令和6年11月7日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(ワ)第9696号損害賠償請求事件(甲事件)令和4年(ワ)第10968号特許権移転登録手続請求事件(乙事件)口頭弁論終結日令和6年10月1日判決 甲事件・乙事件原告医療法人再生未来(以下「原告再生未来」)代表者理事長P1 乙事件原告再生ファーマ株式会社(以下「原告再生ファーマ」)代表者代表取締役 原告ら訴訟代理人弁護士小松陽一郎同原悠介同千葉あすか同訴訟復代理人弁護士小山秀同中田健一 甲事件・乙事件被告公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(以下「被告」)代表者代表理事 訴訟代理人弁護士高島浩同平田尚久同井口奈緒子同山添慎一郎 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する(甲事件、乙事件)。 2 訴訟の総費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 甲事件被告は、原告再生未来に対し、2000万円および内113万3325円に対する令和3年2月10日から、内3万3687円に対する同年4月29日から、内1883万2988円に対する令和4年12月15日から各支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 乙事件 (1) 被告は、原告再生未来に対し、別紙1特許権目録記載の特許権の持分3分の1につき、特許法74条1項を原因とする移転登録手続をせよ。 (2) 被告は、原告再生ファーマに対し、別紙1特許権目録記載の特許権の持分3分の1につき、特許法74条1項を原因とする 分3分の1につき、特許法74条1項を原因とする移転登録手続をせよ。 (2) 被告は、原告再生ファーマに対し、別紙1特許権目録記載の特許権の持分 3分の1につき、特許法74条1項を原因とする移転登録手続をせよ。 (3) (1)項の予備的請求被告は、原告再生未来に対し、別紙1特許権目録記載の特許権の持分3分の1につき、移転登録手続をせよ。 第2 事案の概要 1 本判決で用いる主な呼称(1) 本件契約原告再生未来と被告との間で平成28年4月1日に締結された研究受託契約(2) 本件研究本件契約に基づいて行われた研究(3) 本件特許(権) 別紙1特許権目録記載の特許(権) (4) 本件出願1 特願2017-241109の特許出願 (5) 本件出願2 特願2019-559230の特許出願(本件特許権の出願。 甲34)。本件出願1及び2を総称して「本件各出願」という。 (6) 本件無効審判(請求) 本件特許権についてされた無効2020-800099の無効審判(請求)(7) 本件訂正本件無効審判の手続中にされた本件特許の訂正 (8) 本件論文 nature社のScientificReports(ウェブ媒体)に投稿された「Simplemethodforlarge-scaleproductionofmacrophageactivatingfactorGcMAF」と題する論文(9) 本件発明後記1ステップで活性型GcMAFを合成する方法に係る発明であって、本件特許権の訂正後の特許請求の範囲請求項1に係る発明 2 訴訟物(1) 甲事件の主たる請求被告が、本件契約上の協議義務及び守秘義務に違反したことを前提とする債務不履行に基づく損害賠償請求(明示 後の特許請求の範囲請求項1に係る発明 2 訴訟物(1) 甲事件の主たる請求被告が、本件契約上の協議義務及び守秘義務に違反したことを前提とする債務不履行に基づく損害賠償請求(明示的一部請求)。 その主張に係る損害は、後記第3の5【原告再生未来の主張】に記載のとお りであり、一部請求の内訳は、(1)(2)に記載の損害の全額と(3)に記載の金額のうち50万円(この合計113万3325円)、(4)に記載の金額全額(3万3687円)、(5)に記載の金額のうち883万2988円及び(6)ないし(8)に記載の金額の各全額(この合計1883万2988円)である。なお、(6)原告再生未来代表者個人又は原告再生未来の発明者名誉権侵害に基づく慰謝料2 50万円(個人のものについて債権譲渡により原告再生未来に帰属)、(7)原告再生ファーマ取締役のP2個人又は原告再生未来の発明者名誉権侵害に基づく慰謝料250万円(同様に個人のものについて原告再生未来に帰属)、(8)原告再生未来に生じた慰謝料500万円については、債務不履行請求を主位的に、不法行為に基づく損害賠償請求を予備的にいうものである。 (2) 甲事件の附帯請求 (1)の請求額の内113万3325円に対する令和3年2月10日(請求の日の翌日又は不法行為日の後日)から支払済みまで、内3万3687円に対する同年4月29日(同)から支払済みまで、その余の1883万2988円に対する令和4年12月15日(同)から支払済みまで、それぞれ、民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金請求 (3) 乙事件の主位的請求本件発明につき、P1及びP2が共同発明者であることを前提とする、特許法74条1項に基づく本件特許権の持分3分の1の各移転登録手 トの割合による遅延損害金請求 (3) 乙事件の主位的請求本件発明につき、P1及びP2が共同発明者であることを前提とする、特許法74条1項に基づく本件特許権の持分3分の1の各移転登録手続請求(4) 乙事件の予備的請求本件契約上の特許権移転義務の履行請求としての本件特許権の持分3分の 1の移転登録手続請求 3 本件の訴訟経過本件のうち甲事件は、当初神戸地方裁判所に訴えが提起され(神戸地方裁判所平成31年(ワ)第488号)、審理判決がされた。その控訴審(大阪高等裁判所令和4年(ネ)第1273号)は、甲事件が民訴法6条1項に定める事件に該当 するとして第一審判決を取り消し、甲事件を当庁に移送する旨の判決をし、同判決は確定した。 4 前提事実(争いのない事実及び証拠等により容易に認定できる事実)(1) 当事者等ア原告再生未来は、診療所を経営し、科学的でかつ適正な医療を普及するこ とを目的及び業務とする医療法人である。P1は、原告再生未来の理事長である。 イ原告再生ファーマは、各種健康食品及び食料品の研究開発、製造、販売並びに輸出入等を目的とする株式会社である。 P2は、国立大学法人徳島大学生物資源産業学部の教授であり、原告再生 ファーマの取締役の地位にある。 ウ被告は、産官学医の連携・融合を促進する総合調整機能を担い、革新的医療技術の創出と医療関連産業の集積形成に寄与すること等を目的として、神戸医療産業都市の推進に係る企画立案等の事業を行う公益財団法人である。 P3は、被告の先端医療研究センター長を務める研究者である(甲3)。 (2) 本判決において、以下の用語は、以下のとおりの意味で用いる(甲67)。 ア GcMAF(Gcprotein-de P3は、被告の先端医療研究センター長を務める研究者である(甲3)。 (2) 本判決において、以下の用語は、以下のとおりの意味で用いる(甲67)。 ア GcMAF(Gcprotein-derivedmacrophageactivatingfactor)マクロファージ(免疫細胞)を活性化させる因子(MAF)の一つ。マクロファージの活性化のみならず、血管新生阻害作用を介した抗腫瘍活性を示すともいわれている。 肝臓で合成され、血中に分泌される糖タンパク質であるビタミンD結合タンパク質(VitaminDBindingProtein。以下「VDBP」ということもある。)には、一部のアミノ酸が異なり、糖鎖構造が異なる3種類のサブタイプ(VDBP1f、VDBP1s、VDBP2)が存在するところ、このうち、VDBP1f(Gc1f)は、418(420) 番目のスレオニンに、GalNAcにシアル酸とガラクトースが結合した3糖からなるO型糖鎖が結合している。この3糖からなるO型糖鎖が結合しているVDBPはマクロファージを活性化する機能がないが、T細胞及びB細胞(いずれも、獲得免疫に関する細胞)それぞれの細胞表面に発現しているシアリダーゼ及びβ-ガラクトシダーゼの作用によって、シアル酸とガラク トースが取り除かれ、GalNAc-O-T418(420)だけが残ると、活性型GcMAFとなり、マクロファージの活性化が可能となる。 イ 1ステップ、2ステップ本判決では、活性型GcMAFの合成法を意味する語として用いる。 従来、活性型GcMAFは、ヒトの血清やウシの初乳に含まれるタンパク 質から合成してきたが、これでは、大量合成には不向きであった。本判決で は、活性型GcMAFの合成法の 。 従来、活性型GcMAFは、ヒトの血清やウシの初乳に含まれるタンパク 質から合成してきたが、これでは、大量合成には不向きであった。本判決で は、活性型GcMAFの合成法のうち、ヒトの血液を用いず、培養細胞を用いて不活性型Gc-Proteinを合成し、ここから、シアル酸とガラクトースを酵素の作用によって切断して活性型GcMAFを合成する方法を「2ステップ」という。 また、酵素による糖鎖切断工程を経ることなく、VDBPの発現ベクター を導入したCHO細胞(なお、本判決において用いられる、「expiCHO細胞」とは、CHO細胞のうち、1ステップを実現するVDBPの発現ベクターを導入したものである。)を、無血清培地中で浮遊培養することで、418(420)番目のスレオニンにGalNAcのみが結合した活性型GcMAFを合成する方法を「1ステップ」という。 (3) 本件契約に至る経緯ア原告再生未来は、治療目的で患者の血液等から合成した活性型GcMAFを用いていた。P1は、生体由来原料によらず、活性型GcMAFを合成する方法を開発することを考え、P2から、そのために適切な研究者として、タンパク質合成技術を専門とするP3を紹介された。 イ P1、P2及びP3は、原告再生未来が被告に、活性型GcMAF合成に関する研究を委託するための契約締結に向けた協議を行い、平成28年4月1日付で、本件契約が締結された。 本件契約の内容は、要旨、別紙2「本件契約内容」記載のとおりである。 なお、本件契約14条は、協議の中で文言が変わっており、最終的な契約書 の文言上、同条2項は、「乙が承継を希望した場合」と規定されているが、少なくとも原告は、「乙が承継した場合」という認識のもとで本件契約の契約書の原告 の中で文言が変わっており、最終的な契約書 の文言上、同条2項は、「乙が承継を希望した場合」と規定されているが、少なくとも原告は、「乙が承継した場合」という認識のもとで本件契約の契約書の原告作成分を作成したとしており、この点につき、被告は明らかに争わない。 (4) 活性型GcMAF合成法の研究経緯 P3は、平成29年4月21日、P1及びP2に対し、1ステップの方法で 活性型GcMAFが合成できる可能性があることを報告し、その後、遅くとも平成29年9月14日には、本件発明に係る1ステップの合成方法により活性型GcMAFが合成できたことを報告した(乙1、5)。 (5) 本件各出願P3は、平成29年12月15日、自身と被告の職員2人を発明者とし、発 明の名称を「活性型GcMAFの製造方法」とする本件出願1を行い、次いで平成30年12月14日を国際出願日(PCT/JP2018/046149)とし、本件出願1を優先権主張の基礎とする本件出願2を行った。 本件出願2について、令和2年1月14日審査請求がされ、特許査定を経て、同年6月16日特許権の設定登録がされた(本件特許権)。このときの特許請 求の範囲は、請求項1及び3は、2ステップの方法を含むもの、請求項2は1ステップの方法によるものであった(甲34)。 (6) 本件論文の投稿P3は、令和2年3月13日、P2、被告の職員らと共著で、本件発明の内容である1ステップのGcMAFの合成法が記された本件論文を、natur e社のScientificReports(ウェブ媒体)に投稿した。 (7) 本件無効審判請求原告再生未来は、令和2年10月9日、特許庁に対し、本件特許には新規性欠如、進歩性欠如、実施可能要件違反及びサポート要 icReports(ウェブ媒体)に投稿した。 (7) 本件無効審判請求原告再生未来は、令和2年10月9日、特許庁に対し、本件特許には新規性欠如、進歩性欠如、実施可能要件違反及びサポート要件違反の無効事由があるとして、本件無効審判請求をした。 被告は、同審判手続中に、本件特許の請求項につき1ステップのものに限定する旨の本件訂正を行い、これらはいずれも認められた。そして、特許庁は、令和4年5月10日、本件無効審判請求のうち、請求項第1項及び第3項に係るものは成り立たず、第2項に係るものは不適法であるとして却下する旨の審決をし、同審決は、同年6月20日に確定した(甲66)。 (8) P1、P2の債権譲渡 P1及びP2並びに原告再生未来は、令和4年12月7日、P1及びP2が、それぞれ、原告再生未来に対し、被告が本件特許に係る発明者名誉権を侵害したことによって生じた損害賠償請求権を譲渡するとの合意をした。 原告再生未来は、同月19日、被告に対し、同債権譲渡を通知した。(甲50の1・2、51の1・2、52の1・2)。 5 争点(1) 甲事件関係ア本件発明が、本件契約の対象となるか(争点1・請求原因)イ被告に本件契約14条の協議義務違反があったか(争点2・請求原因)ウ被告に本件契約16条2項及び17条1項の守秘義務違反があったか(争 点3・請求原因)エ原告再生未来の本件研究不参加により、本件契約の債務不履行に基づく損害賠償請求が信義則上制限されるか(争点4・抗弁)オ原告再生未来等の損害(争点5・請求原因)(2) 乙事件関係 ア P1が本件発明の共同発明者であるか(争点6・請求原因)イ P2が本件発明の共同発明者であるか(争点7・請求原因) オ原告再生未来等の損害(争点5・請求原因)(2) 乙事件関係 ア P1が本件発明の共同発明者であるか(争点6・請求原因)イ P2が本件発明の共同発明者であるか(争点7・請求原因)ウ P2の特許を受ける権利が原告再生ファーマに帰属するか(争点8・請求原因)エ本件発明の完成後、被告が本件各出願を単独でする旨の合意(ないしP2 の特許を受ける権利の放棄)があったか(争点9・抗弁)オ本件契約において、原告再生未来に本件特許権を譲渡するとの黙示の合意がされたか(争点10・予備的請求に係る請求原因1)カ原告再生未来が、本件契約14条2項に基づき本件特許権の持分を取得できるか(争点11・予備的請求に係る請求原因2) キ引換給付請求の可否及び相当対価の支払との同時履行の抗弁(争点12・ 抗弁)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件発明が、本件契約の対象となるか)について【原告再生未来の主張】本件契約は、活性型GcMAFを大量生産する方法について広く研究対象とす るものであり、2ステップの方法に関するものに限定するものではない。2ステップの方法の元となる、酵素処理によって活性化させる手法は、数十年前から一般的によく知られており、これによって活性型GcMAFを合成する(2ステップの方法)ために、あえてP3を加えた研究チームを組成する必要はなかった。 また、被告は、本件無効審判請求中に訂正をするまで、本件特許の範囲に1ステ ップの方法のほか、2ステップの方法も含めていたところ、2ステップの方法が本件研究の範囲に含まれることは被告も争っていない。 そうすると、被告は、1ステップか2ステップかを区別することなく、活性型GcMAFを大量生産する方法に関する研究を受 ころ、2ステップの方法が本件研究の範囲に含まれることは被告も争っていない。 そうすると、被告は、1ステップか2ステップかを区別することなく、活性型GcMAFを大量生産する方法に関する研究を受託したものであり、1ステップの合成方法の開発は、本件研究の範囲に含まれる。 【被告の主張】本件契約は、被告が、GcMAFを大量合成する手法を網羅的に探索する業務を請け負ったものではなく、P2が保有する知見を参考にしつつ、2ステップの合成法で活性型GcMAFを合成する方法を、原告再生未来が主体となって研究し、これに対して、被告が技術支援をするというものであった。 原告再生未来が、何ら主体的に研究開発をしない中、P3は、P2の保有する知見に依存することなく、独自に研究をした結果、1ステップで活性型GcMAFを合成する方法を発見した。 そうすると、本件発明は、本件研究の範囲には含まれないから、同発明に係る研究成果について、被告は、何ら、同契約に基づく義務を負わない。 2 争点2(被告に本件契約14条の協議義務違反があったか)について 【原告再生未来の主張】(1) 本件契約14条は、修正が重ねられていたところ、原告再生未来及び被告は、平成28年4月21日に作成された版で本件契約を成立させることを合意した。 最終的な契約書の文言は、何の協議や連絡もなく、14条2項が修正され、 被告が「承継した場合には」から、被告が「承継を希望した場合には」へと、原告再生未来に不利益な内容に変更されていたが、これにつき原告は承知していないため、本件契約14条2項は、「被告は、前項の知的財産権を被告が承継した場合には、原告に対して相当の対価と引換えにその全部を譲渡する。」との内容で契約が成立したものであ れにつき原告は承知していないため、本件契約14条2項は、「被告は、前項の知的財産権を被告が承継した場合には、原告に対して相当の対価と引換えにその全部を譲渡する。」との内容で契約が成立したものである。 (2) したがって、本件契約14条は、本件受託研究の実施に伴い発明等が生じたとき又は被告が原告から開示された秘匿すべき技術上の情報等により発明等が生じた場合に、被告が、原告再生未来に対する通知義務を負うとともに、その発明等の取扱いについて協議すべき義務を定めたものとなる。 加えて、被告が、原告再生未来に対し、本件発明によって発生した特許権を 譲渡することができる状態になった場合には、本件契約14条2項に基づき、その権利を、原告再生未来から相当の対価の支払を受けることを条件として、全部、譲渡すべきこととなる。 協議義務は、このような本件契約の内容を実現する前提となるものであり、被告は、原告再生未来に対し、発明等の詳細、従業員等からの権利譲渡の有無、 知的財産権の譲渡に係る相当の対価、原告再生未来が知的財産権の譲渡を受けることを希望しないような事情の有無及びその場合の取扱いについて協議を尽くす義務があった。 (3) 被告は、原告再生未来に対し、本件発明の詳細を開示せず、従業員等から権利譲渡を受けたかも明らかにしなかった。加えて、P3は、本件出願1に先立 ち、P1に対し、本件発明に新規性が認められるか問題があり、仮に、特許化 されても強い特許ではないなどと述べ、P1から、原告再生未来において論文化を行って成果を公表したい、ついては特許の獲得は諦めるとのメールを受信したことを奇貨として、一方的に協議を打ち切り、被告の単独名義で本件特許権を登録する本件各出願をした。また、被告は、本件各出願に際し、同 て成果を公表したい、ついては特許の獲得は諦めるとのメールを受信したことを奇貨として、一方的に協議を打ち切り、被告の単独名義で本件特許権を登録する本件各出願をした。また、被告は、本件各出願に際し、同各出願に係るクレームの内容を原告再生未来に知らせなかった。 被告は、本件出願1の後も、原告再生未来に対し、本件各出願の内容を原告再生未来に明かさず、持分の移転や相当の対価についての協議も行わなかった。 相当の対価について協議をする場合、本件特許権の内容を精査しなければならないことは当然であり、本件各出願の内容が明らかにされなかった以上、原告再生未来から相当の対価を提示できなかったとしても、それは、被告の責に帰 すべきものである。 (4) 以上のとおり、被告は、本件出願1の前後を通じ、本件契約14条に定める協議義務に違反したものであり、これは本件契約の債務不履行ないし不法行為に当たる。 【被告の主張】 (1) 本件契約14条は、原告再生未来が4月21日版で、被告が最終締結版で内容を検討していたものであるから、最終締結版の文言は、契約当事者の合致した意思を反映したものではない。しかし、少なくとも、本件研究の実施に伴って発明等が生じたときは、被告が原告に通知した上で、当該知的財産権の取扱いについて協議すること及び相当の対価について合意に至れば、被告が原告 に対して知的財産権を譲渡することについては意思が合致していた。 (2) 本件契約14条1項にいう「知的財産権」とは、出願の前後を問うものではなく、発明の価値が劣化することを回避するため、先んじて出願をした上で、協議をすることも当然想定される。そのため、協議前に出願をしたとしても、そのことが直ちに協議義務違反となるものではないし、公開されることを回避 したい を回避するため、先んじて出願をした上で、協議をすることも当然想定される。そのため、協議前に出願をしたとしても、そのことが直ちに協議義務違反となるものではないし、公開されることを回避 したいのであれば、後から取り下げるなどすればよいのであるから、他者によ る先願を回避するため、取り急ぎ出願を行うことは、知的財産権を保全する本件契約の趣旨に合致する行為といえる。 また、P3は、本件出願1に先立ち、P1に対し、本件発明の成果を開示し、発明の新規性が認められるかが明らかでないことや特許権侵害に該当しない方法での実施が容易であると考えられることも伝えたうえで、他者に先を越さ れないよう、早急に特許出願をすることを促し、P3のスタンスは、発明については特許化することであることを伝えた。また、出願に際しては、P1及びP2を出願者に加えることも提案していた。 (3) 一方、原告再生未来は、平成29年9月時点で、本件発明の新規性の有無等を弁理士に相談し、上記のP3からの提案や助言を踏まえたうえで、P3に対 し、本件発明に関する特許出願を諦めるとの意向を示した。 (4) このように、P3は、P1に対し、本件発明に関する情報を十分に開示し、P1の意向を聴取したうえで、被告の単独名義での本件出願1をしたものであり、本件契約14条1項の協議義務を十分に尽くした。 なお、原告再生未来は、クレーム等が開示されていない点を論難するが、原 告再生未来は本件出願1に先立ち、本件発明の内容を十分に開示された上で出願を諦めるとの意向を示していたし、クレームの内容は、本件発明に最初から最後まで最も深く関与したP3によって構成することが合理的であるから、クレーム等が開示されていないことは、協議義務違反を構成しない。 (5) 被告は していたし、クレームの内容は、本件発明に最初から最後まで最も深く関与したP3によって構成することが合理的であるから、クレーム等が開示されていないことは、協議義務違反を構成しない。 (5) 被告は、本件出願1の後、原告再生未来との間で代理人を介し、本件特許権 の譲渡やその対価について協議を行った。しかし、原告は、高額な対価を支払ってまで本件特許権を取得する意向はないと回答し、本件特許権を取得する意思がないことを改めて明らかにした。 そうすると、本件特許権の譲渡についても、被告は、原告再生未来との協議に応じており、原告再生未来が本件特許権を取得しないとの意思を明確にした ため、現在、協議等を行っていないだけであり、本件契約14条の協議義務を 尽くした。 3 争点3(被告に本件契約16条2項及び17条1項の守秘義務違反があったか)について【原告再生未来の主張】被告は、上記2のとおり、原告再生未来との間で協議義務を尽くすことなく、 単独で本件出願1をし、その結果、本件発明の成果が特許公報によって公開されるに至った。また、被告は、本件契約17条1項に定める守秘義務の効力が残る令和2年10月頃、原告再生未来の書面による承諾を得ないまま本件論文を公開し、本件発明に係るノウハウ等を公開した。 以上のとおり、被告は、本件契約16条2項及び17条1項に違反し、原告再 生未来の承諾なく本件出願1及び本件論文の投稿を行い、本件発明の内容を公開した。 【被告の主張】(1) 本件契約16条によって守秘義務を負うのは、「相手方より開示を受け又は知り得た技術上及び営業上の一切の情報」である。しかし、被告が原告再生未 来から受け取った情報は、公知文献のみであり、何ら、守秘義務を負うようなものではな 負うのは、「相手方より開示を受け又は知り得た技術上及び営業上の一切の情報」である。しかし、被告が原告再生未 来から受け取った情報は、公知文献のみであり、何ら、守秘義務を負うようなものではないし、本件出願1及び本件論文によって明らかにされた情報は、本件発明の内容であり、被告が原告再生未来から開示を受けた情報でも、原告再生未来から知り得た情報でもない。 (2) 本件契約17条は、研究成果の開示に際し、ノウハウを開示してはならな いとするものであるが、同契約上、ノウハウとは、原告再生未来と被告が協議したうえで指定すべきものと定義されている(本件契約1条1項2号ニ)。しかし、原告再生未来と被告の間で指定されたノウハウはない。 また、守秘義務を負う期間は「本委託研究完了、又は本受託研究中止の日の翌日から起算し6か月以降又は出願等の後」までとされており、特許出願をす ることは研究成果の公表に含まれないことが前提となっている。そして、本件 論文が公開された時点で本件特許は公開されていたのであるから、本件論文が公開されたことによって秘密にすべき情報が開示されたことにはならない。 (3) 以上のとおり、被告は、本件契約16条2項及び17条1項の守秘義務に違反していない。 4 争点4(原告再生未来の本件研究不参加により、本件契約の債務不履行に基づ く損害賠償請求が信義則上制限されるか)について【被告の主張】本件契約は、原告再生未来も共同研究に参加し、そのうえで、GcMAFの合成方法を開発することが前提となっており、知的財産権を原告再生未来が保有し得る本件契約14条も、原告再生未来が研究に関与することが前提となっていた。 そのため、被告は、P3の研究室が存する建物内に、原告再生未来が使用することが り、知的財産権を原告再生未来が保有し得る本件契約14条も、原告再生未来が研究に関与することが前提となっていた。 そのため、被告は、P3の研究室が存する建物内に、原告再生未来が使用することができる研究スペースを確保していたし、本件契約においても、原告再生未来の細胞培養センター長であるP4や原告再生未来のスタッフが実験を行うことが予定されていた。 それにもかかわらず、原告再生未来は、共同研究に参加せず、スタッフに実験 をさせたこともなかった。 このように、原告再生未来は、本件契約が想定していた前提を欠く行動をとりながら、その一方で、本件契約14条を盾に、知的財産権の譲渡を求めたり、協議義務があるなどと主張したりすることは、信義則に反し、許されない。 【原告再生未来の主張】 本件契約は、被告が研究を受託するものであり、原告再生未来が研究に参加することが義務付けられているものではない。また、研究スペースの借上げは、原告再生未来が知的財産権の譲渡を受ける対価を、賃料という形で支払うためのものであり、原告再生未来が研究に参加することを前提とするものではない。 よって、原告再生未来が共同研究に参加しなかったことをもって、信義則に反 することになるものではない。 5 争点5(原告再生未来等の損害)について【原告再生未来の主張】被告の協議義務違反及び守秘義務違反により、原告再生未来等は、少なくとも以下の損害(合計5131万7312円)を被った。 (1) 本件無効審判請求のための、弁理士に対する文献検索及びコメント作成料 16万5000円(2) 上記(1)のほか、本件無効審判請求のための、弁理士の準備費用 46万8325円(3) 平成30年1月16日から同月31日まで 対する文献検索及びコメント作成料 16万5000円(2) 上記(1)のほか、本件無効審判請求のための、弁理士の準備費用 46万8325円(3) 平成30年1月16日から同月31日までの被告に対する協議・交渉のための弁護士費用 65万0300円 (4) 本件発明に係る中国での特許出願のための調査費用 3万3687円(5) 立命館大学総合科学技術研究機構に対する寄付金及び技術指導費用00万円(6) 被告が単独で本件出願1をしたことによってP1又は原告再生未来の発明者名誉権を侵害したことによる慰謝料(P1に発生したものについては原告再 生未来に債権譲渡) 250万円(7) 被告が単独で本件出願1をしたことによってP2又は原告再生未来の発明者名誉権を侵害したことによる慰謝料(P2に発生したものについては原告再生未来に債権譲渡) 250万円(8) 被告による協議義務違反及び守秘義務違反による、原告再生未来に対する 慰謝料 500万円【被告の主張】否認し争う。 6 争点6(P1が本件発明の共同発明者であるか)について【原告再生未来の主張】 本件研究は、P1のGcMAFの合成方法を開発したいとの問題意識に端を発 するものであった。そして、P1は、このアイデアを出したのち、P3から報告を受け、MAFに関する専門家としての観点から研究に関与した。実際、P1は、P3から求められた、開発に必要となる血清MAFに関する情報や文献を提供するなどしながら、P3やP2と一体的・連続的な協力関係を構築し、本件発明に至った。さらに、原告再生未来は、本件契約に基づき、被告がなす研究経費を全 て負担し、別途、被告のために約415万円を支払い、研究スペースを借り上げた。加えて、 的な協力関係を構築し、本件発明に至った。さらに、原告再生未来は、本件契約に基づき、被告がなす研究経費を全 て負担し、別途、被告のために約415万円を支払い、研究スペースを借り上げた。加えて、P3は、原告再生未来が本件発明に関する知的財産権を取得すること、その際、P1が発明者として記載されることを認めるメールを送信しており、P1が発明者であるとの認識を有していた。 以上のとおり、P1は、本件発明に関し必要不可欠なアイデアの提供、助言を し、費用負担もすることで、P3やP2と一体的・連続的な協力関係を構築していたものであるから、本件発明の共同発明者である。 【被告の主張】P1は、本件発明に際し、経済的な支援の形で関与したにとどまり、具体的な研究方針を提案したり、実験をしたりしていない。P1が指摘するメールは、法 的な意味での発明者といえるかはともかく、原告再生ファーマの戦略上、P1が発明者として記載されていればメリットがあり、そのような貢献をすること自体は喜ばしいことであると述べたに過ぎない。 以上のとおり、P1は、本件発明に関し、実質的かつ技術的な関与をしておらず、共同発明者でない。 7 争点7(P2が本件発明の共同発明者であるか)について【原告らの主張】P2は、P3が、1ステップの方法を発見した可能性を報告した後、合成されたGcMAFの活性を調べ、これにより最終的に活性型GcMAFが合成できたことが確認できたものである。 また、P2は、単に指示された解析を行うにとどまらず、多角的な解析・評価 を行うなど、本件発明の完成に向け、積極的な関与をしていた。 このように、P2は、本件発明の完成に実質的な関与をしており、共同発明者に当たる。 【被告の主張】 的な解析・評価 を行うなど、本件発明の完成に向け、積極的な関与をしていた。 このように、P2は、本件発明の完成に実質的な関与をしており、共同発明者に当たる。 【被告の主張】1ステップの方法は、P3が、P2からの助言を介することなく、独自に発見 したものである。P2が、合成されたGcMAFの活性を調べるなどしたことは認めるが、その方法は、一般的なものにとどまっており、発明に対する具体的な関与をしたものとはいえない。 このように、P2は、本件発明の完成に際し、補助者的な役割を果たしてはいるものの、着想を出したり、それを具体化するための創作的関与をしたりはして おらず、本件発明の共同発明者でない。 8 争点8(P2の特許を受ける権利が原告再生ファーマに帰属するか)について【原告再生ファーマの主張】P2は、原告再生ファーマの取締役であり、同社の職務発明規定によれば、P2が原告再生ファーマの職務上した発明は、原告再生ファーマに帰属する。 よって、P2の特許を受ける権利は、原告再生ファーマに帰属する。 【被告の主張】P2の特許を受ける権利が原告再生ファーマに帰属していたとの点は不知ないし争う。また、P2が、原告再生ファーマの職務として本件発明に関与したことを否認する。 