令和7(行ク)7 執行停止の申立て

裁判年月日・裁判所
令和7年4月8日 仙台地方裁判所
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判決文本文9,841 文字)

令和7年(行ク)第7号執行停止申立事件(本案・仙台地方裁判所令和7年(行ウ)第16号裁決取消請求事件)決定(当事者の表示省略) 主文 1 a町議会解散請求の直接請求署名簿の署名の効力に関し、申立人らがした異議申出について、相手方が令和3年3月6日付けでした各異議一部棄却決定に基づく手続の続行は、仙台地方裁判所令和7年(行ウ)第16号裁決取消請求事件の判決確定に至るまでこれを停止する。 2 申立費用は、相手方の負担とする。 理由 第1 申立ての趣旨主文同旨第2 事案の概要等 1 事案の概要 本案は、a町議会の議員である申立人ら(本案原告ら)が、相手方(本案被告)に対し、a町議会の解散請求の直接請求署名簿(以下「本件署名簿」という。)の署名の効力に関し、同一の筆跡による無効な署名又は代筆の要件を欠く無効な署名が含まれるとして異議をそれぞれ申し出たのに対し、相手方が各異議の一部をそれぞれ棄却する旨の各異議一部棄却決定(以下「本件各裁決」と いう。)をしたことについて、各棄却部分の一部の取消しを求めるとともに、当該一部の署名が無効であることの確認を求める事案である。 本件は、申立人らが、相手方がした本件各裁決に基づく手続の続行を、本案の判決確定に至るまで停止することを求める申立てである。 2 前提事実(後掲証拠(枝番のあるものは、枝番を含む。)及び審尋の全趣旨 から一応認めることができる事実。以下、順に「前提事実(1)」などという。) (1) 当事者申立人らは、いずれもa町議会の議員である。 (2) 本案の訴え提起に至る経緯ア解散請求代表者2名(以下「解散請求代表者ら」 (1)」などという。) (1) 当事者申立人らは、いずれもa町議会の議員である。 (2) 本案の訴え提起に至る経緯ア解散請求代表者2名(以下「解散請求代表者ら」という。)は、令和6年12月18日、相手方に対し、a町議会の解散請求代表者証明書の交付を 申請した。(疎甲11、17)イ相手方は、令和6年12月24日、解散請求代表者らに対し、解散請求代表者証明書を交付し、その旨を告示した。(疎甲11、17)ウ解散請求代表者ら及び解散請求代表者らから署名収集の委任を受けた署名収集受任者らは、a町議会の解散請求に賛同する署名を収集した。 解散請求代表者らは、令和7年1月24日、相手方に対し、2510人分の署名がされた本件署名簿を提出した。(疎甲11、17、疎乙1)エ相手方は、令和7年1月25日から本件署名簿の審査を開始し、令和7年2月12日、本件署名簿の署名のうち226人分の署名が無効であることを前提として2284人分の署名が有効であると決定してその証明を終 了し(以下、当該証明を終了した時点を「本件証明終了時」という。)、同月14日から同月20日までの間、本件署名簿を縦覧に供した。 (疎甲11、17、疎乙1)オ申立人らは、令和7年2月20日、同一の筆跡による無効な署名であること(以下、当該異議の理由を「同一筆跡」という。)又は代筆の要件を欠 く無効な署名であること(以下、当該異議の理由を「違法代筆」という。)を理由として、それぞれ異議を申し出た(以下、申立人らの異議申出を併せて「申立人ら異議申出」という。)。(疎甲1ないし6、11、疎乙1)カ相手方は、令和7年2月24日、申立人らに対し、弁明書を交付した。 これに対し、申立人らは、同月26日、相手方に対し、 せて「申立人ら異議申出」という。)。(疎甲1ないし6、11、疎乙1)カ相手方は、令和7年2月24日、申立人らに対し、弁明書を交付した。 これに対し、申立人らは、同月26日、相手方に対し、反論書を提出した。 相手方は、同年3月1日午前9時、申立人らに口頭で意見を陳述させた。 また、相手方は、同日及び同月2日、解散請求代表者らや申立人ら異議申出の対象とされた署名を収集した署名収集受任者33名に対して事実の陳述を求めた上で、再精査の結果、疑義が残る署名については、その署名者等に対して直接事実を確認するなどした。 (疎甲1ないし3、7ないし10、疎乙1ないし4) キ令和7年3月1日時点のa町の選挙人名簿の登録者数は、合計6379人であった。(疎甲20)ク相手方は、令和7年3月5日、申立人ら異議申出について決定した旨、本件署名簿のうち有効な署名数は2135人分である旨を告示した。 なお、本件署名簿の署名の審査をした相手方の委員4名(相手方委員会 委員長を含む。)