令和4(ワ)16934 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年3月28日 東京地方裁判所
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令和5年3月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和4年(ワ)第16934号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和5年1月13日判決 原告 Trim株式会社同訴訟代理人弁護士成川弘樹金子禄昌小松大祐同補佐人弁理士齋藤 修 被告株式会社MISTRAL同訴訟代理人弁護士中澤佑一船越雄一柴田佳佑岩本瑞穗 松本紘明 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録記載の製品を製造し、譲渡し、貸し渡し、輸入若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をしてはならない。 2 被告は、別紙被告製品目録記載の製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、5万5000円及びこれに対する令和2年12月2日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 4 被告は、別紙謝罪広告目録記載第1の謝罪広告を、同目録記載第2の要領で 掲載せよ。 第2 事案の概要本件は、発明の名称を「授乳用ユニット」とする特許第6865989号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告による別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」 という。)の製造 する特許第6865989号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、被告による別紙被告製品目録記載の製品(以下「被告製品」 という。)の製造、譲渡等が本件特許権の侵害に当たると主張して、被告に対し、特許法100条1項に基づき、被告製品の製造、譲渡等の差止めを、同条2項に基づき被告製品の廃棄を、同法106条に基づき、謝罪広告の掲載を、特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償として5万5000円及び不法行為の日である令和2年12月2日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割 合による遅延損害金の支払をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者ア原告は、移動可能な組立設置型個室タイプの授乳室の製造販売等を業と する株式会社であり、本件特許権を有している。 イ被告は、喫煙ブースその他設置型ブースの製造、開発、輸入及び販売並びに育児用品、工業製品、その他物品の輸出入、卸売り、製造、開発、販売及びコンサルティング等を業とする株式会社である。 (2) 本件特許 ア原告は、平成29年12月25日に出願した実用新案登録(実用新案登録第3215367号。同出願を「原出願」といい、同出願日を「原出願日」という。)を基礎として、令和2年12月8日、本件特許に係る特許出願(特願2020-203593)をし、令和3年4月9日、本件特許権の設定登録(請求項の数11)を受けた(甲4、5)。 イ本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、同請求項に係る発明を「本件発明」という。)。 【請求項1】 内部に空間が形成された箱状の イ本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、同請求項に係る発明を「本件発明」という。)。 【請求項1】 内部に空間が形成された箱状の筐体と、前記筐体に形成された開口状の出入口と、前記出入口に設けられ、閉状態のときに前記出入口を塞ぎ、前記筐体の内部の空間を遮蔽するドアと、前記筐体の内部の空間に設けられ、授乳者が着座可能な1つの一人着座 用の椅子と、前記筐体を移動させるキャスターと、を備え、前記筐体は、正面、前記筐体を正面視したときに前記正面に対して左側に位置する左側面、および、前記筐体を正面視したときに前記正面に対 して右側に位置する右側面を有し、前記出入口を、前記正面の右側に寄った位置、または、左側に寄った位置に形成し、前記出入口を前記正面の右側に寄った位置に形成した場合は、前記椅子を、前記左側面の内側に背もたれを沿わせた状態で、前記筐体の内部の 空間の左端部に設け、前記出入口を前記筐体の正面の左側に寄った位置に形成した場合は、前記椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態で、前記筐体の内部の空間の右端部に設けたことを特徴とする授乳用ユニット。 ウ本件発明を構成要件に分説すると、次のとおりである(以下、分説した 構成要件を符号に対応させて、「構成要件A」などという。)。 A 内部に空間が形成された箱状の筐体と、B 前記筐体に形成された開口状の出入口と、C 前記出入口に設けられ、閉状態のときに前記出入口を塞ぎ、前記筐体の内部の空間を遮蔽するドアと、 D 前記筐体の内部の空間に設けられ、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子と、E 前記筐体を移動させるキャスターと、を 口を塞ぎ、前記筐体の内部の空間を遮蔽するドアと、 D 前記筐体の内部の空間に設けられ、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子と、E 前記筐体を移動させるキャスターと、を備え、 F 前記筐体は、正面、前記筐体を正面視したときに前記正面に対して左側に位置する左側面、および、前記筐体を正面視したときに前記正面に対して右側に位置する右側面を有し、G 前記出入口を、前記正面の右側に寄った位置、または、左側に寄った位置に形成し、 H 前記出入口を前記正面の右側に寄った位置に形成した場合は、前記椅子を、前記左側面の内側に背もたれを沿わせた状態で、前記筐体の内部の空間の左端部に設け、I 前記出入口を前記筐体の正面の左側に寄った位置に形成した場合は、前記椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態で、前記筐体 の内部の空間の右端部に設けたことJ を特徴とする授乳用ユニット。 (3) 被告の行為等ア被告は、遅くとも令和2年12月2日以降、被告製品の製造及び譲渡のための申出(譲渡のための展示を含む。以下同じ。)をし、遅くとも令和 3年5月7日以降、被告製品を販売している。 また、被告は、令和3年11月20日以降、被告製品の貸渡し、貸渡しのための申出(貸渡しのための展示を含む。以下同じ。)を行っている。 イ被告製品は、構成要件AないしC及びEないしGを充足する(なお、本件において、被告製品の出入口は、筐体を正面視したときに右側に寄った 位置に形成されていることから、構成要件Iの充足性が問題となり、構成要件Hの充足性は問題とはならない。)。 2 争点(1) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)(2) 本件特許に対す 形成されていることから、構成要件Iの充足性が問題となり、構成要件Hの充足性は問題とはならない。)。 2 争点(1) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)(2) 本件特許に対する無効の抗弁の成否 ア中標津町公式ブログ(乙6。以下「乙6文献」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点2-1)イ 「BABYROOMCONCEPTBOOK ベビー休憩室コンセプトブック」と題する パンフレット(乙4。以下「乙4文献」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点2-2)(3) 原告の損害及び損害額(争点3)(4) 差止め及び廃棄の必要性の有無(争点4)(5) 謝罪広告の必要性の有無(争点5) 第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品が本件発明の技術的範囲に属するか)について(原告の主張)(1) 構成要件Dについてア 「筐体の内部の空間に設けられ」の構成について (ア) 被告製品の筐体の内部に置かれている椅子は、筐体を正面からみたときの、筐体の右端部に置かれているから、構成要件Dの「筐体の内部の空間に設けられ」に該当する。 (イ) 被告は、被告製品の椅子は、筐体に固定されているものではなく、筐体に置かれたものにすぎないから、「筐体の内部の空間に設けられ」 に該当しないと主張する。 しかし、「設ける」の通常の意味は、「建物・機関などを、こしらえる。 設置する。」であるとされ、そのうち、「こしらえる」の通常の意味は、「ある材料を用いて、形の整ったものやある機能をもったものを作り上げる。」であり、「設置」の通常の意味は、「施設や機関などを設ける こと。」であるとされている(いずれも大辞泉第二版)。したがって、「設ける」とは、広く、物を作る、物を存在 もったものを作り上げる。」であり、「設置」の通常の意味は、「施設や機関などを設ける こと。」であるとされている(いずれも大辞泉第二版)。したがって、「設ける」とは、広く、物を作る、物を存在させるといった意味があるにとどまり、物を固着させる又は移動不可能な状態にするといった意味があるとはいえない。 また、本件特許に係る特許出願の願書に添付された明細書(以下「本 件明細書」という。また、本件明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)にも、椅子を筐体の内部の空間に固着させる又は移動不可能な状態にすることが必要である旨の記載はない。 