P2は、原告再生ファーマの取締役であるとともに徳島大学の教授でもあり、同大学の兼業規則上、教員が研究成果活用企業の役員を兼ねる場合には、学長の許可が必要であり、その許可の要件として、教員が就こうとする役員等としての職務の内容が、主として研究成果活用事業に関するものであることが求められていたところ、これら許可があったこと等の立証がない。 9 争点9(本件発明の完成後、被告が本件各出願を単独 等としての職務の内容が、主として研究成果活用事業に関するものであることが求められていたところ、これら許可があったこと等の立証がない。 9 争点9(本件発明の完成後、被告が本件各出願を単独でする旨の合意(ないし P2の特許を受ける権利の放棄)があったか)について【被告の主張】(1) 前記2【被告の主張】のとおり、P3は、P1に対し、本件発明に関し、その内容を開示し、新規性等に関する意見を付したうえで、特許出願をすることを促した。 P1は、このようなP3の説明を受け、自らも弁理士に相談をした上で、本件発明を特許化することを諦めるとの意向を明らかにした。 そうすると、原告再生未来は、明示的又は黙示的に、被告が単独で本件発明について特許出願をすることを承諾していた。 (2) P2は、上記のP1の意向を受けた後、P3に対し、本件発明についてP3 が特許出願すべきであると促した。すなわち、P2は、被告が単独で本件発明することを承諾していた。 (3) 以上のとおり、原告らは、いずれも、自身が本件発明について特許出願を諦める意向を示していたところ、原告らがそのような意向を示したからといって、被告がこれに同調し、本件発明について特許出願を断念する義務を負う理由は なく、むしろ、被告が単独で出願をすることについて、原告らは、明示的又は黙示的に承諾していたものである。 【原告らの主張】(1) P1は、P3からの報告を受け、特許出願を諦めるとのメールを送ったが、P3が出願をすることまで承諾したものではない。また、P1は、P3から、 本件出願1に先立ち、クレームの内容等を開示されておらず、最終的に特許権を放棄するとの判断ができるような資料を提供されていない。 そうすると、原告再生未来は、確定 また、P1は、P3から、 本件出願1に先立ち、クレームの内容等を開示されておらず、最終的に特許権を放棄するとの判断ができるような資料を提供されていない。 そうすると、原告再生未来は、確定的に本件特許権を放棄したものではなく、被告が単独で出願をすることを承諾していない。 (2) P2は、P1の上記メールを受け、P3に対し、出願を促したものの、P3 が、出願に先立ち、改めてP1に対してクレーム等を開示し、出願に関する最 終的な意向確認がされることを前提としていた。そのため、被告が、原告再生未来の承諾を得ることなく、単独で本件出願1をすることは、想定外のことであり、当然、承諾もしていない。 10 争点10(本件契約において、原告再生未来に本件特許権を譲渡するとの黙示の合意がされたか)について 【原告再生未来の主張】原告再生未来は、本件契約に基づき、被告が研究を行うための研究スペースを借り上げ、資金援助を行っていた。このような資金援助は、原告再生未来が、P1やP2が共同発明者となるか否かにかかわらず、本件研究によって生じた知的財産権を取得することができることが前提となってからこそされたものであり、 P3も、本件契約締結時から1ステップの方法を発見するに至るまで、一貫して、本件発明が原告再生未来や原告再生ファーマに貢献できることを喜んでいた。 以上のとおり、原告再生未来及び被告は、本件発明によって生じた本件特許権について、被告が原告再生未来に譲渡することを黙示的に合意していた。 【被告の主張】 本件契約14条は、1項で本件研究によって発明が生じたときは、その知的財産権の帰属について原告再生未来及び被告の間で協議することが、2項で、被告から原告再生未来に知的財産権を譲渡するとき 本件契約14条は、1項で本件研究によって発明が生じたときは、その知的財産権の帰属について原告再生未来及び被告の間で協議することが、2項で、被告から原告再生未来に知的財産権を譲渡するときは、原告再生未来が被告に相当の対価を支払うことが定められており、原告再生未来が希望すれば、無償で、当然に、本件特許権を取得できることが前提となっているものではない。 原告再生未来が研究資金を出捐したからといって、それ以上の費用負担をすることなく、かつ、何ら、技術的な貢献をしないまま、知的財産権だけを取得するということはあり得ず、そのような内容の黙示的な合意は存在しない。 11 争点11(原告再生未来が、本件契約14条2項に基づき本件特許権の持分を取得できるか)について 【原告再生未来の主張】 本件契約14条2項は、被告が本件契約の結果、発生した知的財産権を取得したときでも、原告再生未来は、被告に対し、当該知的財産権の移転を請求することができる旨を定めている。 よって、原告再生未来は、本件契約14条2項に基づき、被告が有する本件特許権のうち、3分の1の持分を原告再生未来に移転し、その旨の移転登録手続を 行うことを請求する。 【被告の主張】本件契約14条2項は、本件研究によって生じた発明に係る知的財産権につき、被告が原告再生未来へ承継することを希望したときは、原告再生未来が相当の対価を支払うことと引換えに当該知的財産権を原告再生未来に譲渡するというも のであり、原告再生未来が請求すれば、必ず、当該知的財産権を譲渡しなければならないというものではない。 また、本件契約14条2項は、被告の持分全部を譲渡することを定めており、一部の持分の移転を請求することはできない。 12 争点 ず、当該知的財産権を譲渡しなければならないというものではない。 また、本件契約14条2項は、被告の持分全部を譲渡することを定めており、一部の持分の移転を請求することはできない。 12 争点12(引換給付請求の可否及び相当対価の支払との同時履行の抗弁)に ついて【被告の主張】本件契約14条2項は、原告再生未来が、被告から、相当の対価と引換えに、本件研究によって生じた知的財産権を譲り受けることができる旨を定めている。 かかる定めは、知的財産権の譲渡と相当な対価の支払が同時履行関係に立つこと を定めたものであり、知的財産権の譲渡を先履行とし、相当な対価の支払を停止条件とするものではない。 原告再生未来は、被告に対し、相当な対価を提案しないうえに、対価を支払ったうえで本件特許権を譲り受けることを明確に拒否しており、そもそも、被告に対し、引換給付を求めることができないし、本件訴訟係属後に、本件無効審判請 求を行い、本件特許権そのものを否定しておきながら譲渡を求めることは禁反言 であり許されない。 また、仮に、本件契約14条2項による持分移転手続請求が認められるのであれば、同時履行の抗弁権に基づき、相当対価の支払があるまで、履行を拒絶する。 【原告再生未来の主張】(1) 本件契約14条2項は、相当対価の支払を停止条件とし、原告再生未来が 請求をすれば、被告の本件特許権を原告再生未来に移転させることができることを定めたものである。 また、原告再生未来は、上記2のとおり、被告が協議義務を尽くさなかった結果、本件特許権の価値を算定することができなかった。 よって、被告は、自らの協議義務違反によって原告再生未来による相当対価 の提供を阻んだのであるから、原告は、本件契約14条2 さなかった結果、本件特許権の価値を算定することができなかった。 よって、被告は、自らの協議義務違反によって原告再生未来による相当対価 の提供を阻んだのであるから、原告は、本件契約14条2項に基づき、引換給付を求めることはなお可能であるし、その場合も、信義則又は民法130条により、被告は同時履行の抗弁権を行使することができない。 (2) なお、仮に、同時履行の抗弁権の行使が認められるのであれば、本件特許権全体の価値は、1195万円である。 第4 判断 1 判断の大要当裁判所の判断の筋道は次のとおりであり、以下、結論を導くに必要な争点につき判断を示すこととする。 (1) 甲事件 争点1(本件発明が、本件契約の対象となるか)につき、対象と認められるが、争点2及び3(被告の義務違反行為)につき、いずれも認められず、債務不履行ないし不法行為を構成しない。したがって、その余の争点を判断するまでもなく、原告再生未来の請求は理由がない。 (2) 乙事件 争点6(P1が本件発明の共同発明者であるか)につき、共同発明者である と認められない、争点7(P2が本件発明の共同発明者であるか)につき、共同発明者と認められる。しかし、争点8(P2の特許を受ける権利が原告再生ファーマに帰属するか)にかかわらず、争点9(本件発明の完成後、被告が本件各出願を単独でする旨の合意があったか)について、これを認めることができるので、結局、P1、P2が共同発明者であることを理由とする原告らの各 移転登録請求(主位的請求)はいずれも理由がない。 争点10(本件契約において、原告再生未来に本件特許権を譲渡するとの黙示の合意がされたか)、争点11(原告再生未来が、本件契約14条2項に基づき本件特許権の持 位的請求)はいずれも理由がない。 争点10(本件契約において、原告再生未来に本件特許権を譲渡するとの黙示の合意がされたか)、争点11(原告再生未来が、本件契約14条2項に基づき本件特許権の持分を取得できるか)については、いずれも認められず、かつ、争点12(引換給付請求の可否及び相当対価の支払との同時履行の抗弁)のう ち、引換給付請求が許されないことに関する被告の主張には理由があるものと認められるので原告再生未来の予備的請求はいずれも理由がない。 また、以上のとおり、被告に違法行為がないこと、P1は共同発明者ではないこと及びP2は特許を受ける権利を放棄していることから、P3ないし被告によってP1及びP2並びに原告再生未来の発明者名誉権が侵害されたこと はなく、原告再生未来に慰謝料請求権が発生することもない。なお、原告再生未来固有の発明者名誉権なるものは、発明者が自然人に限られること(特許法36条1項2号)に鑑み、発明者性に関する判断の如何を問わず、認められない。 2 認定事実 前記前提事実に加え、後掲各証拠(全体につき甲35、36、53、63、乙4、証人P4。ただし、認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。 (1) 本件契約に至る経緯等ア P1は、本件契約以前から、原告再生未来が運営する診療所において、G cMAFを用いた癌免疫治療を行っており、マクロファージ活性化作用を有 するウシ初乳酵素処理物の製造方法やウシ初乳酵素処理物を用いた薬剤に関する特許を取得していた(甲4、40、41、56、57)。 イ前提事実(3)アのとおり、P2がP1にP3を紹介し、以後の平成28年1月頃から、共同研究の構想につき、P1、P2、P3の間で電子 に関する特許を取得していた(甲4、40、41、56、57)。 