主文 本件訴えをいずれも却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の請求 1 原告の請求(1) 被告が平成13年12月7日付けで行った事務連絡「会派等略称について(通知)」に係る決定処分を取り消す。 (2) 被告が平成13年12月7日付けで行った事務連絡「会派等略称について(通知)」に係る決定処分の効力が無効であることを確認する。 2 被告の本案前の答弁主文同旨 3 被告の本案の答弁原告の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要本件は,原告が,東京都議会議長を被告として,平成13年12月7日付け事務連絡「会派等略称について(通知)」に係る決定が,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」であると主張して,その取消しを求めるとともに,上記決定の効力が無効であることの確認を求めた事案である。 1 前提となる事実(以下の事実は,いずれも当事者間に争いがない。)(1) 原告は,東京都議会議員の職にある。 (2) 原告は,平成13年7月23日,東京都議会議長に対し,会派の名称を「行革110番」とする会派結成届を提出した。 (3) 東京都議会運営委員会理事会は,平成13年12月7日,会派等の表記についての申し合わせ(以下「本件申し合わせ」という。)を行った。 (4) 原告は,平成13年12月7日,議会局管理部総務課長Aから,本件申し合わせに基づいて,無所属(行革110番)との名称を「無(行)」,「無(行革)」,「無(行革110番)」と略称する旨の内容の「会派等略称について(通知)」と題する事務連絡(以下「本件通知」という。)を受けた。 2 当事者双方の主張(原告の主張)(1) 被告による行政処分の存在被告は,本件申し合わせを受けて,東京都議会会派の略称を変更する 知)」と題する事務連絡(以下「本件通知」という。)を受けた。 2 当事者双方の主張(原告の主張)(1) 被告による行政処分の存在被告は,本件申し合わせを受けて,東京都議会会派の略称を変更する旨の本件通知に係る決定を行ったものであり,本件通知は,この決定に基づいてされたものである。 本件通知に係る決定は,対外的に,原告所属会派の名称を変更するものであって,対外的効力を有するものであり,行政処分であることは明白である。 (2) 本件通知に係る決定が違法であり,その効力が無効であること原告は,「行革110番」との名称で会派届を提出しており,東京都政務調査費の交付に関する条例(平成13年東京都条例第24号)2条により,上記名称で都議会の活動ができることを保証されている。 ところが,本件通知に係る決定によって,東京都議会ホームページなどにおいて,原告の会派名は「無(行革110番)」と記載されることになり,これにより,原告会派は一方的に無所属とみなされ,原告は,会派議員としての利益を害された。 そもそも,被告には,都・都議会の印刷物における名称を「行革110番」から「無所属」の標記に変更する権限はない。 (3) したがって,本件通知に係る決定は,取り消されるべきであり,本件決定の効力は無効というべきである。 (被告の主張)(1) 本件訴えが不適法であることア議会内部の自律的問題であること本件申し合わせは,本来,「会派」とは議会内に結成された議員の同志的集合体を意味し,2人以上の議員の存在を前提とするものであることから,いずれの会派にも属さないで会派名称を名乗る議員については,その名称とは別に「無所属」と表記して(略称の場合は「無」),いずれの会派にも属さないことを表記上明確にするとの東京都議会内部における取扱いを定めたものにすぎ さないで会派名称を名乗る議員については,その名称とは別に「無所属」と表記して(略称の場合は「無」),いずれの会派にも属さないことを表記上明確にするとの東京都議会内部における取扱いを定めたものにすぎず,本件通知は,会派等の略称を含めた表記方法を通知したものであり,いずれの会派にも属さない議員が対外的に自ら名乗る名称を使用することを何ら制限するものではないばかりか,東京都議会内部においてもその名称の使用を全面的に禁止するものでもない。 したがって,本件申し合わせは,東京都議会内部における議会運営に関する事項であって,議会内部の自立的問題に関するものであるから,裁判所の司法審査の対象にはならないと解すべきであり,本件申し合わせに基づく本件通知も,同様に司法審査の対象にはならないというべきである。 イ被告適格の欠如本件通知は,理事会で決定された本件申し合わせの内容に基づき,会派等の略称を含めた表記方法について関係機関に通知したものにすぎず,いずれの会派にも属さない議員の場合には「無所属」と表記することを決定したのは理事会であって,被告ではない。 したがって,被告には,本件訴えの被告適格がないというべきである。 ウ本件通知が行政処分に該当しないことa 本件通知は,議会内部における会派名の表記方法の取扱いについて,議会運営委員会理事会で決められた本件申し合わせの内容に基づき,略称等について伝達するものにすぎず,何ら国民の権利義務に直接影響を与えるものではない。 b 本件申し合わせ及び本件通知は,いずれの会派にも属さない議員であることを印刷物等の表記上明確にするものにすぎず,いずれの会派にも属さない議員に対して,議会内部はもとより議会外において当該議員が名乗る名称を使用することを禁止するような内容ではない。また,本件申し合わせによって,いずれ 上明確にするものにすぎず,いずれの会派にも属さない議員に対して,議会内部はもとより議会外において当該議員が名乗る名称を使用することを禁止するような内容ではない。また,本件申し合わせによって,いずれの会派にも属さない議員が政務調査費の交付その他において,他の議員と比較して不利な扱いを受けている事実はなく,本件申し合わせ及び本件通知によって原告の利益が侵害された事実はない。 c したがって,本件通知は行政処分には該当しない。 (2) 本件通知に係る決定等に違法がないことア東京都政務調査費の交付に関する条例において所属議員が一人の場合にも政務調査費の交付を認めているからといって,会派名称による議員活動が保証されているものではない。 イ本件通知及び本件申し合わせは,いずれの会派にも属さない議員が使用する名称を表記する場合にはそのことが明確になるよう,その使用する名称とは別に無所属と表記することを定めたにすぎず,自ら使用する名称の表記を全く認めないというものでもなければ,その名称の使用を禁止したというものでもなく,原告には何ら不利益は生じていない。 また,印刷物等の作成・発行者が,その表記について主体的に決定できるのは,当然のことであり,本件申し合わせを受けて,都議会が発行する印刷物等における会派名の略称の表記方法について定めた本件通知に何ら違法はない。 3 争点(1) 本件訴えの適法性の有無 (争点1)(2) 本件通知に係る決定の適法性の有無 (争点2)第3 当裁判所の判断 1 争点1について行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,行政庁が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し,またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和37年(オ)第 権力の行使に当たる行為」とは,行政庁が行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し,またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和37年(オ)第296号・昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。 ところで,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,本件通知は,東京都議会運営委員会理事会における本件申し合わせを受けて,印刷物等に使用する各会派等の略称をどのように表記することとなったかを関係者に通知したものであるところ,その前提となった本件申し合わせは,単に,会派の名称の表記に関する取扱いを定めるという事実上の取り決めにすぎず,また,本件通知は,その略称を関係者に通知したものであって,これらは,いずれも,それによって,原告が結成した会派の名称そのものを変更したり,東京都政務調査費の交付に関する条例の適用等において,原告に権利義務の変動を与える効果を生じさせるものとは認められない。 したがって,本件通知に係る決定は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」には該当しないというべきである。 2 結論よって,本件訴えは,その余の各点について検討するまでもなく,いずれも不適法な訴えというべきであるから,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官森英明裁判官馬渡香津子
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