は,本件更生計画によって,一般更生債権の多額の免除を余儀なくされることもあって,本件更生計画の基礎である本件新事業再生計画の完遂可能性を慎重に ,法定多数の賛成票は得られていなかったこと,主要行は,本件更生計画によって,一般更生債権の多額の免除を余儀なくされることもあって,本件更生計画の基礎である本件新事業再生計画の完遂可能性を慎重に見極めており,本件更生計画案における人員削減計画について,削減目標の進捗状況,目標達成の蓋然性等につき詳細な質問をするなどして,特に多大な関心を示していたこと,管財人が同月12日に整理解雇の方針を決めて同月15日にこれを公表し,主要行に対し,着実に人員削減を実行すること,希望退職で必要な人員削減数が集まらなけ- 64 -れば,整理解雇に及ぶことを伝えて,本件基本合意の締結を求めるとともに,本件更生計画案に対する賛成を求め,上記同月19日の前日である同月18日になって,ようやく賛成票が法定多数に達したことが認められ,以上の経緯及び上記証拠を総合すれば,本件更生計画案に対して,債権者らから法定多数の賛成票を得るためには,上記の時期に上記方針の決定と公表をして,管財人が確実に人員削減施策を実行して削減目標値を達成する決意であることを対外的に表明する必要があるとした管財人の経営判断には合理性があるものと認められる。 したがって,管財人が平成22年11月12日の時点において希望退職者が目標値に達しない場合には整理解雇も辞さないとの基本方針を決定して,同月15日これを正式に発表したことについても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものと認められる。 (エ)なお,仮に,いわゆる整理解雇法理における人員削減の必要性という要素について,被控訴人についても,破綻に至っていない企業の場合と同じく,債務超過や赤字の累積など高度の経営上の困難から人員の削減が必要であり,企業の合理的な運営上やむを得ないものと認めら という要素について,被控訴人についても,破綻に至っていない企業の場合と同じく,債務超過や赤字の累積など高度の経営上の困難から人員の削減が必要であり,企業の合理的な運営上やむを得ないものと認められるか否かという観点からその存否が判断されるべきであると解される余地があるとしても,前記(ア)判示の被控訴人の破綻に至る経緯及び状況,本件新事業再生計画が作成された経緯,内容及びこれが被控訴人の事業の維持更生を図るため合理性を備えていたことに加えて,前記(ア)ないし(ウ)判示の本件解雇に至る経緯をも総合すると,控訴人ら71名を含む84名についてされた本件解雇について,被控訴人に巨額の債務超過と累積赤字があって高度の経営上の困難に陥っており,被控訴人が企業の事業を維持するためには,本件解雇に係る人員の削減が必要であって,被控訴人の合理的な運営上やむを得- 65 -ないものと認められるのであるから,この観点から検討しても,その人員削減の必要性が認められるものというべきである。 (オ)以上によれば,本件会社更生手続において,控訴人ら71名を含む84名について,管財人によってなされた本件解雇は,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるというべきであって,その実施目的,実施規模,実施時期にいずれについても,管財人に委ねられた合理的な経営判断の下でされたものと認められる。」(15)同65頁10行目末尾の次に改行の上,次のとおり加える。 「 これに対し,控訴人らは,史上最高の利益を計上する経営状況下では人員削減の必要性が欠如すること,リスク耐性が強化された基盤下では人員削減の必要性が不存在であること,人件費削減目標の超過達成状況の下では人員削減の必要性が不存在であること を計上する経営状況下では人員削減の必要性が欠如すること,リスク耐性が強化された基盤下では人員削減の必要性が不存在であること,人件費削減目標の超過達成状況の下では人員削減の必要性が不存在であること,人件費の水準と競争力からみて人員削減の必要性が不存在であること,本件更生計画上の人員削減の必要性が不存在であること,本件解雇決定時に予測可能な本件解雇後の事情から人員削減の必要性が不存在であることを主張するが,前記ア及びイに判示するところに照らせば,控訴人のこれらの主張は,本件解雇が,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,その実施目的,実施規模,実施時期にいずれについても,管財人に委ねられた合理的な経営判断の下でされたものと認められるとの前記イ判示の認定判断を左右するに足りるものではないというべきである。 以下,補足的に検討する。」(16)同65頁18行目の「1243億円」の次に「の増益」を,同頁19行目の「1934億円」の次に「の増額」を,同頁26行目の「実施されたものであって,」の次に「本件解雇に係る客室乗務職の人員削減計画の実施につ- 66 -いても,被控訴人の事業を維持更生するという会社更生法の目的にかんがみ,更生会社である被控訴人の本件更生計画の基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その内容及び時期において合理性のあることが認められ,本件解雇は,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,また,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が本件解雇の時期において本件解雇に係る人員削減を実施す められ,また,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が本件解雇の時期において本件解雇に係る人員削減を実施する必要性があるものと認められるのであって,この点からも,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,その実施目的,実施規模,実施時期にいずれについても,管財人に委ねられた合理的な経営判断の下でされたものと認められることは,前記イ判示のとおりである。そして,」をそれぞれ加え,同66頁4行目の「というべきである」を「というべきであり,そのような特段の事情を認めるに足りる証拠もない」と改める。 (17)同67頁2行目の「等から」から同頁4行目末尾までを「が認められる。」