イ前提事実(3)アのとおり、P2がP1にP3を紹介し、以後の平成28年1月頃から、共同研究の構想につき、P1、P2、P3の間で電子メールを介して協議がもたれた。 この協議においては、誰が誰に共同研究を申し込むかなどの共同研究の形態、P2が関与する場合の立場(国立大学法人教授としてか、原告再生ファーマの身分でか)、関与態様による知的財産権の処理の在り方、などが話題となった(甲24、乙5)。 ウ同年3月14日、P2は、受託研究申請書と契約書の案を作成してP1に 示し、併せて原告再生未来の経済的負担の感触、P3、P1、P2、ほか原告再生未来及び被告職員、徳島大学大学院の学生(ただし、原告再生ファーマの身分)で構成し、同学生と被告職員が実際に実験するとの研究メンバーの想定、P2自身は徳島大学の兼業規則で研究に参画することはできないことなどを伝えた(甲10)。 同月15日には、P1、P2、P3で打合せがもたれ、その後、P3より本件契約や受託研究申請に係る契約書案等が送付され、更に、P2、原告再生未来とP3間で本件契約の14条を含め、文言の修正案の交換がされた。 この過程で、P3は、研究目的を「技術支援」とし、被告の支援により学んだ技術を用いて原告再生未来の研究員が具体的な研究を独自に進める形を とると、被告が知的財産権に関わる事態が生じない旨の説明をした(甲11)。 エ P2は、本件契約の14条につき、弁護士の意見を求め、原告再生未来が対価を支払うことにより全ての権利を同原告が取得できる旨の条項に修正をし、かつ、一部譲渡が可能であると解し得る文言を改めた上で、本件契約書の契約書案を被告に送付した。このとき、P2は、弁護士に対し、徳島大 により全ての権利を同原告が取得できる旨の条項に修正をし、かつ、一部譲渡が可能であると解し得る文言を改めた上で、本件契約書の契約書案を被告に送付した。このとき、P2は、弁護士に対し、徳島大 学と知的財産権の帰属で紛争が起こる可能性を除きたいとの意向を示して いた。(甲61)平成28年4月21日、被告から最終の契約書案とした電子データが原告再生未来に送付され、翌22日に、被告において、前記電子データから14条を含む条項の文言に修正が施され、被告代表者の押印がされた契約書が原告再生未来に送付された。原告再生未来は、前記14条の文言の修正を認識 しないままこれに押印し最終的な契約の締結に至った(甲21の1・2、甲22、弁論の全趣旨)。 オ原告再生未来は、P3の研究室が存する建物の4階部分の研究スペースを賃借し、神戸都市振興サービス株式会社に対し、平成28年4月分から平成29年12月分までの賃料として、合計415万2912円を支払った(甲 46、乙5)。もっとも、実際に原告再生未来の職員等が、同スペースを使用したことはなかった(甲24、63)。 (2) 本件発明に至る経緯ア平成28年3月頃、本件契約に向けた打合せと並行して、P3はP2に血清MAFに関する情報や文献の提供を求めてこれに関する知見を得た。また、 P3は、同年6月に、まずGc1Fの合成を目指すことをP1やP2に確認し、特段の異論をみなかった。 P3は、タンパク質合成条件の試行錯誤を進め、同年11月には、CHO細胞によって合成されたタンパク質に酵素処理をすることにより活性化されたGcMAFが得られたと推定されるとの結果をP1及びP2に報告し、 これを受けたP2は、マクロファージ活性化作用の評価の作業を申し出た。 イ P3 パク質に酵素処理をすることにより活性化されたGcMAFが得られたと推定されるとの結果をP1及びP2に報告し、 これを受けたP2は、マクロファージ活性化作用の評価の作業を申し出た。 イ P3は、前記アの結果が報告された後も、医薬品開発、産業化を目指して研究を継続し、無細胞系の合成も含め様々な合成法の試行錯誤を続けていたところ、平成29年4月頃、expiCHO細胞を利用した培養で、酵素処理をしないでも活性型GcMAFが合成できる可能性を発見し、これをP1 及びP2に報告し、併せてP2に活性の調査を依頼した。この際、P3は、 当該方法は安価に合成GcMAFの利用が展望できるもので、これを特許申請する必要性に言及した。 P2は、秘密裡に活性を調査するとしてこれを引き受けた上、医薬品の品質基準に対応した調製方法の必要性をP3と認識共有し、これを検討することとした。 ウ P2は、平成29年6月15日、合成GcMAFのマクロファージ貪食活性化能の分析結果、同月22日にはTOF-MS解析の結果をP3及びP1に報告した(甲47、48)。P3は、再現性の確認や動物実験による確認が次の課題であり、これらのデータをもとに特許出願をすることを検討することを提案した。 エこれらの現実の実験に、P1はもとより、原告らの職員、関係者等が関与したことはなかった。 (3) 合成GcMAFの権利化、事業化を巡る動き等(乙5、甲42)ア前記(2)イの報告を受けたP1は、平成29年5月頃、合成GcMAFの生産を模索するようになり、この意向を受けたP2はP3に相談するなどし ていた。 これに対し、P3は、GcMAFを合成し投与するためにはPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)への相談や治験などの様々なルー 、この意向を受けたP2はP3に相談するなどし ていた。 これに対し、P3は、GcMAFを合成し投与するためにはPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)への相談や治験などの様々なルールをクリアする必要があること、原告再生未来にはそのような体制や認識が乏しいこと、P3自身やP2がアカデミアの立場からどのように関与できるかが 問題になることなどの問題点を指摘し、P2はこれに共感していた。 イ P1はその後も、主に外国の医療現場で用いる合成GcMAFの製造を希望していたところ、これに対し、P3は、平成29年8月頃、合成GcMAFを医薬品にするには様々なデータが必要であり、そのための測定系の開発が不可欠であることを指摘していた。 ウ同年9月、P1、P2、P3が打合せを持ち、これを受けて原告再生未来 は同月14日頃、弁理士に本件発明の概要を説明して権利化について相談を始めたが、同年10月になっても進捗はなく、P3は、本件発明に関し、原告再生未来に戦略があるのかにつき疑念をもち、自らの関与の在り方も再検討する必要があると感じていた。 同年11月には、P2も、原告らには合成GcMAF等の開発をする技術 も組織もなく、原告らは医薬ではなく医師法の範疇で合成GcMAFを使うつもりであると考え、この懸念をP3に伝え、原告らの善導に限界を感じていた。P3は、被告は、医師法による臨床研究はサポートせず、全ての開発はPMDAが所管する治験に基づいて行われることを基本方針としているため、原告らとは方針が一致せず、またそのようなリスクのある原告らに特 許を売却することも困難である旨認識し、P2にこれを表明するなどしていた。 エ平成29年11月21日、P3とP1は意見交換の機会を持ち、翌22日、P3 たそのようなリスクのある原告らに特 許を売却することも困難である旨認識し、P2にこれを表明するなどしていた。 エ平成29年11月21日、P3とP1は意見交換の機会を持ち、翌22日、P3はその内容の整理として、次の点をP1及びP2に伝え、自身とP2が公的組織に属し、一定の制約の中で活動しなければならないことにつき理解 を求めた。 ・本件発明に関し、培養細胞を用いて目的とするタンパク質を大量合成するのは一般的な方法で新規性がなく、利用する細胞タイプの選択、設定した培養条件が新規発明として認められるか否か、どの範囲まで認められるかが課題である。仮に権利化されたとしても決して強い特許ではなく、沢山の抜 け道がある。 ・ P3、P2、P1、研究室の担当者を発明者として特許申請することで調整する。 ・自身の立場は、発明、発見は特許化すること、また、申請した特許を活かすべく最大限の努力をすることであり、GcMAFの合成、精製、安全性 試験、治験に関し、薬事法に従って開発してくれる企業を探し、交渉するこ とである。 これに対し、P1は、P3に、今回のCHOの件(本件発明を指すと解される。)は、特許を取れる確率が低く、原告再生ファーマが将来の上場を見据え、独占するのが望ましいことから、論文化して、特許の獲得を諦めたい、論文のためのデータを提供してほしい、被告の医療センター長としてのP3 の立場はよく分かるとの趣旨のメールを送信してこれに応答した。 オ P3は、同月23日、P1に対し、前記エのやり取りを受けたP1の意向に関するP3の認識につき次のとおり整理し、協議の区切りとする旨を伝えた。 ・ CHO細胞によって合成されたVDBP(本件発明を指すと解される) に関するデータは り取りを受けたP1の意向に関するP3の認識につき次のとおり整理し、協議の区切りとする旨を伝えた。 ・ CHO細胞によって合成されたVDBP(本件発明を指すと解される) に関するデータは、新規性が低く、特許申請に当たらない。 ・原告再生ファーマが斬新な新規発明に取り組み、近い将来、独占的な特許を申請する意向である。 ・製品開発については、早期に上場し、その資金により独自開発する。 これに対し、P1は、自身の考えを理解いただき感謝すると応答した。 カ平成29年10月頃、P2は、欧州でも合成GcMAFの開発の動きがあることなどから、権利化を急ぐ必要があると認識し、これをP3に伝えた。 P3は、前記オのやり取り後の同年11月26日、P2に対し、他の出願があるとP1の構想が揺らぐことから、自身で出願し、適当な時期にP1の構想と組み合わせる、あるいは将来、原告再生ファーマが創薬開発に乗り出 すことができるようになれば、特許を同原告に移転させることも想定できるとの考えを伝え、P2はこれに賛同した。 P3は、同年12月15日、本件出願1に至った。 (4) 本件出願1以降の原告再生未来とP3ないし被告との協議状況ア平成30年1月26日、原告再生未来は、代理人弁護士を通じてP3と面 談し、本件特許の出願に関する事実確認をした。 その際、P3は、本件発明は、そのほとんどが同人の貢献によるものであり、原告再生未来の実質的関与がなかったこと、平成29年11月21日時点では、P1との間で、共同発明として特許化するという話があったが、その翌日、P1から、メールで、研究内容を論文化したい、特許化は諦めたいと告げられたことから、データを原告再生未来に渡した上で独自に特許化す る方向 共同発明として特許化するという話があったが、その翌日、P1から、メールで、研究内容を論文化したい、特許化は諦めたいと告げられたことから、データを原告再生未来に渡した上で独自に特許化す る方向で検討したこと、P3の単独出願で本件出願1をしたこと、本件発明は、本件契約ではカバーされない発明であること、原告再生未来を排除する意図まではないことを告げた(甲54の1)。 