平成12(行ウ)102等 法人税更正処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年2月14日 大阪地方裁判所 租税
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判決文本文45,338 文字)

主文 1 被告大阪国税局長が原告に対して平成11年2月10日付けでなした平成9年10月1日から平成10年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る還付金等による委託納付の取消しを求める訴えを却下する。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告大淀税務署長が原告に対して平成10年9月30日付けでなした平成6年10月1日から平成7年9月30日までの事業年度の法人税の更正,並びに平成7年10月1日から平成8年9月30日までの事業年度及び平成8年10月1日から平成9年9月30日までの事業年度の法人税の各更正及び過少申告加算税の各賦課決定を取り消す。 2 被告大阪国税局長が原告に対して平成11年1月13日付けでなした平成9年10月1日から平成10年9月30日までの事業年度の法人税に係る還付金の充当を取り消す。 3 被告大阪国税局長が原告に対して平成11年2月10日付けでなした平成9年10月1日から平成10年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る還付金等による委託納付を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告が,①被告大淀税務署長に対し,同被告が平成10年9月30日付けでなした原告の平成6年10月1日から平成7年9月30日までの事業年度(以下「平成7年9月期」という。)の法人税の更正,並びに平成7年10月1日から平成8年9月30日までの事業年度(以下「平成8年9月期」という。)及び平成8年10月1日から平成9年9月30日までの事業年度(以下「平成9年9月期」という。)の法人税の各更正及び過少申告加算税の各賦課決定の取消しを求め(以下,原告が取消しを求める3つの更正を「本件各更正」,2つの過少申告加算税の賦課決定を「本件各賦課決定」という。), 月期」という。)の法人税の各更正及び過少申告加算税の各賦課決定の取消しを求め(以下,原告が取消しを求める3つの更正を「本件各更正」,2つの過少申告加算税の賦課決定を「本件各賦課決定」という。),②被告大阪国税局長に対し,同被告が上記平成8年9月期の更正を前提として平成11年1月13日付けでなした平成9年10月1日から平成10年9月30日までの事業年度(以下「平成10年9月期」という。)の法人税に係る還付金の充当処分(以下「本件充当」という。)及び同被告が平成11年2月10日付けでなした平成9年10月1日から平成10年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税に係る還付金等による委託納付(以下「本件委託納付」という。)の取消しを求める事案である。 本件各更正は,原告が租税特別措置法(以下「措置法」という。)64条の2の収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(以下「本件特例」という。)の適用を前提として確定申告したものを被告大淀税務署長が同適用を否定するなどして行ったものである。 1 関連法規の定め(1)圧縮記帳制度ア圧縮記帳の制度について本件特例は,補助金等の特定の収益をもって固定資産を取得しまたは改良した場合に,その資産に,実際の取得価額よりもその収益の額に相当する金額(またはその範囲内の金額)だけ減額した低い帳簿価額をつけ,この減額した金額を損金に算入し,さしあたり当該収益を課税の対象から除外し,一方,固定資産の減価償却の基礎となる取得価額が現実の取得価額から上記損金算入額を差し引いた金額となり,また,それが譲渡された場合の譲渡益の計算上控除される取得価額も,圧縮された金額を基礎とすることから,国が後に税収を回復することになる,課税の繰延べを目的としたいわゆる圧縮記帳の一例である。 イ収用等に伴い特別勘定を設け 合の譲渡益の計算上控除される取得価額も,圧縮された金額を基礎とすることから,国が後に税収を回復することになる,課税の繰延べを目的としたいわゆる圧縮記帳の一例である。 イ収用等に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例(本件特例)(ア)収用等により譲渡した資産について補償金等を取得して譲渡益がある場合には,その譲渡益に相当する金額については,代替資産を取得してその取得価額を圧縮記帳して課税の特例を受けることができる(措置法64条)が,収用等のあった日を含む事業年度において代替資産を取得しなかった場合には,その事業年度においては,圧縮記帳をすることはできない。 (イ)しかし,措置法第64条の2第1項は「当該法人が,収用等のあった日を含む事業年度の翌事業年度開始の日から収用等のあった日以後2年を経過する日までの期間(当該収用等に係る事業の全部又は一部が完了しないこと,工場等の建設に要する期間が通常2年を超えることその他のやむを得ない事情があるため,当該期間内に代替資産を取得することが困難である場合で政令で定める場合には,当該代替資産については,当該翌事業年度開始の日から政令で定める日までの期間。以下この条において「指定期間」という。)内に補償金,対価又は清算金の額(中略)の全部又は一部に相当する金額をもって代替資産を取得する見込であり,かつ,当該収用等のあった日を含む事業年度の確定した決算(中略)において当該補償金,対価又は清算金の額を代替資産の取得に充てようとするものの額に差益割合を乗じて計算した金額を特別勘定として経理したときは,その経理した金額に相当する金額は当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する」と規定し,法人がその対価補償金の全部又は一部をもって,収用等のあった事業年度の翌事業年度開始の日以後一定の期間(指定期間)内に 相当する金額は当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する」と規定し,法人がその対価補償金の全部又は一部をもって,収用等のあった事業年度の翌事業年度開始の日以後一定の期間(指定期間)内に当該収用等された資産の代替資産を取得する見込みである場合には,その収用等のあった日を含む事業年度において代替資産を取得しているにもかかわらず圧縮記帳をしなかったときを除き,その譲渡益に相当する金額を特別勘定として繰り延べ,代替資産を取得した際に圧縮記帳をさせることとしている(本件特例ただし,平成13年法律第7号による改正前のもの。以下特にことわらない場合,措置法64条の2の規定は同改正前の規定を指す。なお,措置法64条の特例と本件特例を併せて「収用等特例」という。)。 (ウ)上記のとおり,本件特例は,原則として収用等があった日以後2年以内において取得されたものに限られるが,措置法64条の2第1項かっこ書の代替資産の取得時期の特例(延長)が認められる場合は,措置法施行令39条11項(ただし,平成12年政令307号による改正前のもの。以下同じ。現行措置法施行令39条15項)において定められており,収用事業が完了しない場合(同項1号)及び譲渡資産が内水面漁業権である場合(同項2号)のほか,同項3号は「収用等のあったことに伴い,工場,事務所その他の建物,構築物又は機械及び装置(以下この号において「工場等」という。)の建設又は移転を要することとなった場合において,当該工場等の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常2年を超えるため,当該収用等のあった日以後2年を経過する日までに当該工場又は当該工場等の敷地の用に供する土地その他の当該工場等に係る資産を代替資産として取得することが困難であり,かつ,当該収用等のあった えるため,当該収用等のあった日以後2年を経過する日までに当該工場又は当該工場等の敷地の用に供する土地その他の当該工場等に係る資産を代替資産として取得することが困難であり,かつ,当該収用等のあった日から3年を経過する日までに当該資産を取得することが確実であると認められるとき。」と規定し,その場合は,当該資産を取得することができることとなると認められる日まで指定期間が延長されることになる。 なお,収用等があった日において現に建設,製造又は製作中であるもの又は同日以前に取得したものは,原則的には代替資産に該当しない。しかしながら,資産について収用等をされるような場合には,当該資産を収用する者があらかじめ当該資産を公共の用に供することについて,土地収用法16条の規定による事業の認定等の手続があること等から,このような事業認定があったこと等により,当該譲渡資産が客観的に収用等をされることが確実であると認められる場合には,その確実となった日以後に取得した資産は,収用等をされる前に取得されたものであっても一定の要件の下に代替資産として措置法64条の適用を受けることができると取り扱われる(昭和50年2月14日付直法2-2措置法関係通達(以下「措置法通達」という。)64(3)-6)。 (エ)ところで,特別勘定に経理した金額は,代替資産を取得した場合に取り崩す(措置法64条の2第3項)ほか,指定期間を経過する日において,特別勘定残額を有している場合には,特別勘定残額を取り崩して,指定期間を経過する日を含む事業年度の益金の額に算入しなければならない(措置法64条の2第4項)。 (オ)添付書類本件特例を適用する手続要件として,措置法64条の2第5項により準用される同法64条4項(ただし,平成11年法律第160号による改正前のもの。以下同じ。)の規定により 2第4項)。 (オ)添付書類本件特例を適用する手続要件として,措置法64条の2第5項により準用される同法64条4項(ただし,平成11年法律第160号による改正前のもの。以下同じ。)の規定により,当該確定申告書等に,①その損金の額に算入される明細書,②その他大蔵省令で定める書類の添付が必要とされており,同大蔵省令である同法施行規則22条の3第5項(平成10年大蔵省令第48号による改正前のもの。現行措置法施行規則22条の2第6項。以下同じ。)は,その書類として,(イ)同法施行規則22条の3第4項に定める書類,(ロ)やむを得ない事情の詳細,当該代替資産の取得予定年月日及びその取得価額の見積額その他の明細を記載した書類(以下「やむを得ない事情の詳細等を記載した書面」という。)を定めている。 (カ)なお,圧縮記帳を利用しない場合,5000万円の特別控除を受けることもできる(措置法65条の2)。 ウ類似制度(買換特例)措置法65条の7及び65条の8は,特定の資産の買換の場合の特例として圧縮記帳の適用を規定しており(以下「買換特例」という。),同法65条の8が本件特例と同様,特定資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例を定める。 措置法65条の8の特例を適用するには,原則として当該譲渡をした日を含む事業年度の翌事業年度開始の日から同日以後1年を経過する日までの期間に取得することとなるが,同条1項かっこ書は「(前条第3項に規定する政令で定めるやむを得ない事情があるため,当該期間内に当該各号の下欄に掲げる資産の取得をすることが困難である場合において,政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは,当該資産の取得をすることができるものとして,同日後2年以内において当該税務署長が認定した日までの期間。以下この条において「取得 て,政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは,当該資産の取得をすることができるものとして,同日後2年以内において当該税務署長が認定した日までの期間。以下この条において「取得指定期間」という。)」と規定し,期間を延長することができる場合を定めている。 そして上記の政令である措置法施行令39条の7第25項(ただし,平成7年政令第158号による改正前のもの。現行措置法施行令39条の7第20項。以下同じ。)は,やむを得ない事情がある場合として「工場,事務所その他の建物,構築物又は機械及び装置(以下この項において「工場等」という。)の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常1年を超えると認められる事情その他これに準ずる事情がある場合」と規定している。 さらに,措置法通達65の7(4)-4(平成14年課法2-1「五十四」による改正前のもの。現行措置法通達65の7(4)-2。以下同じ。)は,措置法施行令39条の7第25項に定める「その他これに準ずる事情がある場合」には,①法令の規制等によりその取得に関する計画の変更を余儀なくされたこと,②売主その他の関係者との交渉が長引き,容易にその取得ができないこと,③上記①又は②に準ずる特別な事情があるためやむを得ずその取得が遅延する場合が含まれるものとしている。 エ震災特例法阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(以下「震災特例法」という。)