令和3(ワ)3160 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年7月24日 福岡地方裁判所
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判決文本文25,760 文字)

28 主 文1 被告らは、別紙2-1請求目録「通し番号」1~19の「請求者」欄記載の者に対し、連帯して、同「認容額」・「総額」欄記載の金員及びこれに対する同「始期」欄記載の日から支払済みまで同「利率(年)」欄記載の金員を支払え。 52 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、別紙2-2訴訟費用一覧表記載のとおりの負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由第1 請求(以下、別紙で定義した略称等は、特に断らず本文でも用いる。)10被告らは、別紙2-1請求目録「通し番号」1~19の「請求者」欄記載の者に対し、連帯して、同「請求額」・「総額」欄記載の金員及びこれに対する同「始期」欄記載の日から支払済みまで同「利率(年)」欄記載の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要151 事案の要旨被告法人は、株式会社アースハート(以下「アースハート」という。)の事業を承継したところ、原告らは、被告法人からその主催に係るハンドヒーリングセミナーの受講等を勧誘され、被告法人との間で受講契約(以下「本件契約」という。)を締結して受講料等を支払った。 20本件は、原告らが、被告法人による上記勧誘行為等の活動は、有機的に関連した一連のシステムの下に本件契約という不当に高額の金員を取得することに向けられた社会的相当性を逸脱する違法なものであり、被告Tはその中心的な役割を担い、被告Uは被告法人の代表理事としてこれに主導的立場で関与したなどと主張して、被告らに対し、不法行為等(後記3参照)に基づき、損害賠25償金等の連帯支払を求める事案である。 29 2 前提事実以下の事実(以下、「前提事実 で関与したなどと主張して、被告らに対し、不法行為等(後記3参照)に基づき、損害賠 償金等の連帯支払を求める事案である。 2 前提事実以下の事実(以下、「前提事実」といい、項番号等により「前提事実⑴」等と略称する。以下同じ。)⑴ 当事者等ア原告らは、いずれも被告法人が主催するハンドヒーリングセミナーを受 講した者である。 イ被告法人は、平成26年7月25日に設立された一般社団法人であり、整体及び外気功の普及並びに気功療法の研究と推進、啓蒙を通して、広く市民の健康増進に寄与し、かつ、高齢者の介護支援を通して、国民の福祉に貢献することを目的とし、整体及び外気功に関するセミナー・講演会・ 研究会の開催、気功療法の研究、指導、セミナー・講演会・研究会の開催等の事業を行うものである。被告Uは、被告法人の代表理事である。 ウアースハートは、整体及び外気功に関するセミナー・講演会・研究会の開催、気功療法の研究、指導、セミナー・講演会・研究会の開催等を目的とする株式会社である。被告Tは、アースハートの設立から平成24年1 0月3日まで、代表取締役であった者である。被告Uは、平成21年9月1日から取締役、平成25年4月23日から平成26年7月24日まで代表取締役であった。 エ特定非営利法人つくしの会又は任意団体つくしの会(以下、両者を区別する必要がない場合には、単に「つくしの会」という。)は、いずれもアー スハート又は被告法人の関連団体である。 ⑵ アースハート会員のアースハート、被告T及び被告Uに対する訴訟(以下「アースハート訴訟」という。)アースハート会員の一部は、アースハート、被告T及び被告Uに対し、同人らの組織的な詐欺行為により、受講料等の金員を アースハート、被告T及び被告Uに対する訴訟(以下「アースハート訴訟」という。)アースハート会員の一部は、アースハート、被告T及び被告Uに対し、同人らの組織的な詐欺行為により、受講料等の金員を支払い、損害を被ったと25して、その損害の賠償等を求める訴訟を提起した。福岡地方裁判所は、平成 30 26年3月28日、アースハート会員の請求を一部認容する旨の判決(以下「アースハート1審判決」という。)を言い渡した。 アースハート会員並びにアースハート、被告T及び被告Uは、これを不服として控訴したところ、福岡高等裁判所は、平成26年12月25日、アースハート、被告T及び被告Uの損害額に関する主張を一部認めて、上記判決5を一部変更する旨の判決(以下「アースハート確定判決」という。)を言い渡した。 アースハート、被告T及び被告Uは、これを不服として上告及び上告受理申立てをしたところ、最高裁は、平成27年11月13日、上告棄却及び上告不受理決定をした(甲1~3)。 10⑶ アースハートの被告法人に対する事業譲渡アースハートは、平成26年9月6日までに、被告法人に対し、アースハートセミナーに関する事業を譲渡した(甲5)。 ⑷ 原告らによる訴訟提起ア 原告A、原告B、原告C、原告D、原告E、原告F、原告G、原告H、15原告I、原告J、原告K、原告L及び原告Mは、令和3年9月22日、本件訴訟を提起した。 イ 原告N及び原告Oは、令和4年2月22日、本件訴訟を提起した。 ウ 原告P、原告Q及び原告Rは、令和4年4月22日、本件訴訟を提起した。 20エ 原告Sは、令和4年10月21日、本件訴訟を提起した。 ⑸ 被告らによる消滅時効の援用ア 被告法人及び被告Uは、 原告Rは、令和4年4月22日、本件訴訟を提起した。 エ原告Sは、令和4年10月21日、本件訴訟を提起した。 ⑸ 被告らによる消滅時効の援用ア被告法人及び被告Uは、令和5年11月1日の口頭弁論期日において陳述された第1準備書面(令和4年1月6日付け)、答弁書(同年4月20日付け)、第6準備書面(同年12月13日付け)及び第7準備書面(令和5 年2月1日付け)において、原告らの被告法人及び被告Uに対する損害賠 償請求権の消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 イ被告Tは、前記アの口頭弁論期日において陳述された準備書面1(令和4年1月31日付け)、答弁書(同年4月8日付け)において、原告らの被告Tに対する損害賠償請求権の消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 3 争点及び争点に関する当事者の主張 本件の争点は、以下のとおりであり、これに関する当事者の主張は、別紙3「争点に関する当事者の主張」のとおりである。 ⑴ 被告法人の責任原因(民法709条、719条)の有無。特に、被告法人の活動が社会的相当性を逸脱する違法なものか否か⑵ 被告Tの責任原因(民法709条、719条)の有無 ⑶ 被告Uの責任原因(民法709条、719条)の有無(なお、原告は、被告Uの責任原因として、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条を主張する。しかし、同条は、その文言上、一般社団法人が代表者の行為についての損害賠償責任を負う旨の規定であることが明らかであり、当該代表者自身の損害賠償責任の根拠となるものではない。したがって、原告の上記 主張は失当であり、被告Uの責任原因につき、同条の責任の有無は、争点とはならない。)⑷ 原告らの損害の有無及び額 身の損害賠償責任の根拠となるものではない。