また、同日、P3は、P2から、同人は4人(P1、P3、P2が含まれると理解される。)で話し合った際に、(原告らの真意はよくわからないもの の)特許は放棄する話で合意したとの認識であること、及び今回の件ではP3に多大なる迷惑をかけたことを詫びる内容のメールを受信した。 イ平成30年3月には、原告再生未来と被告が、双方の代理人弁護士を通じ本件発明に係る特許権の帰属やその対価について協議をした。 この協議において、被告は、本件発明を論文化し、第三者が特許を取得で きない状態にしたうえで本件出願1を取り下げることや、原告再生未来が本件特許を買い受けることなどを提案したが、原告再生未来が、本件特許を買い受けるための対価の支払そのものに難色を示し、論文化した場合は、最終著者をP1にすることを求め、被告においては学術的観点からこれに応じられないとしたため、結局、合意に至らなかった。 ウ当裁判所は、本件係属中に、対価を支払う形での和解が可能か、原告らに打診したが、原告らがこれに応じることはなかった。 3 争点1(本件発明が、本件契約の対象となるか)について(1) 前提事実及び認定事実によると、本件契約は、P1が、生体由来原料によらないGcMAFの合成方法の開発を目指すという目的のもと、P2がP3をP 1に紹介したことが端緒となったこと、P2、P 1) 前提事実及び認定事実によると、本件契約は、P1が、生体由来原料によらないGcMAFの合成方法の開発を目指すという目的のもと、P2がP3をP 1に紹介したことが端緒となったこと、P2、P3はいずれも公的機関に属し ていることから、どのような立場でどのような関与をするかについて相応に検討がされたうえで、本件研究が「技術支援」であって、(少なくとも契約書の文言上は)原告再生未来において主体的に研究することが想定されていたが、実際には、本件研究は、専らP3及び被告の職員において進められていたことが認められる。 もっとも、P3自身はこのような状況に特段異論を挟んでおらず、同人により2ステップの合成方法が確立された際には、原告再生未来(P1)、P2にその旨報告がされ、引き続き、P3において本件発明のほか他の合成方法が検討され、酵素処理をしないでも活性GcMAFが合成できる可能性を発見した際にも、同様に原告再生未来、P2にその旨が報告され、P2に活性型であるこ との確認を求めるなどしていたことも認められる。 (2) このように、生体由来原料によらないGcMAFの合成という大きな目標自体は原告再生未来と被告ないしP3間で共有され、適宜進捗が原告再生未来に報告され、とりわけ、2ステップの合成方法の確立の報告の際に、共同研究ないし本件契約の目的が達成され終了したとの明確な認識の生ずることのな いまま、引き続いて様々な合成方法が研究されて1ステップの合成方法という本件発明に至り、同様に原告再生未来に報告されたという経緯からすると、本件発明は、本件契約の規範が及ぶ対象であったというべきである。 (3) 被告は、本件発明である1ステップの方法は、P2の知見とは関係なく、P3が開発したものであり、P2の協力を前提 緯からすると、本件発明は、本件契約の規範が及ぶ対象であったというべきである。 (3) 被告は、本件発明である1ステップの方法は、P2の知見とは関係なく、P3が開発したものであり、P2の協力を前提とする本件契約による受託研究の 範囲に含まれないと主張する。この点、前記のとおり、本件契約は、あくまで原告再生未来が主体的に研究することが想定されたものであって、本来の被告の立場は技術支援であったにもかかわらず、本件研究への原告再生未来の具体的関与はうかがわれず、とりわけ、P3による平成29年4月21日のexpiCHO細胞を用いた1ステップの方法の報告までに、P2やP1から1ステ ップの方法について具体的な着想や示唆はなかったものであり、その主張に理 解できる点もなくはないが、本件発明の発明者という観点からはともかく、本件契約の規範が及ぶかという観点では、それらの事情は、なお前記(2)の認定、判断を左右するに足りないというべきである。 (4) 以上の次第で、1ステップの合成方法の開発は、本件研究の範囲に含まれ、被告は、本件発明に関する知的財産権の取扱い等について、本件契約による守 秘義務等の義務を負う。 4 争点2(被告に本件契約14条の協議義務違反があったか)について(1) 本件契約14条の趣旨について本件契約14条は、1項で、発明が生じた場合の当該発明に係る知的財産権の取扱いについて、契約当事者間で協議し決定するものとし、2項で、被告が 承継した(又は承継を希望した)知的財産権について、相当の対価と引換えに全部を譲渡するものと定めている。 これは、本件契約が受託研究とされながら、研究メンバーには委託者の構成員も含まれることから、発明に係る知的財産権が生じた場合に協議のうえ、帰属を定める 換えに全部を譲渡するものと定めている。 これは、本件契約が受託研究とされながら、研究メンバーには委託者の構成員も含まれることから、発明に係る知的財産権が生じた場合に協議のうえ、帰属を定めることにする(1項)とともに、2項において、発明者から被告が承 継(を希望)した場合に、原告再生未来に相当対価で全部譲渡し、最終的には委託者である原告再生未来が知的財産権を取得することを企図したものと解される。原告再生未来は契約の文言の変遷を主張するが、原告再生未来の主張によっても、上記のように解されることに変わりはない。 (2) 前記認定事実によると、P3は、本件発明に至る可能性が生じた時点から、 適宜、P1に対し、P2へのメールを同報して進捗状況を報告し、また、本件発明に至った際は、特許権の取得が問題となることを前提に、専門家として、本件発明がされた当時の当該技術分野における技術水準からみた本件発明の権利化の見通しや権利の強弱に関する意見を述べつつ、権利化や権利化後の事業化について、原告再生未来の態勢や姿勢につき疑問や異論を持ちつつも、P 1やP2も共同発明者として扱う可能性も含め、協議を継続していたと認めら れる。また、本件発明の権利の強弱等の一連の説明に、格別真実と異なる点があるとも解されない。 一方、P1は、当該技術分野における知識経験や、特許・知財経営戦略等に関する同人なりの知見を有し、当該協議の当時においても本件発明について十分に理解し(本件口頭弁論においてP1(やP4)が本件発明の共同発明者で あることを主張することからしても、このように解さざるを得ない。)、弁理士に意見を求めたうえで、最終的に、平成29年11月のやり取りをもって、本件発明につき特許申請を諦めることについてP3との間で確 あることを主張することからしても、このように解さざるを得ない。)、弁理士に意見を求めたうえで、最終的に、平成29年11月のやり取りをもって、本件発明につき特許申請を諦めることについてP3との間で確認がされたものである。 (3) 以上の経緯に鑑みれば、原告再生未来は、本件発明につき十分承知しつつ、 被告との協議を経た上で、原告再生未来としては本件発明を含む本件研究の成果につき権利化しない(自己に帰属させない)と判断したものであるから、これにより本件契約14条1項にいう協議が成立したものというべきであって、協議義務違反をいう原告再生未来の主張は、理由がない。 なお、原告再生未来が権利化しないとした知的財産権について、P3や被告 がこれを権利化することが妨げられる理由はなく、また本件契約14条から、発明の権利化に当たり、特許請求の範囲の内容について協議すべき義務を負うとも解されない(なお、P3は、当初2ステップの方法も特許請求の範囲に含めて権利化しており、本件研究の成果を最大限権利化している。)。 (4) 原告再生未来は、本件特許権の譲渡の協議に関しても、相当な対価を検討 するために必要な資料が提示されておらず、被告に協議義務違反があったと主張するが、前記説示のとおり、原告再生未来は、その代表者であるP1において本件発明の共同発明者であると主張する上、被告から、本件発明に関する実験データを開示され、本件発明が特許化された場合の価値を評価するに足る情報を保有していたというべきであるから、協議の前提たる相当な対価について 提示ができなかったとは考えられない。 むしろ、前記認定に係る交渉経過や当裁判所に顕著な事実も併せ考えると、原告再生未来は、双方に代理人がついて交渉がもたれた平成30年3月の当時 提示ができなかったとは考えられない。 むしろ、前記認定に係る交渉経過や当裁判所に顕著な事実も併せ考えると、原告再生未来は、双方に代理人がついて交渉がもたれた平成30年3月の当時から一貫して、被告に対し追加の経済的負担を負うことなく本件特許の全部又は一部の譲渡を受けることを企図しており、本件契約14条2項にいう対価を提示する意思はなかったものとうかがわれるのであって、このような状況にお いて、被告に譲渡の協議に際して何らかの本件契約上の義務違反行為があったとも認められない。 5 争点3(被告に本件契約16条2項及び17条1項の守秘義務違反があったか)について(1) 被告による本件出願1に関する守秘義務違反について 前記のとおり、P3は、本件出願1に際し、P3としては1ステップの方法について特許出願をする意向であることを示したうえで、同方法に関する最大限の情報を提示し、P1に特許出願をするか否かを打診している。そのうえで、P1が特許出願を諦めたものであるから、P1及びP3の間では、P3ないし被告側による特許出願がされることは前提となっていたし、少なくとも、本件 研究に関与した者以外の者に1ステップの方法に関する独占的な権利が付与されないよう、早急に、1ステップの方法を公知のものにしようとしていたものと認められる。 そうすると、本件出願1は、P1及びP3の間で当然に予想されたものであり、かつ、特許出願によって本件契約に基づく研究成果が公知になることは、 本件契約による守秘義務の範囲外であるから(本件契約16条1項7号)、P3が、本件出願1をしたことは、被告が負う、本件契約16条及び17条の守秘義務違反を構成するものではない。 (2) P3による本件論文の投稿についてア本件論 から(本件契約16条1項7号)、P3が、本件出願1をしたことは、被告が負う、本件契約16条及び17条の守秘義務違反を構成するものではない。 (2) P3による本件論文の投稿についてア本件論文は、P3が被告に所属する研究者として本件出願2が国際公開さ れた後に投稿されたものである。また、その内容が、本件出願1及び2によ って開示された内容を超えていると認めるに足りる証拠はない。 イ本件契約16条1項に基づく守秘義務が、特許出願の結果、公知となった情報には適用されないことは前記のとおりであるが、加えて、本件契約17条の守秘義務は、本件契約16条の守秘義務を遵守することが前提となっているものであるから、同条によって守秘義務を負わないようになった研究成 果は、本件契約17条の規範の対象外である。 (3) 以上の次第で、P3による本件論文の投稿は、本件契約16条及び17条の守秘義務に違反するものではないから、被告が、同投稿行為について、本件契約16条及び17条の守秘義務違反の責を負うものとは認められない。 6 争点6(P1が本件発明の共同発明者であるか)について (1) 前記認定のとおり、本件発明は、P1の、生体由来の物質以外のものを用いて活性型GcMAFを効率的に合成したいという着想に端を発するものであると認められる。しかし、自然法則を利用した高度な技術的思想たる発明に対し、法的保護を与える特許制度の趣旨に鑑みれば、発明者たり得るためには、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち、当該発明特有の課題解決手段 を基礎づける部分に実質的に関与し、その技術手段を完成させた者であることを要し、課題の提供を行うにとどまった者は発明者に該当しないものということが相当である。 (2) かかる観点から、P を基礎づける部分に実質的に関与し、その技術手段を完成させた者であることを要し、課題の提供を行うにとどまった者は発明者に該当しないものということが相当である。 (2) かかる観点から、P1の関与を検討するに、前記認定事実からすると、P1は、P3やP2からの報告を受け、これに対する印象を述べたり、契約等に関 する手続的な関与をしたりはしているものの、1ステップの合成法について、具体的な提案をしたり、示唆を与えたりはしていない。 なお、P4は、打ち合わせの都度、P1やP4から重要な示唆を提示したと述べるが(甲63)、その具体的内容については触れるところがない(証人P4、弁論の全趣旨)。また、原告らは、P1が本件契約以前からマクロファージ の活性化に関する特許を保有していたことなどを指摘し、技術的な関与が可能 であったと主張する。しかし、能力があることと関与をしたことは当然には一致しないし、P1が保有する特許は、いずれも、生体由来のマクロファージ活性化剤に関するものであり、本件発明のような、効率的な合成手法に関するものではない。むしろ、P1は、臨床の場面におけるマクロファージ活性化剤の利活用に関する知見はあっても、合成手法に関する基礎研究についての知見が あったとは認められない。 原告らは、P1の名前が本件論文の謝辞部分に記載されていたことも指摘するが、前述のとおり、P1について本件発明への具体的、実質的な関与が明らかでない中で、このような記載が本件発明の発明者であることを基礎づける事情になるともいえない。 (3) そうすると、P1は、本件発明に関し、いわばスポンサー的な役割を果たしていたにとどまり、課題解決手段を基礎づける部分に対する実質的な関与をしていたものとは認められず、本件 えない。 (3) そうすると、P1は、本件発明に関し、いわばスポンサー的な役割を果たしていたにとどまり、課題解決手段を基礎づける部分に対する実質的な関与をしていたものとは認められず、本件発明の発明者であるとは認められない。 7 争点7(P2が本件発明の共同発明者であるか)について(1) 前提事実及び前記認定事実によると、本件発明は、活性型GcMAFの合 成に関するものである。そして、被告指摘のとおり、培養細胞を用いてタンパク質を合成する手法自体は公知であり、効率的に活性型GcMAFを得られるための細胞タイプの選択や培養条件の発見が当該発明特有の課題解決手段を基礎づける部分に当たることはいうまでもなく、これを行ったのがP3及び被告職員であることは事実である。しかし、そのような試行錯誤の結果として得 られたタンパク質が、目的の活性型GcMAFであるか否かの検証も、発明の完成を左右する重要な部分であることは否定できない。 この点、P2は、一般的なTOF-MS解析等を行った後、高度な解析を試みるための提案をしており、単なる解析にとどまらない関与を行っている(甲42、48)。とりわけ、マクロファージ貪食活性化能試験を行い、活性の有無 を調査した点(甲47)は、よりよい細胞や培養方法を決定することに貢献し たものとも評価し得る。 (2) 上記の本件発明においてP2が果たした役割に加え、ビタミンDアフィニティカラムの合成を行ったこと(乙5。訂正後の本件特許の請求項3)に照らすと、P2は、本件発明につき、課題解決手段を基礎づける部分に実質的かつ重要な関与をしていたというべきであり、本件発明の発明者であると認められ る。 8 争点9(本件発明の完成後、被告が本件各出願を単独でする旨の合意(P2の特 決手段を基礎づける部分に実質的かつ重要な関与をしていたというべきであり、本件発明の発明者であると認められ る。 8 争点9(本件発明の完成後、被告が本件各出願を単独でする旨の合意(P2の特許を受ける権利の放棄)があったか)について(1) 前記7に説示のとおり、P2は、本件発明の共同発明者に当たることから、本件発明について特許を受ける権利を有することとなるが、被告は、P2がこ れを放棄したと主張するので検討する。 検討に先立ち、原告再生ファーマの職務発明規定(甲83)につき検討するに、同規定は、平成28年1月1日から施行され、同原告の役員又は従業員が職務発明をしたときは、同原告が特許を受ける権利を取得する旨規定されている。しかし、使用者が特許を受ける権利を原始取得することができる旨の改正 特許法が施行されたのは同年4月1日であること、真実甲83による職務発明規定が適法に制定されていたのであれば、P2が次に述べる権利放棄に当たり同規定を考慮したはずであるところ、このような事情は何らうかがえないこと、そもそもP2の前記7で認定した発明への寄与が、原告再生ファーマの(適法な)職務であったといえるかどうかも疑義があること(平成29年11月14 日に同人が発信したメールにおいては、同人自ら「徳島大の権利」と表現しているし(乙3)、後述のとおり、同人の権利の放棄に利害を持つのは徳島大学であると認識している。)などを考慮すると、甲83の職務発明規定にかかわらず、原告再生ファーマがP2の職務発明による特許を受ける権利を原始取得したとは認められず、なおP2がこれを有していたことを前提に判断する。 (2) 前記認定事実に加え、P2は、平成29年11月22日、それまでにP3か ら依頼された実験結果を報告 たとは認められず、なおP2がこれを有していたことを前提に判断する。 (2) 前記認定事実に加え、P2は、平成29年11月22日、それまでにP3か ら依頼された実験結果を報告するとともに、まだ未了のものがあることを伝えていたこと(甲48、59(82も同じ))、同月26日、P1が本件発明の特許化を諦めたことを受け、それでもなお、海外の別の組織が特許出願をすることを防ぐため、特許出願をしておくべきであること、そのために、P3が単独で出願することに賛同していたことが認められる。加えて、原告再生未来が被 告及びP3に対し、本件出願1をしようとしていることが本件契約14条に違反するとの内容の警告書を送付した平成30年1月22日の直後である同月26日には、P2は、P3に対し、放棄の意思を再度明確に表明するとともに、自身は本件研究に貢献していないので、放棄について徳島大との関係で問題がない旨を明らかにしている(甲32、33、乙9)。 そして、国立大学法人の教授でもあるP2が、P1や原告再生未来を措いてP3や被告と本件発明につき共同で特許出願することは考えにくいことも併せ考えると、P2は、平成29年11月26日にP3が単独出願をすることについて同意をしたことをもって、自身の特許を受ける権利を行使しないこと(権利放棄)の意思表示をしたものと解するのが相当である。 (3) 原告再生ファーマは、P2が、P3が単独で出願することは想定していなかったとして、このような放棄の意思表示の存在を争い、P2はこれに沿う供述をする(甲35)が、本件発明についての出願について原告再生未来と被告の間で紛争が顕在化した直後にP2がP3に表明していた前記の内容に照らすと、現時点におけるかかる供述を根拠に前記同意があったことが左右さ (甲35)が、本件発明についての出願について原告再生未来と被告の間で紛争が顕在化した直後にP2がP3に表明していた前記の内容に照らすと、現時点におけるかかる供述を根拠に前記同意があったことが左右される ことはないというべきである。また、P2は、平成30年1月11日に、被告と再生ファーマで出願との合意をしたとの前提でこれをP3に確認する旨のメール(甲16)を送信しているが、その後、同月12日に、P3がP4に対し、原告らの戦略や研究能力に照らし、原告らが権利を取得することに疑問を呈した(甲26)状況下で、原告ら及びP3の双方の状況を知るP2による前 記の確定的にされた放棄の意思表示があったことを踏まえると、同意思表示の 効力を左右するものでもない。 (4) したがって、P2の特許を受ける権利は、同人の放棄の意思表示により消滅したというべきである。前記のとおり、P2の特許を受ける権利が原告再生ファーマに帰属するかには疑義があるが、これにかかわらず、被告の抗弁は理由がある。したがって、原告再生ファーマの被告に対する特許法74条1項に 基づく持分移転登録手続請求は、理由がない。 9 争点10(本件契約において、原告再生未来に本件特許権を譲渡するとの黙示の合意がされたか)について前記認定によると、本件契約14条1項及び2項は、原告再生未来と被告間で、本件研究により発生し得る知的財産権の権利の帰属につき十分協議された上で 定められたものと認められ、またこれと異なる黙示の合意がされたことを認めるに足りる客観的証拠もない。そうすると、原告再生未来主張の合意があったとは認められない。 原告再生未来は、研究スペースの借り上げにより被告に資金援助を行っていたことや、P3が原告らに喜んで貢献する意思を有していたこ もない。そうすると、原告再生未来主張の合意があったとは認められない。 原告再生未来は、研究スペースの借り上げにより被告に資金援助を行っていたことや、P3が原告らに喜んで貢献する意思を有していたことを挙げるが、いず れも原告再生未来が研究開発に関与することが前提となっていた本件契約の趣旨に鑑みれば、本件特許権を当然に譲渡する事情としては、前提を欠くか、又はそのような黙示の合意を推認させる事情に当たらない。 争点10に係る原告再生未来の主張は、理由がない。 10 争点11(原告再生未来が、本件契約14条2項に基づき本件特許権の持分 を取得できるか)及び争点12(引換給付請求の可否及び相当対価の支払との同時履行の抗弁)について(1) 原告再生未来は、本件契約14条2項に基づき、被告の本件特許権の持分3分の1の移転登録手続を請求する。 しかし、前記説示のとおり、本件契約14条2項は、当事者の意向を踏まえ、 本件研究により生じ得る知的財産権を、相当の対価の支払により委託者のみに 帰属させるため、契約交渉過程で一部譲渡の可能性が明示的に排斥されて、契約締結に至ったものであるし、本件契約締結交渉時のP1及びP3でも、そのことが共通認識となっていたことが認められる。 