25条2項は,阪神・淡路大震災に基因するやむを得ない事情により,本件特例及び措置法65条の8の特例に規定する代替資産を指定期間内(その末日が平成7年1月17日から同年12月31日までの間にあるものに限る。)に取得することが困難になった場合,指定期間を経過した日以後2年以内に 法65条の8の特例に規定する代替資産を指定期間内(その末日が平成7年1月17日から同年12月31日までの間にあるものに限る。)に取得することが困難になった場合,指定期間を経過した日以後2年以内に代替資産を取得する見込みであり,かつ,所轄税務署長の承認を受けた場合に,延長することができるとされている。この税務署長の承認申請書は,指定期間の末日までに税務署長に提出することとされている(震災特例法施行規則13条3項)。 (2)損金の額に算入しない負債利子等措置法62条の2(新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例,ただし平成10年法律第23号による廃止前のもの。以下「旧62条の2」という。)第1項は,法人が所得税法等の一部を改正する法律(昭和63年法律第109号)の施行の日の翌日(昭和63年12月31日。以下「基準日」という。)以後に終了する各事業年度終了の時において「新規取得土地等」を有する場合において,当該事業年度に当該新規取得土地等に係る負債利子損金不算入期間(当該新規取得土地等の取得をした日から4年を経過する日までの期間(同条3項2号参照))が含まれているときは,当該事業年度の負債利子の額のうち,新規取得土地等の基準取得価額に一定率(6パーセント又は平均利子率)を乗じた金額と,各新規取得土地等ごとに当該負債利子の額に事業年度末において有する新規取得土地等の基準取得価額の合計額のうちに占める新規取得土地等の基準取得価額の割合を乗じた金額に,さらに当期の月数のうちに占める負債利子損金不算入期間の月数の割合を乗じた金額の合計額(措置法旧62条の2第1項の1号に掲げる金額と2号に掲げる金額)のいずれか少ない金額に相当する金額の合計額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない旨規定している(以下「新規取得土地等に係る負債 条の2第1項の1号に掲げる金額と2号に掲げる金額)のいずれか少ない金額に相当する金額の合計額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない旨規定している(以下「新規取得土地等に係る負債利子の課税の特例」という。)。 なお,新規取得土地等に係る負債利子の課税の特例における,新規取得土地等の基準取得価額の計算を行う場合において,当該新規取得土地等が法人税法又は措置法の規定による圧縮記帳の適用を受けたものであるときは,その圧縮記帳後の金額に基づいてその計算を行うものとされている(平成10年12月22日付け課法2-17による廃止前の昭和50年2月14日付け直法2-2措置法関係通達(以下「旧措置法通達」という。)62の2(4)-7)。 2 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)(1)原告原告は,昭和32年に設立された株式会社であり,従前肌着製造業を営んでいたが,肌着製造業を関連会社であるバンビー貿易株式会社に移管した後,現在は不動産賃貸業及び美術品販売業を営んでいる(甲32)。 (2)課税の経緯ア大阪市住宅供給公社は,特定市街地住宅整備事業(α地区)の施行に伴い,平成5年6月15日に,原告の所有する大阪市β4番4の土地及び同地上の建物(以下まとめて「本件収用物件」という。)の買取りを申し込み,同年11月30日に本件収用物件を買い取った(以下「本件収用等」という。)。 イ原告は,本件収用物件の代替資産として,大阪市γ24番10ほかの土地(以下「γ土地」という。)及び建物(以下「γ建物」という。),大阪市δ14番12の土地(以下「δ土地」という。)及び建物(以下「δ建物」という。)を別紙1「代替取得資産の明細」のとおり取得し,それぞれ措置法64条又は措置法64条の2の規定(収用等特例)を適用して別紙2「原告 2の土地(以下「δ土地」という。)及び建物(以下「δ建物」という。)を別紙1「代替取得資産の明細」のとおり取得し,それぞれ措置法64条又は措置法64条の2の規定(収用等特例)を適用して別紙2「原告の経理及び被告の更正処分の内訳」のとおり経理をした。 そして,原告は平成7年9月期,平成8年9月期及び平成9年9月期(以下,これらを併せて「本件各事業年度」という。)の法人税について,青色の確定申告書に別紙3「処分等の経緯一覧表」の原告・本件確定申告(期限内)欄のとおり記載して,いずれも法定申告期限までに申告した。 なお,本件特例の適用につき措置法64条の2第5項,64条4項で要求される添付書類のうち,損金の額に算入される明細書及び同法施行規則22条の3第4項に定める書類(収用証明書に代わる買取証明書)は,平成5年10月1日から平成6年9月30日までの事業年度(以下「平成6年9月期」という。)の確定申告書に添付されているが,同じく同法施行規則22条の3第5項により要求されるやむを得ない事情の詳細等を記載した書面(なお,当該文書の表題は,「特定の資産の買換えの場合における特別勘定の設定期間延長承認申請書」及び「嘆願書」となっている。)は,平成8年12月2日に被告大淀税務署長宛てで郵便局に投函された(甲23,28,弁論の全趣旨)。したがって,本件においてやむを得ない事情の詳細等を記載した書面は,国税通則法(以下「通則法」という。)22条により平成8年12月2日に提出されたものとみなされるところ,平成8年11月30日,同年12月1日が土曜日,日曜日に当たるため,通則法10条2項により平成8年9月期の申告期限内に提出されたものとなる。 ウ被告大淀税務署長は,同申告に対し,①γ土地及びδ土地は,措置法旧62条の2に規定する新規取得土地等に該当するた るため,通則法10条2項により平成8年9月期の申告期限内に提出されたものとなる。 ウ被告大淀税務署長は,同申告に対し,①γ土地及びδ土地は,措置法旧62条の2に規定する新規取得土地等に該当するため,これらの土地に係る負債利子を損金算入できないこと,②本件収用等のあった日(平成5年11月30日)を含む事業年度の翌事業年度開始の日から本件収用等のあった日以後2年を経過する日(平成7年11月29日)までの期間を経過した後の代替資産の取得については,本件特例の適用はできないとして,別紙2「原告の経理及び被告の更正処分の内訳」及び別紙3「処分等の経緯一覧表」のとおり,原告の本件各事業年度の所得の金額,納付すべき税額及び翌期へ繰り越すべき欠損金額を計算して本件各更正及び各賦課決定(以下,これらの処分を併せて「本件更正等」という。)をした。 なお,本件更正等においては,別紙1のうち,平成5年7月27日に取得したγ24番10,14番15,25番6の土地の取得費用,平成6年10月7日に取得したδ14番12の土地の取得費用及び同年11月10日に支出された同土地上の建物解体費用について収用等特例が適用され,それ以外については収用等特例は適用されていない。 エ原告は,これらの処分を不服として,平成10年11月18日に被告大淀税務署長に対し異議申立をしたところ,被告大淀税務署長は平成11年2月23日付でいずれも棄却の異議決定をした。 さらに原告は前記処分及び異議決定を不服とし,平成11年3月17日に国税不服審判所長に対し審査請求をしたところ,同所長は平成12年6月15日付で審査請求を棄却する裁決をなした。 同裁決書謄本は,同年6月21日ころ原告に送達された。 なお,処分の概要は別紙3「処分等の経緯一覧表」のとおりである。 (3)徴収の経緯ア被告大阪国 15日付で審査請求を棄却する裁決をなした。 同裁決書謄本は,同年6月21日ころ原告に送達された。 なお,処分の概要は別紙3「処分等の経緯一覧表」のとおりである。 (3)徴収の経緯ア被告大阪国税局長は,被告大淀税務署長から,同税務署長が原告に対し平成10年9月30日付けで行った平成8年9月期及び平成9年9月期の各更正及び本件各賦課決定により確定した納付すべき本税の額及び過少申告加算税の額について,平成10年11月30日に,徴収の引継ぎを受けた。 次いで,被告大阪国税局長は,被告大淀税務署長から,原告の平成9年10月1日から平成10年9月30日までの事業年度(以下「平成10年9月期」という。)の法人税の確定申告に係る還付金(以下「本件法人税還付金」という。)について平成10年12月18日に,原告の平成9年10月1日から平成10年9月30日までの課税期間の消費税及び地方消費税の確定申告に係る還付金(以下「本件消費税等還付金」という。)について平成10年12月25日に,それぞれ還付の引継ぎを受けた。 イ被告大阪国税局長は,平成11年1月13日付けで,通則法57条の規定に基づき,本件法人税還付金を本件更正等により確定した平成8年9月期の法人税に充当した(本件充当)。次いで,同被告は,原告に対し,同年2月10日付けで,地方税法附則9条の10(譲渡割に係る充当等の特例)に基づき,原告が,被告大阪国税局長に対し,本件消費税等還付金により当該平成8年9月期の法人税を納付することを委託したものとみなされる(本件委託納付)旨の通知をした。 ウ原告は,本件充当を不服として平成11年3月10日に,次いで,本件委託納付を不服として同年4月7日に,国税不服審判所長にそれぞれ審査請求をしたが,平成12年6月15日付けで各審査請求に対し棄却及び却下の裁決がされ 当を不服として平成11年3月10日に,次いで,本件委託納付を不服として同年4月7日に,国税不服審判所長にそれぞれ審査請求をしたが,平成12年6月15日付けで各審査請求に対し棄却及び却下の裁決がされた。 同裁決書謄本は,平成12年6月21日ころ原告に送達された。 3 争点及び当事者の主張3の1 本案前の争点(被告大阪国税局長の主張)本件委託納付は,地方税法附則9条の10第2項所定の要件を充足することにより,法律上当然に,原告が被告大阪国税局長に納付を委託したものとみなされるものであって,被告大阪国税局長が原告に対し,何らかの行政処分をしたものではない。 3の2 本案の争点本件における本案の主たる争点は,γ土地の取得に関する一部分(借家人立退料及び私道補填部分),γ建物及びδ建物の取得につき,措置法64条の2第1項かっこ書により指定期間が延長され本件特例の適用があるか否かであり,具他的には①措置法64条の2第1項かっこ書の「やむを得ない事情」の存否(なお,同項かっこ書の「工場等の建設に要する期間が通常2年をこえること」の該当性も問題となるが,便宜「やむを得ない事情」の存否として論ずる。),②やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出時期,③代替資産の取得時期が争点となり,これらの争点に関する当事者の主張は以下のとおりである。 3の2の1 措置法64条の2第1項かっこ書「やむを得ない事情」の存否(原告の主張)(1)「やむを得ない事情」ア措置法第64条の2第1項かっこ書に定める「やむを得ない事情」については,収用等により公共の利益のために資産を譲渡することを余儀なくされた法人に対する救済という立法趣旨に鑑み,収用等のあった日から2年を経過する日までに代替資産を取得することができない客観的事情を広く含むものと弾力的に解すべきであ に資産を譲渡することを余儀なくされた法人に対する救済という立法趣旨に鑑み,収用等のあった日から2年を経過する日までに代替資産を取得することができない客観的事情を広く含むものと弾力的に解すべきである。 イ買換特例との比較(ア)措置法通達65の7(4)-4は,措置法第65条の8第1項かっこ書の取得指定期間の認定を行う場合(特定の資産の買換えの場合における特別勘定の設定期間延長承認の場合)に関してではあるが,「やむを得ない事情」として前記1(1)ウのとおり,①法令の規制等によりその取得に関する計画の変更を余儀なくされたこと,②売主その他の関係者との交渉が長引き,容易にその取得ができないこと,③上記①又は②に準ずる特別な事情があることを規定している。 そして,措置法第64条の2第1項と同法第65条の8第1項は制度趣旨は異なるものの,特定資産の買換えであれ,収用等に伴う取得であれ,措置法が代替資産の取得期間を例外的に延長する制度を設けている趣旨は,当事者の責めによらない事情により代替資産を原則の期間内に取得できない場合にまで売却益に課税するのは納税者にとって酷な結果を招くという点にあり,このような趣旨については何ら異なるところはなく,条文上も「やむを得ない事情」の規定の仕方は同様であり,むしろ,買換えの場合と収用等の場合を比較すると,納税者の不利益は自己の都合とは全く無関係に所有資産を取り上げられる収用等の場合の方がはるかに大きいのであり,かかる納税者につき,特定資産の買換えの場合には認められる「やむを得ない事情」が認められないとするのは不合理であるから,前記通達65の7(4)-4の趣旨は,措置法64条の2第1項の解釈にあたっても,十分に考慮されるべきである。 (イ)昭和44年の税制改正において,買換特例については,国の土地政策または国土 るから,前記通達65の7(4)-4の趣旨は,措置法64条の2第1項の解釈にあたっても,十分に考慮されるべきである。 (イ)昭和44年の税制改正において,買換特例については,国の土地政策または国土政策に合致すると認められる買換えについてのみ制度を存続させる内容の抜本的改正が行われたが,収用等特例については,もともと収用等自体が公共事業の一環として行われるものである上,国民の財産を強制的に剥奪する性格のものであることから,買換特例との間に差異を設けるべきことが指摘され,いわゆる2分の1課税の特例が廃止されたに止まり,買換特例のような抜本的な制度の縮小がなされたわけではない。 このように,収用等特例においては,代替資産の取得を比較的ゆるやかに認め,他方で,買換特例については,土地価格の高騰を招くなどの弊害が指摘されたことに鑑み,これを抜本的に縮小し,代替資産の取得に様々な制限を課するところとなった。 なお,従来,収用等特例と買換特例は,いずれも代替資産の取得時期が原則として1年であったところ,収用等特例についてはこれを2年に延長する制度改正が行われて,取得期間の延長が図られ,収用等により強制的に財産権を剥奪される国民をより厚く保護している。 (ウ)しかるに,被告らの主張を前提とすると,売主との交渉が長引き容易に代替資産の取得ができないなどの事情がある場合,収用等特例においては,原則期間である2年以内に代替資産を取得しなければならないのに,特定資産の買換特例においては,最長で4年近い取得期間が認められることとなり不合理な結果を生じる。 特に被告主張のように限定的に解すると,地震などの災害によって期間内に建物の取得が不可能な場合に,買換えに伴う場合には救済される可能性があるにもかかわらず,収用等の場合には救済されないという,極めて不合理な結 張のように限定的に解すると,地震などの災害によって期間内に建物の取得が不可能な場合に,買換えに伴う場合には救済される可能性があるにもかかわらず,収用等の場合には救済されないという,極めて不合理な結果を招くことになる。なお,阪神大震災の場合には,震災特例法が定められているが,阪神大震災以外にも震災,風水害,津波,火災など様々な災害により代替資産の取得が遅れることは十分にあり得るのであり,震災特例法が特に阪神大震災につき期間延長制度を新設した趣旨は,阪神大震災が未曾有の大災害であり,被災者の範囲も広範囲にわたり,被害の程度も深刻であることに鑑み,措置法の取得期間をさらに延長することを目的としたものであって,措置法64条の2第1項の適用を排除するものではない。 (エ)被告らは,特定資産の買換特例の方が「やむを得ない事情」が発生する余地が多いとも主張するが,納税者の側が自己の都合により資産を売却し,当該売却代金をもって他の資産を取得する場合には,具体的に取得すべき代替資産をあらかじめ確保した上で資産を売却することが可能であるのに対し,収用等特例の場合には,そのような納税者側の都合とは無関係な第三者の都合により資産を強制的に買収されるのであるから,納税者側に代替資産を取得する余裕が無いことが多く,「やむを得ない事情」が生じる余地は,収用等特例の方が高いことは明らかである。 しかも,買換特例については,適用対象を限定しようというのが昭和44年の税制改正の基本的趣旨であったはずであり,そのために逆に買換特例の適用対象を広げるというのは改正の趣旨とも矛盾する。したがって,昭和44年の税制改正の際に「これに準ずる事情」が措置法施行令に付加されたのは,もともと改正前の特定資産の買換特例における「政令で定めるやむを得ない事情」には,建設工事自体に1年以 る。したがって,昭和44年の税制改正の際に「これに準ずる事情」が措置法施行令に付加されたのは,もともと改正前の特定資産の買換特例における「政令で定めるやむを得ない事情」には,建設工事自体に1年以上を要する場合以外にこれに準ずる事情も当然に予定されていたものを法文上明確にしたに過ぎないと解釈すべきである。 そして,通達は,それ自体が法令となるものではなく,特定の資産の買換えの場合に存在する通達が収用等の場合に存在しないという理由だけで,収用等の場合について法令が「やむを得ない事情」の内容を特に限定的に定めていると解釈することは到底できないし,収用等の場合について通達が存在しない理由も,現実の利用件数が特定資産の買換えの方が圧倒的に多く,大量迅速に課税事務を処理する関係上,法令の解釈運用の基準を定めておく必要性が特に大きかったことから,特に特定資産の買換えの場合においてかかる通達が出されたに過ぎず,収用等の場合においては,特に異なる扱いをすべきとの趣旨とは考えられない。 さらに,措置法通達65の7(4)-4は,もともとは,代替資産の工事計画,設備投資計画について国民生活安定緊急措置法に基づく工事延期等の指示を受けている場合を「やむを得ない事情」がある場合として取り扱う旨の趣旨であったものが昭和55年に現行の措置法通達65の7(4)-4に改正されたものであり,改正前の措置法通達65の7(4)-4には「これに準ずる事情」との文言はない。 そして,上記通達が改正された際の国税庁の解説(国税速報)においても,「やむを得ない事情」と「これに準ずる事情」を厳密に区別して論じているものはないのであって,一方には「これに準ずる事情」との文言があり,他方にはないというだけの理由で取得期間延長の要件を別異に解するのは,あまりに形式に過ぎるといわざるを得ない 密に区別して論じているものはないのであって,一方には「これに準ずる事情」との文言があり,他方にはないというだけの理由で取得期間延長の要件を別異に解するのは,あまりに形式に過ぎるといわざるを得ない。 (2)あてはめ本件では,原告において措置法第64条の2第1項かっこ書の「やむを得ない事情」に該当する事情として以下のような事情があった。 ア γの物件の取得について(ア)γの物件については,平成5年7月27日に前所有者有限会社西洋インベストメント(以下「西洋インベストメント」という。)から宅地84.82平方メートル(大阪市γ24番10,24番15,25番6)を建設予定地として取得し,同社から同年8月末までに建物を解体して明け渡す旨の約束を取り付けていたため,同年9月10日には建築確認申請を行い,同年9月28日には確認申請が受理された(甲7の1,23の2)。したがって,順調に進めば収用等から2年以内(平成7年11月29日まで)に建設工事が完了する予定であったところ,同年10月になって西洋インベストメントから借家人P1等が立退料を要求して明渡しに応じないことから建物の解体と物件の引渡しができなくなったとの連絡を受けた。 原告は,借家人に対して訴訟を提起したが紛争は解決せず,平成8年1月23日にようやく借家人との和解が成立し,明渡しを受けることができた(甲9,甲23の2)。この時点で既に収用の日から2年を経過する日を過ぎていたものであるから,収用の日から2年以内に代替資産を取得することは客観的に不可能であった。 しかし,この時点では,売主側で何とか引渡しができるよう借家人と交渉し,それまでの間,別の土地を無償で提供するとのことであった。 そこで,平成5年10月31日,原告は,西洋インベストメントとの間で土地一時賃貸借契約を締結するとともに, 渡しができるよう借家人と交渉し,それまでの間,別の土地を無償で提供するとのことであった。 そこで,平成5年10月31日,原告は,西洋インベストメントとの間で土地一時賃貸借契約を締結するとともに,同年11月本件土地建物から退去した。 一方,借家人との紛争は裁判に発展し,平成8年1月23日,γ土地建物の明渡しについて借家人との和解が成立し,同年2月末にようやくγ土地建物の引渡しを受けることができた。しかし,この際の立退料の一部である160万円は原告が負担する形となった。 また,平成8年9月2日,原告は,γ土地の隣地である大阪市γ24番16,25番7の土地(私道補填部分)を金200万円で購入した。これは,γ建物の建設にあたり,改めて現地を測量したところ,私道のために敷地面積が不足し,当初予定していた建物が建設できないことが分かったため,隣地を追加取得したものである。 そして,原告は,平成8年11月13日,有限会社江口工務店との間でγ建物についての工事請負契約を締結し,その後,約4か月間の工事を経て平成9年3月20日にγ建物(大阪市γ24番10,24番15,24番16,25番6,25番7所在。家屋番号24番10)が完成した。 原告は,この工事期間中及び建物完成後に別紙1記載のとおり建築請負代金を支払った。 (イ)このように原告の側としては,建設工事に必要な手続を遅滞なく進めていたのであり,何らの落ち度もなかったところ売主側の債務不履行により引渡しが遅延し,結果的に建設工事の着工が遅れることとなったのである。 上記の事情は,前記通達65の7(4)-4記載の「②売主その他の関係者との交渉が長引き,容易にその取得ができないこと」に該当するものであるから,措置法第64条の2第1項かっこ書に定める「やむを得ない事情」に該当する。 イ δの物件の取 -4記載の「②売主その他の関係者との交渉が長引き,容易にその取得ができないこと」に該当するものであるから,措置法第64条の2第1項かっこ書に定める「やむを得ない事情」に該当する。 イ δの物件の取得について(ア)δの物件については,原告の代表取締役一族の所有する土地が変形な土地であったため,隣地であるδ14番12の土地(δ土地)を買い取ってビルを建設すべく買取交渉をすすめていたが,同土地については土地の名義がP2(故人),同土地上の建物の名義はP2の妻であるP3(故人)とP2とP3の子であるP4の共有となっており,現実の交渉の相手は相続人であるP4であったが,P4の妻がP3の養女になっていてP4と妻の折り合いが悪かったことから相続をめぐって夫婦間の話合いがつかず,相続登記もできない状態で買取交渉は難航することとなった(甲33,34,原告代表者)。 さらに,δ土地の隣地である14番13所在の建物がδ土地に食い込んで建てられていたため,境界確認にも手間取り,結局,買取が成功するまでに1年近い歳月を要し,ようやく平成6年10月7日,宅地46.97平方メートル(δ14番12)を建設用地として取得することとなった(甲14,23の2,原告代表者)。 (イ)その後,原告は平成6年12月に株式会社藤木工務店(以下「藤木工務店」という。)に建設工事の依頼に赴いた。当初の予定では平成7年初めには設計に着手できる見込みであったが,建物の規模を考えれば基本設計から建築確認申請を経て着工し,工事完成までに至る期間は通常1年数か月程度はかかるものであり,建設工事を急ぐ必要があった。 ところが,平成7年1月17日に阪神大震災が発生し,関西圏の建設会社はいずれも震災の事後処理に追われることとなった。震災による建設業界への影響は極めて大きく,これは藤木工務店の主観的 要があった。 ところが,平成7年1月17日に阪神大震災が発生し,関西圏の建設会社はいずれも震災の事後処理に追われることとなった。震災による建設業界への影響は極めて大きく,これは藤木工務店の主観的,個別的事情というものではなく建設業界一般にもたらされた客観的事情と評価すべきものであった(甲26,35)。 その後,平成7年5月16日から同年7月1日までP5が入院したため,さらに藤木工務店との協議が遅れ,同年10月中旬に基本設計,同年12月に実施設計が開始されたが,設計作業が終了し大阪市にδ建物の建築確認申請が提出されたのは平成8年2月21日のことであった。 そして,原告は,平成8年4月9日,正式に藤木工務店との間で工事請負契約を締結し,その後,約11か月間の工事を経て平成9年2月28日にδ建物(大阪市δ14番10,14番11,14番12,14番17,14番18所在。家屋番号14番10)が完成した。 原告は,この工事期間中及び建物完成後に別紙1のとおり建築請負代金を支払った。 (ウ)このように,平成7年11月29日までに本件δ建物の建設工事を完了することは客観的に無理であり,収用等のあった日から2年以内に代替資産を取得できなかった主要な原因は前記土地の買取交渉の遅延とそれに引き続く阪神大震災にある。阪神大震災による建設工事の遅延は原告だけでなく,阪神地区において建設工事を予定していた法人共通の事情であり,原告の責めに帰すべきものではないから措置法第64条の2第1項かっこ書の「やむを得ない事情」に該当する。 (3)代替資産の特定について特別勘定を設定する際の明細書には,代替資産の詳細を記載する欄はないことからすると,ここに言う「特定」の意味は,納税者側において具体的に取得の予定ないし計画があるという程度の意味に解釈すべきである。そして, を設定する際の明細書には,代替資産の詳細を記載する欄はないことからすると,ここに言う「特定」の意味は,納税者側において具体的に取得の予定ないし計画があるという程度の意味に解釈すべきである。そして,原告においては,特別勘定を設定する時点で,すでにγの土地については先行取得しており,同土地上に建設する建物の計画も具体化していたし,δの土地,建物についても具体的な取得計画があったから,代替資産としては特定されていたものであり,特別勘定を設定することに何ら問題はない。 この点,被告は,当該代替資産の取得予定日,取得価額が分からなければ,本来なら特別勘定の設定自体ができないはずであるとも主張するが,特別勘定の設定の段階で代替資産に関する売買契約や請負契約などが締結されていることはまれであり,この段階で代替資産の取得予定日,取得価額が最終的に決定している必要があるなどというのは納税者側に不可能を強いるものである。特別勘定を設定する段階では,当事者はおおよその取得予定価額をもとに設定しておき,その後,売主や工事請負業者との交渉を重ねながら最終的な取得価額が決定されていくというのが通常の流れであり,代替資産の取得価額が当初予定した特別勘定の金額に達しないことが判明した場合には,その段階で特別勘定を取り崩して益金計上すれば良いのであるから,被告の主張は全く理由がない(被告らの主張)(1)「やむを得ない事情」ア本件特例は,収用等により代替資産を取得する場合に課税を軽減しなければ代替資産を取得しようという企業等を圧迫するため,一定の場合にこれを優遇すべき要請により規定されたものである。