のうち1名は、上記有効な署名数に納得していないとして、相手方の審査の次第を記載した署名審査録への署名を拒否した。(疎甲11、17、18、疎乙1)ケ相手方は、令和7年3月6日、申立人Aの異議申出(以下「申立人A異議申出」という。)について、① 同人が同一筆跡を理由として無効と主張 する署名のうち、48人分については対照された者の署名と明らかに同一筆勢であると認めるに至らない、1人分については本件署名簿の記載と一致しない、1人分については署名番号が重複しており本件署名簿の記載と一致しない、1人分については代筆者による署名であり代筆者と筆跡が同一であるのは当然であるとして異議申出に理由はない旨を判断すると 致しない、1人分については署名番号が重複しており本件署名簿の記載と一致しない、1人分については代筆者による署名であり代筆者と筆跡が同一であるのは当然であるとして異議申出に理由はない旨を判断するとと もに、② 同人が違法代筆を理由として無効と主張する署名のうち、51人分については法定要件を充たす署名ではないとして判定を有効から無効に修正した反面、29人分については高齢、疾病、障害等により自署が困難な者であると認められる、1人分については本件署名簿の記載と一致しないとして異議申出に理由はない旨を判断して、申立人A異議申出を一 部棄却する旨の決定をした。 相手方は、同日、申立人Bの異議申出(以下「申立人B異議申出」という。)について、① 同人が同一筆跡を理由として無効と主張する署名のうち、13人分については本人以外の者が署名したことが認められるとして判定を有効から無効に修正した反面、24人分については対照された者の署名と明らかに同一筆勢であると認めるに至らない、1人分については本 件署名簿の記載と一致しないとして異議申出に理由はない旨を判断するとともに、② 同人が違法代筆を理由として無効と主張する署名のうち、43人分については法定要件を充たす署名ではないとして判定を有効から無効に修正した反面、22人分については高齢、疾病、障害等により自署が困難な者であると認められる、3人分については本件署名簿の記載と一致 しないとして異議申出に理由はない旨を判断して、申立人B異議申出を一部棄却する旨の決定をした。 相手方は、同日、申立人Cの異議申出(以下「申立人C異議申出」という。)について、① 同人が同一筆跡を理由として無効と主張する署名のうち、18人分については本人以外の者が署名したことが 。 相手方は、同日、申立人Cの異議申出(以下「申立人C異議申出」という。)について、① 同人が同一筆跡を理由として無効と主張する署名のうち、18人分については本人以外の者が署名したことが認められるとして 判定を有効から無効に修正した反面(うち11人分については、申立人B異議申出に対する異議一部棄却決定においても判定が有効から無効に修正されている。)、71人分については対照された者の署名と明らかに同一筆勢であると認めるに至らないとして異議申出に理由はない旨を判断するとともに、② 申立人Cが違法代筆を理由として無効と主張する署名のうち、 35人分については法定要件を充たす署名ではないとして判定を有効から無効に修正した反面、18人分については高齢、疾病、障害等により自署が困難な者であると認められるとして異議申出に理由はない旨を判断して、申立人C異議申出を一部棄却する旨の決定をした。 相手方において、申立人ら異議申出を受けて、本件証明終了時に有効と 判定していた署名を無効に修正した署名数は、同一筆跡を理由とするもの が20人分(申立人B異議申出分は13人分、申立人C異議申出分は18人分であるが、うち11人分は重複していた。)、違法代筆を理由とするものが129人分(申立人A異議申出分は51人分、申立人B異議申出分は43人分、申立人C異議申出分は35人分)であった。 (疎甲1ないし3、11、疎乙1) コ相手方は、令和7年3月6日、解散請求代表者らに対し、本件署名簿を返付した。解散請求代表者らは、同日、相手方に対し、解散請求書を提出した。(疎甲11、17、18)サ相手方は、令和7年3月7日、解散請求代表者らの住所氏名及び解散請求の要旨を公表し、a町議会解散の賛否を問う住民投票の告 同日、相手方に対し、解散請求書を提出した。(疎甲11、17、18)サ相手方は、令和7年3月7日、解散請求代表者らの住所氏名及び解散請求の要旨を公表し、a町議会解散の賛否を問う住民投票の告示日を同月3 1日、投票日を同年4月20日とする旨を決定した。(疎甲11、16、17ないし19)シ申立人らは、令和7年3月18日、本件各裁決に対し、本件各裁決において対照された者の署名と明らかに同一筆勢であると認めるに至らないと判断された署名、高齢、疾病、障害等により自署が困難であると判断され た署名を対象として、本件各裁決の一部の取消しを求める本案を提起し、後に上記対象となる署名が無効であることの確認を求める請求を追加した。 (顕著な事実)なお、上記対象となる署名は延べ212人分であったが、うち16人分は重複しているため、実186人分である。(疎甲1ないし3) ス本件署名簿に署名(相手方が有効と判定したもの)がある者のうち、1人は令和6年12月31日に、1人は令和7年1月11日に、1人は同年2月24日に、1人は同月27日にそれぞれ死亡した。 申立人らは、同日に死亡した1人を除く3人の署名については、違法代筆を理由として申立人ら異議申出の異議の対象としていた。 (疎甲5、6、31ないし34) (3) 違法代筆を理由とする異議が棄却された署名のうち9人分の署名についてア a町民であるDは、違法代筆を理由とする異議が棄却された署名の署名者(代筆を依頼したとされる者)4人と面談し、同人らから心身の故障がなく、自分で自分の名前を書くことができる旨、他人に本件署名簿への署名の代筆を委任していない旨を聴取した。(疎甲22ないし25) a町民であるEは、違法代筆を理由とす ら心身の故障がなく、自分で自分の名前を書くことができる旨、他人に本件署名簿への署名の代筆を委任していない旨を聴取した。(疎甲22ないし25) a町民であるEは、違法代筆を理由とする異議が棄却された署名の署名者4人に架電し、同人らから心身の故障がなく、自分で自分の名前を書くことができる旨を聴取した。(疎甲26ないし29)a町民であるFは、違法代筆を理由とする異議が棄却された署名の署名者1人と面談し、同人から心身の故障がなく、自分で自分の名前を書くこ とができる旨を聴取した。(疎甲30)イ相手方は、上記アの9人分の署名に関し、令和7年3月1日又は同月2日、これらの署名を収集した署名収集受任者4人に事実の陳述をさせた(前記第2の2(2)カ)。同人らは、代筆の理由として、4人については高齢により字が書けない者である旨、3人については認知症である旨、1人 については半認知症である旨、1人についてはインフルエンザで隔離されていた旨(なお、同人の署名を収集した署名収集受任者は、インフルエンザで隔離されていた代筆を依頼したとされる者と直接会った旨も回答している。)と陳述した。(疎乙3) 3 当事者の主張 (申立人らの主張)(1) 直接請求に必要な署名数は2127人分であるところ、相手方が公示した有効な署名数は2135人分である。 申立人らが申立人ら異議申出において同一筆跡を理由として無効と主張した署名は対照された者の署名と明らかに同一筆跡である。また、申立人らが 申立人ら異議申出において違法代筆を理由として無効と主張したものの、異 議が棄却された署名のうち4人の署名者は、本件各裁決までの間に死亡しているから、同人らの署名は無効である。さらに、同様の署名のう において違法代筆を理由として無効と主張したものの、異 議が棄却された署名のうち4人の署名者は、本件各裁決までの間に死亡しているから、同人らの署名は無効である。さらに、同様の署名のうち、D、E及びFが代筆の要件を欠くことを聴取した9人分の署名については代筆の要件を欠く無効な署名であることが確実である。 そうすると、本件署名簿の署名のうち有効な署名数は、直接請求に必要な 署名数を下回っているということができる。 (2) 申立人らが本案において勝訴判決を得ても、本案判決確定までには一定の手続的時間を要するところ、それまでの間にa町議会が解散されることにより、申立人らが町議会議員としての地位を喪失するおそれがあるから、重大な損害を避けるため緊急の必要があると認められる。 (3) 本件申立てが認容されたとしても、a町議会の当面の解散が見送られるだけであり、改めて直接請求に必要な署名数を上回る有効な署名数を得てa町議会の解散請求をする余地は封じられないから、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれはない。 (4) したがって、重大な損害を避けるため緊急の必要があるから、本件各裁決 に基づく手続の続行を停止すべきである。 (相手方の主張)(1) 仮に本案において本件署名簿の署名の効力が確定した結果、有効な署名数が法定数を上回る場合には、結局住民投票が行われることを妨げることはできず、損害を被ることを免れることはできないから、相手方が有効と判定 した署名が本案において無効とされ、その結果、有効な署名数が法定数を欠くことになるのが明らかといえない限り、重大な損害を避けるため緊急の必要があるとはいえないというべきである。 