平成10(行コ)12 文書開示拒否処分取消請求控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成8年(行ウ)第8号)

裁判年月日・裁判所
平成12年3月17日 仙台高等裁判所 情報公開
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判決文本文8,065 文字)

主文 一原判決中、控訴人敗訴の部分を取り消す。 二被控訴人が控訴人に対して平成八年七月五日付けでした別紙文書目録②記載の文書を開示しないとの処分を取り消す。 三被控訴人が控訴人に対して平成八年七月五日付けでした別紙文書目録③記載の文書を開示しないとの処分を取り消す。 四被控訴人が控訴人に対して平成八年七月八日付けでした別紙文書目録④記載の文書(ただし、「支出命令決議書及び支出負担行為兼支出命令決議書」及び「返納決議書」を除く。)を開示しないとの処分を取り消す。 五訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一控訴人(控訴の趣旨)主文同旨(当審における新たな予備的請求) 1 被控訴人が控訴人に対して平成八年七月五日付けでした別紙文書目録②記載の文書に対する控訴人の開示請求を受理しないとの処分を取り消す。 2 被控訴人が控訴人に対して平成八年七月五日付けでした別紙文書目録③記載の文書に対する控訴人の開示請求を受理しないとの処分を取り消す。 3 被控訴人が控訴人に対して平成八年七月八日付けでした別紙文書目録④記載の文書(ただし、「支出命令決議書及び支出負担行為兼支出命令決議書」及び「返納決議書」を除く。)に対する控訴人の開示請求を受理しないとの処分を取り消す。 二被控訴人 1 本件控訴を棄却する(ただし、本来は、原判決中、控訴人敗訴の部分を取り消し、これに係る控訴人の訴えをいずれも却下するのが相当である。)。 2 控訴人の当審における新たな予備的請求をいずれも棄却する。 3 控訴費用は控訴人の負担とする。 第二当事者の主張当事者の主張は、次のとおり付加するほか、原判決「事実」欄の「第二当事者の主張」(ただし、控訴人敗訴関係部分)記載のとおりであるから、これを引用する。 は控訴人の負担とする。 第二当事者の主張当事者の主張は、次のとおり付加するほか、原判決「事実」欄の「第二当事者の主張」(ただし、控訴人敗訴関係部分)記載のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決九頁二行目の末尾に左のとおり加える。 「また、仮に、②ないし④の処分を当該文書の開示請求を受理しない旨の処分と解すべきであるとしても、これが違法であることは同様である。」 2 同二〇頁九行目の末尾に左のとおり加える。 「なお、②ないし④の文書のうち、支出命令決議書、支出負担行為兼旅費支出命令決議書及び返納決議書が宮城県財務規則八九条による保管等の対象となる支出証拠書類等に該当することは認めるが、その余の文書が右支出証拠書類等に該当するとの点は争う。」 3 同二八頁八行目の「主張するが、」の次に左のとおり加える。 「そのような解釈は、地方自治法上、予算執行権限が被控訴人に専属すること及びこれを前提とする宮城県財務規則等によって、被控訴人部局の職員である支出命令者及び出納執行者が支出証拠書類等(②ないし①の文書は、いずれも右支出証拠書類等に該当する。)を保管すべきものとされていることに反するものであり、許されない。」 4 同二九頁七行目の次に、行を改めて左のとおり加える。 「なお、実施機関は、当該文書を現実に保管、保存していなかったとしても、これをいつでも取り寄せて利用、処分し得る権限を有していれば、非開示事由該当性等を迅速かつ的確に判断することが十分可能である。したがって、当該文書を現実に保管、保存していないことから右の判断に支障があるとして、(ウ)の要件を欠くというのは誤りである。」第三証拠関係証拠関係は、原審及び当審記録中の各書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。 理由 一基本的な事実関係等請 )の要件を欠くというのは誤りである。」第三証拠関係証拠関係は、原審及び当審記録中の各書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。 理由 一基本的な事実関係等請求原因1(当事者)の(一)、(二)の事実及び同2(本件処分の存在)のうち、控訴人が被控訴人に対し、②ないし④の文書につきそれぞれ開示請求をし、被控訴人がいずれもこれに応じなかったことは、当事者間に争いがない。 また、本件(原審における控訴人敗訴関係部分)に関する基本的な事実関係は、原判決三六頁一〇行目から五〇頁五行目まで説示のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決三八頁一行目の「同条」を「宮城県財務規則八二条」に、四〇頁末行の「署面」を「書面」に改め、右引用部分中に「決済」とあるのをいずれも「決裁」に改める。 