よって、被告製品の筐体の内部に置かれている椅子が筐体に固定されていないことは、構成要件Dの「筐体の内部の空間に設けられ」に該当することを否定する理由にはならない。 イ 「授乳者が着座可能な1 つの一人着座用の椅子」の構成について(ア) 被告製品の筐体の内部に置かれている椅子は、筐体を正面からみたと きの、筐体の右端部に位置して、筐体の左側に一定の空間を確保できるようになっており、かつ、授乳者が座って授乳をしたり、ミルクをあげたりすることができる椅子であるから、構成要件Dの「授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子」に該当する。 (イ) 被告は、被告製品の筐体内部に置かれた椅子は、大人が座ってゆった りとくつろげるロングチェアとしての利用と、赤ちゃんをしっかり寝かせることができるべッドチェアとしての利用のために設置されたものであるから、「一人着座用の椅子」に該当しないと主張する。 しかし、本件明細書において、筐体内部に置かれた椅子は、筐体内において一定の空間を確保しつつ、授乳者1名が着座して乳児に授乳が可 能な椅子であることが必要とされてい に該当しないと主張する。 しかし、本件明細書において、筐体内部に置かれた椅子は、筐体内において一定の空間を確保しつつ、授乳者1名が着座して乳児に授乳が可 能な椅子であることが必要とされていると記載されているのみである(【0017】ないし【0019】、【図6】及び【図7】)。 そして、乳児を寝かせるベッドチェアとして利用できる椅子であるからといって、筐体内部の空間の確保や授乳者が着座した状態での授乳が困難となるわけではない。 また、本件明細書には、筐体内部に置かれた椅子が、乳児を寝かせるベッドチェアであってはならない旨の記載はない。 したがって、被告製品の筐体内部に置かれた椅子が、大人が座ってゆったりとくつろげるロングチェアとしての利用と、赤ちゃんをしっかり寝かせることができるべッドチェアとしての利用のために設置されたも のであることは、構成要件Dの「一人着座用の椅子」に該当しないことの理由にはならない。 ウ構成要件Dの充足性 以上によれば、被告製品は、構成要件Dを充足する。 (2) 構成要件Iについてア本件明細書の記載によれば、本件発明において、筐体側面の内側に背もたれを沿わせた状態で椅子を設ける構成を採用した趣旨は、授乳者が足を伸ばすことができる十分な空間を確保できるようにするためであると 理解できる(【0019】)。そして、被告製品のように、筐体内部の椅子の背もたれが筐体の側面だけではなく正面や背面の内側にも沿っているからといって、十分な空間を確保できなくなるわけではないし、本件明細書にも、筐体内部の椅子の背もたれが筐体の側面だけではなく、正面や背面の内側にも沿っていると十分な空間を確保できないといった記載 や、その場合には筐体の側面の内側に背もたれを沿わせた状態とはなら も、筐体内部の椅子の背もたれが筐体の側面だけではなく、正面や背面の内側にも沿っていると十分な空間を確保できないといった記載 や、その場合には筐体の側面の内側に背もたれを沿わせた状態とはならないといった記載はない。 したがって、「椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態」とは、背もたれが筐体右側面の内側から距離的に離れないように位置している状態をいうと解すべきであり、筐体内部の椅子の背もたれが筐体 の右側面のみならず、正面や背面の内側にも沿っていることは、構成要件Iの「椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態」に該当することを否定する理由にはならない。 イ被告製品は、椅子の背もたれが、筐体の右側面の内側に沿っており、構成要件Iの「椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態」と の構成を備えるから、構成要件Iを充足する。 (3) 構成要件Jについてア 「授乳用ユニット」の「用」の通常の意味は、「名詞の下について、…のために使用するもの、…が特に使用するもの、…で使用するもの、等の意を表す。」(大辞泉第二版)であるとされており、用途を限定する意味を 持つものではない。 また、本件明細書の【0012】において、授乳用ユニットは、「授乳者が、授乳を必要とする被授乳者に授乳を行うための空間を提供するユ ニットである。」と説明されており、おむつ替えを授乳用ユニット内で行うことができるからといって、当該ユニット内で被授乳者に授乳ができなくなるわけではない。 さらに、本件明細書に授乳用ユニットが授乳専用であるとの記載はないし、おむつ替え等の可否に関する記載もない。 したがって、授乳を行うことができるユニットであれば、「授乳用ユニット」に該当すると解すべきであり、おむつ替え等もで が授乳専用であるとの記載はないし、おむつ替え等の可否に関する記載もない。 したがって、授乳を行うことができるユニットであれば、「授乳用ユニット」に該当すると解すべきであり、おむつ替え等もできることは「授乳用ユニット」に該当することを否定する理由にはならない。 イ被告製品は、授乳者が授乳を行うためのブースであるから「授乳用ユニット」の構成を備え、構成要件J を充足する。 (4) 小括以上によれば、被告製品が本件発明の技術的範囲に属するものと認められる。 (被告の主張)(1) 構成要件Dについて 被告製品には、筐体の内部におむつ交換と授乳が可能なソフトチェアが配置されている。このソフトチェアは、大人が座ってゆったりとくつろげるロングチェアとしての利用と、赤ちゃんをしっかり寝かせることができるべッドチェアとしての利用のために設置されたものであり、構成要件Dの「一人着座用」の椅子ではない。 また、構成要件Dは、一人着座用の椅子が「筐体の内部の空間に設けられ」るとされているところ、「設け(る)」とは、レイアウトが固定されることを意味するから、構成要件Dは、一人着座用の椅子が固定されることを意味しているものである。他方で、被告製品のソフトチェアは、筐体に固定されているものではなく、筐体に置かれたものにすぎないから、構成要件Dの「筐 体の内部の空間に設けられ」に該当せず、構成要件Dを充足しない。 (2) 構成要件Iについて被告製品の椅子の背もたれは、アーチを描いており、筐体の右側面の内側 のみならず、正面側及び背面側の内側にも沿わせた状態になっているから、構成要件Iの「椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態」に該当せず、構成要件Iを充足しない。 (3) 構成要件Jについて みならず、正面側及び背面側の内側にも沿わせた状態になっているから、構成要件Iの「椅子を、前記右側面の内側に背もたれを沿わせた状態」に該当せず、構成要件Iを充足しない。 (3) 構成要件Jについて被告製品は、授乳ブースとしての機能を持つものではあるが、必ずしもそ れに限られるものではなく、赤ちゃんのおむつ替えのためのブースとしての機能も有しており、構成要件Jの「授乳用ユニット」には該当せず、構成要件Jを充足しない。 (4) 小括以上のとおり、被告製品が本件発明の技術的範囲に属するとは認められな い。 2 争点2-1(乙6文献を主引用例とする進歩性欠如)について(被告の主張)本件発明は、以下のとおり、乙6文献に記載された発明に基づき、原出願前に当業者が容易に発明することができたものであって、特許法29条2項の規 定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は同法123条1項2号に該当し、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ、同法104条の3第1項により本件特許権の行使が認められない。 (1) 乙6文献に記載された発明の認定について乙6文献は、中標津町が公開している公式ブログの平成26年8月8日 付けの記事であるところ、同文献には次の構成を有する発明(以下「乙6発明」という。)が記載されていると認められる。 役場1階のロビーの壁面に接するように設置された授乳室であって、授乳室の内部には、1台の授乳用チェア、サイドテーブル、おむつ替え台及び鏡が設置されており、授乳室は、カーテンが掛けられた出入口が形成さ れるとともに、当該出入口を閉塞可能に設けられたスライド式ドアが設けられた面を有し、当該出入口が形成された面を正面とすると、授乳室は、当該正面部、当該正面部を正面視し けられた出入口が形成さ れるとともに、当該出入口を閉塞可能に設けられたスライド式ドアが設けられた面を有し、当該出入口が形成された面を正面とすると、授乳室は、当該正面部、当該正面部を正面視したときに当該正面部に対して左側に位 置する左側面部及び右側に位置する右側面部、当該正面部に対向して位置する奥面部及び前記ロビーの床面上に配置される底面部とから成り、授乳室の外側から前記正面部を正面視したときの当該正面部の右側略半分に出入口が形成されており、前記授乳用チェアは、着座部、当該着座部の後端部に形成され、奥行き方向に狭くなる形状を有する背もたれ部及び4本の 脚部から成る一人着座用であり、前記授乳用チェアは、授乳室の前記左側に位置する左側面部の内側と前記正面部の内側とに前記背もたれ部の両側が接するように配置されており、前記サイドテーブルと前記おむつ替え台は、それらの長辺側端部が授乳室の前記奥面部の内側に接するように配置されている、授乳室。 (2) 本件発明と乙6発明の対比についてア構成要件Aについて「筐体」とは「機器をおさめているはこ」を意味するところ、乙6発明における「授乳室」は、「はこ」であるといえ、「授乳室」の内部には、授乳用チェア、サイドテーブル等の備品が設置されているから、乙6発明に おける「授乳室」は、構成要件Aの「内部に空間が形成された箱状の筐体」に相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Aに係る構成を備える点において一致する。 