そうすると、原告再生未来は、被告が別途これに合意した場合はともかく、そうでないのに、本件契約14条2項によって被告の持分の一部の譲渡を請求 することはできないものと解することが相当である。そして、弁論の全趣旨によると、被告は、本件特許権を原告再生未来と共有することに同意していないと認められるから、同原告は、一部の譲渡を求めることはできないものというべきである。 (2) この点をおいても、前記認定説示のとおり、原告再生未来は、本件契約 再生未来と共有することに同意していないと認められるから、同原告は、一部の譲渡を求めることはできないものというべきである。 (2) この点をおいても、前記認定説示のとおり、原告再生未来は、本件契約14 条2項にいう相当の対価を支払う意思はないものと認められるところ、原告再生未来自身が本件特許権の価値につき無償でないことの鑑定書(甲62、ただし当裁判所がその記載の価額を是認するものではない。)を提出していることも踏まえると、原告の主張は、経済的価値を有する本件特許権の一部贈与を求めるものにほかならず、このような無償譲渡は、本件契約14条2項の想定す るところではないというべきであって、いずれにせよ原告再生未来の主張は失当である。 (3) また、前提事実のとおり、原告再生未来は、本件訴訟の係属中に特許庁に対し本件特許の特許無効審判請求を申し立てたものであるところ、このように、譲渡を求める権利を自ら確定的に喪失させる意思を明らかにしておきながら、 なお、被告の防御により有効として存続する権利の一部譲渡を請求するというのは、信義則、禁反言の趣旨にも反するものである。 (4) 以上の諸点から、原告再生未来の本件14条2項に基づく移転登録手続請求は、理由がない。 第5 結論 以上の次第で、甲事件の原告再生未来の請求、乙事件の原告らの請求(原告再生 未来の予備的請求を含む)はいずれも理由がない。 大阪地方裁判所第26民事部 裁判長裁判官 松阿彌隆 裁判官 阿波野右起 松阿彌隆 裁判官 阿波野右起 裁判官 西尾太一 (別紙1)特許権目録 1 書誌的事項特許番号特許第6718561号出願日平成30年12月14日 優先日平成29年12月15日登録日令和2年6月16日発明の名称活性型GcMAFの製造方法 2 本件訂正前の各請求項 【請求項1】VitaminDBindingProtein発現ベクターを導入したCHO細胞を、無血清培地中で浮遊培養する工程を含む、活性型のGcprotein-derivedmacrophageactivatingfactor(GcMAF)の製造方法。 【請求項2】糖鎖切断のための酵素処理工程を含まない、請求項1に記載の活性型GcMAFの製造方法。 【請求項3】ビタミンDアフィニティカラムによる精製工程を含む、請求項1又は2に記載 の活性型GcMAFの製造方法。 2 本件訂正後の各請求項【請求項1】VitaminDBindingProtein発現ベクターを導入した CHO細胞を、無血清培地中で浮遊培養する工程を含み、糖鎖切断のための酵素処 理工程を含まない、活性型のGcprotein-derivedmacrophageactivatingfactor(GcMAF)の製造方法。 【請求項2】(削除)【請求項3】 ビタ 含まない、活性型のGcprotein-derivedmacrophageactivatingfactor(GcMAF)の製造方法。 【請求項2】(削除)【請求項3】 ビタミンDアフィニティカラムによる精製工程を含む、請求項1に記載の活性型GcMAFの製造方法。 (別紙2)本件契約内容委託者原告再生未来(以下、本別紙おいて「甲」という。)と受託者被告(以下、本別紙において「乙」という。)は、次の条項によって、研究受託契約を締結する。 (定義) 第1条本契約書において、次に掲げる用語は次の定義によるものとする。 (1) 「研究成果」とは、本契約に基づき実施された委託研究(以下「本委託研究」という。)の結果得られた研究成果のうち、研究成果報告書において成果として確定された本委託研究の目的に関係する発明、考案、意匠、著作物、ノウハウ、成果有体物等の技術的成果をいう。 (2) 「知的財産権」とは、次に掲げるものをいう。 (中略)ニ秘匿することが可能な技術情報であって、甲乙協議の上、特に指定するもの(以下「ノウハウ」という。)(後略) 5 本契約書において「研究担当者」とは、本委託研究に従事する乙に属する次条に掲げる者及び第5条第2項に該当する者をいう。また、「研究協力者」とは、次条及び第5項第2項記載以外の者であって第18条第1項に規定する本委託研究に協力する者をいう。 (受託研究の題目等)第2条乙は、次の研究(以下「本受託研究」という。)を甲の委託により実施するものとする。 (1) 研究題目癌の統合的医療のための生化学的研究(2) 研究目的生化学的な基礎研究を通じて癌の統合的医療の発展に寄与するこ 受託研究」という。)を甲の委託により実施するものとする。 (1) 研究題目癌の統合的医療のための生化学的研究(2) 研究目的生化学的な基礎研究を通じて癌の統合的医療の発展に寄与するこ と (3) 研究内容培養細胞による蛋白質の大量発現システムの技術支援、培養細胞の機能解析に関する技術支援(4) 研究担当者 氏名 所属部局・職名本研究における役割 P3 被告センター長研究総括(研究代表者) P1 原告再生未来理事長臨床的助言 P4 原告再生未来・細胞培養センター長 臨床的助言 (ほか被告職員1名、原告職員2名)(5) 研究に要する経費 7,800,000円(税込) (うち直接経費 6,000,000円) (うち間接経費 1,800,000円)(6) 研究期間平成28年4月1日から平成30年3月31日まで(7) 甲の提供物品なし(8) 研究実施場所神戸(以下略) (研究成果の報告)第3条乙は、本受託研究が完了した日の翌日から起算して30日以内に、研究成果報告書を甲に提出するものとする。 (ノウハウの指定)第4条甲及び乙は、協議の上、報告書に記載された研究成果のうち、ノウハウに該当するものについて、速やかに指定するものとする。 2 ノウハウの指定に当たっては、秘匿すべき期間を明示するものとする。 3 前項の秘匿すべき期間は、甲乙協議の上、決定するものとし、原則として、本委 託研究完了の日の翌日から起算して3年間とする。ただし、指定後において必要が あるときは、甲乙協議の上、秘匿すべき期間を延長し、又は短縮することができる。 、原則として、本委 託研究完了の日の翌日から起算して3年間とする。ただし、指定後において必要が あるときは、甲乙協議の上、秘匿すべき期間を延長し、又は短縮することができる。 (中略)(知的財産権の帰属)第14条乙は、本委託研究の実施に伴い、発明等が生じたとき、及び乙が甲から開示された秘匿すべき技術上の情報等により発明等が生じたときは、甲に通知の上、 当該発明等に係る知的財産権の取扱いについて甲及び乙が協議し決定するものとする。 2 乙は、前項の知的財産権を乙が承継を希望した場合には、甲に対して相当の対価と引き換えにその全部を譲渡するものとする。 (中略) (秘密の保持)第16条甲及び乙は、本受託研究の実施に当たり、相手方より開示を受け又は知り得た技術上及び営業上の一切の情報について、第2条の研究担当者、これを知る必要のある最小限の従業員及び役員以外に開示・漏洩してはならない。また、甲及び乙は、相手方より開示を受けた情報に関する秘密について、これを知得した自己に 属する研究担当者、従業員及び役員に対し、その所属を離れた後も含め保持する義務を負わせるものとする。ただし、次のいずれかに該当する情報については、この限りではない。 (中略)(6) 書面により事前に相手方の同意を得たもの (7) 第14条に規定する知的財産権の出願が出願公開されて、公知になった情報(中略) 2 乙は、相手方より開示を受け又は知り得た技術上及び営業上の一切の情報を本受託研究以外の目的に使用してはならない。ただし、書面により事前に甲の同意を得た場合はこの限りではない。 3 前2項の有効期間は、第2条の本委託契約開始の日から研究完了後、又は研究中 止後3年間とする。ただし、 い。ただし、書面により事前に甲の同意を得た場合はこの限りではない。 3 前2項の有効期間は、第2条の本委託契約開始の日から研究完了後、又は研究中 止後3年間とする。ただし、甲乙協議の上、この期間を延長し、又は短縮することができるものとする。 (研究成果の公表)第17条甲及び乙は、本委託研究完了、又は本受託研究中止の日の翌日から起算し 6か月以降又は出願等の後、本委託研究によって得られた研究成果について、前条で規定する秘密保持の義務を遵守した上で開示、発表若しくは公開すること(以下「研究成果の公表等」という。)ができるものとする。ただし、いかなる場合であっても、相手方の同意なく、ノウハウを開示してはならない。 2 前項の場合、甲又は乙(以下「公表希望当事者」という。)は、研究成果の公表等 を行おうとする日の30日前までにその内容を書面にて相手方に通知しなければならない。また、公表希望当事者は、事前の書面による了解を得た上で、その内容が本委託研究の結果得られたものであることを明示することができる。 (中略) 4 第2項の通知しなければならない期間は、本委託研究完了後、又は本委託研究中 止後の翌日から起算して3年間とする。ただし、甲乙協議の上、この期間を延長し、又は短縮することができるものとする。 (中略)(契約の解除又は解約)第19条乙は、甲が研究経費を所定の納付期限までに納付しないときは、本契約を 解除することができる。 2 甲及び乙は、次の各号のいずれかに該当し、催告後14日以内に是正されないときは本契約を解約することができるものとする。 (1) 相手方が本契約の履行に関し、不正又は不当の行為をしたとき(2) 相手方が本契約に違反したとき 以内に是正されないときは本契約を解約することができるものとする。 (1) 相手方が本契約の履行に関し、不正又は不当の行為をしたとき(2) 相手方が本契約に違反したとき (損害賠償)第20条甲又は乙は、前条に掲げる事由及び甲、乙、研究担当者又は研究協力者が故意または重大な過失によって相手方に損害を与えたときには、その損害を賠償しなければならない。 (中略) (契約の有効期間)第22条本契約の有効期間は、第2条に定める研究期間とする。 2 本契約の失効後も、第3条及び第4条、第11条及び第12条、第14条から第18条、第20条、第24条及び第25条の規定は、当該条項に定める期間又は対象事項が全て消滅するまで有効に存続する。 (後略)以上
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