二 ②ないし④の処分の性格について当裁判所も、被控訴人がした②ないし④の処分は、少なくとも、その実質は、当該開示請求に係る文書を開示しない旨の処分であり、右開示請求自体を受理しない旨の処分ではないと解するのが相当と判断する。その理由は、次に付加するほか、原判決三四頁末行の「②ないし④の処分」から三六頁八行目の「みることができる」まで説示のとおりであるから、これを引用する。 1 原判決三六頁三行目の「右の」から五行目の「その点は」までを左のとおり改める。 「右の「実施機関の定める事項」として、被控訴人において、請求の対象である公文書の存在が請求の要件であるとの定めを置いていると認めるに足りる証拠はないから、請求に係る公文書の存否の点は」 2 同三六頁六行目の「可能である。」の次に左のとおり加える。 「むしろ、公文書の存在を、開示請求をする上での前提として必要な適法要件とする旨の明文の規定がない限り、行政処分の手続的な明確性の観点 2 同三六頁六行目の「可能である。」の次に左のとおり加える。 「むしろ、公文書の存在を、開示請求をする上での前提として必要な適法要件とする旨の明文の規定がない限り、行政処分の手続的な明確性の観点からしても、公文書の不存在を理由として開示請求に応じないことを、被控訴人主張のように、非開示処分とは別個の類型の処分と解することは困難である。」 3 同三六頁八行目の「みることができる」を「いうべきである。」に改める。 三 ②ないし④の処分の違法性について前記一の基本的な事実関係等に基づき、②ないし④の処分の違法性について判断する。 右判断の前提として、議会(宮城県議会)及び県警本部(宮城県警察本部)の職員が、被控訴人に属する予算執行権に関し、その補助執行として作成、取得する文書(以下、このような性質を有する文書を「補助執行文書」ともいう。)の性格づけが重要となるので、まず、この点についてみるに、いわゆる本務としては議会や県警本部の職員に任ぜられている者であっても、その者が右のとおり被控訴人に専属する予算執行権の行使を補助する趣旨で(明示若しくは黙示の併任により)、関係文書の作成、取得に当たる場合には、その職務内容は、法律上、被控訴人部局の職員として職務を担当・遂行するのと同様の性質を帯びるものというべきである。 また、これについて、被控訴人が、本来の予算執行権者としての監督等の権限を有し、反面、その内容、結果等について地方自治法上の責任を負うべきことも当然である。この点に関し、被控訴人は、右の場合に、議会や県警本部の職員が補助執行や併任の形で関係文書の作成等に当たるのは、飽くまでも行政上の目的を達するための法的手段にすぎないなどと主張するが、その趣旨が被控訴人の本来の予算執行権が形式的なものにとどまるというのであれば、地方自治法の趣旨、原則 書の作成等に当たるのは、飽くまでも行政上の目的を達するための法的手段にすぎないなどと主張するが、その趣旨が被控訴人の本来の予算執行権が形式的なものにとどまるというのであれば、地方自治法の趣旨、原則に照らし到底採用し難い考え方であるし、補助執行や併任ということに実質的な意味があること自体は否定しないというのであれば、これに関する前示の解釈に対する有効な反論にはなり得ていないというべきである。 そして、議会や県警本部職員が補助執行文書として作成、取得する文書については、特段の事情がない限り、少なくとも、被控訴人ないしその部局の職員が直接作成、取得する文書と、情報公開の関係において、これを別異に扱うべき理由はないと解するのが本来的な考え方であるといわざるを得ない。すなわち、被控訴人等の公的な機関が情報公開制度を設ける場合には、当該公的機関ないしその職員がその職務との関係においてかかわりをもった文書について、ともかくもこれを公開の対象範囲とする(非開示事由をどう定めるかは別の問題として)のが基本というべく、この点があいまいであったり、恣意的な運用を許すというのでは、情報公開制度自体が円滑に機能しないことは明らかである。もっとも、右のように当該公的機関がかかわりをもつ類型の文書であっても、それについて他の機関との関係でもかかわりがあり、かつ、他の機関の職務内容等との関係でその情報公開を否定的に解すべき事由があるときは、右にいう他の機関に関する文書の開示を全面的に許さないとする取扱いないし規定の仕方があり得ないではない(この場合は、なお、一種の非開示事由の定め方の問題に帰せられないわけではない。)。しかし、その場合には、少なくとも、その旨の解釈の余地を残さないほどの明確な規定が必要か、関係規定の解釈上これを肯定するに足りるだけの積極的な合理性 由の定め方の問題に帰せられないわけではない。)。しかし、その場合には、少なくとも、その旨の解釈の余地を残さないほどの明確な規定が必要か、関係規定の解釈上これを肯定するに足りるだけの積極的な合理性の存在が必要というべきである。 