イ構成要件Bについて 乙6発明における「授乳室」には「カーテンが掛けられた出入口が形成されるとともに、当該出入口を閉塞可能に設けられたスライド式ドアが設けられ」ており、これは、本件発明の構成要件Bの「前記筐体に形成された開口状の出入 「授乳室」には「カーテンが掛けられた出入口が形成されるとともに、当該出入口を閉塞可能に設けられたスライド式ドアが設けられ」ており、これは、本件発明の構成要件Bの「前記筐体に形成された開口状の出入口」に相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Bに係る構成を備える点にお いて一致する。 ウ構成要件Cについて乙6発明には、「当該出入口を閉塞可能に設けられたスライド式ドア」 が設けられており、ドアが有する一般的な機能も勘案すると、本件発明の構成要件Cの「前記出入口に設けられ、閉状態のときに前記出入口を塞ぎ、前記筐体の内部の空間を遮蔽するドア」に相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Cに係る構成を備える点において一致する。 エ構成要件Dについて乙6発明における「1台の授乳用チェア」は、「一人着座用」であるから、本件発明の構成要件Dの「前記筐体の内部の空間に設けられ、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子」に相当する。よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Dに係る構成を備える点において一致する。 オ構成要件Fについて乙6発明における「授乳室」が、「当該出入口が形成された面」である「正面」及び「当該正面部を正面視したときに当該正面部に対して左側に位置する左側面部及び右側側面部」を有していることは、本件発明の構成要件Fの「前記筐体」が、「正面、前記筐体を正面視したときに前記正面 に対して左側に位置する左側面、および、前記筐体を正面視したときに前記正面に対して右側に位置する右側面」を有していることに相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Fに係る構成を備える点において一致する。 カ構成要件Gについて 乙6発明における「出入口」は「授乳室の外側から 面」を有していることに相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Fに係る構成を備える点において一致する。 カ構成要件Gについて 乙6発明における「出入口」は「授乳室の外側から前記正面部を正面視したときの当該正面部の右側略半分」に形成されている。よって、構成要件Gの「前記出入口」が「前記正面の右側に寄った位置」「に形成」されていることに相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Gに係る構成を備える点にお いて一致する。 キ構成要件H及びIについて乙6発明における「出入口」は、正面の「右側」に寄った位置に形成し たものであるから、構成要件Hと対比するのが相当であるところ、乙6発明の「授乳用チェア」は、「授乳室の前記左側に位置する左側面部の内側と前記正面部の内側とに前記背もたれ部の両側が接するように配置」されている。これは、本件発明の構成要件Hの「前記椅子を、前記左側面の内側に背もたれを沿わせた状態で、前記筐体の内部の空間の左端部 に設け」に相当する。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Hに係る構成を備える点において一致する。 ク構成要件Jについて乙6発明は「授乳室」であり、内部には「1台の授乳用チェア、サイ ドテーブル、おむつ替え台及び鏡」が設置されているから、これらは、構成要件Jの「授乳用ユニット」を構成しているといえる。 よって、本件発明と乙6発明は、構成要件Jに係る構成を備える点において一致する。 (3) 一致点及び相違点について 前記(2)のとおり、本件発明と乙6発明は、構成要件AないしD、FないしH及びJに係る各構成を備える点において一致するが、本件発明が構成要件Eの「前記筐体を移動させるキャスターと、を備え」る構成を有しているのに対し、 本件発明と乙6発明は、構成要件AないしD、FないしH及びJに係る各構成を備える点において一致するが、本件発明が構成要件Eの「前記筐体を移動させるキャスターと、を備え」る構成を有しているのに対し、乙6発明はこれを備えていない点で相違する。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについて 本件発明のキャスターは授乳用ユニットの移動を容易ならしめるために備えられたものであるが、移動対象の移動を容易ならしめる手段としてキャスターを用いることは周知慣用技術であるといえる。そして、移動対象が利用者と機器等を収容する筐体であっても、その移動を容易ならしめることは検討されてしかるべき事項であるといえ、現に、筐体の移動を容易な らしめるようキャスターをつけた発明が、特開平7-293009号公報(乙5。以下「乙5公報」という。)、米国特許第5533305号明細書(乙13。以下「乙13公報」という。)、NPOグリーンズのウェブサイ ト(乙14。以下「乙14文献」という。)、株式会社ハイポテックのウェブサイト(乙15。以下「乙15文献」という。)、特開平3-202566号公報(乙16。以下「乙16公報」という。)及び特開2008-261110号公報(乙17。以下「乙17公報」という。)において開示されている。 また、本件明細書の記載によれば、本件発明のキャスターにより、「授乳エリアの設置が簡易化する」、「レイアウトの変更」が「容易に」なる(【0009】)、「授乳エリアの増設や、授乳エリアの場所の変更 」そして「授乳エリアを閉鎖」することも容易になる(【0034】)といった効果が得られるが、これらの課題は乙6発明にも内在しているものである。すなわ ち、乙6発明は町役場のロビーに設置されたもので て「授乳エリアを閉鎖」することも容易になる(【0034】)といった効果が得られるが、これらの課題は乙6発明にも内在しているものである。すなわ ち、乙6発明は町役場のロビーに設置されたものであり、ロビーの他の用途や役場を訪れる者の動線によっては、設置場所を変更する必要が生じることもあり得る上、授乳室の利用者が少ないなどの理由から授乳室を撤去する可能性もある。そして、乙6発明は、ロビーの壁面や床面に固定されることなく、壁面に接するように床面上に設置されており、その移動自体 は可能である。そうすると、乙6発明についても、その移動を容易ならしめるという課題は内在しており、この課題に取り組む動機もあるといえる。 したがって、当業者は、上記相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できる。 (5) 原告の主張に対する反論 原告は、乙6発明にキャスターを用いることを妨げる特段の事情(阻害要因)があるなどと主張する。 しかし、乙6発明が、段差が生じないように法令上強く要請されている授乳室であるという点については、乙6発明が既段差を解消するためのスロープを備えていること、キャスターの取付方やサイズによって段差の増大を抑 制することが可能であることに照らし、キャスターを用いることを妨げる事情になるとはいえない。 また、乙6発明の授乳室の室内装備が固着されてないことについても、移 動の頻度は高くないし、移動中に授乳室として利用するものではないことに照らし、キャスターを用いることを妨げる事情になるとはいえない。 さらに、キャスターを取り付けることにより、筐体が不安定となる点についても、キャスターとストッパーはセットで取り付けられるのが一般的で、乙16公報において、キャスターにストッパーをつける技術が開 さらに、キャスターを取り付けることにより、筐体が不安定となる点についても、キャスターとストッパーはセットで取り付けられるのが一般的で、乙16公報において、キャスターにストッパーをつける技術が開示されてい るから、キャスターを用いることを妨げる事情になるとはいえないし、仮に阻害要因となるとしても、乙16公報にはその解消に関する技術が開示されている。 したがって、乙6発明にキャスターを用いることを妨げる特段の事情(阻害要因)があるとの原告の主張は理由がない。 (6) 小括よって、当業者にとって乙6発明に周知慣用技術を組み合わせることにより本件発明を発明することは容易であるといえ、本件発明は進歩性を欠いているといえる。 (原告の主張) 本件発明と乙6発明は、本件発明が構成要件Eの「前記筐体を移動させるキャスターと、を備え」の構成を有しているのに対し、乙6発明はこれを備えていない点で相違し、その余の点において一致することは争わない。 上記の一致点及び相違点を前提とし、被告は、乙6発明から本件発明を発明することは容易であるなどと主張するが、以下のとおり、①乙6発明に授乳 室の移動を容易ならしめるという課題が内在しているとはいえないこと、②授乳室にキャスターを用いることが周知慣用技術に当たるとはいえないこと、仮にキャスターを用いることが周知慣用技術に当たるとしても、③乙6発明にキャスターを用いることを妨げる特段の事情(阻害要因)があることから、被告の主張は理由がない。 (1) ①乙6発明に授乳室の移動を容易ならしめるという課題が内在しているとはいえないことについてア乙6文献は、「役場に授乳室が設置されました。」とのタイトルで、中 標津町の公式ブログに掲載された記事であるところ、 を容易ならしめるという課題が内在しているとはいえないことについてア乙6文献は、「役場に授乳室が設置されました。」とのタイトルで、中 標津町の公式ブログに掲載された記事であるところ、この記事においては、授乳室にキャスターを備えるものとする課題の存在は一切記載されていない。 また、「筐体」にキャスターを備える必要があるのは、単に、授乳室を移動させる場面が想定されるというだけでなく、頻繁に授乳室を移動さ せることが想定されるため、その移動を簡易迅速に行えるようにしなければならない場合であるところ、乙6発明の授乳室は、中標津町役場に授乳室が存在していなかったために1階ロビーに設けられたものにすぎず、頻繁な場所の移動は想定されていない。 