他方で,代替資産取得を促進し過ぎると宅地価格の高騰を招き,国民経済上の悪影響が著しいため,収用等の場合の課税軽減措置を縮減することとしたため,買換特例の場合と差を生じ 請により規定されたものである。他方で,代替資産取得を促進し過ぎると宅地価格の高騰を招き,国民経済上の悪影響が著しいため,収用等の場合の課税軽減措置を縮減することとしたため,買換特例の場合と差を生じることとなった経緯があり,結局,要件の解釈にあたっても,この経緯を踏まえた上でなされなければならない。そうすると,措置法によって規定される本件特例は,本来であれば法人税法により課税されるべき代替資産取得の際の莫大な譲渡益を例外的に一律繰延べてこれを軽減しようとする優遇措置であるところ,上記土地政策の見地から諸利益調整の上,例外要件を設定しているものであるから,その要件に該当しない場合は,原則である法人税法に基づき課税されるべきであり,その要件を拡大解釈して適用することは許されないというべきである。 イ措置法施行令39条11項3号は,やむを得ない事情が認められる要件として,①工場等建設移転所要期間の2年超過・取得不可能性の要件,及び②3年までに取得確実の要件を規定するが,条文の「工場」「土地の造成」という例示及び「通常」2年を超えるとの文言及び規定の仕方に照らせば,「やむを得ない事情」とは,代替資産をもっぱら2年以内に取得することを困難ならしめる当該代替資産そのものに係る物理的,技術的障害を指しているというべきである。 (2)収用等特例と買換特例の差異原告は,買換特例との対比でより緩やかに解すべきであると主張するが以下のとおり失当である。 ア改正の経緯にみる差異そもそも本件特例における「やむを得ない事情」が認められる要件は,買換特例における先行取得が認められる場合の要件と同一であったものを,昭和44年税制改正において,買換特例だけに「その他これに準ずる事情のある場合」が付け加えられたものである。 そして,このような差異が生ずることとな 取得が認められる場合の要件と同一であったものを,昭和44年税制改正において,買換特例だけに「その他これに準ずる事情のある場合」が付け加えられたものである。 そして,このような差異が生ずることとなった理由は,税制調査会の答申において,別個の政策目的・方針が打ち出されたことによるのであり,本件特例においては,特例的軽減の縮減合理化が行われ,一方,買換特例においては,その適用範囲を土地政策又は国土政策に合致するものに限り適用することとし,合致する場合には,「その他これに準ずる事情のある場合」にも代替資産の取得を認めることとしたものである。 イ本質的差異(ア)買換特例の方が適用対象が限定されること収用等特例は,代替資産を取得することが条件となっているが,仮に取得し得ないとしても,5000万円の所得の特別控除が認められている(措置法65条の2)のに対し,買換特例は,代替資産を取得しなければ,軽減措置の適用はないこと,収用等特例の代替資産は,原則的には収用等された資産と同種の資産を取得することとなっているが,そうでなくても単に事業用資産であれば認められるところ(措置法施行令39条4項),買換特例は,代替資産の取得地域が限定されることなど,買換特例の方は収用等特例と異なり,上記国土政策に合致したものに適用が限定される仕組みとなっている。 (イ)買換特例の方が政策推進上手厚い保護を要することそのため,買換特例の方が,本件特例よりも「やむを得ない事情」の発生する余地が多く考えられることから,税法上国土政策を推進する必要性を考慮すると,取得期間に関しては,買換特例の方がより手厚い規定を設ける必要性が高いとも考えられる。 (ウ)したがって,原告の指摘する措置法通達65の7(4)-4は,買換特例の「その他これに準ずる事情のある場合」の具体的内容につ は,買換特例の方がより手厚い規定を設ける必要性が高いとも考えられる。 (ウ)したがって,原告の指摘する措置法通達65の7(4)-4は,買換特例の「その他これに準ずる事情のある場合」の具体的内容について明らかにしたものであるから,買換特例の適用に当たっては,売主等との交渉が長びき容易にその取得ができないような「その他これに準ずる事情のある場合」も該当することとなるが,本件特例には,条文上「その他これに準ずる事情のある場合」の規定はないのであり,すなわち,本件特例の指定期間の延長は,代替資産である工場等の建設が通常2年を超え,3年以内に取得することが確実な場合にのみ,その適用があるといえるのである。 (エ)本件特例と買換特例を比較すると,代替資産を取得する原則期間(本件特例2年,買換特例1年)や代替資産の種類(本件特例は事業用資産であればよい,買換特例は制限あり)等においては,本件特例の方が緩やかな取扱いになっているといえるが,指定期間の延長においては,買換特例の方が緩やかな取扱いになっているといえる。これは,原告の主張のように,一概に本件特例の方が緩やかな取扱いとなっているものではなく,それぞれの政策的配慮により規定されているものであって,本件特例と買換特例を比較して,買換特例の自己に有利な部分を抜き出し,本件特例にも適用があるとの主張は失当である。 (3)本件への当てはめア γの物件の取得について(ア)γ建物は,登記簿の記載によれば,鉄骨造,スレート葺3階建の事務所であって,工場やこれに類する施設ではなく,また,建築工事期間は,工事請負契約書によれば約4か月とされており,その他,代替資産を2年以内に取得できない物理的,技術的障害は存在せず,①の要件を満たすものは到底認められず,取得日を見ても,平成9年3月21日に完成しており,3年を によれば約4か月とされており,その他,代替資産を2年以内に取得できない物理的,技術的障害は存在せず,①の要件を満たすものは到底認められず,取得日を見ても,平成9年3月21日に完成しており,3年を経過する日までに取得していないことから,上記②の要件も現実に満たしておらず,結果,取得期間の延長は認められない。 (イ)原告の主張に対する反論借家人立退交渉という事情は物理的技術的障害に当たらないのは明らかである。 また,原告自身γ建物の取得は平成9年3月20日であると認識していたものであり,借家人の存在を事前に調査しなかったことや,西洋インベストメントに対して長期にわたり交渉を任せきりにしていたことなども個人の落ち度に過ぎず,到底「やむを得ない事情」に該当すると言うことはできない。 結局,γ建物の取得の遅れについても,原告側において,取得期限を念頭に置かずに取得及び交渉に入ったことが主たる原因であり,「やむを得ない」事情は見あたらないというほかはない。 (ウ)結論以上により,γ土地の平成5年7月27日に取得した部分については,2年以内の取得であるので,収用等特例を適用して圧縮損の計上は認められるが,借家人への立退料の支払は平成8年2月28日であり,私道補填部分の取得費用の支払は平成8年9月2日であるため2年以内の取得とは認められず,よって,本件特例の適用はなく圧縮損の計上は認められない。γ建物については,2年以内の取得はなく,本件特例の適用対象外であり,圧縮損の計上は認められない。 イ δの物件の取得について(ア)δ土地については,平成6年9月29日に売買契約,同年10月7日に代金が支払われ,旧建物解体費用は同年11月10日に支出されたものであるから,被告大淀税務署長はいずれについても特例措置の適用を認めている。 δ建物は,登記簿の 月29日に売買契約,同年10月7日に代金が支払われ,旧建物解体費用は同年11月10日に支出されたものであるから,被告大淀税務署長はいずれについても特例措置の適用を認めている。 δ建物は,登記簿の記載によれば,鉄筋コンクリート造,陸屋根,地下1階付きの8階建て,居宅,事務所及び車庫の共同住宅であって,工場やこれに類する施設ではなく,建築工事期間は,工事請負契約書(甲19)によれば約11か月とされており,そのほか,代替資産を2年以内に取得できない物理的,技術的障害は存在せず,①の要件を充たすものとは到底認められない。 そして,δ建物は,平成9年2月28日に完成しており,3年を経過する日までに取得していないし,その予定でもなかったことから,②の要件も充たしておらず,結果,取得期間の延長は認められない。また,延長自体が認められたとしても,3年を経過しており,結局その部分の特別勘定の設定自体認められない。 (イ)原告の主張に対する反論a 原告は,隣接地買取りがその所有者の相続問題で難航した事情等をあげ,措置法通達65の7(4)-4に該当するから,本件特例のやむを得ない事情に該当すると主張する。 しかし,原告代表者の本人尋問によれば,δ土地の取得に当たっては,相続問題のために土地の権利者が確定しておらず,取得期限内に取得できるかどうか不明な状況であったが,δ土地に隣接する土地が原告代表者の親族の所有する土地であり,これらの土地上にδ建物を建設して原告から同親族に対して地代を支払うために同土地に固執したという事情があったもので,そもそも取得期限が全く念頭に無かったこと,そのため,原告において土地取得交渉と建物建築計画を平行して進める等の工夫は何一つ為されず,建築請負会社に対し取得期限が存在することを全く説明しないまま,建築計画が諸々の事情で遅れ に無かったこと,そのため,原告において土地取得交渉と建物建築計画を平行して進める等の工夫は何一つ為されず,建築請負会社に対し取得期限が存在することを全く説明しないまま,建築計画が諸々の事情で遅れたというに帰するものであり,「やむを得ない」とは到底いえないものである。 措置法通達65の7(4)-4は,措置法65条の8の特定資産の買換えの場合の圧縮記帳の制度の要件に関して規定されたものであるところ,同法は,特定資産を譲渡した日を含む事業年度の翌事業年度開始の日から1年以内に代替資産を取得することが困難な場合に,当該譲渡をした翌事業年度開始の日から2月以内に税務署長への申請,承認を受けた場合,さらに最高2年間の延長ができるものである。 したがって,特定資産の買換えの場合の圧縮記帳の制度と本件特例の制度とは,その制度の仕組みも,立法目的も異なるものであるから,本件において,措置法通達65の7(4)-4の適用はできない。 b 阪神大震災の影響に関する主張(a)本件において原告は,阪神大震災の影響でδ建物の建設業者である藤木工務店が工事に着工するのが遅れたことに原因がある旨主張するが,当初の予定よりどの程度工事が遅れたのか等の具体的な説明がなく,阪神・淡路大震災に基因するやむを得ない事情の存在の有無を確認することはできない。 しかしながら,阪神大震災の影響に関しては,本当に影響があれば震災特例法を適用すべく手続を行うべきである。そして,震災特例法の適用を受けるためには,承認申請書を指定期日の末日までに提出する必要があるが,原告は平成7年11月29日までに承認申請書を被告大淀税務署長に提出しておらず,震災特例法の適用は受けられない。 (b)また,阪神大震災の影響が藤木工務店に全くなかったものではないが,原告が希望すれば,阪神大震災直後であっても設 に承認申請書を被告大淀税務署長に提出しておらず,震災特例法の適用は受けられない。 (b)また,阪神大震災の影響が藤木工務店に全くなかったものではないが,原告が希望すれば,阪神大震災直後であっても設計を継続することは可能であったし,原告自身も取得期限が念頭になかったため藤木工務店へ建築依頼する際に,建築期間の指定をしていないのであるから,震災に起因するやむを得ない事情があったとはいえない。 (ウ)結論以上によれば,δ土地の代金及び解体費用は,いずれも2年以内に支出されているから本件特例の適用対象となるが,δ建物については本件特例の適用対象外であり,圧縮損の計上は認められないことになる。 (4)代替資産の特定について特別勘定の設定自体,代替資産の特定を論理的に前提としている関係にあるから,設定時に代替資産が特定されていることが必要であるところ,当該代替資産の取得予定日,取得価額が分からなければ,本来ならば特別勘定の設定ができないはずである。しかも,代替資産の特定がなければ「やむを得ない事情の詳細」も判明しないことになるし,指定期間の延長も,「3年を超えない範囲内で代替資産を取得することができる日まで」延長されることになるため,代替資産が特定しなければいつまで延長すべきか判明しないことになる。 本件においては,収用等により,大阪市住宅供給公社により取得した補償金等の金額のうち,先行取得したγ土地を除く金額を特別勘定として一律繰延べる形を取っており,このような形の特別勘定の設定を当面容認したもので,本来予想される姿ではなく,代替資産が特定されているとは言い難い。 3の2の2 やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出時期本件においては,本件特例の適用にあたり求められるやむを得ない事情の詳細等を記載した書面が平成8年9月期の確定申告書 いるとは言い難い。 3の2の2 やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出時期本件においては,本件特例の適用にあたり求められるやむを得ない事情の詳細等を記載した書面が平成8年9月期の確定申告書と同時に平成8年12月2日に提出されたとみなされることから手続要件を満たしているか否かが争点となる。 (原告の主張)(1)やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出時期は,法文では具体的に明記されてはいない。 (2)この点,措置法64条は収用等に伴う代替資産を取得したその事業年度に圧縮記帳をした場合,その限度で損金処理ができることを定め,措置法64条の2はさらに収用等があってから2年間内(ただし,やむを得ない事情があれば3年間)に代替資産を取得する見込みである時には収用を受けた年度に特別勘定を設定しておけば,取得をした当該事業年度に損金処理ができるということを定めたものである。 単純に考えれば,「当該事業年度」という内容は同法64条の場合には,収用等のあった事業年度と,取得のあった事業年度は一致するから問題はないが,同法64条の2によって,2年間(特例で3年間)の特別勘定を設定した場合には,収用等のあった事業年度と取得のあった事業年度あるいはやむを得ない事情の発生した事業年度は一致しない。そして,この場合に添付に必要な書類は代替資産の売買契約等などの損金額に算入される明細書のみならずやむを得ない事情の詳細等を記載した書面などの具体的な資料であるから,結局これが添付可能な事業年度とは,収用のあった事業年度ではなく代替資産を取得した日を含む事業年度(あるいはやむを得ない事由の発生した事業年度)と解することになるのは当然である。 (3)被告らはこれを「収用等のあった日を含む事業年度」と解釈するが,このような解釈が成立する余地はない。 つまり,被 るいはやむを得ない事由の発生した事業年度)と解することになるのは当然である。 (3)被告らはこれを「収用等のあった日を含む事業年度」と解釈するが,このような解釈が成立する余地はない。 つまり,被告らの主張によれば,措置法64条の2は,収用等を受けた事業年度の段階で代替資産の取得について2年を超えることが確実で,3年以内に取得できるやむを得ない理由が必要となるという前提で法文が作られていると見るものであるが,例えば収用等が平成元年1月30日で,決算期が平成元年1月31日の場合,収用等を受ける時にはすでに代替資産の取得が決まっているのみならず,なおかつ2年以内には取得が無理だが3年以内にはそれが可能であるというやむを得ない事情を記載した書面をこの時に確定申告書と共に提出することを法律が要求しているという全く非常識なことになりかねない。 したがって,被告らの主張するように,「取得期間の延長が認められるのは,特別勘定を設定する当初から代替資産を2年以内に取得できない事情があり,指定した期間内に取得できることが見込まれる場合に限られる」と解釈するとすれば,収用等をした事業年度に特別勘定を設定した後,取得するまでの2年以内に,その代替資産が取得できないような事情が発生した時,例えば天災等が発生した場合に法文上これが認められないという不都合が生じる。 このような場合を考えれば,やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出は,収用等から2年目を含む事業年度の決算期(つまり代替資産を取得した日を含む事業年度,あるいはやむを得ない事情の発生した事業年度の決算期)と読むのが素直な解釈である。 それを本件にあてはめれば,本件の収用等があった日は平成5年11月29日であるから,この日から2年を含む決算期つまり平成8年9月期の決算書類の提出と同時にやむを得 )と読むのが素直な解釈である。 それを本件にあてはめれば,本件の収用等があった日は平成5年11月29日であるから,この日から2年を含む決算期つまり平成8年9月期の決算書類の提出と同時にやむを得ない事情を記載した書面等を提出すれば良いことになる。 (4)また,収用等特例における「やむを得ない事情」には,売主との交渉が長引き,容易に資産を取得できない場合等も含まれると解するべきであるから,このような事情が特別勘定設定の時点において全て判明していることはあり得ないのであり,かかる事情を資産譲渡のあった事業年度の確定申告書等に添付して提出せよというのは,納税者側に不可能を強いるものであり明らかに不当である。 (5)被告らは,取得期間を2年とするか「取得することができる日まで」とするかは,やむを得ない事情を記載した書面に基づいて判断することになるから,この書面がなければいつまで延長するのかそもそも判明しないとも主張する。 しかし,この主張も失当である。収用等に伴う代替資産の取得の場合,特定資産の買換えの場合とは異なり,代替資産の取得期間の「延長承認申請」という制度そのものが存在せず,確定申告の際に「やむを得ない事情」を記載した書面の提出が要求されるだけであるから,代替資産の取得期間の延長の事前承認ということはもともと予定されておらず,確定申告に基づく最終的な税額の決定過程において税務署長が更正処分の前提として圧縮記帳の要件を備えているかを判断することになるのである。 したがって,収用等の日から2年を経過する日を含む決算期の確定申告書に「やむを得ない事情」を記載した書面が添付されていれば,税務署長がかかる判断に困ることはないのであり,被告の主張は失当である。 (被告らの主張)(1)原則特別勘定の設定自体,代替資産が具体的に特定されていること 情」を記載した書面が添付されていれば,税務署長がかかる判断に困ることはないのであり,被告の主張は失当である。 (被告らの主張)(1)原則特別勘定の設定自体,代替資産が具体的に特定されていることを論理的前提とし,特定された代替資産の取得価額を基に設定されるものであり,代替資産が特定されていれば,取得に際し物理的,技術的に2年かかるか3年かかるかは当初に判明するのが通常である。また,取得期間を2年とするか「取得することができる日まで」延長するかは,やむを得ない事情の詳細を記載した書面に基づいて判断することになるのであって,この書面が無ければいつまで延長するのかそもそも判明しないことになり,また,遅くとも収用等の日から3年を経過する日までには,同書面の提出が遅れたたことの理由をも併せて提出しなければならないとされている(後記措置法64条5項)のであるから,結局やむを得ない事情の詳細を記載した書面は,収用等による譲渡益を特別勘定に繰り入れようとする事業年度の確定申告書に添付して提出するのが原則(措置法64条の2第5項,64条4項,措置法施行規則22条の3第5項)と言わざるを得ない。 したがって,原告は,本件収用物件を譲渡した平成5年11月30日を含む事業年度(平成6年9月期)の確定申告書に「やむを得ない事情の詳細を記載した書面」を添付しなければならないところ,当該確定申告書にはそのような書面は添付されていない。 (2)宥恕規定の適用なお,税務署長は,措置法64条4項に規定する規定又は添付がない確定申告書の提出がなされた場合でも,その記載又は添付が無かったことについてさらに「やむを得ない事情」があると認める時には,当該事情を記載した書類の提出があった場合に限り,圧縮記帳を適用するこができるとされている(措置法64条5項)ので,本件にお 付が無かったことについてさらに「やむを得ない事情」があると認める時には,当該事情を記載した書類の提出があった場合に限り,圧縮記帳を適用するこができるとされている(措置法64条5項)ので,本件においても,仮に収用事業年度に「やむを得ない事情の詳細を記載した書面」の添付ができなくても,その後,収用後2年以内にその添付ができなかった「やむを得ない事情」を提出すれば,税務署長が取得期間延長の可否(2年を3年以内の取得予定年月日に延長することの可否)を判断できたはずであった。 しかしながら,原告からは,収用等から2年を経過しても,3年を経過しても一向にやむを得ない事情の詳細を記載した書面を提出できなかったことについての「やむを無い事情」の提出はなく,もはやいずれにしても上記取得期間の延長規定が適用できない段階となった初めて「嘆願書」が提出されたにすぎない。 (3)結論以上によれば,本件における収用等に伴う資産の譲渡益の特別勘定の設定期間は,原則に戻って2年である。本件の実相は,物理的に2年以内に取得可能な物件であったから,本来の優遇措置を受けられるよう,前倒しに障害を排除して取得の努力を継続するとともに,特別勘定設定期間を2年として2年以内(あるいは当初にやむを得ない事情を記載した書面を提出して3年以内)に取得すれば良かったことになる。 なお,その後,やむを得ない事情の詳細等を記載した書面は,収用等から3年以上を経過した平成8年12月3日にP6税理士によって提出されたが,これが嘆願書の形式により提出されたこと,同税理士から原告に対し何ら説明がなく,原告は書面の存在すら知らなかったことからすれば,P6税理士も,もはや取得期限の延長ができないことを理解した上で提出したものと推認できる。 (4)原告の主張に対する反論原告は,代替資産の取得に当 原告は書面の存在すら知らなかったことからすれば,P6税理士も,もはや取得期限の延長ができないことを理解した上で提出したものと推認できる。 (4)原告の主張に対する反論原告は,代替資産の取得に当たっての「やむを得ない事情」には,後発的事情も含まれるから,それを事前に提出せよというのは不当であると主張する。 しかしながら,本件特例の代替資産の取得に当たって,当該代替資産そのものにかかる物理的,技術的障害が特別勘定を設定した後に判明し,そのことにつきやむを得ない事情があると認められる場合には,事後的な提出が認められる場合もあり得るのであり(措置法64条5項,同64条の2第5項),すべての場合に事前提出を求めるものではない。 また,仮に,被告大淀税務署長に措置法64条5項の宥恕規定を適用する余地があったとしても,遅くとも,本件収用物件が収用等された平成5年11月30日から2年以内である平成7年11月29日までにやむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出がないと,宥恕規定を適用し,指定期間の延長ができるかどうか判断できないのである。このことは,以下に述べるとおり,指定期間の延長の際の手続の規定からも明らかである。 ア工場等の建設をする場合に,その工場等の取得に要する期間が通常2年を超えるため,その工場等を2年以内に取得することが困難であり,かつ,3年を経過する日までにその資産を取得することが確実であると認められる場合には,当該資産を取得することができることとなると認められる日までの延長が認められる。 すなわち,指定期間の延長は,代替資産の取得期間が2年から3年に延長されるのではなく,3年を超えない範囲内で,代替資産を取得することができることとなる日まで延長されるのである。そのため,やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出に当たって 間が2年から3年に延長されるのではなく,3年を超えない範囲内で,代替資産を取得することができることとなる日まで延長されるのである。そのため,やむを得ない事情の詳細等を記載した書面の提出に当たっては,代替資産の取得予定年月日や取得価額の見積額を記載した書類(旧措置法施行規則22条の3第5項)を提出することとされており,そうすることにより,取得予定年月日までの指定期間の延長が認められることとなる。 イこのような制度の仕組みからすれば,やむを得ない事情の詳細等を記載した書面は,収用等による譲渡益を特別勘定に繰り入れようとする事業年度の確定申告書に添付して提出するのを原則とし,遅くとも収用等の日から2年を経過する日までには,提出が遅れたことの理由を併せて,提出しなければならない。 これを,原告の主張するように,収用の日から2年を経過する日を含む事業年度の確定申告書に添付して提出すればよいのであれば,代替資産を取得した後に,取得予定年月日や見積額を記載した書類を提出することもあり得るのであり,もはや提出する意味をなさないのである。現実に,本件の場合は,収用の日から3年を経過した後に,やむを得ない事情の詳細等を記載した書面を提出しており,取得予定年月日や取得価額の見積額に何の意味もないことは明らかである。 したがって,本件特例における指定期間の延長とは,指定期間を経過してしまう前に,やむを得ない事情の詳細と共に取得予定年月日や取得価額の見積額を提出することにより,その代替資産を取得することができることとなる日まで指定期間が延長される制度であって,原告の主張は失当である。 3の2の3 代替資産の取得時期(原告の主張)(1)租税法律主義の観点からは「取得」とは文字どおり所有権の移転を指すと解するほかはなく,本件で原告が未完成建物の所有権を取得して 主張は失当である。 3の2の3 代替資産の取得時期(原告の主張)(1)租税法律主義の観点からは「取得」とは文字どおり所有権の移転を指すと解するほかはなく,本件で原告が未完成建物の所有権を取得していることは,すでに請負代金の一部を中間金として支払っていること及び従来の判例,学説から明らかである。 (2)本件においては,δ建物につき原告と請負人である藤木工務店との間で締結された契約には,四会連合協定工事請負契約約款が一部の例外を除いてそのまま援用されており,同約款第29条(1)には,「この契約を解除したときは,甲が出来形部分と検査済の工事材料(有償支給材料を含む。)を引きうけるものとして,甲・乙・丙が協議して清算する。」旨の条項がある。 この条項は契約の中途解除があった場合の出来形部分の所有権の帰属について注文者に帰属することを定めたものであるが,解除されない場合においても,注文者に出来形部分の所有権が原始的に帰属していることを確認した規定と解釈することができる。 