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平成10(行ウ)7 公文書開示拒否取消請求事件

裁判所

平成11年3月15日 高知地方裁判所 情報公開

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10,825 文字

主文 一被告が原告に対して平成一〇年四月一六日付けでなした別紙文書目録記載の文書のうち設計金額、請負対象金額、予定価格、最低制限価格、入札書比較価格の各金額欄を開示しないとの処分を取り消す。二訴訟費用は被告の負担とする。事実及び理由 第一請求主文同旨第二事案の概要本件は、原告が被告に対し、高知県情報公開条例(以下「本件条例」という)五条に基づき、別紙文書目録記載の予定価格調書(以下「本件予定価格調書」という)の開示を請求したところ、被告が本件条例六条八号の非開示事由に該当することを理由として、右文書のうち予定価格等の金額欄を開示しない旨の決定(以下「本件処分」という)をしたため、原告がこれを不服として、右処分の取消を求めた事案である。一前提となる事実(争いがないか、後掲証拠及び弁論の全趣旨から容易に認められる事実) 1 当事者(一) 原告は、高知県内の肩書住所地に居住する者である。(二) 被告は、高知県知事として、本件条例に基づく公文書開示の実施機関である(同条例二条一項)。2 本件処分の存在(一) 原告は、平成一〇年四月一〇日、被告に対し、本件条例五条に基づき、本件予定価格調書の開示を請求した(甲三三)。(二) これに対して、被告は、平成一〇年四月一六日付けで、本件予定価格調書のうち設計金額、請負対象金額、予定価格、最低制限価格、入札書比較価格(以下「予定価格等」という)の各金額欄については、同種の工事の入札予定価格を類推させ、その結果、競争が制限されて落札価格が高止まりになったり、談合が容易に行われるなどの弊害が生じるおそれがある(本件条例六条八号に該当する)ことを理由として開示しないが、その余の部分については開示する旨の部分開示決定(本件処分)行い、その旨原告に通知した(甲一の1) 行われるなどの弊害が生じるおそれがある(本件条例六条八号に該当する)ことを理由として開示しないが、その余の部分については開示する旨の部分開示決定(本件処分)行い、その旨原告に通知した(甲一の1)。 が容易に行われるなどの弊害が生じるおそれがある(本件条例六条八号に該当する)ことを理由として開示しないが、その余の部分については開示する旨の部分開示決定(本件処分)行い、その旨原告に通知した(甲一の1) 行われるなどの弊害が生じるおそれがある(本件条例六条八号に該当する)ことを理由として開示しないが、その余の部分については開示する旨の部分開示決定(本件処分)行い、その旨原告に通知した(甲一の1)。3 本件条例の定め本件条例六条は、「実施機関は、次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、開示をしないことができる」と規定し、同条八号には「県の機関又は国等の機関が行う監査、検査、取締り、試験、入札、交渉、渉外、争訟その他の事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の実施の目的が失われ、又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障を生ずると認められるもの」が掲げられている(甲三七)。二当事者の主張(被告の主張) 1 本件条例及びその解釈運用について(一) 本件条例が保障する公文書開示請求権は、県民参加による開かれた県政実現のため、立法政策として、県民に公的な情報に対する開示請求権をいかなる限度で、どのような要件の下に認めるかを定めて、創設的に付与された権利である。(二) 本件条例によれば、公文書は公開されることが原則となるが、公文書に情報が記載されている個人等のプライバシー等の権利保護及び行政の公正又は円滑な執行という利益の保護もまた必要である。そこで、本件条例は六条において例外を定め、これら利益相互間の調整を図っている。条例六条八号は、県又は国が行う事務事業の内容及び性質からみて開示することにより当該事務の目的を失い、又は、公正円滑な執行ができなくなり、ひいては県民全体の利益を損なうおそれのある情報を非公開とするものである。