以上から、乙6発明にその移動を容易ならしめるという課題は内在し ていないことは明らかであり、乙6発明にキャスターを備える動機付けはない。 イこの点に関し、被告は、ロビーの用途や役場を訪れる者の動線によっては、設置場所を変更する必要が生じることがあり得、また、授乳室の利用者が少ない等の理由から授乳室を撤去する可能性もあり、これを容 易にしたいという動機もあるなどと主張する。しかし、設置場所変更の必要性や撤去の必要性はおよそどのような物品にも存在するのであって、そのような必要性のみから、移動を容易ならしめるという課題が内在しており、キャスターを備えることの動機があるというのは、論理の飛躍がある。 また、被告は、乙6発明の授乳室がロビーの壁面や床面に固定されることなく壁面に接するように床面上に設置されており、その移動自体は可能であるとも主張する。しかし、乙6発明の授乳室のように、所定の目的のために後付けするユニットは、そもそも設置する既存の建物の床面等に穴を開ける 接するように床面上に設置されており、その移動自体は可能であるとも主張する。しかし、乙6発明の授乳室のように、所定の目的のために後付けするユニットは、そもそも設置する既存の建物の床面等に穴を開ける、釘を打つ等の直接的な加工等を行わずに設置できる よう作られているのであって、移動自体を可能にするためや、移動を容易ならしめるために床面等に固定されていないわけではない。 よって、いずれの被告の主張も理由がない。 (2) ②授乳室にキャスターを用いることが周知慣用技術に当たるとはいえないことについて乙6発明の技術分野は、プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成する技術に関するものである。他方、被告が、周知慣用技術を基礎付ける証拠としてあげる乙13公報は感染症患者の治療ブースに関するもの、 乙14文献は家の中での移動式パーソナル空間に関するもの、乙15文献は高気圧高酸素環境室に関するもの、乙16公報は浴室ユニットに関するもの、乙17公報は室内移動式の個室ユニットに関するものであり、それぞれ乙6発明と技術分野が明らかに異なる。 また、乙5公報に記載の発明は、乳児の保育空間を形成する目的を有する ものの、上面と下面の一部が開いている筒状の遮蔽体内部に保育空間を形成する技術に関するものであり、プライバシーに配慮するために上面と下面が遮られている筐体の内部に保育空間を形成する技術に関する乙6発明とは技術分野が異なる。 したがって、乙5、13、16及び17公報並びに乙14及び15文献に おいて、筐体にキャスターを備えることで移動可能にすることが開示されているとしても、これらの証拠により、プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成する技術分野において「筐体を移動させるキャスターを備える」ことが周知慣用技 えることで移動可能にすることが開示されているとしても、これらの証拠により、プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成する技術分野において「筐体を移動させるキャスターを備える」ことが周知慣用技術であるとは認められない。 (3) ③乙6発明にキャスターを用いることを妨げる特段の事情(阻害要因)が あることについてアキャスターを設けることによって段差が生じないように法令上強く要請されている授乳室に関する発明であることについて平成18年12月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成十八年法律第九十一号)が施行されたことで、社会におけ るバリアフリー化が推進されている。 また、社会におけるバリアフリー化に関して、一般財団法人運輸振興協会が平成27年3月に行ったアンケートの結果によれば、公共交通機関 を利用する際に不便だと感じることとして、「ちょっとした段差にベビーカーがひっかかる。」、「乗降口の段差等がベビーカーや乳幼児を抱っこしたままだと乗り降りしづらい。」、「数段の段のところにスロープを設置したりしてほしい。案外、数段の段はベビーカーを担がないといけない場合が多い。」といった意見が寄せられている。 このような状況にある中、様々な人が往来し利用する公共施設においては、バリアフリー化が強く要請されており、転倒等の事故をもたらす「段差」の除去は特に強く要請されているといえる。 ここで、乙6文献に掲載されている別紙写真目録記載1の写真を見ると、授乳室が設置されたロビーの設置面と授乳室の床面との段差を軽減する ように、授乳室の出入口付近の床面がスロープ状に延伸していることが分かる。これは、バリアフリーが求められる町役場において、ロビーの設置面と授乳室の床面との段差を除去し、乳 との段差を軽減する ように、授乳室の出入口付近の床面がスロープ状に延伸していることが分かる。これは、バリアフリーが求められる町役場において、ロビーの設置面と授乳室の床面との段差を除去し、乳幼児を伴う母親が授乳室を安全に利用できるようにしたものである。 このような授乳室にキャスターを取り付けたとすると、少なくともその 車輪の直径の分、設置面と授乳室の床面との間に「段差」が生じ、出入りの妨げとなる。これは、授乳室の安全な利用を図るという目的に反するものである。 したがって、乙6発明に係る授乳室にキャスターを適用することを妨げる特段の事情があるといえる。 イ授乳用チェア等の室内装備が固着されてないことについて乙6発明に係る授乳室の授乳用チェア、サイドテーブル及びおむつ替え台が授乳室内に固定して設けられるものではないことは明らかである。 そして、仮に、乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付けて移動可能に構成した場合、授乳用チェア等の各装備は不安定になり、授乳者が 授乳等を安全に行うことができなくなる。 したがって、乙6発明において、授乳室を移動可能に構成することは想定されておらず、むしろ、そのように構成することは避けられるべきと いえる。 この点からも、乙6発明に係る授乳室にキャスターを適用することを妨げる特段の事情があるといえる。 ウキャスターを取り付けた状態での使用が禁止されることについて乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付けた場合、授乳者がこれ を安全に利用できるようにするために、使用時に授乳室が移動しないよう、技術的に手当てをする必要がある。例えば、キャスターにストッパーを取り付けたり、併せて、授乳室を安定して支持するための支持脚を取り付けたりする必要がある。 また 、使用時に授乳室が移動しないよう、技術的に手当てをする必要がある。例えば、キャスターにストッパーを取り付けたり、併せて、授乳室を安定して支持するための支持脚を取り付けたりする必要がある。 また、キャスターを備えない授乳室が、底面で自身を支持するのに対 して、キャスターを備える授乳室は、キャスターの接地点での支持となる。そのため、面で支持する前者と比較して、点で支持する後者は、安定した支持を担保するため、キャスター、取付け部材及びキャスターを取り付ける授乳室の床部等における構造上の強度をより一層高くする必要が生じる。 このように、乙6発明に係る授乳室の安全な利用の実現が求められる中で、これにキャスターを備える構成とすれば、技術的ハードルが高くなるため、かかる構成の適用を妨げる特段の事情があるといえる。 エ小括以上によれば、当業者にとって乙6発明から本件発明を発明すること は容易であるとの被告の主張は理由がない。 3 争点2-2(乙4文献を主引用例とする進歩性欠如)について(被告の主張)本件発明は、以下のとおり、乙4文献に記載された発明に基づき、原出願前に当業者が容易に発明することができたものであって、特許法29条2項の規 定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は同法123条1項2号に該当し、特許無効審判により無効とされるべきものと認められ、同法104条の3第1項により本件特許権の行使が認められない。 (1) 乙4文献に記載された発明の認定について乙4文献は、コンビウィズ株式会社が平成29年3月4日に発行したベビー休憩室コンセプトブックであって、同文献には、「授乳のみを行う室の最小単位」として構成された授乳室のレイアウト(別紙図面目録記載1の図面)が記載され ィズ株式会社が平成29年3月4日に発行したベビー休憩室コンセプトブックであって、同文献には、「授乳のみを行う室の最小単位」として構成された授乳室のレイアウト(別紙図面目録記載1の図面)が記載されている。そして、乙4文献には、次の構成を有する発明 (以下「乙4発明」という。)が記載されていると認められる。 壁面で外部の空間と隔てられた授乳室であって、授乳室には開口状の出入口が形成され、当該出入口にスライド式のドアが設けられており開閉が可能とされ、当該出入口が形成された面を正面とすると、当該正面部、当該正面部を正面視したときに当該正面部に対して左側に位置する左側面部 及び右側に位置する右側面部、当該正面部に対向して位置する奥面部及び床面を構成する底面部とから成り、授乳室の外側から前記正面部を正面視したときの当該正面部の右側約半分に出入口が形成され、授乳室内部の当該出入口側空間には何も物品が存在せず、ベビーカーを置くことも可能なフリーな空間が設けられ、授乳室の内部には1台の親子休憩用ベンチ、ベ ビーキープが設置され、壁面内側にはコート又は荷物掛け用のフック、鏡、時計があり、前記親子休憩用ベンチは、着座部、当該着座部の後端部に形成される背もたれ部及び着席部左右の壁型脚部から成り、授乳室の前記左側に位置する左側面部の内側に前記背もたれ部が接するように配置され、かつ左右の壁型脚部は前記前面部及び奥面部の内側に接するように設置さ れている授乳室。 (2) 本件発明と乙4発明の対比についてア構成要件Aについて「筐体」とは「機器をおさめているはこ」を意味するところ、乙4発明における「授乳室」は、「はこ」であるといえ、「授乳室」の内部には、 授乳用チェア、サイドテーブル等の備品が設置されているから、乙4発明にお 機器をおさめているはこ」を意味するところ、乙4発明における「授乳室」は、「はこ」であるといえ、「授乳室」の内部には、 授乳用チェア、サイドテーブル等の備品が設置されているから、乙4発明における「授乳室」は、構成要件Aの「内部に空間が形成された箱状の筐体」に相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Aに係る構成を備える点において一致する。 イ構成要件Bについて乙4発明における「授乳室」には「出入口が形成され、当該出入口にスライド式のドア」があり、これは、本件発明の構成要件Bの「前記筐体 に形成された開口状の出入口」に相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Bに係る構成を備える点において一致する。 ウ構成要件Cについて乙4発明の「授乳室」には、「開口状の出入口」、「当該出入口にスライ ド式のドア」が設けられて「開閉が可能」となっている。これは、本件発明の構成要件Cの「前記出入口に設けられ、閉状態のときに前記出入口を塞ぎ、前記筐体の内部の空間を遮蔽するドア」に相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Cに係る構成を備える点において構成が一致する。 エ構成要件Fについて乙4発明における「授乳室」が、「当該出入口が形成された面」である「正面」及び「当該正面部を正面視したときに当該正面部に対して左側に位置する左側面部及び」「右側側面部」を有していることは、本件発明の構成要件Fの「前記筐体」が、「正面、前記筐体を正面視したときに前記 正面に対して左側に位置する左側面、および、」「右側に位置する右側面」を有することに相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Fに係る構成を備える点において一致する。 オ構成要件Gについて 乙4発明におけ 面、および、」「右側に位置する右側面」を有することに相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Fに係る構成を備える点において一致する。 オ構成要件Gについて 乙4発明における「出入口」は「授乳室の外側から前記正面部を正面視したときの当該正面部の右側約半分」に形成されている。これは、構成要件Gの「前記出入口」が「前記正面の右側に寄った位置」「に形成」 されていることに相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Gに係る構成を備える点において一致する。 カ構成要件H又はIについて乙4発明における「出入口」は、正面の「右側」に寄った位置に形成し たものであるから、構成要件Hと対比するのが相当であるところ、乙4発明の親子休憩用ベンチは、「着座部、当該着座部の後端部に形成される背もたれ部及び着席部左右の壁型脚部から成り、授乳室の前記左側に位置する左側面部の内側に前記背もたれ部が接するように配置」されている。これは、本件発明の構成要件Hの「前記椅子を、前記左側面の内側 に背もたれを沿わせた状態で、前記筐体の内部の空間の左端部に設け」に相当する。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Hに係る構成を備える点において構成が一致する。 キ構成要件Jについて 乙4発明は「授乳のみを行う室」として提案されており、内部には1台の「親子休憩用ベンチ、ベビーキープ(自立不能な乳幼児を座らせるための椅子)」が設置されており、これらは、構成要件Jの「授乳用ユニット」を構成しているといえる。 よって、本件発明と乙4発明は、構成要件Jに係る構成を備える点にお いて一致する。 (3) 一致点及び相違点について前記(2)のとおり、本件発明と乙4発明は、構成要件AないしC、FないしH及びJ 本件発明と乙4発明は、構成要件Jに係る構成を備える点にお いて一致する。 (3) 一致点及び相違点について前記(2)のとおり、本件発明と乙4発明は、構成要件AないしC、FないしH及びJに係る各構成を備える点において一致するが、乙4発明が、構成要件Eの「前記筐体を移動させるキャスターと、を備え」の構成を備え ていない点(以下「相違点①」という。)及び構成要件Dの「前記筐体の内部の空間に設けられ、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子と、」の構成を備えていない点(以下「相違点②」という。)で相違する。 (4) 当業者は相違点に係る本件発明の構成を容易に想到できることについてア相違点①について本件発明のキャスターは授乳用ユニットの移動を容易ならしめるために備えられたものであるが、 移動対象の移動を容易ならしめる手段として「キャスター」を用いることは周知慣用技術であるといえる。そして、 移動対象が利用者と機器等を収容する筐体であっても、その移動を容易ならしめることは検討されてしかるべき事項であるといえ、現に、筐体の移動を容易ならしめるようキャスターをつけた発明が開示されている(乙5、13、16及び17公報並びに乙14及び15文献)。 また、乙4文献には、レイアウト例のみが記載され、授乳室の設置場 所に関する記載はないが、「これから求められているベビー休憩室のあり方」として、「使いたいときに、すぐ使えるところにあったら」、「あまり移動せずに、すぐ近くに、小さくてもいいから授乳できる場所があれば、赤ちゃん連れのお出かけはグンと楽になるでしょう」、「こんなところにあったらいいな」と、便利な場所に多く設置してほしいという使用者の ニーズが記載されている。そして、授乳室の設置例の一つとしてフード ん連れのお出かけはグンと楽になるでしょう」、「こんなところにあったらいいな」と、便利な場所に多く設置してほしいという使用者の ニーズが記載されている。そして、授乳室の設置例の一つとしてフードコート内に設置されたブース型の授乳室も掲載されている。 このことからすれば、乙4発明において、授乳室を設置する場所に関し、自由に選択することができ、また、壁面の構造を建物に固着したものとしなければ、移動可能なブースとして構築することも可能なレイア ウトとして提示されているといえる。そして、乙4文献に記載された「授乳のみを行う室」においては、使用者のニーズや他の設備との関係によって位置を変更する必要があり、移動や設置場所の変更を容易ならしめるという課題は乙4発明に内在しているといえる。 したがって、乙4発明に係る授乳室にキャスターを備える構成を付加 することは、当業者が容易に想到し得るものである。 イ相違点②について本件発明の構成要件Dの「前記筐体の内部の空間に設けられ、授乳者 が着座可能な1つの一人着座用の椅子」は、「一人」用であることが重要なのではなく、1名の授乳者が着座可能であり、かつ、全体のレイアウトや省スペース性を損なわないことに意味がある。本件明細書の【0018】及び【0019】には、授乳用空間への進入がスムーズになることや、腰かけた状態で足を延在させられることが「一人着座用の椅子」 の設置の効果である旨が記載されており、同椅子がベンチであるか否か、子供が座れるか否かは重要ではない。 そして、乙4発明の「親子休憩用ベンチ」は、授乳者である大人一人が着座し、横に子供も着座可能なものであり、かつ、全体のレイアウトや省スペース性を損なわないから、本件発明の「授乳者が着座可能な1 つの一人着座用 「親子休憩用ベンチ」は、授乳者である大人一人が着座し、横に子供も着座可能なものであり、かつ、全体のレイアウトや省スペース性を損なわないから、本件発明の「授乳者が着座可能な1 つの一人着座用の椅子」と実質的に同じ機能を有するものである。 また、筐体の内部に設置された「親子休憩用ベンチ」を「一人着座用の椅子」に変更することは、当業者が適宜になし得る程度の軽微な設計事項にすぎないし、乙4文献には、「親子休憩用ベンチ」を使用する場合に加え、授乳椅子を使用する場合の記載もある。 したがって、乙4発明の「親子休憩用ベンチ」を「授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子」に変更することは、当業者が容易に想到し得るものである。 ウ相違点③について仮に、原告が主張するとおり、乙4発明が、構成要件AないしIの「筐 体」の構成を備えていない(以下「相違点③」という。)との認定がされたとしても、乙4発明に、乙13公報に記載された発明(以下「乙13発明」という。)及び乙14文献に記載された発明(以下「乙14発明」という。)を組み合わせることにより、本件発明を発明することは容易であるといえる。 すなわち、乙13発明は、診察室という、通常は建物の構造体で構成される部屋をブース化したものである。乙14発明も、一人用の部屋を簡易化したものである。 そして、乙4文献において、広さやレイアウトが様々な多数のレイアウトが提案されていることからも明らかなとおり、最適な授乳室の場所や配置は利用状況によって変化し得るものであって、設置場所を変更したいという需要は乙4発明にも内在している。 そうすると、乙4発明に係る授乳室について、その設置場所の変更を容 易にするために、乙13発明や乙14発明の技術を組み合わせ、筐体化する 所を変更したいという需要は乙4発明にも内在している。 そうすると、乙4発明に係る授乳室について、その設置場所の変更を容 易にするために、乙13発明や乙14発明の技術を組み合わせ、筐体化する動機付けがあるといえるから、当業者が相違点③に係る構成を想到することは容易である。 エ相違点④について仮に、原告が主張するとおり、乙4発明が、構成要件Jの「授乳ユニ ット」の構成を備えていない(以下「相違点④」という。)との認定がされたとしても、乙4発明を筐体化すれば、「授乳用ユニット」になるといえるから、前記エと同様の理由により、当業者が相違点④に係る構成を想到することは容易である。 オまとめ したがって、当業者は、前記相違点①ないし④に係る本件発明の構成を容易に想到できる。 (5) 小括よって、当業者にとって乙4発明に乙13発明及び乙14発明を組み合わせることにより本件発明を発明することは容易であるといえ、本件発明は 進歩性を欠いているといえる。 (原告の主張)乙4発明は、以下のとおり、「筐体」の構成を備えていないため、「筐体」であることを必要とする構成要件AないしIに係る各構成をいずれも備えない点で、本件発明と相違しており、また、乙4発明に係る授乳室は、「ユニット」 ではないため、構成要件Jの構成を備えない点で、本件発明と相違する。 そして、乙4発明と本件発明の一致点及び相違点に係る被告の主張は誤っているから、これを前提として、当業者が乙4発明から本件発明を発明すること が容易であるとの被告の主張は理由がない。 (1) 乙4発明が構成要件AないしIに係る「筐体」の構成を備えていないことについて乙4文献には様々な授乳室のレイアウトが示されているところ、その一例として、フロア内 被告の主張は理由がない。 (1) 乙4発明が構成要件AないしIに係る「筐体」の構成を備えていないことについて乙4文献には様々な授乳室のレイアウトが示されているところ、その一例として、フロア内に壁や出入口を設けて作られた空間を複数に区画し、そ れぞれの区画を授乳ゾーン、休憩ゾーン、おむつ替えゾーンとし、授乳ゾーンに共用授乳コーナーと3室の個室授乳ブースとを設けるレイアウトが記載されている。 このような乙4文献の記載に鑑みれば、乙4発明は、授乳ゾーン内に複数配置され得る個室授乳ブースの最小単位である1つのブースを切り取って、 その寸法や出入口、ベンチ及びベビーキープの配置を示したものというべきである。 そして、「筐体」が意味する「機器をおさめているはこ」の「はこ」は、それ自体が独立して存在し得る物体であることを意味することは明らかである。 しかし、乙4発明に係る授乳室は、他の個室授乳ブースや共有授乳コーナー等と区画するために共有される壁、床及び天井により存立するものであり、これらの壁、床及び天井から切り離し、単独で存立できるものではない。 よって、乙4発明は、構成要件AないしIに係る「筐体」の構成を備えておらず、この点で本件発明と相違する。 (2) 乙4発明が構成要件Jに係る「ユニット」の構成を備えていないことについて「ユニット」とは、「全体を構成する一つ一つの単位。分割してもそれだけで存在することが可能な構成単位。」(精選版日本国語大辞典)を意味し、それ自体が独立して存在している必要がある。 そして、前記(1)のとおり、乙4発明に係る授乳室は「筐体」を備えるものではなく、それ自体が独立して存在し得る物体ではないため、「ユニット」ではない。 よって、乙4発明は、構成要件Jの そして、前記(1)のとおり、乙4発明に係る授乳室は「筐体」を備えるものではなく、それ自体が独立して存在し得る物体ではないため、「ユニット」ではない。 よって、乙4発明は、構成要件Jの「ユニット」の構成を備えておらず、この点で本件発明と相違する。 (3) 小括以上によれば、当業者にとって乙4発明から本件発明を発明することは容易であるとの被告の主張は理由がない。 4 争点3(原告の損害及び損害額)について(原告の主張)被告は、現在まで少なくとも10台の被告製品の製造、譲渡及び貸渡しを行っており、これにより被告が得た売上高は、100万円を下らない。 そして、本件発明の技術分野、被告製品の市場、コスト構造、類似事例及び 実務慣行に鑑みれば、本件発明実施についての相当な実施料率は、5%を下回るものではない。 よって、特許法102条3項により、原告には、少なくとも5万円の損害が生じているといえる。 また、本件訴訟追行に必要な弁護士費用相当額は上記損害額の10%である 5000円を下回るものではない。 以上のことから、原告の損害額は5万5000円となる。 (被告の主張)争う。 5 争点4(差止め及び廃棄の必要性の有無)について (原告の主張)原告は、被告に対し、令和3年11月5日付けの「警告書」と題する書面により、本件特許権に基づいて、被告製品の製造、販売等の停止、在庫の廃棄等を求め、同月7日、同警告書は被告に到達した。 しかし、被告は、原告に対し、同月25日、「回答書」と題する書面を送付 して、被告製品の製造、販売等による本件特許権侵害の主張を争う態度を明らかにし、現時点においても、被告製品の製造、販売等を継続している。 したがって、被告による被告製品の製造、販売等の差止め して、被告製品の製造、販売等による本件特許権侵害の主張を争う態度を明らかにし、現時点においても、被告製品の製造、販売等を継続している。 したがって、被告による被告製品の製造、販売等の差止め及び被告製品の 廃棄を命じる必要性が認められる。 (被告の主張)争う。 6 争点5(謝罪広告の必要性の有無)について(原告の主張) 原告は、被告による被告製品の製造、販売等により、原告が販売する可搬組立設置個室型授乳室が、取引先から被告製品の類似品とみなされ、原告と取引先との契約交渉が途中で破談になったり、長期化したりするなどの不利益を被った。 被告の行為により、原告が本件特許権に基づいて可搬組立設置個室型授乳 室を製造販売していることに関する業務上の信用を大きく毀損されたことは明らかである。 したがって、原告は、被告に対し、特許法106条に基づき、別紙謝罪広告目録記載第1の謝罪広告を同目録記載第2の要領に従い掲載することを求める。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等(1) 本件明細書の発明の詳細な説明には、以下のような記載がある。 ア 【技術分野】【0001】本発明は、授乳者が授乳を行うための授乳用ユニットに関する。 【背景技術】【0002】 従来、ショッピングセンター等の店舗や、レストラン等の飲食店、イベント会場等の様々な施設に授乳エリアが設けられている。授乳エリアとは、授乳を行うことが可能なエリアであり、授乳者は、外出中に、授 乳エリアを利用して、授乳を行うことができる。なお、授乳エリアは、部屋等の閉じられた1つの空間である必要は無く、フロアーに設けられた一部の領域であってもよく、解放された空間の一部の領域 乳エリアを利用して、授乳を行うことができる。なお、授乳エリアは、部屋等の閉じられた1つの空間である必要は無く、フロアーに設けられた一部の領域であってもよく、解放された空間の一部の領域であってもよい。例えば、授乳エリアは、専用の部屋や、授乳エリアとして区画された専用のエリアに、授乳者が授乳時に着座するための椅子や、授乳の 準備に利用するための台が複数設けられることによって構成される。 【0003】特許文献1には、当該専用の部屋に複数設けられる授乳用椅子が開示されている。特許文献1の授乳用椅子は、椅子に対してベビーベッドが移動可能に構成されており、椅子に着座する授乳者は、自身の位置に対 するベビーベッドの相対的な位置を簡易に移動させることができる。特許文献1によれば、授乳者は、授乳のための準備や、授乳等、作業に応じてベビーベッドの位置を移動させることができ、各作業をスムーズに行うことができる。 【発明が解決しようとする課題】 【0005】授乳エリアでは、授乳者のプライバシーの保護が問題となる。つまり、授乳に係る作業を他人に見られたくないと思う授乳者も少なからず存在し、このような授乳者の希望をできるだけ充足する必要がある。従来は、専用の部屋や、専用の領域に、ドアによって内部の空間が遮蔽される個 室を設けたり、仕切板によって授乳のための空間を仕切った上で、カーテンその他の遮蔽物によって各空間を遮蔽可能に構成したりすることによって、授乳エリア内に、外部から遮蔽された授乳用空間を設け、これにより、授乳者のプライバシーを保護していた。 【0006】 しかしながら、個室や、仕切板を設けることによって、外部から遮蔽された授乳用空間を授乳エリアに設ける従来の構成の場合、専用の設備が必要となる のプライバシーを保護していた。 【0006】 しかしながら、個室や、仕切板を設けることによって、外部から遮蔽された授乳用空間を授乳エリアに設ける従来の構成の場合、専用の設備が必要となると共に、綿密な設計の下、各設備を適切な位置に固定的に設 ける必要があり、授乳エリアの設置の困難性が高かった。また、従来の構成の場合、授乳用空間の増設や、授乳用空間の移動等のレイアウトの変更を行う場合、簡易にできず、その点で課題があった。 【0007】本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、授乳 者のプライバシーが保護された状態で授乳を行うことができる授乳用空間が形成された授乳エリアを簡易に設置できるようにすると共に、授乳用空間のレイアウトの変更を容易にできるようにすることを目的とする。 イ 【課題を解決するための手段】【0008】 上記した課題を解決するために、本発明の授乳用ユニットは、内部に空間が形成された箱状の筐体と、筐体に形成された開口状の出入口と、出入口に設けられ、閉状態のときに出入口を塞ぎ、筐体の内部の空間を遮蔽するドアと、筐体の内部の空間に設けられ、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子と、筐体を移動させるキャスターと、を備えている。 ウ 【発明の効果】【0009】上記のように構成した本発明によれば、筐体の内部の空間には、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子が設けられると共に、ドアを閉状態とすれば、筐体の内部の空間が遮蔽され、外部から筐体の内部が視認 できない状態となるため、授乳者は、筐体の内部で、他人に見られることなく、プライバシーが保護された状態で授乳を行うことができる。そして、このような筐体を移動させるキャスターが授乳用ユニットに設けられている 状態となるため、授乳者は、筐体の内部で、他人に見られることなく、プライバシーが保護された状態で授乳を行うことができる。そして、このような筐体を移動させるキャスターが授乳用ユニットに設けられているため、授乳エリアとなる空間に授乳用ユニットを持ち込み、キャスターを利用して授乳用ユニットを適切な位置に移動させるという 作業を行うだけで、授乳用空間が形成された授乳エリアを設置することができる。このため、授乳エリアの設置に際し、綿密な設計の下、各設備を適切な位置に固定的に設ける必要が無く、授乳エリアの設置が簡易 化する。