と改め,同頁5・6行目の「必ずしも人員削減の必要性の欠如を認めているわけではなく」を「本件更生計画及びその基礎となった本件新事業再生計画において策定された人員削減施策の必要性や合理性を否定しているものとは認められず」と改め,同頁11行目の「被告の」の次に「本件更生計画案の目標値を超えるような」を加え,同頁16行目の「P30発言は」から同頁19行目までの「相当であって,」までを削除し,同頁21行目の「人員削減の必要性を否定することはできない」を「本件解雇における人員削減の必要性が認められるとの前記イ判示の認定判断を左右するに足りるものではない」と改める。 (18)同68頁7・8行目の「事業規模縮小の効果によって達成されたものであ- 67 -り,リスク耐性が強化されたから」を「事業規模縮小の効果として達成されるべき課題であり,平成22年11月30日に認可された本件更生計画の遂行開始直後である同年12月時点 されたものであ- 67 -り,リスク耐性が強化されたから」を「事業規模縮小の効果として達成されるべき課題であり,平成22年11月30日に認可された本件更生計画の遂行開始直後である同年12月時点において,既に持続的なリスク耐性が強化されたから」と,同頁9行目の「本末転倒の議論」を「時期尚早で本末転倒の議論」と,同頁20・21行目の「盤石のものとなったとも認め難い」を「盤石なものとなったとも認め難く,また,平成22年12月の本件解雇の時点における管財人の経営判断の合理性を左右するに足りる事情とは認められないものというほかない」とそれぞれ改める。 (19)同69頁9行目の「上記(2)ア(コ)のとおり」を「前記(2)ア(サ)判示のとおり」と,同頁15行目の「削減目標数が超過達成していたということはできない」を「削減目標数を超過達成していたとまでは認められないことは,後記判示のとおりである」とそれぞれ改め,同頁25・26頁の「反省の上に立って,」の次に「破綻に陥った原因を除去して,将来においても,」を加え,同70頁4・5行目の「本件解雇の必要性がなくなるということはできない」を「平成22年12月の本件解雇の時期において本件解雇について人員削減の必要性が認められるとの前記イ判示の判断を左右するに足りる事情とは認められないものというほかない」と改め,同頁6行目冒頭から同頁7行目の「できないから,」までを削除する。 (20)同70頁24・25行目の「被告の競争力の優位性を判断することはできない」を「そのことから直ちに被控訴人の競争力の優位性を認定するには不十分であるといわざるを得ないのであって,また,本件解雇について人員削減の必要性が認められるとの前記イ判示の判断を左右するに足りる事情であるとは認められないものというほかない」と改める。 るには不十分であるといわざるを得ないのであって,また,本件解雇について人員削減の必要性が認められるとの前記イ判示の判断を左右するに足りる事情であるとは認められないものというほかない」と改める。 (21)同71頁2行目冒頭から同頁24行目末尾までを次のとおり改める。 「a 控訴人らは,本件更生計画及びその基礎となる本件新事業再生計画の骨子はコスト削減等によって所期の利益を確保することにあり,人員数- 68 -削減もコスト削減,利益計上のためにされるものであって,被控訴人において,本件解雇を断行しなくとも,本件更生計画における目標値を超過して実現しており,整理解雇によって人員削減をする必要性は全くなかった旨を主張する。 しかし,本件新事業再生計画が,前記イ判示の事業規模の大幅な縮小とこれに応じた適正規模の人員体制に移行するための人員削減施策を含めて,被控訴人の事業の維持更生を図るため合理性を備えた内容であると認められることは,前記イ(ア)判示のとおりである。そして,本件新事業再生計画を基礎とする本件更生計画は,株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,巨額の公的資金まで投入されて,破綻状態にある被控訴人を更生会社として存続させることが図られるものであって,債権者らの同意を得て本件更生計画案が可決され,巨額の公的資金の投入が許容されるためには,更生会社である被控訴人が,現在破綻状態にあるにもかかわらず,将来にわたって公共交通機関として航空事業を安定的,持続的に維持,運営することのできる業務体制が実際に確立されることが必要不可欠であるばかりでなく,本件会社更生手続において,このような業務体制が確立される確実な見込みのあることが,本件更生計画案の可決を左右する債権者ら,公的資金投入の可否を左右する国民の ることが必要不可欠であるばかりでなく,本件会社更生手続において,このような業務体制が確立される確実な見込みのあることが,本件更生計画案の可決を左右する債権者ら,公的資金投入の可否を左右する国民の多数から理解を得るために必要不可欠であって,そのためには,更生会社である被控訴人の事業規模を大幅に縮小し,これに応じて人員削減施策を実施することを内容とする本件新事業再生計画及びこれを基礎として上記人員削減施策を織り込んだ本件更生計画案を作成することが必要不可欠であったものと認められることも前記イ(ア)判示のとおりであり,本件解雇に係る前記イ判示の客室乗務職の人員削減の実施は,被控訴人の事業を維持更生するという会社更生法の目的にかんがみ,更生会社である被控訴人の本件更生計画の基礎をなす本件新事業再- 69 -生計画に照らして,その内容においても,その時期においても,合理性のあることが認められることも前記イ(ア)判示のとおりである上,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が上記の時期において本件解雇に係る人員削減を実施する必要性があるものと認められることも前記イ(イ)判示のとおりであって,これらの各点と前記イに判示するところを総合すれば,控訴人らの上記主張をもって,本件解雇について,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,人員削減の必要性が認められるとの前記イの判断を左右するに足りるものではない。 また,控訴人らは,被控訴人がリスク耐性も備わっているのであるから,整理解雇によって人員削減をする必要がまったくなかった旨も主張するようであるが,上記判示の各点に加えて,被控訴人のリスク耐性が平成22年12月時点で 被控訴人がリスク耐性も備わっているのであるから,整理解雇によって人員削減をする必要がまったくなかった旨も主張するようであるが,上記判示の各点に加えて,被控訴人のリスク耐性が平成22年12月時点で既に持続的に強化されていたとみることが時期尚早であるというべきことなど前記(イ)に判示するところをも総合すれば,控訴人らのこの主張をもって,本件解雇について,人員削減の必要性が認められるとの前記イ判示の認定判断を左右するに足りないというほかない。 