したがって、原告の上記15主張は失当であり、被告Uの責任原因につき、同条の責任の有無は、争点とはならない。)⑷ 原告らの損害の有無及び額⑸ 消滅時効の成否第3 当裁判所の判断201 認定事実前提事実、証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実(以下「認定事実」といい、項番号等により「認定事実⑴」等と略称する。以下同じ。)が認められる。 ⑴ アースハートの活動及びアースハート訴訟25ア アースハートは、アースハート会員とアースハートセミナー受講契約を 32 締結し、以下の活動を行っていた。 アースハートセミナーアースハートは、ハンドパワーを習得するためのアースハートセミナー(3か月間、全12回)を有料で開講していた。アースハートセミナーを受講するためには、つくしの会の会員となる必要があった。 5アースハートセミナーでは、初回に、アースハートセレモニーが行われており、被告Tらによるパワー入れと称する催し等が行われていた。 その後のアースハートセミナーでは、講義、飲料の味変えや会員同士で痛みを取る練習等の実技が行われていた(甲6)。 会報誌10アースハートは、アースハート会員に対し、「Earth Heart」という名称の会報誌を発行し、アースハートの活動内容等を広報していた。会報誌では、アースハート会員がハンドパワーにより病気等が改善したこと等を報告する記事が多数掲載されていた(甲7~10)。 その他の活動15アースハートは、アースハート会員が第三者を勧誘し、新たにアースハートセミナーの受講契約を締結させる行為を覚醒と称し、7~10名以上の者を覚醒させたアースハート会員を対象にワ その他の活動15アースハートは、アースハート会員が第三者を勧誘し、新たにアースハートセミナーの受講契約を締結させる行為を覚醒と称し、7~10名以上の者を覚醒させたアースハート会員を対象にワンネスクラブと称する会合を開催していた。 アースハートは、アースハート会員のうち特に優れた者をクレソンと20称し、各地にクレソンがハンドパワーを用いて治療を行う施設として、施療所(治療所)を設置し、運営していた。 アースハートは、各地で、ハンドパワーに関する講演会を有料で開催していた(チケット1枚3000円)。被告Tは、講演者として、講演会に参加していた。 25アースハートは、アースハート会員を対象に、被告Tや外部講師によ 33 る講演、被告Tによる飲料の味変えの実演、会員による体験の報告等を行う「無限塾」(後に有志会に改名)を月1回程度開催していた。 イ アースハート確定判決は、前記アのようなアースハートの活動につき、要旨次のように認定した(甲1~3)。 ① アースハートは、ハンドパワーが科学的・医学的裏付けを欠くもので5あるにもかかわらず、教本や会報誌等において、病気が治せるなどと虚偽の内容を含んだ宣伝をしていた。 ② アースハートは、病気を治したいというアースハート会員の切実な思いに付け込み、講演会のチケット販売数を競わせるなどして、会員数を拡大した。 10③ ハンドパワーの存在を前提とする上記各活動は、真摯な治療等の目的で行っていたものとはいえない。 ④ アースハートセミナーの受講契約は、その内容、アースハート側の経済的負担に照らし、受講者に高額の受講料を支払わせる点で著しく均衡を欠くものであった。 15⑤ 以上のこと等からすると、アースハートの セミナーの受講契約は、その内容、アースハート側の経済的負担に照らし、受講者に高額の受講料を支払わせる点で著しく均衡を欠くものであった。 15⑤ 以上のこと等からすると、アースハートの上記各活動は、有機的に関連した一連のシステムのもとにアースハートセミナー受講契約という不当に高額の金員を取得することに向けられたものであって、社会的相当性を逸脱するものである。 ⑵ マインドパワー20被告法人の活動の前提となっているマインドパワーは、客観的な科学的・医学的裏付けを欠くものである。このことは、「ハンドヒーリングセミナー受講契約約款」(乙イ6)においても、ハンドヒーリングセミナーの講義内容及び効果は科学的根拠に基づくものではなく、効果が得られた場合でも当該セミナーによる効果か否かは証明されておらず、また、受講者全員が効果を得25られるものではない旨が明記されていたことから明らかである。 34 ⑶ 被告法人の活動内容等ア ハンドヒーリングセミナー被告法人は、マインドパワーという力を習得するためのハンドヒーリングセミナー(約3か月間、全12回)を有料で開講していた。 ハンドヒーリングセミナーでは、初回にマインドパワーセレモニーが行5われており、被告Tや被告Uによるパワー入れと称する催し等が行われていた(甲11、甲カ1、甲ソ1、原告P本人)。その後のハンドヒーリングセミナー(2~12回目)では、講義、飲料の味変えや会員同士で痛みを取る練習等の実技が行われていた(甲11、原告O本人)。 被告Tは、ハンドヒーリングセミナーの教本(甲11)において、被告10法人の創始者として、「マインドパワーを使えば、誰でもが空に浮かぶ雲を消し、物質を変化させ、人の痛みがわかってとれ、遠隔操作さ 被告Tは、ハンドヒーリングセミナーの教本(甲11)において、被告10法人の創始者として、「マインドパワーを使えば、誰でもが空に浮かぶ雲を消し、物質を変化させ、人の痛みがわかってとれ、遠隔操作さえもできるという素晴らしい力です。」、「マインドパワーは、まず、人の痛みをとることから始めます。ほとんどの痛みや重みは、この力でとることができます。」などと述べていた。また、当該教本には、マインドパワーについて、「宇宙15の創造主つまり天主と心をひとつにし…使うことが大切です」などと記載されており、随所にマインドパワーを使うことによって、飲料の味を変え、痛みを取ることができると記載されていた。 被告法人は、ハンドヒーリングセミナーを修了した会員に対し、被告T及び被告代表理事連名の修了証書を交付していた(甲11、甲ア5)。 20イ 会報誌等による広報活動(甲12~22、24) 被告法人は、会員に対し、「ワンネス」という名称の会報誌(甲12~22)を発行していた。 被告Tは、少なくとも平成27年1月から令和2年4月頃までの間、会報誌に記事を執筆していた。被告Tは、会報誌において、マインドパ25ワーによって病気が治癒するなどした会員が多数いることや医療現場で 35 マインドパワーが用いられていること(甲14)を紹介したり、病気を改善するためには、より多くの人を勧誘して覚醒と称する状態になる必要があるなどとして、覚醒を推奨したりした(甲17、甲20)。また、被告Tは、会報誌において、「神の御業ともいえるマインドパワーが使える私たちであるなら、その奇跡の力を使うに相応しい人間でありたいと5思っています。」という記事を執筆していた(甲12)。 会報誌には、会員らがマインドパワーによって、自身や家 インドパワーが使える私たちであるなら、その奇跡の力を使うに相応しい人間でありたいと5思っています。」という記事を執筆していた(甲12)。 会報誌には、会員らがマインドパワーによって、自身や家族の病気等や資金繰りが改善したりしたことを報告する記事、会員らが覚醒の重要性を伝える記事が多数掲載されていた。会報誌には、医師が、マインドパワーによる治療を行っていること(甲12)、マインドパワーによる治10療に効果があること(甲14)、マインドパワーによる症状の改善を学会で報告したこと(甲13、甲16、甲19)等を紹介する記事も掲載されていた。 