さらに、キャスターを利用して授乳用ユニットを移動させるだけで、授乳エリアにおける授乳空間のレイアウトの変更を行うことができるため、授乳用空間のレイアウトの変更を容易に行うことができる。 エ 【発明を実施するための形態】【0032】 図1~6に示すように、筐体4の底面7の外側には、キャスター36と、固定部材37とが設けられている。キャスター36は、筐体4の底面に、長方形の頂点を成すように、4つ設けられている。このように筐体4の底面7にキャスター36が設けられているため、キャスター36を利用して、地面上で授乳用ユニット1を簡易に移動させることができ る。また、固定部材37は、授乳用ユニット1の位置を固定する部材であり、所定の操作を行って、固定部材37を所定の状態とすることにより、固定部材37の接触部が地面に接触し、その摩擦力によって、授乳用ユニット1の移動が制限され、授乳用ユニット1の位置が固定される。 【0033】 このように、本実施形態に係る授乳用ユニット1は、キャスター36を利用して地面上を移動させることができると共に、固定部材37により任意の位置に固定することができる。この構成 【0033】 このように、本実施形態に係る授乳用ユニット1は、キャスター36を利用して地面上を移動させることができると共に、固定部材37により任意の位置に固定することができる。この構成のため、以下の効果を奏する。すなわち、従来、授乳者が授乳を行うための授乳用空間が設けられた授乳エリアを設置する場合、専用の部屋に複数の個室を設けたり、 仕切板によって授乳用空間を設けていた。この場合、専用の設備が必要となると共に、綿密な設計の下、各設備を適切な位置に固定的に設ける必要があり、授乳室の設置の困難性が高かった。一方で、本実施形態によれば、所定の空間に、授乳用ユニット1を持ち込み、キャスター36を利用して、適切な位置に授乳用ユニット1を移動させて、固定部材3 7で位置を固定するという簡単な作業を行うのみで、授乳者がプライバシーが完全に保護された状態で授乳を行うことが可能な授乳用空間3を設けることができる。このため、授乳エリアの設置が非常に容易である。 【0034】さらに、本実施形態によれば、授乳用ユニット1は、キャスター36を利用して地面上を移動させることができるため、授乳エリアのレイアウトの変更も容易である。授乳エリアのレイアウトの変更は、授乳エリアとなる空間における授乳用ユニット1の配置の態様の変更のみならず、 授乳エリアの増設や、授乳エリアの場所の変更も含む。例えば、大型施設において、入口G1の付近に、授乳エリアを設けたていたところ、入口G2の付近にも授乳エリアを設置することとなった場合、入口G1付近の授乳エリアから、所定台数の授乳用ユニット1を入口G2の近辺の所定の空間に移動させる、という簡易な作業により、授乳エリアを増設 できる。さらに、本実施形態によれば、イベント会場等の、一時的 近の授乳エリアから、所定台数の授乳用ユニット1を入口G2の近辺の所定の空間に移動させる、という簡易な作業により、授乳エリアを増設 できる。さらに、本実施形態によれば、イベント会場等の、一時的に開設される施設にも非常に容易に授乳エリアを設置することができ、また、施設の閉鎖時には、キャスター36を利用して授乳用ユニット1を移動して撤去するという簡易な作業を行うだけで、授乳エリアを閉鎖することができる。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、次のような開示があることが認められる。 アショッピングセンター等の店舗や、レストラン等の飲食店、イベント会場等の様々な施設に授乳エリアが設けられており、それらは、例えば、専用の部屋や専用のエリアに、授乳者が授乳時に着座するための椅子や、 授乳の準備に利用するための台が複数設けられることによって構成されるところ、授乳者のプライバシーの保護が問題となるため、従来は、専用の部屋や、専用の領域に、ドアによって内部の空間が遮蔽される個室を設けたり、仕切板によって授乳のための空間を仕切った上で、カーテンその他の遮蔽物によって各空間を遮蔽可能に構成したりすることによ って、授乳エリア内に、外部から遮蔽された授乳用空間を設けていたが、このような構成の場合、専用の設備が必要となると共に、綿密な設計の下、各設備を適切な位置に固定的に設ける必要があり、授乳エリアの設 置の困難性が高く、授乳用空間の増設や、授乳用空間の移動等のレイアウトの変更を簡易に行うことができなかった(【0002】、【0003】、【0005】、【0006】)。 イ 「本発明」は、前記アの課題を解決するため、授乳者のプライバシーが保護された状態で授乳を行うことができる授乳用空間が形 できなかった(【0002】、【0003】、【0005】、【0006】)。 イ 「本発明」は、前記アの課題を解決するため、授乳者のプライバシーが保護された状態で授乳を行うことができる授乳用空間が形成された授乳 エリアを簡易に設置できるようにすると共に、授乳用空間のレイアウトの変更を容易にできるようにすることを目的とするものであり、「本発明」の授乳用ユニットは、内部に空間が形成された箱状の筐体と、筐体に形成された開口状の出入口と、出入口に設けられ、閉状態のときに出入口を塞ぎ、筐体の内部の空間を遮蔽するドアと、筐体の内部の空間に設け られ、授乳者が着座可能な1つの一人着座用の椅子と、筐体を移動させるキャスターと、を備えることにより、ドアを閉状態とすれば、筐体の内部の空間が遮蔽され、外部から筐体の内部が視認できない状態となるため、授乳者は、筐体の内部で、他人に見られることなく、プライバシーが保護された状態で授乳を行うことができ、授乳エリアとなる空間に 授乳用ユニットを持ち込み、キャスターを利用して授乳用ユニットを適切な位置に移動させるという作業を行うだけで、授乳用空間が形成された授乳エリアを設置することができることから、授乳エリアの設置に際し、綿密な設計の下、各設備を適切な位置に固定的に設ける必要がなく、授乳エリアの設置が簡易化し、キャスターを利用して授乳用ユニットを 移動させるだけで、授乳エリアにおける授乳空間のレイアウトの変更を行うことができるため、授乳用空間のレイアウトの変更を容易に行うことができるとの効果を奏する(【0007】ないし【0009】)。 2 争点2-1(乙6文献を主引用例とする進歩性欠如)について本件の事案に鑑み、争点2-1から判断する。 (1) 乙6文献の記載事項についてア乙 【0007】ないし【0009】)。 2 争点2-1(乙6文献を主引用例とする進歩性欠如)について本件の事案に鑑み、争点2-1から判断する。 (1) 乙6文献の記載事項についてア乙6文献には、以下のような記載がある(乙6。ただし、「おむつ替え台や授乳用チェア、サイドテーブル、ゴミ箱などを設置していますので、 小さな」の後の記載は証拠上確認できない。)。 「2014.08.08役場に授乳室が設置されました。 役場1階ロビーに授乳室が設置されました。」(別紙写真目録記載1の写真掲載) 「授乳室の設置に伴って、北海道行政書士会根室支部様より、おむつ替え台、授乳用チェア、サイドテーブル、ミラーの寄贈を受けました。」(別紙写真目録記載2の写真掲載)「おむつ替え台や授乳用チェア、サイドテーブル、ゴミ箱などを設置していますので、小さな」 (別紙写真目録記載3の写真掲載)イ前記アの記載事項によれば、乙6文献には、乙6発明が記載されていると認められる。 ウ一致点及び相違点の認定について本件発明と乙6発明が、構成要件AないしD及びFないしHの点で一致 し、構成要件Eの点で相違することは、当事者間に争いがない。 エ相違点に係る本件発明の構成(構成要件E)の容易想到性について(ア) 構成要件Eの構成に関し、以下の記載を有する公報ないし文献が存在する。 a乙5公報 平成7年11月7日に公開された、発明の名称を「保育室ユニット」とする特許に係る乙5公報には、「少なくとも周囲の人の視線を遮ると共に、内部に保育空間を画成する遮蔽体からなる本体と、上記本体に対して開閉自在に取り付けられ、少なくとも閉止状態にて、 育室ユニット」とする特許に係る乙5公報には、「少なくとも周囲の人の視線を遮ると共に、内部に保育空間を画成する遮蔽体からなる本体と、上記本体に対して開閉自在に取り付けられ、少なくとも閉止状態にて、外側に向かって膨らんだ形状の扉とを備えることを特徴とする保育室ユニッ ト。」(請求項1)及び「前記本体の下端部にはキャスターを設けることにより、全体が移動できる構成としたことを特徴とする」(請求項5)構成を有する発明の記載がある。 b乙13公報平成8年7月9日に公開された、米国特許に係る乙13公報には、「感染症疾患を有する患者の喀痰誘発およびエアロゾル化された治療のための、概して参照番号100によって示される喀痰誘発/エアロゾル治療ブース」(5欄26ないし31行目)であり、「ブース100 は、患者治療のためにブースを適切な位置に移動させることができるように、前方及び後方キャスタ162を備えている。」(6欄46行目ないし48行目)との記載がある(別紙図面目録記載2の図面参照)。 c乙14文献平成25年3月12日に公開された、NPOグリーンズのウェブペ ージである乙14文献には、「住まいの固定観念をリセットし、新しい常識で家を作ろう!暮らす人が主役になれる“家”の展覧会「HouseVision」」との題名の下、「移動式のパーソナル空間。 ちょっと静かに仕事や読書をしたい時に。」という説明文とともに、キャスター付きユニットを被写体とする別紙写真目録記載4の写真が 掲載されている。 d乙15文献株式会社ハイポテックのウェブページである乙15文献には、高気圧高酸素環境室である「高気圧キャビン1800-1.3ATA」の製品紹介として、「「高気圧キャビン」は、「高気圧酸素 乙15文献株式会社ハイポテックのウェブページである乙15文献には、高気圧高酸素環境室である「高気圧キャビン1800-1.3ATA」の製品紹介として、「「高気圧キャビン」は、「高気圧酸素」と「有酸素 運動」と融合させた運動ができ、BOX内はスペースが広く「リラクゼーション」空間としても利用でき…」との記載とともに、別紙写真目録記載5の写真が掲載されており、「装備」として「移動用キャスター」を備えている旨の記載及び「2007年4月9日にオープンしたこのエステティックサロンではオープンとともに高気圧酸素を導入 し、ゆったりとした店内では、快適なくつろぎの時間を提供いたします。