控訴人らの主張は採用することができない。」(22)同72頁19行目の「LCC」の次に「の新会社(P31)」を加え,同73頁4行目の「そして」から同頁7行目末尾までを「そして,平成22年11月30日に認可された本件更生計画及びその基礎となった本件新事業再生計画における人員削減施策が認可直後である同年12月の時点で直ちに見直すべき事情が存在したものとは認められず,被控訴人の経営状況が改善し,財務基盤が安定化したとの控訴人らの主張は,本件解雇における人員削減の必要性を左右するに足りる事情であるとは認められないものというべきであ- 70 -る。」と改め,同頁11行目の「3500億円」の次に「もの巨額の公的資金」を加え,同頁13行目の「被告に残った従業員に対する」を「平成23年3月から同年12月までの間に被控訴人の従業員に対して」と改める。 (23)同75頁5行目の「⑬ 出張・乗務旅費」を「⑫ 出張・乗務旅費」と改める。 (24)同76頁6行目の「一旦」から同頁12行目末尾までを次のとおり改める。 「実際に希望退職措置と同一条件の算定方法に基づき本件解雇に際して控訴人らの受領することのできる退職金,特別退職金,一時金の合計が平均額で約2280万円,企業年金基金の脱退一時金が平均額で約67 「実際に希望退職措置と同一条件の算定方法に基づき本件解雇に際して控訴人らの受領することのできる退職金,特別退職金,一時金の合計が平均額で約2280万円,企業年金基金の脱退一時金が平均額で約670万円であったことは,前記第2の2前提事実(17)判示のとおりであることに照らしても,いったん破綻状態に陥って更生手続により再建途中にある更生会社の提示した退職条件としては,被控訴人において希望退職者を募集する努力を尽くしていない不十分な内容であるとは認められず,可能な限りの配慮がうかがえるものであったことが認められる。 以上によれば,被控訴人が本件解雇に先立って実施した本件解雇回避措置は,いずれも合理的なものであったと認められ,内容的にも希望退職者を募集する努力を尽くしていない不十分なものではなく,可能な限りの配慮がうかがえるものであって,被控訴人において,本件解雇に当たり,十分な解雇回避努力をしたものと認められる。」(25)同77頁1・2行目の「禁じられていないのであるから,何らの不都合はない。」を「禁じられていないのである。」と改め,同頁2行目末尾の次に改行の上,次のとおり加える。 「 そして,年齢基準に該当しない層の方が定年までの期間が長く,将来にわたって被控訴人への貢献が期待できる一方,これまで被控訴人においては全体的に年功序列的な賃金体系となっており,年齢基準に該当する層の退職によって人件費の抑制効果がより高く,しかも,企業年金制度上,受- 71 -給の条件が年齢基準に該当しない層に比べて該当する層に有利な面のあることが認められるのであって(乙1,37,証人P7(原審),証人P32(原審)),以上判示の各点に照らせば,希望退職措置の対象者に年齢制限を設けたことが不合理であるとは認められないものというべき ることが認められるのであって(乙1,37,証人P7(原審),証人P32(原審)),以上判示の各点に照らせば,希望退職措置の対象者に年齢制限を設けたことが不合理であるとは認められないものというべきであり,控訴人らの主張を考慮しても,前記イ判示の認定判断を左右するに足りない。」(26)同78頁7行目の「しかしながら,」の次に「本件新事業再生計画が,前記(2)イ判示の事業規模の大幅な縮小とこれに応じた適正規模の人員体制に移行するための人員削減施策を含めて,被控訴人の事業の維持更生を図るため合理性を備えた内容であると認められることは,前記(2)イ(ア)判示のとおりである。そして,本件新事業再生計画を基礎とする本件更生計画は,株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,巨額の公的資金まで投入されて,破綻状態にある被控訴人を更生会社として存続させることが図られるものであって,債権者らの同意を得て本件更生計画案が可決され,巨額の公的資金の投入が許容されるためには,更生会社である被控訴人が,現在破綻状態にあるにもかかわらず,将来にわたって公共交通機関として航空事業を安定的,持続的に維持,運営することのできる業務体制が実際に確立されることが必要不可欠であるばかりでなく,本件会社更生手続において,このような業務体制が確立される確実な見込みのあることが,本件更生計画案の可決を左右する債権者ら,公的資金投入の可否を左右する国民の多数から理解を得るために必要不可欠であって,そのためには,更生会社である被控訴人の事業規模を大幅に縮小し,これに応じて人員削減施策を実施することを内容とする本件新事業再生計画及びこれを基礎として上記人員削減施策を織り込んだ本件更生計画案を作成することが必要不可欠であったものと認められることも前記(2)イ判示のとおりで 減施策を実施することを内容とする本件新事業再生計画及びこれを基礎として上記人員削減施策を織り込んだ本件更生計画案を作成することが必要不可欠であったものと認められることも前記(2)イ判示のとおりである。そして,」を加え,同頁14・15行目の「恒常的に機能する制度ではないこと」を「恒久的な- 72 -余剰人員を解消するには不確実であると同時に,恒常的に機能する制度ではないものと認められること」と,同頁18行目の「業務指示を柔軟に行うことが困難になること」を「業務指示を柔軟に行うことが困難になるとともに,通常勤務の乗務員と比べて就労可能日数の割に稼働が少なくなる傾向があり,また,同制度を選択した客室乗務員は,所属グループ単位を基本とする乗務から外れ,アサインできる国際線も限定されるため,被控訴人においては,平成20年度以降,部分就労制度の募集を行わないこととして各組合に説明をしてきたものであって(乙19),本件会社更生手続下で特に効率的な業務の取組みが求められている状況の下でその募集を再開することは相当でないこと」とそれぞれ改める。 (27)同79頁6行目の「設定したのは,」の次に「使用者側において特定の労働者を意図的に解雇の対象者として選別することを可能にするような恣意性のない客観的な基準であることを前提として,」を加え,同頁16行目の「最大付与数」の次に「(40日又は80日)」を,同頁24行目の「病気欠勤日数」の次に「41日以上」をそれぞれ加え,同80頁3行目の「欠勤」を「病気欠勤」と改める。 (28)同80頁15・16行目の「使用者側の恣意の入る余地の少ない客観性に優れた基準」を「使用者側において特定の労働者を意図的に解雇の対象者として選別することを可能にするような恣意性のない客観的な基準」と,同頁26行目の「④ 平成2 者側の恣意の入る余地の少ない客観性に優れた基準」を「使用者側において特定の労働者を意図的に解雇の対象者として選別することを可能にするような恣意性のない客観的な基準」と,同頁26行目の「④ 平成22年9月27日に」を「④ 本件人選基準案は平成22年9月27日に」と,同81頁4行目の「その発表後」を「本件人選基準案の発表後」とそれぞれ改め,同頁7・8行目の「救済措置を設けるに至ったこと」の次に「(本件人選基準)」を加える。 (29)同81頁12行目の「休業者基準」を「休職者基準」と改め,同頁18行目の「しかしながら,」の次に「企業貢献度の検討に当たっては,個々人の将来の貢献度を他者と定量的に比較可能な程度にまで予測することは困難で- 73 -あると認められ,過去における消極的な貢献度を他者と比較が可能な病気欠勤日数,休職期間等から把握する休職者基準及び病欠日数・休職日数基準は,いずれも合理的な基準の定め方であると認められる。そして,」を加え,同頁26行目・同82頁1行目の「企業貢献度が劣ると評価せざるを得ない」を「企業貢献度が相対的に劣ると評価されることもやむを得ないというべきである」と改め,同83頁1行目の「単なる憶測」から同頁4行目の「いわざるを得ない」までを「本件会社更生手続下における整理解雇に当たって休職者基準及び病欠日数・休職日数基準が用いられたことから,直ちに将来にわたって通常業務時における病気欠勤の取得が抑止されること,航空機の安全運航に支障を来す事態に至ることを認めるに足りる証拠はない」と改める。 (30)同83頁19行目の「保安業務を円滑に行うには」を「しかし,本件人選基準においては,まず休職者基準,病欠日数・休職日数基準,人事考課基準を順次適用し,なお目標人数に達しない場合に初めて年齢基準を適用するものであ 目の「保安業務を円滑に行うには」を「しかし,本件人選基準においては,まず休職者基準,病欠日数・休職日数基準,人事考課基準を順次適用し,なお目標人数に達しない場合に初めて年齢基準を適用するものである。その上,前記(2)ア判示の事実及び証拠によれば,本件会社更生手続においては,本件更生計画及びその基礎をなす本件新事業再生計画が,株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,巨額の公的資金まで投入されて,破綻状態にある被控訴人を更生会社として存続させ,今後将来にわたって公共交通機関として航空事業を安定的,持続的に維持,運営することのできる業務体制が確立することを図るものであることからすれば,今後の企業貢献度の可能性を考慮して,被控訴人の将来にわたる事業の更生に必要な役割を担うべき年齢層を被控訴人に残す必要性が認められるのであって,これらをも考慮すれば,本件人選基準のこのような定め方は,本件更生計画及びその基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その合理性が認められるものというべきである。確かに,保安業務を円滑に行うには」と,同頁22行目の「人件費」を「年功序列的な賃金体系における人件費」と,同84頁7行目の「本件解雇は」を「被控訴人においては,60歳を定年と- 74 -しているところ(甲4),本件解雇は」と,同頁22行目の「支給があるのは」を「支給があり,控訴人らの受領することのできる金員については,企業年金基金の脱退一時金も含め,平均額を合計して約2950万円であったことは」とそれぞれ改め,同頁24行目の「また」から同頁26行目末尾までを「前記a判示の各点及び上記判示の各点を総合すれば,控訴人らの主張を検討しても,年齢基準が合理性を欠くとは認められず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。」と改める。 (31)同85頁11行目 でを「前記a判示の各点及び上記判示の各点を総合すれば,控訴人らの主張を検討しても,年齢基準が合理性を欠くとは認められず,他にこれを覆すに足りる証拠はない。」と改める。 (31)同85頁11行目の「原告らの上記主張も採用の限りではない」を「控訴人らの主張は採用することができず,また,本件解雇が不当労働行為として無効であると認めるに足りないことは,後記判示のとおりである」と改める。 (32)同87頁2行目の「人選基準内容の一部」を「人選基準内容のうちの病欠日数・休職日数基準」と改める。 (33)同87頁11行目の「同日の時点」から同頁17行目末尾までを「平成22年6月7日に開催された8労組に対する説明会において,被控訴人側から,本件新事業再生計画における平成22年度確定下期路線計画による見直し前の当初の人員計画に基づいて,客室乗務職の平成22年度末の必要人員体制を説明し,特別早期退職の実施人数を頭数で573名とすることを明らかにしたことは,前記第2の2前提事実(7)判示のとおりであるが,この時点において,被控訴人においては,後の平成22年9月以降に実施することとなる一連の希望退職措置によって人員削減の達成を図っていたものと認められるのであって,これを覆すに足りる証拠はなく,整理解雇の基本方針の決定が同年11月12日,その発表が同月15日の時点であることは前記(2)判示のとおりであることに照らしても,控訴人らの主張は,その前提を欠くものであり,採用することができない。」と改め,同88頁8行目の「人員削減の決定の当初」を「P10との協議開始の当初」と,同頁14行目の「本件解雇通知後」を「本件解雇予告通知後」と,同頁19行目の「本件人選基- 75 -準」を「本件人選基準案」と,同頁22行目の「人選基準案」を「本件人選基準案」とそれ の当初」と,同頁14行目の「本件解雇通知後」を「本件解雇予告通知後」と,同頁19行目の「本件人選基- 75 -準」を「本件人選基準案」と,同頁22行目の「人選基準案」を「本件人選基準案」とそれぞれ改める。 (34)同89頁10行目の「平成22年度確定下期便数計画」を「平成22年度確定下期路線計画」とそれぞれ改める。 (35)同89頁25行目冒頭から同90頁2行目の「不当労働行為があったとしても」までを次のとおり改める。 