後記のとおり、予定価格等を開示すると、競争が制限され、入札価格の高止まり現象が生じ、また談合が生じやすくなるおそれがあり、 ひいては県民全体の利益を損なうおそれのある情報を非公開とするものである。後記のとおり、予定価格等を開示すると、競争が制限され、入札価格の高止まり現象が生じ、また談合が生じやすくなるおそれがあり、これらの不利益と情報開示による利益とのいずれを優先させるかは、本来県民が立法政策によって決めるべきことであり、その県民の意思が本件条例に他ならない。 止まり現象が生じ、また談合が生じやすくなるおそれがあり、 ひいては県民全体の利益を損なうおそれのある情報を非公開とするものである。後記のとおり、予定価格等を開示すると、競争が制限され、入札価格の高止まり現象が生じ、また談合が生じやすくなるおそれがあり、これらの不利益と情報開示による利益とのいずれを優先させるかは、本来県民が立法政策によって決めるべきことであり、その県民の意思が本件条例に他ならない。公文書のうち、非開示とされる範囲をどのように判断するかは、本件条例の解釈問題である。(三) そして、本件条例六条八号が、不確定概念を用いて規定されていることからして、非開示事由に該当するか否かの判断については、実施機関に一定の裁量を与えたものと解される。したがって、非開示事由認定の運用については、裁量権逸脱の濫用がない限り、当不当の問題となることはあっても、違法となることはない。本件開示請求に対しては、他の談合防止等の施策を含めて入札制度の適正に向けた総合的な政策判断のもとに開示、非開示の判定がなされるべきであり、その処分について行政庁の裁量を比較的広く認める必要がある。(四) また、情報を非開示としたままで、これら非開示事由の具体的実質的な根拠を被告において立証することは非常に困難であって、被告としては非開示とすべき理由を一般的に主張せざるを得ないのである。非開示事由の主張について具体的主張、立証を要するというのであれば、八号に該当するとの立証はほとんどの場合成功せず、八号は事実上死文化することになる。開示による不利益と利益を調整するべく定立された本件条例が、非開示理由の運用を困難にするような、具体的な主張、立証責任を被告に課していると解することはできない。2 被告が、予定価格等の各金額欄を非開示とした理由は、これらを開示すると、同種の工事の入札予定価格を類推させる結果となり、競争が制限され落 主張、立証責任を被告に課していると解することはできない。2 被告が、予定価格等の各金額欄を非開示とした理由は、これらを開示すると、同種の工事の入札予定価格を類推させる結果となり、競争が制限され落札価格が高止まりになるおそれや談合が一層容易に行われる可能性があるため、県における将来の同種の入札事務の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずると認められたことにある。したがって、予定価格等は、本件条例六条八号に該当するものであり、これを非開示とした本件処分は適法である。 が、予定価格等の各金額欄を非開示とした理由は、これらを開示すると、同種の工事の入札予定価格を類推させる結果となり、競争が制限され落札価格が高止まりになるおそれや談合が一層容易に行われる可能性があるため、県における将来の同種の入札事務の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずると認められたことにある。したがって、予定価格等は、本件条例六条八号に該当するものであり、これを非開示とした本件処分は適法である。(一) 各価格の意義設計金額とは、工事全体の費用の予定額であるが、本件においては請負対象金額と同じである。請負対象金額とは、標準的な施工能力を持つ業者が、現場条件に照らして最も妥当性があると考えられる標準的な工法で施工する場合に必要な経費を各省が定めている積算の基準等に基づき算定した金額で、予定価格決定の基礎資料となるものである。予定価格とは、契約金額を決定するための基準(上限)であり、取引の実例価格、需給状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して定められる(高知県契約規則一六条二項)こととなっており、請負対象金額を参考として決定されるものである。最低制限価格とは、地方公共団体の競争入札による工事の請負契約において、疎漏工事の防止等契約内容に適合した履行を確保するため設定するものであり、その額は予定価格の三分の二から一〇分の八までの範囲である(地方自治法施行令一六七条の一〇第二項、一六七条の一三、高知県契約規則一七条)。