したがって,原告は,少なくとも平成8年11月29日までに工事が終了した出来形部分を「取得」していたものである。 さらに,もともと請負代金の一部を支払っている場合には,材料は注文者が提供したものと見ることも可能であるから,これに対応する出来形部分の所有権を注文者に認めることは,材料の主要部分をいずれが提供したかによって所有権の帰属を判断する従来の判例理論とも何ら矛盾するものではない。 (3)そして,学説上は,請負契約における未完成建物,完成建物の所有権の帰属につき原始的に注文者に所有権を認める注文者帰属説が多数説である。しかも,注文者が出来形部分に対応する請負代金を全額請負人に支払っている場合には,請負人の側に請負代金債権確保の必要性もないのであるから,請負人に所有権を認める 権を認める注文者帰属説が多数説である。しかも,注文者が出来形部分に対応する請負代金を全額請負人に支払っている場合には,請負人の側に請負代金債権確保の必要性もないのであるから,請負人に所有権を認める実際上の必要性は全く存しないものであり,そのような場合には,その支払った割合に応じて出来形部分の所有権は注文者に帰属すると考えるべきことは当然である。 また,判例も,最高裁平成5年10月19日第三小法廷判決(民集47巻8号5061頁)の可部裁判官の補足意見も併せ考えるならば,同判例により,すでに工事の当初から完成まで出来形部分に一貫して注文者の所有権を認めるにほぼ等しい状況にまで来ていると評価することができる。 (4)被告らは「取得」の意義について30年以上前の法人税基本通達を基に課税実務上も請負による収益の帰属の時期を,「目的物の引渡しによって請負人に報酬請求権が発生する時期においてその収益を請負人の収入に計上するという取扱いがされる」という主張をした上で「取得」の解釈を収益の帰属の時期とすべき解釈を展開する。 しかし,この考え方は,契約時,中間時,引渡時などと一定の出来形に応じて支払われるのが常である本件のような大型の建物の請負契約の実態と乖離する。また,被告らの主張の如き「取得」の時期を収益を基準とする解釈は未完成建物に終わった場合には,そもそも全く実態にそぐわない結果となる。さらに,理論上取得の時期は所有権の帰属の時期と同一に解さなければ代金の大半を支払っても引渡しを受けない以上,建物を取得したと言えないとなり,はなはだ不都合な結果となる。 翻ってみるに,本件の代替資産の取得の時期を考えるに何故収益ができるようになった時期を基準とする必要があるのか疑問であり,むしろ,取得のための「代金」をいつ支払ったのかという点が特別勘定による 。 翻ってみるに,本件の代替資産の取得の時期を考えるに何故収益ができるようになった時期を基準とする必要があるのか疑問であり,むしろ,取得のための「代金」をいつ支払ったのかという点が特別勘定による措置を認めるかどうかの基準とすべき時期と考えるべきである。 (5)なお,代替資産の取得時期を請負人の報酬請求権の発生時期(注文者の報酬支払義務の発生時期)と結びつけて考える被告の立場に立つとしても本件では,原告に建物完成前に報酬支払義務は発生していると言わなければならない。 すなわち,本件においては,請負契約上に中間金の支払義務が特約(藤木工務店との工事請負契約書第5条,江口工務店との工事請負契約書第5条)で定められており(甲30,甲31),目的物引渡前であってもすでに報酬支払義務(代替資産の取得費用)が現実に発生しているのである。 (6)あてはめ原告は,δ建物について,平成8年4月9日に1億1000万円,同年9月27日にさらに1100万円,γ建物について,同年11月26日に1100万円を支払っている。 このように,原告は,代替資産たる建物の出来形に応じて代金を支払っており,例えば,δ建物については,代金総額の62パーセントに当たる2億2000万円を収用等の日から3年以内に支払っているから,少なくとも出来形部分の未完成建物の所有権は既に原告に移転していたものと認めるのが相当である。 それ故,原告は,平成8年11月29日までに支払った代金に相当する部分の未完成建物を収用等の日から3年以内に「取得」していたものであるから,少なくともこの金額については特別勘定が認められるべきである。 (被告らの主張)完成された物を引渡すことを内容とする請負契約によって減価償却資産を取得する場合においては,原則として,注文者が請負人から完成した当該資産の引渡を 特別勘定が認められるべきである。 (被告らの主張)完成された物を引渡すことを内容とする請負契約によって減価償却資産を取得する場合においては,原則として,注文者が請負人から完成した当該資産の引渡を受けることによって「取得」があったと解するのが相当である。請負契約においては,民法上,完成した目的物の引渡によって目的物の所有権が注文者に移転し,かつ,請負人の報酬請求権が発生する(民法633条)こととされていること,課税実務上も,請負による収益の帰属につき,目的物引渡時に益金算入するとみるのが通常であること(法人税基本通達2-1-5)の反面,注文者においても減価償却資産の所有権取得時期は,完成した減価償却資産の引渡を受けた際に取得するものと解するのが合理的である。本件特例を適用するうえでも,代替資産の引渡を受けた日を適用するのが相当であり,原告の主張するように所有権帰属を認定判断することは,課税技術的に困難であり,本件特例を適用する上で採用できないことは明らかである。 本件代替資産の取得についてみると,γ建物については江口工務店との工事請負契約書によればその完成は,平成9年3月20日であり,登記簿をみても同月19日であって,いずれにしても,収用等のあった日から3年以内とはいえないし,δ建物についてもその完成は,平成9年2月28日,登記簿上では4月15日とされており,これについてもいずれにしても収用等のあった日から3年以内とはいえない。 第3 当裁判所の判断第3の1 本案前の主張について本件委託納付は地方税法附則9条の10第2項に基づくものであるところ,同項は,同条第1項1号に規定する場合に同号の還付金等の還付を受けるべき者は,当該還付をすべき国税局長又は税務署長に対し,当該還付金等により未納譲渡割又は納付すべきこととなっているその他 るところ,同項は,同条第1項1号に規定する場合に同号の還付金等の還付を受けるべき者は,当該還付をすべき国税局長又は税務署長に対し,当該還付金等により未納譲渡割又は納付すべきこととなっているその他の国税を納付することを委託したものとみなす旨規定しており,同項に基づく納付委託は,所定の要件を充足することにより,法律上当然に納付を委託したものとみなされるものであって,行政庁の行為を観念することができず,本件納付委託をもって被告大阪国税局長が原告に対し何らかの行政処分をしたものとみることはできない。 したがって,原告の本件納付委託の取消を求める訴えは不適法である。 第3の2 本案について 1 措置法64条の2第1項かっこ書のやむを得ない事情(1)措置法64条の2かっこ書の代替資産の取得時期の特例が認められる場合は,措置法施行令39条11項において定められており,本件では同項3号の適用が問題となるところ,同号は「収用等に伴い,工場事務所その他の建物構築物又は機械及び装置(以下この号において「工場等」という。)の建設又は移転を要することとなった場合において,当該工場等の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常2年を超えるため,当該収用等のあった日以後2年を経過する日までに当該工場又は当該工場等の敷地の用に供する土地その他の当該工場等に係る資産を代替資産として取得することが困難であり,かつ,当該収用等のあった日から3年を経過する日までに当該資産を取得することが確実であると認められるとき」と規定している。 まず,同号が,やむを得ない事情が認められる場合を工場等の建設又は移転を要することとなった場合に限定していることからすると,前提として,工場等につき物理的な変更を加える場合を想定しているものと解される。 そ が,やむを得ない事情が認められる場合を工場等の建設又は移転を要することとなった場合に限定していることからすると,前提として,工場等につき物理的な変更を加える場合を想定しているものと解される。 そして,同号は,その場合に,宅地の造成や当該工場等の建設及び移転に要する期間が「通常」2年を超えることから,収用等のあった日以後2年経過までに代替資産を取得することが困難であることを要件としてあげており,その「通常」との文言からすると,例えば,大規模な高層建物を建築する場合など,その工場等の性質から一般的かつ客観的に長期間を要する場合が想定されているというべきである(なお,同号からは,当該収用等のあった日から3年を経過する日までに当該資産の取得をすることが確実であるとの要件も問題となるが,本件では,本文において摘示した要件を中心に検討する。)。 したがって,かかる法令の規定の仕方に鑑みれば,本件特例で2年を超える指定期間が適用になる「やむを得ない事情」とは,代替資産をもっぱら2年以内に取得することを困難ならしめる当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害を指しているというべきであり,災害などの偶発的な要素や取得の交渉が難航するなどの主観的な要素は想定されていないものと解するのが相当である。 (2)このような解釈は,買換特例に関する規定との比較からも明らかである(なお,収用等特例と買換特例の比較についてはさらに後述する。)。 すなわち,措置法65条の8第1項かっこ書に規定する取得指定期間を延長する事情に関して,措置法施行令39条の7第25項は,やむを得ない事情がある場合として「工場,事務所その他の建物,構築物又は機械及び装置(以下この項において「工場等」という。)の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する やむを得ない事情がある場合として「工場,事務所その他の建物,構築物又は機械及び装置(以下この項において「工場等」という。)の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常1年を超えると認められる事情その他これに準ずる事情がある場合」と規定し,当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害以外であっても「その他これに準ずる事情がある場合」にはやむを得ない事情に該当し得る余地を明らかにし,措置法通達65の7(4)-4も「その他これに準ずる事情がある場合」には,①法令の規制等によりその取得に関する計画の変更を余儀なくされたこと,②売主その他の関係者との交渉が長引き,容易にその取得ができないこと,③上記①又は②に準ずる特別な事情があるためやむを得ずその取得が遅延する場合が含まれるものと規定し,上記の解釈を採用している。 これに対し,本件特例には,「その他これに準ずる事情がある場合」にも指定期間が延長されることを明らかにする規定はなく,措置法通達65の7(4)-4に相当する通達も設けられていないのである。 かかる規定の仕方を比較するならば,前記(1)の解釈は相当であることが明らかである。 (3)原告は,昭和44年税制改正に当たり,買換特例が大幅な変更を受けたのに対し,本件特例につき大きな変更がなかったであるとか,買換特例に比較して本件特例が適用される頻度が低いことから本件特例については措置法通達65の7(4)-4のような通達が設けられなかったと主張するが,上記のとおり,法文の構造が明確に異なり,立法者がやむを得ない事情の範囲を両特例において同様のものとする立法政策を採用したならば,同様に規定することに特段の障害はなかったのであるから,原告の主張は採用することができない。 なお,先行取得に関しては,収 得ない事情の範囲を両特例において同様のものとする立法政策を採用したならば,同様に規定することに特段の障害はなかったのであるから,原告の主張は採用することができない。 なお,先行取得に関しては,収用等特例に特段の規定はないところ,措置法通達64(3)-6で先行取得を認め,取得の期間については,「当該取得した資産が収用等のあった日を含む事業年度開始の日前1年(収用等をされることに伴い,工場,事務所,その他の建物,構築物又は機械及び装置(以下「工場等」という。)の建設又は移転を要することとなる場合において,当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常1年を超えると認められる事情その他これに準ずる事情がある場合には,収用等があった日を含む事業年度の開始の日前3年)以内」と買換特例の場合(措置法施行令39条の7第25項)と同様の規定をしており,また,先行取得について買換特例と収用等特例を同様に取り扱おうとする課税実務も窺える(甲43,44)が,収用等特例におては先行取得に関する法規が存在しないのに対し,指定期間の延長についてはこれが存在するのであるから,同一に論ずることはできない。 2 本件におけるあてはめ(1)γの物件についてアまず,γ建物は,登記簿の記載によれば,鉄骨造スレート葺3階建の事務所であり(乙15),建築工事期間は,工事請負契約書(甲12)によれば平成8年11月25日から平成9年3月20日の約4か月とされており,建物自体について2年以内に取得できない物理的,一般的,客観的な障害は認められない。 