平成14(う)77 現住建造物等放火,現住建造物等放火未遂,非現住建造物等放火未遂,器物損壊被告

裁判年月日・裁判所
平成14年7月23日 広島高等裁判所
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判決文本文2,168 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中60日を原判決の刑に算入する。 理由 本件控訴の趣意は,弁護人池上忍作成の控訴趣意書に記載されているとおりであるから,これを引用するが,論旨は,要するに,被告人を懲役8年に処した原判決の量刑は不当に重い,というのである(なお,弁護人は,控訴趣意書の記載は,心神喪失若しくは心神耗弱を主張しているものではないと釈明した。)。 そこで,検討すると,本件は,被告人が,平成13年6月10日,山口県下松市所在のスーパーマーケットにおいて,商品搬入口に置かれた段ボール箱に点火して放火し,これを店舗に燃え移らせて焼損しようとしたが,通報により消火活動が行われたため,店舗出入口シャッター等の一部を焼損したにとどまった非現住建造物等放火未遂(原判示第1),同年8月10日,同市所在の店舗兼居宅において,軒下に設置された自動販売機4台に掛けてあった布製シーツに点火して放火し,これを建物に燃え移らせて焼損しようとしたが,通報により消火活動が行われたため,自動販売機4台及び建物の雨樋等の一部を焼損したにとどまった現住建造物等放火未遂(原判示第2),同月12日,同県徳山市所在の公団住宅において,軽四輪貨物自動車の荷台に積載されていた布団に点火し,その荷台に積載されていた灯油ローリーに燃え移らせてそのホース等を焼損させた器物損壊(原判示第3),同日,同市所在の店舗兼居宅において,軒下に吊してあった簾に点火して放火し,その建物に燃え移らせて全焼させた現住建造物等放火(原判示第4)の事案である。 犯行動機は,交際していた女性との関係等について悩み,憂さを晴らそうとした全く身勝手なものであり,酌量すべき点はない。被告人は,住宅等が立ち 全焼させた現住建造物等放火(原判示第4)の事案である。 犯行動機は,交際していた女性との関係等について悩み,憂さを晴らそうとした全く身勝手なものであり,酌量すべき点はない。被告人は,住宅等が立ち並ぶ地域において,いずれも深夜ないし未明の時間帯に犯行に及び,周辺地域に多大な危険を及ぼしたものであり,前記第2及び第4の各居宅に就寝していた老夫婦の受けた衝撃はもとより,付近住民に与えた恐怖と不安にも相当なものがあったと認められ,財産的被害を含めて,生じた結果は重大である。被害者らは,厳重処罰を望んでいる。被告人には,平成7年12月,憂さ晴らしのために犯した3件の建造物等以外放火の罪により懲役2年6月に処せられた前科があるところ,平成9年7月に仮出獄後,約4年で同種の犯行を繰り返すに至っており,規範意識や更生の意欲が十分でなかったといわざるを得ず,再犯の可能性も否定できない。したがって,本件の犯情はよくなく,被告人の刑事責任は重いというべきである。 そうすると,被告人は,捜査段階から事実を素直に認め,余罪についても供述し,反省の言葉を述べるとともに更生への意欲を示していること,第2の被害者に対して10万円,第4の被害者に対して90万円を各支払い,一部被害弁償していること,母や伯父が監督を申し出ている上,父親が当審公判廷に情状証人として出廷したことなどの諸事情を十分考慮してみても,原判決の量刑が不当に重いとはいえない。 なお,弁護人は,被告人には,本件各犯行当時,精神疾患に罹患していた疑いがあり,自己の行動を制御する能力が十分ではなかったから,非難可能性は小さく,この点からも原判決の量刑は不当に重いと主張する。しかしながら,犯行の動機は,短絡的ではあるものの了解可能であるし,犯行態様に特に異常な点は見当たらないこと,犯行前後の行動を見て 難可能性は小さく,この点からも原判決の量刑は不当に重いと主張する。しかしながら,犯行の動機は,短絡的ではあるものの了解可能であるし,犯行態様に特に異常な点は見当たらないこと,犯行前後の行動を見ても,犯行現場から離れた場所に自動車を駐車したり,迂回して逃走するなど,犯行の発覚を防ぐための合理的な行動をとっていること,本件各犯行の日時,場所,態様等について,ほぼ正確に記憶していることなどに加え,被告人には,これまで精神科や神経科への通院歴がなく,精神疾患の具体的な症状も見られなかったことを併せ考慮すると,量刑判断に当たり,本件各犯行当時における被告人の行動制御能力が,被告人のために有利に斟酌すべき事情として評価し得るほど劣っていたとは認められない。したがって,弁護人の前記主張は理由がない。 論旨は理由がない。 (なお,原判決の(法令の適用)中の「最も重い」とある部分(5頁11行目)は,「刑及び犯情の最も重い」と記載するのが相当である。)よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却し,刑法21条を適用して当審における未決勾留日数中60日を原判決の刑に算入し,当審における訴訟費用については,刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととして,主文のとおり判決する。 平成14年7月23日広島高等裁判所第一部裁判長裁判官久保眞人裁判官菊地健治裁判官島田一 申し訳ありませんが、テキストが提供されていないため、整形を行うことができません。整形したいテキストを提供してください。

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