入札書比較価格は、入札書と比較する消費税相当額を含まない金額である。(二) 予定価格等の事後公表の弊害予定価格等を事後公表すれば、入札参加者は、その価格をもとに将来行われる同種工事の予定価格を類推することが可能になるから、予定 消費税相当額を含まない金額である。(二) 予定価格等の事後公表の弊害予定価格等を事後公表すれば、入札参加者は、その価格をもとに将来行われる同種工事の予定価格を類推することが可能になるから、予定価格を事前に公表したのと同様の弊害、すなわち競争が制限され落札価格が高止まりになるおそれや談合が一層容易に行われる可能性が生じることになる。(1) 予定価格が類推されることについて過去に実施されたのと同種工事であれば、事前に開示される設計図書や仕様書等の内訳において、同種の機器や作業内容等が含まれる場合が多いと考えられるから、過去の工事における設計図書、仕様書等を基準に加減して積算していけば、予定価格等の推測がより正確に行えるようになる。 ち競争が制限され落札価格が高止まりになるおそれや談合が一層容易に行われる可能性が生じることになる。(1) 予定価格が類推されることについて過去に実施されたのと同種工事であれば、事前に開示される設計図書や仕様書等の内訳において、同種の機器や作業内容等が含まれる場合が多いと考えられるから、過去の工事における設計図書、仕様書等を基準に加減して積算していけば、予定価格等の推測がより正確に行えるようになる。もっとも、公共工事の積算の仕方については公表されている部分もあるが、すべての数値が公刊物等によって公開されているわけではなく、公表されていない係数は多数あるから、業者が公刊物等で予定価格等を推測するには限界がある。もし予定価格等を公表すれば、公表しない場合に比較して類推の精度が増すことは間違いない。入札参加業者にとって予定価格等を推測することは容易でなく、事後公表等を実施することは入札参加業者が予定価格を推測する精度を高めることになる。(2) 競争が制限され、高止まりになることについて県が契約価格の上限とする予定価格が事前に類推により入札関係者に判明した場合、これが不明の場合と比較して、個々の入札価格への意識が同じ競争下でも異なってくる。つまり、不明の場合においては、基準となる金額がないことから、それぞれ自己の利益を最大限譲歩した入札価格設定がなされると思われるのに、予定価格が類推された場合、それぞれ競争相手がこの事前に判明した予定価格からどの程度の幅をもって入札価格を設定してくるかという相手方の出 己の利益を最大限譲歩した入札価格設定がなされると思われるのに、予定価格が類推された場合、それぞれ競争相手がこの事前に判明した予定価格からどの程度の幅をもって入札価格を設定してくるかという相手方の出方の読み合いに終始する可能性が多分に生じてくる。このような傾向が生じるのは、予定価格が不明の場合にとるであろう価格設定より、判明した予定価格を上限として各人が設定する価格のほうが、より多くの利益を確保するようになり、また、価格設定の作業自体が、積算という技術的な能力からある程度離れ、簡単になるからである。このようにして、予定価格が不明の場合に比較して、予定価格が判明していると、予定価格に近い価格で落札価格が決まる(高止まり)こととなる。(3) 談合が容易に行われる可能性について価格設定のやり方が、前述のように、自己の目一杯の価格設定の場合よりも事前に互いに競争相手の出方を読み合うほうに収れんしていった場合、状況として常に競争相手の考えを忖度しつつ自己の入札価格を決めるということになるから、価格設定の作業視野には常に競争相手の姿が生じることになり、心理的には、はるかに話し合うほうに近い位置にいることになる。 (高止まり)こととなる。(3) 談合が容易に行われる可能性について価格設定のやり方が、前述のように、自己の目一杯の価格設定の場合よりも事前に互いに競争相手の出方を読み合うほうに収れんしていった場合、状況として常に競争相手の考えを忖度しつつ自己の入札価格を決めるということになるから、価格設定の作業視野には常に競争相手の姿が生じることになり、心理的には、はるかに話し合うほうに近い位置にいることになる。このことが、談合が一層容易に行われる可能性を強くすることとなる。(原告の主張) 1 予定価格等は、本件条例六条八号にいう情報に該当せず、本件処分は非開示事由がないにもかかわらずなされた違法なものである。