被告法人は、会員らがマインドパワーにより病気が治癒するなどしたことを紹介する記事をホームページ(甲24)に掲載した。 15ウ 施療所における施療等被告法人は、マインドパワーを用いて施療を行う施設である施療所(治療所)を設置し、会員のうちクレソンと称する特に優れた者が治療(1回3000円)を行っていた。また、被告Tも、令和3年4月25日頃まで、施療所(治療所)において、治療を行っていた(原告P本人)。 20エ 講演会、有志会、レモングラス、合同治療会及びホームステイ等被告法人は、各地で、マインドパワーに関する講演会を有料で開催しており、被告Tは、講演者として、講演会に参加していた。 被告法人は、会員を対象に、有志会と称する会合を開催していた。有志会では、被告Tによる講演やマインドパワーによって病気が治癒や改善し25た会員からの報告が行われていた(甲12)。 36 被告法人は、会員を対象に、大分県の温泉施設において、被告Tによる講演、会食等のイベントを行うレモングラスと称する会合を定期的に開催していた。 被告 ていた(甲12)。 36 被告法人は、会員を対象に、大分県の温泉施設において、被告Tによる講演、会食等のイベントを行うレモングラスと称する会合を定期的に開催していた。 被告法人は、各地の会員によるマインドパワーの実演、被告Tの講演等を行う合同治療会を開催していた。 5被告法人は、会員や会員から勧誘された者を対象に、被告Tによるマインドパワーの実演等を行う2泊3日のホームステイと称する集団生活を行っていた。 オ ワンネスクラブ被告法人は、7~10名以上の者を覚醒させた会員を対象に、ワンネス10クラブと称する会合を開催していた。ワンネスクラブでは、被告Tによる過去世体験などと称する催しが行われるなどしていた(甲12、甲14)。 カ パワー入り商品等の販売被告法人は、パワー入り商品として、CD(1枚2000円)、カレンダー(1冊1000円)、書籍(1冊1800円)等を販売していた。 15⑷ 被告法人の勧誘方法等ア 被告法人は、会員に対し、マインドパワーを第三者に伝えて、その第三者がマインドパワーを獲得すれば、自身のマインドパワーがより強くなる(原告P本人)、病気を改善させるためには、覚醒する必要がある(甲17、20)などと説明して、より多くの人を勧誘して、覚醒することを推奨し20ていた。 被告法人は、新規会員を入会させるために、会員に対し、知人等に声をかけて入会するように勧誘するだけでなく、スーパーマーケット等の人が集まる場所で、第三者に対し、マインドパワーを使い、入会するように勧誘するローラーと称する勧誘方法を推奨していた。そのため、被告法人の25会員は、人が集まる場所で、第三者に体に不調はないかなどと声をかけて、 37 不調を訴える部 使い、入会するように勧誘するローラーと称する勧誘方法を推奨していた。そのため、被告法人の25会員は、人が集まる場所で、第三者に体に不調はないかなどと声をかけて、 37 不調を訴える部位に手をかざして実演して、マインドパワーの紹介をするなどしていた。さらに、被告法人の会員は、声をかけた者を被告法人の体験施療会や施療所等に誘い、自身や家族の病気や体の不調等を尋ね、マインドパワーを習得すれば、病気等が治せるなどという説明をしたり、マインドパワーによって、病気等が改善した人の紹介をしたりした。また、被5告Tは、会員から勧誘された者に対し、体験施療会や施療所等において、施療をすることもあった(甲イ1、甲ウ1、甲エ1、甲カ1、甲ク1、甲ス1、甲セ1、甲ソ1・2、甲タ1、原告O本人、原告F本人)。 イ 被告法人は、平成26年頃、次のような定めがあるハンドヒーリングセミナー受講契約約款(乙イ6)を作成し、その要旨を受講者との間で取り10交わすハンドヒーリングセミナー受講契約書等の裏面に記載していた。 中途解約(受講契約約款7条)会員は、役務提供期間満了日の前日までに、書面により申し込むことで中途解約することができ、未消化役務残額の返金を受けることができる。 15 遵守事項及び注意事項(受講契約約款9条)ハンドヒーリングセミナーは、法的資格や国の資格認可を得るものではない。 ハンドヒーリングセミナーの講義内容及び効果は、科学的根拠に基づくものではない。効果が得られた場合でも、同セミナーによる効果か否20かは証明されておらず、また、受講者全員が効果を得られるものではない。 第三者に伝えるときは、遵守事項及び注意事項並びに真実のみを伝えなければならない。 ミナーによる効果か否20かは証明されておらず、また、受講者全員が効果を得られるものではない。 第三者に伝えるときは、遵守事項及び注意事項並びに真実のみを伝えなければならない。 ⑸ 原告らと被告法人との本件契約の締結等25ア 被告法人は、ハンドヒーリングセミナー受講料を54万円又は75万6 38 000円とし(時期によって金額が異なる。乙イ3、5)、母子家庭会員、障害者会員、学生会員等に分けて、割引制度を設けていた(乙イ1、3~7)。 また、ハンドヒーリングセミナーを受講するためには、つくしの会に入会する必要があった。 5イ 原告らは、被告法人の会員から、別紙4「裁判所の認定」欄記載のとおりの勧誘を受けて、被告法人との間で、ハンドヒーリングセミナー受講契約書等を作成し、ハンドヒーリングセミナーの受講に関する本件契約(ハンドヒーリングセミナー受講契約約款の定めを含む。)を締結した(ただし、原告E、原告N及び原告Oについては、本件契約の契約者ではない。)。ま10た、原告らは、つくしの会に入会した(甲イ1、甲ウ1、甲エ1、甲オ1、甲カ1、甲キ1、甲ク1、甲ケ1、甲コ1、甲サ1、甲シ1、甲ス1、甲セ1、甲ソ1、甲タ1、甲チ1、甲ツ1、甲テ1、乙イ1、3~7、原告O本人、原告P本人、原告F本人)。 ウ 原告らは、別紙2-1請求目録「認容額」・「始期」欄記載の日までに、15別紙5「裁判所の認定」欄記載のとおり、自らの出捐で、①自身又はその家族のハンドヒーリングセミナー受講料並びにつくしの会会費及び入会費等を支払い、②パワー入れ、レモングラス及びハッピーマザー等に参加し、本部・施療所での施術を受けて、参加費・施療費を支払ったり、宿泊費・交通費等を負担し、③書籍等を購入して つくしの会会費及び入会費等を支払い、②パワー入れ、レモングラス及びハッピーマザー等に参加し、本部・施療所での施術を受けて、参加費・施療費を支払ったり、宿泊費・交通費等を負担し、③書籍等を購入してその代金を支払った(甲イ1、20甲ウ1、甲エ1、甲オ1、甲カ1、甲キ1、甲ク1、甲ケ1、甲コ1、甲サ1、甲シ1、甲ス1、甲セ1、甲ソ1、甲タ1、甲チ1、甲ツ1、甲テ1、乙イ1、3~7、原告O本人、原告P本人、原告F本人)。 エ その後、原告らは、別紙4「裁判所の認定」欄記載のとおり、退会又は中途解約をした。 25 39 2 争点⑴(被告法人の責任原因の有無)について⑴ 被告法人の活動の違法性について前提事実及び認定事実によれば、次のとおり指摘することができる。 ア 被告法人は、アースハート1審判決の言渡し後に、アースハートから事業譲渡を受けて(前提事実⑶)、その会員において勧誘した第三者と受講契5約を締結し、マインドパワーを習得するためのハンドヒーリングセミナーを開講し、施療所における施療等を行う一方で、会報誌を発行したりホームページに紹介記事を掲載したりしてその活動内容を宣伝するなどの活動を行うようになった(認定事実⑶~⑸)。 イ 被告法人の上記活動の前提となっているマインドパワーは、客観的な科10学的・医学的裏付けを欠くものである(認定事実⑵)。