以上の点を踏まえて、本件における県条例二条二項所定の「公文書」の意味について検討する。 この点について、被控訴人は、要するに、さきに検討した議会や県警本部職員が補助執行文書として作成、取得する文書につき、いわゆる三要件(前記引用に係る原判決一四頁五ないし七行目の(ア)(イ)(ウ)の要件)のいずれをも欠くとして、かかる文書は県条例上の一実施機関たる被控訴人が開示・非開示を判断すべき文書に当たらないと結論づける。しかし、その基本的な前提となる、かかる文書との関係では議会や県警本部職員が被控訴人部局の職員とはならないとの被控訴人の考え方が採り得ないことは前示のとおりであって、少なくとも、かかる文書は、被控訴人部局の職員が作成、取得した文書と解さざるを得ないというべきである。そして、同様に、その文書の決裁・供覧及び管理の事務についても、議会や県警本部職員がその作成、取得と一連の手続としてこれらの事務を行っている以上(前認定事実によれば、この点を否定的に解すべき根拠はない。)、これらの事務に関しても、当該職員は、被控訴人部局の職員としての職務を担当・遂行していると解すべく、したがって、これらの文書は、県条例二条二項の前記三要件のいずれをも満たすものと解するのが相当である。 なお、被控訴人は、特に、管理の要件(前記(ウ)の要件)に関し、被控訴人に管理がないことの根拠として、当該文書が議会や県警本部独自の規程等に従い、現実に議会や県警本部内の各課等で保管されている点を強調するけれども、被控訴人に予算執行権が専属すること )に関し、被控訴人に管理がないことの根拠として、当該文書が議会や県警本部独自の規程等に従い、現実に議会や県警本部内の各課等で保管されている点を強調するけれども、被控訴人に予算執行権が専属することの当然の帰結として、本来、かかる文書の保管についても、宮城県の財務規則(乙二)の適用があるのであり、少なくとも、被控訴人が議会や県警本部独自の規程等と指摘するものが、法律上、右財務規則の存在とかかわりなく定められていると解することはできず、これらの規程等も、飽くまでも、被控訴人の権限を前提としつつ、その具体的な保管方法についての委任を受けて制定されているものと解すべきであって、被控訴人がこれらの文書につき有する管理権限及びこれに基づく法的な管理の事実を排斥すべき根拠とはならないというべきである。 以上によれば、議会や県警本部職員が補助執行文書として作成、取得し、その後一連の手続として、これを決裁、供覧に付した後、保管するに至った文書は、さきに指摘したとおり、これを覆す明確な規定が存するか、これを実質的に不合理とする積極的な根拠がない限り、県条例二条二項にいう被控訴人を実施機関とする公文書に当たるというべきである。 そこで、右特段の事情の有無についてみるに、まず、県条例上、右解釈を覆すべき明確な規定が存するとは到底いうことができない。被控訴人は、あるいは、(1)県条例二条一項において、議会や県警本部を管理する公安委員会が実施機関に含まれないとされていることや、(2)同条二項所定の公文書の要件として、その作成、取得とは別に、管理の要件が掲げられていることをもって、右類型の文書(補助執行文書)が被控訴人との関係での公文書に当たらないことはおのずから明らかであるとの見解に立つようにも思われる。しかし、これらの規定が通常の意味で、県条例上解釈の余地 とをもって、右類型の文書(補助執行文書)が被控訴人との関係での公文書に当たらないことはおのずから明らかであるとの見解に立つようにも思われる。しかし、これらの規定が通常の意味で、県条例上解釈の余地のないほど、右類型の文書が情報公開の対象とされない趣旨を明らかにしているとは到底いうことができない(文理上からそうであるだけでなく、県条例は、他方において、例えば、三条で、「実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、県民の公文書の開示を求める権利を十分尊重するものとする。」旨規定し、直接的には各実施機関を前提にするとはいえ、情報公開請求権の尊重をうたっているのであって、かかる規定の存在は、「実施機関」や「公文書」の解釈との関係でも、無視することができないというべきである。)。のみならず、(1)の点については、議会や公安委員会独自の(被控訴人の予算執行権とは直接関係がない)事務に関する文書は、情報公開の対象範囲としないとの限度で、(その規定の当否はともかくとして)積極的な意味づけが可能であり、また、(2)についても、たとえ職務上作成、取得した文書といえども、後に全くその管理を離れたものまで情報公開の対象範囲とはしないという意味で、これまた存在意義があるといえるから、いずれにしても、右、(1)、(2)のような規定の存在をもって、被控訴人の主張を肯定すべき特段の事情があるということはできない。 