2 被告は、予定価格等を事後公表すると、談合を助長したり、落札価格が高止まりとなるおそれがある旨主張するが、そのような弊害は存在しない。被告は、予定価格等の事後公表により、同種の工事について予定価格等の類推が可能になるというが、公共工事については、その積算基準の公表等により、予定価格はかなりの精度で類推可能である。そして、不透明な入札 は、予定価格等の事後公表により、同種の工事について予定価格等の類推が可能になるというが、公共工事については、その積算基準の公表等により、予定価格はかなりの精度で類推可能である。そして、不透明な入札制度のもと、談合が横行しているため、かえって落札価格の高止まりが生じている。このような入札の実態からすると、予定価格等を事後的に秘密にしておくことのメリットは乏しいというべきである。むしろ、予定価格等を事後公表すれば、入札手続の透明性が増し、不正な入札を抑止することができるし、積算の妥当性を向上させることにも資する。また、予定価格等の事後公表には、発注者がコスト縮減に努力しているか、コスト縮減に反することをしていないかについて、納税者が関心を持ち、監視することを可能とする条件を整えるというメリットが存在する。3 予定価格等の事後公表は、全国的なすう勢であり、政府も同様の方針を固めている。また、被告においても、本件条例の一部改正を行い、平成一〇年一〇月一日以降の入札分から予定価格の事後公表を実施し始めた。このことは、本件に開示処分に理由がないことの証左というべきである。三争点予定価格等を公開することにより、県の将来の入札事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生ずると認められるか否か。 が存在する。3 予定価格等の事後公表は、全国的なすう勢であり、政府も同様の方針を固めている。また、被告においても、本件条例の一部改正を行い、平成一〇年一〇月一日以降の入札分から予定価格の事後公表を実施し始めた。このことは、本件に開示処分に理由がないことの証左というべきである。三争点予定価格等を公開することにより、県の将来の入札事務事業の公正若しくは円滑な執行に著しい支障が生ずると認められるか否か。第三争点に対する判断一住民に公的な情報に対する開示請求権を付与するか否か、いかなる限度で、どのような要件のもとに付与するかについてはいずれも当該地方公共団体の立法政策の問題であり、具体的な情報公開請求権の内容範囲等はそれぞれの地方公共団体の条例の定めるところによる。本件条例は、「公文書の開示に関し必要な事項を定めるとともに情報提供の充実を図ることにより、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による開かれた県政を一層躍進することを目的 るところによる。本件条例は、「公文書の開示に関し必要な事項を定めるとともに情報提供の充実を図ることにより、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による開かれた県政を一層躍進することを目的」とし(一条)、その解釈運用について、「実施機関は、県民の公文書の開示を請求する権利が十分に尊重されるようにこの条例を解釈し、運用するものとする。この場合において、実施機関は、個人に関する情報が十分に保護されるように最大限の配慮をしなければならない」(三条)とする。そして、県内に住所を有する者は、実施機関に対して、公文書の開示を請求できる旨の原則的規定を置き(五条)、その上で、開示しないことができる場合を、六条の一ないし九号に具体的に列挙したが、実施機関は、六条各号に該当する情報を記録した文書についても、これをそのほかの部分と容易に分離でき、かつ公文書開示の請求の趣旨を損なわない場合には、その他の部分を開示しなければならないとし(七条)、さらに公文書を開示しないとの決定をしたときはその決定の理由を付記しなければならないとされている(九条三号)。以上のとおり、本件条例は、県の有する情報を原則として公開することにより県民の参政権の実質を確保するとの理念を宣言し、その上で、非開示となしうる公文書を具体的に列記しているところ、右のような本件条例の趣旨、理念、目的に照らせば、個人のプライバシーの保護等には最大限の注意を払うべきであるが、その上で県民の公文書情報にアクセスする権利を尊重するべく、非開示事由にあたるか否かの判断にあたっては、これを厳格に解釈しなければならないと解するべきである。 