「 しかし,本件解雇が不当労働行為に当たるものとは認められないことは,後記判示のとおりである上,本件解雇について,人員削減の必要性があること,十分な解雇回避努力がなされたこと,被解雇者の選定基準に合理性があり,その選定がこの基準に基づき客観的合理的になされたことがいずれも認められ,被控訴人は,控訴人らの所属するP10を含む従業員の所属労働組合に対する多数回の協議と説明をしており,P18からの指摘に応じて本件人選基準案の内容の一部を変更して本件人選基準を策定するなど手続的相当性を備えているものと認められることは,前判示のとおりであって,上記発言の事実によって直ちにこの認定判断を覆すに足りるものとは認められない。 その上,控訴人らの主張する被控訴人側の発言は,本件解雇前に被控訴人とP10との間の事務折衝においてされた発言ではあるが,当時,被控訴人に巨額の公的資金を投入して更生を図ることに対する厳しい意見も見受けられたことを意識して,専らP10の争議権確立について述べたものと認められるのであって,整理解雇である本件解雇を実施すること,又は実施しないことについて述べたものであるとは認めるに足りず,仮に,この発言がP10の争議権投票に対する支配介入に当たると認定する余地があると仮定したとしても,上記判示の各点に 雇を実施すること,又は実施しないことについて述べたものであるとは認めるに足りず,仮に,この発言がP10の争議権投票に対する支配介入に当たると認定する余地があると仮定したとしても,上記判示の各点に照らすと,整理解雇のための手続の相当性を失わせて,本件解雇の効力を否定するに足りる事情に当たるものとまでは認めるに足りる証拠はないというべきである。 - 76 -そして,本件解雇前に被控訴人とP10との間の事務折衝においてされた発言が不当労働行為に当たると認定する余地があるとしても」(36)同90頁9行目冒頭から同92頁20行目末尾までを次のとおり改める。 「(6)以上によれば,本件解雇は,被控訴人の株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,P8から巨額の公的資金まで投入されて,破綻状態にある被控訴人を更生会社として存続させることを内容とする本件更生計画に基づく本件会社更生手続の下において,管財人によってなされたものであるが,控訴人らに対する本件解雇による人員削減の実行は,被控訴人の事業を維持更生するという会社更生法の目的にかんがみ,更生会社である被控訴人の本件更生計画の基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その内容及び時期において,合理性のあることが認められ,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,また,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が上記の時期において本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があるものと認められる点からしても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるの て本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があるものと認められる点からしても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるのであって,その実施目的,実施規模,実施時期のいずれについても,管財人に委ねられた合理的な経営判断の下でされたものと認められるのである。 そして,被控訴人は,一連の希望退職措置を講ずるなど十分な解雇回避努力を行ったこと,その対象者の人選が合理性の認められる本件人選基準に基づいて客観的,合理的に行われたことが認められ,また,本件解雇の手続においても,被控訴人から控訴人らの所属するP10を含む従業員の所属労働組合に対する多数回の協議と説明をしており,P18- 77 -からの指摘に応じて本件人選基準案の内容の一部を変更して本件人選基準案を策定するなど,手続的相当性を備えていることが認められ,整理解雇が許されないものと評価するに足りるような事情は認められないというべきである。 したがって,本件解雇は,被控訴人の就業規則52条1項4号の「企業整備等のため,やむを得ず人員を整理するとき」に該当し,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であるというべきであって,無効であるとは認められない。」 2 当審における控訴人らの主張に対する判断(1)本件解雇と人員削減の必要性についてア控訴人らは,本件解雇がされた平成22年12月31日時点で客室乗務員の有効配置稼働数(有効配置数)は4042名となっており,平成22年度確定下期路線計画における平成23年3月末時点での必要稼働数4120名を下回っており,人員削減計画は平成22年12月31日時点で既に完遂されていた旨を主張し,本件更生計画,本件新事業再生計画等に基づく人員削減計画において,同年 3年3月末時点での必要稼働数4120名を下回っており,人員削減計画は平成22年12月31日時点で既に完遂されていた旨を主張し,本件更生計画,本件新事業再生計画等に基づく人員削減計画において,同年12月31日の時点で84名の客室乗務員を整理解雇によって削減する必要性は全く存在しないのであるから,本件解雇は,整理解雇法理に照らして,解雇権濫用として無効である旨を主張し,控訴人P33の供述(本人尋問(当審))及び陳述書(甲466)の記載中には,これに沿うかのような部分がある。 イ控訴人らの主張する有効配置稼働数(有効配置数)4042名は,基準時点における「客室乗務員在籍者数」(平成23年1月1日につき5557名,なお,平成22年12月1日につき5773名)の記載された実在籍者の頭数を記載した資料(甲392,391)に基づくものであり,平成23年1月1日時点の総在籍者数5557名から同日時点のP15統合のタイ人増分557名及び同日時点の休職者数755名を控除し,被解雇- 78 -者(休職者9名を除く)75名を加えて,同日時点の総配置数を4320名と算定し,そこから,契約社員地上業務数10名を控除した上,さらに,被控訴人が平成22年9月28日に同年8月31日現在で策定した非稼働乗務員要素268名の数字を用いて,これをそのまま控除して算定したものであると認められる。 