イ原告は,やむを得ない事情として旧建物の借家人の明渡し交渉が長引いたことをも主張するが,かかる事情が当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な事情に当たらないことは明らかである。 また,原告は,現地測量により私道のための敷地面 借家人の明渡し交渉が長引いたことをも主張するが,かかる事情が当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な事情に当たらないことは明らかである。 また,原告は,現地測量により私道のための敷地面積が不足し,隣地を取得する必要が生じたこともやむを得ない事情として主張するが,原告代表者作成の陳述書(甲32)によれば,私道の不足は平成8年3月に判明し,その取得は平成8年9月2日になされたのであり,その期間は6か月に過ぎず,また,6か月を要したこと自体も取得のための交渉が長引いたことにほかならず,やはり,当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害は認められない。 ウしたがって,原告が主張する事情はいずれも,上記の意味での当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害に該当するものではないことが明らかである。 (2)δ建物についてア δ建物は,登記簿の記載によれば,鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付きの8階建ての共同住宅・居宅・事務所・車庫であって(乙14),同建物の計画書(甲15)によっても特段建築にあたり物理的に困難なものであることを窺わせる事情は認められず,また,建築工事期間は,工事請負契約書(甲19)によれば平成8年3月28日から平成9年2月28日の11か月とされており,2年以内に取得できない物理的,一般的,客観的な障害は認められない。 イ原告は,敷地の取得の交渉が売主側の事情で難航したことをやむを得ない事情として主張するが,かかる事情が当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害に該当するものではないことが明らかである。 また,原告は,敷地であるδ土地の隣地である14番13所在の建物がδ土地に食い込んで建てられていたため,境界確認にも手間取り,敷地の買収が遅れたことをも主張するが,これは,問題となる らかである。 また,原告は,敷地であるδ土地の隣地である14番13所在の建物がδ土地に食い込んで建てられていたため,境界確認にも手間取り,敷地の買収が遅れたことをも主張するが,これは,問題となる代替資産であるδ建物についての事情ではなく,また,それ自体,主として交渉における障害であり,当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害と解することはできない。 さらに,原告は,阪神大震災により設計と建築を請負った藤木工務店に影響が生じたことを主張するが,震災は一般的な障害ということはできない。確かに,阪神大震災の被害規模を考慮する,一般的な障害と言えないとして収用等特例の指定期間の延長を認めないことは納税者に苛酷な結果を招く場合もあり得,法律の不備と解されないわけではないが,震災特例法は,まさに,かかる苛酷な事態を救済するために制定されたものであり,かかる個別の救済が可能である以上,不合理なものと断言することはできない。 加えて,原告は,当時の代表者であったP5が入院したこともやむを得ない事情として主張するが,かかる事情が当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害に該当すると言えないことは明らかである。 ウしたがって,原告が主張するやむを得ない事情は当該代替資産そのものに係る物理的,一般的,客観的な障害に該当するものではないことが明らかである。 3 買換特例との比較原告は,本件特例と買換特例の対比から上記1の解釈の不合理性を主張するのでこの点について判断する。 (1)まず,収用等特例及び買換特例の改正の経緯を検討する。 ア昭和37年12月税制調査会答申税制調査会は,公共施設等社会資本の急速な充実に資する等のため,土地等の譲渡に伴う所得に関し,①特定公共事業の遂行に伴う土地等の譲渡による所得に関し,一定期間に限り 昭和37年12月税制調査会答申税制調査会は,公共施設等社会資本の急速な充実に資する等のため,土地等の譲渡に伴う所得に関し,①特定公共事業の遂行に伴う土地等の譲渡による所得に関し,一定期間に限り,一定額以下の所得については,課税を免除すること,②土地等の譲渡による所得に関する各種の特例措置については,現在複雑多岐にわたっているので,これを統合し,その簡素化を図ることを答申した(乙1)。 イ昭和38年税制改正(昭和38年法律第65号,同年政令第98号)(ア)本件特例の改正昭和37年12月税制調査会答申を受け,昭和38年の税制改正では,本件特例の指定期間の延長が認められる「やむを得ない事情」に,工場等の移転の場合も含まれることとなった。すなわち,収用等のあったことに伴い,工場等(工場,事務所その他の建物,構築物又は機械及び装置)の建設又は移転を要することとなった場合において,その工場等の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常1年を超えるため,その収用等のあった日以後1年を経過した日までに当該工場等又は当該工場等の敷地の用に供する土地その他の当該工場等に係る資産を代替資産として取得することが困難であり,かつ,その収用等のあった日から3年を経過した日までに代替資産を取得することが確実であると認められるときは,その代替資産を取得することができることとなると認められる日まで特別勘定の設定期間つまり指定期間が延長された(昭和42年政令第272号による改正前の措置法施行令39条の2第9項2号。本件の措置法施行令39条11項3号に相当する。)。 (イ)買換特例の改正昭和38年法律第65号により買換特例が設けられた(同法により新設された措置法65条の4,65条の5)が,先行取得に関するやむを得ない事情の範 9条11項3号に相当する。)。 (イ)買換特例の改正昭和38年法律第65号により買換特例が設けられた(同法により新設された措置法65条の4,65条の5)が,先行取得に関するやむを得ない事情の範囲として,本件特例に関する上記措置法施行令に規定する「工場等の建設をする場合」を準用するよう制定された(昭和44年政令第98号による改正前の措置法施行令39条の6第4項)。すなわち,昭和44年政令第98号による改正前の措置法施行令39条の6第4項は,「法第65条の4項第2項に規定する政令で定めるやむを得ない事情がある場合は,第39条の3第9項2号に規定する工場等の敷地の用に供するための宅地の造成並びに当該工場等の建設及び移転に要する期間が通常1年を超えると認められる事情がある場合」と規定していた。 ウ昭和42年2月税制調査会答申(乙1)税制調査会は,土地等の譲渡所得に対する課税のあり方について根本的に再検討を加えるとともに,さしあたり,土地収用法の改正に対応して,収用等の場合の譲渡所得課税について軽減合理化を行ない,工場立地の適正化に対応して事業用資産の買換えの特例措置につき合理化の上その適用期限を延長するよう答申した。 エ昭和42年税制改正(昭和42年政令第272号)昭和42年2月税制調査会答申を受け,それまで本件特例における指定期間が1年であったものを(やむを得ない事情がある場合は最長3年),これを1年延長して2年を経過した日までに代替資産を取得する見込みであればよいことになったが,買換特例については改正されなかった。 オ昭和43年7月土地税制のあり方答申(乙1)(ア)土地高騰の社会問題化この当時,我が国の土地の価額は,先進諸国にその例を見ないほどの激しさで上昇し,このまま放置されたならば,個人住宅は宅地価格高騰のため庶民の手 地税制のあり方答申(乙1)(ア)土地高騰の社会問題化この当時,我が国の土地の価額は,先進諸国にその例を見ないほどの激しさで上昇し,このまま放置されたならば,個人住宅は宅地価格高騰のため庶民の手の届かぬものとなり,企業の生産手段の重要な一要素である土地の価格は企業の国際競争力を減殺するほどの高価なものとなるおそれがあり,さらに,公共投資の面でも,用地費の累増のため,投下資金量の大半が土地取得のために用いられて,投資の効率が阻害される等,深刻な経済上,社会上の問題を招く恐れが指摘された。 (イ)収用等の場合の特例的軽減の縮減合理化そこで,税制調査会は,本件特例を含む収用等の場合の特例的軽減措置について,この制度があるためにかえって周辺地価,場合によっては公共用地そのものの取得価額の上昇を招いていると指摘し,特に,それまでの収用等特例では,指定期間内を経過した日において,特別勘定を有している場合,その特別勘定残高の2分の1を損金の額に算入できるなどの特例的軽減が行われていた(いわゆる「2分の1課税特例」)ところ,一般の任意売却の場合と収用等の強制的な売却の場合との間に,譲渡所得の課税上ある程度の差異があることは必要であるものの,当時の差異は行き過ぎであり,個人の長期保有土地の譲渡所得の課税方式を変更する機会に,収用等の場合の課税の軽減措置を縮減することが適当であるとした。 (ウ)特定資産の買換制度の合理化一方,買換特例については,土地の不急需要を呼んでいる場合が目立つ,あるいは,過密地域内から同地域外への買換えが少なく,土地政策上好ましくない過密地域内部での買換えや過密地域外から過密地域内への買換えが目立つ等の理由から,過密地域外への土地の供給の促進を図る等の特定の政策目的に沿う買換えについてのみ制度を存続させる等,制度の合理化を図 過密地域内部での買換えや過密地域外から過密地域内への買換えが目立つ等の理由から,過密地域外への土地の供給の促進を図る等の特定の政策目的に沿う買換えについてのみ制度を存続させる等,制度の合理化を図るべきであるとした。 カ昭和44年税制改正(昭和44年法律第15号,同年政令第86号)(ア)収用等特例の軽減措置縮減昭和44年税制改正により,本件特例のいわゆる2分の1課税特例を廃止する等,軽減措置の縮減が行われた。 (イ)買換特例の合理化(乙11)一方,買換特例は,従来の事業用資産の買換えの場合の課税の特例制度を,その適用期限(昭和45年3月31日)の到来とともに廃止し,土地政策又は国土政策に合致すると認められる買換えに限って,その課税の特例を認めることとされた。 このように買換特例適用を一定の政策目的に絞り込む一方で,①先行取得資産の範囲が従来は土地等に限られていた(廃止前の措置法65条の4第2項)のを,先行取得資産の適用対象を,土地等のほか,「資産」と改正して建物,構築物,機械装置にも広げた(昭和49年法律第17号による改正前の措置法65条の6第3項。現行措置法65条の7第3項)ほか,②先行取得が認められるやむを得ない事情について,「通常1年を超えると認められる事情」に加え,「その他これに準ずる事情のある場合」も含めること(昭和46年法律第74号による改正前の措置法施行令39条の6第8項。現行措置法施行令39条の7第20項)としていずれも適用場面を拡大して,制度の合理化が図られた。 (2)上記改正経緯をみると,収用等特例と買換特例は,いずれも圧縮記帳の制度であり,指定期間が延長される場合について昭和38年税制改正の段階では収用等特例の場合を買換特例においても準用する形で定められており,両特例において同様の事情がある場合に延長を認め も圧縮記帳の制度であり,指定期間が延長される場合について昭和38年税制改正の段階では収用等特例の場合を買換特例においても準用する形で定められており,両特例において同様の事情がある場合に延長を認める法制をとっていたものが,昭和42年税制改正で収用等特例につき指定期間の原則が収用等の後2年までと延長されたものの,買換特例については期間に関し改正はなされず,まず,期間について異なる扱いとなり,さらに,昭和44年の税制改正で買換特例が土地政策的配慮を強めた制度として対象を限定して一新されたことに対応して指定期間が延長される事情の拡大が図られたものの,収用等特例については対象に変化はなく指定期間が延長される事情についても改正がなされなかったものである。 これらの税制改正を通じ,収用等特例と買換特例は,別個の土地政策目的を有する制度として発展してきたものであるということができ,各特例において個別の利益調整が図られる制度となったものであって,強制的に土地を収容された場合の方が税制上優遇すべきであるとの一般論に立ち,やむを得ない事情を広く認めている買換特例に関する規定を本件特例についても類推適用すべきであるとの原告の主張は採用できない。 なお,昭和44年の税制改正は,土地政策の観点から買換特例の適用対象を限定することに目的があったものと解されるが,対象を限定することと,取得指定期間の延長を認めるやむを得ない事情を拡大することは上記の改正の目的と矛盾するものではない。 4 小結以上検討したところにより,γ土地の一部分(借家人立退料,私道補填部分),同建物,δ建物については,措置法64条の2第1項かっこ書のやむを得ない事情は認められず,その余について判断するまでもなく,本件特例を適用することはできないと言わざるを得ない。 5 税額の算定(争いのな 物,δ建物については,措置法64条の2第1項かっこ書のやむを得ない事情は認められず,その余について判断するまでもなく,本件特例を適用することはできないと言わざるを得ない。 