則として公開することにより県民の参政権の実質を確保するとの理念を宣言し、その上で、非開示となしうる公文書を具体的に列記しているところ、右のような本件条例の趣旨、理念、目的に照らせば、個人のプライバシーの保護等には最大限の注意を払うべきであるが、その上で県民の公文書情報にアクセスする権利を尊重するべく、非開示事由にあたるか否かの判断にあたっては、これを厳格に解釈しなければならないと解するべきである。けだし、行政庁が、開示するべきか否かを判断するにあたり、公開による利点と弊害及びその程度を総合的に検討するべきはもちろんであるが、非開示事由該当性の判断を行政庁側 ればならないと解するべきである。けだし、行政庁が、開示するべきか否かを判断するにあたり、公開による利点と弊害及びその程度を総合的に検討するべきはもちろんであるが、非開示事由該当性の判断を行政庁側の裁量に委ね、その主観に基づく運用を許すとすると、その範囲は不当に拡大する危険があり、情報公開条例の実質が失われるからである。この観点からすると、非開示事由該当性については、実施機関である被告において、これを具体的に主張し、立証しなければならないと解するべきである。二証拠(甲一の2ないし13、三七、乙三ないし五)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。1 予定価格調書とは、競争入札に先立ち、県の契約担当者により作成されるものであり、工事番号、工事名のほか、設計金額、請負対象金額、予定価格、最低制限価格、入札書比較価格が記載される。設計金額とは、工事全体の費用の予定額であるが、本件においては請負対象金額と同じであり、請負対象金額とは、標準的な施工能力を有する業者が、現場条件に照らして最も妥当性があると考えられる標準的な工法で工事を施工する場合に必要な経費を、各省が定めている積算の基準等に基づき算定した金額で、予定価格決定の基礎資料となる。予定価格とは、地方自治法二三四条三項所定の「予定価格」であり、請負対象金額を参考として、取引の実例価格、需要の状況、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して定められるものであり、入札の際の落札上限額としての性質を有する(高知県契約規則一六条)。最低制限価格は、地方公共団体の競争入札による工事請負契約において、疎漏工事の防止等契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めた場合に、予定価格の三分の二から一〇分の八までの範囲内で設定される(高知県契約規則一七条)。 を参考として、取引の実例価格、需要の状況、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して定められるものであり、入札の際の落札上限額としての性質を有する(高知県契約規則一六条)。最低制限価格は、地方公共団体の競争入札による工事請負契約において、疎漏工事の防止等契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めた場合に、予定価格の三分の二から一〇分の八までの範囲内で設定される(高知県契約規則一七条)。入札書比較価 約において、疎漏工事の防止等契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めた場合に、予定価格の三分の二から一〇分の八までの範囲内で設定される(高知県契約規則一七条)。入札書比較価格は、入札書に記載された金額と比較するための価格であり、予定価格から消費税相当額を控除した金額である(乙五)。2 そして、これらの価格が記載された予定価格調書が作成されると、封書され、改札の際に改札場所に置かれる(高知県契約規則一五条)。三そこで、右認定事実をもとに、予定価格等が本県条例六条八号に定める非開示事由に該当するか否かについて判断する。予定価格調書に記載された各価格は、いずれも入札の際の基準を画する金額又はそれらと密接に関連する金額であって、仮にこれらの情報が入札前に公表され(いわゆる事前公表)、入札参加業者がこれらの具体的な金額を知るとなると、業者問で談合をして、予定価格に極めて近接した価格(予定価格を少し下回る高値)で工事を落札する(いわゆる高止まり)ことがより容易になるものといわざるを得ない。