平成13(行ウ)29 通行禁止道路通行不許可処分取消請求

裁判年月日・裁判所
平成14年4月11日 神戸地方裁判所
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判決文本文12,353 文字)

判決平成14年4月11日神戸地方裁判所平成13年(行ウ)第29号通行禁止道路通行不許可処分取消請求事件 主文 1 原告らの請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告が平成13年8月13日付けで原告Aに対して行った,通行禁止道路通行許可申請に対する不許可処分を取り消す。 2 被告が平成13年8月13日付けで原告Bに対して行った,通行禁止道路通行許可申請に対する不許可処分を取り消す。 第2 事案の概要等 1 事案の骨子本件は,原告A及び原告Bが,それぞれ被告に対し,平成13年8月9日付けで,別紙図面に黄色で記載した道路部分(以下「本件道路」という。)について,道路交通法(以下「道交法」という。)8条2項に基づく通行禁止道路の通行許可申請(以下,両名の申請をあわせて単に「本件許可申請」という。)を行ったところ,被告が同月13日付けで原告らに対し,いずれも不許可とする旨の処分(以下,両名に対する処分をあわせて単に「本件不許可処分」という。)を行ったため,原告らが本件不許可処分の取消しを求めた事案である。 2 前提事実証拠を掲記した事項以外は,当事者間に争いがない。 (1) 当事者ア原告Aは,平成11年4月6日,不動産開発業者から,別紙物件目録1(1)記載の土地(以下「本件土地1」という。)及び同目録1(2)記載の建物(以下「本件建物1」という。)(建売住宅)を購入した。以後,原告Aは,本件土地1及び本件建物1を所有し,同所に居住している。なお,本件土地1には,駐車場が設置されている(甲1・3・4,弁論の全趣旨)。 イ原告 という。)(建売住宅)を購入した。以後,原告Aは,本件土地1及び本件建物1を所有し,同所に居住している。なお,本件土地1には,駐車場が設置されている(甲1・3・4,弁論の全趣旨)。 イ原告Bは,平成11年8月31日,別紙物件目録記載2(1)の土地(以下「本件土地2」という。)及び同目録記載2(2)の建物(以下「本件建物2」という。)(建売住宅)を購入した。以後,原告Bは,本件土地2及び本件建物2を所有し,同所に居住している。なお,本件土地2には,駐車場が設置されている(甲2・5・6,弁論の全趣旨)。 ウ被告は,道交法8条2項に基づき,同条1項の「道路標識等によりその(車両等の)通行を禁止されている道路又はその部分」(以下「通行禁止道路」という。)について,「政令で定めるやむを得ない理由」があると認めた場合には,車両の通行を許可する旨の処分を,そうでない場合には,車両の通行を不許可とする旨の処分を行う行政庁である。 (2) 本件道路と原告ら所有地との位置関係などア原告らが,被告に対し,道交法8条2項に基づいて通行許可申請を行った本件道路は,その幅員が約5.15メートルである。 イ原告ら所有地である本件土地1・2は,別紙図面記載のとおり,本件道路の北側沿いにある。 ウ本件道路の位置関係は,別紙図面に記載したとおりである。 本件道路の北側は,原告ら所有地(本件土地1・2)及びその他の土地と接し,本件道路の南側は,車道(別紙図面の黒白抜き矢印の記載のある道路)と接しているが,同車道と本件道路の間には大きな高低差がある。 本件道路の西側は,交差点に接しているが,同交差点と本件道路の接点には,縁石(別紙図面の赤色で記載された縁石線②の部分。)とそれによる段差があり,本件道路の東側も, は大きな高低差がある。 本件道路の西側は,交差点に接しているが,同交差点と本件道路の接点には,縁石(別紙図面の赤色で記載された縁石線②の部分。)とそれによる段差があり,本件道路の東側も,交差点に接しているが,同交差点と本件道路の接点には,縁石があるものの段差はない。 (3) 原告らが車両で本件道路に進入する必要性,その方法本件道路の北側及び南側から本件道路に車両で進入することは不可能である。また,本件道路の西側は縁石による段差があり,本件道路の西側から本件道路に車両で進入することも困難である。 