しかし,上記総在籍者数5557名については,平成23年3月期の人員計画表(「2011年3月期必要数の構造」,乙9)では,客室乗務員の人数に管理職発令を受けた者の人数が含まれているのに対し,同年1月1日時点の在籍者数(「2011年1月1日客室乗務員在籍者数」,甲392)には,管理職の発令を受けた客室乗務員の人数が除外されており,少なくとも平成22年7月以降,約130名 いるのに対し,同年1月1日時点の在籍者数(「2011年1月1日客室乗務員在籍者数」,甲392)には,管理職の発令を受けた客室乗務員の人数が除外されており,少なくとも平成22年7月以降,約130名程度の規模で管理職の発令を受けた客室乗務員が存在していたことが認められるのであって(甲226,242,251,乙75),控訴人らが有効配置稼働数の算定の前提とした平成23年1月1日時点の総在籍者数は,その正確性に多大の疑問があるといわざるを得ない。その上,長期病欠者,制限乗務者,深夜業務免除者等の非稼働乗務員要素は,平成22年12月31日現在の実在する該当人員について非稼働要素を当てはめてその実数を算出したものではなく,被控訴人が同年8月31日現在で策定した人員計画における計画値をそのまま用いたものである点において,その正確性には疑問があるといわざるを得ないのである。これに加えて,平成22年8月31日現在で非稼働要素を有する客室乗務員が同年12月31日までの間に希望退職に応募して退職すれば,同日の非稼働乗務員要素の人数は,被控訴人が平成22年8月31日現在で策定した非稼働乗務員要素の人数より当然減少すべきことになり,同日から同年12月31日までの間に非稼働乗務員要素が変動する可能性のあることをも総合すると,控訴人らが上記総配置数から控除した非稼働乗務員要素268名は実態を反映した人数とは認められないので- 79 -あり,また,平成22年12月31日現在の非稼働乗務員要素の人数が同年8月31日現在の非稼働乗務員要素の人数を常に上回ることを認めるに足りる証拠もないといわざるを得ないのである。 なお,控訴人らは,本件解雇がされた平成22年12月31日時点における客室乗務員の有効配置稼働数(有効配置数)について,上記平成23年1月1日時点の総 足りる証拠もないといわざるを得ないのである。 なお,控訴人らは,本件解雇がされた平成22年12月31日時点における客室乗務員の有効配置稼働数(有効配置数)について,上記平成23年1月1日時点の総配置数4320名から,契約社員地上業務数10名のほか,平成23年6月16日までに策定された同年度の人員計画(甲225)に示された非稼働乗務員要素190名を控除して,これを4120名であるとも主張するようであるが,上記総配置数の根拠となる総在籍者数5557名について,有効配置稼働数の算定の前提となる数字として,その正確性に多大の疑問があることは,上記判示のとおりであり,また,非稼働乗務員要素を268名から190名に置き換えたとしても,平成22年12月31日時点とは異なる基準時における計画値を用いるものであって,その正確性には疑問があるといわざるを得ず,加えて,これが非稼働要素の実態を反映した人数とは認められず,同日現在の非稼働乗務員要素の人数について,当該非稼働乗務員要素の人数を常に上回ることを認めるに足りる証拠もないといわざるを得ないことも,上記判示のとおりである。 これに対し,被控訴人において,本件更生計画,その基礎をなす本件新事業再生計画及び平成22年度確定下期路線計画に基づいて策定した人員削減計画は,稼働ベースの考え方により,将来の平成23年3月末時点での稼働状況を想定し,非稼働要素についても,前年度の実績に退職措置による影響を予測して算出されたものであることに照らすと(乙36),こうして算定された必要稼働数と有効配置稼働数の差である稼働ベース606名分の余剰は,控訴人らの上記主張を考慮したとしても,人員削減の目標値又は計画値として合理性を備えるものと認められるのである。 以上判示の各点を総合すれば,前記ア判示の証拠及び控訴人らの主 ス606名分の余剰は,控訴人らの上記主張を考慮したとしても,人員削減の目標値又は計画値として合理性を備えるものと認められるのである。 以上判示の各点を総合すれば,前記ア判示の証拠及び控訴人らの主張に- 80 -よっても,平成22年12月31日時点で客室乗務員の有効配置稼働数が4042名又は4120名となっていたことを認めるには足りないものといわざるを得ず,客室乗務員の有効配置稼働数が同日時点で既に平成22年度確定下期路線計画における平成23年3月末時点での必要稼働数4120名を下回っていた又はこれと同数であったとは認められないのである。 ウそして,上記の稼働ベース606名分の人員削減については,平成22年11月30日に認可された本件更生計画及びその基礎となった本件新事業再生計画における人員削減施策として,その直後である本件解雇のされた同年12月の時点で直ちに見直すべき事情があったものとは認められないのであって,本件解雇による人員削減の実行は,被控訴人の事業を維持更生するという会社更生法の目的にかんがみ,更生会社である被控訴人の本件更生計画の基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その内容及び時期において,合理性のあることが認められ,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,また,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が上記の時期において本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があるものと認められる点からしても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められることは,前記1(引用に係る原判決第 る必要性があるものと認められる点からしても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められることは,前記1(引用に係る原判決第5の2(2)イ)判示のとおりである。 エ控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 (2)本件解雇と整理解雇法理及び信義則についてア控訴人らは,本件更生計画に定められた「事業規模縮小に見合う人員体制」は,本件解雇の時点で既に実現されていたことからすれば,解雇権濫- 81 -用の考慮要素としての人員削減の必要性は存在せず,本件解雇は,直ちに無効というべきである旨を主張し,また,本件解雇の時点で,本件更生計画を上回る営業利益が確保され,自己資本比率も増大しているなど,事業を継続する上で財務安定性に何らの支障もなく,二次破綻の危険性を示す事実もなかったから,人員削減の必要性がない旨を主張し,本件解雇の当時,被控訴人の経営が財務的に安定しており,二次破綻の危険がなかったなどとする意見書(甲456の1・13)の記載も存在する。 