それにもかかわらず、被告法人は、ハンドヒーリングセミナー、会報誌、有志会等において、マインドパワーが、病気等や資金繰りを改善することができたりする力であると宣伝していた(認定事実⑶)。加えて、被告法人は、会報誌において、医師が、マインドパワーによる治療の効果、マインドパワーによる症状の15改善を学会で報告したこと等を紹介しており、マイ 力であると宣伝していた(認定事実⑶)。加えて、被告法人は、会報誌において、医師が、マインドパワーによる治療の効果、マインドパワーによる症状の15改善を学会で報告したこと等を紹介しており、マインドパワーが医学的裏付けを有するものであるかのような宣伝をしていた(認定事実⑶イ)。 以上のような被告法人による宣伝は、虚偽の内容を含む詐欺的なものといわざるを得ず、アースハートによる宣伝活動(認定事実⑴ア)との間に本質的な違いがあるとはいえない。 20ウ 被告法人は、その会員に対し、①前記イのとおり、マインドパワーによって病気等を改善させることができるなどと説明するだけでなく、②マインドパワーをより強くするためには、より多くの人を勧誘して覚醒することを推奨し(認定事実⑶イ、⑷)、多数の者を覚醒させた会員を対象にワンネスクラブという会合を設けて(認定事実⑶オ)、他の会員とは異なる扱い25をしていた。 40 これにより、被告法人の会員は、第三者に対し、自身や家族の病気や体の不調等を尋ねて、マインドパワーを習得すれば、病気等が治せるなどと説明して、被告法人の活動に参加するよう勧誘することを繰り返していたものであり(認定事実⑷)、現に、自身や家族の病気等に悩みを抱えていた原告らは、これを改善させたいという思いから、被告法人に入会したもの5である(認定事実⑸イ)。 このように、被告法人は、自身や家族の病気等を改善させたいという第三者の切実な思いに付け込んで、新規会員を獲得し、その活動を拡大させていたものであり、このような活動の拡大方法は、会員に対し、強い心理的圧迫を加えた上でされる不当なものであり、アースハートによるそれ(認10定事実⑴ア)と同様である。 エ 被告法人は、ハンドヒーリン であり、このような活動の拡大方法は、会員に対し、強い心理的圧迫を加えた上でされる不当なものであり、アースハートによるそれ(認10定事実⑴ア)と同様である。 エ 被告法人は、ハンドヒーリングセミナーの教本や会報誌において、マインドパワーについて、前記イのように医学的裏付けを有するものであるかのような説明をする一方で、「宇宙の創造主つまり天主と心をひとつにし…使う」(認定事実⑶ア)、「神の御業」、「奇跡の力」(認定事実⑶イ)などと、15宗教的なものであるかのような説明をしており、その説明の方法を場当たり的に使い分けているものである。 このようなことからしても、被告法人は、アースハートと同様に(認定事実⑴参照)、マインドパワーを前提とする活動を真摯な治療等の目的で行っていたとはいえない。 20オ 被告法人は、ハンドヒーリングセミナー受講料について、54万円又は75万6000円と設定していたが(認定事実⑸ア)、全12回で開講されるハンドヒーリングセミナーは、初回に、被告Tや被告Uによるパワー入れと称する催し等を行うマインドパワーセレモニーというものが開催された後は、講義のほか、飲み物等の味変えや会員同士で痛みを取る練習等の25実技が行われるにとどまる(認定事実⑶ア)から、被告法人において人件 41 費や会場費以外に、特段の出捐を要しないものであった。 したがって、ハンドヒーリングセミナーの受講契約(本件契約)は、ハンドヒーリングセミナーの内容、被告法人の経済的負担に照らして、受講者に高額の金員を支払わせる点において、著しく均衡を欠くものであるといわざるを得ず、この点においてもアースハートセミナーの受講契約(認5定事実⑴ア)と同様である。 カ このように、被告法人は、その各活動が多数の点 る点において、著しく均衡を欠くものであるといわざるを得ず、この点においてもアースハートセミナーの受講契約(認5定事実⑴ア)と同様である。 カ このように、被告法人は、その各活動が多数の点において違法と認定されたアースハートの活動と相当程度類似しており、アースハートの活動が違法であると判断された後も、アースハートの活動を踏襲して、同様の活動を継続して行っていたものというべきである。 10キ 以上の各事実に照らせば、被告法人が行っている各活動(認定事実⑶)は、有機的に関連した一連のシステムの下に、被告法人の会員からハンドヒーリングセミナー受講料等の不当に高額な金員を取得することに向けられたものであって、社会的相当性を逸脱したものであるというべきである。 ⑵ 被告法人の不法行為責任について15原告らは、別紙5「裁判所の認定」欄記載のとおり、自身や家族に病気等があるため悩みを抱えていたところ、被告法人の会員から、マインドパワーによってその悩みを解消することができるなどと勧誘を受けて、ハンドヒーリングセミナーを受講すれば、マインドパワーが習得でき、上記悩み等が解消されるなどと錯誤に陥り、被告法人に対し、ハンドヒーリングセミナー受20講料等を支払うに至った(認定事実⑸)。 そうすると、原告らは、被告法人による本件契約の締結に向けられた社会的相当性を逸脱したシステムの下に、上記支払をするに至ったと認められるから、被告法人の違法な活動によって損害を被ったものというべきである。 したがって、被告法人は、原告らに対し、不法行為(民法709条)によ25る損害賠償責任を負う。 42 ⑶ 被告法人の主張についてこれに対し、被告法人は、①本件契約については、契約書を作成し、解除に関する規定を改め 行為(民法709条)によ25る損害賠償責任を負う。 42 ⑶ 被告法人の主張についてこれに対し、被告法人は、①本件契約については、契約書を作成し、解除に関する規定を改め、また、契約時に、セミナーで学んだことは医師法及び薬事法で禁止された行為について使ってはいけないこと、セミナーの講義内容及び効果は、科学的根拠に基づくものではなく、効果が得られた場合でも、5セミナーの効果か否かは証明されていないこと等を明示している、②アースハートで行っていたローラーを禁止し、新規会員を獲得しなければ病気が治らないといった心理的圧迫を加えないよう現場のスタッフに指導し、その指導に従わないスタッフには、さらに指導していたことから、被告法人の活動は、アースハートの活動と同視することはできないと主張する。 10ア ①について被告法人は、被告法人会員との受講契約(本件契約)において、契約書を作成し、被告法人が指摘するのと同内容の遵守事項及び注意事項を明示している(認定事実⑸イ)。 しかし、被告法人は、他方で、ハンドヒーリングセミナーや会報誌等に15おいて、マインドパワーが病気を治癒することができるものである上に、医学的な裏付けを有するものであるかのような宣伝をしていたものである(認定事実⑶)。 したがって、被告法人が、被告法人会員との受講契約(本件契約)において、その主張に係る措置を講じていたことをもって、虚偽の宣伝をして20いなかったとはいえず、前記⑴の認定判断を妨げるものともいえない。 イ ②について被告法人の主張②に沿う証拠(乙イ8、9)もある。 しかしながら、被告法人においても、覚醒が推奨され、ローラーが行われていたことは、認定事実⑷のとおりである。また、証拠(甲 被告法人の主張②に沿う証拠(乙イ8、9)もある。 しかしながら、被告法人においても、覚醒が推奨され、ローラーが行われていたことは、認定事実⑷のとおりである。