それゆえ,原告らが車両を運転して自宅の駐車場に入るためには,本件道路の東側から進入し,別紙図面記載の赤色矢印のとおり,本件道路上を60メートル以上にわたり,北西方向に通行するほかない。 (4) 道交法等の規定道交法8条1項は,「歩行者又は車両等は,道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分(通行禁止道路)を通行してはならない。」と,また,同条2項は,「車両は,警察署長が政令で定めるやむを得ない理由があると認めて許可したときは,前項の規定にかかわらず,道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行することができる。」と規定している。 上記「政令で定めるやむを得ない理由」について,道交法施行令6条1号は,「車庫,空地その他の当該車両を通常保管するための場所に出入りするため車両の通行を禁止されている道路又はその部分を通行しなければならないこと」を挙げている。 (5) 本件許可申請,本件不許可処分原告らは,本件道路を通行しなければ自宅の駐車場に車両を入れることができないので,道交法8条2項,道交法施行令6条1号所定の「政令で定めるやむを得ない理由」があるとして,そ ,本件不許可処分原告らは,本件道路を通行しなければ自宅の駐車場に車両を入れることができないので,道交法8条2項,道交法施行令6条1号所定の「政令で定めるやむを得ない理由」があるとして,それぞれ被告に対し,平成13年8月9日付けで,道交法8条2項に基づく本件道路の通行許可申請(本件許可申請)を行った。 すると,被告は,平成13年8月13日付け通行禁止道路通行許可申請の不許可通知書(甲1,同2)によって,原告らに対し,下記の理由でもって本件不許可処分を行った。 記本件道路は,道路交通法第2条第1項第2号にいう「歩道」であり,道路交通法第8条第1項にいう道路標識等により通行を禁止されている道路又はその部分ではなく,許可の対象ではない。 3 争点(1) 本件の争点は,抽象的には本件不許可処分の適法性であるが,具体的には,本件道路が道交法8条1項にいう通行禁止道路(「道路標識等によりその通行を禁止されている道路及びその部分」)に該当するか否かである。 (2) そして,本件では,上記争点が以下の2点に細分化される。 ア争点1本件道路は,道交法2条1項2号の「歩道」(「歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された道路の部分」)であるか否か。 イ争点2仮に,本件道路が道交法2条1項2号の「歩道」であるとしても,「歩道」も,同法8条2項の通行許可の対象となる同条1項の通行禁止道路に含まれるか。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件道路は道交法2条1項2号の歩道であるか)について(被告の主張)(1) 本件道路は,道交 の対象となる同条1項の通行禁止道路に含まれるか。 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件道路は道交法2条1項2号の歩道であるか)について(被告の主張)(1) 本件道路は,道交法2条1項2号の「歩道」(「歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された道路の部分」)である。 歩道は車両通行が法律上禁止されている(同法17条1項)ため,道交法8条1項の通行禁止道路に該当しない。したがって,本件道路は,同条2項の通行許可の対象となる道路に該当しない。 (2) 本件道路が「歩道」である根拠は,以下のとおりである。 ア本件道路は,昭和51年8月30日に一般国道250号線(通称・明姫幹線)が供用を開始されたのと同時期に,「歩道」として施工完成されたものである。 イ本件道路は,縁石線によって区画されている。 ウ本件道路に設置されている標識(以下「本件標識」という。)は,兵庫県公安委員会が設置した「自転車歩道通行可」の道路標識であり,本件道路の車両通行を禁止しているものではない。 エ本件標識の下方には,かつて「この道路は自転車歩行者専用道路であり,自動車・原付は通行できません」と記載された看板(以下「本件看板」という。)