また、その他、議会や県警本部職員が補助執行文書として作成、取得する文書につき、例外的にこれを開示の対象範囲からはずすべき積極的な合理性があるとも考えられない。すなわち、この点も、被控訴人の主張をそんたくすると、(1)議会や県警本部の独自の事務処理等が損なわれるおそれがあること、(2)実施機関が競合することになり、開示手続が混乱するおそれがあること、( 。すなわち、この点も、被控訴人の主張をそんたくすると、(1)議会や県警本部の独自の事務処理等が損なわれるおそれがあること、(2)実施機関が競合することになり、開示手続が混乱するおそれがあること、(3)手元にない文書の開示・非開示を判断することになり、迅速・的確な判断が困難であること、などの点が一応問題とされる余地がある。しかし、(1)に関しては、前示のとおり、議会や県警本部の独自の事務処理等に係る文書までもが被控訴人を実施機関とする公文書となるわけではなく、格別不都合が生ずるとは解し難い(仮に、予算執行に関する文書が一体として同時に議会や県警本部の独自の事務処理等に関する文書でもある場合で、かつ、その独自の事務処理等との関係で非開示事由が存するのであれば、その理由で、被控訴人においてこれを非開示とする処分ができると解される。)。また、(2)に関しては、仮に競合の問題が生ずるとしても、実際には、開示請求を受けた機関において県条例上の手続を進めれば足りるから、実施機関の所在が不明確である場合等とは異なり、具体的な支障は生じないと考えられる。さらに、(3)に関しても、たとえ、実施機関と当該文書の実際の作成場所や保管場所が異なったとしても、関係機関相互間の文書取り寄せや意見聴取等の調整によって、開示・非開示の迅速・的確な判断に特に著しい支障が生ずるとは解し難い。なお、被控訴人自身、特に補助執行文書において、他の文書とは異なり、類型的に開示を避けるべき具体的な理由が存するというような主張はしていないのみならず、仮に、そのような個別的な特殊事情があるとしても、その点は、前示のとおり、関係機関相互間の調整をも踏まえた非開示事由の存否の判断として対応すれば足りる問題というべきである。 以上検討したところによれば、少なくとも、当該文書が補助執行文書に しても、その点は、前示のとおり、関係機関相互間の調整をも踏まえた非開示事由の存否の判断として対応すれば足りる問題というべきである。 以上検討したところによれば、少なくとも、当該文書が補助執行文書に該当するものである限り、その文書は、被控訴人を実施機関とする県条例二条二項所定の公文書の要件を満たすというべきである。そして、前認定事実によれば、被控訴人が右の意味で補助執行文書自体に当たらない旨主張する一部の文書を含め、本件②ないし④の文書は、すべて、予算執行に関する旅費の請求、支払及びその正当性の確認を目的とする、右執行に密接に関連する文書であると認められるから、いずれも、補助執行文書であるというべきである。 そうすると、本件②ないし④の文書は、いずれも、被控訴人を実施機関とする県条例二条二項所定の公文書に当たるところ、被控訴人は、これを否定し、実施機関たる被控訴人には②ないし④の文書が存在しないものとして本件②ないし④の処分をしたものであり、右の各処分は、その点に違法があるから、いずれも取り消すべきものである。ちなみに、右各処分は、当該文書につき非開示事由(県条例九条)があるか否かの判断を全く伴わない、言わば形式的な理由による非開示決定というべきものであり、このような場合、被控訴人の右非開示事由の存否に関する行政機関としての第一次的な判断権は、なお被控訴人に留保されていると解される。 四結論よって、本件②ないし④の処分は、県条例二条二項の解釈を誤った点に違法があり、これを理由としていずれも取り消されるべく、控訴人の請求中、右各処分の取消しを求める部分(主位的請求部分)は、いずれも認容されるべきものであるから、これと結論を異にする原判決中の控訴人敗訴の部分を取り消した上、被控訴人の②ないし④の処分を取り消すこととし、主文のとおり判決 を求める部分(主位的請求部分)は、いずれも認容されるべきものであるから、これと結論を異にする原判決中の控訴人敗訴の部分を取り消した上、被控訴人の②ないし④の処分を取り消すこととし、主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第一民事部裁判長裁判官武藤冬士己裁判官畑中英明裁判官木下徹信文書目録②議会(議員及び職員)の出張に関する一切の資料(平成六、七年度)及び旅費受領代理人普通預金通帳(平成五、六、七年度)文書目録③警察本部総務課職員の出張に関する一切の資料(平成六、七年度)及び旅費受領代理人普通預金通帳(平成五、六、七年度)文書目録④平成三年度から平成七年度までの県議会各会派に対する県政調査費交付に関する一切の資料

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