また、証拠(甲イ1、甲ウ251、甲エ1、甲カ1、甲ク1、甲ス1、甲セ1、甲ソ1・2、甲タ1、原 43 告O本人、原告F本人)によれば、原告らのうち複数の者が、ローラーをきっかけに入会するに至ったと認められること、また、覚醒を推奨され、自らもローラーに参加するように求められたり、実際に参加したりしていると認められる。これに反する前掲証拠は、直ちに採用し難い。 以上のことからすれば、仮に被告法人が被告法人会員に対して勧誘方法5についてその主張に係る指導を行っていたとしても、不十分なものであったといわざるを得ず、前記⑴ウの認定を左右するものではない。 ウ したがって、本件契約において、中途解約が認められている点(認定事実⑸イ)を踏まえても、被告法人の活動が社会的相当性を逸脱したものではないとは認められず、被告法人の上記主張は、採用することができない。 103 争点⑵(被告Tの責任原因の有無)について⑴ 被告Tの不法行為責任について前提事実、認定事実、証拠(甲1~3)及び弁論の全趣旨によれば、次のとおり指摘することができる。 ア 被告Tは、アースハートの各活動を作り上げた中心的な人物であると認15められるところ、被告法人は、アースハートから事業譲渡を受け(前提事実⑶)、前記2のとおり、被告Tが作り上げたアースハートの活動と同様の活動を継続して行っていた。 イ 被告Tは、被告法人の役員等ではないが、被告法人の創始者とされ(認定事実⑶ア)、マインドパワーには客観的な科学的・医学的裏付けを欠くも20のであ の活動と同様の活動を継続して行っていた。 イ 被告Tは、被告法人の役員等ではないが、被告法人の創始者とされ(認定事実⑶ア)、マインドパワーには客観的な科学的・医学的裏付けを欠くも20のであるにもかかわらず、会報誌等において、マインドパワーによって病気が治癒や改善した会員が多数いることや医療現場でマインドパワーが用いられていることを紹介していた上に、病気を改善させるためには覚醒が必要であるなどして、覚醒を勧めていたものである(認定事実⑶イ)。 被告Tの上記のような行為は、被告法人による虚偽の内容を含む宣伝や25覚醒を通じた新規会員の拡大方法に主体的に関与していたものといわざる 44 を得ない。 ウ 被告Tは、被告法人から、平成28年1月から平成29年9月まで、毎月250万円、同年10月から令和元年10月末まで、毎月500万円もの多大な利益を直接、又は、間接に受けていたものである。 エ 以上の事実に照らすと、被告Tは、被告法人の諸活動(これは、前記25のとおり、有機的に関連した一連のシステムの下に、被告法人の会員からハンドヒーリングセミナー受講料等の不当に高額な金員を取得することに向けられたものであって、社会的相当性を逸脱したものである。)においても、中心的な役割を果たしていたというべきである。 オ したがって、被告Tは、原告らに対し、ハンドヒーリングセミナー受講10料等の金員の取得に向けられた有機的に関連した社会的相当性を欠く被告法人の各活動により原告らが受けた損害について、不法行為(民法709条)による損害賠償責任を負うというべきである。 カ 原告らは、いずれも平成27年頃から令和2年2月までの間に被告法人会員から勧誘を受けて被告法人の会員になったものであるから(認定事実15⑸)、仮に被告Tが 賠償責任を負うというべきである。 カ 原告らは、いずれも平成27年頃から令和2年2月までの間に被告法人会員から勧誘を受けて被告法人の会員になったものであるから(認定事実15⑸)、仮に被告Tが令和2年12月以降は被告法人との関係を断っていたとしても、このことは、上記判断を妨げるものではない。 ⑵ 被告Tの主張についてこれに対し、被告Tは、自らが被告法人の役員ではなく、被告法人の依頼で講演会とエッセイの執筆をしただけであり、令和2年12月から被告法人20との関係を断っていた旨を主張するが、前記⑴に説示したところに照らし、採用することができない。 4 争点⑶(被告Uの責任原因の有無)について前提事実及び認定事実によれば、次のとおり指摘することができる。 ⑴ 被告Uは、平成25年4月23日から平成26年7月24日まで、アース25ハート代表取締役を務めた後、被告法人の代表理事を務めていたものである 45 (前提事実⑴イ、ウ)。 ⑵ 被告Uは、アースハート1審判決(及びその後のアースハート確定判決)によりアースハートの活動が違法と認定された後も(前提事実⑵、認定事実⑴)、被告法人の代表理事として、被告法人において、同様の活動を継続させており(認定事実⑶~⑸)、被告法人におけるハンドヒーリングセミナー受講5料等の金員の取得に向けられた有機的に関連した社会的相当性を欠く各活動を主導したものである。 ⑶ したがって、被告Uは、原告らに対し、ハンドヒーリングセミナー受講料等の金員の取得に向けられた有機的に関連した社会的相当性を欠く被告法人の各活動により原告らが受けた損害について、不法行為(民法709条)に10よる損害賠償責任を負う。 5 争点⑷(原告らの損害の有無及び額)について に関連した社会的相当性を欠く被告法人の各活動により原告らが受けた損害について、不法行為(民法709条)に10よる損害賠償責任を負う。 5 争点⑷(原告らの損害の有無及び額)について⑴ ハンドヒーリングセミナー受講料並びにつくしの会会費及び入会費について原告らは、ハンドヒーリングセミナー受講料等の金員の取得に向けられた15有機的に関連した社会的相当性を欠く被告法人の各活動により、別紙2-1請求目録「認容額」・「始期」欄記載の日までに、別紙5「裁判所の認定」欄記載のとおり、自身又はその家族のハンドヒーリングセミナー受講料並びにつくしの会会費及び入会費を支払っており(認定事実⑸ウ)、これらの支払は、被告らの不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。 20⑵ その他の損害についてまた、原告らのうち一部の者は、前記⑴に加えて、別紙2-1請求目録「認容額」・「始期」欄記載の日までに、別紙5「裁判所の認定」欄記載のとおり、被告法人が開催する記念パーティー、レモングラス、ハッピーマザー等に参加したり、施療所等において施療を受けたりするとともに、これらに参加す25るための交通費等を負担し、また、パワー入り商品等の購入代金を支払った 46 ことが認められる(認定事実⑸ウ)。そして、原告らによるこれらの経済的負担は、ハンドヒーリングセミナー受講料等の金員の取得に向けられた有機的に関連した社会的相当性を欠く被告法人の各活動に伴うものであるから、被告らの不法行為と相当因果関係のある損害であると認められる。 ⑶ 弁護士費用について5本件事案の内容、審理の経過、損害額その他本件においてみられる諸般の事情に鑑みると、被告らの不法行為と当因果関係にある弁護士費用は、別紙5「損害項目」「弁護士 ⑶ 弁護士費用について 本件事案の内容、審理の経過、損害額その他本件においてみられる諸般の事情に鑑みると、被告らの不法行為と当因果関係にある弁護士費用は、別紙5「損害項目」「弁護士費用」欄記載の金額を相当と認める。 ⑷ 過失相殺について前記2のとおり、被告法人は、社会的相当性を逸脱したシステムの下、そ の会員をして、自身や家族に病気等があるため悩みを抱えていた原告らに対し、マインドパワーによってその悩みを解消することができるなどと積極的に虚偽を述べて、ハンドヒーリングセミナーを受講すれば、マインドパワーが習得でき、上記悩み等が解消されるなどと錯誤に陥らせて、ハンドヒーリングセミナー受講料等を支払わせたものである。このような被告法人の不法 行為の態様に照らすと、原告らの損害の発生につき過失相殺すべき事由があるとはいえない。