が設置されていた。 しかし,本件看板は,本件道路について放棄車両が多いとの苦情があったため,道路管理者たる兵庫県加古川土木事務所が明石警察署と協議の上,車両等の運転者に対し,本件道路は歩道であり,車両通行が禁止されている旨注意を喚起する趣旨で,平成10年10月ころ,同所に掲示したものである。 したがって,本件看板は,公安委員会が本件道路の車両通行を禁止するために設置した道交法上の道路標識等ではないことは明らかである。 旨で,平成10年10月ころ,同所に掲示したものである。 したがって,本件看板は,公安委員会が本件道路の車両通行を禁止するために設置した道交法上の道路標識等ではないことは明らかである。 オ本件道路に設置されている植栽帯(以下「植栽帯」という。)は,本件看板設置後も,依然,放棄車両が多いとの苦情があったため,平成11年3月末に設置され,現在に至ったものである。 (原告らの主張)(1) 本件道路は,道交法2条1項2号の「歩道」ではなく,同項1号の「道路」である。そして,本件道路は,本件看板(すなわち,道路標識等)によりその通行が禁止されたもので,同法8条1項の通行禁止道路に該当するから,同条2項の通行許可の対象となる。 (2) 本件道路が「歩道」でないとする根拠は,以下のとおりである。 ア原告Aの所有に係る本件建物1の建築確認がなされた平成10年12月10日当時,本件道路には縁石線は全く存在していなかった。 本件道路が,現在のように縁石線で区画され,歩道のような外形になったのは,平成11年4月以降のことで,それ以前は,常時車両が通行し,また,多数の車両が駐車していた。 イ本件建物1の建築確認がなされた当時,本件道路の東側には,車両の通行を禁止する旨の本件看板が設置されていた。その内容からすると,本件看板は,本件道路における車両通行を禁止するために設けられた道交法上の道路標識等に該当する。 ウ本件道路の縁石線や植栽帯の設置工事は,原告らに関する本件道路の通行許可が問題となった後,突然本件看板を撤去した上で,急速に行われたものである。 2 争点2(歩道も道交法8条1項の「通行禁止道路」に含まれるか)について(被告の主張)道交法8条2項の通行許可の対象となる同条1項の「通行禁止 去した上で,急速に行われたものである。 2 争点2(歩道も道交法8条1項の「通行禁止道路」に含まれるか)について(被告の主張)道交法8条2項の通行許可の対象となる同条1項の「通行禁止道路」には,「歩道」は含まれない。よって,本件道路は,同条2項の通行許可の対象となり得ない。その根拠は,以下のとおりである。 (1) 道交法8条1項にいう「道路標識等」とは,道交法上の道路標識又は道路標示を意味する(道交法2条1項4号)。したがって,「通行禁止道路」とは,「道交法4条1項の規定により公安委員会(5条の規定により権限を警察署長に委任した場合は,警察署長)が,道路標識又は道路標示を設置して,歩行者または車両等の通行を禁止した道路またはその部分」,すなわち,道路標識等が設置されているために,車両等の通行が禁止されている道路の意味である。 (2) 他方,「歩道」は,法律(道交法17条1項)上,車両の通行が禁止されている道路であり,道路標識等により車両の通行が禁止されるものとは異なる。 (3) よって,「歩道」は,同法8条1項の通行禁止道路に含まれない。 (原告らの主張)道交法8条2項の通行許可の対象となる同条1項の「通行禁止道路」には,「歩道」も含まれる。よって,本件道路は,同条2項の通行許可の対象となる。その根拠は,以下のとおりである。 (1) 「通行禁止道路」の意義ア原告らが自宅の駐車場を有効に利用するためには,本件道路を車両で通行するよりほかないが,明石警察署から,道交法8条2項の通行許可が得られない限り,車両購入に必要な車庫証明書を発行できない旨明言された。 しかし,原告らが,本件道路沿いの駐車場付自宅において,車両を保有して文化的な生活を送る利益は,法的に保護されるべき国民の生活利益であ 車両購入に必要な車庫証明書を発行できない旨明言された。 しかし,原告らが,本件道路沿いの駐車場付自宅において,車両を保有して文化的な生活を送る利益は,法的に保護されるべき国民の生活利益である。 