5 税額の算定(争いのない事実及び弁論の全趣旨)5の1 平成7年9月期A 所得金額(1)当初繰越欠損金額(確定申告書記載額) 1億6747万8075円(2)新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額 20万5590円原告は,平成5年7月27日にγ土地,平成6年10月7日にδ土地を取得しており,これらは,新規取得土地等に該当する。また,平成6年11月10日のδ土地上の建物解体費用も,δ土地の取得のための支払であるから,δ土地の取得価額を構成し,新規取得土地等に該当する(旧措置法通達62の2(5)-6)。 そして,措置法旧62条の2第1項による損金不算入額は,別紙4「新規取得土地等に係る負債の利子の損金不算入額」の平成7年9月期の欄のとおり,20万5590円である。 (3)翌期繰越欠損金額 1億6727万2485円上記(1)の当初繰越欠損金額1億6747万8075円に,上記(2)の新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額20万5590円を加算した金額である1億6727万2485円が原告の平成7年9月期における翌期繰越欠損金額である。 B 法人税額原告の平成7年9月期の所得金額は,繰越欠損金額1億6727万2485円があることから,所得金額は0円,納付すべき法人税額も0円である。 5の2 平成8年9月期A 所得金額(1)当初繰越欠損金額(確定申告書記載額) 9486円(2)新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額 21万0168円前記5の1A(2)と同様に,平成5年7月27日のγ土地,平成6年10月7日のδ土地,平成6年11月10日のδ土地上の建物解体 円(2)新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額 21万0168円前記5の1A(2)と同様に,平成5年7月27日のγ土地,平成6年10月7日のδ土地,平成6年11月10日のδ土地上の建物解体費用は,新規取得土地等に該当し,措置法旧62条の2第1項による損金不算入額は,別紙4の平成8年9月期の欄のとおり,21万0168円である。 (3)代替資産特別勘定残高の益金算入額 4億8200万円前記判断を前提とすると,本件における本件特例を適用した指定期間は,原則どおり本件収用等の日から2年を経過する平成7年11月29日である。 しかるところ,原告は,収用等の日を含む事業年度である平成6年9月決算期において,平成5年7月27日に取得したγ土地1億2500万円を代替資産として圧縮記帳の対象とするとともに,代替資産特別勘定8億9822万7605円を設定し,その後,原告が平成7年11月29日までに取得した代替資産は,平成6年10月7日に取得したδ土地4000万円,平成6年11月10日にδ土地の旧建物解体費用180万円(土地勘定で経理)であり,それぞれ圧縮記帳し,これに対応する代替資産特別勘定も取り崩した。 しかしながら,指定期間を経過する日に代替資産特別勘定残高を有する場合には,上記特別勘定残高の全額を取り崩して,指定期間を経過する日を含む事業年度の益金の額に算入しなければならない(措置法64条の2第4項)ことから,平成7年11月29日を含む事業年度である平成8年9月決算期の代替資産特別勘定の残額4億8200万円を取り崩すべきこととなる。 (4)圧縮損の損金不算入額 352万4400円原告は,平成8年2月28日のγ土地の借家人への立退料160万円,平成8年9月2日のγ土地の私道補填部分取得費用200万円を代替資産として圧縮記帳の対象としてい の損金不算入額 352万4400円原告は,平成8年2月28日のγ土地の借家人への立退料160万円,平成8年9月2日のγ土地の私道補填部分取得費用200万円を代替資産として圧縮記帳の対象としているが,本件における指定期間は平成7年11月29日までであり,その後に取得した資産には,本件収用等の圧縮記帳の適用はなく,原告が計上した圧縮記帳損352万4400円は所得金額に加算すべきものである。 (5)所得金額 4億8593万0672円上記所得金額は,上記(1)の当初繰越欠損金額9486円に,平成7年9月期の繰越欠損金減少額20万5590円,上記(2)の新規取得土地等の負債利子の損金不算入額21万0168円,上記(3)の代替資産特別勘定残額の益金算入額4億8200万円及び上記(4)の圧縮額の損金不算入額352万4400円を加算した額である。 B 法人税額(1)所得金額に対する法人税額 1億8146万3750円原告の平成8年9月期所得金額は上記Aのとおりであるから,通則法118条(国税の課税標準の端数計算等)1項により,1000円未満の端数金額を切り捨てた金額4億8593万円に法人税法66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率,ただし平成10年法律第24号による改正前のもの)1項,2項の税率を乗じて計算すると,上記所得金額に対する法人税額は,1億8146万3750円になる。 (2)課税留保金額に対する法人税額 3515万6000円法人税法67条(同族会社の特別税率)は,法人税法2条1項10号に規定する同族会社のうち,一定の要件に該当する会社に対して,通常の法人税のほか,その利益の内部留保に対して特別の法人税を課すこととしている。原告の株式は,訴外P5とその同族関係者によって100パーセント保有されていることから,原告は,同族会社の特 対して,通常の法人税のほか,その利益の内部留保に対して特別の法人税を課すこととしている。原告の株式は,訴外P5とその同族関係者によって100パーセント保有されていることから,原告は,同族会社の特別税率の適用がある同族会社に該当する。 原告の平成8年9月期の課税留保金額は,別紙5の当期留保金額4億3690万1612円から留保控除額2億2862万1104円を差し引いた金額2億0828万円(通則法118条1項により1000円未満の端数金額を切り捨てたもの)であり,課税留保金額に対する法人税額は3515万6000円である。 (3)所得税額の控除額 373万5907円(4)差引合計法人税額 2億1288万3800円上記税額は,上記(1)の所得金額に対する法人税額1億8146万3750円に,上記(2)の課税留保金額に対する法人税額3515万6000円を加算し,上記(3)の所得税額の控除額373万5907円を減算した金額(通則法119条1項により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 5の3 平成9年9月期に係る法人税の更正処分A 所得金額(1)当初欠損金額(確定申告書記載額) 97万7180円(2)新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額 21万7473円前記5の1A(2)と同様に,平成5年7月27日のγ土地,平成6年10月7日のδ土地,平成6年11月10日のδ土地上の建物解体費用,平成8年2月28日のγ土地の土地勘定で経理した立退料,平成8年9月2日のγ土地の私道補填部分取得費用は,新規取得土地等に該当する。 ところで,新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入期間は,新規取得土地等の上の建物がその用に供された日までとされている(旧措置法62の2第3項2号)ところ,γ建物は平成9年3月31日に,δ建物は平成9年4月30日に事業 等に係る負債利子の損金不算入期間は,新規取得土地等の上の建物がその用に供された日までとされている(旧措置法62の2第3項2号)ところ,γ建物は平成9年3月31日に,δ建物は平成9年4月30日に事業の用に供していることから,平成9年9月期の損金不算入期間は,γ土地が6か月間,δ土地が7か月間となる。したがって,同条項による損金不算入額は,別紙4の平成9年9月期の欄とおり,21万7473円である。 (3)圧縮損の損金不算入額 3億8249万9460円原告は,平成9年2月28日のδ建物3億5559万7260円,平成9年3月21日のγ建物3510万6990円を代替資産として圧縮記帳の対象とした。 しかしながら,前記5の2A(3)において述べたとおり,本件における指定期間は,平成7年11月29日までであり,その後に取得した資産には,圧縮記帳の適用はなく,原告が計上した圧縮損3億8249万9460円は所得金額に加算されるべきものである。 (4)代替資産特別勘定戻入益の処理 4億8200万円原告が法人税の確定申告書において,代替資産特別勘定戻入として所得金額に加算した金額4億8200万円は,前記5の2A(3)のとおり平成8年9月期に所得金額に加算すべきものであることから,平成9年9月期では所得金額に加えるべきものではない。 (5)事業税の処理 5831万1600円前記5の2の平成8年9月期の算定により増加した所得に係る事業税の額5831万1600円は所得金額から減算すべきものである。 (6)減価償却費の損金算入額 903万2388円原告は,γ建物及びδ建物に係る減価償却費の計算において,圧縮後の取得価額により計算しているが,前記(3)に述べたとおり,γ建物及びδ建物には圧縮記帳の適用がないことから,減価償却費の計算の基礎となる取得価額は,圧 びδ建物に係る減価償却費の計算において,圧縮後の取得価額により計算しているが,前記(3)に述べたとおり,γ建物及びδ建物には圧縮記帳の適用がないことから,減価償却費の計算の基礎となる取得価額は,圧縮前の金額となる。そこで,圧縮前の取得価額に基づいて再計算すると,別紙5減価償却費の損金算入額の計算表のとおり,償却限度額の合計額が921万3836円となる。ところで,上記(3)のとおり圧縮損の損金不算入額3億8249万9460円は,昭和44年5月1日付直審(法)25法人税基本通達7-5-1の取扱いにより,減価償却費を計上したこととなることから,921万3836円から当初償却費に計上した金額18万1448円を差し引いた金額903万2388円が減価償却超過額となり所得金額から減算すべきものである。 なお,原告は,γ建物を耐用年数24年,償却率0.092として計算しているが,上記建物は,鉄骨造,倉庫用のその他のものが相当であることから,耐用年数18年,償却率0.120を適用して計算すべきものである。 (7)欠損金額 1億6760万4235円上記所得金額は,上記(1)の当初欠損金額97万7180円に,上記(2)の新規取得土地等に係る負債利子の損金不算入額21万7473円及び上記(3)の圧縮損の損金不算入額3億8249万9460円を加算し,上記(4)の代替資産特別勘定戻入益の損金算入額4億8200万円,上記(5)の事業税の損金算入額5831万1600円及び上記(6)の減価償却費の損金算入額903万2388円を減算した額である。 B 法人税額還付所得税額の減少額 46万3341円原告は,法人税確定申告書において,前4年以前に終了した事業年度(平成5年9月30日決算期)に係る所得税額46万3341円を還付するよう申告したが,上記所得税額は,平成 の減少額 46万3341円原告は,法人税確定申告書において,前4年以前に終了した事業年度(平成5年9月30日決算期)に係る所得税額46万3341円を還付するよう申告したが,上記所得税額は,平成8年9月期の法人税額から控除したので,還付税額はない。 6 本件各更正本件各更正は,上記5で算定して金額と同額であるから,いずれも適法である。 7 本件各賦課決定原告の平成8年9月期の法人税確定申告書に記載された法人税額は0円であるところ,上記のとおり適法な本件更正処分後の納付すべき法人税額は2億1288万3800円(5の2A(4))であることから,通則法65条2項に該当し,上記税額に対する過少申告加算税の額は,3190万7000円となる。 また,原告の平成9年9月期の納付すべき法人税額は46万3341円(5の3B)であることから,上記税額に対する過少申告加算税は,通則法65条1項の規定により,4万6000円である。 したがって,これと同額の本件各賦課決定はいずれも適法である。 8 本件充当前記のとおり平成8年9月期に関する本件更正は適法であり,被告大淀税務署長は,原告に対し,平成10年9月30日付けで平成8年9月期の法人税の更正処分等をしたので,当該更正処分等により請求人の納付すべき税額は確定しているところ,一方,被告大阪国税局長は,被告大淀税務署長から,原告に関する平成8年9月期の納付すべき本税の額及び過少申告加算税の額について,徴収の引継ぎを受けるとともに,平成9年10月1日から平成10年9月30日までの事業年度の法人税の確定申告に係る還付金について還付の引継ぎを受け,通則法57条に基づいて本件充当をしたものであり適法である。 第4 結論以上のとおり,本件委託納付の取消しを求める訴えは不適法であるから却下し,本件各更正,本件各 付金について還付の引継ぎを受け,通則法57条に基づいて本件充当をしたものであり適法である。 第4 結論以上のとおり,本件委託納付の取消しを求める訴えは不適法であるから却下し,本件各更正,本件各賦課決定及び本件充当はいずれも適法でありこれらの取消しを求める請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第二民事部裁判長裁判官三浦潤裁判官林俊之裁判官小野裕信

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