以上に反する被告法人及び被告Uの主張は、採用することができない。 6 争点⑸(消滅時効の成否)について⑴ 被告法人及び被告Uは、消滅時効(民法724条)につき、①アースハー トが、アースハート訴訟において敗訴した結果は、平成28年6月頃から、弁護団の広報誌、インターネット上のニュースサイトに掲載されるなどしており、原告らは、遅くとも平成30年9月22日までに、損害及び加害者を知った、②原告らは、被告法人の活動が違法であるとの認識を有していたため、つくしの会会費を支払わずに退会するという選択をしており、退会日の 一定期間前には、損害及び加害者を知ったと主張する。 ア ①について平成29年法律第44号による改正前の民法724条(同改正後の民法724条1号)にいう「損害及び加害者を知った時」とは、被害者において、加害者に対 47 ア ①について平成29年法律第44号による改正前の民法724条(同改正後の民法724条1号)にいう「損害及び加害者を知った時」とは、被害者において、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知った時を意味すると解するのが相当5である(最高裁昭和45年(オ)第628号同48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁参照)。 証拠(乙イ2)によれば、平成28年2月1日付けのインターネット上のニュース記事において、アースハートが、アースハート訴訟において敗訴したこと、被告法人がアースハートの事業を引き継ぎ、アースハートと10同様のセミナーを行っていることが掲載されていたが、当該記事は、主に被告法人による建物使用の違法性について指摘するものであり、被告法人の各活動(認定事実⑶)とアースハートの各活動との具体的な類似性を指摘するものではなかったと認められる。 以上の事実によれば、仮に、原告らが上記記事の存在を認識していたと15しても、原告らにおいて、被告法人のハンドヒーリングセミナー等に関する各活動が、ハンドヒーリングセミナー受講料等の金員の取得に向けられた有機的に関連した社会的相当性を欠くもので違法であると判断するに足りる事実についても認識したものとは認められない。そうすると、原告らは、上記の時点において、被告法人に対する賠償請求をすることが事実20上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知ったとまではいえない。 イ ②について認定事実及び証拠(甲イ1、甲エ1、甲オ1、甲ソ1、甲タ1、甲チ1、甲ツ1、甲テ1)によれば、原告らは、別紙4「裁判所の認定」欄記載の25日 ではいえない。 イ ②について認定事実及び証拠(甲イ1、甲エ1、甲オ1、甲ソ1、甲タ1、甲チ1、甲ツ1、甲テ1)によれば、原告らは、別紙4「裁判所の認定」欄記載の25日につくしの会の退会又は中途解約をしたところ(認定事実⑸エ)、その一 48 部の者は、被告法人の各活動に疑問を抱いて、被告法人の活動を行わなくなり、その結果、つくしの会会費を支払わず、つくしの会を退会し又は中途解約することになったことがうかがわれる。 しかしながら、上記の者が被告法人の各活動に疑問を抱いたことのみをもって、被告法人のハンドヒーリングセミナー受講料等の金員の取得に向5けられた有機的に関連した各活動が社会的相当性を欠き違法であると判断するに足りる事実についても認識していたとまではいえない。 そうすると、原告らがつくしの会会費を支払わずにつくしの会を退会するなどしたことのみをもって、原告らにおいて、退会日の一定期間前には、被告法人に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが10可能な程度に損害及び加害者を知ったものと推認することはできない。 ウ したがって、被告法人及び被告Uの主張は、いずれも採用することができない。 ⑵ 被告Tの主張被告Tは、ハンドヒーリングセミナー受講料の支払から3年が経過した原15告らについては、消滅時効が完成していると主張する。 しかしながら、前記⑴で説示したところに照らすと、本件全証拠によっても、原告らが、ハンドヒーリングセミナー受講料を支払った時点で、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知ったと認めるに足りる的確な証拠はないものといわざ20るを得ない。 したがって、被告Tの上 点で、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害及び加害者を知ったと認めるに足りる的確な証拠はないものといわざ20るを得ない。 したがって、被告Tの上記主張は、採用することができない。 7 小括前記2~4のとおり、被告らは、原告に対し、不法行為(民法709条)による損害賠償責任を負うところ、被告らの行為は、客観的に関連して、違法に25原告らに損害を加えたものであるから、被告らは、民法719条1項に基づき、 49 原告に対し、連帯して、別紙2-1のとおりの損害金及び遅延損害金の支払義務を負う。 第4 結語1 以上によれば、被告らは、別紙2-1請求目録「通し番号」1~19の「請求者」欄記載の者に対し、不法行為(民法709条、719条)に基づき、連5帯して、同「認容額」・「総額」欄記載の損害賠償金及びこれに対する不法行為の日である同「始期」欄記載の日から支払済みまで民法(5%の場合は平成29年法律第44号による改正前の民法、3%の場合は同改正後の民法)所定の同「利率(年)」欄記載の遅延損害金の支払義務を負う。 2 よって、原告らの請求は、いずれも前記1の限度で理由があるから一部認容10し、その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第1民事部 15裁判長裁判官 林 史高 裁判官 溝渕 章展20 裁判官 加納 紅実別紙1「当事者目録」は掲載省略25 50 (別紙2-2)訴訟費用一覧表 1 次のものを原告Bの負担とする。 ⑴ 原告Bに生じた訴訟費用の300分の25⑵ 被 別紙1「当事者目録」は掲載省略25 50 (別紙2-2)訴訟費用一覧表 1 次のものを原告Bの負担とする。 ⑴ 原告Bに生じた訴訟費用の300分の25⑵ 被告らに生じた訴訟費用の1900分の22 次のものを原告Cの負担とする。 ⑴ 原告Cに生じた訴訟費用の300分の1⑵ 被告らに生じた訴訟費用の1900分の13 次のものを原告Eの負担とする。 10⑴ 原告Eに生じた訴訟費用の300分の1⑵ 被告らに生じた訴訟費用の1900分の14 次のものを原告Gの負担とする。 ⑴ 原告Gに生じた訴訟費用の300分の2⑵ 被告らに生じた訴訟費用の1900分の2155 次のものを原告Mの負担とする。 ⑴ 原告Mに生じた訴訟費用の300分の15⑵ 被告らに生じた訴訟費用の1900分の156 次のものを被告らの負担とする。 ⑴ 原告A、原告D、原告F、原告H、原告I、原告J、原告K、原告L、原告20N、原告O、原告P、原告Q、原告R及び原告Sに生じた訴訟費用⑵ 原告Bに生じたその余の訴訟費用(300分の298)⑶ 原告Cに生じたその余の訴訟費用(300分の299)⑷ 原告Eに生じたその余の訴訟費用(300分の299)⑸ 原告Gに生じたその余の訴訟費用(300分の298)25⑹ 原告Mに生じたその余の訴訟費用(300分の285) 51 ⑺ 被告らに生じたその余の訴訟費用(1900分の1879)以上 52 (別紙3)争点に関する当事者の主張 1 争点⑴(被告法人の責任原因の有無)について【原告らの主張】5⑴ 被告法人の以下の活動は、違法と認定されたアースハートの活動と同一 紙3)争点に関する当事者の主張 1 争点⑴(被告法人の責任原因の有無)について【原告らの主張】5⑴ 被告法人の以下の活動は、違法と認定されたアースハートの活動と同一である。 