しかし,本件解雇による人員削減の実行は,被控訴人の事業を維持更生するという会社更生法の目的にかんがみ,更生会社である被控訴人の本件更生計画の基礎をなす本件新事業再生計画に照らして,その内容及び時期において,合理性のあることが認められ,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,また,本件会社更生手続に基づき被控訴人の事業の維持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が上記の時期において本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があるものと認められる点からしても,更生会社である被 持更生を図るため不可欠なリファイナンス契約を適時に締結して融資を得るためにも,管財人が上記の時期において本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があるものと認められる点からしても,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められるのであることは,前記1(引用に係る原判決第5の2(2)イ)及び前記(1)判示のとおりである。 そして,上記判示の各点に加えて,本件新事業再生計画が,事業規模の大幅な縮小とこれに応じた適正規模の人員体制に移行するための人員削減施策を含めて,被控訴人の事業の維持更生を図るため合理性を備えた内容であると認められること,本件新事業再生計画を基礎とする本件更生計画は,株主や債権者に対して巨額の損失を強いたばかりでなく,巨額の公的資金まで投入されて,破綻状態にある被控訴人を更生会社として存続させることが図られるものであって,債権者らの同意を得て本件更生計画案が- 82 -可決され,巨額の公的資金の投入が許容されるためには,更生会社である被控訴人の事業規模を大幅に縮小し,これに応じて人員削減施策を実施することを内容とする本件新事業再生計画及びこれを基礎として上記人員削減施策を織り込んだ本件更生計画案を作成して遂行することが必要不可欠であったものと認められることは,前記1(引用に係る原判決第5の2(2)イ)判示のとおりであること,平成22年11月30日に認可された本件更生計画及びその基礎となった本件新事業再生計画における人員削減施策をその直後である同年12月の時点で直ちに見直すべき事情があったものとは認められないことも,前記(1)判示のとおりであることをも総合すると,上記判示の意見書の記載を考慮に入れても,また,被控訴人が平成22年12月時点で本件更生計 で直ちに見直すべき事情があったものとは認められないことも,前記(1)判示のとおりであることをも総合すると,上記判示の意見書の記載を考慮に入れても,また,被控訴人が平成22年12月時点で本件更生計画の目標数値を上回る財務状況にあったとしても,直ちに本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があるものとの前記1(引用に係る原判決第5の2(2)イ)判示の認定判断を覆すには足りないものというべきである。 控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 イまた,控訴人らは,本件会社更生手続における被控訴人の人員削減施策は,① 雇用継続のための解雇回避措置(リフレッシュ休職等)が実現可能であったにもかかわらず,これを拒否し,② 運航の安全確保や社会的観点に適合しない整理解雇の人選基準を提示して,これに固執し,③ 解雇回避を求めるP10に対し,不誠実団交に終始しつつ,乗務外し,自宅待機命令の圧力下に希望退職を強要し,P10の争議権確立投票に公然と介入し,争議権行使を妨害して解雇を性急に強行して,労使関係,労働契約関係上の信義則に著しく反している旨を主張し,被控訴人において,これらの行為を平成22年9月27日の本件人選基準案の提示から同年12月9日の本件解雇予告通知までの2か月間に集中させ,本件更生計画上の人員削減達成期限である平成23年3月末から3か月前倒しして本件解雇- 83 -を強行しており,本件解雇が権利濫用に当たることは明らかである旨を主張する。 しかし,被控訴人において,一連の希望退職措置を講ずるなど十分な解雇回避努力を行ったこと,その対象者の人選が合理性の認められる本件人選基準に基づいて客観的,合理的に行われたことが認められ,また,本件解雇の手続においても,被控訴人から控訴人らの所属するP10を含む従業員の所属労働組合に対す 対象者の人選が合理性の認められる本件人選基準に基づいて客観的,合理的に行われたことが認められ,また,本件解雇の手続においても,被控訴人から控訴人らの所属するP10を含む従業員の所属労働組合に対する多数回の協議と説明をしており,P18からの指摘に応じて本件人選基準案の内容の一部を変更して本件人選基準案を選定するなど,手続的相当性を備えていることが認められ,整理解雇が許されないものと評価するに足りるような事情は認められないことは,前記1(引用に係る原判決第5の2(3)ないし(5))判示のとおりであって,本件解雇について,その人員削減の必要性が認められ,その実施目的,実施規模,実施時期のいずれについても,管財人に委ねられた合理的な経営判断の下でされたものと認められることは,前記1(引用に係る原判決第5の2(2))判示のとおりであり,以上に判示するところに照らせば,控訴人の主張によっても,本件解雇が信義則に反し,権利の濫用に当たるものとは認められないというべきである。 