そうすると,道交法上,歩道の車両通行に関する規定は存在しないが,規定がないというだけで一律に不許可の取扱いが正当化されるわけでなく,また,それに対する救済措置がないのは不合理である。 イそこで,道交法8条は,通行禁止道路一般についての規定で,同条1項の「通行禁止道路」には,道路標識等により車両の通行が禁止されている道路のみならず,「歩道」のような法律上車両の通行が禁止されている道路も含まれる(同項の「道路標識等により」との部分は,通行禁止道路に関する例示的表現にすぎない)と解釈すべきである。 (2) 道交法17条1項ただし書に基づく車両通行道交法17条1項ただし書は,「道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき」には,例外的に歩道の車両通行が認められる旨規定している。原告らは,まさに道路外の施設たる駐車場付き自宅に出入りするために,やむを得ず歩道を横断するものである。 したがって,原告らは,道交法17条1項ただし書により,本件道路の通行が許されるべきものである。 (3) 道交法77条1項1号に基づく使用許可被告は,かつて,工事等を行うために本件道路を車両で通行しようとする業者に対し,道交法77条1項1号に基づいて,本件道路の使用許可を与えたことがある。すなわち,被告は,本件以外では,歩道であっても一般道路と同様に使用許可の対象として取り扱っているにもかかわらず,本件に関してだけは,歩道の通行許可に関する規定がないとして,一律に不許可の取扱いを 。すなわち,被告は,本件以外では,歩道であっても一般道路と同様に使用許可の対象として取り扱っているにもかかわらず,本件に関してだけは,歩道の通行許可に関する規定がないとして,一律に不許可の取扱いをなすが,不合理である。 (4) 憲法29条違反一般に,私人の所有地と車道の間に歩道が介在し,車道へ出るにあたって,歩道上を長距離にわたり車両で通行するほかないというケースは,多く存在するものと思われる。 このような場合に,原告らのような立場にある土地所有者が,車道から自己の所有地に車両で進入する道路通行権を一律に制限され,何ら法的救済の途が開かれないとすれば,かかる土地所有者は当該土地所有権の行使を不当に制限される結果となる。 道交法がこのような事態を招来するとすれば,財産権の本質的侵害にあたり,かかる道交法に基づく本件処分は,憲法29条1項,同条3項に違反する違法がある。 (5) 国家賠償法2条1項の瑕疵原告らは,本件道路沿いに土地を所有し,当該土地での社会生活維持のために,本件道路の利用権を有している。かかる権利の侵害は,住民として当然受忍すべきものではないにもかかわらず,本件不許可処分により,原告らは本件道路の利用権を侵害された。 かかる原告らに,何ら法的救済の途が開かれてないとすれば,本件道路には,国家賠償法2条1項にいう道路の設置又は管理上の瑕疵があると言える。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(本件道路は道交法2条1項2号の「歩道」であるか)について(1) 事実の認定前記第2の2の前提事実に,証拠(甲9,甲10,乙1~4)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア本件道路の設置本件道路は,一般国道250号線が供用開始( 記第2の2の前提事実に,証拠(甲9,甲10,乙1~4)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 ア本件道路の設置本件道路は,一般国道250号線が供用開始(兵庫県告示第1762号)された昭和51年8月30日ころ,当該国道の一部に「歩道」として施工完成されたものである(乙3)。 イ本件道路の位置,形状本件道路の西側は,交差点に接しているが,同交差点と本件道路の接点には,縁石(別紙図面の赤色で記載された縁石線②の部分。)とそれによる段差があり(乙1の写真③④),本件道路の東側も,交差点に接しているが,同交差点と本件道路の接点には,縁石があるものの段差はない(乙1の写真⑥⑦⑧⑨)。このように,本件道路は,その西側及び東側(本件道路の両端)が縁石線で区画されている。 