ア ハンドヒーリングセミナー被告法人は、アースハートのハンドパワーと同一のマインドパワーという力を習得するためのハンドヒーリングセミナー(約3か月間、全1102回)を有料で開講していた。ハンドヒーリングセミナーを受講するためには、つくしの会の会員になる必要があった。 イ 会報誌被告法人は、会員に対し、「ワンネス」という名称の会報誌を発行し、被告法人の活動内容等を広報していた。 15ウ 施療所被告法人は、会員のうち特に優れた者をクレソンと称し、クレソンがマインドパワーを用いて治療を行う施設である施療所(治療所)を設置し、運営していた。 エ 講演会20被告法人は、各地で、マインドパワーに関する講演会を有料で開催していた。被告Tは、講演者として、講演会に参加していた。 オ 有志会被告法人は、会員を対象に、被告Tや外部講師による講演、被告Tによる飲料の味変えの実演、会員による体験の報告等を行う有志会を開催25していた。 53 カ レモングラス被告法人は、会員を対象に、大分県の温泉施設において、被告Tによる講演、会食等のイベントを行う「レモングラス」と称する会合を定期的に開催していた。 キ ワンネスクラブ5被告法人は、会員が第三者を勧誘し、新たに本件契約を締結させる行為を「覚醒」と称していた。被告法人は、7~10名以 会合を定期的に開催していた。 キ ワンネスクラブ5被告法人は、会員が第三者を勧誘し、新たに本件契約を締結させる行為を「覚醒」と称していた。被告法人は、7~10名以上の者を覚醒した会員を対象として、ワンネスクラブと称する会合を開催していた。 ク 合同治療会被告法人は、各地の会員によるマインドパワーの実演、被告Tの講演10等を行う合同治療会を開催していた。 ケ ホームステイ被告法人は、会員や新たな被勧誘者に対し、被告Tによるマインドパワーの実演等を行う2泊3日のホームステイと称する集団生活を推奨していた。 15コ パワー入り商品等の販売被告法人は、パワー入り商品として、CD(1枚2000円)、カレンダー(1冊1000円)、書籍(1冊1800円)等を販売していた。 ⑵ 被告法人の上記⑴の各活動は、有機的に関連した一連のシステムのもとに、本件契約という不当に高額の金員を取得することに向けられたもので20あって、社会的相当性を逸脱した違法な活動であった。 ア 被告法人は、被告Tや被告Uといった関係者を通じて、マインドパワーにはどんな病気でも必ず治す力があると宣伝した。また、被告法人は、会報誌において、医師の肩書を有する会員の意見を通じて、マインドパワーが科学的根拠を有するものであるかのように宣伝した。 25イ 被告法人は、ハンドヒーリングセミナーにおいて、病気等のことに触 54 れ、あたかも病気が治るかのような説明をした。また、被告法人は、会報誌において、マインドパワーによって病気が改善又は完治したと述べる会員らの体験談や医療従事者のコメントを掲載して、マインドパワーがあたかも医学的裏付けと根拠がある 説明をした。また、被告法人は、会報誌において、マインドパワーによって病気が改善又は完治したと述べる会員らの体験談や医療従事者のコメントを掲載して、マインドパワーがあたかも医学的裏付けと根拠があるように記載していた。 被告法人は、ウェブサイトに、会報誌と同様の会員らの体験談を掲載5していたところ、消費者支援機構福岡から、当該施療に痛みや重みを改善する現実的医学的効果があると誤認させる表示であるなどといった指摘を受けて、これらの記載の表示を中止した。 以上のとおり、被告法人は、客観的な科学的・医学的裏付けのないマインドパワーをどんな病気でも治せる力と称し、科学的根拠を有するも10のであるかのように宣伝しており、虚偽の内容を含んだ詐欺的な宣伝を行っていた。 ウ 被告法人は、会員に対し、覚醒をしなければ病気が治らないなどと説明し、覚醒と病気等の治療を結びつけることによって、病気を治したいといった会員の切実な思いに付け込んで、新たに会員を獲得していた。 15被告法人による各活動の拡大方法は、会員に強い心理的圧迫を加えてされる不当なものであった。 エ 被告法人は、マインドパワーについて、神を連想させる表現を用いて、宗教的なものであるかのように宣伝する一方で、マインドパワーを宗教とは一切関係がないと宣伝していた。また、被告法人は、科学的・医学20的な裏付けがあるようなものとも宣伝していた。 被告法人は、時期や場合に応じて、マインドパワーを場当たり的に使い分けており、真摯な治療等の目的で行っていたとはいえない。 オ 被告法人は、ハンドヒーリングセミナー(全12回)について、1人当たり70万円(時期によっては50~60万円)という高額の受講料25を徴収し、さらに、ハンドヒーリングセミナーを受講す 。 オ 被告法人は、ハンドヒーリングセミナー(全12回)について、1人当たり70万円(時期によっては50~60万円)という高額の受講料25を徴収し、さらに、ハンドヒーリングセミナーを受講するためには、つ 55 くしの会の会員になる必要があるとして、会費及び入会費を徴収していた。 一方で、ハンドヒーリングセミナーの内容は、初回のセレモニーにおいて、被告Tらによるパワー入れと称する儀式を行われた後は、専らマインドパワーを受講者が実践することを中心として構成されるにすぎ5ず、被告法人は、人件費、会場代を除くほか、特段の出捐がなかった。 本件契約は、その内容、被告法人側の経済的負担に照らし、受講者に合計70万円という高額の金員を支払わせる点で著しく均衡を欠く暴利行為であり、被告法人は、本件契約により、不当に金員を取得した。 ⑶ 以上の事情を考慮すれば、被告法人の各活動は、有機的に関連した会員10の勧誘から組織拡大・新規会員獲得に至る一連のシステムの下に、本件契約という不当に高額の金員を取得することに向けられたものであって、社会的相当性を逸脱する違法なものである。 そして、原告らは、被告法人から、別紙4「原告らの主張」欄記載のとおりの勧誘を受け、本件契約を締結し、金銭を支払うに至った。 15よって、被告法人は、原告らに対し、民法709条、719条による責任を負う。 【被告法人の主張】⑴ 被告法人がマインドパワーと称する施術を宣伝していたこと、覚醒を促していたこと、マインドパワーと称する施術を実施していたこと、ハンド20ヒーリングセミナー受講料70万円を徴収していたこと、被告法人とアースハートの活動に多数の類似点があることは認める。 ⑵ 被告法人は、アースハートの活動が違法で 施していたこと、ハンド20ヒーリングセミナー受講料70万円を徴収していたこと、被告法人とアースハートの活動に多数の類似点があることは認める。 ⑵ 被告法人は、アースハートの活動が違法であると認定され、また、アースハートにおいて、脱税事件が生じるなどしていたことから、以下のとおり、組織の体制や事業執行の方法を改めることとした。 25ア 本件契約については、アースハートと異なり、契約書を作成し、会員 56 からの中途解約を認めるとともに、合意解約にも応じる内容になっている。