控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 (3)本件解雇と不当労働行為についてア控訴人らは,本件解雇が,控訴人らがP10組合員であることの故にされた不利益な取扱いであり,かつ,P10を弱体化させ,その運営に支配介入するものであるから,労働組合法7条1号,3号に違反する不当労働行為である旨を主張し,① 平成22年6月以降の被控訴人の客室乗務員に対する人員削減施策は,P10の活動を担う組合員を職場から排除することを目的に進められ,被控訴人の経営危機は,長年P10と対立してきた被控訴人の一部幹部にとっては,P10を排除する好機であり,本件解- 84 -雇がはじめに解雇ありきで行われた人員削減施策であったこと,② P10組合員の解雇を実現するため 年P10と対立してきた被控訴人の一部幹部にとっては,P10を排除する好機であり,本件解- 84 -雇がはじめに解雇ありきで行われた人員削減施策であったこと,② P10組合員の解雇を実現するためには,削減目標未達の事実を作出することが必要であり,達成が困難な削減目標を設定して未達とした上,削減目標未達を理由にP10組合員を解雇する手法を採ったものであって,希望退職の年齢制限に固執し,ワークシェアを採用せず,稼働ベース論を採用して非稼働者が退職してもカウントせず,整理解雇時期の前倒しを行い,本件人選基準中の年齢基準によって対象者をP10組合に絞り込んだこと,③ 想定以上に希望退職以外の退職者が多くて削減目標を達成し,削減目標未達を口実とする解雇の実施が不可能となったにもかかわらず,被控訴人は,退職強要や争議権への介入を行った上で,本件解雇を強行したことを主張して,本件解雇が,極めて悪質な不当労働行為であり,労働組合法7条の不当労働行為禁止規定は,私法上の強行法規でもあるから,本件解雇は,同法違反により,当然に無効である旨を主張し,証人P34の証言(証人尋問(当審))及び同人の陳述書(甲458,474)の記載中にはこれに沿うかのような部分がある。 イしかしながら,前記1(引用に係る原判決第5の2(2)ア)判示の事実及び証拠によれば,本件解雇は,被控訴人の本件会社更生手続において,法律面に関する管財業務を担当した管財人(法律管財人)であるP7元管財人がその責任と権限に基づいて行ったものと認められるところ(甲14,甲個1ないし72の各1),会社更生の目的は,更生計画の策定及び遂行手続を通じて,債権者,株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し,もって会社の事業の維持更生を図ることにあり(会社更生法1条),裁判所から選任された管 ),会社更生の目的は,更生計画の策定及び遂行手続を通じて,債権者,株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し,もって会社の事業の維持更生を図ることにあり(会社更生法1条),裁判所から選任された管財人は,善管注意義務をもって職務を遂行しなければならず,この注意を怠ったときは,更生会社のみならず,債権者,株主など更生手続に関わる利害関係人に対し,損害賠償義務を負うのである(同法80条1項,2項)。 - 85 -そして,本件更生計画は,その基礎となる本件新事業再生計画,平成22年度確定下期路線計画に基づいて,人員削減施策が織り込まれて,可決され,更生裁判所によって認可されたものであって,管財人は,本件更生計画を遂行すべき職責を有するところ,本件更生計画の遂行に当たり,一連の希望退職措置を講ずるなど十分な解雇回避努力を行ったにもかかわらず,人員目標削減数に到達しなかった結果,やむを得ず本件解雇に至ったものであって,本件解雇が客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当であって,無効であるとは認められないことは,前記1(引用に係る原判決第5の2(2))判示のとおりである。 その上,本件解雇をした上記管財人は,本件会社更生手続前における被控訴人の労使関係に関与したものとは認められない上,更生裁判所の監督の下に法律を遵守してその職務を執行すべき職責を負うと解すべきところ,管財人の職務執行について更生裁判所の監督が及んでいなかったような事情は認められないのである。 さらに,本件解雇における被解雇者を選定する基準である本件人選基準が年齢基準を含めて合理性を備えており,使用者側において特定の労働者を意図的に解雇の対象者として選別することを可能にするような恣意性のない客観的な基準であると認められ,本件解雇における被解雇者がこの基 年齢基準を含めて合理性を備えており,使用者側において特定の労働者を意図的に解雇の対象者として選別することを可能にするような恣意性のない客観的な基準であると認められ,本件解雇における被解雇者がこの基準に基づいて選定されたものと認められることは,前記1(引用に係る原判決第5の2(4))判示のとおりである。 以上判示の各点を総合すると,前記ア判示の証拠及び控訴人らの主張によっても,本件解雇について,管財人において,P10を弱体化させ,その運営に支配介入するような意思のあったこと及び被控訴人の客室本部や労務部のP10排除の意図を承知,容認して人員削減施策としての本件解雇を受け入れたことを認めるに足りず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。 - 86 -そして,上記判示の各点に,管財人が本件解雇に係る人員削減を実行する必要性があり,更生会社である被控訴人を存続させ,これを合理的に運営する上でやむを得ないものとして,その人員削減の必要性が認められ,本件解雇がその実施目的,実施規模,実施時期のいずれについても,管財人に委ねられた合理的な経営判断の下でされたものと認められることなど前記1(引用に係る原判決第5の2(2)ないし(5))及び同(1)に判示するところをも総合すると,前記ア判示の証拠及び控訴人らの主張によっても,管財人において,P10組合員を排除する目的や意図をもって,人員削減数を積み上げて目標未達の状況を作出し,希望退職の年齢制限に固執し,ワークシェアを採用せず,稼働ベース論によって非稼働者の退職をカウントせず,整理解雇時期の前倒しを行い,本件人選基準中の年齢基準によって解雇対象者をP10組合員に絞り込み,退職強要や争議権への介入を行ったことを認めるには足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はなく,このほか,本件解雇が不当労働行為に 本件人選基準中の年齢基準によって解雇対象者をP10組合員に絞り込み,退職強要や争議権への介入を行ったことを認めるには足りず,他にこれを認めるに足りる証拠はなく,このほか,本件解雇が不当労働行為に当たることを認めるに足りる証拠はないといわざるを得ない。 ウ控訴人らの主張はいずれも採用することができない。 3 以上によれば,本件解雇は,無効であるとは認められないから,控訴人らの請求は,いずれも理由がないものと認められる。 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官大竹たかし 裁判官山本剛史- 87 - 裁判官平田直人
▼ クリックして全文を表示