申立人らは、申立人ら異議申出において同一筆跡を理由として無効と主 数が法定数を欠くことになるのが明らかといえない限り、重大な損害を避けるため緊急の必要があるとはいえないというべきである。 申立人らは、申立人ら異議申出において同一筆跡を理由として無効と主張した署名の同一性について具体的な疎明をしない。また、申立人らが申立人 ら異議申出において違法代筆を理由として無効と主張したものの、異議が棄 却された署名のうち2人の署名者は、本件証明終了時以前に死亡しているが、申立人ら異議申出は違法代筆を理由とするものであり、異議の理由が異なっている。さらに、申立人らが代筆の要件を欠くことが確実であると主張する9人分の署名については、相手方は、解散請求代表者らや署名収集受任者らからの聴取等を経たうえで、代筆の要件について具体的な検討をして、異議 申出を棄却したものである。 以上のとおり、相手方が有効とした署名が本案おいて無効とされ、その結果、有効な署名数が法定数を欠くことになることが明らかであるとはいえないから、重大な損害を避けるため緊急の必要があるとはいえず、同時に本案において理由がないとみえるときに当たる。 (2) 住民投票の実施手続は、地方自治や民主主義の根幹をなすものであるから、手続の続行を停止すれば、公共の福祉に重大な影響を及ぼすことになる。 (3) したがって、重大な損害を避けるため緊急の必要があるとは認められず、また、公共の福祉に重大な影響を及ぼし、あるいは、本案において理由がないとみえるときに当たるから、本件各裁決に基づく手続の続行を停止すべき ではない。 第3 当裁判所の判断 1 解散請求代表者らがa町議会の解散請求をするためには、本件署名簿の署名のうち、令和7年3月1日時点のa町の選挙人名簿の登録者数合計6379人(前提事実(2)キ はない。 第3 当裁判所の判断 1 解散請求代表者らがa町議会の解散請求をするためには、本件署名簿の署名のうち、令和7年3月1日時点のa町の選挙人名簿の登録者数合計6379人(前提事実(2)キ)の3分の1を超える2127人分の署名が有効であること が必要である(疎甲17、18)。 2(1) 本件各裁決に至る経緯に照らすと、本件署名簿には2510人分の署名がされていたところ(前提事実(2)ウ)、相手方は、本件証明終了時点で226人分の署名を無効であると判定し(前提事実(2)エ)、更に同時点では有効と判定していた署名についても、申立人ら異議申出を経て合計149人分の 署名の判定を有効から無効に修正し(前提事実(2)ケ)、最終的には有効な署 名数は2135人分である旨を告示している(前提事実(2)ク)。 そうすると、本件署名簿の2510人分の署名のうち、実に約15%に相当する375人分の署名が相手方の審査の段階で無効と判定されたことが認められる。 (2) そこで、相手方が有効な署名と判定した2135人分の署名が有効な署 名と認められるかについて検討する。 まず、本件各裁決時までに死亡した4人の署名者のうち、2人については本件証明終了時点では既に死亡しており、かつ、申立人らはその2人分の署名を申立人ら異議申出の異議の対象としていたのであるから(前提事実(2)ス)、これらの2人分の署名は本件各裁決において判定を有効から無効に修 正すべきであったということになる。 この点、相手方は、判断の前提となる異議の理由に限定される相手方の裁決が取消しの対象となっているのであるから、取消しを求める事由も当然に異議申出の際の異議理由に限定されるといえ、訴訟において新たに異議理由を追加することは許されないと考えるべ に限定される相手方の裁決が取消しの対象となっているのであるから、取消しを求める事由も当然に異議申出の際の異議理由に限定されるといえ、訴訟において新たに異議理由を追加することは許されないと考えるべきであるとして、違法代筆を理由と して異議申出がされた上記2人分の署名について死亡を理由に無効とすることは許されない旨主張する。しかしながら、署名の効力に関する争訟は個々の署名の効力の有無を判断するもので、個々の署名についてのみならず、署名簿の方式、署名収集手続等の署名に関わる全てを対象とする上、裁決の取消請求訴訟の訴訟物は処分の違法性一般であると解されるから、署名の効力 に関する争訟において新たに異議理由を追加することが許されないということはできず、相手方の主張を採用することはできない。 そうすると、相手方が有効と判定した2135人分の署名のうち、2人分の署名は有効であるとは認められない。 (3) 次に、申立人らは、申立人ら異議申出において違法代筆を理由として無効 と主張したものの、異議が棄却された署名のうち9人分の署名は代筆の要件 を欠く無効な署名であることが明らかである旨を主張し、当該署名の署名者(代筆を依頼したとされる者)らと面談又は架電をしたa町民が作成した証明書(疎甲22ないし30)を提出する。 