また、被告法人は、本件契約締結時、条項契約書約款の「遵守事項及び注意事項」欄(乙イ6、7)及び重要事項説明書の「⑷セミナー受講に関する注意事項」欄(乙イ4)において、受講者に対し、①セミナーは、法的資格や国の資格認可を得るものではないこと、②セミナーで5学んだことは医師法及び薬事法で禁止された行為について使ってはいけないこと、③セミナーの講義内容及び効果は、科学的根拠に基づくものではなく、効果が得られた場合でも、セミナーの効果か否かは証明されておらず、また、受講者全員が効果を得られるわけではないこと、④第三者に伝えるときは、前記①から③の内容及び事実のみを伝えなければ10ならないことを明記して交付した。 イ 被告法人は、アースハートで行っていたローラー(街中で不特定多数人を対象として行う勧誘活動)を禁止した。被告法人は、新規会員を獲得しなければ病気が治らないといった心理的圧迫を加えないよう現場のスタッフに指導し、口コミにより新規会員を獲得することとした。アー15スハート時代からのスタッフの中には、被告法人の上記指導に反し、アースハートで行っていたような勧誘を行う者もいたが、被告法人は、そのような事実が判明した際に 規会員を獲得することとした。アー15スハート時代からのスタッフの中には、被告法人の上記指導に反し、アースハートで行っていたような勧誘を行う者もいたが、被告法人は、そのような事実が判明した際には、スタッフに対し、違法と指摘された勧誘方法を行わないように指導した。 ウ したがって、被告法人の活動は、アースハートの活動と同視すること20はできず、社会的相当性を逸脱したものとはいえない。 2 争点⑵(被告Tの責任原因の有無)について【原告らの主張】⑴ 被告Tは、アースハートにおいて、アースハートセミナーにおける重要な行事に携わるだけでなく、アースハート会員に対し、覚醒を奨励するな25どアースハートの活動に深く関与していた。 57 被告Tは、被告法人においても、創始者として、ハンドヒーリングセミナーにおける重要な行事に携わるだけでなく、活動の全般において、中心的な役割を担い、会員に覚醒を奨励し、これを通じて被告法人の活動に深く関与してきた。 ⑵ 被告Tは、平成28年1月から平成29年9月まで、毎月250万円、5同年10月から令和元年10月末まで、500万円もの利益を直接、又は、間接に受領しており、被告法人の活動にとって重要な役割を担っていた。 ⑶ したがって、被告Tは、ハンドヒーリングセミナーへの勧誘に向けられた一連のシステムのもとに包摂される被告法人の各活動によって原告らが受けた損害について、民法709条、719条による責任を負う。 10【被告Tの主張】⑴ 被告Tは、被告法人を設立したわけではなく、また、理事や評議員でもない。被告Tは、被告法人から依頼されて、会員向けの講演会とエッセイの執筆を行った程度であり、セミナーの勧誘を行ったことも、講師を務め 告Tは、被告法人を設立したわけではなく、また、理事や評議員でもない。被告Tは、被告法人から依頼されて、会員向けの講演会とエッセイの執筆を行った程度であり、セミナーの勧誘を行ったことも、講師を務めたこともない。また、被告Tは、令和2年4月頃から、被告法人での講演15会等の活動を停止し、同年12月からは、被告法人との関係を断っている。 したがって、被告Tは、不法行為責任を負うものではない。 ⑵ 被告Tが被告法人から報酬を受領したこと、被告法人が一般社団法人PhononArtに金員を支払い、同法人が被告Tに金員を支払ったことは認めるが、詳細までは覚えていない。 203 争点⑶(被告Uの責任原因の有無)について【原告らの主張】被告Uは、被告法人の代表理事として、違法なシステムの運営に対外的な責任者として関与し、新規会員の獲得と組織拡大による利益の獲得を図ってきた。 25したがって、被告Uは、ハンドヒーリングセミナーへの勧誘に向けられた 58 一連のシステムのもとに包摂される被告法人の各活動によって原告らが受けた損害について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律78条又は民法709条、719条による責任を負う。 【被告Uの主張】争う。 54 争点⑷(原告らの損害の有無及び額)について【原告らの主張】原告らに生じた損害については、別紙5「原告らの主張」欄記載のとおりである。 【被告らの主張】10原告らに生じた損害についての認否及び反論は、別紙5「被告法人及び被告Uの主張」欄及び「被告Tの主張」欄記載のとおりである。 5 争点⑸(消滅時効の成否)について【被告法人及び被告Uの主張】仮に、被告法人及び被告Uが原告らに対して損害賠償債務 人及び被告Uの主張」欄及び「被告Tの主張」欄記載のとおりである。 5 争点⑸(消滅時効の成否)について【被告法人及び被告Uの主張】仮に、被告法人及び被告Uが原告らに対して損害賠償債務を負うとしても、15原告らのうち一部の者については、消滅時効(民法724条)が完成した。 ⑴ アースハートは、アースハート訴訟で敗訴したところ、当該事実は、遅くとも平成28年6月頃から、弁護団の広報誌、インターネット上のニュースサイトに掲載されるなどしており、アースハート又は被告Tに関係を有する者にとって周知の事実となっていた。 20したがって、原告らは、遅くとも平成30年9月22日までに、損害及び加害者を知ったといえ、消滅時効が完成した。 ⑵ つくしの会は、年単位の契約であるところ、被告法人は、次年度の会費を更新日から3か月後の日(退会期日)までに支払われていないことが確認できた場合には、退会日をもって退会したとする扱いとなっており、原25告らも上記取扱いについて認識していた。 59 そして、ハンドヒーリングセミナーは、入会後、3、4か月で受講が終了する一回性のものであること、つくしの会の会費の支払は、年に1回であることからすれば、原告らは、被告が把握している退会日よりも前に被告法人の活動が違法であることを認識して、つくしの会の会費を支払わないことを決意していたというべきである。 5したがって、令和元年6月24日までに退会している原告らについては、退会日の一定期間前には、損害及び加害者を知ったと認められる。 【被告Tの主張】仮に、被告Tが原告らに対して損害賠償債務を負うとしても、ハンドヒーリングセミナー受講料の支払から3年が経過した原告らについては、消滅時10効が完成 められる。 【被告Tの主張】仮に、被告Tが原告らに対して損害賠償債務を負うとしても、ハンドヒーリングセミナー受講料の支払から3年が経過した原告らについては、消滅時 効が完成した。 【原告らの主張】⑴ 原告らが被告法人らの会員に勧誘された経緯は、原告ごとに異なること、被告らが指摘する各種報道は、アースハートの不法行為に関する言及がないこと、アースハートの活動と被告法人の活動との相違点が周知の事実と なっていなかったことからすれば、上記報道を目にしたとしても、法律的知識がない原告らにおいて、被告らに対し損害賠償請求権を有することを認識することはできない。そして、原告らは、令和3年4月以後、原告ら訴訟代理人に法律相談をした結果、被告らに対し、損害賠償請求権を有することを認識したのであって、消滅時効は完成していない。 ⑵ つくしの会は、被告法人とは別の団体であり、つくしの会の会員であることと被告法人の会員であることは一致するものではない。また、つくしの会の会費を支払わなかった原告らは、経済的理由等、様々な理由で会費を払わなかったと考えられ、つくしの会の会費の不払と被告らの活動が違法であるとの認識については一致するものではない。

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