他方,本件道路の北側は,原告ら所有地(本件土地1・2)及びその他の土地と接し(乙1の写真①⑩⑪),本件道路の南側は,車道(別紙図面の黒白抜き矢印の記載のある道路)と接しているが,同車道と本件道路の間には大きな高低差がある(乙1の写真①②)。このように,本件道路の南側は車道と接しているが,同車道と本件道路の間には大きな高低差があるため,本件道路の南側には縁石線が施工されていない。 このような本件道路の形状は,昭和51年8月30日に,本件道路が「歩道」として施工完成された当時から変更されていない(乙3)。 ウ本件標識の設置本件道路の東側には,国道250号線が共用開始された昭和51年8月30日から,本件標識(自転車歩道通行可の標識)が設置された。本件標識(乙1の写真⑪)は,道交法63条の4第1項及び同法4条1項に基づき,兵庫県公安委員会が,自転車が本件道路(歩道)を通行することを許 0日から,本件標識(自転車歩道通行可の標識)が設置された。本件標識(乙1の写真⑪)は,道交法63条の4第1項及び同法4条1項に基づき,兵庫県公安委員会が,自転車が本件道路(歩道)を通行することを許可した「自転車歩道通行可」の規制の存在を示す道路標識であって,道交法上の道路標識に該当するが,これにより本件道路の車両通行が禁止されたものではない。 エ本件看板の設置平成10年10月ころ,本件道路の東側にある本件標識の下方に,「この道路は自転車歩行者専用道路であり,自動車・原付は通行できません」と記載された本件看板があった。 本件看板が設置されたのは,本件道路に放棄車両が多く,近隣住民から同車両に対する苦情が出ていたため,道路管理者たる兵庫県加古川土木事務所が明石警察署と協議の上,自動車及び原付の運転者に対し,本件道路は歩道であって,法律(道交法17条1項)上,車両の通行が禁止され,車両の通行ができない旨の注意を喚起するため掲示されたものである。 オ植栽帯の設置本件看板が設置された後も,近隣住民からは,本件道路上に放棄車両が多いとの苦情が絶えなかった。 そこで,兵庫県加古川土木事務所は,地元の要請に応えるため,平成11年3月末に,本件道路内に幅員約1.8メートルの植栽帯を設置した。 カ本件看板の撤去被告は,植栽帯設置以後,本件道路に関する苦情が減少したこともあって,本件看板を設置しておく必要性が減少したと判断し,道路管理者たる兵庫県加古川土木事務所に対し,撤去を依頼した。そこで,同事務所は,平成12年7月,本件看板を撤去した。 (2) 検討ア道交法2条1項2号所定の「歩道」の意義歩道とは,「歩行者の通行の用に供するた 対し,撤去を依頼した。そこで,同事務所は,平成12年7月,本件看板を撤去した。 (2) 検討ア道交法2条1項2号所定の「歩道」の意義歩道とは,「歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された道路の部分」をいう(道交法2条1項2号)。 イ本件道路が「歩道」であることこれを本件について見るに,次のとおり,本件道路は,道交法2条1項2号所定の「歩道」であることが認められる。 (ア) 本件道路は,一般国道250号線が供用開始された昭和51年8月30日ころ,当該国道の一部に「歩道」として施工完成されたものである(前記(1)ア)。 (イ) 本件道路は,昭和51年8月30日当時から,その西側及び東側(本件道路の両端)が縁石線で区画され,その北側は原告ら所有地を始めとする民有地と接し,その南側は車道と接しているが,車道とは大きな高低差がある(前記(1)イ)。 したがって,本件道路は,「縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された道路の部分」(道交法2条1項2号)といえる。 (ウ) 本件道路は,昭和51年8月30日当時から,道交法63条の4第1項により,本件道路を自転車が通行できる旨の公安委員会規制が実施され,「自転車歩道通行可」の標識(本件標識)が設置された(前記(1)ウ)。 このように,本件標識自体が本件道路が歩道であることを示しており,兵庫県公安委員会も,昭和51年8月30日当時から,本件道路を歩道として扱っていたものである。 ウ原告ら主張の検討(ア) 原告らは,「本件建物1の建築確認がなされた当時,本件道路の東側には,車両の通行を禁止する旨の本件看板が設 路を歩道として扱っていたものである。 