これに対し、相手方は、署名収集受任者らから聴取をして代筆の要件について具体的な検討をした上で異議申出を棄却した旨を主張する。この点、署 名収集受任者らは、相手方に対し、4人については高齢により字が書けない者である旨、3人については認知症である旨、1人については半認知症である旨、1人についてはインフルエンザで隔離されていた旨を陳述しているが、これらの陳述を踏まえても、代筆の要件である心身の故障によ 者である旨、3人については認知症である旨、1人については半認知症である旨、1人についてはインフルエンザで隔離されていた旨を陳述しているが、これらの陳述を踏まえても、代筆の要件である心身の故障により署名することができない具体的な事情、すなわち、加齢や認知症、インフルエンザによ る署名能力への影響の有無やその程度は何ら明らかではない。相手方による署名収集受任者らに対する聴取及び同人らの陳述の内容は、代筆の要件を充足するか否かを判断するに当たって甚だ不十分であるというほかない。 以上に加え、上記のとおり、a町民を介した伝聞ではあるものの、上記9人はいずれも自分で自分の名前を書くことができる旨を回答していることを 踏まえると、上記9人について、代筆の要件である心身の故障により署名することができなかったと認めることは困難である。 (4) このように、本件署名簿の署名のうち本件各裁決までに無効と判定された署名の占める割合が約15%と相当程度高いことから、申立人らが申立人ら異議申出の対象としたものの、相手方が本件各裁決において有効との判定 を維持した署名の中にも無効に修正すべき署名が混在する可能性が相当程度うかがわれ、実際に申立人らが申立人ら異議申出の対象としたものの、相手方が本件各裁決において有効との判定を維持した署名中、本案の審理対象となっている186人分の署名の中には本件証明終了時点で死亡しており、有効であるとは認められない2人分の署名や代筆の要件を充たすとは認められ ず、有効であるとは認められない9人分の署名が含まれているから、本件署 名簿の署名のうち有効な署名と判定すべき署名数は、相手方が有効と判定した2135人分から11人分を控除した2124人分あるいはそれを下回る数となる蓋然性が高いとい るから、本件署 名簿の署名のうち有効な署名と判定すべき署名数は、相手方が有効と判定した2135人分から11人分を控除した2124人分あるいはそれを下回る数となる蓋然性が高いということができる。そうすると、本件署名簿の署名のうち有効な署名数は、直接請求に必要な署名数である2127人分を下回る蓋然性が高いと認められる。 3 そして、申立人らは、a町議会の議員であるところ(前提事実(1))、相手方がした本件各裁決に基づく手続を続行した場合、法定の手続が履践されていない蓋然性が高いにもかかわらず、解散請求が可決されることによって申立人らが失職するおそれが生ずることになるから、住民投票が令和7年4月20日に実施される予定であることを踏まえると(前提事実(2)サ)、本件においては、 相手方がした本件各裁決に基づく手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があると認められる。 4 これに対し、相手方は、住民投票の実施手続は、地方自治や民主主義の根幹をなすものであり、手続の続行を停止すれば、公共の福祉に重大な影響を及ぼすことになる旨を主張する。 しかしながら、前記第3の2のとおり、本件においては直接請求に必要な署名数が満たされていない蓋然性が高いのであって、このような状態で相手方がした本件各裁決に基づく手続を続行するとかえって地方自治や民主主義の根幹を損なうおそれが高いというべきであるから、上記手続の続行を停止することにより公共の福祉に重大な影響を及ぼすなどと認めることはできない。 また、相手方のその余の主張を踏まえても、前記第3の3の判断は揺るがない。 5 よって、本件申立ては理由があるから、主文のとおり決定する。 令和7年4月8日仙台地方裁判所第3民事部 相手方のその余の主張を踏まえても、前記第3の3の判断は揺るがない。 よって、本件申立ては理由があるから、主文のとおり決定する。 主文 令和7年4月8日仙台地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官中俣千珠 裁判官熊谷浩明 裁判官太田慎吾

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