そうすると、入札事務の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずるおそれがあることは否定できないというべきである。また、当該入札の実施後に、予定価格等を公表した場合(いわゆる事後公表)においても、将来高知県が実施する同種の工事の入札の際、入札参加業者が公表された情報をもとに右入札の予定価格を類推し、これを前提に談合が行われたり、落札価格が高止まりになる可能性も一概に否定し得ない。しかしながら、予定価格等が事後公表された場合において、公表された右情報をもとに同種工事の入札予定価格を類推、予測するといっても、工事の構造、工法、仕様、材質等それぞれの工事内容には差異があるほか、右時点において施工技術の進歩等により工事内容も多様化していること 情報をもとに同種工事の入札予定価格を類推、予測するといっても、工事の構造、工法、仕様、材質等それぞれの工事内容には差異があるほか、右時点において施工技術の進歩等により工事内容も多様化していることもあり得ること、工事には地域的条件など個別の特殊性もあり得ることからすると、過去の予定価格等をもとに将来の予定価格を類推、予測することには一定の限界がある、その一方で、公共工事の積算基準については各種資料の公表が進み、相当程度の積算能力があれば、これらの資料に基づいて、予定価格の類推がある程度可能になっているもので、これらに加えて既に実施された入札工事にかかる予定価格等を公表することによって、将来の入札に際し同種工事の予定価格を類推することがどれほど容易になり、類推の精度がどの程度高まるのか、そして予定価格が類推された結果、落札価格が実際に高止まりになるかどうか、いずれも明らかではないといわざるを得ない。 進み、相当程度の積算能力があれば、これらの資料に基づいて、予定価格の類推がある程度可能になっているもので、これらに加えて既に実施された入札工事にかかる予定価格等を公表することによって、将来の入札に際し同種工事の予定価格を類推することがどれほど容易になり、類推の精度がどの程度高まるのか、そして予定価格が類推された結果、落札価格が実際に高止まりになるかどうか、いずれも明らかではないといわざるを得ない。むしろ、予定価格等が事後公表されることになると、入札参加業者は、入札が実施された後に、自らの入札価格だけではなく、予定価格等が公表されることを前提に入札に参加しなければならなくなるもので、このように入札事務の実態が広く県民の目に晒されることによって、結果的に、談合等不正な入札を抑止する効果も期待できる。そして、このようにして事後公表が定着すれば、入札参加業者が予定価格を探ろうとするなど不正な動きを防止することにもつながると考えられる。その上、予定価格等を事後公表すれば、高知県における公共工事の入札事務の透明性が高まり、予定価格と落札価格を比較したり、予定価格の設定自体が割高で適正を欠いているのではないか、あるいは高い落札率の工事が多く競争性が確保されていないのではないか等競争入札制度が公正かつ円滑に機能しているか検証することも可能となる り、予定価格の設定自体が割高で適正を欠いているのではないか、あるいは高い落札率の工事が多く競争性が確保されていないのではないか等競争入札制度が公正かつ円滑に機能しているか検証することも可能となる。さらには、積算の妥当性・合理性の向上にもつながり、より適切な予定価格の設定にも資することになる。この点、高知県においても、平成一〇年一〇月一日以降に入札を実施する工事につき、予定価格等を事後公表するとの方針を示したことが認められるところである(甲二五)。そうすると、予定価格等を事後公表することによって、高知県の入札事務の公正若しくは円滑な執行に著しい支障を生ずると認めることはできない。したがって、予定価格等はいずれも本件条例六条八号には該当せず、これらの情報を非開示とした本件処分は違法というべきである。四以上の次第で、原告の請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。(口頭弁論終結の日平成一一年二月二二日)高知地方裁判所民事部裁判長裁判官水口雅資裁判官三木昌之裁判官奥野寿則(別紙)文書目録一平成一〇年一月から同年三月までに実施された高知県農林部の落札価格が一件五〇〇〇万円以上の予定価格調書(一二件分)

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