ウ原告ら主張の検討(ア) 原告らは,「本件建物1の建築確認がなされた当時,本件道路の東側には,車両の通行を禁止する旨の本件看板が設置されていた。その内容からすると,本件看板は,本件道路における車両通行を禁止するために設けられた道交法上の道路標識等に該当する。」と主張する。 (イ) しかし,前示(1)エのとおり,本件道路に放棄車両が多く,住民から同車両に対する苦情が出ていたため,道路管理者たる兵庫県加古川土木事務所が明石警察署と協議の上,自動車及び原付の運転者に対し,本件道路は歩道であって,法律(道交法17条1項)上,車両の通行が禁止され,車両の通行ができない旨の注意を喚起するため,本件看板を設置したものである。 原告らは,本件看板は道交法上の道路標識等に該当すると主張するが,道交法上の道路標識等の設置主体は公安委員会(道交法4条1項)又は警察署長(道交法5条1項)であるのに,本件看板を設置したのは道路管理者である兵庫県加古川土木事務所であるから(前示(1)エ),本件看板は道交法上の道路標識等ではなく,これにより本件道路の車両通行が禁止されていたものではない。 (ウ) それゆえ,原告らの上記(ア)の主張は採用できない。 2 争点2(歩道も道交法8条1項の「通行禁止道路」に含まれるか)について(1) 歩道は道交法8条1項の「通行禁止道路」に含まれないこと道交法8条2項により警察署長が通行を許可することができる道路は,同条1項と同じく,「道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分」をいう。 そして,「道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分」とは,「公安委員会(道交法4条1項)又は警察署長(道交 路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分」をいう。 そして,「道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分」とは,「公安委員会(道交法4条1項)又は警察署長(道交法5条1項)が道路標識等を設置して,歩行者又は車両等の通行を禁止した道路又はその部分」であり,歩道は含まれない。 他方,「歩道」は,法律(道交法17条1項)上,車両の通行が禁止されている道路であり,道路標識等により車両の通行が禁止されるものとは異なる。それゆえ,歩道は道交法8条1項の通行禁止道路には該当しない。 (2) 原告ら主張の検討ア原告ら主張(2)(道交法17条1項ただし書に基づく車両通行)について(ア) 原告らは,「原告らは,道交法17条1項ただし書により,本件道路の通行が許されるべきものである。」と主張する。 (イ) しかし,道交法17条1項ただし書は,車両の運転者が,警察署長の許可を要することなく,歩道等を横断等することができる場合を規定しているのであって,道交法8条2項の許可の問題とは関係がない。それゆえ,原告らの上記(ア)の主張は,主張自体が失当である。 (ウ) しかも,原告らが車両を運転して自宅の駐車場に入るためには,本件道路の東側から進入し,別紙図面記載の赤色矢印のとおり,本件道路上を60メートル以上にわたり,北西方向に通行するほかなく,その逆に,原告らが車両を運転して自宅の駐車場から車道に出るには,本件道路を南東方向に通行したうえ,別紙図面記載の縁石線①から車道に出るほかない(乙1,弁論の全趣旨)。 しかし,このような通行方法は,歩道の「横断」ではなく「縦断」であり,道交法17条1項ただし書で規定されている「道路外の施設又は場所に出入するためや 出るほかない(乙1,弁論の全趣旨)。 しかし,このような通行方法は,歩道の「横断」ではなく「縦断」であり,道交法17条1項ただし書で規定されている「道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき」には該当せず,許容されるものではない。 イ原告ら主張(3)(道交法77条1項1号に基づく使用許可)について(ア) 原告らは,被告が,工事等のために本件道路を車両で通行しようとする業者に対し,道交法77条1項1号に基づく本件道路の使用許可を与えていることを理由に,本件不許可処分は不合理であると主張する。 (イ) しかし,道交法77条1項1号は,道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人に対する道路使用の許可を定めたものである。 このように,道交法77条1項の道路使用の許可と道交法8条2項の通行禁止道路の通行許可は,根拠となる道交法の規定,許可が問題となる場面・対象を全く異にするものである。 (ウ) 原告らは,道交法について独自の誤った解釈を前提に,特異な主張を展開しているのであり,被告がかつて道交法77条1項1号に基づく本件道路の使用許可をした事例があるからといって,本件不許可処分が違法である根拠とはならない。 それゆえ,原告らの前記(ア)の主張も採用できない。 ウ原告ら主張(4)(憲法29条違反)について(ア) 原告らは,車道から自己所有地に車両で進入する道路通行権を一律に制限され,何ら法的救済の途が開かれないとすれば,本件土地1・2の所有権の行使を不当に制限される結果となることを理由に,本件不許可処分は憲法29条1,3項に違反すると主張する。 (イ) しか ,何ら法的救済の途が開かれないとすれば,本件土地1・2の所有権の行使を不当に制限される結果となることを理由に,本件不許可処分は憲法29条1,3項に違反すると主張する。 (イ) しかし,原告らは,平成11年に,本件道路の北側に接する原告ら所有地(本件土地1・2)を建売業者から購入したのであり(前記第2の2(1)),本件道路は,昭和51年8月30日ころ,当該国道の一部に「歩道」として施工完成されたものである(前記第4の1(1)ア)。 すなわち,原告らは,建売業者から,本件土地1・2が接する公道(本件道路)は歩道であるため,本件道路(歩道)を車両で通行して車道に出ることもできない(道交法17条1項参照)という制約を課されている本件土地1・2を購入したのである。そうすると,原告らは,もともと,そのような土地所有権の行使に制約を課されている土地を購入したのであるから,本件不許可処分は憲法29条1,3項に違反するものではない。 原告らが本件土地1・2を購入するに際し,建売業者から,本件道路(歩道)を車両で通行して車道に出ることができると説明を受けていたのであれば,建売業者に対し,瑕疵担保責任,債務不履行責任,不法行為責任を追及すればよいのであって,原告らにはそのような法的救済手段が認められているのである。 (ウ) それゆえ,原告らの前記(ア)の主張も採用できない。 エ原告ら主張(5)(国家賠償法2条1項の瑕疵)について(ア) 原告らは,「本件不許可処分により,本件道路の利用権を侵害された。かかる原告らに,何らの法的救済の途が開かれてないとすれば,国家賠償法2条1項にいう道路の設置又は管理上の瑕疵があると言える。」と主張する。 (イ) し により,本件道路の利用権を侵害された。かかる原告らに,何らの法的救済の途が開かれてないとすれば,国家賠償法2条1項にいう道路の設置又は管理上の瑕疵があると言える。」と主張する。 (イ) しかし,そもそも,原告らの上記主張は,その主張自体が本件不許可処分の違法事由と評価できるものか疑問であるうえ,これまで繰り返し説示してきたとおり,本件道路は,もともと,沿線住民が車両では通行できない歩道として施工され,供用が開始された道路であり,その設置又は管理に瑕疵があるものとは認められない。 (ウ) 原告らの前記(ア)の主張も,独自の法律解釈を前提とするもので,採用することができない。 3 まとめ以上のとおり,本件道路は,道交法2条1項2号の「歩道」であり,歩道は車両通行が法律上禁止されている(同法17条1項)ため,道交法8条1項の「通行禁止道路」に該当しない。したがって,本件道路は,同条2項の通行許可の対象となる道路には当たらないものである。 ところが,原告らは,本件道路が同条2項の通行許可の対象となる道路に当たることを前提に,本件不許可処分は違法であると主張するのであり,原告らの本件不許可処分取消請求は理由がない。 第4 結論以上の次第で,原告らの本訴請求は,理由がないので棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官秋田志保 哲裁判官 秋田志保

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