そして、優れた技術による「やすらぎ」や「いやし」を提供するだけでなく、新しく導入された「高気圧キャビン1800」によって 「くつろぎ」も提供いたします。」との記載がされている。 e乙16公報平成3年9月4日に公開された、発明の名称を「浴室ユニット」とする特許に係る乙16公報には、「第1図は、本発明の浴室ユニットの一実施例を示すもので、図において符号11は、例えば、樹脂から なり、内部にユニット空間13を有する直方体状のユニット本体を示している。」(2頁右上欄7ないし10行目。文中の「第1図」は、別紙図面目録記載3の図面のとおりである。)との記載及び「ユニット本体11の四隅には、第2図に示すように前後、左右自由に移動可能なキャスター49が付いており、各々の脇には防振ゴム49a付きの ストッパー49bが付属され、移動時は第2図の(a)に示すようにストッパー49bを上に持ち上げた状態で移動させ、固定時は第2図の(b)に示すようにストッパー49bをキャスター49の下にもぐらせて安定させる。」(2頁右下欄下から3行目ないし の(a)に示すようにストッパー49bを上に持ち上げた状態で移動させ、固定時は第2図の(b)に示すようにストッパー49bをキャスター49の下にもぐらせて安定させる。」(2頁右下欄下から3行目ないし3頁左上欄5行目。文中の「第2図」は、別紙図面目録記載4の図面のとおりであ る。)との記載がある。 f乙17公報平成20年10月30日に公開された、発明の名称を「室内移動式の個室ユニット」とする特許に係る乙17公報には、家具等を配置変えすることなく居室内にて簡単に移動し、居室内の模様替えを可能と した室内移動式の個室ユニットを提供することを課題とし、これを、「箱状に形成した個室1の床下面の四隅にキャスタ6を起倒可能に設置し、前記キャスタ6をターンバックル付きのクロスロッドで連繁し、前記キャスタ6を起立して個室1を室内フロア面より浮上させて移動可能とし、前記キャスタ6を床下面に倒して個室1を室内フロア面に 設置するように」することにより解決した旨の記載(【要約】。別紙図面目録記載5の図面参照)及び「発明実施するための最良の形態」として「個室1を室内の目的位置に移動後は図6で示すように、ターン バックル7を操作してキャスタ6を倒しストッパをロックして個室1は室内フロア面13に設置する。」(【0015】。文中の「図6」は、別紙図面目録記載6の図面のとおりである。)との記載がある。 (イ) 前記(ア)及び弁論の全趣旨によれば、原出願日当時、利用者と機器等を収容する筐体の移動を容易ならしめるため、当該筐体にキャスターを つけることは、周知技術であったと認めるのが相当である。 そして、乙6文献の記載によれば、乙6発明に係る授乳室は、中標津町のロビーの壁面に接するように設置されており、壁や床に固定されていない つけることは、周知技術であったと認めるのが相当である。 そして、乙6文献の記載によれば、乙6発明に係る授乳室は、中標津町のロビーの壁面に接するように設置されており、壁や床に固定されていないと認められるから、乙6発明に係る授乳室を移動することは可能であるといえ、町役場のロビーは、町民の意向、利用目的及び利用態様 が変化することにより、将来的に授乳室の設置場所を変更することが想定され、これを容易にしたいという動機付けは乙6発明に内在していると認められる。 したがって、乙6発明に接した当業者にとって、利用者と機器等を収容する筐体の移動を容易ならしめるため、乙6発明に筐体にキャスター をつける周知技術を適用し、前記ウの相違点に係る本件発明の構成を想到することは容易であったといえる。 (ウ) これに対し、原告は、以下のとおり主張するが、いずれも採用することができない。 a 原告は、乙6発明の技術分野は、「プライバシーに配慮した筐体内 部に保育空間を形成する技術」に関するものであり、前記(ア)の公報及び文献に記載の発明の技術分野とは異なっているから、筐体の移動を容易ならしめるため、筐体にキャスターをつけることは、乙6発明の技術分野における周知技術であるとは認められないと主張する。 しかし、前記(ア)において認定したとおり、少なくとも利用者と機 器等を収納する筐体に係る技術分野においては、当該筐体の具体的な用途にかかわらず、広く当該筐体の移動を容易ならしめる手段としてのキャスターが利用されている。そのような利用状況からすると、移 動対象が授乳室という「プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成する」用途の筐体であるからといって、当業者において、当該技術分野における周知慣用技術である筐体 用状況からすると、移 動対象が授乳室という「プライバシーに配慮した筐体内部に保育空間を形成する」用途の筐体であるからといって、当業者において、当該技術分野における周知慣用技術である筐体にキャスターを設けるという構成を乙6発明に係る授乳室に適用することが困難であるとはいえない。 b 原告は、①乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付けると、設置面と授乳室の床面との間に段差が生じ、授乳室の安全な利用を図るという目的に反する、②乙6発明に係る授乳室においては、授乳用チェア等の室内装備が固定・固着されていないから、乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付けて移動可能にすると、授乳等を安全に 行うことができなくなる、③乙6発明に係る授乳室の安全性を保ちつつ、キャスターを取り付けることには技術的ハードルがあるとして、乙6発明に係る授乳室に、キャスターを適用することを妨げる特段の事情があると主張する。 しかし、①については、乙6文献の記載から、乙6発明に係る授乳 室は、ロビーの床面と授乳室の床面との間の段差があり、これによる弊害を解消するため、乙6発明に係る授乳室の出入口付近の床面から、ロビーの床面に延びるスロープを備えているものと認められ、段差による弊害は、同スロープの設置により解消することができるといえる。 また、技術常識に照らし、取り付けるキャスターのサイズや取付方法 を工夫することにより、上記のような段差が生じることを抑制することが困難であるとは考え難い。したがって、段差が生じることが乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付ける阻害要因になるとは認められない。 次に、②については、授乳者を授乳室に収容したまま授乳室を移動 させない限り、乙6発明に係る授乳室内の設備が固定されていないことによ キャスターを取り付ける阻害要因になるとは認められない。 次に、②については、授乳者を授乳室に収容したまま授乳室を移動 させない限り、乙6発明に係る授乳室内の設備が固定されていないことによる授乳者の安全性への影響が生じるとは考え難く、実際にそのような影響が生じると認めるに足りる証拠もない。むしろ、授 乳者を乙6発明に係る授乳室に収容したまま授乳室を移動させることは通常の使用方法ではないというべきである。したがって、室内装備が固定・固着されていないことが乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付ける阻害要因になるとは認められない。 さらに、③については、筐体にキャスターを取り付けることによ って、不意に筐体が動き出すとの事象が生じ得ることは、容易に想定できるところ、これによる弊害は、キャスターにストッパーを取り付けることにより回避することができる。そして、筐体にキャスターを取り付け、同キャスターにストッパーを取り付ける構成は、前記(ア)e及び同fのとおり、乙16公報及び17公報において開示されてお り、周知技術であると認められるから、当業者であれば、筐体にストッパー付きのキャスターを取り付けるという周知技術を適用し、容易に克服できる弊害であるといえる。したがって、安全性を保つ必要があることが乙6発明に係る授乳室にキャスターを取り付ける阻害要因になるとは認められない。 c 以上のとおり、原告の前記主張はいずれも採用することができない。 (2) 小括以上を総合すると、本件発明は、乙6発明を主引用発明とし、利用者と機器等を収容する筐体の移動を容易ならしめるため、筐体にキャスターをつける周知慣用技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたと いえるから、本件特許は特許無効審判 とし、利用者と機器等を収容する筐体の移動を容易ならしめるため、筐体にキャスターをつける周知慣用技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対してその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2項、29条2項)。 第5 結論 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 バヒスバラン薫 (別紙)被告製品目録 「miruru」 (別紙)謝罪広告目録 第1 広告の内容 謝罪広告弊社は、「miruru」と称する授乳室を製造し、その販売及び貸与等を行っておりました。これらの行為により、貴社の保有する特許権を侵害し、また、貴社の業界における多年の信用をも傷つけたことを反省し、心よりお詫び申し上げます。今後は、貴社を含む他社の特許権を侵害する行為を行わないよう、十分に注意いたします。 年月日 株式会社MISTRAL 代表取締役 A 省し、心よりお詫び申し上げます。今後は、貴社を含む他社の特許権を侵害する行為を行わないよう、十分に注意いたします。 年月日 株式会社MISTRAL 代表取締役 A Trim株式会社 代表取締役 B 様 第2 広告の要領 1 謝罪広告を掲載する媒体 被告のホームページ上のトップページ (URL:https://以下省略) 2 謝罪広告を掲載する期間 3か月 (別紙)写真目録 (画像は省略) 以上 (別紙)図面目録 以上

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