- 1 - 令和6年7月18日宣告令和6年第324号被告人両名に対する各未成年者略取(変更後の訴因:公務執行妨害、傷害、未成年者略取)被告事件判決 主文 被告人Aを懲役2年に、被告人Bを懲役1年6月に処する。 被告人両名に対し、未決勾留日数中各30日を、それぞれその刑に算入する。 被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその刑の全部の執行を猶予する。 理由 【罪となるべき事実】被告人両名は、甲こども家庭センター所長が一時保護していたC(当時6歳)を略取しようと考え、共謀の上、令和6年3月16日午前11時33分頃、兵庫県西宮市内の幼稚園及びその付近において、被告人AがCを抱きかかえて、同園前路上に停車中のタクシー車内に連れ込んだ上、Cに同行していた同センターの職員である乙(当時34歳)及び丙(当時49歳)がこれを制止しようとしたことから、乙及び丙に対し、乙の頸部付近に腕を巻き付けて車外に引き倒し、さらに、タクシーの後部ドアをつかんでいる乙の手をつかんで引き剥がし、被告人Bが車内でCを抱きかかえたまま、乙及び丙がタクシー直近において発進させまいとしている状況で、情を知らない運転手にタクシーを発進させて乙を転倒させるなどの暴行を加え、もって乙及び丙の職務の執行を妨害するとともに、Cを同所から連れ去り、その頃から同日午前11時39分頃までの間、同所から兵庫県西宮市内の兵庫県甲子園警察署駐車場までを走行するタクシー内において、Cを被告人両名の支配下に置き、もって未成年者を略取し、その際、前記一連の暴行により、乙に加療約2週間を要する左手、両上腕、両膝等打撲傷等の傷害を負わせた。 - 2 - 【証拠の標目】省略【法令の適用】省略【量刑の理由】本件 を略取し、その際、前記一連の暴行により、乙に加療約2週間を要する左手、両上腕、両膝等打撲傷等の傷害を負わせた。 - 2 - 【証拠の標目】省略【法令の適用】省略【量刑の理由】本件は、夫婦である被告人両名が、こども家庭センターで一時保護中の子(妻の子で夫の養女)が幼稚園の卒園式に出席することに乗じて略取しようと企て、共謀の上、幼稚園の正門に出てきた子を抱きかかえて停車させてあったタクシーに連れ込み、これを制止しようとしたセンター職員2名に対し、タクシーを発進させて転倒させるなどの暴行を加えて同職員らの職務の執行を妨害するとともに、同職員1名に傷害を負わせ、子を連れ去り略取した事案であり、一時保護制度の根幹を揺るがしかねない悪質な犯行である。 本件は計画的な犯行であり、卒園式に出席した園児や保護者らがいる中で行われた大胆な犯行でもある。また、暴行態様もタクシー近くにセンター職員がいたにもかかわらずタクシーを発進させるなど危険で悪質である。 確かに、被告人両名が本件犯行に及んだ経緯には弁護士の助言があったものではあるが、一時保護中の子を無断で連れ去る行為が許されない行為であることは当然認識してしかるべきである。しかも、家に帰りたい旨子が意思表示することが前提となっていたはずであるのに、被告人両名は、明確な意思確認もしないまま、センター職員に暴行を加えてまで子を連れ去ったものであり、その行為は強く非難される。 以上によれば、被告人両名の刑事責任はいずれも軽視できるものではないところ、被告人Aは、本件犯行を主導したもので、センター職員に対する暴行を加えるなどしていることから、その責任は、被告人Bよりも重い。 他方で、被告人両名は、タクシーに子を連れ込んだ後、最寄りの警察署に向かったもので、略取の時間も約6分間と短時間である 員に対する暴行を加えるなどしていることから、その責任は、被告人Bよりも重い。 他方で、被告人両名は、タクシーに子を連れ込んだ後、最寄りの警察署に向かったもので、略取の時間も約6分間と短時間である。そして、被告人両名とも、本件犯行を素直に認めており、当公判廷において、二度と法に触れる行為はしない旨述べるなど、反省の態度を示していること、前科がないことなど、有利に考慮できる- 3 - 事情も認められる。 そこで、被告人両名に対しては、それぞれ主文の刑に処した上、いずれもその刑の全部の執行を猶予して、社会内で更生する機会を与えるのが相当である。 (求刑被告人Aにつき懲役2年、被告人Bにつき懲役1年6月)令和6年7月19日神戸地方裁判所第2刑事部 裁判官松田道別
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